JP4054546B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、茎稈を刈取る前処理部に、株元搬送装置、株元側掻込体および穂側掻込体を備えるコンバインの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種コンバインは、茎稈を刈取る前処理部に、刈取茎稈の株元部を脱穀部(扱深さ搬送体)に向けて搬送する株元搬送装置(株元フィードチェン)を備えている。株元搬送装置の始端部には、刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体(スターホイール)が設けられており、該株元側掻込体が掻込んだ刈取茎稈を株元搬送装置が引き継ぎ搬送する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記株元側掻込体のみで刈取茎稈を掻込むと、刈取茎稈の姿勢が不安定になるため、刈取茎稈の姿勢が乱れて脱穀精度が低下したり、稈こぼれが発生する可能性がある。そこで、従来においては、上記株元側掻込体の上方に、株元側掻込体と同期的に掻込動作する穂側掻込体を並設しているが、従来の穂側掻込体は、株元搬送装置に引き継がれた茎稈にも作用するため、茎稈の搬送姿勢を乱す可能性がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、茎稈を刈取る前処理部に、該刈取られる茎稈の株元側を掻込み搬送する株元掻込装置と、該掻込まれた刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置とを備えるコンバインにおいて、前記株元掻込装置は、茎稈の株元を掻込む左右一対の株元側掻込体と、該株元側掻込体の上方で茎稈を掻込む左右一対の穂側掻込体とを備えていて2条分の茎稈を掻込経路に合流状に掻込むように構成するにあたり、隣接する株元側掻込体同士は互いに噛合して動力供給をするスターホイールで構成され、前記一対の穂側掻込体のうち株元搬送装置の搬送方向終端側の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの後側プーリを、搬送方向始端側の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの後側プーリに対し、プーリ径を小径にし、かつ支軸位置を前側に位置させて、前記搬送方向終端側の穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元搬送装置の搬送経路よりも前側でかつ搬送方向基端側の穂側掻込体の終端軌跡位置よりも前側になるよう設定したことを特徴とするコンバインである。つまり、穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元搬送装置の茎稈引き継ぎ位置である株元側掻込体の終端軌跡位置よりも前側にしたため、株元搬送装置が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体が干渉することを回避でき、その結果、株元搬送装置における茎稈姿勢の乱れを防止し、脱穀精度等の向上を図ることができる。しかも、株元搬送装置が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体が干渉する可能性を更に低下させることができる。そのうえ、後側プーリの前方への移動量を可及的に小さくすることができるため、左右の爪付きベルトによる茎稈合流位置が大きくズレる不都合がなく、その結果、合流位置における茎稈姿勢の乱れを防止することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2と、刈取茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、脱穀済みの茎稈を機外に排出する後処理部5と、運転席および各種の操作具が設けられる操作部6と、左右一対のクローラ走行体からなる走行部7とを備えて構成されている。
【0006】
前処理部2は、未刈り茎稈を刈取り条数分の茎稈導入経路Aに導くデバイダ(分草体)8と、茎稈を引起す引起装置9と、引起された茎稈の株元を切断する刈刃装置10と、茎稈の株元側を掻込み搬送する株元側掻込装置11と、茎稈の穂先側を掻込み搬送する穂先側掻込装置12と、両掻込装置11、12の中間で茎稈を掻込み搬送する中間掻込装置13と、掻込まれた刈取り茎稈の株元部を後方上方に向けて挟持搬送する株元搬送装置14と、該株元搬送装置14の終端部で引き継いだ茎稈を脱穀部3まで搬送する扱深さ搬送装置15とを備えて構成されている。
【0007】
