JP4061710B2 - 横置き搭載エンジンのカバー構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に横置き搭載されるエンジンの動弁系カム軸や補機等をタイミングベルトを介してクランク軸により駆動するベルト伝動機構を、クランク軸方向一端側にあるフロントカバー内に収容するようにしたカバー構造に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の横置き搭載エンジンのカバー構造として、例えば特開平8−326550号公報に開示されるように、クランク軸が車両の左右方向に延びるように横置き搭載されたディーゼルエンジンの車両左右方向一端側に、エンジンを支持するためのエンジンマウント部材を囲むように配置された略環状の収容空間を有するフロントカバーを設け、該収容空間にベルト伝動機構を収容したものが知られている。
【0003】
このものでは、上記ベルト伝動機構、即ち動弁系カム軸上のカムプーリ、該カムプーリに隣り合わせに配置された燃料噴射ポンプ(補機)のポンププーリ、及びこれら各プーリをクランクプーリに駆動連結するタイミングベルト等が上記収容空間に略密封状態で収容されているので、それらタイミングベルトやプーリの雨水等の付着によるて劣化が早まったり、歯飛びが発生したりすることを防止できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、その反面、上記従来のカバー構造では、フロントカバー内の収容空間が略密封状態であるので、該収容空間にエンジンからの熱やタイミングベルト等の発熱による熱がこもってその雰囲気温度が高くなり易く、そのため、タイミングベルト等の熱劣化が早まって、ベルト伝動機構の信頼性が損なわれる虞れがある。特に、ディーゼルエンジンでは、燃料吐出圧の高い燃料噴射ポンプの駆動負荷が大きいので、タイミングベルト等の熱劣化による不具合が著しい。
【0005】
これに対し、収容空間の容積を大きくしたりフロントカバーに冷却用フィンを設けたりして、収容空間の温度上昇を緩和することも考えられるが、この場合にはフロントカバーの外形寸法の増大は避けらない。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベルト伝動機構を収容するフロントカバーの形状や構造に工夫を凝らすことで、該フロントカバーの外形寸法を増大させることなく、収容空間の温度上昇を抑制を抑制して、ベルト伝動機構の信頼性維持を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の解決手段では、車両に横置き搭載されるエンジンでは、ベルト伝動機構を収容するフロントカバーにエンジンマウント部材を囲む環状の内周側壁部が設けられていることに着目し、その内周側壁部に換気用の開口部を設けた。
【0008】
具体的には、請求項1記載の発明では、クランク軸が車両の左右方向に延びるように横置き搭載されたエンジンの上記クランク軸方向一端側に、エンジンを支持するためのエンジンマウント部材と、該エンジンマウント部材を囲むように配置された略環状の収容空間を内部に有するフロントカバーとが設けられ、上記収容空間に、クランク軸上のタイミングプーリからなるクランクプーリと、動弁系カム軸上のタイミングプーリからなるカムプーリと、補機の入力軸上のタイミングプーリからなる補機プーリと、これらの各プーリを駆動連結するタイミングベルトとが収容されている横置き搭載エンジンのカバー構造を前提とする。
【0009】
そして、上記フロントカバーのエンジンマウント部材側である内周側には、エンジンのクランク軸方向に略平行に延びる内周側壁部が形成され、該内周側壁部のうち、上記エンジンマウント部材よりも車両後側において上記カムプーリ又は補機プーリのいずれか一方に近接しかつ上下方向に延びる部分に、上記収容空間に外気を導入するための換気用開口部が設けられており、少なくとも上記換気用開口部をフロントカバー上方から覆う上方カバー部材が設けられている構成とする。
【0010】
この構成によれば、フロントカバーの内周側壁部に設けた換気用開口部によりタイミングベルトやタイミングプーリを収容する収容空間に外気を導入できるので、フロントカバーの外形寸法を増大させることなく、収容空間における上記タイミングベルトやプーリからなるベルト伝動機構の雰囲気温度の上昇を抑えることができ、よって、温度上昇に伴うベルト伝動機構の信頼性低下を防止できる。
【0011】
また、上記換気用開口部が内周側壁部のうちの上下方向に延びる部分に設けられており、しかもその上方に上方カバー部材が設けられているので、例えば車両のボンネットフードから滴下する雨水等の液滴が上記換気用開口部に侵入することを防止できる。よって、雨水等の付着によるタイミングベルト等の早期劣化や歯飛びの発生が防止される。
【0012】
特にこの構成では、フロントカバーの換気用開口部、エンジンマウント部材よりも車両後側の内周側壁部に設けているので、車両の走行に伴い車両前側から車両後側へ流れる走行風が換気用開口部に効率良く導入される一方、該走行風に乗って移動する空気中の液滴はエンジンマウント部材よりも車両前側のフロントカバーにより遮られ、上記換気用開口部には入らない。よって、空気中の液滴の侵入を抑制しつつ収容空間に十分に外気を導入できる。
【0013】
請求項記載の発明では、請求項1に記載の発明における補機は燃料噴射ポンプであり、該燃料噴射ポンプの入力軸上の補機プーリがエンジンマウント部材よりも車両前側に位置する一方、カムプーリは上記エンジンマウント部材よりも車両後側に位置しており、上方カバー部材は上記燃料噴射ポンプ及び該燃料噴射ポンプに接続された燃料供給管の上方を覆って設けられている。
【0014】
このことで、ベルト伝動機構は高圧燃料を吐出する燃料噴射ポンプを駆動するものなので、タイミングベルトやプーリに大きな負担がかかり易い。従って、このような場合に、収容空間の温度上昇を抑えて、ベルト伝動機構の信頼性低下を防止することが極めて有効になる。
【0015】
また、上方カバー部材が車両前側に位置する燃料噴射ポンプ上方を覆うように設けられているので、該上方カバー部材によって車両前側の斜め上方からの雨水等の侵入を低減できる。しかも、上記上方カバー部材は燃料噴射ポンプ及び燃料供給管を覆うものなので、車外へ漏れるエンジン騒音の低減が図られる。
