JP4059920B2 - 癌自己関連抗原特異的ヒト細胞障害性t細胞の産生とその使用 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は概して言えば、癌自己関連抗原(carcinoma self-associated antigen)に特異的なヒト細胞障害性T細胞の産生と、例えばエピトープマッピングや養子細胞療法などにおけるその使用に関する。
発明の背景
癌などヒトの組織細胞の悪性増殖の治療には、いくつかの方法が使用されている。同定された様々な方法は特定の癌の治療には成功することも多いが、種類の異なる癌が数多く存在することが一つの問題点となっている。従って、あるタイプの癌を治療する薬物が、別のタイプの癌には無効であるということがしばしば起こる。
癌の相違に起因するこの問題点を克服しようと試みる一方法が免疫療法である。このような方法を用いれば、特定の癌の治療法を、免疫系によって選択させ、編み出させることができる。このような方法で使用できる特定のエピトープを含む抗原を選択及び/又は同定できるということは、極めて重要である。
ヒトMHC分子と結合する特殊なペプチドが、黒色腫関連抗原について同定された。Darrow, T.L.ら, J. Immunol 142: 3329-3335(1989);Hom, S.S.ら, J. Immunother 10: 153-164(1991);Cox, A.L.ら, Science 264: 716-719(1994);Olive, D.ら, Cancer Vaccine Symposium. Cancer Research Institute,10月3〜4日(1994)。MHCクラスI及び/又はクラスIIペプチド複合体は、ヒトT細胞によって認識されると報告されている。したがって、サイトカインや補刺激分子(co-stimulatory molecule)によってT細胞を活性化できるということは、極めて重要である。
ヒトT細胞によって認識されうるヒト癌関連抗原及びエピトープの同定も現在活発に研究されている。そのような候補としては、前立腺特異性抗原(PSA)[Oesterling, J.E., J. Urol. 145: 907-923(1991);Peace, D.J.ら, Cancer Vaccine Symposium., Cancer Research Institute.,10月3〜5日(1994)]、neu/c-erbB2[Fisk, B.ら, Int. J. Oncology 5: 51-63(1994)]、MUC-1[Ioannides, C.G.ら, J. Immunol. 151: 3693-3703(1993)]、点変異ras[Tsang, K.Y.ら, Vaccine Research(印刷中);Jung, S.ら, J. Exp. Med. 173: 273-276(1991);Fenton, S.ら, J. Natl. Cancer Inst. 85: 1294-1302(1993)]、点変異p53[Houblers, J.G.A.ら, Eur. J. Immunol. 23: 2072-2077(1993)]及び癌胚抗原(CEA)[Kantor, J.ら, J. Natl. Cancer Inst. 84:1084-1091(1992);Kantor, J.ら, Cancer Res. 52: 6917-6925(1992);Ras, E.ら, European Immunology meeting,バルセロナ,1994年6月]などの分子が挙げられる。一つの問題点は、これらの抗原の多くが正常な自己抗原であり、それゆえに、これらが治療的な方法に必要なタイプの免疫応答を誘発することは期待できないということである。
例えば、ヒトCEAはヒトの結腸直腸、胃及び膵臓癌の大半、乳癌の約50%、非小細胞(non-small cell)肺癌の70%に大量に発現するが[Thompson, J.A.ら, J. Clin. Lab. Anal. 5: 344-366(1991)]、CEAは正常な結腸上皮といくつかの胎生組織にも少なくともある程度は発現する。CEA遺伝子は配列決定されており、ヒト免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの一部であることがわかっているので、正常なヒト組織に認められる他の分子とかなりの相同性を共有する。
Thompson, J.A.ら, J. Clin. Lab. Anal. 5: 344-366(1991);Oikawa, S.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun 144: 634-642(1987)。アミノ酸レベルでは、CEAは正常な顆粒細胞上に認められるNCA(非特異的交差反応抗原)と約70%の相同性を共有する。Thompson, J.A.ら,同上。
しかし、正常な人やガン患者におけるCEAの免疫原性については、ひょっとしてそのようなこともあるかと疑ってみる程度でしかない。いくつかの報文は患者におけるCEAに対する抗体を主張しているが[Staab, HJ.ら, Br. J. Cancer 42: 26-33(1980);Mavligit, G.M.ら, Cancer(Phila)52: 146-149(1983)]、他の報文はこれらの観察がアーチファクトであるとしている[Collatz, E.ら, Int. J. Cancer 8: 298-303(1971);Chester, K.A.ら, Clin. Exp. Immunol. 58: 685-693(1984);Ura, Y.ら, Cancer Lett. 24: 283-295(1985)]。CEAに応答するT細胞の存否に関する報告は存在しない。
免疫応答には2つのタイプ、すなわち、抗体を産生する抗原特異的応答と細胞障害性T細胞を誘発する細胞特異的応答がある。
自己抗原に対する免疫応答を誘発する方法の改善は、極めて有用ある。
例えば、自己抗原によって誘発された細胞障害性T細胞は、体細胞療法、細胞障害性T細胞応答を誘導するエピトープ及び小ペプチドの同定、並びに特異的細胞障害性T細胞応答を増進する化合物に関する薬物検査に使用できる。
また、癌自己関連抗原に特異的なヒト細胞障害性T細胞が利用できれば、T細胞によって認識されるエピトープのマッピングも可能になる。そうすれば、これらのエピトープを用いて免疫系を初回抗原刺激又は追加抗原刺激することによって、生体内又は試験管内でT細胞集団を増殖させることもできるようになる。次いでこの試験管内の細胞を、TIL細胞療法で現在行われているように患者に戻し、その抗原を発現する腫瘍の治療に使用することができる。
発明の要約
本発明者らは、その宿主内で発現能を持つプロモーターに操作可能に連結した癌自己関連抗原またはその細胞障害性T細胞誘発性エピトープをコードするDNA断片を含有する少なくとも1つの挿入部位を持つ組換えDNAウイルスベクター(好ましくはポックスウイルスベクター)を用いることによって、癌自己関連抗原に特異的なヒト細胞障害性T細胞を産生できることを発見した。この方法では、細胞障害性T細胞の産生を刺激するために、十分な量の上記組換えポックスウイルスベクターを宿主内に導入し、その後定期的に、その宿主を追加抗原と接触させることが好ましい。追加抗原は、異なるポックス属に由来する第2のポックスウイルスを用いて加えてもよい。もう1つの態様では、宿主を抗原と接触させることによって、追加抗原を加える。その抗原はアジュバントを用いて製剤化してもよいし、リポソーム製剤中に製剤化してもよい。
また本発明者らは、癌自己関連抗原の細胞障害性T細胞誘発性エピトープを用いて、癌自己関連抗原に特異的なヒト細胞障害性T細胞を産生できることをも発見した。この方法では、細胞障害性T細胞の産生を刺激するために、宿主内にT細胞誘発性エピトープを導入することが好ましい。必要であれば、その細胞障害性T細胞の産生を増大させるために、その後定期的に、宿主を追加のT細胞誘発性エピトープと接触させる。このエピトープはアジュバントを用いて製剤化してもよいし、リポソーム製剤中に製剤化してもよい。別法として、追加のT細胞誘発性エピトープを、ポックスウイルスベクターを用いて加えてもよい。
癌自己関連抗原としては、例えば癌胚抗原(CEA)、前立腺特異性抗原(PSA)、TAG-72、IL-2r及びneu/c-erbB-2が挙げられるが、CEAが好ましい。
癌自己関連抗原の細胞障害性T細胞誘発性エピトープも使用できる。CEAについて言えば、配列表に配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10として記載したペプチドが好ましいエピトープとしてあげられる。
ポックスウイルスは、シューポックス(suipox)ウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス及びオルトポックスウイルスからなるポックスウイルス群から選択することが好ましい。好ましいオルトポックスとしては、ワクシニア、ウサギポックス及びアライグマポックスが挙げられる。好ましいアビポックスとしては、家禽ポックス、カナリヤポックス及びハトポックスが挙げられる。より好ましいアビポックスは家禽ポックスであり、好ましいシューポックスはブタポックスである。
