JP4059054B2 - パケット信号検出装置とその方法、周波数補正装置とその方法、ならびに受信装置とその方法 - Google Patents
パケット信号検出装置とその方法、周波数補正装置とその方法、ならびに受信装置とその方法 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット信号検出装置とその方法、周波数補正装置とその方法、ならびに受信装置とその方法に係り、たとえば、プリアンブル信号の周期性を利用してパケット信号を検出するパケット信号検出装置とその方法、プリアンブル信号の周期性を利用してパケット信号の検出と周波数誤差の補正を行う周波数補正装置とその方法、ならびに、そのような周波数補正装置を含んだ受信装置とその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パケット信号を用いて複数の通信装置が無線通信を行う通信方式では、通常そのパケット信号の先頭部に既知のプリアンブル信号(前置き信号)が付加されており、受信側の通信装置では、このプリアンブル信号が受信信号の中から検出されたタイミングに同期して、パケット信号の受信処理が行われる。
【0003】
図10は、こうした通信方式の1つであるIEEE802.11aにおいて規定されている伝送データのパケット構造の概要を示す図である。
パケット信号の先頭にはショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2とよばれるプリアンブル信号が付加されている。ショート・プリアンブルP1は、0.8μsの周期で反復される10個の既知信号(ショート・トレーニング・シンボル)で構成され、ロング・プリアンブルP2は、2個の既知信号(ロング・トレーニング・シンボル)で構成される。
【0004】
ショート・プリアンブルP1およびロング・プリアンブルP2に続くパケット信号の主要部分は、任意の数のOFDMシンボル(SL1〜SLk、kは1より大きい整数を示す)で構成される。OFDMシンボルは、OFDM(orthogonal frequency division multiplex)方式において変調処理や復調処理が行われる際の単位となる信号であり、たとえばIEEE802.11aで規定されている最低のデータ・レートにおいて、1OFDMシンボルにより24ビットのデータを伝送することができる。
【0005】
IEEE802.11a方式の受信装置では、一般に、図10のショート・プリアンブルP1を用いてパケット信号の検出処理が行われている。たとえば、受信信号と、これを0.8μsだけ遅延させた信号との相関値が極大になるタイミングに基づいて受信信号中に含まれるショート・プリアンブルP1が検出される。ショート・プリアンブルP1の検出タイミングに応じて、これに続くロング・プリアンブルP2およびOFDMシンボル(SL1〜SLk)の復調処理を行うタイミングが決定される。
【0006】
同方式の受信装置では、パケット信号の検出処理と並行して、パケット信号の周波数オフセットを補正する処理も行われている。周波数オフセットは、受信装置において5GHzのRF信号から数10MHzのベース・バンド信号へ周波数変換が行われる際の変換誤差などに起因して生じる。この周波数オフセットの補正は、たとえば、検出されたショート・プリアンブルP1の受信信号とその0.8μsの遅延信号との位相差に応じて、パケット信号の周波数を調節することにより行われる。
【0007】
また、デジタル方式の復調処理を行う受信装置では、アナログの受信信号をアナログ/デジタル(A/D)コンバータにおいてデジタル信号に変換した後で復調処理が行われており、増幅処理を経てA/Dコンバータに入力される受信信号のレベルはそのダイナミック・レンジの範囲内に収まっている必要がある。ところが、無線LANシステムなどのように多数の機器間で通信が行われる無線通信システムでは、各機器の送信出力や機器間の距離に応じて受信信号レベルが大きく異なるので、この信号がそのままA/Dコンバータに入力されると、ダイナミック・レンジが非常に広いものでない限り、A/D変換後のデジタル信号に歪みを生じてしまう可能性がある。そこで、通常このような受信装置には、受信信号レベルをA/Dコンバータのダイナミック・レンジ内に調節するための自動利得制御回路が搭載されている。
【0008】
IEEE802.11a方式の受信装置では、たとえば上述したショート・プリアンブルP1が検出される前の受信待ち状態において受信信号の増幅利得が固定の値に設定されており、ショート・プリアンブルP1が検出された時点から自動利得制御回路によってこの増幅利得が制御されて、受信されたパケット信号のレベルがA/Dコンバータのダイナミック・レンジ内に収まるように調節される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した自動利得制御回路における増幅利得の制御では、OFDM変調信号のように変化周期が短くレベル変動の大きい信号に対して増幅利得が敏感に追従してしまうことがないように、応答速度が遅く設定されることが多いため、特にパケット信号のプリアンブル部分から増幅利得を最適値へ高速に収束させることは難しい。このため、プリアンブル部分の信号が扱われるプリアンブル検出処理や周波数補正処理では、過大なレベルの信号が受信された場合でも信号値がオーバーフローを起こして処理の精度が低下してしまわないように、処理される信号値の範囲が広く設定されている。このため、回路の大規模化や消費電力の増大といった不利益が生じる。
【0010】
また、パケット検出処理や周波数オフセットの補正処理などにおいて処理される受信信号には、通常、定常的なオフセット成分が含まれているので、この定常的なオフセット成分が信号成分と一緒に処理されることによって、パケット信号の検出タイミングや周波数オフセットの補正値に定常的な誤差が含まれてしまう。そこで、一般には、このようなオフセット成分によって生じる誤差を解消するための処理が別途必要になるので、回路の大規模化や消費電力の増大といった不利益が生じる。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、過大な信号が入力された場合でも信号値のオーバーフローを起こし難くすることができ、入力信号に含まれる定常的なオフセット成分により生じる誤差の補正が不要なパケット信号検出装置とその方法、周波数補正装置とその方法、ならびに受信装置とその方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点のパケット信号検出装置は、入力される信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を有するパケット信号を検出するパケット信号検出装置であって、上記入力信号と、上記入力信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成する差分信号生成手段と、上記差分信号生成手段においてサンプル時間単位で生成された差分信号と、当該差分信号を上記所定の周期に対応した第2の時間だけ遅延させた信号との相関値を算出する相関算出手段と、上記相関算出手段において算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出する前置き信号検出手段とを有し、前記第2の時間は、前記1サンプル時間よりも長い。
【0013】
本発明の第2の観点のパケット信号検出方法は、入力される信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を有するパケット信号を検出するパケット信号検出方法であって、上記入力信号と、上記入力信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成し、上記サンプル時間単位で生成された差分信号と、当該差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させた信号との相関値を算出し、上記算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出する。
