JP4060739B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーに関し、さらに詳しくは、電子写真、静電記録、静電印刷などの静電潜像の現像において、透明度が高く彩度の高い画像を得るためのトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真などに用いられるトナーは、一般に平均粒子径が5〜15μm 程度の微粒子である。このような微粒子の製造方法としては、樹脂や顔料等を溶融混練後、粉砕、分級するいわゆる粉砕法が一般的である。
【0003】
しかしながら、粉砕法によるトナーは、小粒径になる程、所望の粒子径のトナーを得るまでの粉砕に要するエネルギーの消費が多大で、収率も低いために、コスト面で割高になるばかりでなく、粉体特性の面でも、流動性が劣る。
【0004】
一方、湿式法と呼ばれるトナーの製造方法も提案されている。この湿式法には、顔料や添加剤などを分散させた単量体(モノマー)を、分散安定剤の存在下において水性媒体中で分散させて重合させる懸濁重合法や乳化重合法、転相乳化法などがある。これら湿式法によるトナーは、小粒径においても分布がシャープで、コスト的に有利であり、流動性、転写性などの粉体特性にも優れるなどの利点を有している。この場合、トナー中の顔料などの分散性は、トナーの粉体特性に影響を与えるばかりでなく、画質にも影響を及ぼすため、均一に分散されることが必要不可欠である。
【0005】
しかしながら、重合法における単量体(モノマー)のような低粘度のものに対して、顔料などを安定に分散させることは困難で、さらには、重合中に顔料が凝集し、不均一性が増すことがある。特にカーボンブラックのような一次粒子径の小さな顔料は、かなり強固な二次凝集体になっていることがあり、単量体(モノマー)中への分散不良がトナー粒子の帯電特性、つまり、カブリの発生や画像濃度のバラツキの原因となる。
【0006】
トナー中の顔料や添加剤などの分散については、均一に分散することが重要であり、従来から、ガラスビーズやジルコニアビーズなどを用いた湿式のメディア式分散が行われているが、顔料や添加剤などを分散させた後にメディアを分離する工程が必要であり、また、分散性においても、分散平均粒子径が粗大なため、トナーの各粒子における顔料含有率に偏差が生じることで帯電量分布が広くなり、カブリが発生するばかりでなく、十分な画像濃度が得られない。
【0007】
そこで、従来より、樹脂と、顔料や添加剤とを分散または溶融混練することによって、これらを均一かつ微分散させて樹脂混合物を得る方法が実施されている。例えば、特許文献1には、乳化重合体と顔料とを水中に分散させて凝集させる乳化凝集法によるトナーの製造方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、アシッドペースト法またはアシッドスラリー法により生成したフタロシアニン顔料を樹脂中に分散させるトナーの製造方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特公昭63−186253号公報
【特許文献2】
特開平7−27282号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の製造方法によって製造されたトナーの場合、顔料および樹脂や、その分散条件が明確ではなく、条件によっては、充分な性能を発揮できない場合がある。
【0011】
例えば、同じ濃度で顔料を使用したとしても、顔料自体の濁度値が低ければ、得られるトナーの光学濃度は、充分な値が得られない。また、特許文献2に示すように、アシッドペースト法または、アシッドスラリー法により生成したフタロシアニン顔料を樹脂中に分散させる方法がとられたトナーの場合、顔料を硫酸と反応させる温度・時間などの条件によって、得られるトナーの性能が異なる。
【0012】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、透明性が高く、鮮やかな画像を得ることができるトナーを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のトナーは、少なくとも顔料と樹脂とからなり溶液中でその粒子製造方法が行われるトナーであって、濃度2.5重量%の水分散液で層厚0.2mmにおける濁度値が50ppm以下である顔料が用いられてなるものである。
【0014】
本発明のトナーは、この条件において濁度値が50ppmを越えると、光学濃度・彩度が低下してしまうが、濁度値が50ppm以下であると、顔料の分散状態が良くなり、光学濃度・彩度がともに向上することとなり、彩度の高い鮮明な画像を形成することができる。
【0015】
ただし、本発明のトナーは、濁度値が下がり過ぎると(すなわち、顔料のスルホン化が進みすぎると)、顔料自身の色が黒化し、光学濃度が僅かに上がるものの、彩度が低下することとなる。したがって、濁度値が下がり過ぎないように、スルホン化は、各顔料に適した最適値にすることが好ましい。シアンのC.I.Pigment blue15:3では、モノスルホン化率が40〜50wt% であり、なかでも43〜47wt% がより好ましい。マゼンタのC.I.Pigment Red 185、およびイエローのC.I.Pigment Yellow194では、モノスルホン化率が20〜40wt% であり、なかでも27〜33wt% がより好ましい。
【0016】
このスルホン化の最適値を守ることで、各色共に透明度が高く、高彩色な画像を得ることができる。
【0017】