ワクシニアウイルスベクターは強い抗体応答を誘発しうるので、ワクシニアベクターによる多数の追加抗原刺激は可能ではあるものの、その反復使用は好ましくない。本発明者らは、異なる属に由来するポックスを用いて追加抗原刺激することによって、この感受性の問題を最小限に抑えうることを発見した。本発明によれば、このような問題を避けるために、第1、即ち最初のポックスウイルスベクターがワクシニアであれば、第2とそれ以降のポックスウイルスベクターは、異なる属に由来するポックスウイルス、例えばワクシニア以外のシューポックス、アビポックス、カプリポックスなどから選択することが好ましい。
アジュバントとしては、例えばRIBIデトックス(Detox)、Q521及び不完全フロインドアジュバントが挙げられる。リポソーム製剤も使用できる。
本発明に従って産生される癌自己関連抗原に特異的なヒト細胞障害性T細胞は、ヒト宿主から単離することができる。これらの細胞は、薬物検査に使用したり、細胞障害性T細胞誘発性抗原エピトープのマッピングに用いたり、養子細胞療法に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1Aと図1Bは、CEA CAP-1ペプチドで誘導した、rV-CEAで免疫化した患者に由来するT細胞系[V24T(図1A)及びV6T(図1B)と命名]の細胞毒性を表す。CAP-1ペプチド(50μg/ml)と共に培養したT2細胞を標的とする18時間111In-放出検定法で、CTL活性を決定した。
図2は、CEAペプチドを適用(パルス)した自己B細胞の刺激に応答して起こるTVAC24細胞系によるTNF-αの分泌を示す。自己B細胞及びCEAペプチド(50μg/ml)と共にV24T細胞を3日間培養する間に、ELSIAを用いて、上清をTNF-α分泌についてスクリーニングした。
発明の詳細な説明
本発明者らは、組換えウイルスベクター(すなわちワクシニアウイルスのようなポックスベクター)にCEA遺伝子を挿入することによって、ガン患者中のCEAに対するT細胞免疫を誘導した。ワクシニアがベクターとして好ましい理由はいくつかある。例えば(a)天然痘の撲滅に際して人間に広く使用されたこと;(b)専門的な(professional)抗原提示細胞を含む広範囲の細胞に感染し、挿入遺伝子産物を、それがクラスI及び/又はクラスII MHC分子との関連でプロセシングされる可能性を持つように発現させ得ること及び(c)樹立されたCEA発現性腫瘍に対する抗腫瘍効果を誘導するには、可溶性CEAを使用するより、組換えヒトCEAワクシニアウイルス(rV-CEAと命名)を使用した方がよいことが、動物モデル研究で示されていることなどが、その理由に含まれる。Kantor, J.ら, J. Natl. Cancer Inst. 84: 1084-1091(1992)。これらの発見は、rV-CEAを接種した動物におけるCEA特異的なCTLの出現と相互に関連した。Kantor, J.ら,同上。
動物モデル研究によって、実際にrV-CEAが、生体内の哺乳類細胞に、免疫応答を誘導するようなレベルに感染できることと、毒性を持たないことが明らかになっている。
rV-CEAはアカゲザルにも投与されており、毒性を伴わずにCEA特異的T細胞応答を誘導することが示されている。Kaptor, J.ら, Cancer Res 52: 6917-6925(1992)。
細胞障害性T細胞系は、癌自己関連抗原の細胞障害性T細胞誘発性エピトープを用いて生成させることもできる。
本明細書において「癌自己関連抗原」とは、その動物が本来有しているものであり、悪性腫瘍に関連する(associated)抗原を意味する。好ましい自己関連抗原としては、例えばCEA、PSA、neu/c-erbB-2、TAG-72及びIL-2rが挙げられる。さらに、その抗原がCEA及びPSAであることが好ましく、CEAがより好ましい。
ウイルスベクター
癌自己関連抗原又は細胞障害性T細胞誘発性エピトープをコードする異種DNA配列を含有する組換えDNAウイルスを製造するための基本的技術は当業者に知られており、例えば、上記DNA配列に隣接する供与プラスミド中のウイルスDNA配列と、親ウイルス中に存在する相同配列との間の相同組換えを伴う(Mackettら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7415-7419(1982))。例えば、上記遺伝子を送達するには、ポックスウイルスベクターのような組換えウイルスベクターを使用できる。このベクターは、例えば当該技術分野で知られる方法(例えば米国特許第5,093,258号(この特許の開示は参考文献として本明細書の一部を構成する)に記載の家禽ポックスウイルスの合成組換え体を作成するための方法と類似の方法)で構築できる。他の技術としては、親ウイルスベクターに元々存在するか、もしくは人工的に挿入された、ユニークな制限エンドヌクレアーゼ部位を用いて、異種DNAを挿入することが挙げられる。
本発明の実施に有用なポックスウイルスとしては、オルトポックスウイルス、シューポックスウイルス、アビポックスウイルス及びカプリポックスウイルスが挙げられる。
オルトポックスには、ワクシニアとエクトメリア(ectomelia)、アライグマポックスが含まれる。好ましいオルトポックスはワクシニアである。
アビポックスには、家禽ポックス、カナリヤポックス及びハトポックスが含まれる。好ましいアビポックスは家禽ポックスである。
好ましいシューポックスはブタポックスである。
使用できる他のウイルスベクターには、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、ポリオウイルス及びアデノウイルスが含まれる。
例えば、ウイルスに挿入しようとするDNA遺伝子配列を、そのDNAを挿入しようとするDNA区域(例えばポックスウイルスの挿入部位の区域)と相同なDNAが既に挿入されている供与プラスミド(例えば大腸菌プラスミド構築物)に挿入することができる。これとは別に、挿入しようとするそのDNA配列をプロモーターに連結する。プラスミド構築物におけるプロモーター−遺伝子連鎖の位置は、所望の挿入領域であるポックスDNAの領域に隣接するDNA配列と相同なDNAが、そのプロモーター−遺伝子連鎖の両端に隣接するように定める。親ポックスベクターウイルスには、ポックスプロモーターを使用する。次に、得られたプラスミド構築物を大腸菌細菌内での生育によって増幅させ、それを単離する。そのプラスミドは、大腸菌複製起点のような複製起点と、大腸菌における選択及び増殖用の抗生物質耐性遺伝子のようなマーカーをも含有することが好ましい。
次に、挿入しようとするDNA遺伝子配列を含有する単離したプラスミドを、親ウイルス(例えばポックスウイルス)と共に、細胞培養(例えばヒヨコ胚繊維芽細胞)にトランスフェクションする。プラスミド中の相同なポックスDNAとウイルスゲノムとの間の組換えによって、組換えポックスウイルス(そのゲノムには、ウイルス生存能に影響を与えない位置に、上記プロモーター−遺伝子構築物が存在する)が得られる。
前記のように、結果として得られた組換えウイルスのウイルス生存能に影響を与えない(ウイルス中の)領域(挿入領域)に、遺伝子が挿入される。例えば、組換え体のウイルス生存能に重大な影響を与えることなく組換え体を形成させることができる領域の有無について、ウイルスDNAの各部分を無作為に試験することによって、当業者はウイルス中のこのような領域を容易に同定できる。容易に使用することができ、かつ、多くのウイルスに存在する領域の一つは、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子である。例えば、TK遺伝子は、調べられた全てのポックスウイルスゲノムに見つかっている[レポリポックスウイルス(leporipoxvirus):Uptonら, J. Virology, 60:920(1986)(ショープ繊維腫ウイルス);カプリポックスウイルス:Gershonら, J. Gen. Virol. 70:525(1989)(ケニヤシープ-1);オルトポックスウイルス:Weirら, J. Virol. 46:530(1983)(ワクシニア);Espositoら, Virology, 135:561(1984)(サルポックス及び天然痘ウイルス);Hrubyら, PNAS 80:3411(1983)(ワクシニア);Kilpatrickら, Virology 143:399(1985)(ヤバ猿腫瘍ウイルス);アビポックスウイルス:Binnsら, J. Gen. Virol. 69:1275(1988)(家禽ポックス);Boyleら, Virology, 156:355(1987)(家禽ポックス);Schnitzleinら, J. Virological Methods, 20:341(1988)(家禽ポックス、ウズラポックス);昆虫ポックス(Lytvynら, J. Gen. Virol. 73:3235-3240(1992)]。
ワクシニアの場合は、TK領域に加えて、例えばHindIII Mなどが他の挿入領域として挙げられる。
家禽ポックスの場合は、TK領域に加えて、例えばBamHI J[Jenkinsら, AIDS Research and Human Retroviruses 7:991-998(1991)]、EPO出願番号0 308 220 A1に記載のEcoRI-HindIII断片、BamHI断片、EcoRV-HindIII断片、BamHI断片及びHindIII断片[Calvertら, J. of Virol. 67:3069-3076(1993);Taylorら, Vaccine 6:497-503(1988);Spehnerら, (1990)及びBoursnellら, J. of Gen. Virol. 71:621-628(1990)]などが他の領域として挙げられる。
