JP4061632B2 - 画像信号処理装置および方法、学習装置および方法、並びに記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像信号処理装置および方法、学習装置および方法、並びに記録媒体に関し、特に、例えば、NTSC(National Television System Committee)方式のテレビジョン信号などのコンポジット信号を、YUV信号などのコンポーネント信号に変換する画像信号処理装置および方法、学習装置および方法、並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、NTSC方式のテレビジョン信号は、輝度信号(Y)に、色信号(C)(I成分およびQ成分)を直交変調して多重化したもの、すなわち、Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、およびY+Q信号の4種類の位相を持った信号となっており、したがって、テレビジョン信号を受信して画像を表示する場合には、テレビジョン信号から輝度信号と色信号とを分離し(Y/C分離し)、さらに、マトリクス変換して、YUV信号などのコンポーネント信号にする必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のY/C分離では、例えば、注目画素の輝度信号や色信号を、その注目画素の近傍に位置する画素(注目画素も含む)のコンポジット信号と、固定のフィルタ係数とを用いた演算を行うことにより求めていた。このため、注目画素にとって、係数が適切でない場合には、ドット妨害やクロスカラーなどが生じ、画質が劣化する課題があった。
【0004】
また、従来のY/C分離では、上述した4種類の位相、それぞれに対応したフィルタ係数等を設定する必要があり、フィルタ係数を用いた演算を行う回路の規模が大きくなる課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、異なる位相において、同じフィルタ係数を用いることにより、装置の規模を小さくすることができるようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の画像信号処理装置は、注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出手段と、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶する予測係数のうちの検出手段が検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて注目画素のコンポーネント信号を演算する演算手段と、検出手段が検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、演算手段で演算された注目画素のコンポーネント信号を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項6に記載の画像信号処理方法は、注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶ステップと、記憶ステップで記憶する予測係数のうちの検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて注目画素のコンポーネント信号を演算する演算ステップと、検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、演算ステップで演算された注目画素のコンポーネント信号を補正する補正ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の記録媒体は、注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶ステップと、記憶ステップで記憶する予測係数のうちの検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて注目画素のコンポーネント信号を演算する演算ステップと、検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、演算ステップで演算された注目画素のコンポーネント信号を補正する補正ステップとを含む処理を画像信号処理装置のコンピュータに実行させるプログラムが記録されていることを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の学習装置は、学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換手段と、変換手段で変換された注目画素の学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出手段と、検出手段が検出した注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、学習用のコンポーネント信号を補正する補正手段と、学習用のコンポジット信号と予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、補正手段が補正した学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする予測係数を求めるための演算を行う演算手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項12に記載の学習方法は、学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換ステップと、変換ステップで変換された注目画素の学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、検出ステップで検出した注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、学習用のコンポーネント信号を補正する補正ステップと、学習用のコンポジット信号と予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、補正ステップで補正した学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする予測係数を求めるための演算を行う演算ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項13に記載の記録媒体は、学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換ステップと、変換ステップで変換された注目画素の学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、検出ステップで検出した注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、学習用のコンポーネント信号を補正する補正ステップと、学習用のコンポジット信号と予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、補正ステップで補正した学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする予測係数を求めるための演算を行う演算ステップとを含む処理を学習装置のコンピュータに実行させるプログラムが記録されていることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の画像信号処理装置、請求項6に記載の画像信号処理方法、および請求項7に記載の記録媒体に記録されているプログラムにおいては、注目画素のコンポジット信号の4種類の位相が検出され、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数が記憶されて、記憶された予測係数のうちの検出された注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて注目画素のコンポーネント信号が演算される。