スルホン化のなかでも、濃硫酸および希硫酸を用いたアシッドペースト法・アシッドスラリー法によるスルホン化が、処理後の顔料の保存安定性、および彩度において優れた結果が得られる。
【0018】
本発明のトナーは、トナー中に顔料が微分散することとなり、従来のトナーに比べ高濃度に顔料を含んでも、透明性および彩度の低下を抑えることができる。したがって、顔料濃度は、4重量%から25重量%であることが望ましく、なかでも光学濃度・彩度などの点から、6重量%から20重量%であることがより望ましい。4重量%未満の顔料濃度では、透明性は良好なものの、隠ぺい性が十分でなく、均一な高濃度画像が得られない。また、25重量%を超えると、明度、彩度の不足により、十分な色再現性域が確保できず、樹脂成分の減少による定着強度の劣化などをおこし、実使用に耐えない。
【0019】
このような良好な分散性を背景にして高顔料濃度のトナーが可能となることにより、一定の画像濃度を得るために必要なトナー消費量を大幅に低減させることができる。
【0020】
本発明のトナーを製造する場合、トナー中に用いる顔料を親水性顔料にすることで容易に水中に顔料を分散することができ、トナー粒子生成時にも微細な顔料粒子のまま合成することができるので乳化凝集による製造方法が好ましい。乳化凝集によって製造する場合、まず、樹脂を溶解させた有機溶媒と水を混合することにより乳化させて樹脂溶液混合物の水分散液を得る。その後、余分な有機溶媒を減圧・温度上昇などによって取り除き、混合物内包粒子の水分散液とする。次に、この混合物内包粒子の水分散液に、自己水分散性顔料を加え凝集体を形成させ、液温をポリマーのガラス転移点以上に加熱することで融合し顔料内包粒子の水分散液を得る。後に、この粒子を分離・乾燥することで目的の電子写真用トナー粒子が得られる。本発明での顔料を加えるタイミングは、混合物内包粒子の水分散液を生成した後に水媒体中に分散させる方法が望ましい。混合物内包粒子の水分散液を生成する前の段階で顔料を加えてしまうと、媒体は有機溶媒であるため、顔料表面に付加された親水基が、生かされないためである。
【0021】
上記の製造方法により得られたトナーの粒子は、トナー各粒子における顔料含有率が均一になり、トナー特性としては、透明度の高い鮮やかな画像を得ることができる。トナー粒子径は、高精細画像を得るためには、より小さいほうが好ましいが、4μm以下になると、トナー飛散によるカブリが発生してしまうばかりでなく、製造コストも大幅に増加してしまうため、4μm以上8μm以下の範囲が適当である。
【0022】
以下に、本発明の詳細について述べる。
【0023】
本発明のトナーは、少なくとも、自己水分散性顔料と、ポリエステル系ポリマーなどの樹脂とから構成される。
【0024】
本発明において用いられる樹脂として、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエーテルポリオール系樹脂などであり、これらの2種以上の併用であっても、あるいはこれらの2種以上の変性物であっても良いことは勿論である。
【0025】
これらの中でも、シャープメルト性を生かした低温定着化が可能で、透明性、二次色再現性も優れ、カラートナーに適しているポリエステル系樹脂の使用が好ましい。当該樹脂がアニオン型のものであれば、当該樹脂(共重合体)中の酸基の量、また、カチオン型のものであれば、当該樹脂(共重合体)中の塩基の量としては、それぞれ、20〜500mg当量/樹脂固形分100gなる範囲内が、好ましくは、50〜250mg当量/樹脂固形分100gなる範囲内が適切である。当該樹脂のガラス転移点温度(Tg)としては、トナーの熱定着性、保存安定性などの点から、50〜90℃なる範囲内が適切である。
【0026】
さらに、当該樹脂の数平均分子量(Mn)としては、3、000〜100、000なる範囲内が適切である。3、000未満である場合には、粒子化が困難であり、100、000以上の場合には、乳化凝集の際に、高粘度となり、粒子径や分布の制御などに影響を与えるために、好ましくない。
【0027】
また、上記の樹脂を溶解させる有機溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、n−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ピロール等の含窒素複素環式、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらの溶剤は1種類を用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。その中でも、樹脂の溶解性が高く、脱溶剤しやすい、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンがより好ましい。
【0028】
本発明において顔料は、自己水分散性顔料を用いるため、水性媒体中への顔料の分散のために、分散剤を用いる必要がない。この自己水分散性顔料としては、顔料表面に水和官能基が付与されている必要があり、顔料表面への導入のしやすさの点からスルホン酸基であることがより好ましい。顔料をスルホン化する薬品としては、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸などが用いられるが、なかでも濃硫酸および希硫酸を用いたアシッドペースト法・アシッドスラリー法によるスルホン化が、処理後の顔料の保存安定性、および彩度において優れていた。それ以外の薬品では、反応が進行しすぎて顔料が黒化するなど不適であった。また、スルホン酸基が付与される前の元顔料としては、反応することで変色を起こさないものであれば特定されるものではなく、シアン顔料は、C.I.Pigment blue15:3、マゼンタ顔料は、C.I.Pigment Red 185、イエロー顔料はC.I.Pigment Yellow194が、それぞれ彩度が高く、しかも安定した自己水分散性顔料を得ることができる。
