JP4055978B2 - 高周波コイルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にコイル導体を形成してなる高周波コイルの製造方法に係り、とくにQが高く、量産性が良好で、狭公差の高周波コイルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の高周波コイルの工法としては、以下の方法が知られている。
【0003】
(1) 基板の表面に蒸着、スパッタリング、又はイオンプレーティングで第1導体膜を形成し、これをめっきで厚付けし、ドライエッチングでパターニングする工法(特公平7−101652号公報)。
【0004】
(2) セラミック積層工法でヘリカルコイルを形成する工法(特開平3−229407号公報)。
【0005】
図8はセラミック積層工法によるチップコイルの外観を示す斜視図に相当する写真であり、積層セラミック層1の両端部に端子電極2を有するとともに、図9の断面図に相当する写真の如く内部にコイル導体3を有している。ここで、端子電極2はチップコイルの端部を導電性ペーストの溶液の中に垂直に浸した後に焼成するので、チップコイルの両端面全部とこの周りの4面の端が全て導体で覆われる。また、セラミック積層工法でコイル導体3を作成する場合、導体ペーストを積層セラミック層1と共に焼成するため、図9の断面写真にあるようにコイル導体焼成時の溶剤のガス抜けに起因すると考えられる多数のボイドが表面に形成され、凹凸の多い断面形状となっている。
【0006】
また、図10はコイル導体3の上層のヘリカルパターンの拡大平面図に相当する写真であるが、やはり、コイル導体焼成時の溶剤のガス抜けに起因すると考えられる多数のボイドが表面に形成されたものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記(1)の工法は、次の欠点がある。
【0008】
▲1▼ 薄膜工法を多用しているので、量産性が悪い。特にエッチングにドライエッチング法を使用しているが、この工法はパターニングの精度は良いがエッチング速度が遅く、導体が厚くなると量産性が悪くなり、工業的に生産し得る膜厚は約10μmが上限である。例えば、膜厚0.3μmの銅で1時間程度かかる。一方、コイルのQの向上を考えると、コイル導体厚の10μmは下限値である。コイルのQの向上には例えば50μm〜l00μmの導体厚で設計することが有効であるが、この工法では実現困難である。
【0009】
また、上記(2)のセラミック積層工法によりヘリカルコイルを形成する方法は、次の欠点がある。
【0010】
▲1▼ 前者に比べるとQは大きいが、高温で焼成する為にコイル導体に焼成時の溶剤のガス抜けに起因すると考えられる多数のボイドが存在し、導体表面に大きな凹凸が発生している為に、電流路の長さが伸びて抵抗が増大するためにQを低下させている。
【0011】
▲2▼ Qを上昇させるには導体層を厚くする必要があるが、導体層の形成は通常スクリーン印刷法で行われており約20μmが上限である。
【0012】
▲3▼ 導体層の形成は通常スクリーン印刷法で行われており、焼成前のパターンの寸法精度が悪く、また焼成時に全体が10〜20%縮むがこの割合が一定せず、インダクタンスのばらつきが大きい。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑み、Qを高めることができ、インダクタンスのばらつきが小さく、信頼性、量産性に優れた高周波コイルの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、絶縁性基板上に、導体層と有機絶縁層とを交互に積層して作成する高周波コイルの製造方法において、
前記導体層を作製する工程が、
(1) 5μm以下のめっき用下地導体層を少なくとも前記絶縁性基板の片面の全てに形成する下地形成工程と、
(2) 感光性レジストを前記下地導体層の上に設けるレジスト形成工程と、
(3) フォトリソグラフィー法により前記レジストのコイル導体パターン部分を除去するパターニング工程と、
(4) 光沢電解銅めっきにより、前記レジストの除去されたコイル導体パターン部分に表面の凹凸が5μm以内のコイル導体層を形成すると同時に、層間絶縁層としての前記有機絶縁層に形成されているビアホールを導体で埋め尽くして当該ビアホールの穴を前記導体で完全に埋める光沢電解銅めっき工程と、
(5) 前記感光性レジストを除去するレジスト除去工程と、
(6) エッチングにより前記下地導体層の不要部分を除去する下地除去工程とを有することを特徴としている。
【0016】
本願請求項2の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1において、前記めっき用下地導体層の少なくとも第1層を無電解めっきで形成することを特徴としている。
【0017】
本願請求項3の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項2において、前記無電解めっきが銅めっきであることを特徴としている。
【0018】
本願請求項4の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1,2又は3において、前記感光性レジストがドライフィルムであることを特徴としている。
【0019】
