JP4063481B2 - 再生セルロースフィルム積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装材料等として用いられる再生セルロースフィルム積層体に関し、特には水性グラビア印刷インキによるグラビア印刷適性に優れる再生セルロースフィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
再生セルロースフィルム(セロハンフィルムとも称される)は、透明性、静電気防止性、引き裂き性に優れ、さらに適当な剛性、良好な耐熱性、有機溶剤系印刷インキによるグラビア印刷適性、ヒネリ包装適性などを備えるため、従来から広く使用されている。
【0003】
前記有機溶剤系印刷インキは、IPA(イソプロピルアルコール)、エタノール、トルエン、酢酸エチルエステル、MEK(メチルエチルケトン)等の有機溶剤を含有するものである。
【0004】
ところで、近年の環境問題や消防法の要請等により、さらにはグラビア印刷作業環境の改善要求により、グラビア印刷においては有機溶剤系(トルエンを含む)印刷インキに代えて、ノントルエングラビア印刷インキや水性グラビア印刷インキ(水:エタノール=7:3)の使用が検討されるようになった。
【0005】
しかし、再生セルロースフィルムは水に対して収縮性を有するため、再生セルロースフィルム表面に直接水性グラビア印刷インキで印刷を行おうとしても、再生セルロースフィルムの収縮により、まともに印刷することができない問題があった。
【0006】
また、再生セルロースフィルムは、耐湿性に乏しいため、包装材料等の用途によっては、そのままでは適さないことがある。そこで、再生セルロースフィルムの表面に改質用樹脂塗料を塗布し、乾燥させることにより防湿樹脂層を設けて防湿再生セルロースフィルムとすることが行われている。
【0007】
一般的な再生セルロースフィルムに対する改質用樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩素化PP樹脂、アクリル樹脂が挙げられるが、塩化ビニリデン樹脂以外の樹脂には防湿性が無いため、それらの樹脂に非粒子状滑剤を有機溶剤に混合させた樹脂塗料を用い、その樹脂塗料を再生セルロースフィルム表面に塗布して樹脂層を形成していた。ここで、非粒子状滑材とは、フィルム表面に滑性を付与する物質であって、常温において液体または固体の性状を示し、しかも融点あるいは軟化点が200℃以下の物質を言う。したがって、溶剤中でエマルジョン状態となるワックスであっても、前記定義に該当するものは、非粒子状滑剤の範疇に含まれる。非粒子状滑剤の具体例を示せば、石油系ワックス(融点46℃〜68℃)、蜂蝋、ハゼ蝋、カルナバワックス、ヘキストワックス、ダイヤモンドワックス、変性ワックスなどが挙げられる。
【0008】
しかし、従来の防湿性再生セルロースフィルムにおいては、前記有機溶剤系印刷インキによるグラビア印刷は可能なものの、水性グラビア印刷インキに対しては表面の防湿樹脂層がインキをはじいてしまい、良好な水性グラビア印刷を行うことができなかった
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、良好な水性グラビア印刷性、さらには防湿性を有する再生セルロースフィルム積層体を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、再生セルロースフィルムの一側表面に非粒子状滑剤無添加樹脂層を有し、他側表面に非粒子状滑剤添加樹脂層を有する3層構造の複合フィルムであって、前記非粒子状滑剤無添加樹脂層は、アクリル樹脂と、シリカ粒子とを有してなる非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料から形成され、前記非粒子状滑剤添加樹脂層は、アクリル樹脂と、シリカ粒子と、ワックスとを有してなる非粒子状滑剤を含む樹脂塗料から形成され、前記非粒子状滑剤無添加樹脂層は、ノントルエングラビア印刷インキ又は水性グラビア印刷インキによるグラビア印刷が施される印刷面であることを特徴とする再生セルロースフィルム積層体に係る。
【0011】
請求項2の発明は、前記アクリル樹脂が、ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体である請求項1に記載の再生セルロースフィルム積層体に係る。
【0012】
請求項3の発明は、前記非粒子状滑剤無添加樹脂層である印刷面にコロナ処理が施され、前記コロナ処理が施された印刷面の表面ぬれ性が、JISK6768に準拠した測定において380μN〜500μNである請求項1又は2に記載の再生セルロースフィルム積層体に係る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の再生セルロースフィルム積層体は、再生セルロースフィルムの少なくとも一側が、樹脂層で被覆された積層フィルムであって、前記一側の樹脂層が非粒子状滑剤を含まないものからなる。