さらに、検出された注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、演算された注目画素のコンポーネント信号が補正される。
【0013】
請求項8に記載の学習装置、請求項12に記載の学習方法、および請求項13に記載の記録媒体に記録されているプログラムにおいては、学習用のコンポーネント信号が学習用のコンポジット信号に変換され、変換された注目画素の学習用のコンポジット信号の4種類の位相が検出され、検出された注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、学習用のコンポーネント信号が補正されて、学習用のコンポジット信号と予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、補正された学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする予測係数を求めるための演算が行われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明するが、その前に、特許請求の範囲に記載の発明の各手段と以下の実施の形態との対応関係を明らかにするために、各手段の後の括弧内に、対応する実施の形態(但し、一例)を付加して、本発明の特徴を記述すると、次のようになる。但し、勿論この記載は、各手段を上記したものに限定することを意味するものではない。
【0015】
請求項1に記載の画像信号処理装置は、注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出手段(例えば、図2の制御回路14)と、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶手段(例えば、図2の予測係数メモリ部13)と、記憶手段が記憶する予測係数のうちの検出手段が検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて注目画素のコンポーネント信号を演算する演算手段(例えば、図2の演算回路16)と、検出手段が検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、演算手段で演算された注目画素のコンポーネント信号を補正する補正手段(例えば、図2の符号反転回路17)とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の画像信号処理装置は、注目画素の空間的および時間的な特徴に基づいて、注目画素をクラス分類するクラス分類手段(例えば、図2のクラス分類回路12)をさらに備え、記憶手段は、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数をクラス毎に記憶することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の学習装置は、学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換手段(例えば、図6のNTSCエンコーダ22)と、変換手段で変換された注目画素の学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出手段(例えば、図6の制御手段24)と、検出手段が検出した注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、学習用のコンポーネント信号を補正する補正手段(例えば、図6の符号反転回路25)と、学習用のコンポジット信号と予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、補正手段が補正した学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする予測係数を求めるための演算を行う演算手段(例えば、図6の演算回路27A)とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の学習装置は、注目画素の空間的および時間的な特徴に基づいて、注目画素をクラス分類するクラス分類手段(例えば、図6のクラス分類回路23)をさらに備え、演算手段は、コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数をクラス毎に演算することを特徴とする。
【0019】
図1は、本発明を適用したテレビジョン受像機の構成例を示している。チューナ1は、図示せぬアンテナで受信されたNTSC方式のテレビジョン信号を、検波、復調し、コンポジット信号としての画像信号(以下、適宜、NTSC信号という)を、A/D変換器2に供給するとともに、音声信号を、増幅器5に供給するようになされている。A/D変換器2は、チューナ1から入力されたNTSC信号を、所定のタイミングでサンプリングし、これにより、いわゆるY−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、およびY+Q信号を、順次出力するようになされている。A/D変換器2が出力するディジタルのNTSC信号(Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、およびY+Q信号)は、コンポーネント信号変換回路3に供給されるようになされている。ここで、例えば、Y−I信号の位相を0度とすると、Y−Q信号、Y+I信号、Y+Q信号は、位相が、それぞれ90度、180度、270度の信号となる。
【0020】
コンポーネント信号変換回路3は、そこに入力されるNTSC信号のうち、注目画素のNTSC信号と、その注目画素と空間的または時間的に近接する画素のNTSC信号とに基づいて、注目画素を所定のクラスに分類するクラス分類を行い、その注目画素のクラスに対応する予測係数(後述)を用いて演算を行うことにより、注目画素のコンポーネント信号としての、例えば、YUV信号を求めるようになされている。コンポーネント信号変換回路3で求められたY,U,Vの各信号は、CRT(Cathode Ray Tube)4に供給されるようになされている。CRT4は、コンポーネント信号変換回路3から入力されたYUV信号に対応した画像を表示するようになされている。