本願請求項5の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1,2,3又は4において、前記感光性レジストの露光を平行露光機で行うことを特徴としている。
【0021】
本願請求項6の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1,2,3,4又は5において、前記電解めっきが銅めっきであることを特徴としている。
【0022】
本願請求項7の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1,2,3,4,5又は6において、前記エッチングがウエットエッチングであることを特徴としている。
【0023】
本願請求項8の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1,2,3,4,5,6又は7において、前記下地導体層と前記コイル導体層の金属種を選択エッチング可能な組み合わせにして、前記下地除去工程で下地導体層のみをエッチングするエッチング液で処理することを特徴としている。
【0025】
本願請求項9の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1乃至8のいずれかにおいて、前記下地導体層とこれに積層された前記コイル導体層とからなる前記導体層のアスペクト比が0.3以上であることを特徴としている。
【0026】
本願請求項10の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1乃至9のいずれかにおいて、前記有機絶縁層が可撓性のある樹脂であることを特徴としている。
【0027】
本願請求項11の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、層間絶縁層としての前記有機絶縁層に前記ビアホールをレーザー加工にて形成することを特徴としている。
【0028】
本願請求項12の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、層間絶縁層としての前記有機絶縁層が感光性を有し、フォトリソグラフィー法で前記ビアホールを形成することを特徴としている。
【0029】
本願請求項13の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1乃至12のいずれかにおいて、前記コイル導体パターンがヘリカルであることを特徴としている。
【0030】
本願請求項14の発明に係る高周波コイルの製造方法は、請求項1乃至13のいずれかにおいて、前記下地導体層とこれに積層された前記コイル導体層とからなる前記導体層の厚さが、層間絶縁層としての前記有機絶縁層の厚さの1/2以上であることを特徴としている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高周波コイルの製造方法の実施の形態を図面に従って説明する。
【0033】
図1乃至図4を用いて本発明に係る高周波コイルの製造方法の第1の実施の形態を説明する。
【0034】
図1の第1工程(下地形成工程)において、有機又は無機の絶縁性基板10の表面を粗化した後、片面の全てに厚さ5μm以下のめっき用下地導体層11を形成する。なお、下地導体層11が5μmを超えると後工程で不要な下地導体層11を除去するエッチングに時間がかかり、かつ下地導体層11上に設けるコイル導体層もエッチングされるおそれが出てくるため、好ましくない。
【0035】
前記下地導体層11の形成方法は、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等の薄膜工法、無電解めっき又は無電解めっきした上に電解めっきを施す等のウエット工法及びこれらの組み合わせとする。組み合わせの一例を挙げると、0.1μmのTi膜をスパッタリング法で形成した後で、電解銅めっきで2μm厚付けする等の方法である。この中でも無電解めっきもしくはこの上に電解めっきで厚付けする方法は量産性が良く、またスケールアップも容易なので好ましい。
【0036】
金属の種類は比抵抗が低くて、安価なものが好ましい。銅は比抵抗とコストのバランスのとれた好ましい材料である。また、無電解銅めっきで容易に、量産性良く成膜出来る。
【0037】
次に第2工程(レジスト形成工程)において、下地導体層11の上に感光性レジストとしての光硬化性ドライフィルム12をラミネーターで貼り付ける。ここで、ドライフィルム12の厚みは後工程で形成するコイル導体層の厚さの80%以上とすることが好ましく、例えばドライフィルム12の厚みは80μmとする。
【0038】
第3工程(パターニング工程)では、ドライフィルム12に対してフォトリソグラフィーの手法を用いて平行露光機で露光、現像し、図2(A)のコイル導体パターンを作製する。ここで図中の斜線の部分がドライフィルム12を除去した溝部13となる。基板全体の縦、横寸法は例えば0.8×1.6mm(製品個別の大きさ)であり、コイル導体部の幅は85μmである。但し、実際の製造においては、集合基板を使用して本実施の形態の各工程を実行し、最後に製品個別に切り出す。なお、平行露光機とするのは、これが平行光線をドライフィルム12に垂直に照射でき、散乱光による場合に比べ細幅で側面が垂直に近い溝をパターニングできるからである。
【0039】
