JP4055526B2 - 故障診断システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路部材を搭載した回路基板を備えた装置、たとえばプリンタ装置、ファクシミリ装置、あるいはそれらの機能を有する複合機などの装置における、回路部材の動作、性能の異常、あるいは故障を予測したり検出したり(以下纏めて故障診断という)する方法、この故障診断方法を実施する故障診断システム、並びに、この故障診断システムに使用する回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−211800号公報
【非特許文献1】
藤城久・山田外史・岩原正吉、“渦電流探傷技術によるプリント配線の欠陥検出”、[online]、[平成14年9月1日検索]、インターネット<URL:http://magmac1.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/magcap-j/research-j/ecta-j.html>
【0003】
パーソナルコンピュータや複写機などの電子機器は、近年、性能、機能の向上に伴い、益々、それらを実現するための様々な用途のアナログおよびデジタルの電子回路がプリント基板の形で格納されてきている。
【0004】
また、自動車や航空、ロボットや半導体設計装置など、他の産業機器においても動作制御などの手段として、信頼性が高く、高速・高精度での動作が可能な電子回路基板が数多く搭載されている。これらの電子回路基板は一連の機能を実現するために、様々な形でケーブルを介して接続されることにより、所望のスペックが実現されている。
【0005】
このような基板が搭載される機器が使用される環境は、通常はオフィス内であったり、家屋内であったりするが、それ以外の過酷な環境下で使用される場合もあり、非常に多岐にわたっている。特に使用環境が劣悪である場合には、通常の方法で使用していたとしても、検出が困難な様々な異常や故障が発生し、その修復には多大な労力を要することになる。
【0006】
また、通常の使用環境下で使用している場合でも、電子回路の異常や故障が発生し、その頻度は必ずしも低いとは言えず、検出箇所を特定できないこともしばしば生じていた。さらに、電子回路基板に異常が発生した場合には、安全性やコストなどの面から早急な対応が必要でもあった。
【0007】
故障診断の一般的手法としては、テスターなどの測定装置を用いて主要な個所の電圧や信号波形を監視(モニタ)しながら故障個所の特定する。しかし、このような診断方法では様々な個所の測定を行なわなければならず、故障診断に手間がかかってしまい、作業効率が悪いという問題があった。
【0008】
そこで、効率のよい診断手法として、装置の起動時などに装置自身が各基板の診断を行なうようにした自己診断システム(Diagnostics system)がある。この自己診断システムでは、たとえば、装置が動作しているときの信号パターンを回路モジュールごとあるいは基板ごとにモニタして予め記憶してある期待値と比較し、故障発生の有無を診断し、故障箇所を特定するようにしている。
【0009】
たとえば、複写機やプリンタなどの異常や故障情報の連絡がサービスセンタに入った場合、修理担当者が現地に駆けつけて機器に記録されている故障個所情報や故障履歴の情報などをもとに故障部位の特定を行ない、交換する、あるいは修復作業を行なう、などの措置手段を講ずることがある。あるいは、これらの機器がネットワークに接続されており、自動的にこれらの情報を管理する部署へ、状態の管理や故障情報などを伝送する場合には、これらの情報をあらかじめ解析した上で、修理担当者により、同様の措置が取られることもある。
【0010】
しかし、上述のような異常や故障が発生した場合には、通常、機器は使用不可能となり、ダウンタイムが生じてしまう、というユーザ側にとってのデメリットが発生する。また、メーカ側にとっても、故障部位の特定に手間取ったり、故障部位が必ずしも正確に特定できるとは限らず、故障と考えられる部分を全て交換するなどの措置により、多大なコストが発生したり、あるいは修理そのものに時間がかかってしまう、マンパワー的な対応が追いつかない、といったような状況が発生している。したがって、ユーザ側およびメーカ側双方にとって、多大な損失を被る状況が多発しているという事実がある。
【0011】
そこで、故障部位を特定したり発生自体を予測したりする場合、特定する精度を上げたり、特定するまでの時間的なロスを削減したりするなど、様々な異常状態や故障状態を漏れなく把握する、これらの構成を簡単かつ低コストで実現する、といった方法について様々な試みがなされている。
【0012】
たとえば、非特許文献1には、渦電流探傷技術を使ってプリント配線の欠陥を検出する手法が提案されている。この手法は、図14に示すような、ターゲット(故障診断の対象部位)とする配線を流れる電流から発生する磁界を検出するための超小型でかつ独自の形状を有する磁界検出プローブを使用して、非接触方法により、基板の配線を非接触スキャンする方式によって、ICの故障なども含めた基板で発生する異常を検出する手法である。この方式によれば、現状の高密度配線プリント基板における配線の断線や線幅異常を、高速かつ機械的なストレスのない状態で実現することができる。
【0013】
また、特許文献1には、図15に示すように、近年のICパッケージピンの高密度化に対応したICの動作チェックや故障解析に使用するICパッケージ用プロービング装置が開示されている。この特許文献1に記載の故障検出手法では、ICパッケージのリード端子と同じ配列を有する近磁界プローブ群を構成することによって、効率的な故障検出を実現しようとしている。
【0014】
上述した非特許文献1および特許文献1の何れの手法も、回路基板の配線や搭載部品内部を流れる電流から発生する磁束を磁界センシング部としての機能をなすコイルの巻線に通過させることで、磁界センシング部に発生する誘導起電力を読み取り、この読み取った誘導起電力と予め測定しておいた正常状態の誘導起電力とを比較することにより、故障の有無を診断するという手法である点で共通する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1および特許文献1の何れのものも、磁界をセンシングする手段として高価な専用プローブ(センシング用プローブ)を使用する必要があるため、故障検出コストが掛かる。
【0016】