【0029】
スルホン酸基の場合、解離を促進し、水和能を保持する目的で、中和剤が用いられる。中和剤としては、アンモニア、ジスルホンタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどが用いられる。自己水分散性顔料に対する中和剤の量は、乳化凝集における分散安定性を考慮して、任意で設定することができる。
【0030】
本発明のトナー中には、上記のような材料以外にも、磁性粉、オフセット防止剤、帯電制御剤などの成分も必要に応じて配合することができる。
【0031】
磁性粉としては、マグネタイト、ヘマタイト、各種フェライト等が挙げられる。
【0032】
トナーの定着性の改良などの目的で用いられるオフセット防止剤としては、これまでにトナー用材料として用いられているようなものであれば、特別の制限は無く、以下に示されるようなものが使用可能である。
【0033】
例えば、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどのような石油ワックス、モンタンワックスなどのような鉱物ワックス、みつろう、カルナバワックスなどのような動植物ワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、酸化ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどのような合成ワックス等が挙げられる。これら離型剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
帯電制御剤としては、低分子化合物から高分子化合物まで種々の物質が使用できるが、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、有機金属錯体、キレート化合物、アミノ基を有するモノマーを単独重合、あるいは、共重合させた高分子化合物等が挙げられる。
【0035】
また、上記の顔料、オフセット防止剤、帯電制御剤、磁性粉などの成分を樹脂溶液に分散する際には、必要であれば、分散剤を用いてもよい。分散剤としては、市販のものを用いることができ、例えば、BYK-182 、BYK-161 、BYK-116 、BYK-111 (ビックケミー社製)、Solsperse-2000、Solsperse-38500 (アビシア社製)、サーフィノールGA(Eエアープロダクツ社製)BYK−182、BYK−161、BYK−116、BYK−111(ビックケミー社製)、Solsperse −2000、Solsperse-38500 (以上アビシア社製)、サーフィノールGA(Eエアープロダクツ社製)等が挙げられる。これらの分散剤は1種類で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
【0036】
樹脂を溶解した有機溶媒と水とを混合して乳化させ、樹脂溶液混合物の水分散液を得る工程において、使用される乳化機としては、特に限定されるものではなく、乳化機、分散機として、一般に市販されているものであれば使用することができる。例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロンホモジナイザー(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製)、ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業(株)製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所(株)製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工(株)製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製)、フィルミックス(特殊機化工業(株)製)等のバッチ、または、連続両用乳化機等が挙げられる。
【0037】
この樹脂溶液混合物の水分散液から疎水性有機溶媒を除去し、混合物内包粒子の水分散液を得る工程においては、樹脂溶液混合物の水分散液を加熱して、該水分散液中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。この際、粒子間の熱融着の防止などの目的で、樹脂のガラス転移温度を考慮しつつ、温度の設定を行い、必要であれば、減圧下で溶媒の除去を行うのが好ましい。
【0038】
得られた混合物内包粒子の水分散液と、顔料水分散液を混合しながら熱を加え、融着させて顔料内包粒子の水分散体が得られる。
【0039】
さらに、濾過などの手法により、顔料内包粒子の水分散液から、該粒子を分離し、乾燥させて、顔料内包粒子を得ることができる。この工程においては、いったん、水性媒体から分離した顔料内包粒子を、洗浄することにより中和剤を除去し、さらに、水で洗浄することもできる。
【0040】
