JP4054588B2 - 階調表現を有する加飾シート及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術の分野】
本発明は、携帯電話筐体、家電製品、自動車内装品など立体形状を有する成形品を装飾するための加飾シートであり、とくに階調表現を有する装飾を施すために用いられるもの及びこれを用いた加飾成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、立体形状を有する成形品を装飾するために、基体シート1上に少なくとも加飾層2がグラビア印刷法やスクリーン印刷法等によって形成された加飾シート3が用いられている(図2参照)。該加飾シート3を射出成形用の金型内にセットし(図3a参照)、真空成形などの方法で立体加工し(図3b参照)、型閉めし、成形樹脂10をキャビティ11に射出し、成形樹脂10を固化させることによって、立体形状を有する樹脂成形品12を形成すると同時にその表面に加飾シート3を一体化接着させ(図3c参照)、立体形状を有する樹脂成形品12に装飾の施された加飾成形品(図3d参照)を得ることができる。
【0003】
上記加飾シート3は、加飾層の印刷パターンが微小なドット(網点)の集まりにより構成されたものであり、そのドット形状は正円とするのが一般的であった。また、印刷パターンの階調は、等ピッチで並んだ前記ドットの大小(網点面積)で表現している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、加飾シートの加飾層における印刷パターンが上記したように正円のドット14で構成される場合、ハイライト部からシャドウ部へと階調が変化するようにドット14を次第に大きくしていき或る1個のドットAに着目してみると、該ドットAの中心点からの距離が等しく且つ最も近く隣り合うドットB、つまり4個のドットBが上記の着目したドットAに同時に接触することになり(図4参照)、その結果としてドット14が独立して存在している部分と隣り合うドット14どうしが接触して存在している部分との境界で濃度段差(トーンジャンプ)が起こり、狙い通りの濃淡変化を表現出来ないことがあった。
【0005】
そこで、ドット形状が楕円であれば、ドット14の接触が始まるときに、ドットAの中心からの距離が等しく且つ最も近く隣り合うドットB4個のうちまず2個のみが接触し、4個同時に接触することはないため、滑らかな階調表現ができると考えた(図1参照)。ところが、ドット形状を楕円とすることにより滑らかな階調表現のされた加飾シートを用いて立体形状を有する成形品を装飾すると、得られた加飾成形品に再び濃度段差が発生することがあった。
【0006】
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、濃度段差の発生しない加飾成形品を得ることのできる階調表現を有する加飾シート及びこれを用いた加飾成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の階調表現を有する加飾シートは、基体シート上に等ピッチで並んだ微小なドットの大小で階調表現された加飾層が少なくとも形成された加飾シートにおいて、上記ドットの形状が0.1≦短径/長径≦0.78の条件を満たす楕円形状であるように構成した。
【0008】
また、上記構成において、上記ドットの楕円形状が0.6≦短径/長径≦0.78の条件を満たすものであるように構成した。
【0009】
また、本発明の加飾成形品の製造方法は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の加飾シートを射出成形用の金型内にセットし、型閉めし、溶融状態の成形樹脂をキャビティ内に射出し、成形樹脂を冷却固化させることによって、立体形状を有する樹脂成形品を形成すると同時にその表面に加飾シートを一体化接着させて、立体形状を有する成形品を装飾するように構成した。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は加飾層の印刷パターンを楕円形状の微小なドットにより構成して階調表現を行なう場合のドットの変化を示す説明図、図2は加飾シートの基本構成を示す断面図、図3は図2の加飾シートを用いた加飾成形品の製造工程を示す断面図、図5は楕円形状のドットの伸展による変化を示す説明図、図6は加飾層の印刷パターンの肉眼での認識状態を模式的に示す説明図である。図中、1は基体シート、2は加飾層、3は加飾シート、4は可動型、5は固定型、6はキャビティ形成面、7はクランプ部材、8はゲート部、9は真空吸引孔、10は成形樹脂、11はキャビティ、12は樹脂成形品、15は印刷パターン、16は線をそれぞれ示す。
【0011】
本発明に係る階調表現を有する加飾シート3は、基体シート上に等ピッチで並んだ微小なドット14の大小で階調表現された加飾層が少なくとも形成された加飾シートにおいて、上記ドット14の形状が楕円形であるものであり(図1参照)、射出成形用の金型内にセットし、型閉めし、溶融状態の成形樹脂10をキャビティ11内に射出し、成形樹脂10を冷却固化させることによって、立体形状を有する樹脂成形品12を形成すると同時にその表面に一体化接着される加飾シートである。
【0012】
