JP4055658B2 - 車両状態監視装置および接地面状態量取得装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行異常等の車両の状態を、タイヤの接地面情報に基づいて監視する装置に関し、また、タイヤの接地面の情報を取得するために利用される装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の足回りからの情報は、車両の走行状態を把握するために有効な情報となる。これまで、車両の足回りからの情報を取得し、それに基づく車両の走行制御を行う技術として、例えば、下記特許文献に記載の技術が存在する。
【0003】
【特許文献1】
特願平10−329682号公報
【特許文献2】
特願平11−78593号公報
【特許文献3】
特願平5−332889号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
上記特許文献に記載の技術は、サスペンション装置に設けられた荷重センサ,ストレインゲージにより、車輪の荷重変化,ショックアブソーバの歪を検出するものであり、また、タイヤから発生するスキール音を検出するものである。それらの技術では、それら検出結果に基づいて、車両の走行を制御している。ところが、それらの技術によれば、例えば、車両の挙動がある程度変化してからでなくては車両の異常走行状態を検知し得ないとか、検知の精度が充分に満足できないとかいった問題を抱えている。
【0005】
そこで、これまでの技術とは異なる発想の下に、本発明は、効率よく車両の状態を監視すること、また、車両状態を監視するための有用な情報となるタイヤの接地面情報を効率的に取得することを課題としてなされたものである。本発明によって、下記各態様の車両状態監視装置、接地面状態量取得装置等が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能である。
【0006】
なお、以下の各項において、(1)項と(3)項とを合わせ、かつ、(5)項〜(7)項の技術的特徴の少なくとも1つを採用するものが、請求項1に相当する。また、(5)項が請求項2に、(5)項の2つの具体的実施態様がそれぞれ請求項3,請求項4に、(6)項が請求項5に、(6)項の具体的実施態様が請求項6に、それぞれ、相当する。さらに、(7)項が請求項7に相当し、(8)項が請求項8に、(8)項の具体的実施態様が請求項9に、(9)項が請求項10に、(9)項の具体的実施態様が請求項11に、(10)項が請求項12に、(10)項の具体的実施態様が請求項13に、それぞれ、相当する。またさらに、(22)項が請求項14に、(27)項が請求項15に、(29)項が請求項16に、(30)項が請求項17に、(35)項が請求項18に、(38)項が請求項19に、それぞれ相当する。
【0007】
(1)タイヤの路面と接触している面である接地面においてその接地面の状態を示す状態量である接地面状態量を取得する接地面状態量取得部と、
その取得された接地面状態量に基づいて車両状態の監視処理を行う車両状態監視処理部と
を含むことを特徴とする車両状態監視装置。
【0008】
本発明の車両状態監視装置は、平たく言えば、タイヤが実際に路面と触れている接地面の情報に基づいて車両の走行状態を監視する装置である。車両は、車輪が駆動,制動,操舵等されることによって走行し、また、車両は走行中において路面から各種の力受ける。タイヤ接地面は車両と路面との接点であるため、接地面に関する情報は、車両の挙動を的確に、また、迅速に反映するものとなる。したがって、本発明の監視装置によれば、効率的に車両の挙動を監視することが可能となる。
【0009】
(2)前記接地面状態量取得部が、前記接地面状態量として、前記接地面の形状を特定することが可能な形状特定量,前記接地面の面積,前記接地面に加わる荷重あるいは面圧,前記接地面における荷重分布あるいは面圧分布から選ばれる少なくとも1つを取得するものである(1)項に記載の車両状態監視装置。
【0010】
本発明の監視装置において、監視の基礎となる接地面状態量は特に限定されるものではないが、上記列挙した状態量は、車両の走行状態を表すパラメータとして、特に有効である。後に詳しく説明するが、例えば、車両の旋回中は車輪に横力が発生しており、その横力の大きさに応じて接地面の形状、面積、接地面が受ける荷重,接地面圧の状態等は変化する。また、車輪が路面に対して傾斜する場合も、車輪のキャンバ角に応じて、上記形状等が変化する。さらに、旋回等によって車両が横Gを受けている場合、内輪と外輪との間の荷重移動現象が生じ、受ける横Gの大きさ等に応じて上記形状等が相違するものとなる。本項に記載の態様によれば、そのようなパラメータの変化,相違等により車両の状態を監視することが可能である。
【0011】
ここでいう接地面の形状特定量には、接地面あるいはそれの一部分の長さと、接地面あるいはそれの一部分の幅との少なくとも一方が含まれる。接地面の長さは、車輪の回転軸に直角な方向の長さ(周方向長さ)であり、また、接地面の幅は、その回転軸に平行な方向の長さである。形状特定量には、他に、対角線の長さ、接地面長さと幅との比、幅方向における位置に対する接地面長さの変化率、接地面の図形上の重心位置等、形状を特定することができる各種のパラメータが含まれる。また、接地面における面圧には、平均面圧,最高面圧等が含まれ、面圧分布は、接地面における位置とその位置において受けている面圧との関係を示す種々のパラメータが含まれ、例えば、最高面圧が加わっている位置であるとか、所定の複数の位置の面圧差といったものも含まれる。上記列挙したパラメータは、瞬間的な接地面状態そのものを示す値であってもよく、接地面状態の時間的な変化を示す値であってもよい。つまり、接地面の形状,面積,荷重,面圧等に関する変化量でも、変化速度であってもよい。例えば、接地面圧の増加量,減少量、接地面積の増加速度,減少速度といった値も、本項にいう接地面状態量となり得るのである。
【0012】
(3)前記車両状態監視処理部が、前記取得された接地面状態量に基づいて、車両の走行についての異常状態である走行異常状態を検知する走行異常状態検知部を備えた(1)項または(2)項に記載の車両状態監視装置。
【0013】
本項に記載の態様は、取得した接地面の情報に基づいて、車両の走行異常状態を検知するものである。先に述べたように接地面の情報は車両の挙動を的確,迅速に反映するため、本態様によれば、走行異常状態を早期に検知することが可能となる。
【0014】
(4)前記走行異常状態検知部が、前記走行異常状態として、車両の横転,車両の過大な横すべりである過大横すべり,ハンドルの取られ,脱輪,スタンディングウェーブ現象およびそれらのいずれかの蓋然性が高い状態から選ばれる少なくとも1つを検知するものである(3)項に記載の車両状態監視装置。
【0015】
走行異常状態検知部が検知可能な走行異常状態は、特に限定されるものではないが、本項に例示したものは、タイヤの接地面の情報から適切に検知でき、これらの異常状態は車両走行時に発生する一般的のものであるため、本項に記載の態様によれば、実用的な監視装置が実現される。なお、ここでいう過大横すべりとは、例えば、通常の旋回時等に発生する横すべりを意味するものではなく、タイヤが路面をグリップしていない状態、平たく言えば、車両が横方向にスリップしている状態を意味する。具体的には、スピン、ドリフトアウト、あるいは前後輪ともに大きく横すべりしている状態等である。
【0016】
(5)前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての、前記接地面の最高面圧と面圧分布の幅方向における偏りの程度との少なくとも一方に基づいて、前記走行異常状態としての車両の過大横すべりあるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(3)項または(4)項に記載の車両状態監視装置。
【0017】
後に詳しく説明するが、例えば、急旋回等において車輪に大きな横力あるいはコーナリングフォースが発生した場合、接地面において接地荷重の中心点が旋回外側の方向に移動し、接地面の面圧分布が旋回外側の方向に偏る。横力等が大きくなるほど、最高面圧も高くなり、また、面圧分布のタイヤ幅方向における偏りの程度も大きくなる。本項に記載の態様は、そのような接地面の状態変化を利用して、スピン状態等を検知するものである。本態様は、上記最高面圧と上記面圧分布の偏りの程度との両者に基づいて検知する態様であることが望ましく、具体的には、例えば、最高面圧が設定された閾圧を超え、かつ、最高面圧となる箇所がタイヤ幅方向において設定された閾位置を越えてタイヤの中心より旋回外側に位置する場合に、過大横すべりが発生する蓋然性が高い状態を検知する態様とすることができる。同様の態様として、最高面圧が設定された閾圧を超え、かつ、その閾圧を超える接地面の範囲が、幅方向における設定位置を越えて旋回外側に位置する場合に、過大横すべりの蓋然性が高いと判断する態様で実施することができる。
【0018】
(6)前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の長さに基づいて、前記走行異常状態としてのスタンディングウェーブ現象あるいはそれの蓋然性が高い状態を検知するものである(3)項または(4)項に記載の車両状態監視装置。
【0019】
スタンディングウェーブ現象が発生する場合、タイヤのトレッド面が波打ち、接地面の車輪の周方向における接地面の長さが長くなる。本項に記載の態様は、その状態を検知する態様である。具体的には、取得された接地面の周方向の長さが、設定された閾長さを超えた場合にスタンディングウェーブ現象が発生したと判断する態様で実施することが可能である。
【0020】
(7)前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量と、車両が操作されている状態に基づいて推定された理論的な前記接地面状態量である理論接地面状態量との関係に基づいて、前記走行異常状態を検知するものである(3)項または(4)項に記載の車両状態監視装置。
【0021】
例えば、ある車両がある操作状態にある場合、その車両についての理論的な走行モデルから、理論的な接地面の状態を推定することができる。本項に記載の態様は、例えば、その推定された接地面の状態と実際に取得された接地面の状態との比較等によって、車両の走行異常状態を検知するものである。より具体的には、現在の車両操作状態における理論的な接地面の状態に対する実際の接地面の状態との差に基づいて走行異常状態を検知することもでき、また、仮想的な限界状態における理論的な接地面の状態に対する実施の接地面の状態との比較等によって、車両の走行異常状態を検知することもできる。個々の車両ごとの車両モデルに従って理論接地面状態量を推定すれば、その車両に即した、つまり実際に即した走行異常状態が検知でき、実用的な監視装置が実現される。
【0022】
なお、ここでいう車両が操作されている状態、つまり、車両操作状態は、アクセルペダル,ブレーキペダル,ステアリングホイール等の操作部材の操作状態のみを意味するものではなく、それら操作部材の操作によって操作された場合の車両の走行状態をも意味する。具体例を挙げて説明すれば、車両操作状態を示す状態量を車両操作状態量とした場合、その車両操作状態量には、アクセルペダルの踏込量、ステアリングホイールの回転量(ステアリングホイールの操作角:狭い意味における操舵角)等の他、車両速度,車輪が実際に切られている角度(車輪操舵角:広い意味における操舵角)等も含まれる。
【0023】
(8)前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の面積と、前記理論接地面状態量として推定された接地面の面積である理論接地面積との関係に基づき、前記走行異常状態としての脱輪あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(7)項に記載の車両状態監視装置。
【0024】
車両の操作状態に応じて接地面の面積は変化する。通常の走行状態においては、タイヤの実際の接地面積は、理論的な接地面積あるいはそれに近い接地面積となる。本項に記載の態様には、例えば、あるタイヤの実際の接地面積が理論接地面積に対して設定された割合以下に小さくなった場合に、そのタイヤが装着されている車輪が路面を充分に捉えていない状態、つまり、脱輪あるいはそれの蓋然性が高い状態にあることを検知するような態様が含まれる。
【0025】
(9)前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の面積と、前記理論接地面状態量として推定された接地面の面積である理論接地面積との関係に基づくとともに、前記接地面の面積の減少速度に基づいて、前記走行異常状態としての車両の横転あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(7)項に記載の車両状態監視装置。
【0026】
例えば、急旋回等の過度なステアリング操作を行った場合に、車両が横転する可能性がある。旋回中に車両が横転する場合には、車両の旋回内輪が浮き上がるため、内輪の接地面積が理論接地面積と比較して異常に小さくなる。本項に記載の態様は、この現象に基づいて車両の横転あるいはその可能性を検知するものである。本項に記載の態様は、具体的には、例えば、内輪の接地面積が理論接地面積に対する設定割合を下回ったことを1つの条件とし、さらに、その条件の下で、その接地面の面積の減少速度が設定された閾値を上回った場合に、急激なステアリング操作が行われているものと判断して、車両が横転する可能性が高いものと認定する態様で実施することができる。
【0027】
(10)前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての、前記接地面の幅方向の中心より車両外側寄りの定められた部分と車両内側寄りの定められた部分との面圧差である内外面圧差と、前記理論接地面状態量として推定された理論的な前記内外面圧差である理論内外面圧差との関係に基づいて、前記走行異常状態としての車両の横転あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(7)項に記載の車両状態監視装置。
【0028】