その後、乾燥、必要であれば、篩分、外添することにより、静電荷現像用トナーの粉体を得ることができる。乾燥において使用される装置としては、特に限定されるものではなく、通気乾燥装置、噴霧乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、流動層乾燥装置、伝熱加熱型乾燥装置、凍結乾燥装置など、公知の装置を使用することができる。これらの工程においては、トナーの凝集や粉砕が起こらない方法であれば、上記の乾燥、篩分、および、外添は、いかなる方法でも行うことができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0042】
自己水分散性顔料については、以下のようにして評価した。
( 濁度)
評価には、三菱化成(株)社製のポイック積分球方式濁度計 SEP・PT・501D 型を用いて行なった。
【0043】
測定原理は、図1に示す通りである。すなわち、光源からの平行光線が試料セル中を透過し、試料セルの中に入れた顔料1の濁りによって光が散乱する。透過光のうち散乱光線は、積分球によって集光され、拡散透過光(Td)として受光器D1で検出される。一方、散乱しなかった透過光は、平行透過光(Tp)として受光器D2で検出される。これらの拡散透過光(Td)と平行透過光(Tp)を蒸留水(0.2ミクロンろ過水)で同時に検出し、両者の比率を演算後、濁度標準液で校正すれば、顔料1の濁度(T )は、拡散透過光(Td)と平行透過光(Tp)の比で(T)∝(Td/Tp)のように表わされる。
【0044】
本発明では、アシッドペースト法で該顔料をスルホン化し、イオン交換水にて洗浄の済んだ顔料ペーストを用いて、顔料濃度2.5重量%の水分散体を調製した。こうして調製したサンプル溶液をセル光路長0.2mmの特注セルに封入し、濁度値を測定した。初期濁度値は、50ppm以下であるものを良好であると評価した。
(スルホン化率)
元素分析により、自己分散性顔料における硫黄の量を定量的に測定し、モノスルホン化された自己分散性顔料の割合を換算した。
【0045】
各実施例におけるトナー評価は、以下のように行った。
(粒径)
得られたトナーの粒子径、および、粒子径分布は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。
(色評価)
得られたトナーと、平均粒子径60μmのフェライトコアキャリアとを、トナー濃度が5重量%になるように調製・混合し、2成分の現像剤を作製し、
シャープ社製AR−C150を用いて、シャープ社製フルカラー専用紙(品番:PP106A4C)上にトナー付着量が0.4mg/cm2になるように調整して印字させ、外部定着機を用いて、画像サンプルを作成した。
【0046】
画像サンプルの光学濃度、および、彩度は、X−Rite938(日本平版機材(株)社製)でL* a* b* 表色系における色特性(明度、色度)を評価した。光学濃度は、各色とも1.4以上あれば、良好と判断した。
色の鮮やかさは、(C* )={(a* )2+(b* )2}0.5から、彩度(C* )で評価した。
【0047】
彩度値は、シアンは50以上、マゼンタは60以上、イエローは80以上であれば、高品質な記録が得られると判断する。
(白地かぶり)
普通紙を用いてプリントし、非画像部である白地部を上記分光測色濃度計X−Rite938でL* a* b* を測定し、プリント前後の白地部L* a* b* から、(ΔE)={(L* i −L* p)2+(a* i −a* p)2+(b* i −b* p)2}0.5により色差(△E)を求め、白地かぶりとした。
【0048】
なお、L* i 、a* i 、b* i はプリント前の白地部値、L* p 、a* p 、b* p はプリント後の白地部値である。
【0049】
色差(△E)の値が1.0以下であれば、良好と判断して「○」とした。
【0050】
【実施例1】
(自己分散性顔料水分散体の作製)
市販の銅フタロシアニンC.I.Pigment blue15:3(クラリアントジャパン社製)の顔料を、140〜150℃前後の濃硫酸(98%)中で90分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して自己水分散性シアン顔料ペーストを得た。この自己水分散性シアン顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性シアン顔料水分散体(A)を得た。
(樹脂有機溶液の作製)
ポリエステル樹脂(酸価:12mg・ KOH/g )170重量部に、メチルエチルケトン180重量部を加え、よく溶解した後にフィルミックス56型(特殊機化工業製)に投入し、40m/s で5分間分散させて、分散終了後、メチルエチルケトンにより、固形分を50%に調整し、樹脂溶液▲1▼を得た。
【0051】
次に、ワックス10重量部を添加しフィルミックス56型での分散を30m/s で3分間行う以外は、樹脂溶液▲1▼と同様の操作を行い、樹脂溶液▲2▼を得た。この樹脂溶液▲1▼100重量部と樹脂溶液▲2▼100重量部を混合した樹脂溶液混合物200重量部に、1規定アンモニア水20重量部を加え、ホモジナイザーの回転数を5000RPMに設定し、脱イオン水120重量部を滴下して、転相乳化を行った。次いで、減圧蒸留により、メチルエチルケトンを除去して、ワックス内包樹脂分散液(a)を得た。
(トナー凝集行程)
自己分散性シアン顔料水分散体(A)100重量部とワックス内包樹脂分散液(a)377重量部を混合し、20%の食塩水50重量部を加え、70℃に昇温しホモジナイザーの回転数を5000RPMに設定して1時間攪拌を行った。次いで、濾過水洗を行った後、乾燥して、着色樹脂粒子Aを得た。
【0052】
この着色樹脂粒子Aを用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0053】
【実施例2】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