【0014】
本発明の第3の観点の周波数補正装置は、同相成分と直交成分とからなる複素信号を入力し、当該入力複素信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を検出し、当該検出したパケット信号の周波数を補正する周波数補正装置であって、上記入力複素信号と、上記入力複素信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成する差分信号生成手段と、上記差分信号生成手段においてサンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させる遅延手段と、上記差分信号生成手段において生成された差分信号と上記遅延手段において遅延された差分信号とを入力し、当該入力した一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と当該入力した他方の差分信号とを乗算する乗算手段と、上記乗算手段の乗算結果を所定の平均化期間に渡って平均化する平均化手段と、上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成する位相信号生成手段と、上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を出力する相関値出力手段と、上記相関出力手段から出力された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力複素信号の中から上記前置き信号を検出する前置き信号検出手段と、上記前置き信号検出手段において検出された前置き信号に対応して上記位相信号生成手段において生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する周波数調節手段とを有する。
【0015】
本発明の第4の観点の周波数補正方法は、同相成分と直交成分とからなる複素信号を入力し、当該入力複素信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を検出し、当該検出したパケット信号の周波数を補正する周波数補正方法であって、上記入力複素信号と、上記入力複素信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成し、上記サンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させ、上記生成された差分信号および上記遅延された差分信号のうちの何れか一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と他方の差分信号とを乗算し、上記乗算の結果を所定の平均化期間に渡って平均化し、上記平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成し、上記平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を算出し、上記算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出し、上記検出された前置き信号に対応して生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する。
【0016】
本発明の第5の観点の受信装置は、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を受信信号中から検出して復調する受信装置であって、受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とからなる複素受信信号を生成する直交検波手段と、上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成する差分信号生成手段と、上記差分信号生成手段においてサンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させる遅延手段と、上記差分信号生成手段において生成された差分信号と上記遅延手段において遅延された差分信号とを入力し、当該入力した一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と当該入力した他方の差分信号とを乗算する乗算手段と、上記乗算手段の乗算結果を所定の平均化期間に渡って平均化する平均化手段と、上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成する位相信号生成手段と、上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を出力する相関値出力手段と、上記相関出力手段から出力された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力複素信号の中から上記前置き信号を検出する前置き信号検出手段と、上記前置き信号検出手段において検出された前置き信号に対応して上記位相信号生成手段において生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する周波数調節手段と、上記周波数調節手段において周波数調節が行われたパケット信号に対して所定の復調処理を行う復調処理手段とを有する。
【0017】
本発明の第6の観点の受信方法は、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を受信信号中から検出して復調する受信方法であって、受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とからなる複素受信信号を生成し、上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成し、上記サンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させ、上記生成された差分信号および上記遅延された差分信号のうちの何れか一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と他方の差分信号とを乗算し、上記乗算の結果を所定の平均化期間に渡って平均化し、上記平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成し、上記平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を算出し、上記算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出し、上記検出された前置き信号に対応して生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節し、上記周波数調節が行われたパケット信号に対して所定の復調処理を行う。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、IEEE802.11a方式の受信装置に本発明が適用される場合を例として説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す受信装置は、アンテナ1、RF信号処理部2、直交検波部3、差分信号生成部4、相関算出部5、信号レベル測定部6、第1プリアンブル検出部7、第2プリアンブル検出部8、位相信号生成部9、周波数調節部10、ガード・インターバル除去部11、フーリエ変換部12、位相補正部13、復調部14、および復号化部15を有する。
直交検波部3は、本発明の直交検波手段の一実施形態である。
差分信号生成部4は、本発明の差分信号生成手段の一実施形態である。
相関算出部5は、本発明の相関算出手段の一実施形態である。
信号レベル測定部6は、本発明の信号レベル測定手段の一実施形態である。
第1プリアンブル検出部7および第2プリアンブル検出部8を含むユニットは、本発明の前置き信号検出手段の一実施形態である。
位相信号生成部9は、本発明の位相信号生成手段の一実施形態である。