先に述べたように、車両が旋回する場合、車輪に横力が発生し、タイヤの中心に対して旋回外側の接地面圧は、旋回内側の接地面圧より高くなる。例えば、タイヤの中心を挟んで幅方向に隔たる2つの部分を設定すれば、その2つの部分の理論的な面圧差は、車両モデルに従って車両の操作状態に応じて推定することが可能である。その理論的な面圧差と、上記2つの部分の取得した実際の面圧差とを比較することで、実際の走行状態を把握することできるのである。本項に記載の態様は、例えば、上記内外面圧差、詳しくは、接地面の旋回外側の位置の面圧から旋回内側の位置の面圧を減じた値が、それに対応する理論内外面圧差に設定されたマージンを加えた値よりも大きくなった場合に、大きな横力が発生して横転の可能性があることを推定する態様とすることができる。なお、本項において、設定される2つの部分の各々は、点であってもよく、ある程度幅の広い領域であってもよい。
【0029】
(11)前記車両状態監視処理部が、前記取得された接地面状態量に基づいて、車輪の挙動に関する状態量である車輪挙動関連状態量を推定する車輪挙動関連状態量推定部を備えた(1)項または(2)項に記載の車両状態監視装置。
【0030】
本項に記載の態様は、車両の挙動を把握するのに有効なパラメータを、接地面情報から推定する態様である。車輪挙動関連する情報を取得することができれば、その情報に基づいて車両の状態を推定することも可能であり、また、車両の走行制御に利用することも可能である。
【0031】
(12)前記車輪挙動関連状態量推定部が、前記車輪挙動関連状態量として、路面とタイヤとの間の摩擦係数,車輪のスリップ角,車輪のキャンバ角,車輪に発生する横力あるいはコーナリングフォースから選ばれる少なくとも1つのものを推定するものである(11)項に記載の車両状態監視装置。
【0032】
推定される車輪挙動関連量は、特に限定されるものではないが、本項に列挙したものは、車両の挙動に大きく関係するものであり、特に有効な情報となる。例えば、タイヤ試験機等を用いて、予め種々の横力,キャンバ角等の場合に、どのような接地面形状となるか、どのような面圧分布になるかといった接地面状態を調査し、その調査結果をマップデータ(例えば、パラメータどうしの関連付けデータ等を含むデータであり、関連車輪の挙動に関する車両モデルの記憶手段としての具体的な一態様である)等の形態で保有すれば、それらのデータを基に、取得した実際の接地面状態から、現在における車輪の横力,キャンバ角等を容易に推定できる。なお、本明細書においてキャンバ角とは、対地キャンバ角つまり、路面に対するキャンバ角をいう。
【0033】
(13)前記車輪挙動関連状態量推定部が、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の面積と、タイヤの空気圧とに基づいて、前記接地面に加わる荷重を推定するとともに、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の形状を特定することが可能な形状特定量に基づいて、前記車輪挙動関連状態量としての車輪に発生するコーナリングフォースを推定し、かつ、前記推定された接地面の荷重と前記推定されたコーナリングフォースとに基づいて、前記車輪挙動関連状態量としての路面とタイヤとの間の摩擦係数を推定するものである(11)項または(12)項に記載の車両状態監視装置。
【0034】
本項に記載の態様は、車輪挙動関連情報を取得するための具体的な一態様である。走行時におけるタイヤの接地面積とタイヤの空気圧を検出するだけで、そのタイヤが装着されている車輪にかかる接地荷重が容易に推定できる。また、先に述べたように、車両モデルに従って、コーナリングフォースを推定し、車輪荷重とコーナリングフォースとから容易に路面μを推定できるのである。平たく言えば、タイヤの接地面形状に基づいて摩擦係数を推定するところの、新たなかつ簡便な監視装置の一態様である。なお、本態様の変形態様として、荷重を推定する処理までしか行わない態様で実施することもでき、また、コーナリングフォースを推定するまでの態様で実施することも可能である。なお、コーナリングフォースの推定に代え、横力を推定する態様に変更することも可能である。
【0035】
(14)前記車両状態監視処理部が、前記車輪挙動関連状態量推定部によって推定された車輪挙動関連状態量に基づいて、車両の走行についての異常状態である走行異常状態を検知する走行異常状態検知部を備えた(11)項または(12)項に記載の車両状態監視装置。
【0036】
本項に記載の態様は、先に述べた接地面状態量から直接走行異常を検知する態様とは異なり、接地面状態から車輪挙動に関するパラメータを推定し、その推定されたパラメータに基づいて、車両の走行異常状態を検知する態様である。
【0037】
(15)前記走行異常状態検知部が、前記異常状態として、車両の横転,車両の過大横すべり,ハンドルの取られ,脱輪,スタンディングウェーブ現象およびそれらのいずれかの蓋然性が高い状態から選ばれる少なくとも1つを検知するものである(14)項に記載の車両状態監視装置。
【0038】
本項は先に掲げた項と同じ内容であるため、その詳しい説明は省略するが、これらの異常状態は車両走行時に発生する一般的のものであるため、本項に記載の態様によれば、実用的な監視装置が実現できる。
【0039】
(16)前記車輪挙動関連状態量推定部が、前記車輪挙動関連状態量としての車輪のスリップ角を推定するものであり、前記走行異常状態検知部が、その推定されたスリップ角と最大横力を得られる理論的なスリップ角である最大スリップ角との関係に基づいて、前記走行異常状態としての車両の過大横すべりあるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(14)項または(15)項に記載の車両状態監視装置。
【0040】
車輪のスリップ角は、車両の横すべりの量を適切に表すパラメータである。また、最大スリップ角は、概ねタイヤの特性によって定まる値である。したがって、スリップ角と最大スリップ角との関係に基づけば、そのタイヤが路面をグリップする限界を正確に判断することが可能である。本項に記載の態様は、例えば、接地面状態か推定されたスリップ角が最大スリップ角より大きくなったときにスピン状態等の過大横すべり状態に陥いる可能性が極めて高いと擬制して過大横すべりを検知する態様で実施することもでき、また、最大スリップ角より設定した角度だけ小さいスリップ角となった場合に、過大横すべりが発生する可能性が高いことを検知する態様で実施することもできる。
【0041】
(17)前記走行異常状態検知部が、前記推定された車輪挙動関連状態量と、車両が操作されている状態に基づいて推定された理論的な前記車輪挙動関連状態量である理論車輪挙動関連状態量との関係に基づいて、前記異常状態を検知するものである(14)項または(15)項に記載の車両状態監視装置。
【0042】
先に述べた理論的な接地面状態の推定と同様、例えば、ある車両がある操作状態にある場合、その車両についての理論的な走行モデルから、理論的な車輪挙動に関連するパラメータを推定することが可能である。本項に記載の態様は、例えば、その推定された理論的なパラメータと、実際に取得された接地面状態から推定された現時点での車輪の挙動に関連するパラメータとの比較等によって、車両の走行異常状態を検知するものである。車両が操作されている状態、つまり車両操作状態は、先に述べたのと同義であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
(18)前記車輪挙動関連状態量推定部が、前記車輪挙動関連状態量として車輪に発生する横力を推定するものであり、前記走行異常状態検知部が、前記理論車輪挙動関連状態量として推定された理論横力と、前記車輪挙動関連状態量推定部によって推定された横力との関係に基づいて、前記走行異常状態としてのハンドルの取られあるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(17)項に記載の車両状態監視装置。
【0044】
例えば、車両が真直ぐに走行している状態においては、左右の車輪ともに横力を殆ど発生していない状態である。ところが、わだち等の路面の起伏の影響を一方の操舵車輪が受けるような場合は、その一方の車輪に大きな横力が発生し、ハンドルが取られることになる。また、悪路でなくても、車両が強い横風を受けるような場合にも、車輪は横力を発生する状態となり、ハンドルが取られる場合がある。本項に記載の態様は、現在の車両操作状態における理論的な横力と、タイヤの接地面の状態から推定された横力とを比較することにより、例えば、その差が設定された関係を超えた場合にハンドルが取られることを検知する態様である。より具体的には、例えば、車両が直進している場合においては、左右の車輪の理論横力の合計は0であるため、直進状態において接地面状態から推定された左右輪の横力の合計が設定された閾値を超えた場合に、ハンドルが取られることを検知する態様で実施することができる。また、旋回中においては、車両モデルに従って車速,操舵角等に左右の車輪に発生する理論横力の合計した値を推定することができるため、例えば、旋回状態おいて、その旋回状態に応じた理論横力の合計値に対して、左右の各車輪について接地面状態から推定された横力の合計値がある閾値を超えた場合に、ハンドルが取られることを検知する態様で実施することも可能である。さらにいえば、ハンドルの取られが検知された場合、理論横力と推定された横力との差に基づいて、パワーステアリング装置のプレロード制御を行う等、自動的にステアリングをアシストすることも可能である。なお、車輪が路面の起伏の影響を受ける場合、車輪のキャンバ角が変化する。したがって、キャンバ角が変化することにより横力が変化する考えることができる。キャンバ角と横力との間には相関関係が成立する。そこで、ハンドル取られの検知を行う場合、接地面の状態からキャンバ角を推定し、その推定されたキャンバ角に基づいて横力を推定し、ハンドルの取られを検知することも可能である。
【0045】
(19)当該車両状態監視装置が、タイヤから発生する音であるタイヤ発生音を検出するタイヤ発生音検出器を含み、前記走行異常状態検知部が、さらに、そのタイヤ発生音検出器によって検出されたタイヤ発生音に基づき、前記走行異常状態としての車両の過大横すべりあるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである(3)項,(4)項,(7)項,(14)項,(15)項,(17)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0046】
タイヤ発生音は、上述したタイヤの接地面状態量ではないが、タイヤの接地状態を表す有効なパラメータとなり得る。タイヤ発生音が大きい場合(例えば、タイヤ発生音の音圧が高い場合)は、いわゆるスリップ状態にあると推定することができる。また、いわゆるスキール音は、タイヤと路面との間でのすべりを鋭敏に反映する音であるため、そのスキール音によってスリップ状態を判断することが可能である。本項に記載の態様は、上述したタイヤの接地面の状態に基づいて検知するだけでなく、タイヤ発生音の状態にも基づいて車両の過大横すべりを検知するものであり、信頼性の高い検知が可能となる。具体的には、例えば、旋回内輪のタイヤの接地圧がある閾値を超えて小さくなった場合に、車両が急旋回状態にあると判断し、その条件の下で、スキール音の音圧が設定された閾値を超えた場合に、車両がスピン等する可能性が高い状態であることを検知する態様で実施することが可能である。
【0047】
(20)当該車輪状態監視装置が、少なくともステアリング装置の操作の状態を示す状態量であるステリング操作状態量に基づいて、ステアリング装置の操作が過度状態であるか否かの判断を行うステアリング操作判断部を含み、前記走行異常状態検知部が、前記ステアリング操作判断部によってステアリング操作が過度状態であると判断された場合に、前記走行異常状態の検知を行うものである(3)項〜(10)項,(14)項〜(19)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0048】
本項にいう過度状態とは、ステアリング操作が過度に大きい状態と過度に速いと状態の両者を含む概念である。車両の走行異常状態は、ハンドルを大きく切ったとき、ハンドルを速く切ったとき等に発生し易い。本項に記載の態様は、ステアリング操作の過度な状態に関連して走行異常の検知を行うため、ステアリング操作に起因して生じる走行異常状態を効率的に検知できる。なお、走行異常状態は、車両の速度にも依存する。例えば、横転、過大横すべり等は、車両の速度が速い場合に生じ易い。そこで、本項に記載の態様は、ステアリングの操作状態のみならず、車両の速度にも依拠して、車両速度が高速度であり、かつ、ステアリング操作が過度である場合に走行異常状態の検知を行う態様で実施することもできる。
【0049】
(21)前記ステアリング操作判断部が、前記ステアリング操作状態量としての操舵量および操舵速度の少なくとも一方に基づいて、ステアリング操作が過度状態にあるか否かの判断を行うものである(20)項に記載の車両状態監視。
【0050】
上記ステアリング操作状態量は、特に限定されるものではないが、本項に掲げたパラメータは、過度状態を判断するのに好適なパラメータとなる。なお、操舵量は、ステアリングホイールの操作角といった操作部材の操作量のみならず、転舵車輪の転舵角を採用することもでき、同様に、操舵速度は、操作部材の操作速度のみならず、操舵車輪の操舵角速度を採用することもできる。
【0051】
(22)当該車両状態監視装置が、前記走行異常状態検知部によって検知された前記走行異常状態を、運転者に報知する異常状態報知部を含む(3)項〜(10)項,(14)項〜(21)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0052】
本項に記載の態様によれば、車両の走行異常を運転者に知らせることが可能となる。また、横転,過大横すべり等の蓋然性の高い状態で報知できれば、運転車自らによって、車両の挙動を安定させることを可能とする。報知手段は、運転者の五感に訴えるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、警告ブザー、音声等の聴覚的な報知方法によるもの、インストルメントパネルの報知灯を光らせる等、視覚的な報知方法によるもの等を採用できる。
【0053】
(23)前記車両状態監視処理部が、タイヤに依存して定まるそのタイヤの特性であるタイヤ特性情報に基づいて、前記車両状態の監視処理を行うものである(1)項ないし(22)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0054】