ブタポックスにおける好ましい挿入部位としては、チミジンキナーゼ遺伝子領域が挙げられる。
遺伝子を挿入領域に挿入するという必要条件に加えて、挿入された遺伝子が修飾ポックスウイルスによって正しく発現されるためには、所望の遺伝子に操作可能に連結された(すなわち、挿入された遺伝子に対して適正な関係にある)プロモーターの存在が必要である。プロモーターの位置は、発現させようとする遺伝子の上流にプロモーターが存在するように定めなければならない。プロモーターは当該技術分野では良く知られており、目標にしようとする宿主や細胞タイプに応じて容易に選択できる。例えばポックスウイルスの場合は、ワクシニア7.5Kプロモーター、40Kプロモーターまたは家禽ポックスプロモーター(例えばFPV C1A)などのポックスウイルスプロモーターを使用するのがよい。発現レベルを増大させるために、エンハンサー要素を組み合わせて使用することもできる。さらに、いくつかの態様では、やはり当該技術分野で良く知られている、誘導性プロモーターを使用することが好ましい。
細胞障害性T細胞の産生
所望の自己関連抗原に特異的な細胞障害性T細胞は、約105〜109pfuの範囲の組換えポックスウイルス(前記のように構築したもの)を宿主に投与することによって、生じさせることができる。好ましい宿主はヒトである。しかし、ヒト型の免疫系を持つ形質転換動物(例えばマウス)も使用できる。その後、間隔を置いて少なくとも1回は(1〜3ヶ月後が好ましい)、追加抗原またはそのT細胞刺激性エピトープを宿主に投与することによって、その免疫応答を強化する。さらに好ましくは、少なくとも2回目の「追加抗原刺激」を、好ましくは最初の追加抗原刺激の1〜3ヶ月後に行なう。その抗原は、好ましくは異なるポックス属に由来する第2のポックスウイルスベクターを用いて投与するか、もしくは例えばアジュバントやリポソームを用いて直接投与することができる。サイトカイン(例えばIL-2)や補刺激分子(例えばB7.1、B7.2)を生物アジュバントとして使用してもよく、これらは宿主に全身的に投与することもできるし、その分子をコードする遺伝子を組換えポックスベクターに挿入することによって同時投与することもできる。
アジュバントとしては、例えばRIBIデトックス(Ribi Immunochemical)、QS21及び不完全フロイントアジュバントが挙げられる。
細胞障害性T細胞は、宿主から得た末梢血単核細胞(PBMC)から単離できる。例えば、PBMCは、既に記述されているように[Boyumら, Scand J. Clin. Lab. Invest. 21:77-80(1968)]、リンパ球分離培地(Lymphocyte Separation Medium)勾配(Organon Teknika,米国ノースカロライナ州ダラム)を用いることによって分離できる。洗浄したPBMCを、完全培地、例えば10%プール(pool)ヒトAB血清(Pel-Freeze Clinical System, 米国ウィスコンシン州ブラウンディア)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を補足したRPMI1640(GIBCO)に再懸濁する。完全培地(例えば100μl)中の約2×105細胞を、96ウェル平底検定プレート(Costar,米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)の各ウェルに加える。その培養に、抗原またはペプチドを約50μg/mlの最終濃度で加え、5%CO2を含む湿潤雰囲気中、37℃で培養する。5日後、その培養に新鮮なヒトIL-2(10U/ml)を加え、3日毎にIL-2含有培地を補充する。第16日に、一次培養を同じペプチド(50μg/ml)で再刺激する。完全培地約50μl中の5×105個の被照射(4,000ラド)自己PBMCを、抗原提示細胞(APC)として加える。約5日後、既に記述されているように、ヒトmIL-2含有培地を培地に加える。細胞を16日間隔で5日間再刺激する。
エピトープマッピング
本発明の細胞障害性T細胞を用いて、細胞障害性T細胞を誘発する癌関連自己抗原のエピトープを決定することができる。例えば、抗原(蛋白質)を多数のペプチド断片に切断することもできるし、あるいはその断片を化学的に合成することもできる。次に、細胞障害性T細胞を培養し、異なるウェルに異なる断片を加えることができる。エピトープとして予め選択しておいたペプチド断片の1つを認識するT細胞のみが増殖し続けるので、それを容易に同定することができる。
次に、全蛋白質を使用する代わりにこれらの断片を用いて、細胞障害性T細胞を誘発することができる。また、細胞障害性T細胞応答を誘発する能力を増進させるために、そのエピトープを含有する他の断片を調製することもできる。
これらの断片に対する修飾は当該技術分野で良く知られており、複合体や特定のアミノ酸残基(例えばシスチン)などの使用が挙げられる。
薬物検査
細胞障害性T細胞応答を引き起こす抗原の能力を増進する化合物をスクリーニングするために、細胞障害性T細胞を用いることもできる。例えば、マイクロタイタープレート中で、細胞障害性T細胞を選択したエピトープと共に培養することができる。次に、試験しようとする化合物(例えば薬物)をそのウェルに加え、T細胞の成長を測定する。T細胞の増殖は、その試験化合物がT細胞応答を増進することを示す。このような化合物に対して、さらに評価を行なうことができる。
治療
細胞障害性T細胞を培養することによってその数を増幅した後、それを種々の手段で宿主に注射し直すことができる。一般的には、1回の注入につき1×105〜2×1011個の細胞障害性T細胞を、例えば200〜250mlの注入液として、それぞれに30〜60分かけて、1〜3回投与する。この注入が完了した後、720,000IU/体重(kg)の投与量の組換えインターロイキン-2を、8時間毎に、患者に静脈内投与してもよい。ただし、この薬物に対する患者の耐性に応じて、何回かは投与を省略してもよい。加えて、T細胞数をさらに増加させるために、注入後、追加の抗原またはT細胞誘発性エピトープを含有する断片を患者に投与してもよい。その抗原またはエピトープは、アジュバントを用いて製剤化することができ、かつ/または、リポソーム製剤に製剤化することもできる。
細胞障害性T細胞の抗腫瘍活性を増大させる試みとして、TNFをコードするDNAを含有するウイルスベクターを導入することによって細胞障害性T細胞を修飾し、それを宿主に再導入することもできる。他のサイトカインも使用できる。
非経口投与の場合、組換えベクターまたは細胞障害性T細胞は通例、滅菌した水性または非水性の溶液、懸濁液または乳液として、医薬的に許容しうる非経口用担体(生理食塩水など)と共に注射される。
参考例1:ベクターの構築
ポックスウイルス
いくつかのポックスウイルスが、異種蛋白質発現用の生ウイルスベクターとして開発されている(Cepkoら, Cell 37:1053-1062(1984);Morinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4626-4630(1987);Loweら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3896-3900(1987);Pancicali及びPaoletti, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:4927-4931(1982);Machettら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7415-7419(1982))。代表的な家禽ポックスとブタポックスウイルスは、ATCCからそれぞれ受託番号VR-229及びVR-363として入手することができる。組換えワクシニア-CEAは、ATCCから受託番号VR2323として入手できる。
親ベクターとの生体内組換え用のDNAベクター
所望の癌関連抗原をコードする遺伝子を、親ウイルス蛋白質の全てが正常に発現すると共に、上記遺伝子がポックスウイルスによって発現され得るような方法で、ポックスウイルスのゲノムに挿入する。これは、まずポックスウイルスとの生体内組換え用のDNA供与ベクターを構築することによって、達成できる。
一般に、DNA供与ベクターは次の要素を含有する。
(i)原核性複製起点(そのベクターが原核宿主中で増幅できるように)。
(ii)そのベクターを含有する原核宿主細胞の選択を可能にするマーカーをコードする遺伝子(例えば抗生物質耐性をコードする遺伝子)。
(iii)所望の蛋白質をコードする少なくとも1つの遺伝子であって、その遺伝子の発現を制御できる転写プロモーターに隣接して位置するもの。
(iv)外来遺伝子を挿入しようとする親ウイルスゲノム中の領域に相同なDNA配列であって、要素(iii)の構築物に隣接するもの。
複数の外来遺伝子をポックスウイルスに導入するための供与プラスミドの構築法は、WO91/19803に記述されている(その技術は参考として本明細書の一部を構成する)。一般に、供与ベクターの構築に供されるDNA断片は全て、転写プロモーターを含有する断片や、外来遺伝子を挿入しようとする親ウイルスゲノムの領域に相同な配列を含有する断片を含めて、ゲノムDNAまたはクローン化されたDNA断片から得ることができる。供与プラスミドは、一価でも、二価でも、多価でも構わない(すなわち、1またはそれ以上の外来遺伝子配列を含有することができる)。