【0016】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、カム軸及びカムプーリ若しくは燃料噴射ポンプの入力軸及び該入力軸上の補機プーリの少なくとも一方に、上記カム軸又はポンプ入力軸の角速度変動を減衰させるねじりダンパを設けるものとする。
【0017】
すなわち、一般に、ねじりダンパは、カム軸等の角速度変動が共振により過大になることを効果的に防止できるように、ベルト伝動機構全体の固有振動数に対応してチューニングされるものである。従って、収容空間の雰囲気温度の上昇に伴いタイミングベルトの硬度等が変化してベルト伝動機構の固有振動数が変わると、ねじりダンパによる角速度変動低減効果が狙い通り十分に得られないという不具合が生じる。従って、本発明の如くねじりダンパが設けられたものにおいては、収容空間に外気を導入してベルト伝動機構の雰囲気温度の上昇を抑制することにより、上記の不具合をも抑制できる。
【0018】
請求項記載の発明では、請求項に記載の発明におけるフロントカバーの上面は車両後側から車両前側に向かって徐々に低くなるように形成され、換気用開口部よりも車両前側の上方カバー部材には、上記フロントカバー上方を車両左右方向に少なくとも含む範囲に壁部が垂設されているものとする。
【0019】
このことで、車両前側から車両後側へ流れる走行風に乗って移動する空気中の液滴は、換気用開口部よりも車両前側に垂設された壁部により遮られるので、上記換気用開口部への侵入が抑制される。
【0020】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明におけるフロントカバーは、エンジンのシリンダヘッドからシリンダヘッドカバーに跨って設けられ、換気用開口部よりも車両前側におけるシリンダヘッドカバーと該シリンダヘッドカバーよりもエンジン前側のフロントカバーとの間に、換気用開口部へ外気を導入する外気導入経路が設けられていて、該外気導入経路の途中には、他の部分よりも経路断面積が小さい堰部が設けられており、上方カバー部材ーは、上記外気導入経路の上方を覆うように設けられているものとする。
【0021】
このことで、走行風はシリンダヘッドカバーとフロントカバーとの間の外気導入経路を車両前側から車両後側へ流れ、途中の堰部により流れが絞られて、一旦、流速が上がり、上記堰部を過ぎて再び流速が低下する。そして、その流速の低下時に、走行風に乗って移動してきた空気中の液滴が分離されるので、液滴を殆ど含まない外気が換気用開口部へ導かれる。
【0022】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、シリンダヘッドカバー上面の車両前側が車両後側よりも低く形成されており、上記シリンダヘッドカバー上面に、エンジンへのオイル注入孔よりも車両後側から該オイル注入孔のフロントカバー側を通って堰部よりも車両前側の部分に亘る起立状の土手部が突設されているものとする。
【0023】
このことで、シリンダヘッドカバー上面の例えば雨水やオイル補給時にこぼれたオイル等は、土手部で落下を阻止されて車両後側から車両前側に流れ、必ず堰部よりも車両前側から下方に落下する。すなわち、上記シリンダヘッドカバー上面の液滴が堰部よりも車両後側でフロントカバー側へ直接落下することを防止でき、そのことによって、雨水やオイル等の換気用開口部への上部からの侵入を防止できる。
【0024】
請求項記載の発明では、請求項1記載の発明におけるフロントカバーは、エンジン前面に重合されかつ内周側壁部が一体的に形成された主壁部を有し、上記内周側壁部には、その収容空間に臨む面に付着している液滴を上記主壁部へ導く液滴ガイド部が設けられているものとする。
【0025】
すなわち、一般に、エンジン停止後の収容空間では、温度低下に伴い空気中の水蒸気が液化して結露し、その水滴が内周側壁部から落下してタイミングベルトやプーリに直接付着することがある。そこで、この発明では、上記内周側壁部の収容空間に臨む面に、その面に付着している液滴を主壁部へ導く液滴ガイド部を設け、上述の如く結露により生じた水滴を内周側壁部から主壁部に導いて該主壁部伝いに下方に流すことで、水滴のタイミングベルト等への付着を防止できる。
【0026】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明における液滴ガイド部は、クランクプーリの略真上でかつ内周側壁部の下端部に設けられており、上記クランクプーリの幅方向両端部には鍔部が設けられているものとする。
【0027】
すなわち、一般に、横置き搭載エンジンでは、慣性主軸マウントによるアイドル振動の低減のためにエンジンマウント部材がクランク軸上方のエンジン前端面に配設されているので、上記エンジンマウント部材を囲む内周側壁部の下端部はクランクプーリの略真上に位置することが多い。また、上記内周側壁部の収容空間に臨む面に付着した液滴は該内周側壁部の下端部に集まるので、そこに液滴ガイドが設けられていなければ、液滴は下方のクランクプーリに直接落下して、該クランクプーリの歯部と鍔部との間に溜まることが考えられる。その結果、特に寒冷地では、エンジンが再始動されるまでに溜まった液が凍結してしまい、クランクプーリとタイミングベルトとの間の歯飛びを誘発する虞れがある。従って、特にこのような場合に、液滴ガイドにより液滴のクランクプーリへの落下を防止できることが極めて有効になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
(エンジンの全体構成)
図2及び図3は、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンEの外観を示す。このエンジンEは、図6にも示すように、シリンダブロック1の上面にシリンダヘッド2が取り付けられて一体とされ、その内部に、上記シリンダブロック1に支持されたクランク軸3の延びる前後方向(図3の上下方向)に沿って、図示しない4つのシリンダ(気筒)が形成された直列4気筒エンジンである。また、上記エンジンEは、クランク軸3が図示しない車両の左右方向に延びるように横置き搭載されるものである。