周波数調節部10は、本発明の周波数調節手段の一実施形態である。
ガード・インターバル除去部11、フーリエ変換部12、位相補正部13、復調部14および復号化部15を含むユニットは、本発明の復調処理手段の一実施形態である。
【0022】
(RF信号処理部2)
RF信号処理部2は、アンテナ1から入力される受信信号Srを増幅し、これに周波数変換処理、帯域制限処理、A/D変換処理を施して、デジタルの受信信号を出力する。
【0023】
またRF信号処理部2は、受信信号Srの増幅利得をその信号レベルに合わせて制御する処理も行う。たとえば、パケット信号の先頭を示すショート・プリアンブルP1(図10)の検出を待っている受信待ち状態において、受信信号Srの増幅利得を固定値に設定し、第1プリアンブル検出部7においてショート・プリアンブルP1の先頭が検出された場合に、増幅利得を受信信号Srの信号レベルに合わせて制御する利得制御処理を開始する。パケット信号の復調が終了した場合や、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されなかった場合には、再び受信待ちの状態に戻って、増幅利得を固定値に設定する。
【0024】
(直交検波部3)
直交検波部3は、RF信号処理部2において処理された受信信号に対し直交検波を行い、複素数データとしての受信信号S3(以降、複素受信信号と呼ぶ)を出力する。具体的には、RF処理部2から出力される受信信号と、所定の周波数のコサイン信号およびサイン信号とを乗算して、同相成分データおよび直交成分データのペアとしての複素受信信号S3を生成する。
【0025】
(差分信号生成部4)
差分信号生成部4は、直交検波部3から出力される複素受信信号S3と、この複素受信信号S3を所定の時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号S4を生成する。たとえば、RF信号処理部2におけるA/D変換の変換周期に応じた時間間隔(以降、サンプル時間と呼ぶ)で直交検波部3から順次出力される複素受信信号S3のデータ・ストリーム上において、隣接する2つのデータの差に応じた差分信号S4を生成する。
【0026】
図2は、差分信号生成部4の構成の一例を示すブロック図である。
図2の例に示す差分信号生成部4は、遅延部41、遅延部43、引き算部42および引き算部44を有する。
複素受信信号S3の同相成分S3_iと、これを遅延部41において1サンプル時間だけ遅延させた信号との差が引き算部42において演算され、差分信号S4の同相成分S4_iとして出力される。
複素受信信号S3の直交成分S3_qと、これを遅延部43において1サンプル時間だけ遅延させた信号との差が引き算部44において演算され、差分信号S4の直交成分S4_qとして出力される。
【0027】
(相関算出部5)
相関算出部5は、差分信号生成部4において生成された差分信号S4と、ショート・プリアンブルP1に含まれるショート・トレーニング・シンボルの反復周期に対応した時間、すなわち0.8μsだけこの差分信号S4を遅延させた信号との相関値S5aを算出する。また、差分信号S4とその0.8μsの遅延信号との相関を示す複素数の信号S5bも出力する。
【0028】
図3は、サンプル時間が50nsecの場合におけるプリアンブル中の各シンボルのサンプル数を図解した図である。
図3に示すように、ショート・プリアンブルP1に含まれる10個のショート・トレーニング・シンボル(ST1〜ST10)の長さはそれぞれ0.8μsecと定められているので、ショート・トレーニング・シンボル(ST1〜ST10)のサンプル数はそれぞれ16サンプルになり、ショート・プリアンブルP1全体で160サンプルになる。
また、ロング・プリアンブルP2に含まれるガード・インターバルGIの長さは1.6μsec、ロング・トレーニング・シンボル(LT1、LT2)の長さはそれぞれ3.2μsecと定められているので、ガード・インターバルGIのサンプル数は32サンプル、ロング・トレーニング・シンボル(LT1、LT2)のサンプル数はそれぞれ64サンプルになり、ロング・プリアンブルP2全体で160サンプルになる。
【0029】
したがって、サンプル時間が50nsecの場合、相関算出部5は、差分信号生成部4において生成された差分信号S4と、これを16サンプル遅延させた信号との相関値S5を算出する。
【0030】
図4は、相関算出部5の構成の一例を示すブロック図である。
図4の例に示す相関算出部5は、遅延部51、共役変換部52、乗算部53、加算部54、遅延部55、引き算部56、遅延部57、乗算部58、乗算部59および加算部510を有する。
遅延部51は、本発明の遅延手段の一実施形態である。
共役変換部52および乗算部53を含むユニットは、本発明の乗算手段の一実施形態である。
加算部54、遅延部55、引き算部56および遅延部57を含むユニットは、本発明の平均化手段の一実施形態である。
乗算部58、乗算部59および加算部510を含むユニットは、本発明の相関値出力手段の一実施形態である。
【0031】
差分信号生成部4において生成された差分信号S4は、遅延部51において、ショート・トレーニング・シンボルの反復周期に対応した時間、すなわち0.8μsだけ遅延される。サンプル時間がたとえば50nsecであるとすると、差分信号S4は遅延部51において16サンプル遅延される。
【0032】
この遅延信号は、遅延部共役変換部52において、直交成分の正負が反転された共役差分信号S52に変換される。すなわち、共役複素数に変換される。この共役差分信号S52と差分信号S4とが乗算部53において乗算されることにより、差分信号S4とその16サンプル分の遅延信号との相関を示す複素数の信号S53が生成される。
【0033】
信号S53は、加算部54および引き算部56の演算を経て遅延部57において1サンプル遅延され、この遅延された信号S5bが加算部54において次に入力される信号S53と加算される。一方、引き算部56には、遅延部55において信号S53を48サンプル遅延させた信号が入力されており、この48サンプル前の信号が加算部54の加算結果から減算されて遅延部57に供給される。これにより、遅延部57から出力される信号S5bは、連続した48サンプル分の信号S53を積算した値となる。
【0034】
信号S5bの同相成分S5b_iは、乗算部58において2乗され、信号S5bの直交成分S5b_qは、乗算部59において2乗される。両者の2乗値は加算部510において加算され、これにより相関値510が算出される。相関値510は、複素数である信号S5bの絶対値に応じた値を有している。
【0035】
(信号レベル測定部6)
信号レベル測定部6は、差分信号生成部4において生成された差分信号S4の信号レベルを測定し、測定結果を信号S6として出力する。たとえば、複素数としての差分信号S4の絶対値に応じた信号S6を測定結果として出力する。
【0036】
図5は、信号レベル測定部6の構成の一例を示すブロック図である。
図5の例において、信号レベル測定部6は、乗算部61、乗算部62、加算部63、加算部64、引き算部65、遅延部66および遅延部67を有する。
【0037】
差分信号S4の同相成分S4_iは、乗算部61において2乗され、差分信号S4の直交成分S4_qは、乗算部62において2乗される。両者の2乗値は加算部63において加算される。この加算結果の信号S63は、複素数である差分信号S4の絶対値に応じた値を有している。
【0038】
信号S63は、加算部64および引き算部65の演算を経て遅延部66において1サンプル遅延され、この遅延された信号S6が加算部64において次に入力される信号S63と加算される。一方、引き算部65には、遅延部67において信号S63を32サンプル遅延させた信号が入力されており、この32サンプル前の信号が加算部64の加算結果から減算されて遅延部66に供給される。これにより、遅延部66から出力される信号S6は、連続した32サンプル分の信号S63を積算した値となる。
【0039】
(第1プリアンブル検出部7)
第1プリアンブル検出部7は、相関算出部5において算出された相関値S5aと、信号レベル測定部6における測定結果の信号S6に応じて設定したしきい値とを比較し、この比較結果に応じて、複素受信信号S3の中からショート・プリアンブルP1が検出されたことを示す第1検出信号S7を生成する。
