JP4054674B2 - 走査光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の走査光学装置を用いるカラーレーザビームプリンタやカラーデジタル複写機等のカラー画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転多面鏡を備えた光偏向器、走査レンズ、折り返しミラー及び1つ以上の発光点を有する2つの半導体レーザを含み、回転多面鏡の1つにつき2本以上の光束を偏向し、偏向された2本以上の光束を2系統の折り返しミラーと走査レンズを経て像担持体に導光する走査光学系を構成することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−31772号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そして、図9に示すように、先の走査光学系の複数を光学箱で一体的に内包するような走査光学装置が考えられている。
【0005】
しかしながら、カラー画像形成装置における走査光学装置は、光偏向器の発熱によって光学箱が熱膨張し、光束の照射位置ズレが発生し、像担持体上の走査線位置がずれてしまう。
【0006】
この現象は、カラー画像を形成する際に、色の重ね合わせにずれを生じさせ、良好なカラー画像が得られないという問題になってしまう。
【0007】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光学箱の熱膨張に対して光束の照射位置ズレを抑制する技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
レーザビームを偏向する回転多面鏡であって第1及び第2の半導体レーザから出射する
第1及び第2のレーザビームをそれぞれ異なる方向に偏向する1つの回転多面鏡と、
前記回転多面鏡を回転駆動するモータと、
前記回転多面鏡によって偏向された各レーザビームをそれぞれ反射する第1及び第2の折り返しミラーと、
前記第1及び第2の折り返しミラーで反射された各レーザビームがそれぞれ像担持体上に向かうように透過する第1及び第2の走査レンズであって、該各レーザビームの光路上において前記第1及び第2の折り返しミラーより下流側にそれぞれ配置される第1及び第2の走査レンズと、
を備える走査光学系と、
側壁を有し前記走査光学系の周りを該側壁によって囲む室を2組並列に備える1つの光学箱と、
を有し、前記光学箱は、その4隅において画像形成装置本体に対して固定するための4箇所の固定部を有する走査光学装置であって、
前記光学箱は、更に、前記2組の室が並設される方向において前記2組の室の間を接続しない貫通孔と部分的に接続する接続部とを有し、前記接続部は可撓性を有する非直線形状であり、前記光学箱が熱膨張したときには前記接続部が撓むことによって前記光学箱に発生する応力を吸収して前記光学箱の変形を抑えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1〜図6を参照して、第1の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は第1の実施の形態によるカラー画像形成装置を示す概略断面図である。図1において、走査光学装置50は各々後述する構成よりなる。感光ドラム1C,1M,1Y,1BKは各々像担持体である。
【0012】
本実施の形態においては、画像情報に基づいて各々光変調された各光束(レーザビーム)LC,LM,LY,LBKが走査光学装置50から出射し、各々対応する感光ドラム1C,1M,1Y,1BK面上を照射して潜像を形成する。
【0013】
この潜像は1次帯電器2C,2M,2Y,2BKによって各々一様に帯電している感光ドラム1C,1M,1Y,1BK面上に形成されており、現像器4C,4M,4Y,4BKによって各々、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの画像に可視像化される。
【0014】
そして、転写ベルト7上を搬送されてくる転写材Pに転写ローラ5C,5M,5Y,5BKによって順に可視像化されたシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの画像が静電転写されることによってカラー画像が形成される。
【0015】
この後、感光ドラム1C,1M,1Y,1BK面上に残っている残留トナーはクリーナー6C,6M,6Y,6BKによって除去される。また、残留トナー除去後に感光ドラム1C,1M,1Y,1BKは、次のカラー画像を形成するために再度1次帯電器2C,2M,2Y,2BKによって一様に帯電される。
【0016】
上記転写材Pは、予め給紙トレイ21上に積載されており、給紙ローラ22によって1枚ずつ順に給紙され、レジストローラ23によって画像の書き出しタイミングに同期をとって転写ベルト7上に送り出される。
【0017】
転写材Pは、転写ベルト7上を精度よく搬送されている間に感光ドラム1C,1M,1Y,1BK面上に形成されたシアンの画像、マゼンダの画像、イエローの画像、ブラックの画像が順に上面に重ね合わせて転写される。これによって、カラー画像が形成される。
【0018】
駆動ローラ24は、転写ベルト7の送りを精度よく行っており、回転ムラの小さな駆動モータ(図示しない)と接続している。
【0019】
