JP4060912B2 - 低粘度澱粉誘導体及びその澱粉誘導体を配合した塗被紙用塗被組成物 - Google Patents

低粘度澱粉誘導体及びその澱粉誘導体を配合した塗被紙用塗被組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿素または尿素とリン酸を加熱反応させて得られる新規な澱粉誘導体並びに該澱粉誘導体を用いた塗被紙用塗被組成物に関し、特に、高速塗工適性に優れ、かつ塗被紙に高い光沢や平滑性及び良好な印刷適性を与えることが出来る澱粉誘導体並びに該澱粉誘導体を用いた塗被紙用塗被組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生産性の向上のために、塗被紙製造で、塗工機の高速化が進んでいる。しかしながら、ブレードコータで1000m/分を越えるような高速塗工では、塗工速度を上げるにつれブレード先端に固化した塗被液が付着し堆積する現象、いわゆるブリーディングが発生する。ブレード先端の付着物が多くなると塗工面を引掻いて表面に筋状の欠陥を生じさせたり、さらには付着物がブレード先端から塗被層に脱落して異物欠陥を生じさせたりして、塗被紙の表面性欠陥の原因となることが多い。
【0003】
ブリーディングの発生原因について明確な結論は出ていないが、多くの研究結果から、高速塗工では、塗被液がブレード下を通過する際に高い剪断力が加わり、この時の流動性が劣る塗被液で発生し易いことが知られている。ブレード通過時の塗被液の流動性を良好にするためには、高剪断力下での塗被液の粘度が低い方が有利とされている。
【0004】
そのため、高速塗工においては塗被液の濃度を下げて塗被せざるを得なくなり、この場合には光沢や平滑性の低下の他に乾燥負荷も増大し、品質面、経済性と共に不利となっている。塗被液の高剪断力下での粘度は、塗被液に用いる顔料だけでなく、水溶性の接着剤、即ち澱粉誘導体の影響も大きい。このため、特開平1-162894号には、酢酸エステル化澱粉を酵素変性または熱化学変性によって低粘度化して塗被組成物に用いる方法が紹介されている。該方法によれば、高速塗工適性はある程度改善されるものの、塗被液塗工後の乾燥工程で澱粉がマイグレーションし易く、得られた塗被紙を印刷するとインキ着肉ムラが発生し易くなるという問題がある。さらに、特開昭53-14818号、特開平7-300799号に、特定の低い糊液粘度を有する澱粉を塗被組成物に用いる方法が紹介されているが、前記したようにインキ着肉ムラが発生し易くなるだけでなく、塗被層の接着強度が低下する問題がある。
【0005】
従って、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に、高速塗工適性に優れ、しかもインキ着肉ムラの発生や接着強度の低下の少ない澱粉誘導体は、いまだ実用化されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に、高速塗工適性が良好で、かつ、前記したような従来の低粘度澱粉誘導体を用いたときに問題となるインキ着肉ムラの発生や接着強度の低下の少ない澱粉誘導体、並びに該澱粉誘導体を用いた塗被紙用塗被組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、尿素または尿素とリン酸を加熱反応させて得られる澱粉誘導体において、(a) 結合カルバミン酸エステル基量が0.5 重量%以上、25℃の水への溶解度が15重量%以下で、かつ、該澱粉誘導体を糊化した際の糊液のB型粘度計による粘度(測定条件:固形分濃度35%、温度50℃、ローター回転数60rpm )が50〜500mPa・s であることを特徴とする澱粉誘導体(以下、カルバミン酸エステル化澱粉ともいう)、あるいは、(b) 結合カルバミン酸エステル基量が0.5 重量%以上、結合リン酸エステル基量が1.0重量%以下であり、25℃の水への溶解度が15重量%以下で、かつ、該澱粉誘導体を糊化した際の糊液のB型粘度計による粘度(測定条件:固形分濃度35%、温度50℃、ローター回転数60rpm )が50〜500mPa・s であることを特徴とする澱粉誘導体(以下、カルバミン酸リン酸エステル化澱粉ともいう)に係わるものである。前記結合カルバミン酸エステル基量、結合リン酸エステル基量は、それぞれ澱粉の乾燥重量を基準とした値である。本発明の澱粉誘導体は、乾式焙焼法により、焙焼温度を段階的に上げて加熱反応を行うことにより得られる。
【0008】