供与ベクターは、挿入された外来DNAを含有する組換えウイルスの同定を可能にするマーカーをコードする追加遺伝子を含有することが好ましい。いくつかのタイプのマーカー遺伝子を使用して、組換えウイルスの同定と単離を可能にすることができる。これらの遺伝子としては、抗生物質耐性または化学物質耐性をコードする遺伝子(例えばSpyropoulosら, J. Virol. 62:1046(1988);Falkner及びMoss, J. Virol. 62:1849(1988);Frankら, Mol. Cell. Biol. 5:1918(1985)を参照)や、比色検定法による組換えウイルスプラークの同定を可能にする大腸菌lacZ遺伝子のような遺伝子(Panicaliら, Gene 47:193-199(1986))が挙げられる。
ウイルスゲノムへの外来DNA配列の組込みと組換え体の単離
感染細胞における供与プラスミドDNAとウイルスDNAの間の相同組換えにより、所望の要素が組込まれた組換えウイルスが形成される。生体内組換えに適した宿主細胞は、一般に、そのウイルスに感染でき、そのプラスミドベクターによってトランスフェクションされうる真核細胞である。ポックスウイルスとの使用に適したそのような細胞の例は、ヒヨコ胚繊維芽細胞、HuTK143(ヒト)細胞、CV-1及びBSC-40(共にサル腎臓)細胞である。ポックスウイルスによる細胞の感染と、プラスミドベクターによるこれらの細胞のトランスフェクションは、当該分野で広く使用されている技術によって達成される(Panicali及びPaoletti, 米国特許第4,603,112号、WO89/03429)。
生体内組換えの後、いくつかある技術の1つを用いて、組換えウイルス子孫を同定することができる。例えば、DNA供与ベクターが親ウイルスチミジンキナーゼ(TK)遺伝子中に外来遺伝子を挿入するように設計されているなら、組込まれたDNAを含有するウイルスはTK-となり、これに基づいて選択することができる(Mackettら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79:7415(1982))。別法として、課題の外来遺伝子と、マーカーまたは指示(インジケーター)遺伝子をコードする遺伝子との同時組込みを用いて、組換え子孫を同定することもできる。好ましい指示遺伝子の一つは、大腸菌lacZ遺伝子である。この酵素の発色性基質を用いると、β-ガラクトシダーゼを発現する組換えウイルスを選択することができる(Panicaliら, Gene 47:193(1986))。
生体内組換えの後、いくつかある技術の1つで、組換えウイルス子孫を同定することができる。組込まれた外来DNAの存在は、挿入されたDNAに特異的な標識DNAプローブとのハイブリッド形成によって、検出することができる。しかし、選択技術としては、前記のように、課題の遺伝子とマーカーまたは指示遺伝子をコードする遺伝子との同時組込みに基づくものが好ましい。好ましい指示遺伝子は、酵素β-ガラクトシダーゼをコードする大腸菌lacZ遺伝子である。β-ガラクトシダーゼを発現する組換えウイルスの選択は、この酵素の発色性基質を使用することによって、行なうことができる。例えば、組換えウイルスは、基質5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトシダーゼまたは他のハロゲン化インドリル-β-D-ガラクトシダーゼ(例えばBluGalTM)の存在下に、青いプラークとして検出される。
組換えウイルスによって発現されるウイルス抗原の特徴づけ
組換えウイルスを同定したら、様々な方法を用いて、挿入された遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現を検定する。これらの方法としては、黒プラーク(black plaque)検定法(元来ウイルスプラークに対して行われる酵素免疫検定法)、ウエスタンブロット分析、放射線免疫沈降法(RIPA)及び酵素免疫検定法(EIA)が挙げられる。
実施例1:マウスモデルにおける細胞障害性T細胞応答
材料と方法
細胞
MC-38マウス結腸腺癌細胞系は、S. Rosenberg博士(National Cancer Institute, メリーランド州ベセスダ)の研究室から得た。ヒトCEAを発現する派生細胞系(MC-38-CEA-2と命名した)は、レトロウイルス発現ベクターpBNCによるヒトCEA遺伝子の形質導入によって開発された。これについては、既に記述されている。Robbins, PFら, Cancer Res 1991; 51:3657-62。
組換えバクロウイルスCEA(bV-CEA)
組換えバクロウイルスCEA(bV-CEA)は、BVCEA-140として、既に記述されている。Salgaller, MLら, Cancer Res. 1993; 53:2154-61。bV-CEAは完全長ヒトCEA遺伝子をコードし、140kDaから110kDaの範囲の数種類の分子量種を発現する。これらの産物は、CEAの3つの反復ドメイン間の相同組換えによる組換えbV-CEA蛋白質の遺伝子的な不均一性を反映している。bV-CEAは、既に記述されているように、感染スポドプテラ・フルギペルダ(Spodptera frugiperda)細胞の全細胞抽出物から精製した。Salgaller, MLら, Cancer Res, 1993; 53:2154-61。bV-CEAが少なくとも10個のCEAエピトープを含有することは、異なるモノクローナル抗体に対する反応性によって既に示されている。Bei, R.ら, Mole Immunolo 1994; 31:771-780。bV-CEAは単純な高マンノース型炭水化物と二分岐及び二分岐混成炭水化物のみを含有することがわかった。これに対し、天然のCEAは三分岐及び四分岐複合糖をも含有する。Bei, R.ら, Mole. Immunolo. 1994; 31:771-780。bV-Vについては、既に記述されている。Salgaller, MLら, Cancer Res. 1993; 53:2154-61。これは、CEA挿入物を含まず、シャトルベクターのみを含有する組換えバクロウイルスである。
組換えワクシニアCEA(rV-CEA)
組換えワクシニアCEAは、Kantor, J.ら, Cancer Res. 1992; 52:6917-25(この報文の開示は参考文献として本明細書の一部を構成する)に既に記述されている方法により得た。
天然CEA(nCEA)
市販の精製ヒトCEA(天然CEAなのでnCEAと呼ぶ)をVitro Diagnostic(コロラド州リトルトン)から購入した。これは、肝臓腺癌に由来する。
免疫化操作
6〜8週齢の雌C57BL/6マウスを使用して、異なる免疫化法を実施した。動物を精製天然CEA(nCEA)または組換えCEA(bV-CEA)で免疫化した。10匹からなる各群に、アジュバント中のヒトCEA、精製bV-CEAまたはPBSのみを、14日間隔で皮下に3回投与した。各動物に、各免疫化法について、25μgの精製蛋白質を与えた。リン酸緩衝食塩水(PBS)(Biofluids Inc.,メリーランド州ロックビル)200μl中の25μgのモノホスホリル脂質A(mPL)+合成トレハロースジコリノミコレート(trehalose dicorynomycolate;TDCM)+細胞壁骨格(CWS)アジュバント(RIBI Immunochem Research, Inc.,モンタナ州ハミルトン)に、免疫原を乳化した。他の動物群を、組換えワクシニアCEA(rV-CEA)で初回抗原刺激した後、精製蛋白質で免疫化した。各群の10匹に、尾乱切によって、PBS10μl中の1×107プラーク形成単位(pfu)のrV-CEAを接種した。次いで、アジュバント中の25μgのnCEA、精製bV-CEAまたはPBSで、その動物を14日おきに2回、追加抗原刺激した(つまり、すべてのの免疫化にRIBIアジュバントを使用した)。
抗CEA抗体力価の測定
C57BL/6雌マウスを前記のように免疫化した。最後の免疫処置の7日後に血清を集め、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)で抗CEA抗体の存在を検定した。簡単に述べると、bV-CEA並びにbV-VとnCEAをPBSで希釈し、その混合物の1μlを塩化ポリビニル製マイクロタイタープレート(Dinatech, バージニア州シャンティイ)中、37℃で終夜培養した。ウェルをPBS中の5%ウシ血清アルブミン(BSA)で、37℃で1時間処理し、希釈度の異なる血清を加えた。37℃で1時間培養した後、プレートをPBS中の1%BSAで洗浄した。ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス(Gibco BRL)を加えた後、37℃で1時間培養した。洗浄後、H2O2の存在下にo-フェニレンジアミン二塩酸塩を加えた。発色後、50μlのH2SO4で反応を停止し、490nmの吸光度を読み取った。血清の力価を、光学密度(O.D.)が1.2に到達するのに必要な希釈率と定義した。
リンパ組織増殖検定
