JP4058597B2 - 新規なインデン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工技術に適した化学増幅レジスト材料のベースポリマー用のモノマーとして有用なインデン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている。
【0003】
微細化が急速に進歩した背景には投影レンズの高NA化、レジスト材料の性能向上、短波長化が挙げられる。レジスト材料の高解像度化及び高感度化に関しては、光照射によって発生する酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料は優れた性能を有するものであり、遠紫外線リソグラフィーにおいて特に主流なレジスト材料になった(特公平2−27660号、特開昭63−27829号公報等に記載)。また、i線(365nm)からKrF(248nm)への短波長化は大きな変革をもたらし、KrFエキシマレーザー用レジスト材料は0.30ミクロンプロセスに始まり、0.25ミクロンルールを経て、現在0.18ミクロンルールの量産化への適用へと展開している。更には、0.15ミクロンルールの検討も始まっており、微細化の勢いはますます加速されている。
【0004】
ArF(193nm)では、デザインルールの微細化を0.13μm以下にすることが期待されているが、ノボラックやポリビニルフェノール系等の従来用いられていた樹脂が193nm付近に非常に強い吸収を持つため、レジスト用のベース樹脂として用いることができない。そこで透明性と必要なドライエッチング耐性の確保のため、アクリル樹脂やシクロオレフィン系の脂環族系の樹脂が検討されている(特開平9−73173号、特開平10−10739号、特開平9−230595号公報、WO97/33198)。
【0005】
F2(157nm)に関しては0.10μm以下の微細化が期待されているが、透明性の確保がますます困難になり、ArF用ベースポリマーであるアクリル樹脂では全く光を透過せず、シクロオレフィン系においてもカルボニル基を有するものは強い吸収を持つことがわかった。また、KrF用ベースポリマーのポリビニルフェノールについては、160nm付近に吸収のウィンドウがあり、若干透過率が向上するものの、実用的なレベルにはほど遠いことが判明した。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、300nm以下、特にF2(157nm)、Kr2(146nm)、KrAr(134nm)、Ar2(126nm)等の真空紫外光における透過率に優れた化学増幅レジスト材料のベースポリマーの原料となるモノマーであるインデン誘導体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、2−ヒドロキシ−ヘキサフルオロイソプロピル基に代表されるような含フッ素置換基をインデンの芳香環中に導入すると、透明性が飛躍的に向上すると共に、このモノマーから合成される樹脂が同様の骨格を有するポリヒドロキシスチレン誘導体に比べて高いドライエッチング耐性を示すことを知見し、本発明に至ったものである。
【0008】
即ち、本発明は下記のインデン誘導体を提供する。
請求項1:下記一般式(1)で示されるインデン誘導体。
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R 1 は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基であり、R 2 及びR 3 は水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基であるが、R2及びR3のうち少なくとも一方は1個以上のフッ素原子を有する。R4は水素原子又は酸不安定基を示す。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基である。aは1〜3の整数、bは1又は2であり、a+b=4である。)
請求項2:上記一般式(1)において、R2及びR3がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1記載のインデン誘導体。
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0012】
本発明者の検討によれば、157nm付近の樹脂の透過率を向上させる方法としては、カルボニル基や炭素−炭素間二重結合の数の低減化も一つの方法と考えられるが、モノマーユニットへのフッ素原子の導入も透過率向上に大きく寄与することがわかってきた。特に、本発明者は、2−ヒドロキシ−ヘキサフルオロイソプロピル基に代表される含フッ素置換基をインデンの芳香環中に導入した下記一般式(1)で表されるようなモノマーから得られるポリマーが、157nm付近での高透明性を確保できることを見出したものである。更には、本モノマーから合成される樹脂は、ポリマー主鎖中に五員環構造を有するため、同様の置換基を有するポリヒドロキシスチレン誘導体に比べて高いドライエッチング耐性を示す。また、2−ヒドロキシ−ヘキサフルオロイソプロピル基のような親水性基を有するインデン誘導体は、得られたポリマーの基板密着性や現像液浸透性等も優れた性能を示す。
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、R 1 は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基であり、R 2 及びR 3 は水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基であるが、R2及びR3のうち少なくとも一方は1個以上のフッ素原子を有する。R4は水素原子又は酸不安定基を示す。R5及びR6は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基である。aは1〜3の整数、bは1又は2であり、a+b=4である。)
【0015】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、キシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。フッ素原子を有するアルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換した基が挙げられる。
【0016】
R4の酸不安定基としては種々選定されるが、特に下記式(2)及び(3)で示される基、下記式(4)で示される炭素数4〜40の3級アルキル基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等であることが好ましい。
【0017】
【化4】
【0018】