また、本発明は、顔料と接着剤を主成分とする塗被紙用塗被組成物の接着剤として、該澱粉誘導体を、全顔料100重量部に対して固形分比で0.3〜10重量部用いることを特徴とする塗被組成物に係わるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の澱粉誘導体は、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に、高速塗工適性と印刷適性を高度にバランスさせることが出来る塗被紙用塗被組成物の接着剤として好適なものであって、特に、澱粉誘導体の水に対する溶解度を特定量以下に低く保ちながら、特定量のカルバミン酸エステル基が結合した糊液粘度の低い澱粉誘導体とすることで、前記特性を満足させることが出来るとの、本発明者らの知見に基づいて完成されたものである。さらに、特定量のカルバミン酸エステル基に加えて特定量のリン酸エステル基を結合させることで、高速塗工適性と印刷適性をより高度にバランスさせることが可能である。
【0010】
本発明の澱粉誘導体、即ち、結合カルバミン酸エステル基量が0.5 重量%以上で、前記特定溶解度、特定糊液粘度を有する澱粉誘導体(a) は、例えば、澱粉100 重量部に対して、36重量%塩酸 0.1〜1.5 重量部、尿素1〜10重量部及び水1〜60重量部を添加混合し、該混合物を70〜170 ℃の範囲で加熱反応させる乾式焙焼において、反応薬品量や水の量、反応温度及び反応時間を適宜選択することにより得ることが出来る。好ましくは、焙焼温度を2段あるいは3段等多段階に分けて加熱反応を行う。即ち、尿素の分解を防ぐため先ず130℃未満の温度にて焙焼を行い、前記特定の溶解度及び糊液粘度を得、次いで温度を130℃以上に上げて尿素を分解させ、澱粉をカルバミン酸エステル化する。焙焼温度を段階的に上げることにより澱粉が分解しにくくなるため、澱粉の溶解度を低く保つことが出来る。
【0011】
また、本発明のもう一つの澱粉誘導体、即ち、結合カルバミン酸エステル基量が0.5 重量%以上、結合リン酸エステル基量が1.0 重量%以下で前記特定溶解度、特定糊液粘度を有する澱粉誘導体(b) は、例えば、澱粉100 重量部に対して、正リン酸 0.1〜2 重量部、尿素1〜6重量部、さらに必要に応じて塩化ナトリウムを0.5〜3重量部及び水1〜60重量部を添加混合し、該混合物を70〜170 ℃の範囲で加熱反応させる乾式焙焼において、反応薬品量や水の量、反応温度及び反応時間を適宜選択することで得ることが出来る。好ましくは、焙焼温度を2段あるいは3段等多段階に分けて加熱反応を行う。即ち、尿素の分解を防ぐため先ず130℃未満の温度にて焙焼を行い、前記特定の溶解度及び糊液粘度を得、次いで温度を130℃以上に上げて尿素を分解させ、澱粉をカルバミン酸リン酸エステル化する。焙焼温度を段階的に上げることにより澱粉が分解しにくくなるため、澱粉の溶解度を低く保つことが出来る。
【0012】
本発明でいう乾式焙焼法とは、特公昭45-20512号に記載されている公知の方法であり、具体的には、反応薬品と水との混合溶液を澱粉に含浸させる、または澱粉に対して前記混合溶液をスプレーにて散布した後、これを均一になるまで撹拌することにより澱粉と反応薬品及び水を均一に混合した後、該混合物をベルト・ドライヤー、フラッシュドライヤー、撹拌式乾燥機または静置式乾燥機等の乾式焙焼装置を用いて加熱反応させるものである。
【0013】
本発明に使用し得る澱粉基質としては、公知のあらゆる澱粉が用いられ、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉類、及びアミロース、アミロペクチン等を含有する多糖類、例えばアラビヤガム、ローカストビーンガム等の植物粘質物等が挙げられる。また、目的に応じて澱粉類の酸処理澱粉、酵素処理澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉などの澱粉誘導体も使用可能である。
【0014】
本発明の澱粉誘導体(a) においては、結合カルバミン酸エステル基量は0.5 重量%以上であり、特に0.8重量%以上であるのが好ましい。結合カルバミン酸エステル基量が0.5 重量%未満では、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に良好な印刷適性が得られない虞がある。一方、結合カルバミン酸エステル基量の上限については、特に限定されないが、澱粉の着色及び溶解度の増加を抑えるために2.0 重量%以下とするのが望ましい。また、澱粉の25℃の水に対する溶解度を15重量%以下とすることが、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に、良好な印刷適性と接着強度とをバランスさせる上で重要であり、好ましくは13重量%以下である。