接地面の状態,車輪の挙動等は、装着されているタイヤによって異なり、また、車両が走行異常に陥る限界等もタイヤによって異なる。それら接地面の状態等は、例えば、タイヤ径,トレッドの幅,トレッドパターンといった形状的要素や,バイアスタイヤであるかラジアルタイヤであるかといった材質・構造的要素等によって異なるのである。本項に記載の態様は、それらタイヤの特性にに応じて監視処理を行うため、正確な監視が可能である。上述した最大スリップ角等も、タイヤ特性情報の一種と考えることが可能である。また、後に詳しく説明するが、接地面状態量の取得処理、車両挙動関連状態量の推定処理において、マップデータが使用される場合、そのマップデータも、タイヤ特性情報の一種と考えることができる。
【0055】
(24)当該車両状態監視装置が、前記タイヤと一体的に設けられて前記タイヤ特性情報を記憶する記憶媒体から、その情報を無線手段によって読み取るタイヤ特性情報読取部を備え、そのタイヤ特性情報読取部によって読み取られたタイヤ特性情報に基づいて、前記車両状態の監視処理を行うものである(23)項に記載の車両状態監視装置。
【0056】
タイヤ特性情報は、例えば、車両が備える電子制御ユニットのコンピュータ内部の記憶媒体に記憶されるものであってもよいが、本項に記載のように、タイヤ自体が記憶媒体を備え、その記憶媒体に自身の特性情報を記憶し、その記憶した情報を読み出し可能な手段を設ければ、タイヤを交換する等してタイヤを装着するごとにそのタイヤの特性情報を取得することを可能とし、利便性に優れる監視装置が実現する。本項に記載の記憶媒体には、例えば、無線タグチップ(RFIDタグ)を利用することが可能である。無線タグは、通信機能を備えたICチップであり、情報の伝送方式が、電磁誘導方式のもの、マイクロ波方式のもの等が利用可能である。また、無線タグを使用する場合、読取部は、伝送方式に応じた適切なものを採用すればよい。
【0057】
(25)当該車両状態監視装置が、運転者の緊張度を推定する緊張度推定部を含み、前記車両状態監視処理部が、その推定された緊張度に基づいて前記車両状態の監視処理の態様を変更するものである(1)項ないし(24)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0058】
運転者の緊張が高い場合、円滑な車両の操作ができず、車両の走行異常の状態に陥りやすい。特に、ステアリング操作が急激に行われてスピン,横転の可能性が高くなった場合に、適切な回避操作を行い得ない場合もある。そこで、本項に記載の態様のように、緊張状態に応じた監視処理を行えば、運転者が緊張状態にある場合でも、車両の走行状態を安定化させることが可能となる。本項に記載の態様には、例えば、緊張度の程度に応じて、ゲインを大きくするようにして走行制御を行う態様や、緊張度が設定された閾値を超える場合のみ、監視処理(例えば走行異常状態の検知処理)を行うといった態様等が含まれる。運転者の緊張度を検出する具体的な手段は、特に限定されるものではないが、例えば、下記に述べる心拍数を始め、発汗量,体温等によって推定することが可能である。
【0059】
(26)前記緊張度推定部が、運転者の心拍数を検出する心拍数検出器を備え、その検出された心拍数に基づいて前記緊張度を推定するものである(25)項に記載の車両状態監視装置。
【0060】
心拍数は緊張度を表す好適なパラメータであるため、本項に記載の態様のように、心拍数に基づけば、簡便に運転者の緊張度を推認することが可能である。心拍数検出器は、耳たぶ等、運転者の体の一部に取り付けられて心臓の鼓動等を測定するものでもよく、ステアリングホイール等、運転者が常時接触する部分に設けられて、そこ接触する運転者の体の部位において、脈拍等を測定するものであってもよい。
【0061】
(27)当該車両状態監視装置が、前記取得された接地面状態量と前記監視処理によって得られた結果との少なくとも一方に関する情報である監視情報を、その監視情報を利用した制御を行う制御部を備えた車両搭載装置に供給する監視情報供給部を含む(1)項ないし(26)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0062】
本項に記載の態様は、タイヤの接地面の情報や、その情報に基づいて推定された車輪の挙動,車両の走行状態等に関する情報を、例えば、車両の走行制御に利用可能な態様である。車両の状態の変化に対応して的確な走行制御,迅速な走行制御が可能となる。
【0063】
(28)前記監視情報供給部が、前記車両搭載装置として、車両駆動力発生装置,ブレーキ装置,ステアリング装置,サスペンション装置,トランスミッション装置から選ばれる少なくとも1つのものに前記監視情報を供給するものである(27)項に記載の車両状態監視装置。
【0064】
接地面情報,監視処理の結果情報が利用される車両搭載装置は、特に限定されるものではないが、本項に列挙した装置にそれらの情報が利用されれば、効果的な走行制御が可能となる。種々の車両搭載装置に供給することで、種々の走行制御に利用可能であり、具体的には、例えば、車両が過大な横すべりをしそうな場合にエンジンの出力を制限する、ハンドルが取られそうになった場合にカウンタ的なステアリング動作を行わせる、横転の可能性が高い場合に旋回外輪のサスペンションを硬くする、いずれかの車輪が脱輪した場合に早期にブレーキをかけるといった制御が可能である。
【0065】
(29)前記接地面状態量取得部が、
タイヤのトレッド部に関する物理量であって前記接地面状態量を取得するための基礎因子となる基礎因子量を検出する基礎因子量検出器を有し、その基礎因子量検出器によって検出された基礎因子量に基づいて、前記接地面状態量を取得する接地面状態量取得装置を備えた(1)項ないし(28)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0066】
例えば、接地面の形状を検出しようとする場合、それを直接検出することは困難であることが多い。本項に記載の態様は、検出が比較的容易なトレッド部に関するパラメータの値を検出して、そのパラメータ値に基づいて、接地面情報を取得する態様である。
【0067】
(30)前記基礎因子量検出器が、タイヤのトレッド部の径方向の変位を、前記基礎因子量として検出するトレッド部径方向変位検出器を含み、前記接地面状態量取得装置が、そのトレッド部径方向変位検出器によって検出された前記変位に基づいて、前記接地面状態量を取得するものである(29)項に記載の車両状態監視装置。
【0068】
本項に記載の態様は、トレッド部に関するパラメータとして、トレッド部の径方向の変位を検出する。タイヤが接地していない場合、それのトレッド部は円筒形状をなす。つまり、トレッド部の任意の箇所の車輪中心からの距離は、周方向位置に関係なく、一定の距離となる。ところが、タイヤが接地する場合、タイヤが変形し、その接地面の箇所においては、接地していない面に含まれる箇所と比較して、中心からの距離が小さくなる。本項に記載の態様には、そのことを利用し、例えば、トレッド部のある箇所の車輪中心からの距離を検出し、その距離に基づいて、その箇所が接地面に該当する箇所であるか否かを検出し、その検出結果を基に接地面情報を取得する態様が含まれる。トレッド部の径方向の変位を検出すれば、トレッド部においてどの範囲が接地しているかが検出でき、接地面の幅,接地面の長さ,接地面の形状等が取得可能である。
【0069】
(31)前記トレッド部径方向変位検出器が、タイヤが取り付けられるホイールのリム外周部に設けられて、前記トレッド部の内面の箇所の各々の径方向における位置を測定するトレッド内面位置測定器である(30)項に記載の車両状態監視装置。
【0070】
本項に記載の態様は、平たく言えば、トレッド部の内面とリムの外周との間の距離を測定し、その測定値をトレッド部の径方向の変位と擬制する態様である。本項に記載の態様によれば、タイヤの内部においてトレッド部の径方向変位が検出可能であることから、検出器を車輪の外部に設けない態様とすることができる。
【0071】
(32)前記トレッド内面位置測定器が、電磁波,超音波,音波等の測定波を前記内面の定められた1以上の箇所に照射し、その定められた1以上箇所からの反射波を利用してその1以上の箇所の径方向における位置を測定するものである(31)項に記載の車両状態監視装置。
【0072】
タイヤのトレッド部内面とリム部の外周との間の距離を測定する具体的な手段は、特に限定されるものではないが。本項に記載の態様のように、例えば、反射波が帰ってくるまでの時間等によってそれらの間の距離を測定すれば、測定器自体の構造が単純化するというメリットがある。
【0073】
(33)前記トレッド部径方向変位検出器が、幅方向において互いに異なる複数の検出箇所の各々における径方向の変位を検出するものであり、前記接地面状態量取得装置が、前記トレッド部径方向変位検出器によって検出された車輪の回転に伴う前記複数の検出箇所の各々の径方向の変位の変化から、それら複数の検出箇所の各々が存在する幅方向の位置の各々における前記接地面の長さを、前記接地面状態量として取得するものである(30)項ないし(32)のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0074】
接地面の長さ、つまり周方向長を取得する場合、全周にわたって検出箇所を設け、その検出箇所における径方向変位を同時に検出することによっても可能である。ところが、検出デバイスがその検出箇所に応じた数だけ必要となり、検出器が複雑化し、また、コストも高いものとなる。本項に記載の態様では、例えば、周方向における1つの検出箇所の変位を、車輪の回転中に、接地面を含む所定の車輪回転角度範囲(例えば1回転)にわたって検出することで、接地面の長さを検出することが可能である。検出箇所が少なく、検出器の構造が単純化するというメリットがある。
【0075】
(34)前記接地面状態量取得装置が、取得された前記幅方向の位置の各々における前記接地面の長さに基づいて、前記接地面の面積を、前記接地面状態量として取得するものである(33)項に記載の車両状態監視装置。
【0076】
本項に記載の態様は、例えば、先の方法により幅方向の各検出箇所における長さが取得された場合において、それら取得された長さに基づいて幅方向に積分することによって、接地面の面積を算出する態様が含まれる。簡便な方法によって、接地面積が取得可能である。
【0077】
(35)前記基礎因子量検出器が、タイヤのトレッド部の1以上の検出箇所の各々にそれの外部から加わる外部圧力を、前記基礎因子量として検出する外部圧力検出器を含み、前記接地面状態量取得装置が、その外部圧力検出器によって検出された外部圧力に基づいて、前記接地面状態量を取得するものである(29)項ないし(34)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0078】
本項に記載の態様は、上記一連の項に記載の態様と異なり、タイヤのトレッド面が路面から受ける力を、そのトレッド面の設定された箇所において検出することで、タイヤの接地面状態に関する情報を取得するものである。本項に記載の態様には、具体的には、例えば、ある検出箇所において検出された外部からの圧力が、設定された閾値を超える場合に、その箇所が路面から力を受けている、つまり、その箇所が接地面であると判断し、複数の検出箇所の判断結果から、接地面の長さ,幅,接地面の形状等を取得する態様が含まれる。また、複数の検出箇所の圧力値を、それらの箇所の接地面における位置と関係付けて検出することによって、接地面の荷重分布,圧力分布等を取得する態様が含まれる。
【0079】
(36)前記外部圧力検出器が、前記1以上の検出箇所の各々に対応してタイヤのトレッド部に埋め込まれた複数の圧電素子の各々を検出素子とする圧電素子利用型検出器である(35)項に記載の車両状態監視装置。
【0080】
圧電素子(ピエゾ素子)は、比較的小さなものであり、タイヤに埋め込むことが可能であるため、これをタイヤに埋め込むことにより、検出器を構成を単純化することが可能である。具体的には、検出デバイスとして、複数の圧電素子を含んでシート状に構成されたもの(例えば、タクタイルセンサと呼ばれるもの)を利用することが可能である。なお、トレッド面に加わる外部からの力の値をできるだけ正確に検出するためには、検出素子が埋め込まれる位置を、トレッド面とタイヤのベルト部との間とすることが望ましい。
【0081】
(37)タイヤのトレッド部の全面に分散する複数の箇所が前記1以上の検出箇所とされており、前記外部圧力検出器が、それらの箇所の各々に加わる外部圧力を検出するものである(35)項または(36)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0082】
本項に記載の態様によれば、トレッド部の全面にわたって圧力が検出可能であるため、例えば、複数の箇所の検出を同時に行うことにより、1時期の検出により、その時点での接地面の長さ,幅,形状等を取得することが可能であり、また、荷重分布,圧力分布を取得することが可能である。なお、本態様とは別の態様であるが、例えば、幅方向に一列に並ぶ複数の箇所を検出箇所とし、車輪の回転に伴うそれぞれの検出箇所の圧力変化を、接地面を含むタイヤの所定回転角度(例えば1回転)にわたって検出することによっても、接地面の長さ,幅,形状,接地面圧の圧力分布等を取得可能である。この態様によれば、検出箇所を少なくすることが可能である。
【0083】
(38)前記基礎因子量検出器が、車輪に設けられており、前記接地面状態量取得装置が、車輪に設けられて前記基礎因子量検出器の検出値に関する信号を無線にて送信する送信装置と、車体に設けられて前記送信された信号を受信する受信装置とを備えた(28)項ないし(36)項のいずれかに記載の車両状態監視装置。
【0084】
接地面状態量の基礎となるパラメータを検出するための検出器は、車輪に設けることが考えられる。ところが、ところが車輪が回転するため、その検出器による検出信号を車体側に出力する場合、有線的な手段によるときには、ブラシ等の摺動可能な接触部を介して信号伝送を行う必要があり、信頼性の点で問題が残る。本項に記載の態様によれば、車輪側から車体側への情報の伝送は、そのような接触部を必要としないことから、情報伝送における信頼性が高い検出器となる。なお、本項における車輪は、車体に回転可能に保持される部分を意味し、タイヤ,タイヤを保持するホイールの他、例えば、ホイールを保持されるハブ等を含んで構成されるものである。
【0085】
(51)タイヤのトレッド部に関する物理量であって、タイヤの路面と接触している面である接地面においてその接地面の状態を示す状態量である接地面状態量を取得するための基礎因子となる基礎因子量を検出する基礎因子量検出器を有し、その基礎因子量検出器によって検出された基礎因子量に基づいて、前記接地面状態量を取得することを特徴とする接地面状態量取得装置。