【0029】
尚、この明細書では、説明の便宜のために上記シリンダブロック1の長手方向、即ちクランク軸3の延びる方向をエンジンEの前後方向とし、図3における下側をエンジンEの前側と呼び、反対側(図3の上側)をエンジンEの後側と呼ぶ。また、上記エンジンEの前後方向に直交する左右方向(図2及び図3における左右方向)において、上記エンジンEの前側を向いて右側(図2及び図3における左側)をエンジンEの右側と呼び、反対側(図2及び図3の右側)をエンジンEの左側と呼ぶこととする。
【0030】
上記エンジンEの前端には、クランク軸3の回転に同期してカム軸4(図4参照)や燃料噴射ポンプ5(図7参照)等を駆動する後述のベルト伝動機構A(図1参照)が配設されており、該ベルト伝動機構Aは、図2に示すように、シリンダブロック1の前端面に重合されて配設された鋼板製のシールプレート6と、該シールプレート6に締結されたアッパーカバー7及びロアカバー8からなる樹脂製のベルトカバーとを備えたフロントカバーC内の収容空間に収容されている。また、上記クランク軸3の前端部にはVプーリ9が取り付けられ、このVプーリ9と、オルタネータ10の入力軸に設けたVプーリ10aと、図示しない空調装置用コンプレッサの入力軸に設けたVプーリ11とが2本のVベルト12により駆動連結されている。さらに、上記シリンダブロック1の前端面には、図示しないエンジンマウントに連結される連結部材13が4本のボルト14,14,…により取り付けられている。このエンジンマウント部材13は、慣性主軸マウントによるアイドル振動の低減のために、エンジン前端面におけるクランク軸3の略真上に配設されている。
【0031】
また、上記シリンダヘッド2の上面には、図3に示すようにシリンダヘッドカバー18が設けられ、さらに、該シリンダヘッドカバー18の一部と、燃料噴射ポンプ5及び該燃料噴射ポンプ5からの燃料供給管19とを覆う樹脂製の遮音カバー(上方カバー部材)20が設けられている。この遮音カバー20は、図2に示すように、フロントカバーCの上方で車両のボンネットラインBに沿うように車両後側から車両前側に向かって徐々に低くなっている。
【0032】
尚、上記図2において、22はシリンダブロック1の下面に取り付けられたオイルパン、23はターボ過給機、24はオイルフィルタであり、25は一端(図の左端)がシリンダヘッド2に接続される一方、他端が図示しないラジエータに接続されるウオータアウトレットホースである。また、上記図3において、26はカム軸4により駆動されるバキュームポンプである。
(シリンダヘッドの構成)
上記エンジンEは、いわゆるSOHC( Single Over Head Cam )型エンジンであり、図示しないが、リンダヘッド2の左右方向中央部よりも左側に偏位した位置において、4つのシリンダが前後方向に所定間隔で配置されている。一方、図4及び図5に示すように、上記シリンダヘッド2の右側(両図の左側)に偏位した位置、即ちエンジンEの車載状態で上記シリンダの中心線よりも車両後側の位置には、カム軸4が前後方向に延びるように、かつ軸心位置がシリンダヘッド上面と略同一高さになるように配置されていて、互いに所定間隔を空けて配置された6つの軸受部28,28,…により回動自在に支持されている。
【0033】
上記シリンダヘッド2は、各シリンダを周方向等間隔に4カ所で囲むように配置されたヘッドボルト29,29,…によりシリンダブロック1に締結されており、上記各シリンダ中心線に対応する位置には、噴射ノズル30,30,…がそれぞれ噴孔を燃焼室に直接臨ませて、かつ上記シリンダ中心線に沿って延びるように配設されている。また、該噴射ノズル30,30,…をそれぞれ取り囲むように、各シリンダ毎に2つの吸気バルブ31,31及び2つの排気バルブ32,32が配設されている。そして、上記吸気バルブ及び排気バルブ31,32,…は、それぞれ、カム軸4に設けられた吸気用カム4a,4a,…及び排気用カム4b,4b,…により、ロッカーアーム33,33,…を介して開閉されるようになっている。
【0034】
詳しくは、上記図5のみに示すように、排気用ロッカーアーム33は、それぞれ、カム軸4の斜め上方に平行に支持されたロッカーシャフト34に揺動可能に支持されていて、一端部に設けられたカムローラ33aを介してカム軸4の排気用カム4bに摺接する一方、他端部に設けられた押接ボルト33bを介して略T字形状の押接部材35に当接している。一方、上記カム軸4の前端部には、図1に示すようにカムプーリ36が取り付けられていて、このカムプーリ36と、クランク軸3の前端側に取り付けたクランクプーリ37と、燃料噴射ポンプ5の入力軸5aに取り付けたポンププーリ38とが、内周側に歯部を有するタイミングベルト39により駆動連結されて、ベルト伝動機構Aが構成されている。
【0035】
そして、上記クランク軸3の回転に同期してカム軸4が回転されると、排気用カム4b,4b,…により排気用ロッカーアーム33,33,…が各シリンダ毎に所定のタイミングで揺動され、押接ボルト33bが押接部材35を押し下げることで、2つの排気バルブ32,32がクランク軸3の回転に同期して開閉作動される。また、詳しくは示さないが、吸気バルブ31,31,…も上記排気バルブ32,32,…と同様に開閉作動される。このように、1本のカム軸4によりロッカーアーム33,33,…を介して多数のバルブを開閉作動させる構成なので、このエンジンEでは上記カム軸4へのバルブ反力が大きくなり、これに伴い、カム軸4を駆動するタイミングベルト39に加わる駆動負荷も極めて大きくなる。
(燃料噴射ポンプの取付け構造)
上記燃料噴射ポンプ5は、図6及び図7に示すように、エンジンEの左側、即ち車載状態でシリンダ中心線よりも車両前側において、エンジン左右方向から見て少なくとも一部分がシリンダヘッド2に重なるように配置され、シリンダブロック1及びシリンダヘッド2に跨って取り付けられたブラケット41によりエンジン側に固定されている。
【0036】
すなわち、上記ブラケット41は、上記シリンダブロック1及びシリンダヘッド2の左側面に沿って後方に延びるフランジ部42が4本のボルト43,43,…によりシリンダブロック1の左側面に締結され、かつ1本のボルト44によりシリンダヘッド2の左側面に締結されており、また、該フランジ部42の前端部からシリンダブロック1の前端面に沿って延びる連結部42aが、エンジンマウントの連結部材13と共にボルト14によりシリンダブロック1前端面に締結されている。さらに、上記ブラケット41には、フランジ部42の前端部からシリンダブロック1前端面と略同一平面内で反対側に延びる取付けフランジ部46が一体的に形成されている。