【0040】
図6は、第1プリアンブル検出部7の構成の一例を示すブロック図である。
図6の例に示す第1プリアンブル検出部7は、定数出力部71、比較部72、選択部73、定数出力部74、乗算部75、比較部76、データ・バッファ部77および論理和演算部78を有する。
比較部76は、本発明の比較手段の一実施形態である。
データ・バッファ部77および論理和演算部78を含むユニットは、本発明の信号持続手段の一実施形態である。
【0041】
相関算出部5において算出された相関値S5aは、選択部73を介して比較部76に入力される。また、信号レベル測定部6から出力される信号S6と、定数出力部75から出力される定数値とが乗算部75において乗算されることによってしきい値S75が算出され、算出されたしきい値S75が比較部76に入力される。図6の例では、定数出力部75の出力値として0.5(50%)が設定されているので、比較部76に入力されるしきい値S75は、信号S6に対して50%の大きさになる。
【0042】
比較部76では、選択部73から出力される信号S73としきい値S75との比較が行われ、比較結果に応じた2値の信号S76が出力される。信号S76は、信号S73がしきい値S75より大きい場合に論理値‘1’となり、それ以外の場合に論理値‘0’となる。
【0043】
データ・バッファ部77では、連続した10サンプル分の信号S76が保持され、この保持された10個の信号に対し論理和演算部7において論理和演算が行わる。データ・バッファ部77に保持された10個の信号の中に1つでも論理値‘1’の信号が含まれていると、論理和演算部78の演算結果として出力される第1検出信号S7は論理値‘1’になるので、信号S73が一度しきい値より大きくなると、少なくとも10サンプル分の期間は論理値‘1’の第1検出信号S7が持続して出力される。
たとえば、信号S76が論理値‘0’から論理値‘1’へ立ち上がる場合において、信号S73がしきい値S75の近傍で変動することにより信号S76の値に変動が生じたとしても、この変動間隔が10サンプル時間よりも短いものであれば、信号S76が最初に論理値‘1’へ変化した時点より、第1検出信号S7の値は論理値‘1’のまま一定になり、信号S76の変動は第1検出信号S7に現れない。このように、データ・バッファ部77および論理和演算部78を含むユニットは、第1検出信号S7の短い周期での変動を抑える離散フィルタとして機能する。この離散フィルタによって、第1検出信号S7の高周波の変動が低減され、ショート・プリアンブルP1の誤検出が防止される。
【0044】
(第2プリアンブル検出部7)
第2プリアンブル検出部7は、第1プリアンブル検出部7から論理値‘1’の信号S7が持続して出力される時間が所定の時間、たとえば48サンプル時間に達した場合に、複素受信信号S3の中からショート・プリアンブルP1が検出されたことを示す第2検出信号S8を出力する。第2検出信号S8に応じてショート・プリアンブルP1の検出が確定され、受信装置によるパケット信号の処理が開始される。
【0045】
図7は、第2プリアンブル検出部8の構成の一例を示すブロック図である。
図7の例に示す第2プリアンブル検出部8は、選択部81、加算部82、定数出力部83、信号値制限部84、遅延部85、定数出力部86、比較部87、定数出力部88、論理和演算部89、論理積演算部810、遅延部811および初期化制御部812を有する。
【0046】
第1プリアンブル検出部7から出力される信号S7が論理値‘0’の場合、選択部81では定数出力部86の出力値‘0’が選択される。選択された信号には、加算部82において定数出力部83の出力値‘1’が加算され、この加算結果が制限部84においてたとえば値‘48’以下に制限されて、信号S84として出力される。したがってこの場合、信号S84は値‘1’になる。
【0047】
信号S7が論理値‘1’の場合、選択部81では、信号値制限部84の出力信号S84を遅延部85において1サンプル遅延させた信号S85が選択される。選択された信号S85には、加算部82において定数出力部83の出力値‘1’が加算され、この加算結果が制限部84においてたとえば値‘48’以下に制限されて、信号S84として出力される。したがって、信号S7が論理値‘1’の間、加算部82において値‘1’が信号S85に繰り返し加算され続けるため、信号S84の値は1サンプル時間ごとに値‘1’づつ増加し続ける。信号S84の値は、値‘48’に達したところで信号値制限部84により値の増加が制限されて、一定値‘48’に保たれる。
【0048】
このように、選択部81、加算部82、定数出力部83、信号値制限部84、遅延部85および定数出力部86で構成されるユニットは、信号S7が論理値‘0’の場合に信号S84を値‘1’に初期化し、信号S7が論理値‘1’の場合に信号S84を1サンプル時間ごとに値‘1’ずつ増加させるカウンタとして機能する。
【0049】
カウンタの出力信号S84は、比較部87に入力され、定数出力部88の出力値‘48’と比較される。信号S84が値‘48’に達していない場合、比較部87からは論理値‘0’が出力され、信号S84が値‘48’に達している場合、比較部87からは論理値‘1’が出力される。
【0050】
論理和演算部89では、比較部87の出力信号S87と、第2検出信号S8が遅延部811において1サンプル時間遅延された信号S811との論理和が演算され、その演算結果が信号S89として論理積演算部810に入力される。論理積演算部810には、論理和演算部89から出力される信号S89と、初期化制御部812から出力される初期化信号S812とが入力され、その論理積の演算結果が第2検出信号S8として出力される。
【0051】
第2検出信号S8が論理値‘0’、初期化信号S812が論理値‘1’の場合において、比較部87の出力信号S87が論理値‘1’になると、論理和演算部89の出力信号S89が論理値‘1’になり、論理積演算部810の出力信号である第2検出信号S8は論理値‘1’に変化する。これにより、遅延部811の出力信号S811が論理値‘1’に変化するため、信号S87が論理値‘0’に変化した後も、第2検出信号S8は論理値‘1’のまま保持される。
【0052】
論理値‘1’になった第2検出信号S8は、初期化制御部812において初期化信号S812が論理値‘0’に設定されることにより、論理値‘0’へ初期化される。初期化制御部812では、たとえばパケット信号の検出後から次のパケット信号の受信を待つ状態に入るまでの間に、初期化信号S812を一旦論理値‘0’に設定して再び論理値‘1’に戻す処理が行われる。これにより、パケット信号の受信待ち状態において、第2検出信号S8が論理値‘0’に初期化される。
【0053】
このように、論理和演算部89、論理積演算部810および遅延部811で構成されるユニットは、信号S87が論理値‘1’へ変化した場合に、その出力信号である第2検出信号S8を論理値‘1’に変化させてこれを保持するラッチ回路として機能する。そしてこのラッチ回路は、初期化信号S812に論理値‘0’に設定されることにより出力信号(第2検出信号)S8を論理値‘0’に初期化する。
【0054】
(位相信号生成部9)
位相信号生成部9は、乗算部53の乗算結果の信号S53が48サンプル分積算された複素数の信号S5bの位相に応じて、位相信号S9を生成する。信号S53の位相は、差分信号S4と、これが遅延部51において16サンプル遅延された信号S51との位相差に相当し、信号S5bの位相は、この位相差が48サンプル分に渡って平均化されたものに相当する。位相信号生成部9において生成される位相信号S9は、この位相差の平均値に応じた値を有する。
【0055】
図8は、位相信号生成部9の構成の一例を示すブロック図である。
図8の例に示す位相信号生成部9は、絶対値演算部91、絶対値演算部92、テーブル記憶部93、乗算部94〜乗算部98、定数出力部99、定数出力部910、符号検出部911〜符号検出部913および加算部914を有する。
【0056】