リンパ球の増殖を測定する検定法によってT細胞活性化の誘導を分析するため、C57BL/6を前記のように免疫化した。最後の免疫処置の1ヶ月後、脾臓を摘出し、網目ふるいを通して機械的に分散させ、無血清RPMI1640培地(Gibco,メリーランド州ガイサースブルク)で2回洗浄した。フィコール・ハイパック勾配(密度=1.119g/ml)(Sigma Chemical Co.,ミズーリ州セントルイス)上で遠心分離することによって、赤血球と死細胞を除去した。次に、培養(37℃、30分)し、ナイロンウールカラム(Robbins Scientific Corp.,カリフォルニア州サニーヴェール)を通すことによって、その単核細胞集団から接着性細胞を枯渇させ、高T細胞含有画分を得た。Tリンパ球を洗浄し、15mM HEPES(pH7.4)、5%熱不活化ウシ胎児血清、2mM L-グルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、100U/mLストレプトマイシン(以上、すべてGibco BRL(メリーランド州ガイサースブルク)製)及び5×10-5β-メルカプトエタノール(Sigma Chemical Co.)を補足したRPMI-1640培地に再懸濁した。
Tリンパ球(2×105/ウェル)を、抗原提示細胞としての被照射正常同系脾細胞(5×105/ウェル)の存在下に、種々の刺激物質(コンカナバリンA(ConA)(Sigma Chemical Co.)、nCEA(Vitro Diagnostic)、bV-CEAまたは精製卵白アルブミン(Sigma Chemical Co.)など)と共に、もしくは刺激物質を加えないで、培養した。培養は96ウェル平底プレート(Coaster Corp.,マサチューセッツ州ケンブリッジ)中で3日(ConA)または5日(抗原類)まで行なった。培養の最後の18〜24時間、培養物に3H-チミジン(1μCi/ウェル)(Du Pont/NEN Research Products,デラウェア州ウィルミントン)を適用(パルス)した。PhD細胞収集器(Cambridge Technology,マサチューセッツ州ケンブリッジ)で細胞を集め、取り込まれた放射活性を液体シンチレーション分光法(LS3801計数器;Beckman Instruments,カリフォルニア州ドゥアーテ)によって測定した。
CEA形質導入腫瘍(MC-38-CEA-2)の成長の阻害
最後の免疫処置の7日後に、2×105MC-38-CEA-2腫瘍細胞を、皮下注射によって移植した。動物を毎週、腫瘍の存在について検査した。測径器で腫瘍の幅と長さを測定し、(幅2×長さ)/2という式を用いて体積を計算した。
結果
先ず、nCEAが、rV-CEAを既に投与されているマウスにおける追加抗原刺激として作用する能力について、マウスを評価した。「材料と方法」の項に述べたように、nCEA、bV-CEAまたは対照PBSを免疫原として使用したこの研究では、全ての注射にRIBIアジュバントを使用した。マウスにrV-CEAを1回投与した後、PBSを2回追加投与した場合、nCEAに対する抗体力価は中程度、すなわち1:250であった。その免疫血清をbV-CEAに対して試験した場合も同様の力価が認められた。マウスにrV-CEAを1回注射した後、nCEAを2回投与すると、抗体力価は、nCEA(1:3,450)とbV-CEA(1:4,500)のどちらに対しても、少なくとも10倍高かった。過去の研究では、マウスにnCEAを3回投与した場合、抗体力価は、nCEAに対して平均1:1,600、bV-CEAに対して平均1:2,950であることが示されている。
次に、rV-CEAを1回抗原投与した後、nCEAを2回抗原投与するという免疫化法が、CEAに対する特異的T細胞応答を増大させうるかどうかを決定するために、試験を行なった。これらの実験の結果を、nCEA、bV-CEA並びに対照抗原卵白アルブミン及びConAに対するT細胞増殖応答として、表1に記載する。また、これらの結果を、「リンパ球刺激指数」(LSI)として表2に示す。LSIは、試験抗原の3H-チミジン取り込み量を対照抗原卵白アルブミンの3H-チミジン取り込み量で割った値である。表1及び2からわかるように、マウスをPBSで3回、もしくはnCEAで3回、またはrV-CEAで1回とPBSで2回、あるいはrV-CEAで1回とnCEAで2回免疫処置すると、ConAに関するLSI値は110から240の範囲となった。しかし、感作マウスの脾細胞を10μg/mlのnCEAを用いて分析すると、rV-CEAの抗原投与1回とPBSの投与2回に対する増殖応答は、マウスにrV-CEAに与えてnCEA抗原を2回与えた場合のLSI値26.6に対して、1.9であった。また、感作マウスの脾細胞を100μgのnCEAに対して試験すると、nCEAの抗原を3回投与したマウスの脾細胞のLSIは、1回のrV-CEA注射と2回のnCEA注射を受けたマウスの72.7に対して、39.6であったことにも注目すべきである。感作マウスの脾細胞を、bV-CEAを免疫原として用いる増殖応答について試験した場合も、同様の結果が認められた。これらの研究は、nCEAが単独でCEAに対するT細胞応答を誘発しうること、また、nCEAをrV-CEAと組み合わせて用いても(おそらくはより有効に)特異的抗CEA T細胞応答を誘発できることを立証している。
CEA発現性腫瘍細胞による攻撃に対してマウスを免疫化するために、種々の免疫化法を使用する研究も行なった。CEAを持つネズミ結腸癌腫細胞系のレトロウイルスベクターによる形質導入については、既に記述されている。Robbins, PFら, Cancer Res. 1991;51:3657-62。簡単に述べると、これらの腫瘍はCEAを発現し、同系マウス中で成長し、移植された動物を殺す。Horan Hand, P.ら, Cancer Immunology Immunotherapy 1993;36:65-75。表3からわかるように、CEAを形質導入した腫瘍をマウスに与えた後、PBSで免疫処置すると、9匹中7匹のマウスが移植後第49日には腫瘍を持った。マウスにrV-CEAを1回投与した後、PBSを2回投与した場合も、同様の結果が得られた(すなわち10匹中7匹のマウスが腫瘍を持った)。しかし、マウスにnCEAを3回与えるか、もしくはrV-CEAを1回投与した後、nCEAを2回投与すると、どちらの免疫化群においても、10匹中1匹しか腫瘍を持たなかった。
次に、バクロウイルス由来のCEAが、nCEAで得た結果と同様の結果を与えうるかどうかを決定するための研究を行なった。rV-CEAの1回投与とそれに続くbV-CEAの2回投与を受けたマウスの抗体力価は、bV-CEAに対して平均1:14,800であり、rV-CEAのみを与えたマウスで得られる平均値1:250よりはるかに大きかった。さらに、その誘導抗体がnCEAと反応する(1:8,600)こともわかった。これら全ての実験における追加対照として、CEA遺伝子を欠くバクロウイルス(bV-V)の抽出物を用いたところ、これらは反応性を示さなかった。この対照は、B細胞応答がCEA特異的応答ではなくてバクロウイルスに向けられる可能性を排除するために使用した。過去の研究では、マウスにbV-CEAを3回投与すると、抗体力価が、nCEAに対して平均1:3,100、bV-CEAに対して1:12,400になることが示されている。Bei, R.ら, Mole Immunolo 1994, 31:771-780。
表4及び5に示すように、リンパ球増殖応答と、その結果として得られるLSIを、種々の免疫化法でrV-CEA及び/又はbV-CEAを与えたマウスの脾細胞から分析した。表4及び5に示すように、全ての免疫化群について、卵白アルブミンまたは培養培地のみによる刺激に対して、同様のT細胞増殖応答が認められた。さらに、ConAを用いた場合、すべての免疫化群に同様のLSI結果が認められた。表5に示すように、bV-CEAを3回投与したマウスの脾細胞を用いた場合、10μg/mlのbV-CEAによる刺激後に、9.5のLSIが認められた。しかし、マウスにrV-CEAを1回投与し、次いでbV-CEAを2回投与すると、36.7のT細胞増殖応答が認められた。bV-CEAの3回投与ではなくrV-CEAとbV-CEAで免疫化した場合は、nCEAを刺激に使用した場合にも、同様のT細胞応答の増大が認められた。これに対し、bV-CEAを3回投与したマウスのリンパ球は、nCEAによる刺激後に、bV-CEAで刺激した場合に比べて低いLSIを誘発した。rV-CEAで初回抗原投与した後、bV-CEAで免疫処置する際に、TDCMを欠く同じアジュバントを使用した場合も、同様の体液性応答とT細胞増殖応答が得られた(データは開示していない)。
次に、bV-CEAを使用する種々の免疫化法でマウスをCEA形質導入腫瘍による攻撃から保護できるかどうかを決定するための研究を行なった。表6からわかるように、rV-CEAの注射1回と、それに続くbV-CEAの2回抗原投与とを用いる免疫化法が、35日間隔と49日間隔のどちらの場合も、腫瘍を持つマウスの数と平均腫瘍体積の両方に関して、bV-CEAの3回抗原投与を使用する場合より有効であった。
前記の研究からわかるように、bV-CEAとnCEAは、単独の場合も、rV-CEAと組み合わせた場合も、T細胞応答と抗体応答の誘導に関して同等であると思われる。さらに、両者は、rV-CEAと組み合わせて使用すると、CEA含有腫瘍細胞による攻撃からマウスを保護することができた。しかし、bV-CEAを単独で免疫原として使用した場合は、高レベルの抗nCEA抗体にもかかわらず、nCEA刺激時の試験管内T細胞増殖応答が、bV-CEAで刺激した場合に比べて低かったことを指摘する必要がある。この結果は、これら2つの分子間のグリコシル化の相違によるのかもしれない。
