JP4055106B2 - ブロワー搭載背負形作業機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、背負形動力散布機、背負形動力送風機等のブロワー搭載背負形作業機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、前記背負形動力散布機、背負形動力送風機等のブロワー搭載背負形作業機（以下単に「ブロワー搭載作業機」と言う。）は、背負架台に、動力源となる小型空冷２サイクルガソリンエンジン等の内燃機関、燃料タンク、薬剤タンク、各種操作レバー等とともに、前記背負架台の背当て部に吸気口を対向させ且つ前記背当て部との間に吸気間隙をあけてブロワーが搭載されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のブロワー搭載作業機は、前記ブロワーの前記吸気口に、枯れ葉、その他の塵埃の侵入を阻止するために、網目状等の通気孔を有する略椀形のファン吸気口カバーが取り付けられている。
【０００４】
前記吸気口及び該吸気口に取り付けられたファン吸気口カバーは、比較的狭く形成された前記吸気間隙内方の中央に位置しており、しかも、前記ファン吸気口カバーは、前記吸気口を覆う状態に取り付けられているため、前記ファン吸気口カバーにより、前記ブロワーの吸気口に至る通気路が絞られ、前記ブロワーの吸気効率が低下させられるという問題が残されていた。
【０００５】
さらに、比較的狭く形成された前記吸気間隙からは、前記ブロワーの吸気口に手指が届きにくいため安全ではあるが、作業継続中に、前記ファン吸気口カバーに捕捉吸着されて前記ブロワーの吸気効率を低下させる枯れ葉、その他の塵埃の除去に手数を要し、作業の中断を伴うものであった。
【０００６】
そこで、出願人は、前記吸気口を直接覆うことなく、前記吸気間隙において、前記吸気口の外周部を囲繞するインテークグリッドを設けて通気路を拡大し、同時に、手指の侵入を阻止して、安全を確保するブロワー搭載背負形作業機を提案している（特願２０００−２４２１３３参照）。
【０００７】
本発明は、捕捉吸着された枯れ葉、その他の塵埃の除去がきわめて容易で、作業の中断を伴うことがなく、ブロワーの吸気効率の低下を抑え、さらに、安全を確保できるブロワー搭載作業機を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
請求項１に示す本発明のブロワー搭載背負形作業機は、背負架台の背当て部に吸気口を対向させ且つ前記背当て部との間に吸気間隙をあけてブロワーが搭載され、前記吸気口の外周を囲繞するインテークグリッド、前記背負架台と前記ブロワーとの間に介在する防振部材、前記背負架台に前記ブロワーを取り付けるための取り付け座部の少なくともいずれかの部材が前記吸気間隙に配設され、前記ブロワーの吸気流に含まれる枯葉その他の塵埃を前記吸気口の上流側で捕捉するフィルタ部材が、前記少なくともいずれかの部材の外周を囲繞することによって取り付けられていることを特徴とする。
【０００９】
この請求項１の本発明によれば、前記フィルタ部材が、前記背負架台の背当て部と前記ブロワーとの間の前記吸気間隙に配置された部材の外周を囲繞して設けられるため、前記フィルタ部材に捕捉吸着された枯れ葉、その他の塵埃を除去する際に、前記背負架台の背当て部と前記ブロワーとの間の前記吸気間隙に配置された前記部材が邪魔になることがなく、前記枯れ葉、その他の塵埃を、きわめて容易に除去することができる。
【００１０】
同時に、前記背負架台の背当て部と前記ブロワーとの間の前記吸気間隙に配置されている前記部材が、前記フィルタ部材の取付支持部材として機能するため、前記フィルタ部材の取り付けのための特別の部材を用意する必要がない。
【００１１】
請求項２に示す実施の一形態は、前記フィルタ部材が、多数の透孔を有する可撓性帯状部材であることを特徴とする。この実施の一形態によれば、前記可撓性帯状部材の幅を、予め、前記背負架台の背当て部と前記ブロワーとの間の前記吸気間隙の幅に適合させて形成することにより、前記吸気間隙に配置された前記部材の外周を容易に囲繞することができる。
【００１２】
請求項３に示す実施の一形態は、前記フィルタ部材が、可撓性を有する芯材に放射状に適度の剛性を有する毛が植設されたブラシ状部材であることを特徴とする。この実施の一形態によれば、前記フィルタ部材が円柱状立体であり、前記枯れ葉、その他の塵埃の吸着面積が拡大され、例えば、前記枯れ葉、その他の塵埃が吸着面の一側に捕捉吸着されたとしても、他側において通気路が確保され、吸気効率の低下が抑えられる。なお、前記適度の剛性を有する毛とは、柔らかすぎることがなく、手指で触った場合にも該手指を傷めることがない硬さであることが好ましい。