第4工程(電解めっき工程)では、ドライフィルム12の溝部13に電解めっきとしての光沢硫酸銅めっきで厚さ80μmのコイル導体層14を形成する。ここで光沢めっきとするのは、導体層14表面を鏡面状にして凹凸を少なくするためである。なお、導体層14は溝部13の深さよりも肉厚が多少大きくなるようにめっき処理してもよい。
【0040】
第5工程(レジスト除去工程)ではドライフィルム12を剥離、除去し、下地導体層11を露出させる。
【0041】
第6工程(下地除去工程)では、全体をウェットエッチングでエッチング処理して下地導体層11の不要部分を除去する。
【0042】
以上の第1乃至第6工程により、図2(A)のように絶縁性基板10上に第1導体層20が形成されることになる。以上の工法により第1導体層20のアスペクト比を0.3以上にすることができる。
【0043】
第7工程(層間絶縁層形成工程)では感光性絶縁樹脂を第1導体層20上で25μmの厚さに塗布して有機絶縁層の層間絶縁層21とする。
【0044】
第8工程(ビアホール形成工程)では、層間絶縁層21に対してフォトリソグラフィー法で露光、現像処理して図2(B)の斜線の位置にビアホール22を作製する。ビアホールの直径は100μmである。
【0045】
その後は、第1乃至第6工程と同様の工程を繰り返す。つまり、第9工程(下地形成工程)では、絶縁層21の表面を粗化した後に5μm以下のめっき用下地導体層31を銅の無電解めっき等で形成する。なお、下地導体層31が5μmを超えると後工程で不要な下地導体層31を除去するエッチングに時間がかかり、かつ下地導体層31上に設けるコイル導体層もエッチングされるおそれが出てくるため、好ましくない。
【0046】
次に第10工程(レジスト形成工程)において、下地導体層31の上に感光性レジストとしての光硬化性ドライフィルム32をラミネーターで貼り付ける。ここで、ドライフィルム32の厚みは後工程で形成するコイル導体層の厚さの80%以上とすることが好ましく、例えばドライフィルム32の厚みは100μmとする。
【0047】
第11工程(パターニング工程)では、ドライフィルム32に対してフォトリソグラフィーの手法を用いて平行露光機で露光、現像し、図2(C)のコイル導体パターンを作製する。ここで図中の斜線の部分がドライフィルム32を除去した溝部33となる。コイル導体部の幅は85μmである。
【0048】
第12工程(電解めっき工程)では、ドライフィルム32の溝部33に電解めっきとしての光沢硫酸銅めっきで厚さ100μmのコイル導体層34を形成する。ここで光沢めっきとするのは、導体層34表面を鏡面状にして凹凸を少なくするためである。なお、導体層34は溝部33の深さよりも肉厚が多少大きくなるようにめっき処理してもよい。ここで、導体層を厚くとり、めっき液の組成を選ぶと、ビアホールの穴を金属導体で完全に埋めることができ、信頼性上及び電気的特性上好ましい。この場合、硫酸銅めっき液の濃度は高い方が好ましく、5水塩換算で150g/リットル以上、さらに好ましくは200g/リットルである。光沢剤はいわゆるビアフィル(ビアホールを埋め尽くすこと)を目的とし、さらに均一電着性が50%以上であるものを選択する。導体層の厚さは層間絶縁層の厚さの1/2以上、さらに1以上が好ましい。
【0049】
第13工程(レジスト除去工程)ではドライフィルム32を剥離、除去し、下地導体層31を露出させる。
【0050】
第14工程(下地除去工程)では、全体をウェットエッチングでエッチング処理して下地導体層31の不要部分を除去する。
【0051】
以上の第9乃至第14工程により、図2(C)のように層間絶縁層21上に第2導体層40が形成されることになる。以上の工法により第2導体層40のアスペクト比を0.3以上にすることができる。
【0052】
このようにして、図3に外観を、図4に第1及び第2導体層20,40の断面を示す高周波コイルが得られる。ここで、図1及び図2からも判るように前記第1導体層20と第2導体層40とは層間絶縁層21のビアホール22を介して相互に接続され、全体として基板両側縁の端子電極45同士を接続するヘリカルパターンのコイル導体50を構成している。
【0053】
図3の外観を示す写真、図4の第1及び第2導体層20,40の断面図相当の写真から明らかなように、上記工法により各導体層20,40を作製できることで、図9や図10の従来例に示す導体層のボイドの発生はなく、各導体層20,40の表面は滑らかなものとなる。
【0054】
前記絶縁性基板10及び層間絶縁層21となる有機絶縁層の材質には浮遊容量を減少させるために誘電率の小さいものが好ましい。また誘電損失を減らす為にQの大きいものが好ましい。具体的には絶縁性基板10及び層間絶縁層21の比誘電率がそれぞれ5以下で、Qはそれぞれ100以上あることがとくに望ましい。絶縁性基板及び有機絶縁層の材料は使用周波数、目標のQ値、コストを考慮して例えば以下の表1より選択すればよい。この中でも、ビニルベンジルは誘電率、Q、コストのバランスが良く、好ましい材料である。
【0055】
【0056】
有機材としたときの絶縁性基板及び有機絶縁層には、機械的強度の向上の為に芯材を用いることが出来る。芯材には以下の表2のようにDガラスクロス、Eガラスクロス、ケプラークロス等を用いることが出来る。一般的に誘電率の低く、低損失の材料ほど高価であるが、コストの許す限り、誘電率の低い材料を使用することが好ましい。
【0057】
【0058】