即ち、澱粉の25℃の水に対する溶解度は、澱粉誘導体の極低分子量分の割合を示す指標であり、これら極低分子量分は、塗被液の乾燥工程でマイグレーションし易いだけでなく、接着強度の発現力も極端に小さいため、溶解度が15重量%を越えると、インキ着肉ムラが発生しやすくなったり、接着強度が大きく低下する虞がある。一方、溶解度の下限については特に限定されないが、接着剤としての効果の面から5重量%以上が好ましい。澱粉糊液粘度では、糊液のB型粘度計による粘度(測定条件:固形分濃度35%、温度50℃、ローター回転数60rpm )が50〜500mPa・s であることが必要であり、特に100〜300mPa・sが好ましい。粘度が50mPa・s 未満では、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に塗被液の保水性が低下し、一方、粘度が500mPa・sを超えると塗被液の粘度が高くなり、いずれも高速塗工適性が悪化する虞がある。
【0015】
本発明の澱粉誘導体(b) においては、結合カルバミン酸エステル基量は0.5 重量%以上であり、特に0.8重量%以上であるのが好ましい。結合カルバミン酸エステル基量が0.5 重量%未満では、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に良好な印刷適性が得られない虞がある。一方、結合カルバミン酸エステル基量の上限については、特に限定されないが、澱粉の着色及び溶解度の増加を抑えるために2.0 重量%以下とするのが望ましい。また、結合リン酸エステル基量は1.0 重量%以下であり、特に0.50重量%以下であるのが好ましい。結合リン酸エステル基量が1.0 重量%を超えると、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に塗被液の粘度が高くなり高速塗工適性が悪化する虞がある。また、結合リン酸エステル基量の下限については特に限定されないが、リン酸エステル基の効果を得るために0.1 重量%以上が好ましい。また、澱粉の25℃の水に対する溶解度を15重量%以下とすることが、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に、良好な印刷適性と接着強度とをバランスさせる上で重要であり、好ましくは13重量%以下である。即ち、澱粉の25℃の水に対する溶解度は、澱粉誘導体の極低分子量分の割合を示す指標であり、これら極低分子量分は、塗被液の乾燥工程でマイグレーションし易いだけでなく、接着強度の発現力も極端に小さいため、溶解度が15重量%を越えると、インキ着肉ムラが発生しやすくなったり、接着強度が大きく低下する虞がある。一方、溶解度の下限については特に限定されないが、接着剤としての効果の面から5重量%以上が好ましい。澱粉糊液粘度では、糊液のB型粘度計による粘度(測定条件:固形分濃度35%、温度50℃、ローター回転数60rpm )が50〜500mPa・s であることが必要であり、特に100〜300mPa・s が好ましい。粘度が50mPa・s 未満では、塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いた場合に塗被液の保水性が低下し、一方、粘度が500mPa・sを超えると塗被液の粘度が高くなり、いずれも高速塗工適性が悪化する虞がある。
【0016】
本発明の澱粉誘導体は、通常20〜45%のスラリーに調製された後、撹拌装置を備えた加温容器で該スラリーを85〜95℃で一定時間保持する、あるいは、ジェットクッカーと呼ばれる装置に該スラリーと加熱蒸気を加えて130〜160℃まで加温しながら通過させることで糊化することが出来る。得られた糊化澱粉は、予め調製された塗被紙用の顔料スラリーに、合成系の接着剤や各種助剤と共に添加されて塗被液となる。なお、糊化した澱粉の顔料に対する添加量は、顔料100 重量部に対して固形分対比で0.3〜10重量部であり、好ましくは2〜9重量部である。添加量が0.3重量部未満では、本発明の所望の効果が得られず、10重量部を超えると塗被液の粘度が高くなり、高速塗工適性が悪化する虞がある。
【0017】