【００１３】
請求項４に示す実施の一形態は、前記フィルタ部材が、着脱自在であることを特徴とする。この実施の一形態によれば、前記フィルタ部材の装着を、ブロワー搭載作業機の製造完了後に行うことができ、また、すでに提供されているブロワー搭載作業機に容易に取り付けることができるとともに、作業後に取り外して前記捕捉吸着された枯れ葉、その他の塵埃の除去を容易且つ完全に行うことができる。
【００１４】
すなわち、例えば、前記請求項２に示す実施の一形態では、予め、前記吸気間隙に配置された前記部材の外周を、余裕をもって囲繞する長さの可撓性帯状部材を準備し、その両端対向面にベルクロ（商標）ファスナー等の止め具を取着して着脱自在とすることができる。
【００１５】
また、前記請求項３に示す実施の一形態では、同様に、予め、前記吸気間隙に配置された部材の外周を囲繞する長さのブラシ部材を準備し、その芯材の両端に連結係止部を形成して着脱自在にすることができる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図１は、ブロワ搭載作業機の一例としての背負形動力送風機の要部断面図、図２は、フィルタ部材の一例を示す斜視図、図３は、他のフィルタ部材を示す一部省略斜視図である。まず、ブロワー搭載作業機の一例として、図１に示す、背負形動力送風機について説明する。
【００１７】
前記背負形動力散布機は、作業者が背負う背負架台Ｂと、該背負架台Ｂに搭載装置される機械部材Ｍから構成されている。
【００１８】
前記背負架台Ｂは、図面実施の一形態においては、背当て部１と、その下端に薄肉部２を介して水平に屈曲される台座部３が、それぞれブロー成形により、平板状一体に成形され、前記薄肉部２両端の前記背当て部１及び前記台座部３に、それぞれ前記薄肉部２を挟んで互いに反対方向へ向けて形成した傾斜面部４及び５を互いに密着して連結固定し、全体として側面視Ｌ字状に形成してなる。図中、６は、背負バンド７の連結部、８は携帯用ハンドルである。
【００１９】
また、前記背負架台Ｂに搭載装置される前記機械部材Ｍは、その詳細を図示しないが、動力源としての小型空冷２サイクルガソリンエンジン等の内燃機関９、該内燃機関９に隣接して遠心式ブロワー１０（以下単に「ブロワー１０」と言う。）が一体的に設けられ、該ブロワー１０が、前記内燃機関９によって駆動される構成になっている。その他、前記背負架台Ｂには、前記機械部材Ｍとして、燃料タンク４０、各種操作レバー等（図示せず）が搭載装置されている。
【００２０】
前記構成において、前記ブロワー１０は、遠心ファン１１及びファンケース１２で構成され、該ファンケース１２に形成された吸気口１３が、前記背負架台Ｂの前記背当て部１に対向させられ且つ該背当て部１との間に吸気間隙Ｓをあけて、前記背負架台Ｂの前記台座部３上方に配置されている。
【００２１】
なお、図面実施の一形態では、前記吸気口１３部に、前記した網目状の通気孔を有するファン吸気口カバーを設けることなく、前記ブロワー１０及び前記背当て部１間に形成された前記吸気間隙Ｓに、前記吸気口１３の外周部を囲繞するように、略ドーナツ形状のインテークグリッド１４が設けられている。
【００２２】
前記インテークグリッド１４は、好ましくは、プラスチック等の柔軟性素材によって、前記吸気間隙Ｓ内に配設されて前記吸気口１３の外周部を囲む末広がり状の短い円筒体に形成され、同時に多数の通気孔１５が周面全体に形成される。なお、図中、１７は、前記インテークグリド１４の取付けねじ、１８ａ，１８ｂは、前記背負架台Ｂ側の取り付け座部１９，２０，２１と前記ブロワー１０との間に介在させられた上方中央一個及び下方左右二個の防振部材、２２は、前記背当て部１の背面側中央部に一体成形されて前記吸気口１３に向けて突出する吸気ガイド部、２３は、前記背当て部１と前記ブロワー１０を前記防振部材１８ａ，１８ｂを介して連結する固定ボルトである。
【００２３】
前記構成において、前記内燃機関９により、前記ブロワー１０を駆動させると、外気が、前記背負架台Ｂの前記背当て部１と前記ブロワー１０との間に形成された吸気間隙Ｓにおいて、吸気口１３の外周部に設けられたインテークグリッド１４の通気孔１５から、前記吸気口１３に円滑に吸引される。すなわち、前記ブロワー１０の前記吸気口１３に至る通気路が、従来の前記網目状のファン吸気口カバーに比して大幅に拡大され、前記ブロワー１０には十分な外気が効率よく供給される。
【００２４】
本発明実施の形態では、前記背負架台Ｂの前記背当て部１と前記ブロワー１０との間の前記吸気間隙Ｓに配置された部材の外周、図面実施の一形態では、前記インテークグリッド１４の外周Ｘ−Ｘ、あるいは前記防振部材１８ａ及び前記背負架台Ｂ側の取り付け座部２０，２１の外周Ｙ−Ｙがフィルタ部材２４で囲繞させられている。すなわち、結果として、前記吸気間隙Ｓの外周に前記フィルタ部材２４が配置される。
