JP4055461B2 - ギヤポンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機に用いられる油圧ポンプ装置に関するものであり、特に、外歯歯車からなるドライブギヤ及び内歯歯車からなるドリブンギヤを有する内接歯車式のギヤポンプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、自動変速機に用いられる内接歯車式ギヤポンプ装置としては、例えば特開2001−280260号公報記載のもの等が挙げられる。このものは、ポンプハウジングに形成された円形状の凹陥部内に、リング状の形態からなるものであって内歯歯車を有するアウタギヤと、当該アウタギヤに設けられた内歯歯車と噛合い係合する外歯歯車を有するインナギヤと、から成り、これらが上記凹陥部内にて回転自在なように収容されるようになっているものである。そして、このような構成からなる上記インナギヤの内径部のところには、自動変速機からの動力によって回転駆動されるドライブシャフトが連結されるようになっているものである。従って、上記ドライブシャフトを介して上記インナギヤが回転運動を開始すると、当該インナギヤ側に設けられた外歯と噛合い係合する内歯を有する上記アウタギヤが連れ廻るようになり、これらインナギヤ及びアウタギヤの回転運動によって、ポンプ機能が発揮されるようになっているものである。そして、上記ドライブギヤは、ベアリングを介して中空状のシャフトに回転可能なように支持されるようになっているものである。このようなドライブギヤ内径部側には、上記ドライブシャフト側に設けられた複数の係合爪と係合する複数の係合凹部が形成されるようになっている。このようなドライブギヤ側の係合凹部に上記ドライブシャフト側の係合爪が係合することによって、上記ドライブシャフトからは上記ドライブギヤへ所定のトルクが伝達されるようになっているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような内接歯車式ギヤポンプ装置においても、近年、作動油の高圧化が要求されており、それに伴い上記トルク伝達機構部においては高トルク化が進められるようになっている。そして、上記トルク伝達機構部においては、上記ドライブシャフト側の係合爪と上記ドライブギヤ側の係合凹部との間に応力集中等の問題の生ずるおそれがある。このような問題点を解決するために、上記ドライブギヤの中央部にボス部を設け、このボス部のところに上記ドライブシャフトを結合させるようにした、強度アップを図ったドライブギヤ(インナギヤ)を有するギヤポンプ装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、駆動側を形成するものであって外歯を有するドライブギヤと、当該ドライブギヤの外歯と噛合い係合する内歯を有するものであって上記ドライブギヤの外歯の歯数よりも多くの歯数を有するドリブンギヤと、これらドライブギヤ及びドリブンギヤを収容するハウジング並びにカバーと、上記ドライブギヤ及びハウジングを、それぞれの中央部にて支持するシャフトと、を有する内接歯車式のギヤポンプ装置に関して、上記ドライブギヤを、本ドライブギヤのいずれか一方の端面側であって、その中央部のところに、本ドライブギヤの軸心方向に突出するように形成されるものであって円筒状の形態からなるボス部を有するようにし、このようなボス部のところに本ドライブギヤ駆動用のドライブシャフトが係合するスプライン部を設けるようにし、更に、上記円筒状ボス部の設けられる、その付け根部のところに円環状のベアリング圧入用の内径部を設けるようにし、このようなドライブギヤの、その外歯部分の端面部であって上記円筒状ボス部の設けられる側に、上記内径部内への上記ベアリングの圧入前に、上記外歯の歯先に向かって歯幅が減少するように形成された逃げ面を設けておくようにした構成を採ることとした。
【0006】
また、一般に、本発明におけるようなギヤポンプ装置においては、上記ドライブギヤの内径部内にベアリングが圧入された場合に、ベアリングの圧入方向における径方向の剛性が異なることにより、上記外歯の歯先部には、ベアリング圧入方向への外歯の倒れ現象等が生ずることとなるが、この場合、上記ドライブギヤ(インナギヤ)の、その外歯部分の端面部であって、上記円筒状ボス部の設けられる側に、所定量の逃げ面を設けるようにしたので、上記倒れ現象に対して、上記ドライブギヤは、その外歯の端面部が、上記カバーと干渉することなく、ハウジングの円形状凹陥部内に正常な状態で収容されるようになる。その結果、ドライブギヤは、上記ハウジング内にて円滑に回転運動を維持することができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1及び図2を基に説明する。本実施の形態に関するものの、その構成は、図1に示す如く、駆動側を形成するドライブギヤ1と、当該ドライブギヤ1よりも多くの歯数を有する内接歯車部からなるドリブンギヤ2と、これらドライブギヤ1及びドリブンギヤ2を収容するハウジング3と、これらドライブギヤ1の外歯12とドリブンギヤ2の内歯21との間に形成される隙間を埋めるように設けられる仕切部5と、上記ハウジング3と対の状態で設けられるカバー4と、からなることを基本とするものである。