塗被組成物に用いられる顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント等の塗被紙用顔料を例示出来る。また、本発明の澱粉誘導体と共に接着剤として使用される合成系接着剤としては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのビニル系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性またはアルカリ非溶解性の共重合体ラテックス等を例示出来る。また、本発明の澱粉誘導体や前記合成系接着剤と併用する接着剤としては、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、本発明以外の各種澱粉誘導体、またはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂などの水溶性接着剤が適宜添加出来る。さらに、塗被液には前記顔料、接着剤の他に必要に応じて分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、滑剤、染料、pH調節剤等の各種助剤が適宜配合され、固形分濃度50〜70%程度に調整される。
【0018】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はその範囲に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。なお、澱粉誘導体及びそれを利用した塗被組成物の特性、得られた塗被紙の品質評価方法は下記のとおりである。
【0019】
実施例1
(カルバミン酸リン酸エステル化澱粉の調製)
市販のコーンスターチ100gに対し、正リン酸1g、尿素2g、塩化ナトリウム1g及び水50gを配合し、これを撹拌により混合した。混合物を熱風式加熱機により、70℃で30分乾燥して水分を4%以下にした後、同加熱機にて110℃で30分加熱し、さらに140℃で30分加熱した。得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の結合リン酸エステル基量は0.43重量%、結合カルバミン酸エステル基量は0.88重量%であった。
【0020】
また、このカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の25℃の水に対する溶解度は12重量%であった。
前記カルバミン酸リン酸エステル化澱粉を35%のスラリーとし、これを95℃で30分間加熱して糊化した後、50℃にまで冷却した。糊液の粘度を、B型粘度計によりローター回転数60rpmにて測定したところ、260mPa・sであった。これらの結果を表2に示す。
【0021】
(塗被液の調製及び塗工)
前記方法により得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の糊液を使用し、表1の配合量に従って、塗被液を調製した。
【0022】
【表1】
Figure 0004060912
【0023】
前記塗被液を坪量50g/m2の上質コート紙用原紙に両面塗工量22g/m2(固形分換算)となる様にブレードコータにより1000m/分の塗工速度でF面、W面の順に塗工、乾燥して水分5.5%の両面塗被紙を得た。
次いで線圧250kg/cm、速度600m/分の条件でスーパーカレンダー処理して印刷両面塗被紙に仕上げた。
【0024】
紙の試料は20℃、65%RHの恒温恒湿室内で24時間以上調湿を行った後、紙質及び印刷適性を評価した。
これとは別に、前記ブレードコータで塗工量を一定に保持しながら、塗工速度を1000m/分から100mずつ増速し、ブリーディングが急激に増加し始める塗工速度を確認して塗被液の高速塗工適性を評価した。
【0025】
実施例2
(カルバミン酸リン酸エステル化澱粉の調製)
正リン酸を1.2g、尿素を2.4g、塩化ナトリウムを1.2gとした以外は、実施例1と同様にしてカルバミン酸リン酸エステル化澱粉を調製した。得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の結合リン酸エステル基量は0.45重量%、結合カルバミン酸エステル基量は1.00重量%であった。
得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の25℃の水に対する溶解度は13重量%であった。
得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉を実施例1と同様の方法により、糊化してその粘度を測定した。糊液の粘度は185mPa・sであった。
【0026】
(塗被液の調製及び塗工)
前記方法により得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の糊液を表1に示す澱粉として使用したこと以外は実施例1と同様にして塗被液の調製、塗工及び仕上げを行い印刷用両面塗被紙を得た。また、塗被液の高速塗工適性も実施例1と同様に評価した。
【0027】
実施例3
(カルバミン酸エステル化澱粉の調製)