また、センシング用プローブは任意の配線や端子の状態を見るため、その近傍にプローブを近づけて観察する必要がある。これは、1つのプローブで検知できる範囲が狭く精度良く診断するには診断部位に近接させることが必要とされていたからである。したがって、たとえば図16に示すように、プローブを対象部位に近づけるための手段として人の手を介在する手法を採用するか、もしくは、メカニカルな手段を利用してプローブを移動させる必要がある。一方、このような移動の手法を採用しない場合には、固定されたプローブ位置近傍の範囲しか検出できず、検出範囲が非常に狭くなる。
【0017】
このように、従来の故障診断の手法では、コスト面および故障診断の対象部位の設定の自由度という点では、必ずしも使い勝手のよいものとなっていない。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、使い勝手のよい故障診断の仕組みを低コストで実現することのできる故障診断方法を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、本発明の故障診断方法を実施する故障診断システム、並びに、この故障診断システムに使用する回路基板を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る故障診断システムは、磁束を検知する磁界センシング部としての機能をなすコイルと、回路動作時に前記コイルの前記磁界センシング部に発生する誘導起電力を読み取る読取部、および前記読取部で読み取った誘導起電力と予め測定しておいた正常状態の誘導起電力とを比較する比較部を具備し、前記比較部の比較結果に基づき前記回路基板の配線や搭載部品の故障の有無を診断する故障診断部とを備え、回路基板の配線や搭載部品内部を流れる電流から発生する磁束を磁界センシング部としての機能をなすコイルの巻線に通過させることで磁界センシング部に発生する誘導起電力を読み取り、この読み取った誘導起電力と予め測定しておいた正常状態の誘導起電力とを比較することにより、回路基板の配線や搭載部品の故障の有無を診断することとした。
【0021】
ここで、「故障診断の対象部位に応じた所定の範囲」としての具体的な態様としては、複数の基板を有してなる装置に適用する場合に、複数の回路基板間の信号インタフェースを取るための入出力コネクタの外周や複数の回路基板を一体的としたその外周である。
【0022】
磁界センシング部に発生する誘導起電力を読み取るに際しては、コイルの開放端に生じる誘起起電圧を読み取る態様と、コイルに流れる電流を読み取る態様の何れを用いてもよい。
【0023】
故障診断の対象部位に応じた所定の範囲を包囲するようにコイルの巻線を固定的に配置するに際しては、ケーブル部材とこのケーブル部材の物理的な位置を固定する固定部材とで一巻きもしくは複数巻きで形成する
【0024】
「固定的に配置する」とは、コイルの巻線と故障診断の対象部位との間の物理的な位置関係が一定の状態に維持されるようにという意味である。たとえば、複数の基板を有してなる装置に適用する場合に、複数の回路基板間の信号インタフェースを取るための信号ケーブルとコイル巻線とが物理的に固定される状態である。このために、コイルの巻線が、故障診断の対象部位に応じた所定の範囲を包囲し、かつ、回路基板の配線や搭載部品内部を流れる電流から発生する磁束がコイルの巻線に通過するように、コイルの巻線を構成するケーブル部材が、信号ケーブルの外側に配置され、ケーブル部材の物理的な位置を固定するための固定部材によりケーブル部材と信号ケーブルとを共締めする。
【0026】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る故障診断システムのさらなる有利な具体例を規定する。
【0028】
【作用】
本発明に係る上記構成においては、先ず、故障診断の対象部位に応じた所定の範囲を包囲するように、磁界センシング部としての機能をなすコイルの巻線を固定的に配置する。具体的には、数の基板を有してなる装置に適用する場合に、複数の回路基板間の信号インタフェースを取るための信号ケーブルの外周にコイルの巻線が取り囲む範囲を設定する。また、ケーブル部材を、信号インタフェースを取るため信号ケーブルを流れる電流から発生する磁束を検知するための磁界センシング部としての機能をなすコイルの巻線として使用し、このケーブル部材の物理的な位置を固定するために、固定部材によりケーブル部材と信号ケーブルとを共締めする。さらに、信号インタフェースを取るため信号ケーブルから発生する磁束をケーブル部材に通過させることで磁界センシング部に発生する誘導起電力を読み取り、この読み取った誘導起電力と予め測定しておいた正常状態の誘導起電力とを比較することにより、回路基板の配線や搭載部品の故障の有無を診断する。
【0029】
従来の検知プローブの設計は、ミクロな視点で故障部位を特定しようとしていたのに対して、検知プローブとしての機能をなす本願のコイルは、マクロな視点で故障の有無を判断しようとすることで、巻線を所定範囲を包囲するように形成するだけの簡易な構造で足りるようにした点に特徴を有する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明を実現するための基本的な構成と作用を説明する図である。ここで図1(A)は、基板レイアウトと故障診断システムの概要を示す。また図1(B)および図1(C)は、図1(A)に示す回路基板に電源を投入した状態におけるコイル両端の誘導起電力の波形の模式図であって、図1(B)は正常時の例、図1(C)は異常時の例である。
【0032】
図1(A)に示すように、故障診断システム1を構成する回路基板10には、図示しないプリント配線パターンが形成され、所定の対応位置に複数の回路部材20が搭載されている。この回路部材20としては、抵抗素子、誘導素子、あるいは容量素子などの受動部品であってもよいし、トランジスタやIC(Integrated Circuit)などの能動部品であってもよい。
【0033】
また、回路基板10は、基板辺縁の外周に沿ってほぼ基板全体を包囲するように、かつ一部(図の矢指部30a)において両端を開放状態にして、プリント配線パターンによるコイル(以下プリントコイルという)30が形成されている。プリントコイル30は、1ターンコイルを形成し、磁界センシング部として機能するようになる。つまり、磁界センシング部を形成するコイルが1巻きで構成されることになる。
【0034】