【0037】
そして、上記燃料噴射ポンプ5は、入力軸5aが上記取付けフランジ部46の孔部46aを貫通し、かつ該入力軸5aの軸心位置がちょうどシリンダブロック1及びシリンダヘッド2の合わせ面の高さになるように、上記取付けフランジ部46にボルトにより取り付けられている。この燃料噴射ポンプ5は、図示しないが、1つのプランジャの作動により各シリンダ毎の噴射ノズル30に個別に燃料を供給する分配型のもので、4つのカム山によりそれぞれプランジャを往復動させるカムと、該プランジャからの燃料を分配して、燃料供給管19,19,…により噴射ノズル30,30,…に個別に送給する分配器とを備えている。そして、上記入力軸5aはクランク軸3の回転に同期して回転され、その1回転する間に各シリンダ毎の所定の燃料噴射タイミングで合計4回プランジャが作動されて、送給される燃料の圧力によって噴射ノズル30,30,…が開き、各燃焼室に高圧の燃料が直接噴射される。上記燃料噴射ポンプ5の吐出圧力は例えば70MPa以上と極めて高く設定されているので、プランジャを作動させる入力軸5aの駆動負荷は極めて大きくなる。
(ベルト伝動機構の構成)
上記ベルト伝動機構Aにおいて、図1に示すように、タイミングベルト39はそれぞれタイミングプーリからなるカムプーリ36、クランクプーリ37及びポンププーリ38の他、ウオータポンプ(図示せず)を駆動するウオータポンププーリ53に巻掛けられるとともに、オートテンショナ51のテンショナプーリ54及びアイドラプーリ55によりベルト内周側に指向されたレイアウトとされている。そして、クランク軸3が同図における時計回り方向に回転すると、上記カムプーリ36、クランクプーリ37、ポンププーリ38、及びウオータポンププーリ53が時計回り方向に回転され、同時に、上記テンショナプーリ54及びアイドラプーリ55が反時計回り方向に回転される。
【0038】
上記カムプーリ36は、張力が相対的に小さい緩み側スパン(図1の左側)のタイミングベルト39が進入するように配置されており、該緩み側スパンの途中にウオータポンププーリ53及びテンショナプーリ54が配置されている。また、上記カムプーリ36は、ピッチ円の直径がクランクプーリ37の2倍の長さとされ、図8及び図9に示すように、内周側で回転軸の軸線x1が延びる方向に突出した円筒状のボス部36aが設けられる一方、外周側には、タイミングベルト39の歯部と噛み合う歯部が全周に亘って形成されている。
【0039】
さらに、上記カムプーリ36の外周側には、軸線x1方向の両端部にそれぞれ鍔部36b,36bが設けられ、タイミングベルト39のベルト幅方向への移動が規制されている。すなわち、一般に、シリンダヘッド2とシリンダブロック1の間には組み付け誤差によりエンジン前後方向の位置ずれがあるので、カムプーリ36とクランクプーリ37との間にも位置ずれが生じている。そこで、この実施形態では、上記カムプーリ36に鍔部36b、36bを設けるとともに、クランクプーリ37にも同様の鍔部を設け、エンジンEの上下方向に互いに離れた2カ所で、鍔部によりタイミングベルト39のベルト幅方向の移動を規制している。このことにより、走行中のタイミングベルト39の各プーリ36,37、38からのずれを効果的に抑制できるようになっている。
【0040】
また、上記カムプーリ36のボス部36aには、先端側から環状のねじりダンパ50が外嵌合状態で圧入され、カムプーリ36及びねじりダンパ50が一体回転して、カム軸4の角速度変動を減衰させるようになっている。このねじりダンパ50は、外周側のマス部材50aと内周側のスリーブ50bとその間の制震ゴム50cとを一体的に加硫接着したもので、マス部材50aの重量及び制震ゴム50cの振動吸収特性の設定により、ベルト伝動機構Aの固有振動数に対応した所要の減衰特性が得られるものである。例えば、上記ねじりダンパ50の重量はカムプーリ36の単体としての重量と略同一にすればよい。
【0041】
尚、上記カムプーリ36には、軸線x1方向に貫通する2つの貫通孔36c,36cが直径方向に互いに対称位置に形成され、一方、上記ねじりダンパ50にも、上記カムプーリ36の貫通孔36c,36cに対応する位置に貫通孔50d,50d,…が形成されていて、作業者がカムプーリ36をカム軸4へ取り付ける際、上記貫通孔50d,36cを通してシリンダヘッド2側に記された合わせマーク(図示せず)を確認できるようになっている。
【0042】
一方、上記ポンププーリ38は、張り側スパン(図1の右側)のタイミングベルト39が進出するように配置されており、カムプーリ36と同様にピッチ円の直径がクランクプーリ37の2倍の長さとされているが、鍔部が設けられていない分だけ全体としてカムプーリ36よりも小径になっている。また、上記ポンププーリ38の重量は、本来、略同径のカムプーリ36単体の重量と同程度になるところを、この実施形態では、該カムプーリ36単体の約2倍の重量として、イナーシャ(回転慣性)の増大によりポンププーリ38の角速度変動を減少させている。
【0043】
上記オートテンショナ51は、図10及び図11にも示すように、タイミングベルト39の緩み側スパンにベルト外周側から係合するテンショナプーリ54と、該テンショナプーリ54をエンジン前側(回転軸の軸線方向の一側)から回転自在に片持ち支持し、かつ回動軸51aの周りに回動させる回動アーム56とを備えており、シリンダブロック1側に締結固定された油圧シリンダ57により、上記回動アーム56を上記タイミングベルト39側に回動付勢するようになっている。
【0044】
すなわち、上記油圧シリンダ57は、シリンダボディ57aに進退可能に設けられたピストンロッド57bにより回動アーム56に連結されていて、図示しないが、上記シリンダボディ57aの内部に配設したコイルバネにより上記ピストンロッド57bを伸び側に移動させるようになっている。この油圧シリンダ57により、上記テンショナプーリ54がタイミングベルト39の動きに追随して該タイミングベルト39を押圧し、その張力を常時調整する。また、上記油圧シリンダ57は、シリンダボディ57a内に圧油の流通抵抗によりピストンロッド57bの縮み側への移動を規制する油圧ダンパ構造を備えており、回動アーム56及びテンショナプーリ54を介して伝達されるタイミングベルト39からの反力を減衰するようになっている。