前記絶縁性基板10及び有機絶縁層の層間絶縁層21には、可撓性のある樹脂を用いることが好ましい。コイル導体と樹脂の熱膨張率は大きく異なっており、可撓性の乏しい樹脂を用いるとヒートサイクル等の信頼性試験によりクラックが生じる等の不具合が発生する。具体的に可撓性の尺度を挙げると、樹脂の伸び率が3%以上、エリクセン値が3mm以上等が挙げられる。基板10に有機材を用いることは、誘電率が小さくかつ割れに強い材料が比較的容易に得られるので好ましい。
【0059】
なお、セラミック基板の場合はアルミナのように機械的強度は優れているが誘電率が10程度と大きい材料とガラスのように誘電率は4程度と小さいが割れやすい材料の二つにわかれて、機械的強度と低誘電率の両方を併せ持つ材料はない。
【0060】
第1工程におけるめっき用下地導体層11は、基板10の全面にあるので第4工程の電解めっき時に大きな電流を流すことが出来めっき時間を短縮出来る。これは特にコイル導体層14の高さを高くしてハイアスペクト形状にする場合に有効である。すなわち、導体層14が厚い場合、めっき電流が小さいとめっき作業時間が大幅に増加して量産性の悪化を招く。
【0061】
なお、最初にめっき下地導体層をパターニングして、電解めっきで厚付けする方法もあるが、この方法では一般的にめっき線の抵抗が大きくなるのでめっき時の電流を上げることが出来ず、またパターンの凸部は電解が集中してめっきが厚くなり、また凹部はその反対に薄くなり、パターニング精度が悪化する。特にスパイラルパターンのように導体の長さが大きい場合は著しい。また、島状のパターンが形成できないので、端子電極の構成時等に不具合が発生する場合もある。
【0062】
第2工程及び第3工程において、パターンめっき用のめっきパターン形成に感光性レジストを使用すると、高精度のパターニングが出来て好ましい。またレジストを厚くすれば、容易にハイアスペクトパターンを形成する事が出来る。レジストが厚い場合は平行光線を照射できる平行露光機を用いると樹脂の壁面が垂直に加工され好ましい。
【0063】
本実施の形態のように、感光性レジストにドライフィルム32を用いるとハイアスペクトパターンが容易に出来るので好ましい。
【0064】
例えば、スピンコート法で液状レジストを用いてレジスト層を形成する場合を考えると、厚塗りする場合はレジストの粘度を上げる必要があるが、この場合基板周辺のレジストが厚くなり膜厚の精度が出ない。また溶剤の乾燥も困難である。ドライフィルムの場合は膜厚は最初から保証されており、また溶剤乾燥の必要もない利点がある。
【0065】
なお、ハイアスペクトパターンを形成する場合、パネルめっき後レジストパターンを形成して、ドライエッチングする方法も考えられる。この場合は高精度にハイアスペクトパターンが形成可能ではあるが、エッチングのスピードが遅く(膜厚0.3μmで1時間程度かかる)、工業的に生産可能な膜厚の上限は10μm程度であり、またそれ以下の膜厚の場合でも量産性は犠牲になる。
【0066】
前記めっき下地導体層11の厚さの上限は、第6工程でのエッチングのされやすさによって決まる。コイル導体層14と下地導体層11の選択エッチングが不可能な場合には下地導体層11の厚さはコイル導体層14の厚さの1/5が上限である。厚さがこれを越えると、コイル導体層14のエッチング量が増えて高周波コイルとしての損失が増大し、またコイル導体層14のパターン精度も落ちる。
【0067】
コイル導体層14と下地導体層11が選択エッチング可能な場合はこれより厚くてもかまわないが、あまり厚いと下地導体層11のサイドエッチングが大きくなるので、1/3が上限である。
【0068】
第4工程の電解めっき法は膜形成速度が早く、またスケールアップが容易であるので好ましい製造手段である。特にハイアスペクト導体を形成する場合はコイル導体層14の厚さが場合によっては100μmを越えるので量産性を確保するのに極めて重要な工法になる。また光沢めっきを用いるとコイル導体層14の3面の凹凸が小さくなり好ましい。金属の種類も銅、銀等比抵抗の低いものがめっき可能である。この中でも銅は安価であり、比抵抗も低く、また銀に比べてマイグレーションも起こしにくいので要求特性のバランスがとれており、好ましい。
【0069】
第6工程でのめっき用下地導体層11のエッチングはドライエッチング又はウエットエッチングのどちらでも可能である。しかし、量産性を考慮すると本実施の形態で述べたようにウエットエッチングが好ましい。ウエットエッチングは量産性が良好であり(膜厚10μmの銅のエッチングで10分程度)、またスケールアップも容易である。
【0070】
また、めっき用下地導体層11にコイル導体層14と選択エッチング可能な金属を使用することも好ましい。こうすれば第6工程中でのコイル導体層14の細りを防止する事が出来る。組み合わせの例として下地導体層がチタン、クロムであり、コイル導体層が銅である場合が挙げられる。下地導体層がチタンのみである場合、厚さを0.3〜1μmとし、エッチング液は例えば水酸化ナトリウムと過酸化水素水の混合物(組成:水酸化ナトリウム1%、過酸化水素1%)を用いる。
【0071】
第8工程でのビアホール22の加工には層間絶縁層21に感光性のある場合はフォトリソグラフィー技術で形成し、そうでない場合はレーザー加工法が好ましく用いられる。フォトリソグラフィー法の場合は一度に多くの穴を開けることが可能であるので、穴数の多い場合に好ましい。また穴開けの精度はフォトマスクの精度でほとんど決まるので高い。レーザー加工法で穴開けをするメリットは樹脂の種類を選ばないことである。また樹脂に感光性を付与すると一般的にQ、誘電率等の特性値が低下し、また機械的強度も悪化する。レーザー加工法の場合は自由に樹脂を選択できるので、特性の良好な層間絶縁膜を使用することが可能である。