【0086】
本項は、接地面状態に関する情報を取得するための取得装置に関するものであり、その装置によれば、接地面情報を効率的に取得できる。その取得装置によって取得された接地面情報は、車輪の挙動に関するパラメータの推定,車両の走行異常状態の検知等を行うための有用な情報となる。本項についての説明は、上記の記載と重複するため省略する。なお、本項に記載の取得装置は、当該取得装置の具体的な態様に関する(27)項ないし(37)項の技術的特徴を適用する態様で実施することが可能である。
【0087】
(61)タイヤと一体的に設けられ、そのタイヤに依存して定まるそのタイヤの特性であるタイヤ特性情報を記憶するとともに、その情報が無線手段によって読取可能とされたことを特徴とするタイヤ特性情報記憶媒体。
(62)前記タイヤ特性情報記憶媒体が設けられたことを特徴とするタイヤ。
【0088】
上記2つの項に記載の態様は、タイヤの特性情報を記憶するための記憶媒体およびその記憶媒体が設けられたタイヤに関するものでありる。、本記憶媒体は、例えば、タイヤに取付,埋込等され、タイヤを装着した際に、そのタイヤの特性情報を取得することが容易に行える。先に説明したように、そのタイヤ特性情報は、車輪の挙動に関するパラメータの推定,車両の走行異常状態の検知等を行うための有用な情報となる。なお、記憶媒体等についての具体的な説明は、先の説明と重複するため、ここでは省略する。
【0089】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、決して下記の実施形態に限定されるものではなく、下記実施形態の他、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0090】
<接地面状態量取得装置>
まず、接地面情報を取得するための接地面状態量取得装置について説明する。接地面状態量取得装置は、接地面状態量を取得するための基礎因子となる基礎因子量を検出する基礎因子量検出器と、その基礎因子量検出器によって検出した基礎因子量に基づいて目的とする接地面状態量を取得するための処理を行う接地面状態量取得処理部とを含んで構成される。取得処理は、コンピュータを主体とした処理装置によって行えばよいが、車両、詳しくは、車両の搭載装置の制御を行う電子制御ユニット(ECU)によって行われる場合には、そのECUの一部分が、上記接地面状態量取得処理部として機能する。以下に、検出する基礎因子量が互いに異なる2つの基礎因子量検出器の各々を、順に説明する。
【0091】
i)トレッド部径方向変位検出器を備えた取得装置
図1に、トレッド部径方向変位検出器の構成を示す。図1(a)は、車輪の回転軸線に直角な面でホイール10およびタイヤ12を切断した断面図であり、図1(b)は、その回転軸線を含む面でホイール10およびタイヤ12を切断した一部断面図ある。トレッド部径方向変位検出器14は、基礎因子量検出器の一種であり、タイヤ12のトレッド部16の径方向変位を基礎因子量として検出する検出器である。検出器14は、検出子としての複数の超音波プローブ20と、それら複数のプローブ20が接続された検出処理ユニット22とを含んで構成されている。また、車体側には、検出処理ユニット22からの検出信号を前記接地面状態量取得処理部に中継するための中継ユニット24が設けられている。
【0092】
超音波プローブ20は、ホイール10のリム部26の外周部に立設するブラケット28に、タイヤ12の幅方向に沿って一列に整列させられた状態で設けられている。各プローブ20は、タイヤ12のトレッド部16の内面に向かって測定波である超音波を照射する機能を備えるとともに、その内面からの測定波の反射波を受ける機能を有している。検出処理ユニット22は、プローブ20ごとの検出処理を行う。具体的には、各プローブ20と、その各々に対応するトレッド部16の内面の箇所(車輪回転軸線に直角な平面内において、車輪回転軸線と各プローブ20とを結ぶ直線が交わる箇所)との距離に応じた信号を作成する。つまり、本検出器14は、トレッド部16の上記内面の箇所の径方向における位置を測定するトレッド内面位置測定器として機能するのである。このトレッド内面の箇所の径方向位置は、トレッド部の径方向の変位を示すものであり、検出信号はその変位量に応じているため、本検出器14によって、トレッド部14の設定された検出箇所の径方向変位が検出されるのである。また、検出処理ユニット22は、送信装置としても機能し、作成した検出信号を無線送信する。中継ユニット24は、受信装置として機能し、無線送信された検出信号を受信する。受信した検出信号は、中継ユニット24によって、本図では省略するECUに送信される。なお、各車輪装置には車輪の回転位置を検出するための回転位置検出器として、光学的エンコーダ32が設けられており(レゾルバ,電磁式ピックアップ等でもよい)、その検出信号も中継ユニット24を介してECUに送信される。
【0093】
ECU、つまり、接地面状態量取得処理部においては、上記検出器14によって検出された径方向変位に基づいて、トレッド部16の複数の検出箇所の各々が存在する幅方向の位置の各々における接地面40の長さが取得される。トレッド部の径方向変位(例えば、トレッド面の表面の変位)をzとすれば、図1(a)から解るように、接地面40を構成する箇所における変位zsは、接地面40以外の箇所の変位z0より、その値が小さくなる。本取得処理部は、この現象を利用して接地面情報を取得するのである。
【0094】
車輪の回転に伴って変位zを連続的に検出した結果を図2(a)に示す。なお、図におけるxは、トレッド部16の周方向における位置、yは、トレッド部の幅方向における位置を示している。本検出器14では、プローブ20の各々に対応する5つの検出箇所Bが設定されており(図1(b)参照)、その1つである検出箇所B0はタイヤ12の幅方向の中心に位置し、B1およびB-1は、それぞれ、B0を挟んで中心から反対方向に等距離だけ離れた位置とされ、B2およびB-2は、それぞれ、さらに等距離だけ離れた位置とされている。車輪の回転に伴う検出箇所Bの各々の変位zは、図2(a)示すように、周方向位置におけるある範囲(図の2つの破線に挟まれた範囲)おいて、z0より小さくなる。図2(b)は、図2(a)における変位を示す線を、x−y平面に投影したものであり、2つの破線で囲まれた範囲(図において斜線を施した部分)は、接地面40の形状を表すものとなっている。
【0095】
先に説明したように、エンコーダ32によって車輪の回転角度が検出されており、上記取得処理部において、検出された変位zの車輪の回転に伴う変化に基づいて、z<z0となる車輪の回転角度範囲が算出され、その結果、接地面40の長さlx、詳しくは、複数の検出箇所Bの各々が存在する幅方向の位置の各々における接地面40の長さlx(B-2)〜lx(B2)が、接地面状態量として取得されるのである。これらlx(B-2)〜lx(B2)は、接地面40の幅方向位置と関係付けられた形状特定量である。さらに、上記取得処理部において、接地面40の長さlxが、補完処理が行われつつ幅方向に積分され、その結果、接地面40の面積が、別の接地面状態量として取得される。また、他の接地面状態量として、幾何学的な演算処理により、接地面40の重心(図形上の重心)位置等を取得することも可能である。
【0096】
上記トレッド部径方向変位検出器14では、幅方向に5つの検出箇所が設定されているが、例えば、プローブ20の配設数を多くする等して、より多くの検出箇所における接地面長さlxを取得し、よりきめ細かな接地面情報を入手することも可能である。逆に、例えば、タイヤの幅方向の中心の位置の接地面長さlxのみによって、あるいは、タイヤ12の幅方向の中心を挟む2つの位置の接地面長さlxのみによって、車両の異常状態の検知,車輪の挙動の推定等を行う場合、設定される検出箇所は、それらの位置に対応した少ない数とするすることが可能である。さらに、上記検出器14では、同じ周方向位置において1組の検出箇所が設定されているが、例えば、等角度ピッチで複数組の検出箇所を設定することも可能である。上記態様の場合、車輪の1回転毎に接地面状態量を1回だけ取得可能であるのに対し、複数組の検出箇所を設定すれば、車輪の1回転ごとに複数回の取得が可能であり、車両の状態変化をいち早く検知,推定可能である。
【0097】
ii)外部圧力検出器を備えた取得装置
図3に、外部圧力検出器の構成を示す。図3(a)は、車輪回転軸線を含む面でホイール10およびタイヤ12を切断した一部断面図あり、図3(b)は、外部圧力検出器の検出デバイスである面圧センサを示す図である。外部圧力検出器50は、基礎因子量検出器の一種であり、タイヤ12のトレッド部16に外部から加わる外部圧力を基礎因子として検出する検出器である。検出器50は、面圧センサ52と、面圧センサ52が接続された検出処理ユニット54とを含んで構成されている。また、車体側には、検出処理ユニット54からの検出信号を前記接地面状態量取得処理部に中継する中継ユニット24が設けられている。
【0098】
面圧センサ52は、それぞれが検出素子となる複数の圧電素子58が一平面内においてマトリクス状に配置された薄いシート状のものであり、タクタイルセンサとも呼ばれる。それぞれの圧電素子58は、それぞれが同じ面積に作用する力を検出するものであり、シート面に直角な方向の力に応じた電気信号を出力する。シート状をなす素子部60は、タイヤ12の外周長と略同じ長さとされ、かつ、タイヤ12のトレッド部16の幅と略等しい幅とされており、図示を省略するタイヤ12のベルトの外周においてトレッド部16の外周面と一定の距離を保つ状態で、トレッド部14の全周,全幅にわたってトレッド部14内に埋め込まれている。このような構造をなしていることで、面圧センサ52は、トレッド部16の全周,全幅にわたって、外部から車輪中心に向かってトレッド部16の外周面に作用する力を検出可能とされているのである。なお、面圧センサ52は、圧電素子58からの電気信号を取り出すためのリード束64を有し、そのリード束64において、検出処理ユニット54と接続されている。
【0099】
検出処理ユニット54は、ホイール10のリム部26の外周に設けられたブラケット66に取付られており、各圧電素子58が検出した外部からの大きさ力に応じ、かつ、各圧電素子58の位置に関連付けられた信号を、検出信号として作成する。検出処理ユニット54は、送信装置としても機能し、作成した検出信号を無線送信する。先に説明した取得装置における場合と同様に、中継ユニット24は、受信装置として機能して無線送信された検出信号を受信し、その受信した検出信号をECUに送信する。このようにして、外部圧力検出器50は、トレッド部14が受ける外部からの力を検出するのである。ECU、詳しくはECUが有する接地面状態量取得処理部においては、検出器50の検出結果に基づく演算処理がなされ、各種の接地面状態量が取得される。
【0100】
図4に、外部圧力検出器50による検出結果を模式的に示す。図における横方向(y方向)はタイヤ12の幅方向を示し、縦方向(x方向)は、タイヤ12の周方向を示す。図の両側の線は、圧電素子58による幅方向の検出範囲の限界線、つまり、トレッド部16の幅を示す線であり、その中に分散する点は、圧電素子58による検出点K、つまり、トレッド部16における外部圧力の検出箇所を示している。図に示す曲線Jは、検出された外部圧力についての等圧線である。最も外側にある等圧線J0は、外部からの圧力が作用するかしないかの境界線(接地面境界線)であり、接地面40の形状を示す線となる。つまり、タイヤ12は、この境界線の中の範囲において接地面圧を受けることになる。また、等圧線Jは、J1→J4の順にそれの示す圧力が高くなっており、接地面40において、接地面圧は中央部に向かうにつれて高くなっている。
【0101】
このような検出結果から、例えば、接地面の長さ,幅をはじめとする接地面40の形状特定量が取得可能である。詳しく言えば、例えば、幅方向に互いに異なる複数の位置において上記限界線の間隔を算出すれば、前述のトレッド部径方向変位検出器14による場合と同様、それら幅方向の複数の位置のそれぞれにおける接地面長さlxを取得することができる。また、別の形状特定量として、接地面積、接地面40の図形的な重心(図心)Osの位置を取得することも可能である。本検出器50は接地面の各所の面圧を検出していることから、接地面40において設定された特定の位置の接地面圧、あるいは、設定された特定の範囲における荷重等を取得することが可能である。また面圧分布に関する状態量として、最高面圧Pmaxとなる最高面圧点Qmaxの位置、接地面40の圧力重心Op(圧力による重みを付けて求めた重心)の位置等を取得することも可能である。また、タイヤ12の幅方向の中心を挟んだ2つの箇所の接地面圧,接地荷重の差分等をも、面圧分布,荷重分布に関する状態量として取得することが可能である。
【0102】
本検出器50を備える接地面状態量取得装置の別の態様として、先のトレッド部径方向検出器14を備えるものと同様、車輪の回転位置を検出するエンコーダを設け、各圧電素子58の周方向位置を特定することにより、接地面40の周方向位置に関係する状態量をも取得することが可能である。具体的に言えば、接地面の周方向のずれ等を取得することが可能である。また、上記検出器50は、トレッド部16の全面にわたって圧電素子58が配置されているものであるが、例えば、周方向の同じ位置において幅方向に並ぶ1組あるいは数組の圧電素子58を配置したセンサを利用し、車輪の回転によって変化する外部からの力を所定の回転角度範囲において連続的に検出することによっても、接地面状態量を取得することが可能である。この態様は、平たく言えば、前記トレッド部径方向検出器14を備えた取得装置を、トレッド部の径方向変位の代わりに外部圧力を基礎因子量として検出する態様に変更したものに相当する。
【0103】
<車両の走行状態,車輪の状態と接地面との関係>
上記接地面状態量取得装置によって取得可能な接地面状態と、車両の走行状態,車輪の挙動状態との関係を説明する。
【0104】
図5に、前記トレッド部径方向変位検出器14を備える取得装置によって取得される接地面の状態であって、車輪の挙動に関するパラメータの値が異なる場合における状態を、模式的に示す。これらの状態は、例えば、フラットベルト試験機等のタイヤ試験機によって作り出すことが可能である。図5(a)は、車輪に横力が発生していない状態であり、かつ、またキャンバ角が0゜の状態(傾斜していない)である。つまり、車両が平坦な路面を直進している状態が相当する。図5(b),(c)は、図における右方向に向かう方向に横力が発生している状態であり、図5(d),(e)は、図における左方向に車輪を傾斜させてキャンバ角を増大させた状態である。