【0045】
さらに、上記オートテンショナ51は、テンショナプーリ54を回動アーム56によりエンジン前側(図11の上方側)から片持ち支持する構造としているので、両持ち支持する構造に比べて全体としてコンパクトになっている。尚、テンショナプーリ54に作用するベルト反力により回動アーム56が揺動されて上記テンショナプーリ54が回動軸51aの延びる方向に変位することで、タイミングベルト39がベルト幅方向にずれることが考えられるが、上述の如くカムプーリ36に鍔部36b,36bを設けているので、タイミングベルト39のずれに起因する走行不良等は発生しない。
(フロントカバーの構成)
この実施形態では、上記のベルト伝動機構Aが収容される収容空間の温度上昇を抑制するために、フロントカバーCに換気用開口部を形成している。以下、このフロントカバーCの構成について、図1及び図12〜図21に基づいて詳細に説明する。
【0046】
図1に示すように、フロントカバーCは、主に、シリンダブロック1からシリンダヘッド2、シリンダヘッドカバー18及び燃料噴射ポンプ5のブラケット41に跨って(図6参照)配設されたシールプレート6と、該シールプレート6よりも下側のシリンダブロック1を覆い、中央部にクランク軸3が貫通する貫通孔が形成されたシリンダブロックカバー62と、上記シールプレート6に締結されるアッパーカバー7と(図2及び図3参照)、上記シールプレート6及びシリンダブロックカバー62に締結されるびロアカバー8とにより構成されている。
【0047】
上記シールプレート6は、図12〜14の各図にも示すように鋼製の薄板をプレス成形したもので、シリンダブロック1等の前端面に重合される主壁部63と、タイミングベルト39の外周を囲むように上記主壁部63からエンジン前後方向に延びる外周側壁部64と、上記主壁部63の略中央部において、エンジンマウント連結部材13を囲んでエンジン前後方向に延びる環状の内周側壁部65とにより構成されている。
【0048】
また、上記シールプレート6には、シリンダブロック1に直接締結される第1締結部6aと、カムプーリ36の近傍に位置する外周側壁部64においてシリンダヘッドカバー18のフロントカバー部18aに締結される第2締結部6bと、燃料噴射ポンプ5のブラケット41に締結される第3締結部6c及び第4締結部6dとが設けられている。すなわち、シールプレート6は、上記第1締結部6aにおいてボルト66によりシリンダブロック1に直接取り付けられており、このことで、シールプレート6とシリンダブロック1との間のクリアランスを最小限度のものとし、かつシールプレート6のシリンダブロック1に対する位置精度を極めて高くすることができる。
【0049】
一方、上記第2、第3及び第4締結部においては、上記シールプレート6は図15に示すようにボルト66によりラバーマウント67を介して取り付けられている。すなわち、シールプレート6は、シリンダブロック1との間で組み付け誤差による位置ずれがあるシリンダヘッドカバー18やブラケット41に対して、ラバーマウント67を介して取り付けられているので、このラバーマウント67により上記の組み付け誤差に起因する位置ずれが吸収され、組み付け状態でのシールプレート6の歪みが低減される。このことで、カムプーリ36やポンププーリ38のシールプレート6に対するクリアランスを極めて小さくすることができ、そのことによって、エンジン前後方向の寸法低減が図られる。
【0050】
上記シールプレート6の主壁部63には、ポンププーリ38に対応する部位に該ポンププーリ38よりもやや小径の略円形の孔部63aが形成され、その孔部63aの略中心位置を燃料噴射ポンプ5の入力軸5aが貫通している。同様に、ウオータポンププーリ53に対応する部位に該ウオータポンププーリ53よりも大径の円形孔部63bが形成され、その孔部63bの略中心位置ををウオータポンプの入力軸が貫通している。また、上記主壁部63のカムプーリ36に対応する部位は上方に開口するように切り欠かれていて、図16及び図17に示すように、シリンダヘッドカバー18のフロントカバー部18aが上記切欠部63cに対応して配置されて、フロントカバーCの一部分を構成している。
【0051】
上記シールプレート6の外周側壁部64は、主壁部63の切欠部63cを境に、ポンププーリ38側とカムプーリ36側とに2つに分けられている。また、上記外周側壁部64の主壁部63からの突出高さは場所により異なっている。すなわち、図13に示すように、ポンププーリ38の略真上から外周を囲んでシールプレート6の下端部に至る部分では、外周側壁部64はその前端部がポンププーリ38の前端面と略同一位置まで延びていて、該ポンププーリ38をエンジン前後方向について覆うように高く形成されている。一方、図13、図14及び図17に示すように、上記外周側壁部64は、カムプーリ36の周囲からポンプ側へかけての所定部分が、該カムプーリ36及びタイミングベルト39が殆ど露出するように前後方向に低く形成されており、また、この部分に対応して、上記図17に仮想線で示すようにアッパーカバー7側の側壁部7aが前後方向に深く形成されている。このことで、上記アッパーカバー7を取り外すだけで、カムプーリ36の周囲からポンプ側へかけてタイミングベルト39を露出させ、容易に点検することができる。
【0052】
上記内周側壁部65は、図1及び図12に示すように、カムプーリ36及びポンププーリ38の近傍ではそれぞれ各プーリ36,38に沿って湾曲するように形成されていて、図16及び図17にも示すように、上記カムプーリ36に近接して上下方向に延びる部分に、収容空間に外気を導入するための換気用開口部69が設けられている。また、上記図17に示すように、上記換気用開口部69よりも車両前側(図の右側)のシリンダヘッドカバー18とシールプレート6との間には、所定寸法の間隔が設けられていて、車両前側(同図の右側)からの走行風を換気用開口部69へ導入する経路(外気導入経路)Wとされている。すなわち、車両の走行に伴い車両前側から車両後側に流れる走行風は、上記図16及び図17に矢印で示すように、シールプレート6及びシリンダヘッドカバー18の間の外気導入経路Wを通って換気用開口部69に至り、該換気用開口部69から収容空間に導入される。一方、収容空間の空気は、カムプーリ36下方の主壁部63に形成された孔部63dから外部へ排出される。