【0021】
増幅器5は、チューナ1から入力された音声信号を増幅し、スピーカ6に供給するようになされている。スピーカ6は、増幅器5から入力された音声信号を再生するようになされている。
【0022】
以上のように構成されるテレビジョン受像機では、ユーザが図示せぬリモートコマンダを操作して、所定のチャンネルを選択すると、チューナ1において、そのチャンネルに対応するテレビジョン信号が、検波、復調され、そのうちの画像信号であるNTSC信号がA/D変換器2に、音声信号が増幅器5に、それぞれ供給される。A/D変換器2では、チューナ1から入力されたNTSC信号がA/D変換され、コンポーネント信号変換回路3に供給される。コンポーネント信号変換回路3では、A/D変換器2から入力されたNTSC信号が、上述したようにYUV信号に変換され、CRT4に供給されて表示される。一方、増幅器5では、チューナ1から入力された音声信号が増幅され、スピーカ6に供給されて出力される。
【0023】
図2は、図1のコンポーネント信号変換回路3の詳細な構成例を示している。A/D変換器2から入力されたNTSC信号は、フィールドメモリ11に供給されるようになされている。フィールドメモリ11は、制御回路14の制御に従い、供給されたNTSC信号を記憶し、また、記憶したNTSC信号を所定のフィールド枚数分だけ読み出し、クラス分類回路12および予測タップ形成回路15に供給するようになされている。
【0024】
クラス分類回路12は、フィールドメモリ11から供給された時間的に前後する所定の枚数のNTSC信号を用いて、注目画素の空間的または時間的な特徴を検出して、その特徴に基づいて注目画素のクラス分類を行い、その注目画素のクラスを、予測係数メモリ部13に供給するようになされている。
【0025】
予測係数メモリ部13は、Y±Iメモリ13A、およびY±Qメモリ13Bから構成されており、それぞれには、クラス分類回路12が出力する注目画素のクラスが、アドレスとして供給されるとともに、制御回路14が出力するCS(Chip Select)信号が供給されるようになされている。Y±Iメモリ13A、およびY±Qメモリ13Bは、注目画素のNTSC信号をYUV信号に変換する演算に用いるクラス毎の予測係数を記憶している。
【0026】
図3は、NTSC信号の所定のフィールドを構成する画素を示している。図3において、○印は位相が0度の信号であるY−I信号を、□印は位相が90度の信号であるY−Q信号を、●印は位相が180度の信号であるY+I信号を、■印は位相が270度の信号であるY+Q信号を、それぞれ示している。図3では、水平方向には、Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、Y+Q信号が繰り返し配置され、垂直方向には、Y−I信号とY+I信号とが交互に配置された列と、Y−Q信号とY+Q信号とが交互に配置された列が、交互に配置されている。
【0027】
図2に戻る。Y±Iメモリ13A、およびY±Qメモリ13B(以下、適宜、メモリ13A,13Bとも記述する)は、Y+I信号、またはY+Q信号をYUV信号に変換するために用いるクラス毎の予測係数を、それぞれ記憶している。そして、メモリ13A,13Bのうちの制御回路17から入力されたCS信号によって選択されるものが記憶しているクラス毎の予測係数の中の、クラス分類回路12から入力された注目画素のクラスに対応するものが、そこから読み出され、演算回路16に供給されるようになされている。
【0028】
なお、メモリ13A,13Bそれぞれにおいては、クラス毎の予測係数として、NTSC信号をY,U,Vの各信号に変換するために用いる、Y,U,Vそれぞれ用の予測係数のセットが記憶されている。
【0029】
制御回路14は、フィールドメモリ11に対する読み書きを制御するようになされている。すなわち、制御回路14は、フィールドメモリ11に既に記憶されているフィールドを注目フィールドとして各種の制御を行い、その注目フィールドに対する処理が終了すると、その次のフィールドを、新たに注目フィールドとする。さらに、いままで注目フィールドとされていたフィールドに替えて、フィールドメモリ11に新たに供給されるフィールドを記憶させる。さらに、制御回路14は、注目フィールドを構成する画素を、例えば、ラインスキャン順に、順次、注目画素とし、その注目画素の処理に必要な画素を、フィールドメモリ11から読み出させ、クラス分類回路12、および予測タップ形成回路15に供給する。
【0030】
また、制御回路14は、注目画素のNTSC信号の位相に基づくCS信号を、予測係数メモリ部13および符号反転回路17に出力して、予測係数メモリ部13にはメモリ13A,13Bのうちの注目画素の位相に対応するものを選択させ、符号反転回路17には注目画素の位相に対応して符号反転処理(後述)を実行させる。
【0031】
すなわち、制御回路14は、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、およびY+I信号のとき、Y±Iメモリ13Aを選択させ、Y−Q信号、およびY+Q信号のとき、Y±Qメモリ13Bを選択させるCS信号を、予測係数メモリ部13に供給するようになされている。
【0032】
予測タップ形成回路15には、フィールドメモリ11から読み出された画素が供給されるようになされており、予測タップ形成回路15は、その画素から、注目画素のNTSC信号を、YUV信号に変換するために用いる予測タップを形成し、演算回路16に供給するようになされている。
【0033】
すなわち、例えば、予測タップ形成回路15は、図4(A)に示す注目フィールドの画素aが注目画素のとき、注目フィールドの注目画素aの上下左右にそれぞれ隣接する画素b乃至e、注目画素の左上、右上、左下、右下にそれぞれ隣接する画素f乃至i、注目画素の左隣の画素dの左隣の画素j、および注目画素の右隣の画素eの右隣の画素k、並びに図4(B)に示す注目フィールドの2フィールド前のフィールドにおいて、画素a乃至kと対応する位置にある画素a’乃至k’を予測タップとし、演算回路16に供給するようになされている。
【0034】
演算回路16は、予測係数メモリ部13から供給される予測係数と、予測タップ形成回路15から供給される予測タップとを用いて演算を行うことにより、注目画素のYUV信号を算出するようになされている。すなわち、上述したように、演算回路16に対しては、予測係数メモリ部13から、注目画素のNTSC信号を、Y,U,Vの各信号に変換するために用いる、Y,U,Vそれぞれ用の予測係数のセットが供給されるとともに、予測タップ形成回路15から、注目画素について形成された予測タップ(図4)が供給されるようになされている。そして、予測タップを構成する画素を、図4で説明したように、画素a乃至kおよび画素a’乃至k’とするとともに、Y信号用の予測係数を、wYa乃至wYkおよびwYA乃至wYKとし、U信号用の予測係数を、wUa乃至wUkおよびwUA乃至wUKとし、V信号用の予測係数を、wVa乃至wVkおよびwVA乃至wVKとして、演算回路16は、次のような線形一次式にしたがって、注目画素のY,U,Vの各信号を算出する。