Figure 0004059920
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実施例2:癌自己関連抗原CEAに特異的なヒト細胞障害性T細胞の産出
材料と方法
細胞培養
結腸直腸癌細胞系:SW403(HLS-A2, A3)、HT-29(HLA-A1, A9)、SW837(HLA--, A19)、SW1417(HLA-A3, -)をAmerican Type Culture Collection(米国メリーランド州ロックビル)から購入した。これらの培養はマイコプラズマを含まず、完全培地:10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を補足したDMEM(GIBCO,米国ニューヨーク州グランドアイランド)中に維持された。T2細胞系(輸送欠失変異体)(28)は、Peter Cresswell博士(エール大学医学部,米国コネチカット州ニューヘーヴン)の厚意で贈与されたもので、10%FBSを含有するイスコフ(Iscove)改良ダルベッコ培地(IMDM)中に維持した。
B-Vac24及びB-Vac01と命名したEBV-形質転換B細胞系と、CEA構築物をコードするレトロウイルスベクターでトランスフェクションしたB-Vac24(B-Vac24/CEAと命名)は、10%プール(pooled)ヒトAB血清(Pel Freeze Clinical System,米国ウィスコンシン州ブラウンディア)、2mMグルタミン、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を補足したRPMI1640培地中に維持した。
ペプチド合成
CEAのペプチド配列を、HLA-A2結合性ペプチドに関する共通モチーフとの一致の有無について照査した。9マー、10マー及び11マー・ペプチドが(a)各共通モチーフと一致し、(b)抗原性応答を予期できるほど十分にNCA及びBGPと異なっているならば、それらを合成用に選択した。ヒトHLA-A2に関する既知の共通モチーフのいずれとも合致しなかったNCAペプチドを対照として合成した。
合成はApplied Biosystem Model 432Aパーソナルペプチド合成装置で行い、生成物を水溶液として溶解し、滅菌ろ過し、2mg/mlの濃度で−70℃で凍結した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、これらのペプチドの純度は>90%であった。これらのCEAペプチドを表7に列挙する。
ペプチド結合検定
HLA-A2分子に対するCEAペプチドの結合を、フローサイトメトリーによって示されるT2細胞のHLA-A2発現の上方調節によって分析した。T2細胞ペプチド結合検定法は、最近報告されている。Nijman, H.W.ら, Eur. J. Immunol. 23:1215-1219(1993)。簡単に述べると、無血清IMDM中の0.5〜1×106T2細胞を、50μg/mlの濃度のペプチドと共に、24ウェル培養プレートで、5%CO2中、37℃で終夜培養した。T2細胞を洗浄し、HLA-A2特異的抗体A2,28(#189HA-1, One Lambda, Inc.,米国カリフォルニア州カノガパーク)(10μlの1×実施希釈液/106細胞を使用)で染色した。MOPC-104E(Cappel/Organon Teknika Corp.,ペンシルバニア州ウエストチェスター)をアイソタイプ対照として使用した。次に、細胞を3回洗浄し、フィコプローブ(phycoprobe)PE抗マウスIgM(Biomeda Corp.,カリフォルニア州フォスターシティー)の1:100希釈液と共に培養した。FACScanを用いて前記のように分析を行なった。特に上記した場合を除き、細胞調製と細胞染色の間は常に、細胞を氷上に保持した。
EBV不死化B細胞系へのCEAの導入
EBVを含有するB95-8キヌザル細胞系上清を用い、Blumberg, R.S.ら, J. Infect. Dis. 155:877-880(1987)の標準的方法で、B細胞系を作成した。
ヒトプールAB血清を、この研究における全ての細胞培養に使用した。EBV不死化B細胞系にCEAのレトロウイルス発現構築物を形質導入した。Robbins, P.F.ら, Cancer Res 51:3657-3662(1991)。
形質導入は、Tsang, K.Y.ら, J. Immunother. 13:143-153(1993)に記述されているように、EBV-不死化B細胞と、生産的に形質導入された両種性レトロウイルスパッケージング細胞系PA317-CEAとの同時培養によって行なった。EBV不死化B細胞被形質導入体を、活性濃度0.7mg/mlのG418が入った培地中で選択した。
T細胞系(TCL)の産生
弱毒化ワクシニアウイルスにCEA遺伝子が挿入されている組換えワクチン(rV-CEA)を使用する臨床試験第一相にある転移癌患者のヘパリン処理血液から、末梢血単核細胞(PBMC)を得た。Kantor, J.ら, J. Natl. Cancer Inst. 84:1084-1091(1992);Kantor, J.ら, Cancer Res. 52:6917-6925(1992)。PMBCは、1回あたり105pfu(Vac7)、106pfu(Vac6)及び107pfu(Vac24)のrV-CEAを、1ヶ月間隔で3回注射する前及びその後に得た。既に記述されているように、リンパ球分離培地勾配(Organon Teknika,米国ノースカロライナ州ダラム)を用いて、患者のPBMCを分離した。Boyum, A., Cand. J. Clin. Lab. Invest. 21:77-80(1968)。洗浄したPBMCを、完全培地:10%プールヒトAB血清(Pel-Freeze Clinical System,米国ウィスコンシン州ブラウンディア)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を補足したRPMI1640に再懸濁した。完全培地100μl中の2×105細胞を96ウェル平底検定用プレート(Costar,米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)の各ウェルに加えた。培養に最終濃度50μg/mlのペプチドを加えた。培養物を、5%CO2を含有する湿潤雰囲気下、37℃で5日間培養した。ペプチド含有培地を除去した後、培養にヒトIL-2(10U/ml)を11日間与え、3日毎にIL-2含有培地を補充した。
ペプチド5日間+IL-2 11日間という培養を、1サイクルとする。次のサイクルを開始するために、一次培養を同じペプチド(50μg/ml)で再刺激した。抗原提示細胞(APC)として、完全培地50μl中の5×105個の被照射(4,000ラド)自己PBMCを加えた。
細胞障害性検定
種々の標的細胞を、50μCiの111-インジウム(111In)オキシン(Medi-Physics Inc.,米国イリノイ州アーリントン)で15分間標識した。100μl中の標的細胞(0.5×104)をU字型検定用プレート(Costar)の96ウェルのそれぞれに加えた。エフェクター細胞を添加する前に、標識した標的を最終濃度50μg/mlのペプチドと共に、CO2下、37℃で60分間培養した。10%プールヒトAB血清を補足した完全培地100μlにエフェクター細胞を懸濁し、それを標的細胞に加えた後、そのプレートを5%CO2下、37℃で12〜18時間培養した。上清を収集して、スカトロン・ハーベスター・フレーム(Skatron Harvestror frames;Sterling,米国バージニア州)を用いてガンマ計数した。実験は3重に行なった。比溶解は、次式を用いて計算した:
溶解率(%)=[観測された放出量(cpm)−自発的放出量(cpm)]×100/[全放出量(cpm)−自発的放出量(cpm)]
自発的放出量は、100μlの完全培地を加えたウェルから決定した。全放出可能放射活性は、2.5%トリトンX-100で標的を処理した後に得た。
サイトカインの検出
IL-2非含有培地中でペプチドとAPCT細胞に、4:1の応答細胞対刺激物質比(4×106:106細胞/ml)で、3日間露出したT細胞の上清を、酵素結合免疫吸着検定キット(Genzyme,米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)を用いて、TNF-αの分泌についてスクリーニングした。その結果をpg/mlの単位で表した。
フローサイトメトリー
単色フローサイトメトリー分析(流動細胞計測法)の手法については、既に公表されている。Guadagniら, Cancer Res. 50:6248-5254(1990)。簡単に述べると、1×106細胞を冷たいCa2+非含有ダルベッコPBS(DPBS)で3回洗浄した後、CD3(Beckton Dickinson,カリフォルニア州サンジョゼ)、CD4(Becton Dickinson)、CD8(Becton Dickinson)、HLAクラス1(W6/32)(Sera-Lab,イングランド・サセックス)、HLAクラスII(DR)(Becton Dickinson)及びMOPC-21(Cappel/Organon Teknika Corp.,ペンシルバニア州ウエストチェスター)に対するMAb1μg(1%ウシ血清アルブミンを含有するPBS 100μl中)で、1時間染色した。