信号S5bの同相成分s5b_iは、絶対値演算部91において絶対値に変換され、テーブル記憶部93に入力される。テーブル記憶部93には、同相成分s5b_iの各値に対応した逆数値が記憶されており、同相成分S5b_iの絶対値S91が入力されると、テーブル記憶部93からはその逆数値S93が出力される。また、信号S5bの直交成分S5b_qは、絶対値演算部92において絶対値S92に変換され、逆数値S93とともに乗算部94に入力される。乗算部94では、テーブル記憶部93から出力される逆数値S93と直交成分s5b_qS92の絶対値との乗算が行われ、乗算結果として信号S94が出力される。
【0057】
同相成分s5b_iの値を符号I、直交成分s5b_qの値を符号Q、乗算部94の出力信号S94の値を符号|x|で表すと、次式が成立する。
【0058】
【数1】
|x|=|Q/I| ・・・(1)
【0059】
したがって、出力信号S94の値|x|は、信号S5bの位相θに対するタンジェント関数tan(θ)の値xの絶対値に相当する。
【0060】
信号S94は、乗算部95において定数出力部99の出力値aと乗算され、さらに加算部914において定数出力部910の出力値bと加算され、信号S914として乗算部96に入力される。乗算部96では、信号S94と信号S914との乗算が行われ、乗算結果として信号S96が出力される。信号S96の値を符号|y|で表すと、次式が成立する。
【0061】
【数2】
|y|=a×|x|2+b×|x| ・・・(2)
【0062】
また、符号検出部911および符号912において、同相成分s5b_iおよび直交成分s5b_qの正負の符号が検出され、正の場合に値‘1’、負の場合に値‘−1’の信号がそれぞれ検出結果として出力される。これらの符号の検出結果は、乗算部98において互いに乗算され、その乗算結果の符号が符号検出部913において検出され、信号S913として出力される。
したがって、信号S913の値sgnは、タンジェント関数tan(θ)の値xの符号を表しており、値xが正の場合に値‘1’、負の場合に値‘−1’となる。
【0063】
乗算部97において、信号S96と信号S913との乗算が行われ、乗算結果として位相信号S9が出力される。位相信号S9の値を符号yで表すと、次式が成立する。
【0064】
【数3】
y=sgn×|y|
=sgn×{a×|x|2+b×|x|} ・・・(3)
【0065】
式(3)に示すように、信号S9の値yは、タンジェント関数tan(θ)の値xを変数とする2次関数で表される。位相θが0°付近の場合、タンジェント関数tan(θ)の逆関数arctan(x)は、値xを変数とする2次関数で近似できることが知られており、定数aおよび定数bは、この逆関数arctan(x)を近似する適切な値に設定されている。したがって、信号S9の値yは、信号S5bの位相θ(=arctan(x))に近似した値となる。
【0066】
(周波数調節部10)
周波数調節部10は、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されたことを示す第2検出信号S8が出力された場合に、この検出が確定されたショート・プリアンブルP1に対応して位相信号生成部9において生成された位相信号S9に応じて、このショート・プリアンブルP1を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する。
【0067】
図7に示す第1プリアンブル検出部7からショート・プリアンブルP1の検出を示す論理値‘1’の信号S7が48サンプル時間以上連続して出力された場合、第2プリアンブル検出部8の第2検出信号S8は、ショート・プリアンブルP1の先頭から4つ目のショート・トレーニング・シンボルST4以降において論理値‘1’になる。この状態で、周波数調節部10は、ショート・プリアンブルP1の後半のショート・トレーニング・シンボル、たとえば後半の3つのショート・トレーニング・シンボル(ST8〜ST10)に対応して生成された48サンプル分の位相信号S9の平均値あるいは積算値を求め、これに応じて、ショート・プリアンブルP1以降に続くパケット信号の周波数を補正する。
【0068】
図9は、周波数調節部10の構成の一例を示すブロック図である。
図9の例に示す周波数調節部10は、加算部101、選択部102、遅延部103、定数出力部104、数値制御発振器105、乗算部106および制御部107を有する。
加算部101、選択部102、遅延部103、定数出力部104、数値制御発振器105および制御部107を含むユニットは、本発明の周波数補正信号生成手段の一実施形態である。
乗算部106は、本発明の周波数補正信号乗算手段の一実施形態である。
【0069】
加算部101では、選択部102の出力信号を遅延部103で遅延させた信号が位相信号S9に加算され、その加算結果の信号S101が選択部103および数値制御発振器105に出力される。選択部102では、制御部107の制御信号S107に応じて、定数出力部104の値‘0’の出力信号または加算部101の出力信号S101が選択され、1サンプル時間の遅延部103に出力される。数値制御発振器105では、加算部101の出力信号S101に応じた周波数を有する正弦波信号S105が生成され、制御信号S107に応じて、この周波数制御が停止される。周波数制御の停止状態において、正弦波信号S105の周波数は一定に保持される。乗算部106では、数値制御発振器105から出力される正弦波信号S105と複素受信信号S3との乗算が行われ、乗算結果として信号S10が出力される。
【0070】
パケット信号の受信待ち期間において、選択部102は定数出力部104の出力信号を選択した状態に制御され、加算部101には値‘0’が入力される。このため、出力信号S101は信号S9と等しくなる。またこの期間において、数値制御発振器105は正弦波信号S105の周波数制御が停止された状態に制御される。
【0071】
ショート・プリアンブルP1の検出が確定されたことを示す第2検出信号S8が出力されると、この検出されたショート・プリアンブルP1の特定の部分、たとえば後半の3つのショート・トレーニング・シンボル(ST8〜ST10)の位相信号S9が入力される期間において、選択部102は加算部101の出力信号S101を選択した状態に制御される。これにより、加算部101の出力信号S101は、1サンプル時間ごとに位相信号S9が積算された値になる。またこの期間において、数値制御発振器105は、加算部101の出力信号S101に応じた周波数を有する正弦波信号S105を生成する状態に制御される。この期間が終了すると、数値制御発振器105は正弦波信号S105の周波数制御が停止された状態に制御され、正弦波信号S105の周波数は停止された時の周波数のまま一定に保持される。直交検波部3から出力される複素受信信号S3は、この正弦波信号S105と乗算部106において乗算されることにより周波数を調節され、複素受信信号S10としてガード・インターバル除去部11に出力される。
【0072】
(ガード・インターバル除去部11)
ガード・インターバル除去部11は、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されたタイミングに基づいて、周波数調節部10から出力される複素受信信号S10の中からOFDMシンボルを抽出し、抽出したOFDMシンボルに付加されたガード・インターバルを除去する。
【0073】
(フーリエ変換部12)
フーリエ変換部12は、ガード・インターバル除去部11においてガード・インターバルを除去されたOFDMシンボルに対しフーリエ変換を実行し、これを周波数領域のOFDMシンボルに変換する。たとえば、1OFDMシンボルごとに52本のサブキャリアに対応した52個の複素数データ(以降、サブキャリア信号と呼ぶ)を出力する。
【0074】
(位相補正部13)
位相補正部13は、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されたタイミングに基づいて、ロング・プリアンブルP2に対応するOFDMシンボルを抽出する。そして、抽出したOFDMシンボルの各サブキャリア信号と、ロング・プリアンブルP2の生成に用いられた既知のサブキャリア信号との差から、伝送路の状態をサブキャリアごとに推定する。この推定結果に基づいて、ロング・プリアンブルP2以降のOFDMシンボルに含まれる各サブキャリア信号の振幅および位相を補正する。