市販のC.I.Pigment Red 185(クラリアントジャパン社製)の顔料を、40℃の濃硫酸(98%)中で40分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して自己水分散性マゼンタ顔料ペーストを得た。この自己水分散性マゼンタ顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性マゼンタ顔料水分散体(B)を得た。
【0054】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子Bを得た。この着色樹脂粒子Bを用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0055】
【実施例3】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
0℃付近に冷却した濃硫酸(98%)中で、C.I.Pigment Yellow194を45分撹拌後、0℃の水中に急速に滴下撹拌して、自己水分散性イエロー顔料を得た。この自己水分散性イエロー顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性イエロー顔料水分散体(C)を得た。
【0056】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子Cを得た。この着色樹脂粒子Cを用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0057】
【比較例1】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
市販の銅フタロシアニンC.I.Pigment blue15:3(クラリアントジャパン社製) の顔料を、140〜150℃前後の濃硫酸( 98%)中で30分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して自己水分散性シアン顔料ペーストを得た。この自己水分散性シアン顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性シアン顔料水分散体(A’)を得た。
【0058】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子A’を得た。この着色樹脂粒子A’を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0059】
【比較例2】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
市販のC.I.Pigment Red 185(クラリアントジャパン社製)の顔料を、40℃の濃硫酸(98%)中で10分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して自己水分散性マゼンタ顔料ペーストを得た。この自己水分散性マゼンタ顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性マゼンタ顔料水分散体(B’)を得た。
【0060】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子B’を得た。この着色樹脂粒子B’を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0061】
【比較例3】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
0℃付近に冷却した濃硫酸(98%)中で、C.I.Pigment Yellow194を15分撹拌後、0℃の水中に急速に滴下撹拌して、自己水分散性イエロー顔料を得た。この自己水分散性イエロー顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性イエロー顔料水分散体(C’)を得た。
【0062】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子C’を得た。この着色樹脂粒子C’を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0063】
【比較例4】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
市販の銅フタロシアニンC.I.Pigment blue15:3(クラリアントジャパン社製) の顔料を、150〜160℃前後の濃硫酸( 98%)中で60分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して自己水分散性シアン顔料ペーストを得た。この自己水分散性シアン顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性シアン顔料水分散体(A”)を得た。
【0064】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子A”を得た。この着色樹脂粒子A”を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0065】
【比較例5】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