そして、転写材Pは、定着器25に導かれる。定着器25では、転写材P上に形成されたカラー画像が転写材Pに熱定着されて永久画像となる。
【0020】
熱定着後、転写材Pは、排紙ローラ26などによって搬送されて装置外に出力される。
【0021】
図2は本実施の形態における走査光学装置50の構成を説明した図である。以下の説明では走査光学装置が対称構造であることから左半分についのみ述べる。
【0022】
図2では、半導体レーザ101a,101bから出射されたビームは、回転多面鏡としてのポリゴンミラー102によってそれぞれ異なる方向に走査される。ポリゴンミラー102は、モータ106によって駆動されて回転している。
【0023】
ポリゴンミラー102によって走査されたビームB1,B2はそれぞれ1枚目の走査レンズ103a,103bを透過し、折り返しミラー104a,104bによって方向を変えられて、2枚目の走査レンズ105a,105bを透過し、各感光ドラム上に結像する。ここで、ポリゴンミラー102と、モータ106と、1枚目の走査レンズ103a,103bと、折り返しミラー104a,104bと、2枚目の走査レンズ105a,105bとによって、走査光学系が構成されている。
【0024】
このような走査光学系の周囲を側壁によって囲む室を2組並列に並べることで、走査光学装置50は4つの感光ドラム上に走査光を導いている。このようなは、一体的に光学箱107に備えられている。
【0025】
並列に並んだは、光学箱107の主走査方向の両端部の連結部(接続部)109で連結されており、連結部109の間の中央部分は貫通孔110になっている。
【0026】
光学箱107は、固定具108によって4隅の4箇所を固定されている。
【0027】
走査レンズ105aを透過する走査線を走査線A、走査レンズ105bを透過する走査線を走査線B、走査レンズ105cを透過する走査線を走査線C、走査レンズ105dを透過する走査線を走査線Dと定義する。
【0028】
図3、図4は本実施の形態の光学箱107がモータ106の発熱で熱膨張したときの変形を説明する図である。図3は光学箱107の全域で2つのを連結した場合(比較例)の変形を説明する図であり、図4は光学箱107の両端部で2つのを連結した場合(本実施の形態)の変形を説明する図である。
【0029】
2つのモータ106の発熱により光学箱107は熱膨張する。図3においては2つのが全域で連結されているため、連結部において両モータ106による膨張が干渉する(図3(a))。このとき、光学箱107は膨張による応力により、反り方向に変形する(図3(b)断面)。
【0030】
図3で反り方向に変形すると、折り返しミラー104b,104cの角度が大きくずれ、走査線B,Cの位置が大きくずれる。
【0031】
これに対し、本実施の形態の図4においては、2つのが端部でのみ連結されているため、図4(a)に示すように連結部109において両モータ106による膨張が緩和される。
【0032】
このため、光学箱107の反り方向の変形は緩和され、図4(b)に示すように折り返しミラー104b,104cの角度ずれを小さくすることができる。
【0033】
また、本実施の形態のように折り返しミラー104a,104b,104c,104dの後に走査レンズ105a,105b,105c,105dを設けた場合、図5(a)に示すように折り返しミラー104bはX方向へ移動すると走査線Bの位置は−X方向に移動し、図5(b)に示すようにθ方向に角度が変わると走査線Bの位置はX方向に移動する。
【0034】
図4の本実施の形態ではこの特性を利用し、折り返しミラー104b,104cの間を貫通孔110とすると、折り返しミラー104bは光学箱107の熱膨張でX方向に移動しつつ光学箱107の反りでθ方向に移動する。
【0035】
つまり、折り返しミラー104bのX方向の移動とθ方向の移動は打ち消し合うので、走査線Bの移動を小さくすることができる。但し、折り返しミラー104bの角度変化の方が反射面の移動よりも走査線の移動には大きく効くため完全には打ち消しあわない。走査線Cについても同様である。
【0036】
また、折り返しミラー104a,104dは光学箱107の反りの影響を受けにくいので、反射面の移動の影響だけが走査線A,Dの移動に影響する。
【0037】
図6はモータ106を連続回転させたときの走査線の移動を表した図である。図6(a)は光学箱107の全域で2つのを連結した場合(比較例)、図6(b)は本実施の形態である。図6の(a)と(b)の比較で分かるとおり、照射位置ずれの相互差を約30%小さくすることができる。
【0038】
光学箱107の連結されない部分の貫通孔110の主走査方向長さは、折り返しミラー104a,104b,104c,104dの長さよりも長い方が望ましい。これは、折り返しミラー104a,104b,104c,104dをできるだけX方向に移動させるためである。
【0039】
折り返しミラー104a,104b,104c,104dに対向する部分が拘束されていないことで、熱膨張したときに折り返しミラー104a,104b,104c,104dをX方向に移動させやすくしている。
【0040】
前述したように折り返しミラー104a,104b,104c,104dをX方向に移動させることで、折り返しミラー104a,104b,104c,104dのθ方向の移動による走査線の位置変動を打ち消している。
【0041】
(第2の実施の形態)
図7には、第2の実施の形態が示されている。本実施の形態では、光学箱107の連結されていない部分(貫通孔110)に冷却風Fを流せる構成になっている。