【0105】
発生する横力が、図5(a)→(b)→(c)と大きくなるにつれて、幅方向における左右の形状の相違が大きくなる。そこで、この形状の変化から、車輪に発生する横力(タイヤに発生する横力ということもできる)の大きさを推定することが可能である。具体的には、例えば、接地面40の幅方向に区分された複数の領域における接地面40の長さを、試験等によって種々の横力の状態において取得し、そのデータをマップ等の形式で保有しておき、実際の走行において取得した接地面の状態と、その保有したデータとの比較において、横力を推定するのである。なお、図5(b),(c)は、横力に応じた形状の変化であるが、横力とコーナリングフォースは、強い相関関係にあることから、同様な方法で車輪に発生するコーナリングフォース(タイヤに発生するコーナリングフォースということもできる)を推定することが可能である。
【0106】
キャンバ角が図5(a)→(d)→(e)と大きくなるにつれて、やはり、接地面の左右の形状の相違が大きくなる。横力の変化の場合と比較して異なるのは、この図においては、接地面40の幅が減少するといった現象が現れていることにある。横力の場合と同様、試験等によってモデルとなるデータを取得しておき、そのデータと実際の接地面40の状態との比較により、キャンバ角の推定ができるのである。
【0107】
図6に、前記外部圧力検出器50を備える取得装置によって取得される接地面の状態であって、車輪のスリップ角(タイヤのスリップ角ということもできる)の異なる状態を、模式的に示す。図6(a)はスリップ角が0゜の状態であり、図6(b),(c)は、その順にスリップ角が大きくなっている状態である。図6(c)は、タイヤがグリップを失う直前の状態である。接地面の形状変化の特徴は、横力とスリップ角との間には相関関係が存在することから、先の横力の場合と類似する。また図から解るように、圧力分布が幅方向の一方に偏り、スリップ角が大きくなる程、その偏りは強くなる。具体的に言えば、最高面圧Pmaxとなる最高面圧点Qmaxの、接地面の幅方向の中心(図心であっても、タイヤの幅方向の仮想中心であってもよい)からの偏心量は、大きくなり、また、その最高面圧Pmaxの値も大きくなる。また中心を挟んだ左右の位置を特定位置として設定すれば、それら特定位置の接地面圧差も、スリップ角が大きくなるにつれて大きくなる。このように、接地面圧,接地荷重およびそれらの分布状態といった接地面状態量からも、種々の車輪挙動に関係するパラメータの値を推定することが可能である。
【0108】
以上は、車輪の挙動に関するパラメータ、つまり、車輪挙動関連状態量と接地面状態量との関係について説明したが、この車輪挙動関連状態量は、車両の走行異常状態を判断するための有力なパラメータとなる。一例を挙げれば、横力,スリップ角等が、大きくなれば、スピン,ドリフトアウト等の過大横すべり状態が発生しやすくなる。また、横力,スリップ角が大きくなる程に、車両が操作されれば、車両が横転する可能性が高くなるため、横力、スリップ角は、車両の横転のし易さを示すパラメータともなり得る。さらに、車両が横転する場合は、車輪のキャンバ角が大きくなるため、キャンバ角は横転の可能性を示すパラメータとなり得る。このように、実際に取得した接地面状態量に基づいて、車輪挙動関連状態量を推定し、その推定された車輪挙動関連状態量に基づいて、車両の走行異常状態を検知することが可能となるのである。また、横力,スリップ角等は、車両の操作状態によって変化する。具体的に言えば、車両速度、操舵角等によって横力,スリップ角も変化し、接地面の形状,面積,圧力分布等も変化する。すなわち、車両の操作状態,車輪挙動関連状態量,接地面状態量は、互いに相関関係を有するものとなっている。したがって、車輪挙動関連状態量を推定することなく、実際に取得された接地面状態量に基づいて、直接車両の走行異常状態を検知することも可能である。
【0109】
車両の実際の走行状態においては、路面の状態、車体のローリング,ピッチング等の影響等により、タイヤの接地面の状態は複雑な変化を示す。したがって、接地面状態から車輪の挙動に関するパラメータを推定し、あるいは、車両の走行異常状態を検知する場合は、上記種々の影響等を考慮して、推定,検知の目的に応じた基準を設け、その基準に従って行えばよい。
【0110】
<車両状態監視装置を搭載した車両の構成および当該装置の機能>
図7に、本発明の車両状態監視装置を搭載した車両のハード構成を、本発明に関係の深いところを中心に、模式的に示す。車両の各所には、種々の検出器,センサが設けられている。具体的に説明すれば、4つの車輪70FR,70FL,70RR,70RL(以下、総称して「車輪70」と呼ぶ場合がある)のそれぞれには、先に説明した基礎因子量Iを検出する基礎因子量検出器72が設けられている。本車両においては、後の説明の都合等から、基礎因子量検出器72は、前記トレッド径方向変位検出器14と前記外部圧力検出器50との両者を含んで構成されるものとする。なお、いずれか一方の検出器を備える態様で実施することも可能である。
【0111】
本車両には、各車輪70に対して、車輪回転角度センサ74が設けられている。この車輪回転角度センサ74は、先に説明したエンコーダ32,中継ユニット24等を含んで構成され、車輪の回転角度θを検出する。なお、、この車輪回転角度センサ74は、ブレーキのABS制御等における車輪速検出器としても機能する。さらに、各車輪70に対して、装着されたタイヤ12から発生するタイヤ発生音Nを検出するタイヤ発生音検出器76が設けられている。タイヤ発生音検出器76は、マイクロフォン,増幅器,フィルタ等を含んで構成されている。また、他に、ステアリングホイール78の回転角度である操作角φ(狭い意味での操舵角,ステアリング操作状態量の一種である)を検出する操舵角センサ80,運転者の耳に付けられる検出デバイスを備えて運転者の心拍数Hを検出する心拍数検出器82,車両の横加速度Gを検出する横Gセンサ84等が設けられている。さらに、各車輪70に装着されている各タイヤ12には、内側の面に、そのタイヤ12の特性に関する情報であるタイヤ特性情報Tを記憶する記憶媒体としてのタグチップ86が取り付けられている(図3参照)。このタグチップ86は、マイクロ波によってその記憶情報を送信する機能を備えている。また、各車輪70には、ホイール10に、タイヤ空気圧Pairを検出するタイヤ空気圧センサ88が設けられている(図1参照)。この空気圧センサ88も情報送信機能を有している。中継ユニット24は、それらの情報の受信装置としての機能を備えており、タイヤ特性情報T,タイヤ空気圧Pairは、基礎因子量Iと同じ経路で出力される。なお、ここに掲げた各検出器,センサは、よく知られた構造のものであり、それらの詳細についての説明は省略する。
【0112】
車両には、各種の車両搭載装置を制御するための電子制御ユニット(ECU)90が設けられている。ECU90は、CPU92,ROM94,RAM96,入出力インターフェース(I/O)98それらを繋ぐ内部バス100等から構成されるコンピュータ102を主体とするものである。上記各種の検出器,センサ等は、I/O98に接続されている。また、ECU90は、車両駆動力発生装置の一種であるエンジン装置110,ブレーキ装置112,ステアリング装置114,トランスミッション装置116,サスペンション装置118等の車両搭載装置を制御する。ECU90は、それら車両搭載装置の各々の駆動回路であるドライバ120を備えており、車両搭載装置の各々は、それらドライバ120の各々を介して、I/O98に接続されている。また、車両には報知装置122が設けられており、その報知装置122は。車両の走行異常状態を運転者に報知する。報知装置122は、インストルメントパネルに備わる警告灯,警報ブザー等を含んで構成されている。本車両においては、上記列挙したすべての車両搭載装置が電子制御されるものとなっているが、それらのいずれかが電子制御されない装置であってもよい。また、本車両においては、上記列挙した車両搭載装置のすべてを1つのECU90にて制御するものとされているが、それらの車両搭載装置の1以上のものが、別途設けられたECUで制御される態様とされてもよい。その場合は、ECU90と他のECUとを、通信手段によって接続すればよい。
【0113】
車両状態監視装置は、基礎因子量検出器72を始めとした上記検出器,センサ等を含むとともに、その中心的な部分をECU90が担うようにされている。つまり、ECU90において、車輪挙動関連状態量の推定,車両走行異常状態の検知についての処理が行われ、ECU90の一部が、車両状態監視装置の構成要素とされているのである。なお、本車両においては、説明の便宜上、ECU90が各車両搭載装置の制御部を兼ねるものとされているため、車両搭載装置の制御を行うECU90が車両状態の監視処理を行うものとされているが、この態様に代えて、車両搭載装置とは別のコンピュータによって、上記推定,検知の処理を行う態様で実施することも可能である。
【0114】
図8に、車両状態監視装置の機能ブロック図、詳しくは、車両状態監視装置の一部としてのECU90の機能を中心とした機能ブロック図を示す。図における破線は、ECU90の境界を示し、この破線の内部に存在する機能ブロックは、各種の処理を行うECU90の部分を、ECU90の構成要素として表したものである。なお、各機能部分における具体的な処理の内容は、後に詳しく説明するため、ここでの説明は簡単なものに留める。
【0115】
接地面情報取得処理部130は、基礎因子量検出器72からの基礎因子量Iに基づいて、接地面状態量を取得する処理を行う。接地面情報取得処理部130と基礎因子量検出器72とを含んで、接地面状態量取得装置つまり接地面状態量取得部が構成されることになる。車両状態監視処理部132は、車輪挙動状態量推定部134、走行異常状態検知部136を備え、取得された接地面状態量に基づいて、監視処理を行う。車輪挙動状態量推定部134は、取得された接地面状態量に基づいて、車輪挙動関連状態量を推定する。走行状態異常検知部136は、取得された接地面状態量,推定された車輪挙動関連状態量等に基づいて車両の走行異常状態を検知する。監視情報供給部138は、取得された接地面状態量と監視処理によって得られた結果との少なくとも一方に関する情報である監視情報を、車両搭載装置に供給する。詳しくは、車両搭載装置の制御部に供給する。本車両は、車両搭載装置の制御もECUで行っているため、供給処理はECU90内部の処理となる。異常状態報知処理部140は、報知装置122とで異常状態報知部を構成するものであり、その異常状態報知部140は、検知された異常状態を運転者に報知する。
【0116】
車両操作状態量取得処理部142は、車輪回転角度センサ74,操舵角センサ80,横Gセンサ84等によって検出された操作状態量である車輪回転角度θ,操作角φ,車両横加速度G等を受け取り、また、必要に応じてそれらの操作状態量から別の操作状態量を取得する処理を行う。ステアリング操作判断部144は、その取得された操作状態量のうち、ステアリング操作に関するステアリング操作状態量に基づいて、ステアリング操作が過度状態にあるか否かを判断する。タイヤ発生音処理部146は、タイヤ発生音検出器76によって検出されたタイヤ発生音Sに基づき、車両の過大横すべり状態を検知するための補助情報を取得する処理を行う。タイヤ特性情報読取部148は、タグチップ86からのタイヤ特性情報Tの読み取りを行う。なお、便宜上、図ではタイヤ特性情報読取部がECU90の内部にのみ存在するように示しているが、実際には、中継ユニット24を含んでタイヤ特性情報読取部148が構成される。緊張度推定部150は、心拍数検出器82によって検出された運転者の心拍数Hに基づいて、その運転者の緊張度を推定する。タイヤ空気圧処理部153は、タイヤ空気圧センサ88によって検出されたタイヤ空気圧Pairに関する情報を受け取る。上記各部による処理結果は、車両状態監視処理部132における監視処理に利用される。
【0117】
<車両状態監視処理の具体例>
車両状態の監視処理は、ECU90のROM94に記憶されている監視処理プログラムが実行されることによって行われる。本監視装置では、互いにプロセスの異なる複数の監視処理を選択的に行えるようにされており、それらの1つ1つは、上記プログラムに含まれるその処理に応じたルーチンが実行されて行われる。以下に、それら複数の監視処理のいくつかのものについて、図8およびフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下に掲げるいずれのルーチンも、そのルーチンによる監視処理が行われる場合には、その処理を行う間、短い時間間隔で繰り返し実行される。
【0118】
i)総合走行異常状態検知処理
本処理は、図9に示す総合走行異常状態検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、脱輪,横転およびスピン等の過大横すべりのそれぞれの蓋然性の高い状態を検知し、それぞれの状態に応じた警報を発する処理である。本ルーチンによる処理では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様とする。)において、車両操作状態量である車両速度vが取得される。車両速度vは、車両操作状態量取得処理部142によって取得される。具体的には、車輪回転角度センサ74によって検出された車輪回転角度θに基づいて、各車輪の回転速度を演算し、その演算結果を平均化処理することによって求められる。次のS2において、操舵量としての車輪操舵角φ’が取得される。車輪操舵角φ’も、車両操作状態量取得処理部142によって取得される。具体的には、操舵角センサ80によって検出された操作角φと、ステアリング装置114に個有のステアリングギヤ比とに基づいて算出される。
【0119】
ROM94には、車両速度vおよび車輪操舵角φ’と理論接地面積S*とを関連付けるデータであって、車両モデルに基づいて作成されたデータが記憶されている。このようなデータは、いわゆる「マップデータ」と称され、S3においては、そのマップデータに従って、取得された車両速度vおよび車輪操舵角φ’に基づいて、車両の操作状態に応じた理論接地面積S*が推定される。
【0120】
続くS5においては、接地面状態量である4つの車輪の各々の接地面積Sが取得される。接地面積Sの取得は、接地面状態量取得部130によって行われる。基礎因子量検出器72によって検出された基礎因子量Iに基づいて取得処理がなされるが、トレッド部径方向変位検出器14の検出結果に基づく取得処理でもよく、外部圧力検出器50の検出結果に基づく取得処理であってもよい。その具体的なプロセスは先に説明したプロセスに従えばよく、ここでの説明は省略する。