【0053】
上記換気用開口部69は、図18にも示すように内周側壁部65から主壁部63に亘って形成されており、カムプーリ36に近接して、その鍔部36bを包含するように位置している。すなわち、上記換気用開口部69の近傍のシリンダヘッド2には、ウオータアウトレットホース25(図1参照)の一端部が接続される座面2a(図16のみに示す)が形成されており、この座面2と上記カムプーリ36との間の間隔が極めて狭い。そのため、上記換気用開口部69を設けない場合には、上記カムプーリ36及びウオータアウトレットホース25の間でそれらのいずれかに内周側壁部65が接触して、騒音や振動を発生することが懸念される。これに対し、上述の如く極めて間隔の狭いカムプーリ36及びウオータアウトレットホース25間において、内周側壁部65に開口部が形成されていることで、上記の振動騒音の発生が確実に回避される。
【0054】
また、シリンダヘッドカバー18をシリンダヘッド2に締結するボルト70が上記換気用開口部69に対応する部分に配設されており、図19に示すように、上記シリンダヘッドカバー18及びシリンダヘッド2のちょうど換気用開口部69に対応する部分がシールプレート6側に突出していて、ボルト孔の形成されるボス部71とされている。一方、上記換気用開口部69の直上のシリンダヘッドカバー18は削られていていて、ボルト70が露出している。つまり、シールプレート6側に突出する上記ボス部71を換気用開口部69内に納める一方、その真上のボス部71を削って、シールプレート6をシリンダヘッドカバー18に可及的に近接配置しており、このことで、エンジン前後方向の寸法短縮が図られている。
【0055】
上記内周側壁部65の下端部はクランクプーリ38の略真上に位置しており、図20に示すように、内周側壁部65の収容空間に臨む面から主壁部63へ液滴を導く液滴ガイド部65aが設けられている。すなわち、フロントカバーC内の収容空間では、エンジン停止後の温度低下に伴い空気中の水蒸気が結露し、上記内周側壁部65の面にも水滴が付着する。そして、その水滴は内周側壁部65の下端部から上記液滴ガイド部65aに導かれて主壁部63に至り、その後、該主壁部63伝いに下方に流れて、シリンダブロックカバー62との接合部分から外部に排出されるので、タイミングベルト39やクランクプーリ37等に付着することはない。
【0056】
上記換気用開口部69及びエンジンマウント連結部材13の上方では、フロントカバーCは上方から遮音カバー20により覆われている。この遮音カバー20は図21及び図22にも示すように樹脂の射出成形により形成されたもので、シリンダヘッドカバー18の上面を覆う車両後側の部分(図22の左側の部分)には、噴射ノズル30,30,…の位置に対応して上方に突出する円形の凸部20a,20a,…が形成されている。一方、反対に車両前側の部分では、エンジン前側(同図の下側)の略半分が車両前側に延びて、その部分の下方に燃料噴射ポンプ5及び燃料供給管19が覆われていて、車外へ漏れるエンジン騒音が低下するようになっている。
【0057】
また、上記遮音カバー20は、上記換気用開口部69及びエンジンマウント連結部材13の上方、即ち換気用開口部69上方の車両前側を覆っていて、ボンネットフードB(図2参照)から滴下する雨水等が上記換気用開口部69に入らないようにしている。さらに、上記遮音カバー20は、シールプレート6の外周側壁部64の高さが変化している部分でその上方を覆っており、これは、上記外周側壁部64の高さが変化している部分では、シールプレート6とアッパカバー7との間のシール性がやや低下することから、そのシール性の低下を補って、収容空間への液滴の侵入を確実に防止するためである。
【0058】
また、上記遮音カバー20の外周縁部には上下方向に延びる壁部20bが一体的に形成され、さらに、換気用開口部69よりも車両前側の所定位置においては、車両の左右方向に上記フロントカバーCを含む範囲で上下方向に延びる壁部20cが上記壁部20bに繋がるように設けられている。この壁部20cは、車両前側から車両後側へ流れる走行風に乗って移動する空気中の液滴を遮って、上記換気用開口部69への車両前側からの液滴の侵入を抑制するものである。
【0059】
上記図16及び図17に示すように、遮音カバー20下方のシリンダヘッドカバー18とシールプレート6との間の外気導入経路Wには、シリンダヘッドカバー18からシールプレート6側に突出して、走行風の経路断面積を他の部分よりも小さくさせる板状の堰部72が設けられている。すなわち、車両の走行に伴い上記外気導入経路Wを車両後側へ流れる走行風は、上記堰部72により絞られて、一旦、流速が上がり、該堰部72を過ぎて再び流速が低下する。その際、走行風に乗って移動してきた空気中の水滴、油滴及び砂等が分離され、換気用開口部69には、液滴等を殆ど含まない外気が導入される。
【0060】
上記シリンダヘッドカバー18の上面は、車両後側のオイル注入孔74の周囲をから車両前側にかけて徐々に低くなるように形成されており、一方、該シリンダヘッドカバー18上面のエンジン前端縁には、上記オイル注入孔74の車両後側からエンジン前側を囲んで堰部72よりも車両前側の部分に亘る起立状の土手部75が形成されている。この土手部75により、例えばシリンダヘッドカバー18上面に溜まった雨水や補給時にこぼれたオイル等のエンジン前端縁からの落下を阻止され、雨水等の液滴はシリンダヘッドカバー18上を車両後側から車両前側に流れて、必ず上記堰部72よりも車両前側で下方に落下するようになっている。
【0061】
(実施形態の作用効果)
したがって、この実施形態に係るエンジンのカバー構造によれば、エンジンマウント連結部材13を囲むシールプレート6の内周側壁部65のうち、該エンジンマウント連結部材13よりも車両後側で上下方向に延びる部分に換気用開口部69を設けたので、車両の走行に伴い車両前側から車両後側へ流れる走行風により、上記換気用開口部69から収容空間に効率よく外気を導入できる。このことで、フロントカバーCの外形寸法を増大させることなく、収容空間におけるタイミングベルト39やプーリ36,37,38,53、及びウオータポンプのベアリング(図示せず)の温度上昇を抑えて、ベルト伝動機構Aの信頼性低下を防止できる。