【0072】
端子電極45同士を接続するコイル導体50となる第1導体層20及び第2導体層40のアスペクト比は出来るだけ大きいことが好ましい。アスペクト比を上げることにより、コイル導体の渦電流損失を増やすことなく電流路の断面積を増加する事が出来る。またインダクタンス値はほとんど変わらないので、Qを効率良く上げることが出来る。
【0073】
コイル導体の幅を増やした場合は、電流路の断面積は増加するものの、磁界と鎖交する導体上部の面積が増え、またインダクタンス値が減少するので好ましくない。アスペクト比の目安として0.3以上が挙げられる。これはプリント基板等で行われているサブトラクティブ法はアスペクト比が0.2が上限であることに基づいている。また、アスペクト比が0.3未満では、電流路の断面積の増加はわずかにとどまりQの改善効果はあまり期待できないからでもある。
【0074】
コイル導体表面は出来るだけなめらかで凹凸の小さいものが好ましい。表面の凹凸が高周波のスキンデプスと同程度になると電流路の長さが大きくなって実効抵抗が上昇する。セラミック積層工法でコイルを作成すると図10にあるように表面に多数のボイドが形成されて好ましくない。凹凸の目安としてセラミック工法との対比によると5μm以下が目安である。
【0075】
コイル導体パターンをヘリカルにすると通常Qは上昇するが層数が増えるために量産性は低下する。本発明では導体層の工法を詳細に検討することにより、層数の多いヘリカルコイルにおいても実用に耐える量産性が確保可能な工法を開示している。
【0076】
本実施の形態では、(I)高Q、(II)量産性良好、(III)狭公差、(IV)高信頼性とするために以下に述べる構成とする。
【0077】
(I) 高Qに関して
【0078】
(1) 基本的関係
【0079】
コイルのQは次式で表される。
Q=2πfL/Reff …(1式)
(但し、f:周波数、L:インダクタンス、Reff:実効抵抗)
また、実効抵抗Reffは次式で表される。
Reff=Rj+Re+Rd …(2式)
(但し、Rj:ジュール損失に起因する抵抗、Re:渦電流損失に起因する抵抗、Rd:誘電損失に起因する抵抗)
【0080】
(2) 層間絶縁層を有機材料にする。
【0081】
▲1▼ 層間絶縁層21が有機絶縁層の場合、その形成温度が大幅に低下し(セラミック積層の場合は1000℃程度、有機絶縁層の場合は200℃以下)、導体ペーストの焼結によらずめっき工法でコイル導体50を形成でき、導体表面が滑らかになる。コイル導体50の滑らかさの目安は、導体表面の凹凸が使用周波数でのスキンデプスの3倍以下となるようにする。1GHzの場合を考えると、スキンデプスは導体が銅の場合約2μmであるから6μm以下となる。また、コイル導体20の電流方向に垂直な面での切り口の1/3以上が滑らかである事が望ましい。これにより電流路が短くなり、Rjが下がる。
【0082】
スパッタリング、蒸着、プラズマCVD等の薄膜製膜方法により低温で無機絶縁層を形成することもできるが、ステップカバレージが悪く、特にヘリカル巻きのように多数の導体層を形成する場合には好ましくない。また量産性が落ちる。このことはヘリカル巻きのように層数の多い場合は顕著になる。その上、一般的に誘電率が大きくなり、SRF(自己共振周波数)が低下する。さらに層数の多い場合はストレスが蓄積しクラックが生じやすくなる。
【0083】
▲2▼ 絶縁性基板10及び有機絶縁層としてQ値の高い樹脂を選択すればRdが減少しさらにQを向上させる事が出来る。例えば、ビニルベンジル等のようにQが100以上の材料を選択することが望ましい。なお、Qが100未満では高周波コイルのQの低下を招くことになり好ましくない。
【0084】
(3) コイル導体のアスペクト比を高くする。
コイル導体50、つまり第1導体層20、第2導体層40のアスペクト比をそれぞれ上げると電流路の断面積を増やせるのでRjが減少し、Qを向上出来る。
【0085】
高周波においては電流は表皮効果の為に導体のごく表面にしか流れない。電流の流れる深さの目安としてスキンデプスがあり、導体が銅の場合は1GHzで約2μmである。導体層を高く(厚く)すると側面にも電流が流れるようになり、電流路の断面積が拡大し、Rjが減少し、高周波においてもQを上げる事が出来る。
【0086】
なお、電流路を増やすもう一つの方法として、導体幅を広くすることが考えられる。この場合電流路の断面積は増えるものの、磁界とコイル導体の鎖交する面積が増えて渦電流損失が拡大する。また導体の最外周の位置を固定して考えると導体幅を増やすと中央の開口部の面積が減少してL値が減少する。一方、アスペクト比を上げた場合にはLはほとんど変わらないので、アスペクト比を上げた場合と比較するとQは減少することになる(1式参照)。
【0087】
(4) 巻き線、つまりコイル導体50をヘリカルにする。
ヘリカル巻きにするとスパイラルの場合に比べて同じインダクタンスLを得るのに短い導体ですむのでRjが減少する。
【0088】
またコイル導体50がヘリカルパターンの場合、磁界に接する導体の面積が減るのでReが減少する。その理由は、コイル導体の発生する磁界は基板に対してほぼ垂直であり、ヘリカルの場合は最下層の下側の導体面と最上層の上側の面は磁界にさらされて渦電流損失が生じるが、これ以外の導体面はこれらの面にシールドされて磁界にほとんど接しないからである。