【0121】
次いで、S6において、車輪挙動関連状態量である車輪に発生するスリップ角αの推定がなされる。詳しく説明すれば、まず、接地面状態量取得部130によって、先に入手されている基礎因子量Iに基づいて、幾何学的演算処理によって接地面の重心(図心)Osが算出され、その重心Osのトレッド部14の幅方向の中心からのずれ量である重心ずれ量ΔOsが、接地面の形状特定量として取得される(図4参照)。重心ずれ量ΔOsとスリップ角αと関連付けは別のマップデータとしてROM94に記憶されており、次いで、車輪挙動関連状態量推定部134によって、そのマップデータに従って、取得された重心ずれ量ΔOsに対応するスリップ角αが推定される。なお、外部圧力検出器50による検査結果を利用する場合、重心ずれ量ΔOsの代わりに、圧力による重みを付けて求めた重心である圧力重心Opのずれ量ΔOpに基づいてスリップ角αを推定してもよい。
【0122】
次のS6において、上記取得された接地面積Sに基づいて、脱輪の蓋然性が判断される。この判断は、走行異常状態検知部136によって行われる。具体的には、4つの車輪のうちのいずれかが、
S<S*/2
という条件を満たした場合、その車輪の接地面積が小さくなりすぎていることから、脱輪の蓋然性が高い状態であることを検知する。S6において、脱輪の蓋然性が高いと判断された場合は、S7において、脱輪警報が発せられる。異常状態報知処理部140から、インストルメントパネルに配備された報知装置122にその旨の信号が送られ、報知装置122は、所定の表示灯を点灯させ、所定の警告音を鳴らす。
【0123】
S6における判断条件を満たさない場合を除き、続くS8の処理が行われる。S8は、走行異常状態検知部136によって行われ、接地面積Sおよび接地面積の減少速度ΔSに基づき、急旋回時における横転の蓋然性が判断される。車両が旋回中に横転する場合、旋回内輪が浮き上がる。本処理は、この現象をいち早く検知するものである。本ルーチンの先回の実行時において取得された接地面積Sは、RAM96に記憶されており、今回取得された接地面積Sと先回の接地面積Sとの差をもって接地面積減少速度とされる(接地面積が減少する場合は符号はマイナスとなる)。また、内輪であるか外輪であるかの識別は、検出されている操作角φ基づいてなされる。具体的には、旋回内輪となっている前後2つの車輪のいずれかが、次の2つ条件、
S<S*/4
ΔS<ΔS0
を満たす場合に、車両が横転する蓋然性が高い状態であることが検知される。ΔS0は、設定されている閾値であり、種々の車速において種々の操作角速度でステアリングホイールを操作した場合の接地面積の変化を車両モデルに従って求め、その求めた値に基づいて設定された値である。つまり、それ以上の減少速度が大きくなれば、急旋回状態であると判断できる値に設定されている。すなわち、本検知処理は、旋回内輪の接地面積Sが異常に小さくなり、かつ、急旋回状態であると判断された場合に、横転の蓋然性が高い状態であることを検知するのである。横転の蓋然性が高いと判定された場合、S9において、横転警報が発せられる。異常状態報知処理部140から報知装置122に信号が送られ、所定の表示灯が点灯させられ、所定の警告音が鳴らされる。
【0124】
S6あるいはS9に続いて、S10において、推定された車輪挙動関連量であるスリップ角αに基づいて、車両の過大横すべりの蓋然性が判断される。最大横力が得られる最大スリップ角αmax *は、タイヤに依存する特性値と考えることができる。スリップ角αが、最大スリップ角αmax *を超える場合に車両が過大な横すべりを生じる可能性が高い。本検知処理は、その理論に基づき、走行異常状態検知部136によって行われる。なお、最大スリップ角αmax *はタイヤごとの固有値として、タグチップ86に記憶されており、車両のイグニッションスイッチがONとされた時点での初期設定処理において、タイヤ特性情報読取部148によって、その情報が読み取られ、RAM96に記憶される。本検知処理では、具体的には、4つの車輪のいずれかが、
α>αmax *
という条件を満たした場合に、車両の過大横すべりの蓋然性が高い状態であることが検知される。過大横すべりの蓋然性が検知された場合は、S11において、異常状態報知処理部140から報知装置122に信号が送られ、所定の表示灯が点灯させられ、所定の警告音が鳴らされる。過大横すべりの蓋然性が検知されなかった場合はS11はスキップされる。以上、一連の処理を実行して、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【0125】
ii)接地荷重等推定・スタンディングウェーブ検知処理
本処理は、図10に示す接地荷重等推定・スタンディングウェーブ検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、接地面情報から各車輪の接地荷重を推定するとともに、コーナリングフォース,キャンバ角を推定し、さらに、スタンディングウェーブ現象の発生を検知する処理である。本ルーチンによる処理では、まず、S21において、接地面の形状特定量である4つの車輪の各々の接地面長さlxが取得される。詳しく言えば、トレッド部径方向変位検出器14の検出結果に基づいて、接地面の幅方向において異なる複数の位置の各々における周方向の長さlx(B-2)〜lx(B2)が取得される(図2参照)。そして、S22において、取得された接地面長さlxに基づいて、接地面状態量である各車輪の接地面積Sが取得される。これらの接地面状態量の取得は、接地面状態量取得部130によって行われるが、それらの具体的なプロセスは先に説明したプロセスに従えばよく、ここでの説明は省略する。
【0126】
次いで、S23において、各車輪のタイヤ空気圧Pairが取得される。具体的には、タイヤ空気圧センサ88によって検出されたタイヤ空気圧Pairが、タイヤ空気圧処理部152によって入手されることで取得される。続く、S24において、次式、
W=Pair×S
に従って、各車輪の接地荷重Wが推定される。
【0127】
次にS25において、各車輪に発生しているコーナリングフォースCFおよびキャンバ角βが推定される。先に説明したように、車両モデルに基づいて、接地面長さlx(B-2)〜lx(B2)の各々の値に関するバリエーションと、コーナリングフォースCFおよびキャンバ角βとの関係が、マップデータとして作成されており、本推定処理においては、上記取得された接地面長さlx(B-2)〜lx(B2)を基にそのマップデータと対照して、CFおよびβが推定されるのである。なお、このマップデータは、タイヤ特性情報として、タイヤごとにタグチップ86に記憶されており、車両のイグニッションスイッチがONとされた時点での初期設定処理において、タイヤ特性情報読取部148によって、読み取られ、RAM96に記憶される。なお、ここでは説明を単純化しているが、実際上、CFおよびβは車両速度v,タイヤ空気圧Pairにも依存するため、それらを推定するマップデータは、v,Pairごとのデータが記憶されており、推定にあたって、車輪回転角度θから推定された車両速度v(総合走行異常状態検知処理を参照),先に取得されたタイヤ空気圧Pairに基づいて、適切なマップデータが選択されるようにされている。
【0128】
続いて、S26において、タイヤと路面との摩擦係数である路面摩擦係数μが、次式、
μ=CF/W
に従って、推定される。それらW,CF,β,μは、車輪挙動関連状態量であり、それらを推定する上記処理は、上述した車輪状態関連状態量推定部134によって行われる。
【0129】
続くS27において、取得されたタイヤ空気圧Pair、推定された接地荷重W,コーナリングフォースCF,キャンバ角β,路面摩擦係数μ等は、監視情報供給部138によって、リアルタイムな情報として、電子制御される各車両搭載装置に送られる。各車両搭載装置では、送られたそれらの情報に基づいた制御がなされる。具体的には、例えば、接地荷重Wは、ブレーキ装置112等における車両姿勢制御(VCS制御)等に、サスペンション装置118におけるハイトコントロール制御等に利用され、キャンバ角βは、VCS制御,サスペンション装置118におけるジオメトリ制御等に利用され、また、路面摩擦係数μは、アンチロックブレーキ制御,VCS制御等における制御閾値の変更等に利用される。なお、キャンバ角βに基づいて車両の横転の蓋然性を検知し、また、路面摩擦係数μに基づいて低μ路走行状態であることを検知し、これらの検知結果に基づいて運転者へ警報を発することも可能である。
【0130】
S28では、先に取得した接地面長さlxに基づいて、スタンディングウェーブ現象が検知される。検知処理は、走行異常状態検知部136によって行われ、具体的には、幅方向の各位置における接地面長さlx(B-2)〜lx(B2)のいずれかが、設定された閾値である限界接地面長さlx0を超えた場合に、そのタイヤにスタンディングウェーブ現象が生じていると判断される。当該現象が生じていると判断された場合は、続くS29において、運転者への警報が発せられる。具体的には、異常状態報知処理部140からインストルメントパネルに配備された報知装置122にその旨の信号が送られ、報知装置122は、当該現象が生じているタイヤ示す表示灯を点灯させ、所定の警告音を鳴らす。S29が終了して、または、S28においてスタンディングウェーブ現象が生じていないと判断された場合はS29をスキップして、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【0131】
iii)内外面圧差依拠横転検知処理
本処理は、図11に示す内外面圧差依拠横転検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、接地面の車両の外側寄りの部分と車両の中心寄りの部分との接地面圧差に基づいて、横転の蓋然性の高い状態を検知し、警報を発する処理である。本ルーチンによる処理では、まず、S31において、車両操作状態量である車両速度vが取得され、次のS32において、操舵量としての車輪操舵角φ’が取得される。これらの取得処理は、先の総合走行異常状態検知処理におけるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0132】
ここで、内外面圧差に関する基準を説明する。図12(a)に示すように、接地面40は、幅方向の中心線を挟んで左右の領域に区分することができる。図に示す接地面40は、車両の左側の車輪であり、この車輪では、図の左側の領域が、車両の外側領域ROとなり、右側の領域が内側領域RIとなる(右側車輪の場合は逆である)。図に示す接地面40は、車両が右側に旋回している状態であり、先に説明したように、左右いずれの車輪も、旋回外側の領域(図の車両左側車輪では外側領域RO,車両右側車輪では内側領域RI)の接地面圧が、旋回内側の領域(図の車両左側車輪では内側領域RI,車両右側車輪では外側領域RO)の接地面圧より高くなる。本処理では、この接地面圧の差により、横転の蓋然性の高い状態を判断する。より具体的には、タイヤの幅方向の中心線上における2つの接地面境界を結ぶ線の中点Oに対して、その中心線に直交する幅方向の線上において外側方向,内側方向に等しい距離だけ離れた2つの点を、それぞれ外側基準点QO,内側基準点QIとして設定し、それぞれの基準点QO,QIにおける接地面圧である外側接地面圧PO,内側接地面圧PIとして、それら接地面圧PO,PIの差の絶対値(|PO−PI|)を、接地面状態量の一種である内外面圧差ΔPI/Oとして規定し、その内外面圧差ΔPI/Oによって、横転の蓋然性を判断するのである。
【0133】
ROM94には、車両速度vおよび車輪操舵角φ’と、それらから推定される内外面圧差ΔPI/Oである理論内外面圧差ΔPI/O *とを関連付けるデータであって、車両モデルに基づいて作成されたマップデータが記憶されており、S33においては、そのマップデータに従って、取得された車両速度vおよび車輪操舵角φ’に基づいて、4つの車輪の各々についての車両の操作状態に応じた理論内外面圧差ΔPI/O *が推定される。
【0134】
続くS34においては、接地面状態量取得部130によって、外部圧力検出器50による検出結果に基づき、4つの車輪の内外面圧差ΔPI/Oが取得される(図4参照)。次のS35において、横転の蓋然性が検知される。この検知は、走行異常状態検知部136によって行われ、いずれかの車輪について取得された内外面圧差ΔPI/Oが、理論内外面圧差ΔPI/O *にマージンとしての許容圧ΔP0を加えた値を超える場合に、横転の蓋然性が高い状態であると判断される。つまり、内外面圧差ΔPI/Oが大きい場合には、例えば車両が急旋回状態にあると考えることができ、横転の可能性が高いと推認されるのである。
【0135】
横転の可能性が高いと判断された場合は、続くS36において、横転警報が発せられる。異常状態報知処理部140から、インストルメントパネルに配備された報知装置122にその旨の信号が送られ、報知装置122は、所定の表示灯を点灯させ、所定の警告音を鳴らす。この警報は、運転者が横転の回避動作を行うための一助となる。S36を終了して、または、横転の可能性が高いと判断されなかった場合は、S29をスキップして、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【0136】
上記内外面圧差は、設定された2つの点における接地面圧の差としている。これに代えて、例えば、図12(b)に示すように、外側領域ROの平均面圧と内側領域RIの平均面圧との差を、内外面圧差として上記検知処理を行うことも可能である。また、外側領域ROの全体にかかる荷重と、内側領域RIの全体にかかる荷重との差に基づいて、同様の検知処理を行うことも可能である。
【0137】
iv)高面圧領域依拠横すべり検知処理
本処理は、図13に示す高面圧領域依拠横すべり検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、接地面において設定された接地面圧以上となる領域の幅方向の位置に基づいて、スピン等の過大横すべりの蓋然性の高い状態を検知し、それへの対応を行う処理である。本処理では、まず、S41において、操舵角センサ80によって検出されたステアリング装置114の操作量である操作角φが取得される。次のS42において、今回取得されたの操作角φと前回取得された操作角φとの差から、ステアリングホイールの回転角速度である操作速度ωが取得される。操作角φ,操作速度ωは、いずれもステアリング装置114の操作状態量、すなわちに車両の操作状態量であり、これらは、車両操作状態量取得処理部142によって取得される。