プリントコイル30の開放端30aには、回路基板10における故障の有無を検出するための故障診断部90が接続されるようになっている。故障診断部90は、回路基板10に電源が供給され回路部材20が動作することにより発生する、この回路基板10に垂直方向(図の奥行き方向)の磁界によりプリントコイル30に誘起される誘導起電力を検出する。そして、予め測定しておいた正常状態の誘導起電力(つまり期待値)と比較することにより、回路基板10における故障の有無を診断する。なお、故障診断部90を回路基板10上に設けることで、装置の起動時などに装置自身が基板の診断を行なう自己診断システムを構築するようにしてもよい。
【0035】
たとえば、回路基板10が正常動作している場合には、図1(B)に示すような静特性が得られる。すなわち、正常状態においては、T0の周期で振幅が±V0のピークを有する波形が観測されている。ピークが出ていない時間には±Vsのレベルで微小振動波形が観測されている。
【0036】
ここで、回路基板10に搭載されている回路部材20のうち、図中斜線で示した回路部材20が故障して動作しない状態(以下、故障して動作しない状態にある回路部材を故障部材という)が発生した場合、回路基板10上を流れる電流値が変化し、その総和ベクトルもまた変動するため、回路基板10に発生する磁界もまた変動する。
【0037】
したがって、その変動に伴う誘導起電力の情報も変化するので、たとえば、図1(C)に示すような静特性が得られる。図1(C)では、発生するピーク電位が正常状態の±V0より小さい±V1の振幅となっている。故障診断部90は、このピーク電位の差分“V0−V1”を読み取ることにより、プリントコイル30で包囲した回路基板10に異常が発生しているかどうかを特定する。
【0038】
なお、ピークの周期が搭載パーツの故障によりT0からT1に変化することもある。故障診断部90は、たとえば、読み取った波形をフーリエ変換すること(図示せず)などによりピークが発生する周波数値を確認することで、回路基板10に異常が発生しているかどうかを解析する構成としてもよい。
【0039】
このような構成によれば、プリント配線パターンによりプリントコイル30を形成しているので、特段の固定部材を用いることなく、磁界センシング部として機能するプリントコイル30と回路基板10の物理的な位置関係を固定することができる。そしてこれにより、故障診断中の誘導起電力の状態を確実に安定化させることができる。つまり、故障診断の判断指標となる誘導起電力を精度よく取得することができ、診断性能も向上する。
【0040】
また、1ターンコイルとしているので、プリント配線パターンでコイルパターンを形成しても、誘導起電圧を故障診断部90に導くための開放端を片面だけで形成することができる。後述するように、プリント配線パターンで複数巻きのコイルパターンを形成する場合、開放端を形成するために2つの層を使用しなければならい。この場合、2つの層のパターンを接続する仕組み、たとえばバイアホールパターン(スルーホールパターンともいわれる)を必要とするなど、コストアップの要因となる。
【0041】
また、プリント配線パターンによりコイルを固定配置しているが、基板の外周に沿って配置することで、つまり磁界センシング部としてのコイルを回路基板の外周を包囲するように構成することで、特定の配線や端子を意識することなく、基板全体の故障を診断することができ、センシング用プローブとしてのコイル位置を固定しても、コイルが取り囲む範囲を設定することで検出範囲を設定できる。逆に言えば、故障診断の希望範囲に応じて、コイルが取り囲む範囲を設定することができ、検出範囲を広くすることも自由であり、使い勝手がよくなる。従来のセンシング用プローブでは、プローブ位置を固定すると、固定されたプローブ位置近傍の範囲しか検出できず、検出範囲が非常に狭くなってしまったのと大きく異なる。
【0042】
また、プリント配線パターンによりコイルを固定配置しているので、当然に、診断箇所にプローブを近づけて観察したり、プローブを対象部位に近づけたりするためのメカニカルな手段を必要としない。回路基板を作り込むときに、センシング用のコイルを一体的にパターンニングしておけばよいので、基板としての付加的なコストは殆ど掛からず、低コストで、実現することができる。
【0043】
従来の検知プローブの設計は、ミクロな視点で故障部位を特定しようとしていたのに対して、検知プローブとしての機能をなす上記1ターンのプリントコイル30は、マクロな視点(前例では基板単位)で故障の有無を判断しようとすることで、巻線を所定範囲(前例では回路基板10の外周)を包囲するように形成するだけの簡易な構造で足りるようにした点に特徴を有する。
【0044】
図2は、図1に示した仕組みを利用した故障診断システムの具体例の第1例を示す図である。この第1例の故障診断システム1は、複数(図では3つ)の回路基板をワイヤハーネス(フレキシブル基板を含む、以下同様)などで接続した場合における故障診断への適用事例を示している。
【0045】
3つの回路基板10,12,14上の、図中斜線で示した領域10a,12a,14aは、回路基板10上に搭載されている発信器22から出力されるクロック信号によってこの領域内の回路部材20が駆動される部分であることを示す。各回路基板10,12,14の周囲には、外周縁にそって各基板の略全体を包囲するようにして、各基板で発生する磁場を検出するためのプリントコイル30,32,34が形成されている。
【0046】
また、プリントコイル30,32,34は、それぞれ、一部において両端が開放状態にされており、各開放端は各回路基板10,12,14における故障の有無を検出するための故障診断部90に接続されるようになっている。
【0047】
発信器22から発せられるクロック信号は、回路基板10上の領域10aへはプリント配線パターン50を介して、また回路基板12上の領域12aおよび回路基板14上の領域14へは基板間を接続するワイヤハーネス52を介して供給されるようになっている。
【0048】
図3は、図2に示した構成において、回路基板12上で発生する磁場を検出するため、回路基板12を包囲するようにして形成されたプリントコイル32の両端の誘導起電力の波形の模式図であって、図3(A)は正常時の例、図3(B)は異常時の例である。なお、この例での異常時とは、回路基板12へクロック信号を供給しているラインが断線54の発生によって供給されない状態にある場合とする。
【0049】
図3(A)に示すように、通常状態における静特性として、微小変動が±V1sの振幅で生じており、±V11のピークがT11の周期で発生している。また、±V11のピークからt12遅れて±V12のピークが±V11のピーク同様にT11の周期で、±V13のピークが±V11のピークからt13遅れてT11の周期で発生している。