【0014】
再生セルロースフィルムは、原料のパルプをビスコース化し、凝固、再生、水洗、精製、仕上げ処理後、乾燥させてフィルム状に成形したものであり、公知のものである。この再生セルロースフィルムには、通常、グリセリン、トリエチレングリコールなどのグリコール類やソルビトール、尿素などの柔軟剤が配合されている。この再生セルロースフィルムの厚みは適宜とされるが、14μm〜42μmの範囲が好ましい。
【0015】
前記再生セルロースフィルムの少なくとも一側を被覆する樹脂層は、再生セルロースフィルムの一側表面に樹脂塗料を塗布し、乾燥させて積層形成されたものであって、適宜の厚みとされるが、20μm〜45μmの厚みが好適である。
【0016】
前記再生セルロースフィルムの一側の樹脂層は、水性グラビア印刷インキによる印刷(水性グラビア印刷)をこの再生セルロースフィルムの一側に対して行う際、水性グラビア印刷インキの水分が直接再生セルロースフィルム層と接触して、再生セルロースフィルムの収縮を引き起こすのを防止するとともに、ノントルエングラビア印刷インキや水性グラビア印刷インキによる良好なグラビア印刷性を再生セルロースフィルムの一側に付与するためのものであり、非粒子状滑剤を含まない樹脂からなる。
【0017】
非粒子状滑剤とは、従来技術の項で説明したように、再生セルロースフィルム表面に滑性及び防湿性を付与する物質であって、常温において液体または固体の性状を示し、しかも融点あるいは軟化点が200℃以下の物質を言う。したがって、溶剤中でエマルジョン状態となるワックスであっても、前記定義に該当するものは、非粒子状滑剤の範疇に含まれる。非粒子状滑剤の具体例を示せば、石油系ワックス(融点46℃〜68℃)、蜂蝋、ハゼ蝋、カルナバワックス、ヘキストワックス、ダイヤモンドワックス、変性ワックスなどが挙げられる。
【0018】
前記非粒子状滑剤を含まない樹脂とは、前記非粒子状滑剤が配合されていない樹脂のことであり、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂など、再生セルロースフィルム表面の改質に用いられる樹脂が挙げられ、特に非塩素系のアクリル樹脂が環境汚染を生じない点から好ましい。前記非粒子状滑剤を含まない樹脂層には、非粒子状滑剤以外の添加剤、例えば、シリカ粒子(SiO2、粒径:0.3〜1.2μm)、アクリルビーズ(粒径:0.3〜1.2μm)などの添加剤を、樹脂重量100%に対して0.01〜0.5%程度含ませてもよい。
【0019】
前記非粒子状滑剤を含まない樹脂層の形成は、前記樹脂と、非粒子状滑剤以外の適宜の添加剤を、IPA、エタノール、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチルエステル、MEK、THF(テトラヒドロフラン)、アセトン等の有機溶剤に溶解して得た樹脂塗料を、再生セルロースフィルムの一側に塗布し、乾燥させることによって形成される。有機溶剤は1種類に限らず、複数種類の混合溶剤でもよい。また、樹脂塗料中の樹脂固形分比(対樹脂塗料重量比)は6〜18%程度、塗布量は、乾燥樹脂重量で0.6〜4.0g/m2となるようにするのが好適である。
【0020】
さらに、前記非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面に対し、公知のコロナ処理をを施せば、水性グラビア印刷インキによる印刷性がより向上する。コロナ処理により、非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面のぬれ性を380μN〜500μNとすれば、水性グラビア印刷インキによる印刷性が一層向上する。なお、前記ぬれ性の値は、JISK6768「ポリエステル及びポリプロピレンフィルムのぬれ試験方法」にしたがって表面のぬれ張力を測定した値である。
【0021】
前記再生セルロースフィルムの他側の樹脂層については、前記の定義からなる非粒子状滑剤(石油系ワックス等)を含むものとされる。その乾燥樹脂層の厚みは適宜とされるが、0.8μm〜2.0μmが好適である。前記非粒子状滑剤を含む樹脂層を、前記非粒子状滑剤を含まない樹脂層の反対側に設けることにより、再生セルロースフィルムにおける印刷面(非粒子状滑剤を含まない樹脂層)とは反対側の面に対して防湿性、滑り性等の付与、向上を図ることができる。非粒子状滑剤を含む樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂などの改質用樹脂(特に非塩素系のアクリル樹脂が環境汚染を生じ難い点で好ましい。)に前記非粒子状滑剤が配合されたものが挙げられる。その他、適宜の添加剤を含有させてもよい。