【0062】
また、上記換気用開口部69が内周側壁部65のうちの上下方向に延びる部分に設けられており、かつその上方を覆うように遮音カバー20が設けられているので、例えば車両のボンネットフードBから滴下する雨水等の換気用開口部69への侵入が防止される。しかも、上記遮音カバー20に設けた壁部20b,20cと、シリンダヘッドカバー18に設けた堰部72とにより、空気中の液滴が車両前側から上記換気用開口部69に侵入することを抑制できる上、上記シリンダヘッドカバー18の上面に設けた土手部75により、該シリンダヘッドカバー18の上面に溜まった雨水やオイル等が上記換気用開口部69へ上方から侵入することが阻止できる。つまり、フロントカバーCに換気用開口部69を設けて外気を導入していても、該換気用開口部69への液滴の侵入を抑制して、液滴の付着に起因するタイミングベルト39やプーリ36,37,38,53の早期劣化を防止できる。
【0063】
特に、この実施形態に係るディーゼルエンジンEでは、動弁系カム軸4の駆動負荷が比較的大きい上、燃料噴射ポンプ5の駆動負荷も大きいので、タイミングベルト39やプーリ36,37,38,53、及びウオータポンプのベアリングに大きな負担がかかり易い。従って、上記タイミングベルト39等への液滴の付着を防止しつつ、収容空間の温度上昇を抑えることは、ベルト伝動機構Aの信頼性維持の上で極めて有効である。
【0064】
また、上記ベルト伝動機構Aには、該ベルト伝動機構Aに固有の共振周波数に対応してチューニングしたねじりダンパ50が用いられているので、収容空間の温度変化によりタイミングベルト39の硬度が変化すると、共振周波数の変化によって上記ねじりダンパ50の機能が低下するという不具合が生じる。しかして、この不具合は、収容空間に外気を導入して温度上昇を抑制することにより抑制できるので、この点においても本発明は有効である。
【0065】
さらに、この実施形態によれば、収容空間に侵入した雨水等の僅かな液滴や結露による水滴をシールプレート6の内周側壁部65に設けた液滴ガイド部65aにより上記シールプレート6の主壁部63伝いに下方へ流して、タイミングベルト39やプーリ36,37,38に付着させずに外部に排出できるので、液滴の付着によるベルト伝動機構Aの信頼性低下を一層確実に防止できる。
【0066】
特に、上記内周側壁分65の下端部はクランクプーリ37の略真上に位置しているので、上記液滴ガイド部65aがなければ、水滴が下方のクランクプーリ37に直接落下して、該クランクプーリの歯部と鍔部との間に溜まってしまい、例えば寒冷地等ではエンジンが再始動されるまでに凍結して、クランクプーリ37とタイミングベルト39との間の歯飛びの原因になることが考えられる。しかし、この実施形態では、上述の如く液滴ガイド部65aが設けられているので、上記の不具合を確実に防止できる。
【0067】
尚、この実施形態では、本発明を直接噴射式ディーゼルエンジンEに適用しているが、これに限らず、例えば副室式ディーゼルエンジンやガソリンエンジンにも適用できる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における横置き搭載エンジンのカバー構造によれば、ベルト伝動機構を収容するフロントカバーのエンジンマウント部材側の内周側壁部のうち、上下方向に延びる部分に換気用開口部を設けるとともに、該換気用開口部の上方を覆う上方カバー部材を設けることで、上記換気用開口部への雨水等の侵入を防止しつつ、収容空間に外気を導入できる。よって、フロントカバーの外形寸法を増大させることなく、収容空間の温度上昇を抑えることができ、ベルト伝動機構の信頼性を維持できる。
【0069】
特に、上記換気用開口部を、エンジンマウント部材よりも車両後側の内周側壁部に設けているので、空気中の液滴の侵入を抑制しつつ、車両の走行に伴う走行風を換気用開口部に効率良く導入できる。
【0070】
請求項記載の発明では、タイミングベルトやプーリに大きな負担がかかるものにおいて、収容空間の温度上昇を抑えることの効果が極めて有効になる。また、上方カバー部材により、車両前側の斜め上方からの雨水等の侵入を低減でき、しかも、車外へ漏れるエンジン騒音の低減が図られる。
【0071】
請求項記載の発明では、外気の導入により収容空間の温度上昇を抑制することで、温度変化に伴うねじりダンパの機能低下を防止できる。
【0072】
請求項記載の発明によれば、上方カバー部材に設けた壁部により、車両前側から換気用開口部への液滴の侵入を抑制できる。
【0073】
請求項記載の発明によれば、車両前側から外気導入経路を経て換気用開口部に至る液滴の侵入を、上記経路に設けた堰部により抑制できる。
【0074】
請求項記載の発明によれば、シリンダヘッド上面の雨水やオイルが上方から換気用開口部へ侵入することを、該シリンダヘッドカバー上面に設けた土手部によって防止できる。
【0075】
請求項記載の発明によれば、内周側壁部の収容空間に臨む面に付着した液滴を、液滴ガイド部によりタイミングベルトやプーリに付着させずに外部へ排出できる。
【0076】
請求項記載の発明にでは、内周側壁部の下端部の略真下にクランクプーリが位置している場合において、液滴ガイド部の効果が極めて有効になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る横置き搭載エンジンのカバー構造を示す正面図である。
【図2】 図1のカバー構造を適用したエンジンの正面図である。
【図3】 図2の平面図である。
【図4】 ロッカーシャフト等を省略した状態でシリンダヘッドの構成を示す正面図である。
【図5】 ロッカーアームにより排気バルブを開閉作動させる構成を示す説明図である。
【図6】 燃料噴射ポンプのブラケットをエンジン側へ取り付ける構成を示す正面図である。
【図7】 図6の左側面図である。
【図8】 カムプーリ及びねじりダンパの構成を示す正面図である。
【図9】 図8の IX-IX 線における断面図である。