【0138】
次のS43においては、ステアリング操作が過度状態にあるか否かが、ステアリング操作判断部144によって判断される。具体的には、操作角φが、設定された閾角φ0より大きく、かつ、操作速度ωが、設定された閾速度ω0より大きい(厳密には、切増し方向において大きい)場合に、ステアリング操作が過度状態にあると判断される。本処理では、ステアリング操作が過度状態にある場合にのみ、以下の検知処理が実行されるようにされている。
【0139】
ステアリング操作が過度状態にある場合、S44以下の処理が行われる。図6も用いて説明したように、過大横すべり状態に近づくにつれて、接地面における最高接地面圧Pmaxは高くなり、旋回外側方向に、最高面圧点Qmaxの位置もずれる。本ルーチンの処理は、この現象を利用して、過大横すべりの蓋然性を判断する。図14に、接地面の形状および幅方向における接地面圧の分布を示す。図14の下図に示すように、横すべり状態の程度が大きくなると、実線のような接地面圧分布を示す。二点差線は横すべりしていない状態の接地面圧分布であり、これと比較して解るように、接地面の左の領域において、圧力の高い領域が存在する。S44では、外部圧力検出器50の検出結果に基づいて、設定された閾圧PHを越える領域を高接地面圧領域RHとし、その高接地面圧領域RHが存在するが否かが判断される。言い換えれば、接地面状態量取得部130によって接地面状態量として取得された最高接地面圧Pmaxが所定の閾圧PHより高いか否かが判断されるのである。高接地面圧領域RHが存在しない場合は、本ルーチンを終了するが、存在する場合は、次のS45が実行される。
【0140】
S45においては、幅方向における高接地面圧領域RHの旋回内側方向の位置である高圧領域旋回内側位置QRHおよびその位置の幅方向中心からのシフト量ΔQRHが、接地面状態量取得部130によって接地面状態量として取得される。図14では右方向に旋回した状態を示しており、高接地面圧領域RHの最も右側の箇所が高圧領域旋回内側位置QRHとなり、その箇所の接地面の幅方向の中心からのシフト量が高圧領域シフト量ΔQRHとされる。続くS46において、取得されたシフト量ΔQRHが設定された閾シフト量ΔQRH0より大きい場合、つまり、図14においては、設定された位置よりも高接地面圧領域RHが旋回外側に位置する場合に、過大横すべりの蓋然性が高いと判断される。S44およびS46は、走行異常状態検知部136によって行われ、それらが組み合わされた本ルーチンの検知処理は、すなわち、接地面の最高面圧と面圧分布の幅方向における偏りの程度との両者に基づいて走行異常状態を判断する処理とされているのである。
【0141】
過大横すべりの蓋然性が検知された場合は、S47において過大横すべりへの対応処理が行われる。具体的には、まず、異常状態報知処理部140から報知装置122に信号が送られ、所定の表示灯が点灯させられ、所定の警告音が鳴らされる。そして、監視情報供給部138から、例えば、エンジン装置110およびトランスミッション装置116にその情報が供給される。この情報に基づき、エンジン装置110では、回転数が制限され、トランスミッション装置116では、ギヤチェンジが禁止される。S47を終了して、または、過大横すべりの可能性が高いと判断されなかった場合は、S47をスキップして、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【0142】
v)ハンドル取られ検知処理
本処理は、図15に示すハンドル取られ検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、車輪、詳しくは操舵車輪である2つの前輪の各々に発生する横力に基づいて、ハンドル取れら状態を検知し、それへの対応を行う処理である。なお、本ルーチンによる処理の説明は、適宜、図16を参照して行う。
【0143】
まず、S51において、車両操作状態量である車両速度vが取得され、次のS52において、操舵量としての車輪操舵角φ’が取得される。これらの取得処理は、先の総合走行異常状態検知処理におけるものと同様であるため、ここでの説明は省略する。続く、S53において、車両の操作状態によって定まるところの左右の前輪の理論横力FR *,FL *が、車両速度v,車輪操舵角φ’に基づいて推定され、さらにそれらの和である理論横力和ΣF*が求められる。ROM94には、車両速度vおよび車輪操舵角φ’と理論横力FR,FLとを関連付けるマップデータが記憶されており、理論横力FR *,FL *の推定の際には、そのマップデータが参照される。
【0144】
次のS54において、2つの前輪の各々の接地面圧分布が、接地面状態量として、接地面状態量取得部130によって取得される。詳しく言えば、図16(a)に示すように、接地面40には、幅方向に4つの領域R-2〜R2(総称して、「領域R」と呼ぶことがある)が区分して設定されており、それぞれの領域Rごとの接地面圧PR-2〜PR2(総称して「接地面圧PR」と呼ぶことがある)が、外部圧力検出器50の検出結果(図4参照)に基づいて取得される。なお、接地面圧PRは、その領域Rにかかる接地荷重WRをその領域Rの面積SRによって除したものである。取得された接地面圧PRは、例えば、図16(b)に表されるような分布を示す。
【0145】
次いで、S55において、取得された接地面圧PRの分布状態に基づいて、左右の前輪の各々のキャンバ角βR,βLが推定される。図16(c)に示すように、車両がわだち等のある悪路を走行する場合、路面の傾斜に応じて、車輪のキャンバ角βが変化する。先に述べたように、キャンバ角βの変化は接地面の状態の変化となって現れる。この現象を利用した推定を行うのである。推定は、車輪挙動関連状態量推定部134によって行われれる。ROM94には、接地面圧PRの分布状態とキャンバ角βとを関連付けるマップデータが記憶されており、そのマップデータを参照して、キャンバ角βR,βLが推定されるのである。
【0146】
次にS56において、左右各車輪の横力FR,FLおよびそれらの合計である横力和ΣFが、推定された左右各前輪のキャンバ角βR,βLに基づいて行われる。図16(d)に概念的に示すように、キャンバ角βと車輪に発生する横力Fとは相関関係にあり、両者を関連付けるマップデータがROM94に記憶されている。横力FR,FLの推定は、車輪挙動関連状態量推定部134によって行われれるのであるが、その際、そのマップデータが参照される。左右各車輪の横力FR,FLの各々が推定された後、それらが合算されて横力和ΣFが算出される。
【0147】
続くS57において、ハンドル取られの状態が、走行異常状態検知部136によって検知される。具体的には、推定の結果得られた横力和ΣFと先に推定された理論横力和ΣF*との差分が、設定されている閾値ΔΣF0を超えた場合に、ハンドルが取られる状態にあると判断される。なお、この閾値ΔΣF0は、ステアリング装置114の摩擦力に応じた値とされている。
【0148】
ハンドル取られが検知された場合は、S58において、対応処理が行われる。具体的には、まず、異常状態報知処理部140から報知装置122に信号が送られ、所定の表示灯が点灯させられ、所定の警告音が鳴らされる。そして、監視情報供給部138から、ステアリング装置114にその情報が供給される。ステアリング装置114では、例えば、そのステアリング装置114がいわゆるパワーステアリング装置の場合には、上記横力和の差分ΔΣFに応じたカウンタ力が車輪に付与される。いわゆるプレロード制御である。なお、いわゆるステアバイワイヤと呼ばれる操作部転舵部分離型のステアリング装置の場合は、ステアリングホイールの操作とは別に、操舵車輪を修正転舵させることも可能である。S58を終了して、または、ハンドルが取られないと判断された場合は、S58をスキップして、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【0149】
上記ハンドル取られの検知処理においては、車輪のキャンバ角βを推定した後、そのキャンバ角βに基づいて車輪に発生する横力Fを推定しているが、この態様に代え、接地面圧PRの分布状態から直接横力Fを推定することも可能である。その場合は、接地面圧PRの分布状態と横力Fとを関係付けるマップデータを記憶させておき、そのマップデータを参照すればよい。また、上記検知処理は、車両の旋回中においてもハンドルの取られを検知可能なものであるが、例えば、車両の直進状態においてのみハンドル取られを検知する処理態様で実施することができる。その場合、上記S51〜S53を省略し、上記理論横力和ΣF*を0として、一連の処理を行えばよい。
【0150】
vi)タイヤ発生音依拠横すべり検知処理
本処理は、図17に示すタイヤ発生音依拠横すべり検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、接地面における接地面圧の状態に加え、タイヤから発生する音に基づいて、スピン等の過大横すべりの蓋然性の高い状態を検知する処理である。本ルーチンによる処理では、まず、S61において、先の総合走行異常状態検知処理における場合と同様のプロセスによって、操舵量としての車輪操舵角φ’が取得される。続く、S62において、前後の旋回内輪(旋回中心に近い側の車輪)の各々の接地面圧P(接地荷重W/接地面積S)が、接地面状態量として取得される。なお、旋回内輪か否かの判断は、車輪操舵角φ’によってなされる。接地面圧Pの取得処理は、接地面状態量取得処理部130によってなされるが、前述したところの、トレッド部径方向変位検出器14の検出結果に基づく取得処理でもよく、また、外部圧力検出器50の検出結果に基づく取得処理であってもよい。
【0151】
続いて、S63において、タイヤ発生音Nの音圧NPが取得される。タイヤ発生音圧NPは、タイヤ発生音検出器76によって検出されたタイヤ発生音Nに基づいて、タイヤ発生音処理部146によって取得される。タイヤ発生音Nのうちタイヤと路面とがスリップして発生するいわゆるスキール音は、ある周波数域(例えば、500Hz〜1500Hz)の音圧が高いため、タイヤ発生音処理部146は、フィルタ処理を行って、その周波数域の音圧を得るようにされており、走行異常の検知にあたっては、当該周波数域の音圧が利用される。また、横すべりの際のスキール音は、旋回外輪(旋回中心から遠い側の車輪)において、大きく発生することから、前後の旋回外輪のそれぞれの音圧のみが取得される。
【0152】
次に、S64において、車輪操舵角φが設定された閾角φ0’より大きいか否かが判定される。この判定は、ステアリング操作判断部144によって行われ、φがφ0’より小さい場合は、ハンドルを大きく切っていないため過大横すべりが発生しないものとして、本ルーチンを終了し、大きい場合は、次のS5が実行される。S65においては、先に取得された2つの旋回内輪のいずれかの接地面圧Pが設定された閾圧P0より小さく、その状態が、設定された閾時間tp以上継続しているか否かが判断される。過大横すべりが発生する蓋然性が高い場合は、旋回外輪側への荷重移動が生じ、旋回内輪の接地面圧が減少する。本判定は、その現象に基づく判定であり、接地面圧Pが閾圧P0より小さい状態が継続していない場合は、本ルーチンを終了し、継続している場合には、次のS66が実行される。S66では、先に取得された2つの旋回外輪のいずれかのタイヤ発生音圧NPが設定された閾音圧NP0より大きく、その状態が、設定された閾時間tn以上継続しているか否かが判断される。継続していない場合は、本ルーチンを終了し、継続している場合は、次のS67が実行される。なお、S65,S66の判定は、ともに走行異常状態検知部136によって行われ、それらの判定により、車両の過大横すべりの蓋然性の高い状態が検知されるのである。過大横すべリの蓋然性が高いと判断された場合、S67において、異常状態報知処理部140から報知装置122に信号が送られ、所定の表示灯が点灯させられ、所定の警告音が鳴らされる。以上、一連の処理を実行して、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【0153】
車両の実際の走行においては、路面のちょっとした起伏等によっても接地面状態量が変化するため、走行異常状態でなくても、走行異常状態であると判断される可能性がある。いわゆるノイズ的な現象によって、正常な検知ができない場合があるのである。本処理では、所定状態の所定時間の継続を条件とする判断が行われており、そのようなノイズ的な現象による影響を受けにくく、検知精度が良好である。そこで、検知精度,推定精度を向上させるべく、所定時間の継続を条件とする判断手法を、本ルーチン以外の他のルーチンによる処理に採用することも可能である。
【0154】
vii)緊張度依拠横転検知処理
本処理は、図18に示す緊張度依拠横転検知処理ルーチンが実行されて行われる処理であり、運転者の緊張度が高いと判断された場合にのみ、横転の蓋然性が高い状態を検知し、その状態に対応する処理である。本処理では、まず、S71において、運転者の心拍数Hが、心拍数検出器82によって検出される。続くS72において、緊張度が推定される。この推定は、緊張度推定部150によって行われ、具体的には、検出された心拍数Hの平常心拍数H0に対する比が、設定されている緊張度判断係数k1(例えば1.2といった値)を上回る場合に、運転者が緊張状態にあると判断する。平常心拍数H0は、車両を運転する個々人の値を予め登録して記憶しておき、運転者の選択に応じてその者の値が採用されるようにしてもよく、また、イグニッションスイッチがONされた場合の初期処理において心拍数検出器82によって検出された値とされるようにしてもよい。緊張状態でないと判断場合は、本ルーチンの実行は終了する。緊張状態であると判断された場合は、次のS73が実行される。
【0155】
S73においては、ステアリング操作状態量である操作速度ωが取得される。この取得処理は、前述の最高面圧位置依拠横すべり検知処理における処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。続くS74において、取得された操作速度ωが、設定されている閾速度ω0を超えているか否かが判断される。この判断は、ステアリング操作判断部144によって行われ、ωがω0を超えていない場合は本ルーチンが終了し、超えている場合は、ステアリングホイールが急操作されたと判断し、S75以下が実行される。つまり、本処理では、運転者が緊張状態にあって、しかもステアリン操作が過度である場合に、横転の蓋然性の検知処理がなされるのである。
【0156】