そして、このようなハウジング3、ドライブギヤ1、及びカバー4の中央部のところには、上記ハウジング3及びドライブギヤ1を支持する中空状のシャフト6が設けられるようになっている。また、このような構成からなる上記シャフト6の外側には、上記ドライブギヤ1を回転駆動するためのドライブシャフト7が設けられ、上記ドライブギヤ1のボス部15のところに設けられたスプライン部155のところに結合されるようになっているものである。従って、このような構成からなる上記ドライブシャフト7のところに回転駆動力が入力されると、上記ドライブギヤ1が回転運動を開始するとともに、当該ドライブギヤ1の外歯12と噛み合い係合する内歯21を有するドリブンギヤ2が上記ハウジング3内にて上記ドライブギヤ1よりも低い回転速度にて連れ廻るようになる。これら両ギヤ1、2の回転運動によって、ポンプ機能が発揮されるようになっているものである。
【0008】
このような構成からなるものにおいて、上記ドライブギヤ1は、本実施の形態においては、図2に示す如く、外歯12を有する円板状のギヤ部11と、当該ギヤ部11のカバー4側の端面部であって、中央部に形成された内径穴18の周辺部のところから軸心(O−O線)方向に突出するように形成された円筒状のボス部15と、からなることを基本とするものである。そして、これらギヤ部11及びボス部15は、共に同一部材にて一体的に形成されるようになっているものである。そして、上記円筒状ボス部15の外周部であって端末部のところには、ドライブシャフト7のスプライン部と係合するスプライン部155が設けられるようになっている。また、上記ギヤ部11の内径穴18のところには円環状のベアリング8が圧入されるようになっているものである。このベアリング8を介して本ドライブギヤ1はシャフト6の周りを回転運動することができるようになっているものである(図1参照)。
【0009】
このような構成からなるものにおいて、本ドライブギヤ1のギヤ部11のカバー4側の端面部であって上記ボス部15の設けられる側のところには、図2の(A)に示す如く、歯先部に向かって歯幅の値が減少するように形成されたテーパ状の逃げ面111が設けられるようになっている。すなわち、傾斜角(δ)を有するテーパ面からなる逃げ面111が形成されるようになっているものである。そして、このような構成からなるドライブギヤ1の内径穴18のところに、円環状の形態からなるベアリング8が圧入手段等にて圧入されるようになっているものである。ところで、上記ベアリング8の内径穴18への圧入にあたっては、一般に、上記ギヤ部11は、上記円筒状ボス部15が設けられるようになっているため、上記ベアリング8の圧入方向における径方向の剛性が異なり、これによって、図2の(B)に示す如く、δの値だけ圧入力の作用方向に傾く(倒れる)こととなる。しかしながら、本実施の形態のものにおいては、例えば図2の(A)に示す如く、ギヤ部11の一方の面側に、上記傾き量に相当する分(δ)だけ予め逃げ面111を設けておくようにしているので、上記ベアリング8の圧入により上記ギヤ部11が傾いた(倒れた)としても、図2の(B)に示す如く、ギヤ部11の逃げ面111の設けられている側は、カバー4の面とは接触しないようになる。すなわち、図2の(B)に示す破線図示の如く、所定量の逃げ面111が設けられているので、ギヤ部11の傾いた(倒れた)後においても、上記ギヤ部11の側面とカバー4の面との間においては干渉が生じないようになる。
【0010】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての、その作用等について、図1及び図2を基に説明する。すなわち、上記構成からなるドライブギヤ1及びドリブンギヤ2が、図1に示す如く、ハウジング3及びカバー4内に収容されるとともにシャフト6の周りにベアリング8を介して設置された状態において、ドライブシャフト7のところに回転駆動力が入力されると、当該ドライブシャフト7に、スプライン部155を介して係合するドライブギヤ1は回転運動を開始する。これに伴って、ドリブンギヤ2も連れ廻るようになり、ポンプ機能が発揮されることとなる。このような状態において、上記ドライブシャフト7から大きな値のトルクが上記スプライン部155に入力されたとしても、強度・剛性上何ら問題のない状態で、ドライブギヤ1へのトルク伝達がなされることとなる。すなわち、図2の(A)に示す如く、ベアリング8が圧入されるギヤ部11の内径部(内径穴)18のところは単純な形状の円形穴となっており、この部分には上記ドライブシャフト7の係合部と係合する係合凹部等が存在しないようになっているので、ポンプの高圧化による高トルクの入力に対して、上記ドライブギヤ1の内径部18は十分な強度・剛性を確保することができるようになる。従って、本実施の形態のものにおいては、ギヤ部11周りのトルク伝達部における繰返し荷重の入力に対して、疲労強度の低下等を懸念する必要がない。