【0075】
(復調部14)
復調部14は、送信側の通信装置においてBPSK(binary phase shift keying)、QPSK(quadrature phase shift keying)、16値QAM(quadrature amplitude modulation)または64値QAMの何れかの方式により変調された、OFDMシンボルの各サブキャリア信号を復調する。すなわち、変調方式に対応した信号点配置図上の信号点とサブキャリア信号とを対応付けることにより、複素数データとしてのサブキャリア信号を、信号点に対して決められた1〜6ビットのデータに変換する。1つのサブキャリア信号は、BPSKでは1ビット、QPSKでは2ビット、16値QAMでは4ビット、64値QAMでは6ビットのデータに変換される。
【0076】
(復号化部15)
復号化部15は、復調部14において復調されたデータに対して、送信側で行われたデータの並べ替え処理(インターリーブ処理)に対応した逆の並べ替え処理(デ・インターリーブ処理)を行い、さらに、送信側で行われた符号化率1/2、2/3、または3/4の畳み込み符号化処理に対応した復号化処理、たとえばビタビ復号化処理を行って、受信データDrを生成する。
【0077】
次に、上述した構成を有する図1の受信装置の動作を説明する。
パケット信号の受信待ち状態において、アンテナ1に受信される信号Srは、RF信号処理部2において固定の増幅利得をもって増幅され、さらに周波数変換処理、帯域制限処理、A/D変換処理が施され、デジタルの受信信号として直交検波部3に出力される。直交検波部3では、デジタル信号に変換された受信信号に対して直交検波が行われ、同相成分データおよび直交成分データのペアとしての複素受信信号S3が生成される。
【0078】
生成された複素受信信号S3は、差分信号生成部4に入力される。差分信号生成部4では、直交検波部3から出力される複素受信信号S3と、この複素受信信号S3がたとえば1サンプル時間だけ遅延された信号との差に応じた差分信号S4が生成される。
【0079】
生成された差分信号S4は、相関算出部5および信号レベル測定部6に入力される。
相関算出部5では、差分信号生成部4において生成された差分信号S4が、遅延部51においてショート・トレーニング・シンボルの反復周期0.8μsに対応した16サンプル時間だけ遅延され、共役変換部52において直交成分の正負が反転され、さらに乗算部53において元の差分信号S4と乗算される。この乗算結果として、差分信号S4とその0.8μsの遅延信号との相関を示す複素数の信号S53が生成される。生成された信号S53は、たとえば48サンプル時間に渡って積算され、積算結果が信号S5bとして出力される。また、信号S5bの絶対値に応じた値として、相関値S5aが生成される。
信号レベル測定部6では、差分信号生成部4において生成された差分信号S4の信号レベルが測定され、測定結果が信号S6として出力される。たとえば、複素数としての差分信号S4の絶対値に応じた信号S6が32サンプル時間に渡って積算された値として、信号S6が算出される。
【0080】
相関算出部5において算出された相関値S5a、および信号レベル測定部6における測定結果の信号S6は、第1プリアンブル検出部7に入力される。第1プリアンブル検出部7では、相関値S5aと、測定結果の信号S6に応じて設定されたしきい値、たとえば信号S6の50%に設定されたしきい値とが比較され、この比較結果に応じて、複素受信信号S3の中からショート・プリアンブルP1が検出されたことを示す第1検出信号S7が生成される。たとえば、相関値S5aがしきい値よりも大きくなった場合に、パケット信号の受信待ち状態において論理値‘0’に設定されていた第1検出信号S7の値が、ショート・プリアンブルP1の検出を示す論理値‘1’に変更される。
【0081】
生成された第1検出信号S7は、第2プリアンブル検出部7に入力される。第2プリアンブル検出部7では、ショート・プリアンブルP1の検出を示す第1検出信号S7が第1プリアンブル検出部8より連続して出力される時間が測定され、これが所定の時間、たとえば48サンプル時間に達した場合に、複素受信信号S3の中からショート・プリアンブルP1が検出されたことを示す第2検出信号S8が出力される。
たとえば、第1検出信号S7の値が、パケット信号の受信待ち状態を示す論理値‘0’から、ショート・プリアンブルP1の検出を示す論理値‘1’に変化した場合に、第2プリアンブル検出部7の内部のカウンタにおいて計数が開始される。そして、第1検出信号S7が、48サンプル連続して論理値‘1’であった場合に、パケット信号の受信待ち状態において論理値‘0’に設定されていた第2検出信号S8の値が、ショート・プリアンブルP1の検出を示す論理値‘1’に変更される。
【0082】
また、第1プリアンブル検出部7においてショート・プリアンブルP1の検出を示す第1検出された場合、RF信号処理部2において、受信信号Srの増幅利得をその信号レベルに合わせて制御する利得制御処理が開始される。利得制御処理の開始後、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されなかった場合は、再び受信待ちの状態に戻って、増幅利得が固定値に設定される。
【0083】
位相信号生成部9では、信号S5bの位相に応じて位相信号S9が生成される。たとえば、信号S5bの直交成分をその同相成分で除した値(Q/I)として、信号S5bの位相θに対するタンジェント関数tan(θ)の値xが算出され、この値xを変数とする2次関数(ax^2+bx)の値から、タンジェント関数tan(θ)の逆関数arctan(x)の近似値が算出される。これにより、位相θの近似値に応じた位相信号S9が生成される。
【0084】
周波数調節部10では、ショート・プリアンブルP1の検出が確定されたことを示す第2検出信号S8が出力された場合に、この検出が確定されたショート・プリアンブルP1に対応して生成された位相信号S9に応じて、このショート・プリアンブルP1を先頭部に有するパケット信号の周波数が調節される。
たとえば、ショート・プリアンブルP1の検出が確定されたことを示す第2検出信号S8が出力された場合、検出されたショート・プリアンブルP1の後半3つのショート・トレーニング・シンボル(ST8〜ST10)の位相信号S9が48サンプル分積算され、この積算値に応じた周波数を有する正弦波信号が生成される。ショート・プリアンブルP1に続く残りのパケット信号の複素受信信号S3は、この生成された正弦波信号と乗算されることにより、周波数を調節される。
【0085】
周波数調節部10により周波数を調節された複素受信信号S10は、ガート・インターバル除去部11に入力される。ガード・インターバル除去部11では、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されたタイミングに基づいて、複素受信信号S10の中からOFDMシンボルが抽出され、抽出されたOFDMシンボルに付加されたガード・インターバルが除去される。ガード・インターバルを除去されたOFDMシンボルは、フーリエ変換部12において、周波数領域のOFDMシンボルに変換される。
【0086】
位相補正部13では、第2プリアンブル検出部8においてショート・プリアンブルP1の検出が確定されたタイミングに基づいて、フーリエ変換されたOFDMシンボルの中から、ロング・プリアンブルP2に対応するOFDMシンボルが抽出され、この抽出されたOFDMシンボルの各サブキャリア信号と既知のサブキャリア信号との差から、伝送路の状態がサブキャリアごとに推定される。この推定結果に基づいて、ロング・プリアンブルP2以降のOFDMシンボルに含まれる各サブキャリア信号の振幅および位相が補正される。
【0087】