上記基体シート1の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなど、通常の加飾シートの基体シート1として用いられるものを使用することができる。
【0013】
加飾層2の階調パターンを構成する上記の微小なドット14群は、ドット形状が楕円形状のものを用いる。楕円形のドットを用いてハイライト部からシャドウ部へと階調が変化するようにドットを次第に大きくしていき或る1個のドットAに着目してみると、ドットの接触が始まるときに、ドットAの中心からの距離が等しく且つ最も近く隣り合うドットB4個のうちまず2個のみが接触する。つまり、4個同時に接触することはないため、加飾シート3の製造段階において滑らかな階調表現ができる。なお、ここで楕円形状とは、楕円形状に近似した形状をも含み、必ずしも正確な楕円に限定されるものではない。
【0014】
また、上記ドット14の楕円形状は、0.1≦短径/長径≦0.78の条件を満たすものである。加飾シート3の製造段階において滑らかな階調表現ができていたにも拘わらず、この加飾シート3を用いて立体形状を有する成形品を装飾したときに、得られる加飾成形品に再び濃度段差が発生することがある理由について、本発明者は、加飾成形品の製造時に加飾シート3が成形品の形状に沿うように伸展13されることと関係があると考えた。また、ドット形状が正円であることに起因する加飾シート3の製造段階における濃度段差が中間濃度部あるいはそれよりシャドウ部側で発生していたのに対し、前記の加飾成形品の製造時に発生する濃度段差はハイライト部側で発生していることから、後者の濃度段差の発生の原因はドット14を楕円形状に変更したことにあると考えた。そこで、楕円形状と加飾シート3の伸展13具合とに注目して検討したところ、楕円形状が細長く且つ小さく、その立体形状に起因して加飾シート3の伸展13が楕円の長径方向に沿って偏って行われる場合に濃度段差が発生することがわかった。つまり、ドット14の楕円形状が伸展13により線に限りなく近い形状となり、ドット14として機能しなくなるのである(図5参照)。そして、楕円形状が少なくとも0.1≦短径/長径の条件を満たしていれば、濃度段差の発生しない加飾成形品を得ることのできることがわかった。なお、短径/長径の上限を0.78としたのは、これを超えるとドット14の形状が正円に近づくため、正円のドット14と同様に加飾シート3の階調柄に濃度段差が起こる恐れが出てくるからである。
【0015】
また、上記ドット14の楕円形状は、0.6≦短径/長径≦0.78の条件を満たすのがより好ましい(図6a参照)。短径/長径が0.6に満たないと、加飾層2の印刷パターン15が長径方向に沿った多数の線16が目立って認識されやすくなるからである(図6b参照)。
【0016】
上記加飾層2の材質としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。加飾層2の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。また、加飾層2は、表現したい図柄に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設ける場合もある。
【0017】
また、本発明の加飾シート3には、金属薄膜層が形成されていてもよい。金属薄膜層は、金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。なお、金属薄膜層を設ける際に、他の層と金属薄膜層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。前アンカー層および後アンカー層の材質としては、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用するとよい。前アンカー層および後アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0018】
また、本発明の加飾シート3には、接着層を形成してもよい。接着層は、成形樹脂10に加飾シート3を接着するものである。接着層としては、成形樹脂10の素材に適した樹脂を適宜使用する。たとえば、成形樹脂10の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、成形樹脂10の材質がポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、成形樹脂10の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0019】
また、本発明の加飾シート3は、樹脂成形品12を形成すると同時にその表面に加飾シート3を一体化接着させた後に基体シート1を剥離除去する、いわゆる転写材であってもよい。転写材は、基体シート1上に剥離層、加飾層2などの転写層が形成されたものである。
【0020】
加飾シート3を転写材として用いる場合、基体シート1は前記した樹脂シートの他、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体など、通常の転写材の基体シート1として用いられるものを使用することができる。
【0021】