4条刈り仕様である本実施形態のコンバイン1においては、4つの茎稈導入経路Aから茎稈を導入し、該導入される茎稈の株元側を、4つの株元側掻込装置11でそれぞれ掻込む。4つの株元側掻込装置11のうち、左側の2つは、左側2条分の茎稈を第一掻込経路B1に合流状に掻込むように動作し、また、右側の2つは、右側2条分の茎稈を第二掻込経路B2に合流状に掻込むように動作する。第一掻込経路B1に掻き込まれた茎稈は、株元搬送装置14を構成する第一株元フィードチェン16に引き継がれ、扱深さ搬送装置15まで挟持搬送される。一方、第二掻込経路B2に掻き込まれた茎稈は、株元搬送装置14を構成する第二株元フィードチェン17に引き継がれ、第一株元フィードチェン16の終端側合流位置まで挟持搬送される。また、株元フィードチェン16、17は、左右両端の株元側掻込装置11に対して動力供給を行う伝動チェンにも兼用されている。左右両端の株元側掻込装置11には、入力スプロケット(図示せず)が設けられており、該入力スプロケットに懸回された各株元フィードチェン16、17が、隣接する株元側掻込装置11の後方近傍を通って合流位置に至るように平面視V(八)字状に配置される。
【0008】
株元側掻込装置11は、図4に示すように、茎稈の株元を掻込む左右の株元側掻込体18L、18Rと、その上方で茎稈を掻込む穂側掻込体19L、19Rとを備えて構成される。株元側掻込体18L、18Rは、平面視星形状のスターホイール20L、20Rで構成されており、隣接する株元側掻込体18L、18Rに対して互いに噛合して動力供給を行う伝動ギヤにも兼用される。スターホイール20L、20Rは、株元フィードチェン16、17の直下に配置されると共に、その終端側が平面視で株元フィードチェン16、17とオーバーラップする。これにより、スターホイール20L、20Rによる掻込茎稈の株元部が株元フィードチェン16、17に引き継がれることになる。
【0009】
穂側掻込体19L、19Rは、株元側掻込体18L、18Rの上方に設けられる掻込ケース21L、21Rと、該掻込ケース21L、21R内に設けられる前後一対のプーリ22L、22R、23L、23Rと、該プーリ22L、22R、23L、23Rに懸回される爪付きベルト24L、24Rとを備えて構成される。爪付きベルト24L、24Rの爪部24La、24Raは、掻込ケース21L、21Rから突出し、後側プーリ23L、23Rの駆動に伴って掻込動作する。複数設けられる穂側掻込体19L、19Rのうち、後方近傍に株元フィードチェン16が位置する、つまり株元フィードチエン16の搬送終端側(図4では右側)の穂側掻込体19においては、爪付きベルト24の終端軌跡位置が、その下方に設けられるスターホイール20の終端軌跡位置よりも前側になるように設定されており、言い換えると、爪付きベルト24は、その終端軌跡位置が株元フィードチェン16の搬送経路よりも前側になるように配置される。これにより、スターホイール20から株元フィードチェン16に引き継がれた茎稈に対し、爪付きベルト24が干渉することが回避される。その結果、株元フィードチェン16に引き継がれた茎稈が、爪付きベルト24との干渉によって穂先先行姿勢になったり、搬送姿勢を乱して搬送経路から脱落する不都合が防止される。
【0010】
本実施形態では、図4に示すように、掻込経路B1の左右両側に穂側掻込体19L、19Rを設けると共に、一側方、つまり株元搬送装置14の搬送終端側の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置を、他側方(株元搬送装置14の搬送始端側)の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置よりも前側に設定するにあたり、一側方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23の径dを、他側方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23の径Dよりも小径にしている。これにより、一側方の後側プーリ23の前方移動量を可及的に小さくすることが可能になり、その結果、左右の爪付きベルト24L、24Rによる茎稈合流位置が大きくズレる不都合が回避される。しかも、一側方の爪付きベルト24の掻込動作方向を変えることなく、後側プーリ23を前方に移動させることができるので、他側方の爪付きベルト24と共に茎稈をスターホイール20L、20Rの噛合部(合流部)に向けて掻き込み、良好な株元揃えが可能になる。
【0011】