【0050】
ここで、回路基板12へクロック信号を供給しているラインが断線54の発生によって、クロック信号が回路基板12へ供給されない状態になった場合には、回路基板12上の領域12aは正常に動作しなくなるので、通常と比較して回路動作によって生じる回路基板12における総合的な電流変動量は減少する。
【0051】
この結果、図3(B)に示すように、回路基板12を包囲するようにして形成されたプリントコイル32の両端の誘導起電力の波形にも変化が生じる。たとえば、微小変動量は通常状態における±V1sよりも小さくなり、同様に周期T11で発生するピーク値も±V11を大きく下回っている。±V11のピークからt12およびt13遅れて発生するピークについても同様の現象を確認することができ、通常状態と比較して回路基板12で発生する磁場の特性が大きく変動していることが分かる。
【0052】
図4は、図2に示した構成において、回路基板10上で発生する磁場を検出するため、回路基板10を包囲するようにして形成されたプリントコイル30の両端の誘導起電力の波形の模式図であって、図4(A)は正常時の例、図4(B)は異常時の例である。なお、この例での異常時も、図3(B)と同様に、回路基板12へクロック信号を供給しているラインが断線54の発生によって供給されない状態である。
【0053】
図4(A)に示すように、通常状態における静特性として、微小変動が±V2sの振幅で生じており、±V14のピークがT14の周期で、±V15のピークが±V14のピークからt14遅れて±V15のピーク同様にT14の周期で発生している。
【0054】
ここで、断線54の発生による故障は、回路基板10の回路部材には殆ど影響を与えない。ここで、「殆ど」といったのは、回路基板12における領域12aの動作不良が、回路基板10に大きな影響を与えない限りにおいてということである。
【0055】
この場合、回路基板10上で消費する電流量に殆ど変化がないので、図4(B)に示すように、回路基板10で発生する磁場をプリントコイル30により検出した結果は、断線54が発生したことによる変化は観測されず、断線発生前の通常状態と殆ど変わらない波形が得られる。
【0056】
したがって、これらの結果から、各回路基板を包囲するようにして形成したプリントコイル30,32,34に発生した誘導起電力情報を解析することにより、各回路基板10,12,14に特有の磁場情報の変化を見出すことで、3つの回路基板10,12,14のうちの何れに異常が発生しているかを特定することができる。つまり、本例の方法では、基板内の故障部位を特定することは難しいが、複数ある基板のうちの故障基板を特定することはできる。
【0057】
図5は、図1に示した仕組みを利用した故障診断システムの具体例の第2例を示す図である。この第2例の故障診断システム1は、第1例と同様に、複数(図では3つ)の回路基板10,12,14をワイヤハーネスなどで接続した場合における故障診断への適用事例を示している。
【0058】
この第2例は、回路基板14上に形成される回路のうち、回路基板10上の発信器22から供給されるクロック信号によって駆動される領域14aの一部を構成する回路14bが故障して動作しない異常時への適用事例である。
【0059】
各基板間の接続関係、および各基板上のプリントコイル30,32,34の形成状態や故障診断部90との接続関係は、第1例と同じである。
【0060】
図6は、図5に示した構成において、回路基板14上で発生する磁場を検出するため、回路基板14を包囲するようにして形成されたプリントコイル34の両端の誘導起電力の波形の模式図であって、図6(A)は正常時の例、図6(B)は異常時の例である。
【0061】
図6(A)に示すように、通常状態における静特性として、±V3s微小変動と、周期T21で±V21のピークが発生している。また、±V21のピークからt21遅れて±V22のピークが±V21のピーク同様に発生している。
【0062】
ここで、回路14bが故障して動作しなくなると、この回路14bを流れる電流は“0;ゼロ”となり、また回路14bの出力信号を受け取って動作するこの回路基板14内の他の回路の消費電力量および変動量も変化する。したがって、回路基板14で発生する磁場もまた変動する。この結果、図6(B)に示すように、回路基板14を包囲するようにして形成されたプリントコイル34の両端の誘導起電力の波形にも変化が生じる。たとえば、図6(A)と比較して、周期T21で発生する±V21のピーク値は正常状態を大きく下回っており、回路基板14で発生する磁場が変動していることが分かる。
【0063】
図7は、図5に示した構成において、回路基板10上で発生する磁場を検出するため、回路基板10を包囲するようにして形成されたプリントコイル30の両端の誘導起電力の波形の模式図であって、図7(A)は正常時の例、図7(B)は異常時の例である。なお、この例での異常時も、図6(B)と同様に、回路14bが故障して動作しない状態である。
【0064】
図7(A)に示すように、通常状態における静特性として、微小変動が±V2sの振幅で生じており、±V14のピークがT14の周期で、±V15のピークが±V14のピークからt14遅れて±V15のピーク同様にT14の周期で発生している。この波形図は、図4(A)に示したものと同じである。
【0065】
ここで、回路14bの故障は、回路基板10の回路部材には殆ど影響を与えない。ここで、「殆ど」といったのは、回路基板14における回路14bの故障が、回路基板10に大きな影響を与えない限りにおいてということである。
【0066】
この場合、回路基板10上で消費する電流量に殆ど変化がないので、図7(B)に示すように、回路基板10で発生する磁場をプリントコイル30により検出した結果は、回路14bの故障による変化は観測されず、通常状態と殆ど変わらない波形が得られる。この波形図は、図4(B)に示したものと同じである。
【0067】
したがって、これらの結果から、各回路基板を包囲するようにして形成したプリントコイル30,32,34に発生した誘導起電力情報を解析することにより、各回路基板10,12,14に特有の磁場情報の変化を見出すことで、この第2例においても、3つの回路基板10,12,14のうちの何れに異常が発生しているかを特定することができる。
【0068】