【００２５】
図２には、前記フィルタ部材２４の実施の一形態が示されている。図２に示すフィルタ部材２４は、多数の透孔２５を有する可撓性帯状部材２６であり、予め、前記背負架台Ｂの前記背当て部１と前記ブロワー１０との間の前記吸気間隙Ｓの幅に適合させた幅に形成され、さらに、予め、その長さを、前記吸気間隙Ｓに配置された部材、例えば、前記インテークグリッド１４の外周Ｘ−Ｘ、あるいは前記防振部材１８ａ及び前記背負架台Ｂの前記取り付け座部２０，２１の外周Ｙ−Ｙを余裕をもって囲繞する長さに形成され、その両端対向面に着脱自在の止め具としてベルクロ（商標）ファスナー２７，２８を取着してなる。
【００２６】
したがって、前記吸気間隙Ｓ内に配置された前記インテークグリッド１４の外周Ｘ−Ｘ、あるいは前記防振部材１８ａ及び前記背負架台Ｂの前記取り付け座部２０，２１の外周Ｙ−Ｙを囲繞させて、その両端対向面の前記ベルクロ（商標）ファスナー２７，２８を圧接係合させればよい。
【００２７】
図３には、フィルタ部材２４の他の実施の一形態が示されている。図３に示すフィルタ部材２４は、可撓性を有する有する芯材２９に、放射状に適度の剛性を有する毛３０が植設されたブラシ状部材３１であり、予め、前記背負架台Ｂの前記背当て部１と前記ブロワー１０との間の前記吸気間隙Ｓの幅に適合する径に形成され、さらに、予め、その長さを、前記吸気間隙Ｓに配置された部材、例えば、前記インテークグリッド１４の外周Ｘ−Ｘ、あるいは前記防振部材１８ａ及び前記背負架台Ｂの前記取り付け座部２０，２１の外周Ｙ−Ｙを囲繞する長さに形成され、前記芯材２９の両端に着脱自在の止め具として鉤状の連結係止部３２，３３を形成してなる。
【００２８】
したがって、前記吸気間隙Ｓに配置された前記インテークグリッド１４の外周Ｘ−Ｘ、あるいは前記防振部材１８ａ及び前記背負架台Ｂの前記取り付け座部２０，２１の外周Ｙ−Ｙを囲繞させて、前記芯材２９の両端の前記連結係止部３２，３３を係合連結すればよい。なお、図１に示す実施の一形態では、前記インテークグリド１４と、前記フィルタ部材２４が併用されているため、前記インテークグリド１４の通気孔１５の目詰まりは完全に防止される。
【００２９】
【発明の効果】
前記本発明のブロワー搭載作業機によれば、捕捉吸着された枯れ葉、その他の塵埃の除去がきわめて容易であり、作業の中断を伴うことがなく、ブロワーの吸気効率の低下を抑え、さらに安全が確保される効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】ブロワー搭載作業機の一例としての背負形動力作業機の要部断面図である。
【図２】フィルタ部材の一例を示す斜視図である。
【図３】他のフィルタ部材を示す一部省略斜視図である。
【符号の説明】
１ 背当て部
１０ ブロワー
１３ 吸気口
１４ 部材（インテークグリッド）
１８ａ 部材（防振部材）
２０ 部材（取り付け座部）
２１ 部材（取り付け座部）
２４ フィルタ部材
２５ 小透孔
２６ 可撓性帯状部材
２９ 芯材
３０ （適度の剛性を有する）毛
３１ ブラシ状部材
Ｂ 背負架台
Ｓ 吸気間隙
Ｘ−Ｘ 外周
Ｙ−Ｙ 外周

Claims (4)

1. 背負架台（Ｂ）の背当て部（１）に吸気口（１３）が対向させられ且つ前記背当て部（１）との間に吸気間隙（Ｓ）をあけてブロワー（１０）が搭載され、前記吸気口（１３）の外周を囲繞するインテークグリッド（１４）、前記背負架台（Ｂ）と前記ブロワー（１０）との間に介在する防振部材（１８ａ）、前記背負架台（Ｂ）に前記ブロワー（１０）を取り付けるための取り付け座部（２０，２１）の少なくともいずれかの部材が前記吸気間隙（Ｓ）に配設され、前記ブロワー（１０）の吸気流に含まれる枯葉その他の塵埃を前記吸気口（１３）の上流側で捕捉するフィルタ部材（２４）が、前記少なくともいずれかの部材（１４，１８ａ，２０，２１）の外周（Ｘ−Ｘ，Ｙ−Ｙ）を囲繞することによって取り付けられていることを特徴とするブロワー搭載背負形作業機。
2. 前記フィルタ部材（２４）が、多数の透孔（２５）を有する可撓性帯状部材（２６）であることを特徴とする請求項１に記載のブロワー搭載背負形作業機。
3. 前記フィルタ部材（２４）が、可撓性を有する芯材（２９）に放射状に適度の剛性を有する毛（３０）が植設されたブラシ状部材（３１）であることを特徴とする請求項１に記載のブロワー搭載背負形作業機。
4. 前記フィルタ部材（２４）が、着脱自在であることを特徴とする請求項１，２又は３に記載のブロワー搭載背負形作業機。

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