【0035】
【0036】
なお、wYoffset、wUoffset、およびwVoffsetは、NTSC信号とYUV信号との間のバイアスの違いを補正するためのオフセット値(定数項)であり、この定数項wYoffset、wUoffset、およびwVoffsetも、Y,U,Vそれぞれ用の予測係数のセットに含まれる。
【0037】
ここで、上述のように、演算回路16において、注目画素のクラスに対応した係数(予測係数)を用いて行う処理、すなわち、注目画素の性質(特性)に応じた予測係数を適応的に用いて行う処理は、適応処理と呼ばれる。以下、この適応処理について、簡単に説明する。
【0038】
例えば、いま、注目画素のコンポーネント信号yの予測値E[y]を、その注目画素と空間的または時間的に近接する位置にある画素(注目画素も含む)のコンポジット信号(以下、適宜、学習データという)x1,x2,・・・と、所定の予測係数w1,w2,・・・の線形結合により規定される線形1次結合モデルにより求めることを考える。この場合、予測値E[y]は、次式で表すことができる。
【0039】
E[y]=w1x1+w2x2+・・・・・・(2)
【0040】
そこで、一般化するために、予測係数wの集合でなる行列W、学習データの集合でなる行列X、および予測値E[y]の集合でなる行列Y’を、
【数1】
で定義すると、次のような観測方程式が成立する。
【0041】
XW=Y’・・・(3)
【0042】
そして、この観測方程式に最小自乗法を適用して、注目画素のコンポーネント信号yに近い予測値E[y]を求めることを考える。この場合、教師データとなる注目画素の真のコンポーネント信号yの集合でなる行列Y(上述した輝度信号Yとは異なる)、およびコンポーネント信号yに対する予測値E[y]の残差eの集合でなる行列Eを、
【数2】
で定義すると、式(3)から、次のような残差方程式が成立する。
【0043】
XW=Y+E・・・(4)
【0044】
この場合、コンポーネント信号yに近い予測値E[y]を求めるための予測係数wiは、自乗誤差
【数3】
を最小にすることで求めることができる。
【0045】
したがって、上述の自乗誤差を予測係数wiで微分したものが0になる場合、すなわち、次式を満たす予測係数wiが、コンポーネント信号yに近い予測値E[y]を求めるため最適値ということになる。
【0046】
【数4】
・・・(5)
【0047】
そこで、まず、式(4)を、予測係数wiで微分することにより、次式が成立する。
【0048】
【数5】
・・・(6)
【0049】
式(5)および式(6)より、式(7)が得られる。
【0050】
【数6】
・・・(7)
【0051】
さらに、式(4)の残差方程式における学習データx、予測係数w、教師データy、および残差eの関係を考慮すると、式(7)から、次のような正規方程式を得ることができる。
【0052】
【数7】
・・・(8)
【0053】
式(8)の正規方程式は、求めるべき予測係数wの数と同じ数だけたてることができる。したがって、式(8)を解くことにより(但し、式(8)を解くには、式(8)において、予測係数wにかかる係数で構成される行列が正則である必要がある)、最適な予測係数wを求めることができる。なお、式(8)を解くにあたっては、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを適用することが可能である。
【0054】
以上のようにして、最適な予測係数wを求め、さらに、その予測係数wを用い、式(2)により、コンポーネント信号yに近い予測値E[y]を求める処理が適応処理である(但し、あらかじめ予測係数wを求めておき、その予測係数wから、予測値を求める処理も、適応処理に含まれる)。
【0055】
なお、本実施の形態においては、上述したように、予測係数の中に、定数項wYoffset、wUoffset、およびwVoffsetが含まれるが、この定数項は、上述の手法を拡張し、式(8)に対応する正規方程式を解くことで求めることができる。
【0056】
図2の予測係数メモリ部13のY±Iメモリ13AおよびY±Qメモリ13Bには、後述するような学習によって、式(8)の正規方程式をたてて解くことにより求められるクラス毎の予測係数であって、NTSC信号のY+I信号、およびY+Q信号に対応するY,U,Vそれぞれ用のものが記憶されている。
【0057】
演算回路16で演算された、注目画素のY,U,Vの各信号のうちのU,Vの各信号は符号反転回路17に出力されるようになされている。
【0058】
ところで、上述したように、Y±Iメモリ13AおよびY±Qメモリ13Bに記憶されている予測係数は、NTSC信号のY+I信号、およびY+Q信号に対応するものであるので、注目画素のNTSC信号がY−I信号、またはY−Q信号である場合、NTSC信号のY+I信号、またはY+Q信号に対応した予測係数を用いて演算回路16で演算されたU,Vの各信号の値は、真の値に対して符号が反転したものとなっている。そこで、符号反転回路17においては、制御回路14から入力されたCS信号に基づいて、注目画素がY−I信号、またはY−Q信号である場合、演算回路16から入力されたU,Vの各信号の符号を反転し(符号反転処理を実行し)、注目画素がY+I信号、またはY+Q信号である場合、符号反転処理を施さずに出力するようになされている。
【0059】
次に、図2に示したコンポーネント信号変換回路3の処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。フィールドメモリ11に、NTSC信号が記憶され、制御回路14において、所定のフィールドが注目フィールドとして選択されると、ステップS1において、制御回路14は、注目フィールドの所定の画素を注目画素として選択する。ステップS2において、制御回路14は、注目画素をクラス分類するために必要な画素を、フィールドメモリ11から読み出させ、クラス分類回路12に供給させる。
【0060】
クラス分類回路12は、フィールドメモリ11から入力された画素を用いて、注目画素の空間的、および時間的な特徴を検出し、その特徴に基づいてクラス分類を行い、得られた注目画素のクラスを、アドレスとして、予測係数メモリ部13に出力する。
【0061】
ステップS3において、制御回路14は、注目画素のNTSC信号の位相を示すCS信号を予測係数メモリ部13、および符号反転回路17に供給する。予測係数メモリ部13は、CS信号に基づいて、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY+I信号であるか否かを判定する。注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY+I信号であると判定された場合、ステップS4に進む。
【0062】
ステップS4において、予測係数メモリ部13は、Y±Iメモリ13Aのアドレス(クラス分類回路12から入力された注目画素のクラスに対応するアドレス)から、Y,U,Vそれぞれ用の予測係数のセットを読み出して、演算回路16に供給する。
【0063】
ステップS5において、予測タップ形成回路15は、フィールドメモリ11から画素を読み出し、いま注目画素とされている画素について、図4で説明した予測タップを形成する。この予測タップは、演算回路16に供給される。