また、基体シート1からの転写層の剥離性を改善するためには、基体シート1上に転写層を設ける前に、離型層を全面的に形成してもよい。離型層は、転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1とともに転写層から離型する。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0022】
剥離層は、基体シート1または離型層上に全面的または部分的に形成する。剥離層は、転写後に基体シート1を剥離した際に、基体シート1または離型層から剥離して被転写物の最外面となる層である。剥離層の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層は、着色したものでも、未着色のものでもよい。剥離層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0023】
加飾層2は、前記の基体シート1を剥離除去しない場合と同様にして設けるとよい。
【0024】
また、前記の基体シート1を剥離除去しない場合と同様に接着層を設けてもよい。なお、転写材の場合、接着層は接着させたい部分に形成する。すなわち、接着させたい部分が全面的なら、加飾層2上に接着層を全面的に形成する。また、接着させたい部分が部分的なら、加飾層2上に接着層を部分的に形成する。
【0025】
次に、加飾成形品の製造方法を説明する。
【0026】
まず、加飾シート3を射出成形用の金型である可動型4の表面にクランプ部材7によりセットする(図3a参照)。
【0027】
可動型4へのセットの仕方の具体例としては、ロール軸に長尺の加飾シート3を一旦巻き取ってロール状巻物とし、このロール状巻物を射出成形用の可動型4の上部に可動型4と一体的に移動可能に載置し、ロール状巻物から加飾シート3を巻き出しながら、退避した可動型4と固定型5との間を通過させ、射出成形用の可動型4の下部に可動型4と一体的に移動可能に設置したフィルム巻き取り手段のロール軸により加飾シート3を巻き取るようにすればよい。別の例としては、枚葉の加飾シート3を用いて、ロボットや人手により可動型4の表面にセットしてもよい。加飾シート3の可動型4の表面へのセットに際しては、加飾シート3を可動型4の表面に配置した後、可動型4の表面に対する加飾シート3の位置を位置決めセンサーなどにより決定し、加飾シート3を射出成形用の可動型4の表面にクランプ部材7によって押さえ付けるとよい。
【0028】
次いで、加飾シート3を射出成形用の可動型4の表面にセットした後に、射出成形用の可動型4に形成された真空吸引孔9を利用して、加飾シート3を可動型4のキャビティ面6に沿わせるように真空吸引することにより、射出成形用の可動型4の凹部すなわちキャビティ11のキャビティ形成面6に沿うように予備成形する(図3b参照)。具体例としては、可動型4と固定型5との間に挿入した加熱板などのヒーターで、可動型4の表面にセットした加飾シート3を加熱して軟化させ、射出成形用の可動型4の凹部と加飾シート3との間の空間を密閉して真空吸引孔9から排気して真空吸引し、射出成形用の可動型4の凹部内面(キャビティ形成面6)に加飾シート3を密着させる方法がある。予備成形を行なう際、あるいはクランプ部材7で加飾シート3を押さえ付けて固定する際に、加飾シート3の不要部分の打抜き加工をしてもよい。
【0029】
上記方法に代えて、加飾シート3を射出成形用の可動型4の表面にセットする前に、射出成形用の可動型4と固定型5とは別の立体加工成形用型を用いて加飾シート3をあらかじめ所望の立体形状に予備成形し、また所望の形状に打抜き加工したのち、射出成形用の可動型4の凹部内に、予備成形された加飾シート3をはめ込むようにしてもよい。所望の立体形状としては、射出成形用の可動型4または固定型5のキャビティ形成面6に合致する形状などがある。立体形状に加工する方法としては、真空成形法や圧空成形法、熱せられたゴムを押しつける押圧成形法などがある。所望の形状に打抜き加工する方法としては、トムソン打抜き法、金型によるプレス法などがある。打抜き形状としては、所定形状の外周に沿った線や所定形状の孔などがある。なお、立体形状に加工する際に同時に打抜き加工をしてもよい。
【0030】
次に、固定型5に対して可動型4を型閉めして溶融状態の成形樹脂10を固定型5のゲート部8からキャビティ11内に射出し、成形樹脂10を固化させてキャビティ11内で樹脂成形品12を形成すると同時にその表面に加飾シート3を一体化接着させる(図3c参照)。成形樹脂10は、特に限定されることはない。たとえば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリルスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂などを用いることができる。
【0031】
その後、樹脂成形品12を可動型4から取り出したのち、樹脂成形品12に接着した加飾シート3のうち不要な部分を除去する(図3d参照)。なお、上記したようにあらかじめ所望の形状に打ち抜き加工していた場合には、加飾シート3の不要な部分を除去する作業は不要である。加飾シート3が転写材の場合は、基体シート1を剥離する。このようにして、加飾成形品を得ることができる。
【0032】
【実施例】