式中、R7及びR10は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでも良い。R8及びR9は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでも良く、R8とR9、R8とR10、R9とR10はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数2〜20の環を形成しても良い。R11、R12及びR13は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、ケイ素、フッ素等のヘテロ原子を含んでも良く、R11とR12、R11とR13、R12とR13は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の環を結合しても良い。cは0〜10の整数である。
【0019】
また、上記式(2)〜(4)中のR7、R10、R13は、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等の非置換又は置換の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル基やフェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基であってもよく、更には下記式で示されるような酸素原子を介在する及び/又は水酸基を含有するアルキル基又はオキソアルキル基を用いることもできる。
【0020】
【化5】
【0021】
式(2)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる他、下記に示す置換基を挙げることもできる。
【0022】
【化6】
【0023】
(式中、R21は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。R22は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。)
【0024】
式(3)で示される化合物を例示すると、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基、直鎖状または分岐状のものとしては具体的に下記の基が例示できる。このうち、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基が好ましい。
【0025】
【化7】
【0026】
式(4)に示される化合物としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等の三級アルキル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等のアルキルシリル基を挙げることができる他、下記に示す置換基を挙げることができる。
【0027】
【化8】
【0028】
(式中、R23は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基又はフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基を示す。R24及びR26は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基を示す。R25はフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基を示す。)
【0029】
本発明のインデン誘導体の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【0030】
【化9】
【0031】
本発明のインデン誘導体の製造は、例えば下記工程にて行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
【化10】
【0033】
上記式においてXは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示す。反応は公知の条件にて容易に進行するが、好ましくはテトラヒドロフラン等の溶媒中、原料のハロゲン化物(合成法は、Journal of Organic Chemistry、49巻、22号、1984年、4226頁を参照した)とマグネシウムを反応させ、得られたGrignard試薬とヘキサフルオロアセトンガスを室温で反応させた後、飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて後処理を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び蒸留にて精製し、目的物(R4=H)を得ることができる。得られたアルコールから公知の方法により前記の酸不安定基を導入することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明のインデン誘導体をモノマーとして製造した樹脂をベースポリマーとして用いたレジスト材料は、透明性に優れると共にドライエッチング耐性に優れているため、電子線や遠紫外線、特にF2エキシマレーザーによる微細加工に有用である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0036】
[合成例] 5−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)インデンの合成
1L四つ口フラスコ中に6.5gのマグネシウムと少量のテトラヒドロフランを入れた。6−ブロモインデンのテトラヒドロフラン溶液を少量添加してGrignard反応の開始を確認後、フラスコの内温が55℃に保たれるよう少しずつ滴下し、計50.0gの6−ブロモインデン溶液を滴下した。反応混合物を加熱環流下で2時間反応させた後、室温まで冷却し、溶液中にヘキサフルオロアセトンガスを吹き込んだ。吹き込み終了後2時間室温で反応させた後、フラスコを水浴に浸しながら飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。通常の反応後処理を行い、得られた油状物質をシリカゲルクロマトグラフィー及び蒸留により精製し、25.3gの5−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル)インデンが得られた。収率は30.0%であった。
【0037】
1H−NMR(CDCl3、270MHz):
δ7.85(m、1H)、7.49(m、1H)、7.28−7.25(m、2H)、6.97(s、1H)、3.52(t、2H)、3.48(s、1H)
FT−IR(NaCl):
3597、3516、3072、1622、1459、1385、1339、1272、1217、1171、1128、1099、1063、1028、991、962、926、864、785、766、737、715cm-1
Claims (2)
- 上記一般式(1)において、R2及びR3がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1記載のインデン誘導体。
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