図8〜図13は、回路基板で発生する磁界を読み取るためのコイルを配置する際の、他の事例を示す。図1に示した基本構成、およびこれを適用した2つの事例(図2〜図7)では、回路基板の外周部にプリントコイル(1ターンコイル)を形成し、回路基板に電源が供給され回路部材が動作することにより発生する、この回路基板に垂直方向の磁界により、プリントコイルに誘起される誘導起電力を検出することで、回路基板における故障の有無を診断する構成のもであった。以下、この構成を第1例のレイアウトという。
【0069】
これに対して、図8(A)に示す第2例のレイアウトは、回路基板10と他の基板や回路部材との間のインタフェース部分となる一辺(図中の矢指部10a)に、この一辺を囲むようにケーブル56にてコイル36を形成している。このケーブル56を利用した磁界センシング部の機能をなすコイル36は、回路基板作製後に、回路基板上の所定の位置(図では10a)に、固定して取り付けて構成する。磁界を検出するコイルの設置位置をパターン配線にて回路基板周囲を囲むように形成していた第1例と異なる。
【0070】
コイル36は、1ターンコイルを形成する。コイル36の開放端36aには、第1例のレイアウトと同様に、回路基板10における故障の有無を検出するための故障診断部90が接続されるようになっている。
【0071】
この第2例のレイアウトにおいて、故障診断部90は、回路基板10に電源が供給され回路部材が動作することにより発生する、この回路基板10に水平方向に発生する磁界(の総和)の、コイル36に誘起される誘導起電力を検出することで、回路基板10における故障の有無を診断する。
【0072】
なお、ケーブル56にてコイル36を形成する際には、誘導起電力を安定して取得することができるように、ケーブル56と回路基板10の物理的な位置関係が安定するように、すなわち、両者の物理的な位置関係が一定に維持されるように、締結部材を利用するなど所定の方法で固定することが好ましい。たとえば、回路基板10上にテーピング部材56aで固定する、あるいは、回路基板10に設けた微小孔部あるいは回路部材を利用して結束バンド56bで回路基板10とケーブル56とを共締めするのがよい。ケーブル56と回路基板10との間に空隙があり、ケーブル56が空中に浮いた状態であってもかまわない。こうすることで、故障診断中の誘導起電力の状態を確実に安定化させることができるようになり、診断性能が向上する。
【0073】
なお、この第2例のレイアウトの変形例として、図8(B)に示すように、ケーブル56に代えて、回路基板10の一辺10aにおいて、その辺縁の上下各面に略対向させてプリント配線パターン57を形成し、上下のパターンを基板の一方の端部10bにてバイアホールパターン57aで接続し、他方の端部10cを開放端37aとして、コイル37を形成するようにしてもよい。端部10cの開放端37aからケーブルにて故障診断部90に接続する。こうすることで、特段の固定部材を用いることなく、コイル37と回路基板10の物理的な位置関係を確実に安定化させることができ、故障診断中の誘導起電力の状態を確実に安定化させることができるので、診断性能が向上する。
【0074】
なお、プリント配線パターンでコイル用のパターンを形成する場合、一旦回路基板を製造してしまうと、コイルの配置場所を移動させることや新規な場所に追加することができない。これに対して、ケーブルを利用する態様では、回路基板の製造後に、後付でコイルを形成することができるので、コイルの配置場所を移動させることや新規な場所に追加することが自由であるというメリットがある。また、検出感度を上げるために複数巻きのコイルを形成する場合でも、開放端の取出しに特段の工夫を必要としないというメリットもある。なお、このようにケーブルを利用する手法は、図1、図2、図5に示した第1例に対しても同様に適用可能である。
【0075】
図9(A)に示す第3例のレイアウトは、回路基板10上のある特定の搭載パーツ(回路部材27)に注目して、その搭載パーツ周囲を包囲するようにコイル37が形成されている。コイル37は、1ターンコイルを形成する。コイル37は、プリント配線パターン(図8(B)参照)やケーブル(図8(A)参照)で形成する。コイル37の開放端37aには、第1例のレイアウトと同様に、回路基板10における故障の有無を検出するための故障診断部90が接続されるようになっている。
【0076】
この第3例のレイアウトにおいて、故障診断部90は、その搭載パーツから回路基板10に垂直方向(第1例と同様)に発生する磁界(の総和)によるコイル37に誘起される誘導起電力を検出することで、その搭載パーツにおける故障の有無を診断する。第1例のレイアウトでは、基板全体における故障診断であったが、この第3例のレイアウトのように、ある特定の部位を囲むようにコイルを形成することで、故障発生箇所を絞り込むことができる。
【0077】
図9(B)に示す第4例のレイアウトは、回路基板10上のある特定の搭載パーツとしての入出力インタフェースコネクタ28に注目して、入出力インタフェースコネクタ28の周囲を包囲するようにコイル37が形成されている。つまり、回路基板上の各入出力コネクタを包囲するように、磁界センシング部としての機能をなすコイルを構成している。コイル37は、1ターンコイルを形成する。コイル37は、プリント配線パターンやケーブルで形成する。コイル37の開放端37aには、第3例のレイアウトと同様に、故障診断部90が接続されるようになっている。
【0078】
この第4例のレイアウトにおいて、故障診断部90は、入出力インタフェースコネクタ28における入出力インタフェース信号が発生する磁界(の総和)によるコイル37に誘起される誘導起電力を検出することで、そのインタフェースピンの信号故障の有無を診断する。この第4例のレイアウトにおいても、第3例と同様に、ある特定の入出力インタフェースコネクタを囲むようにコイルを形成することで、故障発生箇所を絞り込むことができる。
【0079】
なお、この第2例のレイアウトの変形例として、図8(C)に示すように、回路基板10上のコイル37に代えて、通常の信号線としての信号ケーブル57を結束するようにコイル38用のケーブル58を設けてもよい。これにより、ケーブル58が、コイル38の全体をなすようになる。
【0080】
ワイヤハーネス52は、通常の信号線用の信号ケーブル57とコイル38用のケーブル58の物理的な位置関係が安定するように、両者を所定の方法で固定することが好ましい。たとえばテーピング部材58aなどの締結部材で両者を固定するのがよい。こうすることで、磁界センシング部の機能をなすコイル38のワイヤハーネス52部分について、ケーブル58と電気回路用の信号ケーブル57とを物理的に一体化させることができ、故障診断中の誘導起電力の状態を確実に安定化させることができるので、診断性能が向上する。