リン酸及び塩化ナトリウムを用いず、36重量%塩酸0.90g、尿素6gとした以外は、実施例1と同様にしてカルバミン酸エステル化澱粉を調製した。得られたカルバミン酸エステル化澱粉の結合カルバミン酸エステル基量は1.8重量%であった。得られたカルバミン酸エステル化澱粉の25℃の水に対する溶解度は11重量%であった。
得られたカルバミン酸エステル化澱粉を実施例1と同様の方法により、糊化してその粘度を測定した。糊液の粘度は285mPa・sであった。
【0028】
(塗被液の調製及び塗工)
前記方法により得られたカルバミン酸エステル化澱粉の糊液を表1に示す澱粉として使用したこと以外は実施例1と同様にして塗被液の調製、塗工及び仕上げを行い印刷用両面塗被紙を得た。また、塗被液の高速塗工適性も実施例1と同様に評価した。
【0029】
比較例1及び2
(酸化澱粉の調製)
本比較例では市販の酸化澱粉を使用した。比較例1ではエースA(王子コーンスターチ社)、比較例2ではエースC(王子コーンスターチ社)を用いた。糊化時のスラリーを25%とした以外は実施例1と同様に糊化を行った。50℃のB型粘度は、比較例1及び比較例2で夫々4000mPa・s、140mPa・sであった。
【0030】
(塗被液の調製及び塗工)
前記方法により得られた市販の酸化澱粉の糊液を表1に示す澱粉として使用したこと以外は実施例1と同様にして塗被液の調製、塗工及び仕上げを行い印刷用両面塗被紙を得た。また、塗被液の高速塗工適性も実施例1と同様に評価した。
【0031】
比較例3〜5
(カルバミン酸リン酸エステル化澱粉の調製)
本比較例では市販のカルバミン酸リン酸エステル化澱粉を使用した。比較例3ではエースP−260(王子コーンスターチ社)、比較例4ではエースP−150(王子コーンスターチ社)及び比較例5ではエースP−140(王子コーンスターチ社)を用いた。糊化時のスラリーを25%とした以外は実施例1と同様に糊化を行った。50℃のB型粘度は、比較例3、比較例4及び比較例5で夫々50mPa・s、65mPa・s、130mPa・sであった。
【0032】
比較例3、比較例4、比較例5の結合リン酸エステル基量は、夫々2.47重量%、1.26重量%、1.14重量%であった。また、比較例3、比較例4、比較例5の結合カルバミン酸エステル基量は、夫々2.67重量%、1.38重量%、1.47重量%であった。
【0033】
比較例3、比較例4、比較例5の25℃の水に対する溶解度は、夫々45重量%、17重量%、21重量%であった。
【0034】
(塗被液の調製及び塗工)
前記方法により得られた市販のカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の糊液を表1に示す澱粉として使用したこと以外は実施例1と同様にして塗被液の調製、塗工及び仕上げを行い印刷用両面塗被紙を得た。また、塗被液の高速塗工適性も実施例1と同様に評価した。
【0035】
比較例6
(カルバミン酸リン酸エステル化澱粉の調製)
正リン酸を0.25g、尿素を1.5gとした以外は、実施例1と同様にしてカルバミン酸リン酸エステル化澱粉を調製した。得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の結合リン酸エステル基量は0.09重量%、結合カルバミン酸エステル基量は0.40重量%であった。
【0036】
得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の25℃の水に対する溶解度は3重量%であった。
糊化時のスラリーを25%とした以外は実施例1と同様に糊化を行った。50℃のB型粘度は360mPa・sであった。
【0037】
(塗被液の調製及び塗工)
前記方法により得られたカルバミン酸リン酸エステル化澱粉の糊液を表1に示す澱粉として使用したこと以外は実施例1と同様にして塗被液の調製、塗工及び仕上げを行い印刷用両面塗被紙を得た。また、塗被液の高速塗工適性も実施例1と同様に評価した。
【0038】
なお、澱粉誘導体の各特性値及びその澱粉誘導体を用いた塗被液、塗工紙の特性、品質は次の様にして求めた。
<B型粘度>
東京計器製BM型粘度計を使用し、澱粉は50℃、60rpm、塗被液は30℃、60rpmで測定した。
【0039】
<ハイシェアー粘度>
熊谷理器(株)製のハーキュレス高剪断粘度計により、Fボブを用いて8800rpmの回転数で測定した。この値は数値の小さい程、高剪断下での粘度が低いことを示す。
<結合リン酸エステル基量>
澱粉をメタノールと水の混液にて洗浄後、糖化酵素(デキストロザイム)にてグルコースに分解し、モリブデンブルー比色法にて定量した。得られたリンをリン酸基量に換算して求めた。