位相補正部13において振幅および位相が補正された各サブキャリア信号には、復調部14において、送信側の通信装置で行われた変調方式(BPSK、QPSK、16値QAMまたは64値QAM)に対応する復調処理が行われる。これにより、複素数データとしてのサブキャリア信号が、変調方式に対応した所定ビット長のデータに変換される。復調部14において復調されたデータに対し、復号化部15では、送信側で行われたインターリーブ処理に対応するデ・インターリーブ処理が行われ、さらに、送信側で行われた符号化率1/2、2/3、または3/4の畳み込み符号化処理に対応するビタビ復号化などの復号化処理が行われる。これにより、受信データDrが生成される。
【0088】
パケット信号の検出が確定された後から次のパケット信号の受信を待つ状態に入るまでの間に、第2プリアンブル検出部8の第2検出信号S8は、パケット信号の受信待ち状態を示す値に初期化される。たとえば、ショート・プリアンブルP1の検出を示す論理値‘1’に設定された第2検出信号S8の値は、次のパケット信号の受信を待つ状態に入るまでの間に、パケット信号の受信待ち状態を示す論理値‘0’に初期化される。
【0089】
以上説明したように、図1に示す受信装置によれば、複素受信信号S3の値をそのまま使って相関算出処理や信号レベル測定処理が行われるのではなく、差分信号生成部4において生成された複素受信信号S3の差分信号に対して、相関算出処理や信号レベル測定処理が行われる。差分値であることから、複素受信信号S3の信号レベルに比べて差分信号S4の信号レベルは小さくなり、相関算出部5や信号レベル測定部6、位相信号生成部9などにおいて差分信号S4の処理用に用意する信号のビット長を短くすることができる。これにより、回路の規模を縮小させることができるとともに、ビットの駆動に要する電力が削減されるので、回路の消費電力を低減させることができる。
【0090】
また、差分信号生成部4において生成される差分信号S4では、複素受信信号S3に含まれる定常的なオフセット成分が相殺されるので、この定常的なオフセット成分に起因したパケット信号の検出誤差や周波数補正値の誤差の発生を防止することができる。また、これらの誤差成分を解消するための特別な処理が不要になるので、回路の規模を縮小させることができるとともに消費電力を低減させることができる。
【0091】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、IEEE802.11a方式の受信装置を説明上の一具体例として挙げているが、本発明はこれに限定されない。プリアンブルを先頭部に有したパケット信号を受信する種々の通信方式の装置にも、本発明を適用することは可能である。
【0092】
上述した実施形態において示した回路は、説明上の一具体例であり、同等な機能を有する他の回路でも本発明は実現可能である。
回路中において与えられている定数、たとえば、図4の相関算出部5における信号S53の積算数や、図5の信号レベル測定部6における信号S63の積算数などは、任意に変更可能である。
【0093】
本発明に係る通信装置の各構成要素は、全てをハードウェアによって構成することも可能であるが、少なくともその一部を、プログラムに応じて処理を実行するDSPなどの処理装置に置き換えて実現することも可能である。
【0094】
本発明に係る受信装置は無線信号の受信装置に限定されない。ケーブル等を介して信号が伝送される有線の受信装置に対しても、本発明は適用可能である。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、過大な信号が入力された場合でも信号値のオーバーフローを起こし難くすることができる。また、入力信号に含まれた定常的なオフセット成分により生じるパケット信号の検出誤差や周波数オフセットの補正が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】差分信号生成部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】サンプル時間が50nsecの場合におけるプリアンブル中の各シンボルのサンプル数を図解した図である。
【図4】相関算出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】信号レベル測定部の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】第1プリアンブル検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】第2プリアンブル検出部の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図8は、位相信号生成部の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、周波数調節部の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】IEEE802.11aにおいて規定されている伝送データのパケット構造の概要を示す図である。
【符号の説明】
1…アンテナ、2…RF信号処理部、3…直交検波部、4…差分信号生成部、5…相関算出部、6…信号レベル測定部、7…第1プリアンブル検出部、8…第2プリアンブル検出部、9…位相信号生成部、10…周波数調節部、11…ガート・インターバル除去部、12…フーリエ変換部、13…位相補正部、14…復調部、15…復号化部、41,43,51,55,57,66,67,85,103,811…遅延部、54,63,64,82,101,510,914…加算部、42,44,56,65…引き算部、53,58,59,61,62,75,94〜98,106…乗算部、71,74,83,86,88,99,104,910…定数出力部、72,76,87…比較部、73,81,102…選択部、77…データ・バッファ部、78,89…論理和演算部、810…論理積演算部、812…初期化制御部、91,92…絶対値演算部、911〜913…符号検出部、107…制御部、105…数値制御発振器。
Claims (12)
- 入力される信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を有するパケット信号を検出するパケット信号検出装置であって、
上記入力信号と、上記入力信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成する差分信号生成手段と、
上記差分信号生成手段においてサンプル時間単位で生成された差分信号と、当該差分信号を上記所定の周期に対応した第2の時間だけ遅延させた信号との相関値を算出する相関算出手段と、
上記相関算出手段において算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出する前置き信号検出手段と
を有し、
前記第2の時間は、前記1サンプル時間よりも長い
パケット信号検出装置。 - 上記差分信号生成手段において生成された差分信号の信号レベルを測定する信号レベル測定手段を有し、
上記前置き信号検出手段は、上記信号レベル測定手段において測定された信号レベルに応じて上記しきい値を設定する、
請求項1に記載のパケット信号検出装置。 - 上記前置き信号検出手段は、
上記相関値と上記しきい値とを比較し、上記相関値が上記しきい値を超えた場合に第1の信号を出力する比較手段と、
上記比較手段から上記第1の信号が持続して出力される時間が第3の時間に達した場合に、上記前置き信号の検出を示す信号を出力する検出信号出力手段とを含む、
請求項2に記載のパケット信号検出装置。 - 上記比較手段は、上記算出された相関値が所定の制限値を超える場合、上記相関値の代わりに上記制限値を上記しきい値と比較する、
請求項3に記載のパケット信号検出装置。 - 上記前置き信号検出手段は、上記比較手段から上記第1の信号が出力された場合、上記第1の信号を上記第3の時間より短い第4の時間だけ持続して出力し、上記検出信号出力手段に供給する信号持続手段を含む、
請求項3に記載のパケット信号検出装置。 - 上記相関算出手段は、
上記差分信号生成手段において生成された差分信号を上記第2の時間だけ遅延させる遅延手段と、
上記差分信号生成手段において生成された差分信号と上記遅延手段において遅延された差分信号とを乗算する乗算手段と、
上記乗算手段の乗算結果を所定の平均化期間に渡って平均化する平均化手段とを含む、