【0064】
なお、ステップS5の処理は、ステップS2乃至S4の処理と並列に行うようにすることも可能である。
【0065】
演算回路16は、予測係数メモリ部13から予測係数を受信するとともに、予測タップ形成回路15から予測タップを受信すると、ステップS6において、その予測係数および予測タップを用いた適応処理を行う。すなわち、具体的には、式(1)に示した線形一次式を演算し、これにより、注目画素のY,U,Vの各信号を求めて後段に出力する。
【0066】
ステップS7において、符号反転回路17は、制御回路14から供給されているCS信号に基づいて、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY−Q信号であるか否かを判定する。注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY−Q信号であると判定された場合、ステップS8に進む。
【0067】
ステップS8において、符号反転回路17は、ステップS6で演算回路16から入力された、注目画素のU,Vの各信号の符号を反転して出力する。
【0068】
ステップS9において、制御回路14は、フィールドメモリ11に記憶された注目フィールドを構成する全ての画素を、注目画素として処理したか否かを判定する。まだ、注目フィールドを構成する全ての画素を、注目画素として処理していないと判定された場合、ステップS1に戻り、注目フィールドを構成する画素のうち、まだ注目画素とされていない画素が、新たに注目画素とされ、ステップS2以降の処理が繰り返される。また、ステップS9において、注目フィールドを構成する全ての画素を、注目画素として処理したと判定された場合、処理を終了する。
【0069】
なお、ステップS3において、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY+I信号ではない(Y−Q信号、またはY+Q信号である)と判定された場合、ステップS10に進む。
【0070】
ステップS10において、予測係数メモリ部13は、Y±Qメモリ13Bのアドレス(クラス分類回路12から入力された注目画素のクラスに対応するアドレス)から、Y,U,Vそれぞれ用の予測係数のセットを読み出して、演算回路16に供給する。
【0071】
また、ステップS7において、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY−Q信号ではない(Y+I信号、またはY+Q信号である)と判定された場合、符号反転処理を実行する必要がないので、ステップS8をスキップする。
【0072】
なお、図5のフローチャートに示すステップS1乃至S9の処理は、新たなフィールドが、注目フィールドとされる毎に繰り返し行われる。
【0073】
このように、本実施の形態によれば、注目画素がY−I信号である場合、および注目画素がY+I信号である場合において、同じ予測係数を用いて処理することができ、注目画素がY−Q信号である場合、および注目画素がY+Q信号である場合において、同じ予測係数を用いて処理することができる。但し、注目画素がY−I信号、またはY−Q信号である場合、上述した符号反転処理のような補正処理が必要である。
【0074】
図6は、図2の予測係数メモリ部13に記憶させる予測係数を求める学習を行う学習装置の構成例を示している。
【0075】
この学習装置のフィールドメモリ21には、学習用のYUV信号(学習用のコンポーネント信号)の画像が、所定数のフィールドだけ供給されて記憶されるようになされている。また、フィールドメモリ21に記憶された学習用の画像を構成する画素のYUV信号は、制御回路24の制御に従って読み出され、NTSCエンコーダ22、および制御回路24に供給されるようになされている。
【0076】
NTSCエンコーダ22は、フィールドメモリ21から入力された各画素のYUV信号を、NTSC信号にエンコード(変換)し、クラス分類回路23、または制御回路24に供給するようになされている。
【0077】
クラス分類回路23は、図2のクラス分類回路12と同様に構成されており、注目画素をクラス分類して、そのクラスを、アドレスとして、学習用データメモリ部26に供給するようになされている。
【0078】
制御回路24は、フィールドメモリ21に入力され、既に記憶されているフィールドを、順次、注目フィールドとし、さらに、注目フィールドを構成する画素を、例えば、ラインスキャン順に、順次、注目画素として、その注目画素の処理に必要な画素のYUV信号を、フィールドメモリ21から読み出させ、NTSCエンコーダ22、および制御回路24自身に供給させるようになされている。
【0079】
また、制御回路24は、注目画素のYUV信号と、その注目画素に対応する予測タップを構成する画素のYUV信号とを、フィールドメモリ21から読み出させ、予測タップを構成する画素のYUV信号をNTSCエンコーダ22に供給させる。これにより、予測タップを構成する画素のYUV信号は、NTSCエンコーダ22において、NTSC信号(学習用のコンポジット信号)に変換され、制御回路24に供給される。
【0080】
さらに、制御回路24は、上述したように、NTSCエンコーダ22から予測タップを構成する画素のNTSC信号を受信すると、それを学習データとし、フィールドメモリ21から読み出させた注目画素のYUV信号を教師データとして、その学習データと教師データとを組み合わせて、符号反転回路25を介して、学習用データメモリ部26に供給するようになされている。すなわち、注目画素のYUV信号と、その注目画素に対して、図4で説明したような位置関係にある予測タップを構成する画素のNTSC信号とが組み合わされて、符号反転回路25を介して学習用データメモリ部26に供給されるようになされている。
【0081】
さらに、制御回路24は、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、またはY+Q信号のいずれであるかを示すCS信号を、学習用データメモリ部26、および符号反転回路25に供給するようになされている。
【0082】
符号反転回路25は、制御回路24から入力されたCS信号に基づいて、注目画素の位相に対応して、制御回路24から入力されたU,Vの各信号の符号を反転し、その他の信号(Y信号、および予測タップを構成する画素のNTSC信号)はそのまま処理を施さずに、学習用データメモリ部26に供給するようになされている。すなわち、符号反転回路25は、制御回路24から入力されたCS信号を参照して、注目画素のNTCS信号が、Y−I信号、またはY−Q信号である場合、制御回路24から入力されたU,Vの各信号の符号を反転して(符号反転処理を実行し)、注目画素のNTCS信号が、Y+I信号、またはY+Q信号である場合、符号反転処理を実行せずに、その他の信号(Y信号、および予測タップを構成する画素のNTSC信号)とともに学習用データメモリ部26に供給する。
【0083】