<実施例1> ポリカーボネート樹脂からなる厚み188μmの基体シート上に、ウレタン樹脂中に無機系顔料を含有したインキを用い、短径/長径=0.78の条件を満たす楕円形状の微小なドットの大小で階調表現された厚み2μmの加飾層をオフセット印刷法にて形成し、次いで塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂からなるインキを用いて厚み10μmの接着層をスクリーン印刷法にて全面に形成して階調表現を有する加飾シートを得た。
【0033】
以上のようにして得られた加飾シートを射出成形用の金型内にセットした後、加熱ヒーターにて加熱軟化し、真空引きを行い、加飾シートの基体シート側が金型のキャビティ形成面に密着するように予備成形を行った。その際、加飾シートは、階調柄の濃度の低い部分の一部が前記楕円形状のドットの長径方向にのみ50%伸展された。次いで、型閉め後、キャビティ内に溶融状態のPC/ABSアロイ樹脂を射出充填させ、成形樹脂を冷却固化させることによって、立体形状を有する樹脂成形品を形成すると同時にその表面に加飾シートを一体化接着させて、立体形状を有する成形品を装飾し、加飾成形品を得た。
【0034】
<実施例2> ポリエステル樹脂からなる厚み38μmの基体シート上に、アクリル樹脂からなるインキを用いて厚み1μmの剥離層をグラビア印刷法にて全面に形成してアクリル樹脂中に無機系顔料を含有したインキを用い、短径/長径=0.75の条件を満たす楕円形状の微小なドットの大小で階調表現された厚み1μmの加飾層をグラビア印刷法にて形成し、次いで塩化ビニル樹脂からなるインキを用いて厚み3μmの接着層をスクリーン印刷法にて全面に形成して階調表現を有する加飾シートを得た。
【0035】
以上のようにして得られた加飾シートを射出成形用の金型内にセットした後、加熱ヒーターにて加熱軟化し、真空引きを行い、加飾シートの基体シート側が金型のキャビティ形成面に密着するように予備成形を行った。その際、加飾シートは、階調柄の濃度の低い部分の一部が前記楕円形状のドットの長径方向にのみ35%伸展された。次いで、型閉め後、キャビティ内に溶融状態のアクリル樹脂を射出充填させ、成形樹脂を冷却固化させることによって、立体形状を有する樹脂成形品を形成すると同時にその表面に加飾シートを一体化接着させて、立体形状を有する成形品を装飾した。その後、型開きして成形品を取り出したのち、基体シートを剥離除去して加飾成形品を得た。
【0036】
実施例1及び実施例2のようにして得られた加飾成形品は、いずれも濃度段差の発生していないものであった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の階調表現を有する加飾シート及びこれを用いた加飾成形品の製造方法は、前記した構成からなるので、次のような効果を奏する。
【0038】
すなわち、基体シート上に等ピッチで並んだ微小なドットの大小で階調表現された加飾層が少なくとも形成された加飾シートにおいて、上記ドットの形状が0.1≦短径/長径≦0.78の条件を満たす楕円形状であるので、立体形状を有する樹脂成形品を形成すると同時にその表面に加飾シートを一体化接着させて加飾成形品を得るときに、ドットの楕円形状が伸展により長径方向に沿って伸びるように変形してもドットとしての機能を維持でき、階調柄に濃度段差の発生しない加飾成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加飾層の印刷パターンを楕円形状の微小なドットにより構成して階調表現を行なう場合のドットの変化を示す説明図である。
【図2】加飾シートの基本構成を示す断面図である。
【図3】図2の加飾シートを用いた加飾成形品の製造工程を示す断面図である。
【図4】加飾層の印刷パターンを正円形状の微小なドットにより構成して階調表現を行なう場合のドットの変化を示す説明図である。
【図5】楕円形状のドットの伸展による変化を示す説明図である。
【図6】加飾層の印刷パターンの肉眼での認識状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 基体シート
2 加飾層
3 加飾シート
4 可動型
5 固定型
6 キャビティ形成面
7 クランプ部材
8 ゲート部
9 真空吸引孔
10 成形樹脂
11 キャビティ
12 樹脂成形品
13 伸展
14 ドット
15 印刷パターン
16 線
Claims (3)
- 基体シート上に等ピッチで並んだ微小なドットの大小で階調表現された加飾層が少なくとも形成された加飾シートにおいて、上記ドットの形状が0.1≦短径/長径≦0.78の条件を満たす楕円形状であることを特徴とする階調表現を有する加飾シート。
- 上記ドットの楕円形状が0.6≦短径/長径≦0.78の条件を満たすものである請求項1記載の階調表現を有する加飾シート。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の加飾シートを射出成形用の金型内にセットし、型閉めし、溶融状態の成形樹脂をキャビティ内に射出し、成形樹脂を冷却固化させることによって、立体形状を有する樹脂成形品を形成すると同時にその表面に加飾シートを一体化接着させて、立体形状を有する成形品を装飾することを特徴とする加飾成形品の製造方法。
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