請求項1に記載のパケット信号検出装置。 - 上記入力信号は、同相成分と直交成分とからなる複素信号であり、
上記乗算手段は、入力した一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と入力した他方の差分信号とを乗算し、
上記相関算出手段は、上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた上記相関値を出力する相関値出力手段を含む、
請求項6に記載のパケット信号検出装置。 - 入力される信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を有するパケット信号を検出するパケット信号検出方法であって、
上記入力信号と、上記入力信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成し、
上記サンプル時間単位で生成された差分信号と、当該差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させた信号との相関値を算出し、
上記算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出する
パケット信号検出方法。 - 同相成分と直交成分とからなる複素信号を入力し、当該入力複素信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を検出し、当該検出したパケット信号の周波数を補正する周波数補正装置であって、
上記入力複素信号と、上記入力複素信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成する差分信号生成手段と、
上記差分信号生成手段においてサンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させる遅延手段と、
上記差分信号生成手段において生成された差分信号と上記遅延手段において遅延された差分信号とを入力し、当該入力した一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と当該入力した他方の差分信号とを乗算する乗算手段と、
上記乗算手段の乗算結果を所定の平均化期間に渡って平均化する平均化手段と、
上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成する位相信号生成手段と、
上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を出力する相関値出力手段と、
上記相関出力手段から出力された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力複素信号の中から上記前置き信号を検出する前置き信号検出手段と、
上記前置き信号検出手段において検出された前置き信号に対応して上記位相信号生成手段において生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する周波数調節手段と
を有する周波数補正装置。 - 同相成分と直交成分とからなる複素信号を入力し、当該入力複素信号の中から、所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を検出し、当該検出したパケット信号の周波数を補正する周波数補正方法であって、
上記入力複素信号と、上記入力複素信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成し、
上記サンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させ、
上記生成された差分信号および上記遅延された差分信号のうちの何れか一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と他方の差分信号とを乗算し、
上記乗算の結果を所定の平均化期間に渡って平均化し、
上記平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成し、
上記平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を算出し、
上記算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出し、
上記検出された前置き信号に対応して生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する、
周波数補正方法。 - 所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を受信信号中から検出して復調する受信装置であって、
受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とからなる複素受信信号を生成する直交検波手段と、
上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成する差分信号生成手段と、
上記差分信号生成手段においてサンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させる遅延手段と、
上記差分信号生成手段において生成された差分信号と上記遅延手段において遅延された差分信号とを入力し、当該入力した一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と当該入力した他方の差分信号とを乗算する乗算手段と、
上記乗算手段の乗算結果を所定の平均化期間に渡って平均化する平均化手段と、
上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成する位相信号生成手段と、
上記平均化手段から平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を出力する相関値出力手段と、
上記相関出力手段から出力された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力複素信号の中から上記前置き信号を検出する前置き信号検出手段と、
上記前置き信号検出手段において検出された前置き信号に対応して上記位相信号生成手段において生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節する周波数調節手段と、
上記周波数調節手段において周波数調節が行われたパケット信号に対して所定の復調処理を行う復調処理手段と
を有する受信装置。 - 所定の周期で反復される一連の信号を含んだ前置き信号を先頭部に有するパケット信号を受信信号中から検出して復調する受信方法であって、
受信信号に対して直交検波を行い、同相成分と直交成分とからなる複素受信信号を生成し、
上記生成された複素受信信号と、当該複素受信信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号との差に応じた差分信号を生成し、
上記サンプル時間単位で生成された差分信号を上記所定の周期に対応した、前記1サンプル時間よりも長い第2の時間だけ遅延させ、
上記生成された差分信号および上記遅延された差分信号のうちの何れか一方の差分信号を、その直交成分の正負が反転された共役差分信号に変換し、当該共役差分信号と他方の差分信号とを乗算し、
上記乗算の結果を所定の平均化期間に渡って平均化し、
上記平均化の結果として出力される複素信号の位相に応じた位相信号を生成し、
上記平均化の結果として出力される複素信号の信号レベルに応じた相関値を算出し、
上記算出された相関値と所定のしきい値とを比較し、当該比較結果に応じて上記入力信号の中から上記前置き信号を検出し、
上記検出された前置き信号に対応して生成された位相信号に応じて、当該前置き信号を先頭部に有するパケット信号の周波数を調節し、
上記周波数調節が行われたパケット信号に対して所定の復調処理を行う、
受信方法。
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