学習用データメモリ部26は、Y±Iメモリ26A、およびY±Qメモリ26Bから構成されており、それぞれには、クラス分類回路23が出力する注目画素のクラスが、アドレスとして供給されるとともに、制御回路24が出力するCS信号が供給されるようになされている。さらに、学習用データメモリ部26には、制御回路24が出力する、上述の教師データと学習データとの組合せが、符号反転回路25を介して供給されるようになされている。そして、制御回路24から入力されたCS信号が参照されて、注目画素のNTSC信号がY−I信号、またはY+I信号である場合、Y±Iメモリ26Aが選択され、注目画素のNTSC信号がY−Q信号、またはY+Q信号である場合、Y±Qメモリ26Bが選択される。選択されたY±Iメモリ26A、またはY±Qメモリ26Bのアドレス(クラス分類回路23が出力する注目画素のクラスに対応するアドレス)には、符号反転回路25から入力された教師データと学習データとの組合せが記憶されるようになされている。
【0084】
したがって、Y±Iメモリ26Aには、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY+I信号である場合における、その注目画素のYUV信号(教師データ)と、その注目画素について形成される予測タップを構成する画素のNTSC信号との組合せが記憶され、Y±Qメモリ26Bには、注目画素のNTSC信号が、Y−Q信号、またはY+Q信号である場合における、その注目画素のYUV信号(教師データ)と、その注目画素について形成される予測タップを構成する画素のNTSC信号との組合せが記憶される。
【0085】
なお、メモリ26A,26Bそれぞれにおいては、同一アドレスに複数の情報を記憶することができるようになされており、これにより、同一アドレスには、同一のクラスに分類される画素の学習データと教師データとの組合せを複数記憶することができるようになされている。
【0086】
演算回路27A,27Bは、メモリ26A,26Bの各アドレスに記憶されている学習データとしての予測タップを構成する画素のNTSC信号と、教師データとしてのYUV信号との組合せを読み出し、それらを用いて、最小自乗法により、YUV信号の予測値と教師データとの間の誤差を最小にする予測係数をそれぞれ算出するようになされている。すなわち、演算回路27A,27Bでは、クラス毎に、且つ、Y,U,Vの各信号について、式(8)に対応する正規方程式がたてられ、これを解くことにより、クラス毎の、Y,U,V用の予測係数(Y用の予測係数wYa乃至wYk、予測係数wYA乃至wYK、およびwYoffset,U用の予測係数wUa乃至wUk、予測係数wUA乃至wUK、およびwUoffset、並びにV用の予測係数wVa乃至wVk、予測係数wVA乃至wVK、およびwVoffset)が、それぞれ求められる。
【0087】
ここで、演算回路27A,27Bでは、メモリ26A,26Bに記憶されたデータを用いてそれぞれ処理が行われるため、演算回路27A,27Bそれぞれにおいて得られる予測係数は、NTSC信号の位相に対応したもの、すなわち、Y+I信号、またはY+Q信号を、それぞれ、YUV信号に変換するためのものになる。
【0088】
演算回路27A,27Bにおいて得られた予測係数は、対応する、コンポーネント信号変換回路3の予測係数メモリ部13のY±Iメモリ13A、またはY±Qメモリ13Bに供給され、各クラスに対応したアドレスに記憶されるようになされている。
【0089】
次に、この学習装置において行われる学習処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。フィールドメモリ21に、学習用の画像のYUV信号が記憶されると、ステップS21において、制御回路24は、学習用の画像を構成する所定の画素を注目画素として選択し、その注目画素について、クラス分類を行うために必要な画素を、フィールドメモリ21から読み出させ、NTSCエンコーダ22に供給させる。NTSCエンコーダ22では、フィールドメモリ21から入力された画素のYUV信号がNTSC信号に変換され、クラス分類回路23に供給される。
【0090】
ステップS22において、クラス分類回路23は、NTSCエンコーダ22から入力された画素を用いて、図2のクラス分類回路12と同様にクラス分類を行ない、注目画素のクラスを、アドレスとして、学習用データメモリ部26に供給する。
【0091】
ステップS23において、制御回路24は、注目画素のNTSC信号の位相(Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、またはY+Q信号)を示すCS信号を、符号反転回路25、および学習用データメモリ部26に供給する。
【0092】
さらに、制御回路24は、注目画素のYUV信号と、その注目画素に対応する予測タップを構成する画素のYUV信号とを、フィールドメモリ21から読み出させ、注目画素のYUV信号は制御回路24自身に供給させ、予測タップを構成する画素のYUV信号はNTSCエンコーダ22に供給させる。この場合、NTSCエンコーダ22は、フィールドメモリ21から入力された予測タップを構成する画素のYUV信号をNTSC信号に変換して、制御回路27に供給する。
【0093】
そして、制御回路24は、NTSCエンコーダ22から入力された予測タップを構成する画素のNTSC信号を学習データとするとともに、フィールドメモリ21から入力された注目画素のYUV信号を教師データとし、その学習データと教師データとの組み合わせを、符号反転回路25に出力する。
【0094】
なお、ステップS23の処理は、ステップS22の処理と並列に行うことが可能である。
【0095】
ステップS24において、符号反転回路25は、制御回路24から入力されたCS信号を参照して、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY−Q信号であるか否かを判定する。注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY−Q信号であると判定された場合、ステップS25に進む。
【0096】
ステップS25において、符号反転回路25は、制御回路24から入力されたU,Vの各信号の符号を反転して(符号反転処理を実行し)、その他の信号(Y信号、および予測タップを構成する画素のNTSC信号)とともに学習用データメモリ部26に供給する。
【0097】
ステップS26において、学習用データメモリ部26は、制御回路24から入力されたCS信号を参照して、注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY+I信号であるか否かを判定する。注目画素のNTSC信号が、Y−I信号、またはY+I信号であると判定された場合、ステップS27に進む。
【0098】
ステップS27において、学習用データメモリ部26は、Y±Iメモリ26Aの、クラス分類回路23から供給された注目画素のクラスに対応するアドレスに、符号反転回路25から入力された教師データと学習データとの組合せを記憶させる。
【0099】
ステップS28において、制御回路24は、フィールドメモリ21に記憶された学習用の画像を構成する全ての画素を注目画素として処理したか否かを判定する。まだ、学習用の画像を構成する全ての画素を注目画素として処理していないと判定された場合、ステップS21に戻り、まだ注目画素とされていない画素を、新たに注目画素として、ステップS22以下の処理が繰り返される。