市販のC.I.Pigment Red 185(クラリアントジャパン社製)の顔料を、40℃の濃硫酸(98%)中で50分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して自己水分散性マゼンタ顔料ペーストを得た。この自己水分散性マゼンタ顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性マゼンタ顔料水分散体(B”)を得た。
【0066】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子B”を得た。この着色樹脂粒子B”を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0067】
【比較例6】
(自己水分散性顔料水分散体の作製)
0℃付近に冷却した濃硫酸(98%)中で、C.I.Pigment Yellow194を75分撹拌後、0℃の水中に急速に滴下撹拌して、自己水分散性イエロー顔料を得た。この自己水分散性イエロー顔料を最終濃度10重量%となるよう調製した水分散体を作製した。さらに、トリエタノールアミンを2重量%添加し、自己分散性イエロー顔料水分散体(C”)を得た。
【0068】
自己水分散性顔料水分散体の調製以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子C”を得た。この着色樹脂粒子C”を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0069】
【比較例7】
ポリエステル樹脂(酸価:12mg・ KOH/g )170重量部に、メチルエチルケトン180重量部を加え、よく溶解した後に、実施例1の自己分散性シアン顔料水分散体を顔料濃度20重量%に調整した顔料ペーストを100重量部添加し、フィルミックス56型(特殊機化工業製)に投入し、40m/s で5分間分散させて、分散終了後、メチルエチルケトンにより、固形分を50%に調整し、樹脂溶液1’を得た。次に、顔料ペースト100重量部の代わりに、ワックス10重量部を添加し、フィルミックス56型での分散を、30m/s で3分間行う以外は同様の操作を行い、樹脂溶液2’を得た。この樹脂溶液1’100重量部と樹脂溶液2’100重量部を混合した樹脂溶液混合物200重量部に、1規定アンモニア水2重量部を加え、ホモジナイザーの回転数を5000RPMに設定し、脱イオン水120部を滴下して、転相乳化を行った。次いで、減圧蒸留により、メチルエチルケトンを除去し、濾過水洗を行った後、乾燥して、着色樹脂粒子X ’を得た。
【0070】
この着色樹脂粒子X ’を用いて、画像サンプルを作成し、各評価の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
表1 から、実施例1、2、3は、顔料水分散体の濁度値も良好であり、生成したトナーより得られた画像サンプルの光学濃度・彩度ともに条件を満たしている。また、白地カブリも少ない。よって、総合評価を○とした。
【0072】
比較例4、5、6、7は、濁度値が50以下でありながらも、その他の点で条件を満たしていないので、総合評価を△とした。
【0073】
比較例1、2、3は、全ての点において必要条件を満たしておらず、鮮明な画像が得られていないと判断でき、総合評価を×とした。
【0074】
なお、比較例7については、材料の組成比が実施例1と同様なのにかかわらず、光学濃度・彩度が劣る。これは、顔料ペーストを加えるタイミングの違いで、実施例1 では親水性顔料を水中に分散させるのに対し、比較例7 では有機媒体中に分散させたため、凝集して生成した樹脂中に微粒子分散できなかったためと推察される。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、顔料がトナー粒子内において微粒子で均一に分散されることにより、透明性があり彩度が高く、および高濃度の画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーに用いられる顔料の濁度値の測定原理を説明する概略図である。
【符号の説明】
1 顔料
Claims (5)
- 少なくとも顔料と樹脂とからなり溶液中でその粒子製造方法が行われるトナーであって、
濃度2.5重量%の水分散液で層厚0.2mmにおける濁度値が50ppm以下である顔料が用いられてなり、顔料は、ピグメントナンバーがC.I.PigmentRed185であるマゼンタ顔料からなり、スルホン基を1つ導入したモノスルホン化顔料20〜40wt%と、残り60〜80wt%の未反応顔料となされたことを特徴とするトナー。 - 少なくとも顔料と樹脂とからなり溶液中でその粒子製造方法が行われるトナーであって、
濃度2.5重量%の水分散液で層厚0.2mmにおける濁度値が50ppm以下である顔料が用いられてなり、顔料は、ピグメントナンバーがC.I.PigmentYellow194であるイエロー顔料からなり、スルホン基を1つ導入したモノスルホン化顔料20〜40wt%と、残り60〜80wt%の未反応顔料となされたことを特徴とするトナー。 - 前記顔料の含有量が6〜20wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 前記顔料が、アシッドペースト法、またはアシッドスラリー法で生成されることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 乳化凝集にて製造されてなる請求項1または2に記載のトナー。
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