結合リン酸エステル基量(重量%)=結合リン量×98÷31
【0040】
<結合カルバミン酸エステル基量>
澱粉をメタノールと水の混液にて洗浄後、ケルダール法にて結合窒素を測定した。得られた窒素を結合カルバミン酸エステル基量に換算して求めた。
結合カルバミン酸エステル基量(重量%)=結合窒素×44÷14
<25℃の水に対する溶解度>
乾燥重量2gの澱粉に25℃の蒸留水を加えて100gとし、25℃にて30分間放置後、25℃で4500rpmの回転数にて30分間遠心分離し、その上澄液を105℃で乾燥して固形分を求めた。
上澄液中の固形分(g)/2=溶解度(重量%)
【0041】
<高速塗工性>
塗工量を一定に保持しながら、塗工速度を1000m/分から100mずつ増速し、ブリーディングが急激に増加し始める塗工速度を記録した。この塗工速度が高いほど塗工適性は良好である。
<白紙光沢度>
JIS P−8142に準拠して測定した。
<平滑度>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No5のBによる王研式平滑度計を用い測定した。
【0042】
<インキ着肉ムラ>
オフセット枚葉印刷機(ダイヤE4/三菱重工)を用い6000枚/時間の印刷速度で4色印刷し、2色目(シアン)、3色目(マゼンダ)のベタ重色部のムラを以下の基準で目視評価した。
Figure 0004060912
【0043】
<ドライピック>
RI印刷機(明製作所製)にて、タックバリュー13のインキを用い、塗被層の一定回数を繰り返し印刷した後のピッキング発生度合を以下の基準で目視評価した。
Figure 0004060912
これら実施例及び比較例で得られた澱粉誘導体の特性値並びにその澱粉誘導体を用いた塗被液、塗工紙の特性及び品質を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004060912
【0045】
表2から明らかなように、本発明の実施例1〜3ではいずれの性質においても良好な結果が得られた。これに対し、比較例1〜6においては、白紙光沢及び平滑性が劣り、高速塗工適性も劣ることが明らかとなった。
【0046】
実施例4及び比較例7
実施例2及び比較例2で調製した澱粉を使用し、澱粉の部数を3部から8部に増加したものを夫々実施例4及び比較例7とした。実施例1と同様にして塗被液の調製、塗工及び仕上げを行い印刷用両面塗被紙を得た。また、高速塗工適性も実施例1と同様に評価した。この実施例及び比較例の塗被液、塗工紙の特性及び品質を表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0004060912
【0048】
表3から明らかなように、本発明の澱粉は、比較例の澱粉に比べて、澱粉添加量を増やしても高速塗工適性や紙質の低下が小さく、依然良好な高速塗工適性と紙質が得られることが判明した。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、尿素または尿素とリン酸を加熱反応させて得られる澱粉誘導体を塗被紙用塗被組成物の接着剤として用いることにより、良好な高速塗工適性と高い白紙光沢や平滑性を有する塗被紙が得られ、かつ、インキ着肉ムラの発生や接着強度の低下を抑えることが出来る。

Claims (4)

  1. 尿素を加熱反応させて得られる澱粉誘導体において、該澱粉誘導体の結合カルバミン酸エステル基量が0.5重量%以上、25℃の水への溶解度が15重量%以下で、かつ、該澱粉誘導体を糊化した際の糊液のB型粘度計による粘度(測定条件:固形分濃度35%、温度50℃、ローター回転数60rpm)が50〜500mPa・s である澱粉誘導体を含有する塗被紙用塗被組成物
  2. 尿素及びリン酸を加熱反応させて得られる澱粉誘導体において、該澱粉誘導体の結合カルバミン酸エステル基量が0.5重量%以上、結合リン酸エステル基量が0.50重量%以下、25℃の水への溶解度が15重量%以下で、かつ、該澱粉誘導体を糊化した際の糊液のB型粘度計による粘度(測定条件:固形分濃度35%、温度50℃、ローター回転数60rpm)が50〜500mPa・s である澱粉誘導体を含有する塗被紙用塗被組成物
  3. 加熱反応を、乾式焙焼法にて焙焼温度を段階的に上げて行う請求項1または2記載の塗被紙用塗被組成物
  4. 顔料と澱粉誘導体を主成分とし、澱粉誘導体を顔料100重量部に対して固形分比で0.3〜10重量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗被紙用塗被組成物
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