【0081】
図9(D)に示す第5例のレイアウトは、回路基板10上の任意の回路部材29(たとえばIC)の特定のインタフェースピン(ピン;端子)29aに注目して、そのインタフェースピン29aを包囲するようにコイル36が形成されている。つまり、回路基板上の特定の部品の端子の外周をコイルで包囲するように構成されている。コイル36は、ケーブルで、そのインタフェースピン29aの上部および下部へ渡し込むように配することで形成する。コイル36の開放端36aには、障診断部部40が接続されるようになっている。
【0082】
この第5例のレイアウトにおいて、故障診断部90は、そのインタフェースピン29aを流れる信号から発生する磁界(の総和)によるコイル36に誘起される誘導起電力を検出することで、そのインタフェースピン29aの信号故障の有無を診断する。この第5例のレイアウトでは、第3例および第4例のレイアウトよりも、さらに故障発生箇所を絞り込むことができる。
【0083】
上記第3例〜第5例の各レイアウトによれば、故障診断にとって特に重要な部材に絞って、センシング部としてのコイルを配置することができる。逆に言えば、コイルを配置する位置を設定することで、故障個所を細かく特定することができる。また、ケーブルやプリント配線パターンにより磁界センシング部としてのコイルを形成でき、複数の場所を基板上に常設することもできる。したがって、個々の回路部材に対してコイルを配することで、基板内における故障個所を細かく特定することも可能である、しかも、それぞれの診断箇所にコイルを人手により近づけて観察したり、コイルを各対象部位に移動させたりするためのメカニカルな手段を必要としないので、これを低コストで実現することができる。
【0084】
図10に示す第6例のレイアウトは、複数(図では3つ)の回路基板10,12,14をワイヤハーネスなどで接続した場合における故障診断への適用事例(図2,図5)の変形例である。図2および図5のレイアウトでは、個々の基板に対して各々コイルを設けていた。
【0085】
これに対して、第6例では、図示するように、複数の回路基板10,12,14およびそれらを接続するワイヤハーネス(ケーブル)52を含めて、それらの外周に沿ってほぼ全体を包囲するように、かつ一部(図の矢指部14a)において両端を開放状態にして、1つのコイル38が形成されている。コイル38は、1ターンコイルを形成する。プリントコイル38の開放端38aには、故障診断部90が接続されるようにする。
【0086】
この第6例のレイアウトにおいて、故障診断部90は、1つのコイル38で包囲された回路基板群および接続用のワイヤハーネス52から発生する磁界(の総和)により、コイル38に誘起される誘導起電力を検出することで、複数の回路基板とワイヤハーネス52の全体としての故障の有無を診断する。
【0087】
コイル38は、以下のようにして形成する。先ず、それぞれの回路基板10,12,14については、図2および図5と同様に、プリントコイル30,32,34にて形成する。ただし、基板間のワイヤハーネス52用のコネクタ28が配される部分10a,12a,12b、14aは開放状態にしておく。
【0088】
そして、図10(B)に示すように、通常の信号線としての信号ケーブル57の両側にコイル38用のケーブル58(斜線で示す)を信号ケーブル57と略平行に配置する。これにより、ケーブル58が、コイル38の一部をなすようになる。このようにして、回路基板間を接続する信号ケーブル57の外周を包囲するように磁界センシング部の機能をなすコイルを構成する。次に、このケーブル58が、基板上の各部分10a,12a,12b、14aにて、プリントコイル30,32,34と接続されるようにする。つまり、複数の回路基板の外周を一体的に包囲するように、磁界センシング部の機能をなすコイルを構成する。プリントコイル34の開放端34aは故障診断部90と接続されるようにする。
【0089】
ワイヤハーネス52は、通常の信号線用の信号ケーブル57とコイル38用のケーブル58の物理的な位置関係が安定するように、両者を所定の方法で固定することが好ましい。たとえば結束バンド52bやテーピング部材などの締結部材で両者を共締めするのがよい。こうすることで、磁界センシング部の機能をなすコイル38のワイヤハーネス52部分について、ケーブル58と電気回路用の信号ケーブル57とを物理的に一体化させることができ、故障診断中の誘導起電力の状態を確実に安定化させることができるので、診断性能が向上する。
【0090】
あるいは、図10(C)に示すように、通常の信号線用の信号ケーブル57の両側にコイル38用のケーブル59(斜線で示す)を設けるとともに、このケーブル59でそのまま、回路基板10,12,14の外周を囲むようにする。つまり、回路基板間を接続する信号ケーブル57の外周を包囲するとともに、複数の回路基板の外周をも一体的に包囲するように、ケーブル59を配することで、磁界センシング部の機能をなすコイルを構成する。なお、ケーブル59は、回路基板14の部分で開放端14aを設ける。
【0091】
コイル38用のケーブル59は、物理的な位置関係が安定するように、所定の方法で固定することが好ましい。たとえば、ワイヤハーネス52部分については、図10(B)と同様に、結束バンド52bなどの締結部材で両者を共締めし、回路基板10,12,14を囲む部分については、第2例で示したと同様に、結束バンド59bなどの締結部材で、回路基板10,12,14に設けた微小孔部59aあるいは回路部材を利用して、回路基板10,12,14とケーブル59とを共締めするのがよい。
【0092】
図10(B)および図10(C)の何れの手法によっても、磁界センシング部の機能をなすコイル38のワイヤハーネス52部分および回路基板10,12,14を囲む部分について、ワイヤハーネス52や回路基板10,12,14とコイル38とを物理的に一体化させることができ、故障診断中の誘導起電力の状態を確実に安定化させることができるので、診断性能が向上する。
【0093】
図11に示す第7例のレイアウトは、磁界センシング部としての機能をなすコイルを、検出感度を上げるために、複数巻きとした点に特徴を有する。たとえば、図11に示す例では、回路基板10の外周に沿ってほぼ全体を包囲するように、かつ一部(図の矢指部31a)において両端を開放状態にして、プリント配線パターンによる複数巻きのプリントコイル31が形成されている。プリントコイル31は、複数ターンコイルを形成し、磁界センシング部として機能するようになる。巻線数を多くするほど検出感度がアップする。