【0042】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0043】
本実施の形態では、第1の実施の形態で述べた光学箱107の連結されていない部分である貫通孔110を冷却用の通風ダクトとして冷却風Fを流せる構成になっている。
【0044】
走査光学装置50の上方から冷却風Fをダクト61を用いて貫通孔110に導き、走査光学装置50の下方のダクト62から貫通孔110を通過した冷却風Fを排出する。
【0045】
上記構成により冷却風Fが貫通孔110内を流れることで、光学箱107を効率良く冷却し、モータ106の発熱による光学箱107の熱膨張を少なくすることができる。
【0046】
なお、貫通孔110は、光学素子が収納される部分とは遮断されているので、冷却風Fを流しても、光学箱107内部に冷却風F内の塵埃は進入しない。
【0047】
以上のように、本実施の形態であれば、光学箱107の熱膨張を少なくし、走査線の位置変動をより小さくすることができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図8には、第3の実施の形態が示されている。本実施の形態では、第1の実施の形態で述べた光学箱107の連結する部分がV字形状の連結部(接続部)109vとなっている。
【0049】
その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0050】
本実施の形態では、第1の実施の形態で述べた光学箱107の連結する部分が可撓性を有する非直線状であるV字形状の連結部109vとなっている。
【0051】
光学箱107が熱膨張すると、破線で示すように連結部109vはX方向に撓んで熱膨張による応力を吸収する。これによって、第1の実施の形態で述べたように光学箱107の反りを少なくすることができ、走査線B,Cの位置変動を少なくすることができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、光偏向器内の発熱により光学箱が熱膨張した際、光学箱の反りを緩和し、光学箱の熱膨張に対して光束の照射位置ズレを抑制し、走査線の位置ずれを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る走査光学装置が搭載されたカラー画像形装置を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る走査光学装置の構成を示す図である。
【図3】比較例の構成における走査光学装置の熱膨張時の変形を説明する図である。
【図4】第1の実施の形態における走査光学装置の熱膨張時の変形を説明する図である。
【図5】走査光学装置の熱膨張時の変形での折り返しミラーの移動と角度による影響を説明する図である。
【図6】第1の実施の形態と比較例とを比較した走査線の移動を測定したグラフである。
【図7】第2の実施の形態に係る走査光学装置の構成を示す図である。
【図8】第3の実施の形態に係る走査光学装置の構成を示す図である。
【図9】従来の走査光学装置を説明する図である。
【符号の説明】
1C,1M,1Y,1BK 感光ドラム
2C,2M,2Y,2BK 一次帯電器
4C,4M,4Y,4BK 現像器
5C,5M,5Y,5BK 転写ローラ
6C,6M,6Y,6BK クリーナー
7 転写ベルト
21 給紙トレイ
22 給紙ローラ
23 レジストローラ
24 駆動ローラ
25 定着器
26 排紙ローラ
50 走査光学装置
61 ダクト
62 ダクト
101a,101b 半導体レーザ
102 ポリゴンミラー
103a,103b 走査レンズ
104a,104b,104c,104d ミラー
105a,105b,105c,105d 走査レンズ
106 モータ
107 光学箱
108 固定具
109 連結部
109v 連結部
110 貫通孔

Claims (1)

  1. レーザビームを偏向する回転多面鏡であって第1及び第2の半導体レーザから出射する第1及び第2のレーザビームをそれぞれ異なる方向に偏向する1つの回転多面鏡と、
    前記回転多面鏡を回転駆動するモータと、
    前記回転多面鏡によって偏向された各レーザビームをそれぞれ反射する第1及び第2の折り返しミラーと、
    前記第1及び第2の折り返しミラーで反射された各レーザビームがそれぞれ像担持体上に向かうように透過する第1及び第2の走査レンズであって、該各レーザビームの光路上において前記第1及び第2の折り返しミラーより下流側にそれぞれ配置される第1及び第2の走査レンズと、
    を備える走査光学系と、
    側壁を有し前記走査光学系の周りを該側壁によって囲む室を2組並列に備える1つの光学箱と、
    を有し、前記光学箱は、その4隅において画像形成装置本体に対して固定するための4箇所の固定部を有する走査光学装置であって、
    前記光学箱は、更に、前記2組の室が並設される方向において前記2組の室の間を接続しない貫通孔と部分的に接続する接続部とを有し、前記接続部は可撓性を有する非直線形状であり、前記光学箱が熱膨張したときには前記接続部が撓むことによって前記光学箱に発生する応力を吸収して前記光学箱の変形を抑えることを特徴とする走査光学装置。
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