抗CEA MAb COL-1を100μlの培養上清として使用した。次に、細胞を冷たいDPBSで3回洗浄し、フルオレセイン結合ヤギ抗マウスIg(Kirkegaard and Perry Laboratory,メリーランド州ガイサースブルク)の1:100希釈液(1%ウシ血清アルブミンを含有するPBS 100μl中)の存在下に、更に1時間培養した。細胞を再びDPBSで3回洗浄し、1×106細胞/mlの濃度でDPBSに再懸濁した。488nmで15nWの励起を持つ青色レーザーを装着したBeckton Dickinson FACScanを用いて、その細胞を直ちに分析した。通電ゲート(live gate)を用いて10,000細胞からデータを集め、保存し、結果の作成に使用した。
二色フローサイトメトリー分析の手法も、次の例外を除いて、単色分析の手法と同様である。使用した抗体は、抗CD4フルオレセイン複合体、抗CD8フィコエリトリン複合体、抗IgG1フルオレセイン複合体及び抗IgG2aフィコエリトリン複合体(Becton Dickinson)である。染色を同時に1時間行なった後、細胞を3回洗浄し、前記のように再懸濁し、LysisTMIIプログラムと、488nmで15nWの励起を持つ青色レーザーを装着したBecton Dickinson FACSortを用いて、直ちに分析した。
HLAタイピング
患者のHLAフェノタイピングは、標準的な抗体依存性微量細胞毒性試験と、規定された一群の抗HLA抗血清とを用いて、海軍医学研究所組織タイピングQC研究室(Tissue Typing QC Laboratory, Naval Medial Research Institute)にしてもらった。HLA表現型は次の通りであった:患者Vac24[HLA-A2,24(9);B44(12,W4),51(5,W4);DR4,11(5);DQ3,7 3);DR w52,53];患者Vac01[HLA-A28,31;B14,35;DR1,4;DQ1,3;Drw53];患者Vac23[HLA-A1,26(10);B8(w6),60(40,w6);CW3,7;DR0103,15(2);DQ5(1),6(1)];患者Vac32[HLA-A3,68(28);B7(w6),51(5,w4);CW7;DR4,15(2);DQ1,8(3);DRw53];患者Vac6[HLA-A2,24(9);B13(W4);CW6;DR7,8;DQ4;DR53];患者Vac7[HLA-A2;B7(W6);CW7;DR15(2),17(3);DQ1,2;DR52]。
結腸直腸癌細胞のワクシニアウイルス感染
ワクシニアウイルスベクターに入ったHLA-A2.1遺伝子とヒトβ2-ミクログロブリン遺伝子のcDNAは、D. Cole博士(米国国立衛生研究所・国立癌研究所・外科部門)から入手した。これらの遺伝子をプラスミドpSCIIのTK遺伝子に挿入することにより、ウイルスTK遺伝子との相同組換えが起こるようにした。O'Neil, B.H.ら, J. Immunol 151:1410-1418(1993)。0.1%BSAを補足した完全RPMI1640培地中1×107/mlの濃度の標的細胞を、同じ培地中の等体積のワクシニアウイルス(108プラーク形成単位/ml)と共に、37℃で1.5時間培養した。
次に、細胞の濃度を完全培地で5×105/mlに調節し、37℃で3時間培養した。ワクシニア-HLA-A2及びワクシニア-β2-ミクログロブリンの同時感染を、感染の多重度10:1で行なった。
統計学的分析
平均値間の相違の統計学的分析を二点T検定で行なった。
結果
ヒトCEAの全アミノ酸配列はわかっており、ヒトHLAクラスI A2共通モチーフも記述されているので[Falk, K.ら, Nature 351:290-296(1991);Hunt, D.F.ら, Science 255:1261-1263(1992)]、潜在的にクラスI A2分子を結合する一連のペプチドを同定するための研究に着手した。A2を選んだ理由は、それが北アメリカ人の約50%、アフリカ系アメリカ人の34%に認められる最も一般的なHLAクラスI分子だからである。Lee J., Spring-Verlag, New York 6:154(1990)。そこで、HLA-A2結合性ペプチドの共通モチーフとの一致について、CEAのペプチド配列を調べた。さらに、CEAに関連するNCA及びBGP配列とは配列が十分に異なるペプチドのみを選択した。アンカー残基に関する検索をあらゆる位置のあらゆる残基に対する数値割り当てと組み合わせる予想アルゴリズム[Parker, K.C.ら, J. Immunol. 152:163-175(1994)]を用いて、ヒトCEAのアミノ酸配列(GeneBank受入番号M17303)を走査した。このアルゴリズムを用いて、9〜11アミノ酸の長さを持つ10種類のペプチドを合成した。これらのペプチドのうち6種類は、2位にロイシンまたはイソロイシンが存在し、C末端にバリンまたはロイシンが存在するHLA-A2モチーフを持っていた。もう1つのペプチド(CAP-7)は、HLA-A3への結合に関するモチーフをも保持していた。DiBrino, M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. 90:1508-1512(1993)。NCA及びBGPの配列をCEAと最適に整列させた時に、NCAとBGPの平行領域と最小限の相同性を持つように、全てのペプチドを選択した。これらの基準に合致する9マー、10マーまたは11マー・ペプチドを合成及び精製のために選択し、それらをCAP(癌胚抗原ペプチド)-1〜10(配列番号1〜10)と命名した。そのアミノ酸配列とCEA分子における位置を表7に記載する。陽性(P)表示と陰性(N)表示(表7)は、予想されるHLA-A2への結合を示す。
ヒトHLA-A2共通モチーフの予想には、T2細胞結合検定法が用いられている。Nijman, H.W.ら, Eur. J. Immunol. 23:1215-1219(1993)。この検定法では、適当なペプチドの結合が、T2細胞上の表面HLA-A2の上方調節(これは抗HLA-A2抗体を用いるFACScanで定量できる)をもたらす。表7からわかるように、7種類のCEAペプチド(CAP-1〜7)がT2結合に関して陽性であった(これらのペプチドはT2に対する結合量に基づいて遡及的にCAP-1〜10と命名された)。
ペプチド571〜579(CAP-1と命名)は最も高レベルのT2結合を示したので、そのNCA類似体を表すペプチド(NCAとCEAを最適に整列させた後に得られる、対応するNCAペプチド)をも合成し、試験したところ、NCA-1と命名したこのペプチドは、T2に対するバックグランド結合を示した(表7)。これは、NCAにおける1アミノ酸置換がA2アンカー残基の1つを完全に破壊した(2位のLeuをArgに置換)という事実と合致した。
rV-CEA構築物を与えられた患者に由来するT細胞系を樹立する試みとして、HLA-A2対立遺伝子を発現する3人の患者(Vac6、Vac7及びVac24と命名)からPBLを得て、「方法」の項に記述したように、それに50μg/mlペプチドCAP-1とIL-2(10U/ml)を交互に適用(pulse)した。3例全てについて、CAP-1ペプチドを適用するとT2細胞に対する細胞毒性を示すT細胞系を樹立することができた。図1は、患者V24及びV6由来のT細胞系を用いたこれらの検定結果を示す。さらなる研究には、患者Vac24に由来するT細胞系を選択した。
患者Vac24から得たPBL(107pfuのrv-CEAを1ヶ月間隔で3回投与することによる予防接種の前及び後)を96ウェルプレートに入れ、「方法」の項に記述したように、CAP-1ペプチドを適用し、次いでIL-2を適用した。ペプチド及びIL-2に対する各露出を1サイクルの刺激と見なした。表8からわかるように、CAP-1とIL-2の1、2または3サイクルは、免疫化前のPBLを用いた96ウェルのいずれにおいても、細胞の成長をもたらさなかった。対照的に、同じ患者から得た予防接種後のPBLを1サイクル刺激すると、96ウェル中66ウェル(68%)が細胞の成長を示し、それが4サイクルの刺激の間ずっと維持された。免疫化前のPBSを4サイクル刺激した後に、96ウェル中2ウェル(2%)が細胞成長を示したことは興味深い。したがって、この患者に存在するT細胞のうちの少数が特異的CEAエピトープ(571-579)を認識でき、これらの細胞がrV-CEA投与の結果としてクローン的に増加したのだという仮説を立てることができるだろう。
投与量107pfuのrV-CEAによる予防接種の前及び後の十分なPBSを、さらに2人の非HLA-A2患者、すなわちVac32(HLA A1,26)とVac23(HLA A3,68)から得ることができた。どのペプチドがこれらのハロタイプに結合するのかを予想する根拠がほとんどなかったので、T細胞系を樹立する試みに、9種類のCEAペプチドを用いた。前記のようにペプチドCAP-1をIL-2と共に用いた場合、患者Vac32とVac23のいずれの前免疫化PBLからも、T細胞系を樹立できなかった(表9)。
しかし、rV-CEA免疫化後のPBLを使用すると、3サイクルの刺激後に、患者Vac32については25/48ウェル(58%)、患者Vac23については21/48ウェル(43%)で、T細胞系が樹立された(表9)。