【図10】 オートテンショナの構成を示す正面図である。
【図11】 図10の XI-XI 線における断面図である。
【図12】 シールプレートの構成を示す正面図である。
【図13】 図12の平面図である。
【図14】 図12の右側面図である。
【図15】 ラバーマウントの構成を示す断面図である。
【図16】 シリンダヘッドカバー及びシールプレートの配置構成、並びに上記シールプレートの換気用開口部への走行風の導入状態を示す正面図である。
【図17】 図16の平面図である。
【図18】 換気用開口部の構成を示す、図16のXVIII-XVIII線における断面図である。
【図19】 換気用開口部とボス部との位置関係を示す、図16のXIX-XIX線における断面図である。
【図20】 液滴ガイド部の構成を示す、図12のXX-XX線における断面図である。
【図21】 遮音カバーの構成を示す正面図である。
【図22】 図21の平面図である。
【符号の説明】
A ベルト伝動機構
C フロントカバー
E ディーゼルエンジン
W 外気導入経路
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
3 クランク軸
4 動弁系カム軸
5 燃料噴射ポンプ
5a 燃料噴射ポンプの入力軸
6 シールプレート(フロントカバー)
7 アッパーカバー(フロントカバー)
8 ロアカバー(フロントカバー)
13 エンジンマウント連結部材
18 シリンダヘッドカバー
19 燃料供給管
20 遮音カバー(上方カバー部材)
20c 遮音カバー壁部
36 カムプーリ
37 クランクプーリ(
38 ポンププーリ(補機プーリ)
39 タイミングベルト
50 ねじりダンパ
62 シリンダブロックカバー(フロントカバー)
63 主壁部
65 内周側壁部
65a 液滴ガイド部
69 換気用開口部
72 堰部
75 土手部

Claims (8)

  1. クランク軸が車両の左右方向に延びるように横置き搭載されたエンジンの上記クランク軸方向一端側に、エンジンを支持するためのエンジンマウント部材と、該エンジンマウント部材を囲むように配置された略環状の収容空間を内部に有するフロントカバーとが設けられ、上記収容空間に、クランク軸上のタイミングプーリからなるクランクプーリと、動弁系カム軸上のタイミングプーリからなるカムプーリと、補機の入力軸上のタイミングプーリからなる補機プーリと、これらの各プーリを駆動連結するタイミングベルトとが収容されている横置き搭載エンジンのカバー構造において、
    上記フロントカバーのエンジンマウント部材側である内周側には、エンジンのクランク軸方向に略平行に延びる内周側壁部が形成され、該内周側壁部のうち、上記エンジンマウント部材よりも車両後側において上記カムプーリ又は補機プーリのいずれか一方に近接しかつ上下方向に延びる部分に、上記収容空間に外気を導入するための換気用開口部が設けられており、
    少なくとも上記換気用開口部をフロントカバー上方から覆う上方カバー部材が設けられていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  2. 請求項1において、
    補機は燃料噴射ポンプであり、該燃料噴射ポンプの入力軸上の補機プーリがエンジンマウント部材よりも車両前側に位置する一方、
    カムプーリは上記エンジンマウント部材よりも車両後側に位置しており、
    上方カバー部材は、上記燃料噴射ポンプ及び該燃料噴射ポンプに接続された燃料供給管の上方を覆って設けられていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  3. 請求項2において、
    カム軸及びカムプーリ若しくは燃料噴射ポンプの入力軸及び該入力軸上の補機プーリの少なくとも一方には、上記カム軸又はポンプ入力軸の角速度変動を減衰させるねじりダンパが設けられていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  4. 請求項において、
    フロントカバーの上面は車両後側から車両前側に向かって徐々に低くなるように形成され、
    換気用開口部よりも車両前側の上方カバー部材には、上記フロントカバー上方を車両左右方向に少なくとも含む範囲に壁部が垂設されていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  5. 請求項において、
    フロントカバーはエンジンのシリンダヘッドからシリンダヘッドカバーに跨って設けられ、換気用開口部よりも車両前側におけるシリンダヘッドカバーと該シリンダヘッドカバーよりもエンジン前側のフロントカバーとの間に、換気用開口部へ外気を導入する外気導入経路が設けられていて、
    上記外気導入経路の途中には、他の部分よりも経路断面積が小さい堰部が設けられており、
    上方カバー部材ーは、上記外気導入経路の上方を覆うように設けられていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  6. 請求項において、
    シリンダヘッドカバー上面の車両前側が車両後側よりも低く形成されており、
    上記シリンダヘッドカバー上面に、エンジンへのオイル注入孔よりも車両後側から該オイル注入孔のフロントカバー側を通って堰部よりも車両前側の部分に亘る起立状の土手部が突設されていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  7. 請求項において、
    フロントカバーは、エンジン前面に重合されかつ内周側壁部が一体的に形成された主壁部を有し、
    上記内周側壁部には、その収容空間に臨む面に付着している液滴を上記主壁部へ導く液滴ガイド部が設けられていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造。
  8. 請求項において、
    液滴ガイド部は、クランクプーリの略真上でかつ内周側壁部の下端部に設けられており、
    上記クランクプーリの幅方向両端部には鍔部が設けられていることを特徴とする横置き搭載エンジンのカバー構造
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