【0022】
前記非粒子状滑剤を含む樹脂層の形成は、非粒子状滑剤、樹脂及び適宜配合される添加剤を、IPA、エタノール、トルエン、酢酸エチルエステル、MEK、THF、アセトン等の有機溶剤に溶解して得た樹脂塗料を、再生セルロースフィルムに塗布し、乾燥させることによって形成される。その際、樹脂塗料における非粒子状滑剤の含量は、樹脂重量100%に対して0.1〜5.0%が好適である。その際の塗布量は、乾燥樹脂重量で0.6〜4.0g/m2が好適である。
【0023】
前記のように、非粒子状滑剤無添加樹脂層/再生セルロースフィルム/非粒子状滑剤添加樹脂層の3層構造とすれば、フィルム巻き取り時の耐ブロッキング性、滑り性のみならず、包装材としたときの耐水性、防湿性、滑り性、耐ブロッキング適性及びヒートシール性と、前記グラビア印刷適性、ラミネート適性とを満足することができる。
【0024】
また、前記非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面には、前記ノントルエンインキや水性グラビア印刷インキによる公知の印刷方法により、所望のグラビア印刷が施される。さらに、その印刷面には、ガスバリア性やシーラント性等の付与や向上等を目的として、適宜PEやPP等のプラスチックフィルムがラミネートされることもある。厚みは10μm〜40μmが好ましい。
【0025】
【実施例】
次に本発明の実施例を示す。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施例及び表1の測定結果に示す数値は、以下の測定法により測定したものである。
【0026】
(1)印刷適性(水性グラビア印刷適性)
再生セルロースフィルムに樹脂層が積層された再生セルロースフィルム積層体に対し、参考例及び実施例1については一側の非粒子状滑剤を含まない樹脂層を、実施例2についてはコロナ処理の施された非粒子状滑剤を含まない樹脂層を、比較例についてはいずれか一側面を、RK Print−Coat Instruments,Ltd.製グラビア印刷校正機にてロール圧力目盛り5.00mm、ドクターブレード圧力目盛り7.16mm、版深20μm、印刷速度50m/minの条件で印刷し、インキのはじき具合を顕微鏡(75倍)観察して、水性グラビア印刷適性を評価した。使用したインキは、東洋インキ製造株式会社製の水性グラビア印刷インキ;アクワエコールをそのまま用いた。評価の結果、インキをはじいていない場合○印、はじいている場合×印で示した。
【0027】
(2)ブロッキング
再生セルロースフィルム積層体の表裏(一側と他側)を重ね合わせ、温度40℃、湿度90%、圧力9.8×104Paで24時間放置後、前記表裏を反対側へ引っ張り、剥がれ難さの程度によりブロッキング程度を判定した。評価の結果、抵抗なく剥がれ、再生セルロースフィルム表面の被覆樹脂層に表面破壊が見られない場合○印、剥がす際に抵抗があり、前記被覆樹脂層に白化や剥離などの破壊がある場合×印で示した。
【0028】
(3)透湿度(防湿性)
再生セルロースフィルム積層体に対し、JISZ0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」にしたがって透湿度を測定した。
【0029】
(4)ぬれ性
JISK6768「ポリエチレン及びポリプロピレンフィルムのぬれ試験方法」にしたがって、実施例1については非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面に対し、実施例2についてはコロナ処理の施された非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面に対し、比較例についてはいずれか一側表面に対し、覆樹脂層表面のぬれ張力を測定した。
【0030】
(5)インキ密着性
印刷面に幅12mmの再生セルロースフィルムテープをゴムローラーで強く押しつけて接着させた後、再生セルロースフィルムテープを90度の角度で剥がし、印刷面からインキが剥がれるか否かを観察した。評価結果は、剥がれない場合○、剥がれる場合×印で示した。
【0031】
〔参考例〕
・樹脂塗料の調製
次の方法で非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料を調製した。すなわち、アクリル樹脂(ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体)9600部に、粒子状滑剤としてシリカ(商品名:アエロジル#200、日本アエロジル社製)6部、有機溶剤として酢酸ブチル5900部とトルエン12000部を溶解機に入れ、60℃〜100℃で2〜4時間撹拌し、非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料を得た。