【0094】
なお、開放端31aを形成するためには、以下のようにする。たとえば、図11(B)に示すように、回路部材20が配された回路基板10の表面の基板外周縁に沿ってプリントコイル31を形成し、その内の最内周側のパターン60を、バイアホールパターン61で基板裏面に導き、裏面の終端パターン62と接続する。そして、この裏面の終端パターン62と表面の最外周側の始端パターン63とで、開放端31aを形成するとよい。なお、図11(B)の形態とは逆に、プリントコイル31を裏面側に形成し、終端パターン62を表面に形成するようにしてもよい。
【0095】
図12は、上述の第3例〜第5例のレイアウト態様を複数の回路部材に適用する場合の事例を示す。それぞれの回路部材について磁界センシング部としての機能をなすコイルを配する場合、誘起起電圧を検知するための開放端を一カ所に集中させてから共通のワイヤハーネスで外部に設定されている故障診断部90まで導くことが好ましい。あるいは、自己診断システムを構築する場合には、各開放端を回路基板10内に配された故障診断部90まで導くことが必要で、結果として、開放端を一カ所に集中させる必要がある。
【0096】
しかしながら、回路部材用のプリント配線パターン(以下回路パターンという)との関係で、その開放端をどのようにして故障診断部90まで導くかが問題となる。このような場合、回路部材用の回路パターンが配される基板面とは異なる面に、磁界センシング部としての機能をなすコイルを形成するのが好ましい。
【0097】
たとえば、図12(A)に示すディスクリート部材24のみにて回路基板10が構成される場合、図12(B)に示すように、回路パターンは、通常、そのディスクリート部材24が配される表面には形成されず、裏面にのみ形成される。したがって、この場合には、磁界センシング部としての機能をなすコイル39を、ディスクリート部材24が配される表面に形成するのがよい。こうすることで、回路パターンのレイアウトに影響を与えることなく、各ディスクリート部材24用の開放端を一カ所に集中させて故障診断部90まで導くことができるようになる。また、回路基板10上に故障診断部90を配することも容易となる。
【0098】
一方、図12(A)に示す表面実装部材26も使用される場合には、図12(C)に示すように、回路パターンは、ディスクリート部材24が配される表面だけでなく、表面実装部材26が配される表面にも形成される。したがって、コイル39用のパターン(コイルパターン)を表面に形成すると、表面の回路パターンのレイアウトに影響を与えてしまう。つまり、回路パターンとコイルパターンとの間で交差部分が生じるので、これを避けるためにバイアホールパターンを多数設けなければならなくなる。
【0099】
この問題を解消するには、基板を複数積層してなる多層基板を使用し、回路部材用の回路パターンが配される面とは異なる面に、コイルパターンを形成するのがよい。たとえば、図12(D)に示すように、内層面に、コイル用のパターンを形成するのがよい。
【0100】
なお、内層面にも回路パターンを形成する場合、図12(E)に示すように、内層面の何れか一層をコイルパターンを形成するための専用層とすることが好ましい。
【0101】
なお、このように、第3例〜第5例のレイアウト態様を複数の回路部材に適用する場合、故障診断部90には、それぞれの回路部材についての磁界センシング部により検知された誘起起電圧を自動的に切り替える入力切替部を設けることが好ましい。こうすることで、磁界センシング用のコイルの位置を固定しても、診断箇所にコイルを近づけて観察したり、コイルを対象部位に近づけたりするためのメカニカルな手段を必要とすることなく、低コストで、基板内における故障部位を細かく特定することができる。
【0102】
図13は、上述の第3例〜第5例のレイアウト態様を複数の回路部材に適用する場合において、上述の第7例のように、磁界センシング部としての機能をなすコイルを複数巻きとする場合の事例を示す。この場合、図12に示した構成を基本としつつ、上述の第7例のレイアウトを組み合わせるのがよい。
【0103】
たとえば、図13(A)に示すように、磁界センシング部としての機能をなすプリントコイル31用のパターンを、回路部材用の回路パターンが配される基板面(表/裏)とは異なる内層面(内層基板11の表面/裏面)に形成する。そして、プリントコイル31の最内周側のパターン60を、バイアホールパターン61でコイルパターンが配されている内層11aに対向する内層11bに導き終端パターン62と接続する。
【0104】
そして、この隣接層の終端パターン62と最外周側の始端パターン63とで、開放端31aを形成する。終端パターン62も、プリントコイル31用のパターンの一部であり、回路部材用の回路パターンが配される基板面とは異なる内層面に形成するのが好ましいのはいうまでもない。このように、内層面にコイルパターンを形成することで、外部から見えないようにすることができるという付加的な効果を得ることもできる。
【0105】
なお、図13(A)に示した事例は、内層基板を1枚とした4層基板の場合であるが、これに限らず、内層基板を2枚とした5層基板やそれ以上の層を備えた回路基板の場合でも、同様に適用可能である。この場合、たとえば、図13(B)に示すように、プリントコイル31の最内周側のパターン60や始端パターンが配される内層11aと終端パターン62が配される内層11bとの間に、回路部材用の回路パターンが配される内層11cを設ける態様と、図13(C)に示すように、プリントコイル31の最内周側のパターン60や始端パターンが配される内層11aと終端パターン62が配される内層11bとの間に、回路部材用の回路パターンが配される内層11cが配されないよう、内層11a,11bを隣接させる態様の何れかを取り得る。
【0106】
ただし、図13(B)に示す態様では、内層11cの回路パターンのレイアウトに影響を与えてしまう。たとえば、図13(B)に示す態様では、内層11cの回路パターンに影響を与えないように、バイアホールパターン61の配置を工夫しなければならない。また、内層11cの回路パターンと外層の回路パターンとを接続するバイアホールパターン64の配置に影響を与えないようにしなければならない。したがって、図13(C)に示すように、隣接する内層同士(内層でかつ隣接する層)でコイルパターンを形成し、その結果として、その間に回路パターン用の内層を挟まないことが好ましい。