図5に示すように、一側方の後側プーリ23の駆動力は、下方のスターホイール20から伝動される。スターホイール20から上方に延出する伝動軸25の上端部は、掻込ケース21内に突出すると共に、チェン伝動機構26を介して後側プーリ23の支軸27に駆動力を伝動する。チェン伝動機構26は、平面視で後側プーリ23の内側下方に位置し、後側プーリ23によって保護される。これにより、専用の保護カバーが不要になり、構造の簡略化を図ることが可能になる。また、チェン伝動機構26の伝動比は、後側プーリ23の径dを考慮して設定される。つまり、後側プーリ23を小径にしたものでありながら、他側方の爪付きベルト24と同速度で掻込動作するようにチェン伝動機構26の伝動比を設定することにより、掻込速度差による茎稈の乱れを防止することが可能になる。
【0012】
叙述の如く構成されたものにおいて、コンバイン1は、茎稈を刈取る前処理部2に、刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置14と、該株元搬送装置14の始端部で刈取茎稈の株元部を掻込む株元側掻込体18L、18Rと、該株元側掻込体18L、18Rの上方で刈取茎稈を掻込む穂側掻込体19L、19Rとを備えて構成され、前記穂側掻込体19L、19Rのうち、一側方の穂側掻込体19Rの終端軌跡位置が、他側方の株元側掻込体18の終端軌跡位置よりも前側となるように設定される。つまり、一側方の穂側掻込体19の終端軌跡位置を、株元搬送装置14の茎稈引き継ぎ位置である株元側掻込体18の終端軌跡位置よりも前側にすることができるため、株元搬送装置14が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体19が干渉することを回避でき、その結果、株元搬送装置14における茎稈姿勢の乱れを防止し、脱穀精度等の向上を図ることができる。
【0013】
また、一側方の穂側掻込体19の終端軌跡位置は、株元搬送装置14の搬送経路よりも前側になるように設定されるため、株元搬送装置14が引き継いだ茎稈に対し、穂側掻込体19が干渉する可能性を更に低下させることができる。
【0014】
また、茎稈掻込経路の左右両側に穂側掻込体19L、19Rを設けると共に、各穂側掻込体19L、19Rを、前後一対のプーリ22L、22R、23L、23R間に懸回される爪付きベルト24L、24Rで構成し、さらに、一方の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置を、他方の穂側掻込体19を構成する爪付きベルト24の終端軌跡位置よりも前側に設定するにあたり、一方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23を、他方の穂側掻込体19に設けられる後側プーリ23よりも小径にしたため、後側プーリ23の前方への移動量を可及的に小さくすることができ、その結果、左右の爪付きベルト24L、24Rによる茎稈合流位置が大きくズレる不都合を回避し、合流位置における茎稈姿勢の乱れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの斜視図である。
【図2】前処理部の側面図である。
【図3】同上要部平面図である。
【図4】株元側掻込装置の平面図である。
【図5】同上縦断面図である。
【符号の説明】
1 コンバイン
2 前処理部
11 株元側掻込装置
14 株元搬送装置
16 第一株元フィードチェン
17 第二株元フィードチェン
18 株元側掻込体
19 穂側掻込体
20 スターホイール
21 掻込ケース
22 プーリ
23 プーリ
24 爪付きベルト
26 チェン伝動機構

Claims (1)

  1. 茎稈を刈取る前処理部に、該刈取られる茎稈の株元側を掻込み搬送する株元掻込装置と、該掻込まれた刈取茎稈の株元部を所定の搬送経路に沿って搬送する株元搬送装置とを備えるコンバインにおいて、前記株元掻込装置は、茎稈の株元を掻込む左右一対の株元側掻込体と、該株元側掻込体の上方で茎稈を掻込む左右一対の穂側掻込体とを備えていて2条分の茎稈を掻込経路に合流状に掻込むように構成するにあたり、隣接する株元側掻込体同士は互いに噛合して動力供給をするスターホイールで構成され、前記一対の穂側掻込体のうち株元搬送装置の搬送方向終端側の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの後側プーリを、搬送方向始端側の穂側掻込体を構成する爪付きベルトの後側プーリに対し、プーリ径を小径にし、かつ支軸位置を前側に位置させて、前記搬送方向終端側の穂側掻込体の終端軌跡位置を、株元搬送装置の搬送経路よりも前側でかつ搬送方向基端側の穂側掻込体の終端軌跡位置よりも前側になるよう設定したことを特徴とするコンバイン。
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