【0100】
その後、ステップS28において、学習用の画像を構成する全ての画素を注目画素として処理したと判定された場合、ステップS29に進む。
【0101】
ステップS29において、演算回路27A,27Bは、それぞれ、メモリ26A,26Bに記憶された学習データと教師データとの組合せを、各アドレス毎に読み出し、Y,U,Vの各信号別に、式(8)に対応する正規方程式を生成し、生成した正規方程式を解くことにより、Y+I信号、またはY+Q信号それぞれをYUV信号に変換する演算に用いるY,U,V用のクラス毎の予測係数のセットを得る。そして、Y+I信号、またはY+Q信号に対応するクラス毎の予測係数のセットは、予測係数メモリ部13のY±Iメモリ13A、またはY±Qメモリ13Bにそれぞれ供給されて記憶され、処理を終了する。
【0102】
以上のように、注目画素を、その注目画素の空間的、および時間的な特徴に基づいてクラス分類し、それにより得られるクラスに対応した予測係数、すなわち、注目画素に適した予測係数を用いて、注目画素のNTSC信号を、YUV信号に変換するようにしたので、特に、輝度によるエッジに起因するドット妨害や、輝度に伴って色が変化しているクロスカラーなどを軽減することが可能となる。
【0103】
なお、本実施の形態においては、予測係数との線形一次式を計算することにより、NTSC信号をYUV信号に変換するようにしたが、その他、例えば、非線形な演算式などを計算することにより、NTSC信号をYUV信号に変換するようにすることも可能である。
【0104】
また、本実施の形態では、図4で説明した画素から、予測タップを構成するようにしたが、予測タップは、その他の画素から構成することも可能である。
【0105】
さらに、本実施の形態では、NTSC信号の位相に対応して、適応処理および学習処理を行うようにしたが、適応処理および学習処理は、NTSC信号の位相に関係なく行うことも可能である。ただし、NTSC信号の位相別に、適応処理および学習処理を行う方が、精度の高いYUV信号および予測係数を得ることができる。
【0106】
また、本実施の形態においては、NTSC信号をYUV信号に変換するようにしたが、その他、例えば、PAL方式などの信号をYUV信号に変換したり、また、NTSC信号を、RGB信号やYIQ信号に変換することなども可能である。すなわち、変換前のコンポジット信号および変換後のコンポーネント信号は、特に限定されるものではない。
【0107】
また、本実施の形態では、フィールド単位で処理を行うようにしたが、その他、例えば、フレーム単位で処理を行うことも可能である。
【0108】
さらに、本発明は、テレビジョン受像機以外の、例えば、VTR(Video Tape Recorder)その他の画像を扱う機器に適用可能である。また、本発明は、動画および静止画のいずれにも適用可能である。
【0109】
さらに、本実施の形態では、NTSC信号をサンプリングすることにより、Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、およびY+Q信号とするようにしたが、NTSC信号のサンプリングは、4サンプリング毎に、同位相の信号が得られれば、どのようなタイミングで行ってもよい。ただし、この場合、学習においても、同一位相の信号を用いる必要がある。
【0110】
なお、上記各処理を行うコンピュータプログラムは、磁気ディスク、CD-ROM等の情報記録媒体よりなる提供媒体のほか、インターネット、デジタル衛星などのネットワーク提供媒体を介してユーザに提供することができる。
【0111】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の画像信号処理装置、請求項6に記載の画像信号処理方法、および請求項7に記載の記録媒体に記録されているプログラムによれば、注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出し、検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、演算した注目画素のコンポーネント信号を補正するようにしたので、装置の規模を小さくすることが可能となる。
【0112】
また、請求項8に記載の学習装置、請求項12に記載の学習装置、および請求項13に記載の記録媒体に記録されているプログラムによれば、変換した注目画素の学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出し、検出した注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、学習用のコンポーネント信号を補正し、学習用のコンポジット信号と予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、補正した学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする予測係数を求めるための演算を行うようにしたので、装置の規模を小さくする予測係数を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のコンポーネント信号変換回路3の構成例を示すブロック図である。
【図3】 NTSC信号のフィールドの構成例を示す図である。
【図4】図2の予測タップ形成回路15の処理を説明する図である。
【図5】図2のコンポーネント信号変換回路3の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明を適用した学習装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6の学習装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 チューナ, 2 A/D変換器, 3 コンポーネント信号変換回路, 4 CRT, 5 増幅器, 6 スピーカ, 11 フィールドメモリ, 12 クラス分類回路, 13 予測係数メモリ部, 13A Y±Iメモリ, 13B Y±Qメモリ, 14 制御回路, 15 予測タップ形成回路, 16 演算回路, 17 符号反転回路, 21 フィールドメモリ, 22 NTSCエンコーダ, 23 クラス分類回路, 24 制御回路, 25 符号反転回路, 26 学習用データメモリ部, 26A Y±Iメモリ, 26B Y±Qメモリ, 27A,27B 演算回路
Claims (13)
- コンポジット信号をコンポーネント信号に変換する画像信号処理装置において、
注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出手段と、
前記コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶する予測係数のうちの前記検出手段が検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて前記注目画素のコンポーネント信号を演算する演算手段と、