また、このようなドライブギヤ1のギヤ部11の側面部には、予め所定の逃げ面111が形成されるようになっているので、上記構成からなるドライブギヤ1がハウジング3及びカバー4内に収容された状態において回転運動をした場合においても、カバー4の面と何ら干渉を起こすようなこともなく、円滑に回転運動を維持することができるようになる。なお、上記において、ボス部15の外周部に、ドライブシャフト7との係合部であるスプライン部155を設けるようにしたものが挙げられているが、これに限定されるものではなく、この係合部は上記ボス部15の内周面側に設けるようにしたものであっても良い。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動側を形成するものであって外歯を有するドライブギヤと、当該ドライブギヤの外歯と噛合い係合する内歯を有するものであって上記ドライブギヤの外歯の歯数よりも多くの歯数を有するドリブンギヤと、これらドライブギヤ及びドリブンギヤを収容するハウジング及びカバーと、上記ドライブギヤ及びハウジングを、それぞれの中央部にて支持するシャフトと、を有する内接歯車式のギヤポンプ装置に関して、上記ドライブギヤを、本ドライブギヤのいずれか一方の端面側であって、その中央部のところに、本ドライブギヤの軸心方向に突出するように形成されるものであって円筒状の形態からなるボス部を有するようにし、このようなボス部のところに本ドライブギヤ駆動用のドライブシャフトが係合するスプライン部を設けるようにし、更に、本ドライブギヤの内径部であって上記円筒状ボス部の設けられる、その付け根部のところに円環状のベアリングを圧入するようにした構成を採ることとしたので、ドライブギヤのトルク伝達部において、高トルク化に耐え得るような強度・剛性の向上を図ることができるようになった。すなわち、本ドライブギヤの、上記ドライブシャフトに連結されて当該ドライブシャフトからトルク伝達を受ける係合部を、本ドライブギヤの内径部ではなく、本ドライブギヤの中央部から横方向に突出するように、かつ、一体的に形成されたボス部のところに設けるようにしたので、当該係合部をねじり強度の強いスプライン結合構造にて形成することができるようになった。その結果、ドライブギヤには、ボス部に設けられたスプライン部を介して、上記ドライブシャフト側からの駆動トルクが伝達されるようになり、本ドライブギヤは高トルク化に耐え得る強度・剛性を確保することができるようになった。
【0012】
また、本発明においては、上記ドライブギヤの、その外歯部分の端面部であって上記円筒状ボス部の設けられる側に、本ボス部内への上記ベアリングの圧入前に、上記外歯の歯先に向かって歯幅が減少するように形成されたテーパ状の逃げ面を設けておくようにしたので、上記ドライブギヤの内径部内にベアリングが圧入された場合において、上記外歯の歯先部に、ベアリング圧入方向への外歯の倒れ現象等が生じたとしても、このようなベアリングの装着(圧入)されたドライブギヤがハウジング及びカバー内に装着された状態において、本ドライブギヤの外歯の側面部が上記カバーと干渉をするようなことがなくなった。その結果、本ドライブギヤは、上記ハウジング及びカバー内にて円滑に回転運動をするようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の主要部を成すドライブギヤの全体構成を示す展開図である。
【符号の説明】
1 ドライブギヤ
11 ギヤ部
111 逃げ面
12 外歯
15 ボス部
155 スプライン部
18 内径穴
2 ドリブンギヤ
21 内歯
3 ハウジング
4 カバー
5 仕切部
6 シャフト
7 ドライブシャフト
8 ベアリング
Claims (1)
- 駆動側を形成するものであって外歯を有するドライブギヤと、当該ドライブギヤの外歯と噛合い係合する内歯を有するものであって上記ドライブギヤの外歯の歯数よりも多くの歯数を有するドリブンギヤと、これらドライブギヤ及びドリブンギヤを収容するハウジング並びにカバーと、上記ドライブギヤ及びハウジングを、それぞれの中央部にて支持するシャフトと、を有する内接歯車式のギヤポンプ装置において、上記ドライブギヤを、本ドライブギヤのいずれか一方の端面側であって、その中央部のところに、本ドライブギヤの軸心方向に突出するように形成されるものであって円筒状の形態からなるボス部を有するようにし、このようなボス部のところに本ドライブギヤ駆動用のドライブシャフトが係合するスプライン部を設けるようにし、更に、上記円筒状ボス部の設けられる、その付け根部のところに円環状のベアリング圧入用の内径部を設けるようにし、このようなドライブギヤの、その外歯部分の端面部であって上記円筒状ボス部の設けられる側に、上記内径部内への上記ベアリングの圧入前に、上記外歯の歯先に向かって歯幅が減少するように形成された逃げ面を設けておくようにしたことを特徴とするギヤポンプ装置。
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