【0032】
・樹脂層の積層
厚み20μmの再生セルロースフィルム(商品名:PUT、二村化学工業社製)をライン速度90〜120m/minで供給し、その再生セルロースフィルムの両側面に前記非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料をディッピングにより付着させ、ドクターロール方式により両面それぞれの塗料付着量が4〜6g/m2となるように調製した。次いで、スムージングロールにより塗料付着面を平滑にし、その直後に乾燥機に通して90〜140℃の熱風を吹きかけ、塗料中の溶剤を蒸発させることにより、再生セルロースフィルムの両面に非粒子状滑剤を含まない樹脂層を厚み0.8〜1.2μm程度で形成した。さらにその後、調湿機に通し、蒸気を再生セルロースフィルムの両側に吹きかけて再生セルロースフィルムに水分を含有させ、水分含有量を適性値である7〜9重量%にし、その後に巻き取り機で巻き取って参考例の再生セルロースフィルム積層体を得た。
【0033】
前記参考例の再生セルロースフィルム積層体に対し、前記測定を行った結果は、表1に示す通り、印刷適性が良好であり、水性グラビア印刷インキにより良好に印刷できることが確認できた。
【0034】
【表1】
【0035】
〔実施例1〕
・樹脂塗料の調製
非粒子状滑剤を含む樹脂塗料を次のようにして調製した。アクリル樹脂(ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体)9600部に、非粒子状滑剤として石油系ワックス(商品名:135°パラフィン、日本石油社製)76部、添加剤としてロジンエステル60部と粒子状滑材としてシリカ(商品名:アエロジル#200、日本アエロジル社製)6部、有機溶剤として酢酸ブチル5900部とトルエン12000部を溶解機に入れ、60℃〜100℃で2〜4時間撹拌し、非粒子状滑剤を含む樹脂塗料を得た。非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料については、参考例と同様にして調製した。
【0036】
・樹脂層の積層
参考例と同じ再生セルロースフィルムをライン速度90〜120m/minで供給し、その再生セルロースフィルムの一側面に前記非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料をキスコートにより付着させ、同時にその反対側面を、バットに収容された前記非粒子状滑剤を含む樹脂塗料に接触させ、再生セルロースフィルムの両面それぞれに対しドクターロール方式により塗料付着量が4〜6g/m2となるように調製した。次いで、スムージングロールにより両面の塗料付着面を平滑にし、その直後に乾燥機に通して90〜140℃の熱風を吹きかけ、塗料中の溶剤を蒸発させることにより、再生セルロースフィルムの一側面に非粒子状滑剤を含まない樹脂層を厚み0.8〜1.2μm程度で形成するとともに、反対側面に非粒子状滑剤を含む樹脂層を厚み0.8〜1.2μm程度で形成した。さらにその後、調湿機に通し、蒸気を再生セルロースフィルムの両側に吹きかけて再生セルロースフィルムに水分を含有させ、水分含有量を適性値である7〜9重量%にし、その後に巻き取り機で巻き取って実施例1の再生セルロースフィルム積層体を得た。
【0037】
このようにして得られた実施例1の再生セルロースフィルム積層体に対し、前記の測定を行った結果は、表1に示す通り、印刷適性、耐ブロッキング性、透湿度(防湿性)のいずれも良好であった。
【0038】
〔実施例2〕
実施例1のようにして得られた再生セルロースフィルム積層体に対し、スリッター機に据え付けられたコロナ処理装置(春日電機社製、AGI−080)を用いて、非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面に3.1KWでコロナ処理を施し、100〜300m/minで巻き取って実施例2の再生セルロースフィルム積層体を得た。
【0039】
前記実施例2の再生セルロースフィルム積層体に対し、前記測定を行った結果は、表1に示す通り、印刷適性、耐ブロッキング性、透湿度(防湿性)のいずれも良好であり、加えてぬれ性も良好であり、さらにインキ密着性については特に良好であった。
【0040】
〔実施例3〕
実施例1の再生セルロースフィルム積層体における非粒子状滑材を含まない樹脂層表面に対し、RK Print−Coat Instruments,Ltd.製グラビア印刷校正機にてロール圧力目盛り5.00mm、ドクターブレード圧力目盛り7.16mm、版深20μm、印刷速度50m/minの条件で印刷し、その印刷面に厚み20μmのPEフィルムをラミネートし、実施例3の再生セルロースフィルム積層体を得た。このようにして得られた実施例3の再生セルロースフィルム積層体は、良好な印刷面を有しており、しかも印刷面が傷付き難いものであった。