前記検出手段が検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、前記演算手段で演算された前記注目画素のコンポーネント信号を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする画像信号処理装置。 - 前記記憶手段は、前記コンポジット信号のY+I信号、またはY+Q信号に対応する予測係数を記憶し、
前記補正手段は、前記コンポジット信号がY−I信号、またはY−Q信号である場合、前記演算手段で演算された前記注目画素のコンポーネント信号を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。 - 前記コンポーネント信号はYUV信号、またはRGB信号である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。 - 前記演算手段は、前記予測係数と、前記注目画素と空間的または時間的に近接する画素との線形一次結合により、前記注目画素のコンポーネント信号を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。 - 前記注目画素の空間的および時間的な特徴に基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類手段を
さらに備え、
前記記憶手段は、前記コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を前記クラス毎に記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。 - コンポジット信号をコンポーネント信号に変換する画像信号処理方法において、
注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、
前記コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶する予測係数のうちの前記検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて前記注目画素のコンポーネント信号を演算する演算ステップと、
前記検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、前記演算ステップで演算された前記注目画素のコンポーネント信号を補正する補正ステップと
を含むことを特徴とする画像信号処理方法。 - コンポジット信号をコンポーネント信号に変換する画像信号処理装置の制御用のプログラムであって、
注目画素のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、
前記コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶する予測係数のうちの前記検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応するものを用いて前記注目画素のコンポーネント信号を演算する演算ステップと、
前記検出ステップで検出した注目画素のコンポジット信号の位相に対応して、前記演算ステップで演算された前記注目画素のコンポーネント信号を補正する補正ステップと
を含む処理を画像信号処理装置のコンピュータに実行させるプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。 - コンポジット信号をコンポーネント信号に変換するための演算に用いる予測係数を求める学習装置において、
学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換手段と、
前記変換手段で変換された注目画素の前記学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、前記学習用のコンポーネント信号を補正する補正手段と、
学習用のコンポジット信号と前記予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、前記補正手段が補正した前記学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする前記予測係数を求めるための演算を行う演算手段と
を備えることを特徴とする学習装置。 - 前記コンポーネント信号はYUV信号、またはRGB信号である
ことを特徴とする請求項8に記載の学習装置。 - 前記演算手段は、前記予測係数と、注目画素と空間的または時間的に近接する画素との線形一次結合により、前記注目画素のコンポーネント信号を演算する
ことを特徴とする請求項8に記載の学習装置。 - 前記注目画素の空間的および時間的な特徴に基づいて、前記注目画素をクラス分類するクラス分類手段を
さらに備え、
前記演算手段は、前記コンポジット信号の2種類の位相に対応する予測係数を前記クラス毎に演算する
ことを特徴とする請求項8に記載の学習装置。 - コンポジット信号をコンポーネント信号に変換するための演算に用いる予測係数を求める学習方法において、
学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換された注目画素の前記学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出した前記注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、前記学習用のコンポーネント信号を補正する補正ステップと、
学習用のコンポジット信号と前記予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、前記補正ステップで補正した前記学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする前記予測係数を求めるための演算を行う演算ステップと
を含むことを特徴とする学習方法。 - コンポジット信号をコンポーネント信号に変換するための演算に用いる予測係数を求める学習装置の制御用のプログラムであって、
学習用のコンポーネント信号を、学習用のコンポジット信号に変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換された注目画素の前記学習用のコンポジット信号の4種類の位相を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出した前記注目画素の学習用のコンポジット信号の位相に対応して、前記学習用のコンポーネント信号を補正する補正ステップと、
学習用のコンポジット信号と前記予測係数とを用いて演算されたコンポーネント信号と、前記補正ステップで補正した前記学習用のコンポーネント信号との誤差を小さくする前記予測係数を求めるための演算を行う演算ステップと
を含む処理を学習装置のコンピュータに実行させるプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
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