【0107】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0108】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0109】
たとえば、上記説明から明らかなように、故障診断システムに使用される基板として、以下の構成を発明として提案することができる。以下列記する。
【0110】
<付記1>上記実施形態で説明した故障診断システムに使用される回路基板であって、故障診断の対象部位に応じた所定の範囲を包囲するように巻線が固定的に配置された、磁界センシング部としての機能をなすコイルを備えていることを特徴とする回路基板。
【0111】
<付記2>前記コイルの巻線は、前記故障診断の対象部位に応じた所定の範囲としての前記回路基板の外周を包囲するように配置されていることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0112】
<付記3>前記コイルの巻線は、前記故障診断の対象部位に応じた所定の範囲としての前記対象部位そのものの外周を包囲するように配置されていることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0113】
<付記4>前記コイルの巻線は、前記故障診断の対象部位に応じた所定の範囲としての前記対象部位の端子の外周を包囲するように配置されていることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0114】
<付記5>前記コイルの巻線は、前記故障診断の対象部位に応じた所定の範囲としての、複数の前記回路基板の間の信号インタフェースを取るための入出力コネクタの外周を包囲するように配置されていることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0115】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、故障診断の対象部位に応じて、所定の範囲を包囲するように、磁界センシング部としての機能をなすコイルの巻線を固定的に配置するようにした。故障診断の対象部位に応じて、コイルの巻線が取り囲む範囲を自由に設定する。そして、コイルを使用した磁界センシング部で読み取った磁場情報から故障の有無を判断する。
【0116】
これにより、故障診断部位の特定要求の度合いに応じてコイル巻線が取り囲む範囲を適宜設定するだけでよくなり、巻線を所定範囲を包囲するように固定配置するだけの簡易な構造で足りるようになった。また、このことにより、コスト面と故障診断の対象部位の設定の自由度という点で、利用者にとって、使い勝手のよい故障診断の仕組みを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実現するための基本的な構成と作用を説明する図である。
【図2】 図1に示した仕組みを利用した故障診断の具体例の第1例を示す図である。
【図3】 図2に示した構成において、故障が発生する回路基板に設けられたプリントコイル両端の誘導起電力の波形の模式図である。
【図4】 図2に示した構成において、異常の生じない回路基板に設けられたプリントコイル両端の誘導起電力の波形の模式図である。
【図5】 図1に示した仕組みを利用した故障診断の具体例の第2例を示す図である。
【図6】 図5に示した構成において、故障が発生する回路基板に設けられたプリントコイル両端の誘導起電力の波形の模式図である。
【図7】 図5に示した構成において、異常の生じない回路基板に設けられたプリントコイル両端の誘導起電力の波形の模式図である。
【図8】 磁界センシング用のコイルを配置する第2例のレイアウトを示す図である。
【図9】 磁界センシング用のコイルを配置する第3例(A)、第4例(B)、および第5例(C)のレイアウトを示す図である。
【図10】 磁界センシング用のコイルを配置する第6例のレイアウトを示す図である。
【図11】 コイルを複数巻きとする場合のレイアウトを示す図である。
【図12】 第3例〜第5例のレイアウト態様を複数の回路部材に適用する場合の事例を示す図である。
【図13】 第3例〜第5例のレイアウト態様を複数の回路部材に適用しつつ、コイルを複数巻きとする場合のレイアウトを示す図である。
【図14】 従来の故障診断の仕組みに使用されているプローブの一例を示す図である(非特許文献1より引用)。
【図15】 従来の故障診断の仕組みに使用されているプローブの他の一例を示す図である(特許文献1より引用)。
【図16】 人の手を介在することで、プローブを対象部位に近づけるための仕組みの概要を示す図である。
【符号の説明】
1…故障診断システム、10,12,14…回路基板、20,27…回路部材、22…発信器、28…入出力インタフェースコネクタ、30,32,34…プリントコイル、32…プリントコイル、36,37…コイル、50…プリント配線パターン、52…ワイヤハーネス、56…ケーブル、52b,56b,59b…結束バンド、90…故障診断部

Claims (2)

  1. 回路基板の配線や搭載部品の故障の有無を診断する故障診断システムであって、
    複数の前記回路基板と、
    前記複数の回路基板の間の信号インタフェースを取るための信号ケーブルと、
    磁束を検知する磁界センシング部としての機能をなすコイルと、
    回路動作時に前記コイルの前記磁界センシング部に発生する誘導起電力を読み取る読取部、および前記読取部で読み取った誘導起電力と予め測定しておいた正常状態の誘導起電力とを比較する比較部を具備し、前記比較部の比較結果に基づき前記回路基板の配線や搭載部品の故障の有無を診断する故障診断部と、
    を備え、
    前記コイルの巻線は、故障診断の対象部位に応じた所定の範囲を包囲し、かつ、前記回路基板の配線や搭載部品内部を流れる電流から発生する磁束が前記コイルの巻線に通過するように、前記コイルの巻線を構成するケーブル部材が、前記信号ケーブルの外側に配置され、前記ケーブル部材の物理的な位置を固定するための固定部材により前記ケーブル部材と前記信号ケーブルとが共締めされている
    ことを特徴とする故障診断システム。
  2. 前記コイルの巻線は、前記複数の回路基板の各外周を一体的に囲むように配置され、かつ前記ケーブル部材が、前記コイルの巻線の一部を構成するように、前記信号ケーブルの外側にかつ略平行に配置されていることを特徴とする請求項に記載の故障診断システム。
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