【0089】
(5) コイル導体パターンを光沢めっきのパターンめっき工法(図1に示した工法)で作製する。
これによりコイル導体50を構成する第1導体層20及び第2導体層40の底面以外の3面を滑らかに出来る。
【0090】
(II) 量産性に関して
【0091】
(1) 層間絶縁層として有機絶縁層を用いる。
有機絶縁層の場合、量産性に優れた成膜方法を使用できる。一方、滑らかなコイル導体50の表面を保って無機の層間絶縁層を使用する場合には、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等の量産性の劣る製膜方法を使用せざるを得ない。また高周波コイルでは浮遊容量を小さくするために層間絶縁樹脂の厚さは10μm以上に設定するが、この場合さらに量産性が悪化する。
【0092】
(2) コイル導体の形成にはパターンめっき法を用いる。
図1で説明したパターンめっき法は量産性に優れている。またQの向上には導体パターンのハイアスペクト化が有効であり、コイル導体厚が約100μmに達する場合もあるが、パターンめっき法によると量産性を損なうことなくハイアスペクトパターンが形成出来る。
【0093】
(III) 狭公差に関して
【0094】
(1) コイル導体の形成にはパターンめっき法を用いる。
パターンめっきの場合はコイル導体50の精度はほとんどフォトマスクの精度で決まるので高精度である。
【0095】
(2) ビアホール形成はレーザー加工もしくはフォトリソグラフィー法を使用する。
これらは、ビアホール22をスクリーン印刷法で形成するよりも遥かに高精度で穴開け出来る。
【0096】
(IV) 高信頼性に関して
【0097】
(1) 可撓性のある樹脂を層間絶縁層に使用する。
層間絶縁層21としての有機絶縁層には可撓性のある樹脂を用いることが好ましい。導体と樹脂の熱膨張率は大きく異なっており、可撓性の乏しい樹脂を用いるとヒートサイクル等の信頼性試験によりクラックが生じる等の不具合が発生する。可撓性のある樹脂を使用することにより、これらの不具合を回避する事が出来る。具体的に可撓性の尺度を揚げると、樹脂の伸び率が3%以上、エリクセン値が3mm以上等が挙げられる。
【0098】
(2) 絶縁層21の形成時に樹脂の溶剤としてブチルカルビトール等の沸点の高い溶剤を使用する。
これにより、溶剤の乾燥時に粘度上昇が穏やかに起こり、ステップカバレージが改善され、段差での導体の断線等の不具合を防止してくれる。
【0099】
図5は本発明の第2の実施の形態を示し、ヘリカルの巻数を3.5ターンとしたものである。同図(A)は有機又は無機の絶縁性基板10上に形成された第1導体層61、同図(B)は第1有機絶縁層62、同図(C)は第2導体層63、同図(D)は第2有機絶縁層64、同図(E)は第3導体層65、同図(F)は第3有機絶縁層66、同図(G)は第4導体層67、同図(H)は第4有機絶縁層68、同図(I)は第5導体層69である。各導体層は各有機絶縁層に形成されたビアホール72を介し相互に接続されてコイル導体70を構成し、このコイル導体70は基板両端縁の端子電極45間を接続している。各導体層の作製手順は第1の実施の形態と同様である。
【0100】
この第2の実施の形態のように、多層の導体層を用いてヘリカルパターンを構成することで、コイル巻数を増してインダクタンスの増大を図ることができる。その他の作用効果は前述した第1の実施の形態と同様である。
【0101】
図6は本発明の第3の実施の形態であって、スパイラルパターンのコイル導体を有する高周波コイルを作製したものである。図6(A)は有機又は無機の絶縁性基板10上に形成されたスパイラルパターンの第1導体層81を、同図(B)はその上に積層形成された有機絶縁層である層間絶縁層82を、同図(C)はその上に形成された第2導体層83を示すものであり、第1導体層81と第2導体層83とは層間絶縁層82のビアホール84を介して相互に接続され、全体として基板両側縁の端子電極45同士を接続するスパイラルパターンのコイル導体90を構成している。
【0102】
この第3の実施の形態は、第1の実施の形態のコイル導体をヘリカルからスパイラルに変更したものであり、その他の構成、製法、作用効果は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0103】
【実施例】
以下、本発明に係る高周波コイルを実施例で詳述する。
【0104】
実施例1
比誘電率が7.2のEガラスクロスを芯材(補強材)として、比誘電率が2.5、Q=260のビニルベンジルを含浸して厚さ0.3mmの有機絶縁性基板を作製した。このときの基板全体の比誘電率は3.2で、Q=250であった。
【0105】
図1の第1工程において、この基板10の表面を粗化した後に、無電解銅めっきで厚さ0.3μmとなる無電解銅めっき層を下地導体層11として形成した。
【0106】
第2工程において、下地導体層11の上に厚さ80μmのドライフィルム12をラミネーターで貼り付けた。
【0107】
第3工程において、ドライフィルム12に対してフォトリソグラフィーの手法を用いて平行露光機で露光、現像し、図2(A)のコイル導体パターンを作製した。ここで図中の斜線の部分がドライフィルム12を除去した溝部13となる。基板全体の縦、横寸法は0.8×1.6mmであり、コイル導体部の幅は85μmである。
【0108】