【0041】
〔実施例4〕
実施例2の再生セルロースフィルム積層体におけるコロナ処理された非粒子状滑材を含まない樹脂層表面に対し、実施例3と同様の印刷及びPEフィルムのラミネートを行い、実施例4の再生セルロースフィルム積層体を得た。このようにして得られた実施例4の再生セルロースフィルム積層体は、良好な印刷面を有しており、しかも印刷面が傷付き難いものであった。
【0042】
〔比較例1〕
・樹脂塗料の調製
アクリル樹脂(ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体)9600部に、非粒子状滑剤として石油系ワックス(商品名:135°パラフィン、日本石油社製)76部、添加剤としてロジンエステル60部と粒子状滑剤としてシリカ(商品名:アエロジル#200、日本アエロジル社製)6部、有機溶剤として酢酸ブチル5900部とトルエン12000部を溶解機に入れ、80℃で2時間撹拌し、非粒子状滑剤を含む樹脂塗料を得た。
【0043】
・樹脂層の積層
参考例における樹脂層の積層と同様にして、再生セルロースフィルムの両面に非粒子状滑剤を含む樹脂層を形成して比較例1の再生セルロースフィルム積層体を得た。その比較例1に対して前記の測定を行った。その結果は表1に示す通り、印刷適性、ぬれ性、インキ密着性のいずれも劣っていた。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明に係る再生セルロースフィルム積層体によれば、再生セルロースフィルムの一側表面に非粒子状滑剤無添加樹脂層を有し、他側表面に非粒子状滑剤添加樹脂層を有する3層構造の複合フィルムであって、前記非粒子状滑剤無添加樹脂層は、アクリル樹脂と、シリカ粒子とを有してなる非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料から形成され、前記非粒子状滑剤添加樹脂層は、アクリル樹脂と、シリカ粒子と、ワックスとを有してなる非粒子状滑剤を含む樹脂塗料から形成され、前記非粒子状滑剤無添加樹脂層は、ノントルエングラビア印刷インキ又は水性グラビア印刷インキによるグラビア印刷が施される印刷面であるため、印刷面に対して水性グラビア印刷インキによる印刷を良好に行うことができ、装飾性や宣伝表示等が必要とされる用途に好適である。また、従来のような溶剤を用いるグラビアインキ印刷を行わなくてもよいため、環境保護に優れている。
【0045】
さらに、水性グラビア印刷インキによる印刷性に優れるのみならず、印刷面とは反対側表面が、非粒子状滑材を含む樹脂層(非粒子状滑剤添加樹脂層)で積層されているため、防湿性及び耐ブロッキング性に優れており、包装材のように防湿性の求められる用途にも好適である。
【0046】
請求項3の発明に係る再生セルロースフィルム積層体によれば、印刷面となる非粒子状滑剤を含まない樹脂層表面(非粒子状滑剤無添加樹脂層の表面)が、コロナ処理によりぬれ性の高いものとなっているため、水性グラビア印刷インキによる印刷適性が一層優れたものになる。
【0047】
さらに、コロナ処理により樹脂層(非粒子状滑剤無添加樹脂層)の表面ぬれ性がJISK6768に準拠した測定において380μN〜500μNと高くなっているため、水性グラビア印刷インキによる印刷適性が極めて優れたものになる。
Claims (3)
- 再生セルロースフィルムの一側表面に非粒子状滑剤無添加樹脂層を有し、他側表面に非粒子状滑剤添加樹脂層を有する3層構造の複合フィルムであって、
前記非粒子状滑剤無添加樹脂層は、アクリル樹脂と、シリカ粒子とを有してなる非粒子状滑剤を含まない樹脂塗料から形成され、
前記非粒子状滑剤添加樹脂層は、アクリル樹脂と、シリカ粒子と、ワックスとを有してなる非粒子状滑剤を含む樹脂塗料から形成され、
前記非粒子状滑剤無添加樹脂層は、ノントルエングラビア印刷インキ又は水性グラビア印刷インキによるグラビア印刷が施される印刷面であることを特徴とする再生セルロースフィルム積層体。 - 前記アクリル樹脂が、ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸共重合体である請求項1に記載の再生セルロースフィルム積層体。
- 前記非粒子状滑剤無添加樹脂層である印刷面にコロナ処理が施され、前記コロナ処理が施された印刷面の表面ぬれ性が、JISK6768に準拠した測定において380μN〜500μNである請求項1又は2に記載の再生セルロースフィルム積層体。
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