患者Vac32とVac23の予防接種前と予防接種後のPBLにおける同様の対比は、CEAペプチドCAP-4、6及び7の混合物でも認められた(表9)。PBLを節約するために、初期のスクリーニングでは混合物を使用した。Vac32(HLA-A3陽性)のPBLがCAP-7(このペプチドはHLA-A3結合モチーフを保持する)の存在下に細胞成長の証拠を示したことには、おそらく意味があると思われる。HLA-A2に結合することがわかったペプチドが、いくつかの非A-2抗原と結合した後にT細胞系を刺激できることを、これらの結果が示唆しているということに、注意すべきである。これについて考えうる理由は、下に詳しく考察するが、MHC結合とT細胞活性化の関連が暗示されているので、まずは患者Vac24におけるT細胞応答を特徴づけることにした。それでもなお、5人中5人の患者のPBLが、rV-CEAによる免疫化後に、ペプチドCAP-1に対するT細胞応答の兆候を示したことは、有望である。
V24T、V6T及びV7T細胞系の表現型を決定するために、フローサイトメトリー試験を行なった。その結果を表10に示す。CD8とCD4の両方に関して二重に陽性染色された細胞はV24TとV6Tであり、一方、V7TはCD8+であった。
Vac24 T細胞(V24Tと命名)が、CAP-1ペプチドを提示する自己B細胞を溶解できるか否かを決定するために、患者Vac24のB細胞をまずEBVで形質転換した後、CAP-1ペプチドを適用した。表11からわかるように、V24T細胞は、CAP-1を適用すると、自己B細胞を溶解できるが、同種異系の(非HLA-A2)EBV形質転換B細胞に同じペプチドを適用しても、溶解は認められなかった。NCA分子上の類似領域を表すNCA-1ペプチドをVac24 B細胞に適用しても、V24T細胞による溶解は認められなかった。表7に示すように、NCA-1の9アミノ酸のうち3アミノ酸はアンカー残基を含めてCAP-1の相当するアミノ酸と異なるのだから、これは意外なことではない。
CAP-1ペプチドが細胞溶解性V24T細胞からのTNF-αの分泌を誘導しうるか否かを決定するための研究に着手した。図2に示すように、CAP-1ペプチドを適用した自己B細胞と共にV24T細胞を培養すると、かなりのTNF-αが生産されるが、対照ペプチドCAP-9とCAP-10はこの効果を示し得なかった。
前記の結果は、自己B細胞がVac24細胞にCAP-1ペプチドを提示することによって、B細胞の溶解が起こることを示しているのであるが、これらの結果は、ヒトAPCが、HLA-A2分子を結合してその細胞表面に提示するような様式で、全CEA分子を内因的にプロセシングできるということを示しているわけではない。この問いに対する回答に役立てるため、レトロウイルスベクターを用いて、患者Vac24のEBV形質転換B細胞を、全ヒトCEA遺伝子で形質導入した(「方法」の項参照)。表12からわかるように、CEA形質導入細胞はCEAを発現するようになり、この形質導入過程は(細胞保持性の(cells bearing))HLAクラスI及びクラスII分子の発現には影響を与えなかった。
表13に示すように、自己B細胞は、CEA遺伝子で形質導入されると、V24 CTLの標的となることができる。したがって、CEA遺伝子産物は、自己B細胞によって内在的にプロセシングされ、クラスI MHCとの関連でその細胞表面に提示されて、T細胞溶解を誘導できるようになるということを、これらの結果は立証している。そうすると、ヒト癌細胞が、APCと同じ様式で作用することによって、V24T細胞の潜在的標的となりうるのかどうかという問題が残る。表13からわかるように、かなりのCEAを発現する非A2同種異系癌細胞SW1417及びHT-29は標的となり得ないが、CEAを発現する同系異種A2陽性SW403癌細胞は溶解される。
ヒト癌細胞の溶解に関するV24T細胞のHLA-A2限定性をさらに立証するために、CEA陽性で非A2のSW837ヒト癌細胞系を使用した。これらは、未感染の細胞、野生型ワクシニアウイルスに感染した細胞、もしくはHLA-A2遺伝子を含有する組換えワクシニアウイルスに感染した細胞である。表14からわかるように、rV-A2.1組換え体に感染した癌細胞のみがA2を発現し、これらの細胞のみが、V24T細胞による溶解に対して感受性であった。これらの研究は、V24T細胞のCEA特異的溶解のHLA-A2限定性をさらに立証している。
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ここに本発明を、その好ましい態様を含めて、詳細に記述した。しかし、当業者が、この開示を考慮して特許請求の範囲に述べられた本発明の思想と範囲から逸脱することなく、この開示に基づいて修飾や改良を行うことは歓迎する処である。
配列表
配列番号:1
(A)配列の長さ:9アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:2
(A)配列の長さ:10アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:3
(A)配列の長さ:10アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:4
(A)配列の長さ:11アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:5
(A)配列の長さ:10アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:6
(A)配列の長さ:10アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:7
(A)配列の長さ:9アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:8
(A)配列の長さ:10アミノ酸
(B)配列の型;アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:9
(A)配列の長さ:10アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:10
(A)配列の長さ:9アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:11
(A)配列の長さ:9アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920
配列番号:12
(A)配列の長さ:9アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
配列
Figure 0004059920

Claims (9)

  1. a)細胞障害性T細胞の生産を刺激するために宿主に導入する第1のポックスウイルスベクターで、宿主内で発現可能なプロモーターに操作可能に連結した癌自己関連抗原(Carcinoma self-associated antigen)又はそのエピトープをコードするDNA断片を含有する少なくとも1つの挿入部位を持つオルトポックスウイルスベクターと、b)少なくとも1回の一定間隔後宿主に追加抗原として接触させる第2のポックスウイルスベクターであるアビポックスウイルスベクターまたはシューポックスウイルスベクターを組み合わせてなる癌自己関連抗原に特異的なヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  2. 癌自己関連抗原が癌胚抗原(Carcinoembryonic antigen)である第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  3. エピトープが配列表の配列番号1,2,3,4,5,6,7,8,9および10として示されたペプチドの群から選ばれたペプチドを含むものである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  4. エピトープが配列表の配列番号1として示されたペプチドを含むものである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  5. オルトポックスウイルスベクターがワクニシア(vaccinia)ウイルスベクターである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  6. アビポックスウイルスベクターが家禽ポックス(fowlpox)ウイルスベクター、カナリヤポックス(canary pox)ウイルスベクターまたはハトポックス(pigeon pox)ウイルスベクターである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  7. シューポックスウイルスベクターがスワインポックス(swinepox)ウイルスベクターである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  8. 第1のポックスウイルスベクターがワクシニアウイルスベクターであり、第2のポックスウイルスベクターがアビポックスウイルスベクターである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
  9. 第1のポックスウイルスベクターがワクシニアウイルスベクターであり、第2のポックスウイルスベクターがシューポックスウイルスベクターである第1項のヒト細胞障害性T細胞を生産させるための一組のベクター。
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