第4工程において、ドライフィルム12の溝部13に電解めっきとしての光沢硫酸銅めっきで厚さ80μmのコイル導体層14を形成した。
【0109】
第5工程において、ドライフィルム12を剥離し、下地導体層11を露出させた。
【0110】
第6工程において、全体をウェットエッチングでエッチング処理して下地導体層11の不要部分を除去した。
【0111】
以上の第1乃至第6工程により、図2(A)のように絶縁性基板10上に第1導体層20を形成した。
【0112】
第7工程において、感光性絶縁樹脂を第1導体層20上で25μmの厚さに塗布して有機絶縁層の層間絶縁層21とした。
【0113】
第8工程において、層間絶縁層21に対してフォトリソグラフィー法で露光、現像処理して図2(B)の斜線の位置にビアホール22を作製した。ビアホールの直径は100μmである。また、層間絶縁層の樹脂の硬化温度は160℃であり、比誘電率は3.5である。
【0114】
第9工程において、絶縁層21の表面を粗化した後に0.3μmの無電解銅めっきで厚さ0.3μmとなる無電解銅めっき層を下地導体層31として形成した。
【0115】
第10工程において、下地導体層31の上に厚さ100μmのドライフィルム32を貼り付けた。
【0116】
第11工程において、ドライフィルム32に対してフォトリソグラフィーの手法を用いて平行露光機で露光、現像し、図2(C)のコイル導体パターンを作製した。ここで図中の斜線の部分がドライフィルム32を除去した溝部33となる。コイル導体部の幅は85μmである。
【0117】
第12工程において、ドライフィルム32の溝部33に光沢硫酸銅めっきで厚さ100μmのコイル導体層34を形成した。ここで、導体層を厚くとり、めっき液の組成を選ぶと、ビアホールの穴を金属導体で完全に埋めることができ、信頼性上及び電気的特性上好ましい。この場合、硫酸銅めっき液の濃度は高い方が好ましく、5水塩換算で150g/リットル以上、さらに好ましくは200g/リットルである。光沢剤はいわゆるビアフィルを目的とし、さらに均一電着性が50%以上であるものを選択する。導体層の厚さは層間絶縁層の厚さの1/2以上、さらに1以上が好ましい。
【0118】
第13工程において、ドライフィルム32を剥離して、下地導体層31を露出させた。
【0119】
第14工程において、全体をウェットエッチングでエッチング処理して下地導体層31の不要部分を除去した。
【0120】
以上の第9乃至第14工程により、図2(C)のように層間絶縁層21上に第2導体層40が形成されることになる。
【0121】
このようにして作製した高周波コイルの外形の全体写真を図3に、また、コイル導体の断面写真を図4にそれぞれ示す。また、この実施例1の高周波コイルのSRF、Rdc、L(但し1GHzにおける値)を以下の表3に、Qの周波数特性を図7に示す。
【0122】
【0123】
比較例1
通常のセラミック積層工法で高周波コイルを作製した。外形寸法は1.6×0.8×0.8mmで外形写真を図8に示す。実施例1と比較すると端子電極が大きく、両方の端面全体と残りの4面端部の全てにはみ出した形に形成されている。コイル導体は線幅105μm、高さ15μmで断面形状の写真を図9に示す。実施例1に比べて導体の断面積が小さく、また導体の中、表面に至るボイドが多数見られる。導体表面の写真を図10に示す。導体表面に焼成時に形成されたと考えられる多数の小孔が見られる。コイル導体形状はヘリカルであり実施例1と同様である。層間絶縁層に使用したセラミック材料の比誘電率は4.3である。この時のSRF、Rdc及びL(但し1GHzにおける値)を前記表3に実施例1と対比して示す。
【0124】
この比較例1のSRFは実施例1に比較して約3割低下している。これは層間絶縁層の誘電率が大きいこと、端子電極が大きいこと、コイル導体層の幅が大きいことによると考えられる。
【0125】
Rdcについては、導体が薄いので電流路の断面積が低下してRdcは大幅に増加している。
【0126】
一方、インダクタンスLはコイル導体の巻き方によって決まるのでほとんど同じである。コイル導体を実施例1のようにハイアスペクトにするとLを一定にしたままでRdcを下げる事が出来るのが解る。
【0127】
比較例1の場合のQの周波数特性を図7に実施例1と対比して示す。比較例1ではQは実施例1に比べておよそ半減している。これは導体の高さが小さいので電流路の断面積が十分に確保できないこと、コイル導体の表面が荒れているので高周波においては電流路が長くなること、によると考えられる。
【0128】
実施例2
実施例1と同様にして3.5ターンの高周波コイルを作製した。この時の各層のパターンを図5に示す。コイル導体の断面形状、層間絶縁膜としての有機絶縁層の材質、厚さは実施例1と同じである。この高周波コイルは良好な高周波特性を示した。
【0129】
実施例3
実施例1と同様にしてスパイラルパターンの高周波コイルを作成した。このときの各層のパターンを図6に示す。コイル導体の断面形状、層間絶縁層の材質、厚さは実施例1と同じである。このコイルは良好な高周波特性を示した。
【0130】
以上本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。例えば、本発明は、複数のコイルを組み合わせた、コイルチップアレイ、トランス、コモンモードチョークコイル、またコンデンサと組み合わせた各種フィルタ等、少なくとも1個以上のコイルを含む電子部品等に適用可能である。