S75においては、ステアリング操作の方向に基づいて、4つの車輪の各々がが、旋回内輪であるか旋回外輪であるかが特定される。続くS76において、旋回内輪として特定された前後2つの車輪の各々の接地面圧である旋回内輪接地面圧PINと、旋回外輪として特定された前後2つの車輪の各々の接地面圧である旋回外輪接地面圧POUTとが、接地面状態量として取得される。これら接地面圧PIN,POUTは、1つの接地面の全体における接地荷重Wをその接地面の全体の接地面積Sで除した値と等価なものである。それらの取得は、接地面状態量取得処理部130によってなされるが、前述したところの、トレッド部径方向変位検出器14の検出結果に基づくものであってもよく、外部圧力検出器50の検出結果に基づくものであってもよい。
【0157】
続くS77において、旋回内輪接地面圧PINと旋回外輪接地面圧POUTとの比較によって、横転の蓋然性の判断がなされる。具体的には、2つの旋回内輪,旋回外輪を、それぞれ前輪,後輪に分け、前輪の旋回内輪と旋回外輪とを比較し、後輪の旋回内輪と旋回外輪とを比較する。そして、前輪,後輪のいずれかにおいて、旋回内輪接地面圧PINの旋回外輪接地面圧POUTに対する比が、設定されている荷重移動判断係数k2を下回る場合に、横転の可能性を無視できないと判断される。つまり、車両が旋回する場合における旋回外輪側への荷重移動が、どの程度であるかによって判断がなされるのである。横転の可能性を無視できると判断された場合は、本ルーチンは終了する。横転の可能性を無視できない場合には、次のS78が実行される。
【0158】
S78では、横Gセンサ84によって検出された車両横加速度Gが車両操作状態量取得処理部142に入手される。続くS79では、その検出された車両横加速度Gが、設定された閾加速度G0を超える場合に車両が横転する蓋然性が高いと判断される。上記S77とS79の判定は、走行異常状態検知部136によって行われ、それら2つの判定を経て、車両の走行異常状態が検知されるのである。横転の可能性がないと判断された場合は本ルーチンを終了し、横転の蓋然性が高いと判断された場合は、S80において、横転への対応処理がなされる。対応処理は、具体的には、まず、異常状態報知処理部140から報知装置122に信号が送られ、所定の表示灯が点灯させられ、所定の警告音が鳴らされる。そして、監視情報供給部138から、車両の姿勢制御を実行している車両搭載装置に、その情報が送られ、車両搭載装置においては、姿勢制御の実行における制御ゲインの値を情報に応じて高くする等の処理がなされる。また、例えば、サスペンション装置118において、旋回外輪側を硬くする、車高を低くするといった制御を行うことも、横転の抑制に有効である。以上の一連の処理を終了して、本処理ルーチンの1回の実行が終了する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である接地面情報取得装置が備えるトレッド部径方向変位検出器の構成を示す図である。
【図2】上記トレッド部径方向変位検出器によって検出された車輪の回転に伴うトレッド部径方向変位の変化と、その変化に基づいて取得される接地面状態量との関係を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態である接地面情報取得装置が備える外部圧力検出器の構成を示す図である。
【図4】上記外部圧力検出器による検出結果を模式的に示す図である。
【図5】上記トレッド部径方向変位検出器を備える接地面状態量取得装置によって取得された接地面の状態であって、車輪の挙動に関するパラメータの値が種々異なる場合における状態を示す図である。
【図6】上記外部圧力検出器を備える接地面状態量取得装置によって取得される接地面の状態であって、車輪のスリップ角の異なる状態を示す。
【図7】本発明の実施形態である車両状態監視装置を搭載した車両の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施形態である車両状態監視装置の機能部分について示す機能ブロック図である。
【図9】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行される総合走行異常状態検知処理ルーチンのフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行される接地荷重等推定・スタンディングウェーブ検知処理ルーチンのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行される内外面圧差依拠横転検知処理ルーチンのフローチャートである。
【図12】内外面圧差を取得するための基準を説明するための概念図である。
【図13】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行される高面圧領域依拠横すべり検知処理ルーチンのフローチャートである。
【図14】高面圧領域依拠横すべり検知処理を説明するための概念図である。
【図15】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行されるハンドル取られ検知処理ルーチンのフローチャートである。
【図16】ハンドル取られ検知処理を説明するための概念図である。
【図17】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行されるタイヤ発生音依拠横すべり検知処理ルーチンのフローチャートである。
【図18】本発明の実施形態である車両状態監視装置によって実行される緊張度依拠横転検知処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10:ホイール 12:タイヤ 14:トレッド部径方向変位検出器
16:トレッド部 20:超音波プローブ 40:接地面 50:外部圧力検出器 52:面圧センサ 58:圧電素子 70:車輪 72:基礎因子量検出器 74:車輪回転角度センサ 76:タイヤ発生音検出器
78:ステアリングホイール 80:操舵角センサ 82:心拍数検出器
84:横Gセンサ 86:タグチップ(タイヤ特性情報記憶媒体) 88:タイヤ空気圧センサ 90:電子制御ユニット(ECU) 110:エンジン装置 112:ブレーキ装置 114:ステアリング装置 116:トランスミッション装置 118:サスペンション装置 122:報知装置
130:接地面情報取得処理部 132:車両状態監視処理部 134:車輪挙動関連状態量推定部 136:走行異常状態検知部 138:監視情報供給部 140:異常時様態報知処理部 142:車両操作状態量取得処理部 144:ステアリング操作判断部 146:タイヤ発生音処理部
148:タイヤ特性情報読取部 150:緊張度推定部 152:タイヤ空気圧処理部
Claims (19)
- タイヤの路面と接触している面である接地面においてその接地面の状態を示す状態量である接地面状態量を取得する接地面状態量取得部と、
その取得された接地面状態量に基づいて、車両の走行についての異常状態である走行異常状態を検知する走行異常状態検知部を備えて、その取得された接地面状態量に基づいて車両状態の監視処理を行う車両状態監視処理部と
を含む車両状態監視装置であって、
前記走行異常状態検知部が、
(A) 前記取得された接地面状態量としての、前記接地面の最高面圧と面圧分布の幅方向における偏りの程度との少なくとも一方に基づいて、前記走行異常状態としての車両の過大横すべりあるいはそれの蓋然性の高い状態を検知することと、
(B) 前記取得された接地面状態量としての前記接地面の長さに基づいて、前記走行異常状態としてのスタンディングウェーブ現象あるいはそれの蓋然性が高い状態を検知することと、
(C) 前記取得された接地面状態量と、車両が操作されている状態に基づいて推定された理論的な前記接地面状態量である理論接地面状態量との関係に基づいて、前記走行異常状態を検知することと
の中から選ばれる少なくとも1つのことを行うことを特徴とする車両状態監視装置。 - 前記走行異常状態検知部が、少なくとも、 (A)前記取得された接地面状態量としての、前記接地面の最高面圧と面圧分布の幅方向における偏りの程度との少なくとも一方に基づいて、前記走行異常状態としての車両の過大横すべりあるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである請求項1に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記接地面の最高面圧が設定された閾圧を超え、かつ、その最高面圧となる箇所が幅方向において設定された閾位置を越えて前記タイヤの中心より旋回外側に位置する場合に、過大横すべりの蓋然性が高い状態を検知するものである請求項2に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記接地面の最高面圧が設定された閾圧を超え、かつ、その閾圧を超える接地面の範囲が、幅方向における設定位置を越えて旋回外側に位置する場合に、過大横すべりの蓋然性が高い状態を検知するものである請求項2に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、少なくとも、 (B)前記取得された接地面状態量としての前記接地面の長さに基づいて、前記走行異常状態としてのスタンディングウェーブ現象あるいはそれの蓋然性が高い状態を検知するものである請求項1に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記接地面の周方向の長さが設定された閾長さを超えた場合にスタンディングウェーブ現象を検知するものである請求項5に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、少なくとも、 (C)前記取得された接地面状態量と、車両が操作されている状態に基づいて推定された理論的な前記接地面状態量である理論接地面状態量との関係に基づいて、前記走行異常状態を検知するものである請求項1に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の面積と、前記理論接地面状態量として推定された接地面の面積である理論接地面積との関係に基づき、前記走行異常状態としての脱輪あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである請求項7に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記接地面の面積が前記理論接地面積に対する設定割合以下となった場合に、脱輪あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである請求項8に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての前記接地面の面積と、前記理論接地面状態量として推定された接地面の面積である理論接地面積との関係に基づくとともに、前記接地面の面積の減少速度に基づいて、前記走行異常状態としての車両の横転あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである請求項7に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、旋回内輪側の前記タイヤの前記接地面の面積が前記理論接地面積に対する設定割合を下回り、かつ、その接地面の面積の減少速度が設定された閾値を上回った場合に、車両の横転の蓋然性の高い状態を検知するものである請求項10に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記取得された接地面状態量としての、前記接地面の幅方向の中心より車両外側寄りの定められた部分と車両内側寄りの定められた部分との面圧差である内外面圧差と、前記理論接地面状態量として推定された理論的な前記内外面圧差である理論内外面圧差との関係に基づいて、前記走行異常状態としての車両の横転あるいはそれの蓋然性の高い状態を検知するものである請求項7に記載の車両状態監視装置。
- 前記走行異常状態検知部が、前記内外面圧差としての前記接地面の旋回外側の位置の面圧から旋回内側の位置の面圧を減じた値が、その値に対応する前記理論内外面圧差の値に設定マージンを加えた値よりも大きくなった場合に、車両の横転の蓋然性の高い状態を検知するものである請求項12に記載の車両状態監視装置。
- 当該車両状態監視装置が、前記走行異常状態検知部によって検知された前記走行異常状態を、運転者に報知する異常状態報知部を含む請求項1ないし請求項13のいずれか1つに記載の車両状態監視装置。
- 当該車両状態監視装置が、前記取得された接地面状態量と前記監視処理によって得られた結果との少なくとも一方に関する情報である監視情報を、その監視情報を利用した制御を行う制御部を備えた車両搭載装置に供給する監視情報供給部を含む請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の車両状態監視装置。
- 前記接地面状態量取得部が、
タイヤのトレッド部に関する物理量であって前記接地面状態量を取得するための基礎因子となる基礎因子量を検出する基礎因子量検出器を有し、その基礎因子量検出器によって検出された基礎因子量に基づいて、前記接地面状態量を取得する接地面状態量取得装置を備えた請求項1ないし請求項15のいずれか1つに記載の車両状態監視装置。 - 前記基礎因子量検出器が、タイヤのトレッド部の径方向の変位を、前記基礎因子量として検出するトレッド部径方向変位検出器を含み、前記接地面状態量取得装置が、そのトレッド部径方向変位検出器によって検出された前記変位に基づいて、前記接地面状態量を取得するものである請求項16に記載の車両状態監視装置。
- 前記基礎因子量検出器が、タイヤのトレッド部の1以上の検出箇所の各々にそれの外部から加わる外部圧力を、前記基礎因子量として検出する外部圧力検出器を含み、前記接地面状態量取得装置が、その外部圧力検出器によって検出された外部圧力に基づいて、前記接地面状態量を取得するものである請求項16または請求項17に記載の車両状態監視装置。
- 前記基礎因子量検出器が、車輪に設けられており、前記接地面状態量取得装置が、車輪に設けられて前記基礎因子量検出器の検出値に関する信号を無線にて送信する送信装置と、車体に設けられて前記送信された信号を受信する受信装置とを備えた請求項16ないし請求項18のいずれか1つに記載の車両状態監視装置。
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