【0131】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る高周波コイルの製造方法によれば、高Qでインダクタンスのばらつきが少なく、信頼性に優れた高周波コイルを量産性良く製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波コイルの製造方法の第1の実施の形態を示す工程図である。
【図2】その場合の導体層及び層間有機絶縁層を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態により作製される高周波コイルの外観を示す斜視図である。
【図4】第1の実施の形態により作製される導体層の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態で作製する高周波コイルの導体層及び層間有機絶縁層を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態で作製する高周波コイルの導体層及び層間有機絶縁層を示す平面図である。
【図7】実施例1と比較例1とのQ値を示すグラフである。
【図8】従来のセラミック積層工法によるチップコイルの外観を示す斜視図である。
【図9】図8の場合の導体層の断面図である。
【図10】従来のセラミック積層工法によるチップコイルの上層の導体パターンの拡大平面図である。
【符号の説明】
1 積層セラミック層
2,45 端子電極
3,50,70,90 コイル導体
10 絶縁性基板
11,14,20,31,34,40,61,63,65,67,69,81,83 導体層
12,32 ドライフィルム
21,62,64,66,68,82 絶縁層
22,72,84 ビアホール
Claims (14)
- 絶縁性基板上に、導体層と有機絶縁層とを交互に積層して作製する高周波コイルの製造方法において、
前記導体層を作製する工程が、
(1) 5μm以下のめっき用下地導体層を少なくとも前記絶縁性基板の片面の全てに形成する下地形成工程と、
(2) 感光性レジストを前記下地導体層の上に設けるレジスト形成工程と、
(3) フォトリソグラフィー法により前記レジストのコイル導体パターン部分を除去するパターニング工程と、
(4) 光沢電解銅めっきにより、前記レジストの除去されたコイル導体パターン部分に表面の凹凸が5μm以内のコイル導体層を形成すると同時に、層間絶縁層としての前記有機絶縁層に形成されているビアホールを導体で埋め尽くして当該ビアホールの穴を前記導体で完全に埋める光沢電解銅めっき工程と、
(5) 前記感光性レジストを除去するレジスト除去工程と、
(6) エッチングにより前記下地導体層の不要部分を除去する下地除去工程とを有することを特徴とする高周波コイルの製造方法。 - 前記めっき用下地導体層の少なくとも第1層を無電解めっきで形成する請求項1記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記無電解めっきが銅めっきである請求項2記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記感光性レジストがドライフィルムである請求項1,2又は3記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記感光性レジストの露光を平行露光機で行う請求項1,2,3又は4記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記電解めっきが銅めっきである請求項1,2,3,4又は5記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記エッチングがウエットエッチングである請求項1,2,3,4,5又は6記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記下地導体層と前記コイル導体層の金属種を選択エッチング可能な組み合わせにして、前記下地除去工程で下地導体層のみをエッチングするエッチング液で処理する請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記下地導体層とこれに積層された前記コイル導体層とからなる前記導体層のアスペクト比が0.3以上である請求項1乃至8のいずれか記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記有機絶縁層が可撓性のある樹脂である請求項1乃至9のいずれか記載の高周波コイルの製造方法。
- 層間絶縁層としての前記有機絶縁層に前記ビアホールをレーザー加工にて形成する請求項1乃至10のいずれか記載の高周波コイルの製造方法。
- 層間絶縁層としての前記有機絶縁層が感光性を有し、フォトリソグラフィー法で前記ビアホールを形成する請求項1乃至10のいずれか記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記コイル導体パターンがヘリカルである請求項1乃至12のいずれか記載の高周波コイルの製造方法。
- 前記下地導体層とこれに積層された前記コイル導体層とからなる前記導体層の厚さが、層間絶縁層としての前記有機絶縁層の厚さの1/2以上である請求項1乃至13のいずれか記載の高周波コイルの製造方法。
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