JP4053765B2 - 古紙再生紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、雑誌古紙を再生資源として使用した包装材料等に好適な古紙再生紙及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録媒体はCDやDVD等になり、これらの小型の物品を収納する包装用容器にはプラスチック製のケースが使用されてきたが、この包装容器は殆ど回収されずに廃棄物として捨てられている。そこで、回収再生使用が確立している板紙製品を使用し、使用済みの板紙製包装容器もリサイクルさせたいという要望が強まってきた。
【0003】
一方、雑誌古紙は、古紙の中で最も回収量が多いにも関わらず最も在庫となり易く、その新規需要の開発、また製紙工程のグリーン化(環境調和)が望まれている。
雑誌古紙の再資源化率は約30%程度であって、新聞古紙(約100%)や段ボール古紙(約90%)に比べて著しく低く、低再生資源化率の材料として取り扱われている。この雑誌古紙1トンは、成木約20本に相当するものであり、これを再資源化の材料として使用した再生紙の用途拡大は、森林資源の保護に繋がりひいては地球環境の保全に繋がるものである。
【0004】
雑誌古紙は、その製造方法及び用途により程度は異なるが、一般的にGP(リグニン)繊維を多く含んでおり、GP繊維特有の性質上、耐光性がKP(クラフト)繊維に比べて弱く、使用後の古紙としての使用範囲はごく限られている。そのため、上記したような板紙製包装容器の表層に原紙として雑誌古紙を用いると、紫外線等の影響により黄化現象がおき、包装容器が古く見られ商品価値が下がるという欠点があった。また、再生紙固有の宿命である所の白色度の低下(55%以下)、色調のばらつき(青味、赤味、黄味)等の問題があった。
【0005】
そのため、耐光性を向上させるために、原紙に填料を内添する方法やコーター処理で顔料を塗工することにより隠蔽性(遮光性)および白色度を向上させ、紫外線等による影響をうけないよう、コーター処理により表層に塗工層を設ける等の方法がとられてきた(例えば特開2000−345492、特開2000−336593)。
しかしながら、これらの方法は填料の添加量を上げることにより紙力及びサイズ性が損なわれたり、コーター処理の設備にコストがかかり、また工程管理が複雑で手間がかかるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は紙の表層に耐光性の弱い雑誌古紙を用いて雑誌古紙の使用範囲を広げるとともに、上述の欠点と問題点を除去し印刷、包装、カートン等に用いるにおいて十分な紙質を保ちながら、良好な耐光性と美粧性を有する古紙再生紙およびクリーンな製紙工程を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、雑誌古紙を繊維主原料として古紙再生紙の表層を形成し、そこに二酸化チタンを内添、または表面処理することにより、古紙再生紙の表層に塗工層を設けなくても、紫外線等によって変色せず、前記の問題(白色度、色調)を解決して美粧性を備えた、古紙再生紙の表層が得られることを知見し、さらに検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明者は、表層に雑誌古紙を繊維原料全体の30〜100重量%用い、二酸化チタンを内添させ、離解及び繊維化し、これを表層とし、さらに複数層に抄紙積層し、さらに所望により表層の表面を二酸化チタン含有ポリビニルアルコール水溶液で表面処理し、カレンダー処理、またはこれらを一体化した処理を施すことによって優れた古紙再生紙を製造できることを見い出した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 雑誌古紙を主成分とする繊維原料からなり、白色顔料を含む表層を有し、この表層下に少なくとも、段ボール古紙からなる表下層と、雑誌古紙からなる中層と、段ボール古紙からなる裏側層とがこの順に積層されている古紙再生紙、
(2) 前記表層上には塗工層を有さないこと、又は/及び、前記表層が無漂白、無脱墨、無着色の工程で形成されたものであることを構成とし、かつ白色度が60%以上、70%未満である、前記(1)に記載した古紙再生紙、
(3) 雑誌古紙を主成分とする繊維原料からなり、白色顔料を含み、実質的に塗工層を有さない表層と、段ボール古紙とからなる層を抄紙積層してなり、前記表層の下層が順に、段ボール古紙からなる前記表下層、雑誌古紙からなる前記中層、段ボール古紙からなる前記裏側層の4層又はそれ以上の層からなる、前記(1)に記載した古紙再生紙、
(4) 前記白色顔料が二酸化チタンである、前記(1)に記載した古紙再生紙、
(5) 前記表層に含まれる前記雑誌古紙の含有量が、前記繊維原料の30〜100重量%である、前記(1)に記載した古紙再生紙、
(6) 前記表層の表面が、二酸化チタン等の白色顔料含有のポリビニルアルコール水溶液等の液で処理されているか或いは二酸化チタン等の白色顔料含有液の供給下でカレンダー処理されている、前記(1)に記載した古紙再生紙、
(7) 前記二酸化チタンの含有量が、繊維固形分に対して10重量%以下であり、前記表層の白色度が60%以上、70%未満である、前記(4)に記載した古紙再生紙、
(8) 板紙又はライナー紙である、前記(1)に記載した古紙再生紙、
(9) 前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載した古紙再生紙からなる工業用包装材料、
(10) 前記(9)に記載した包装材料で包装された電子又は電気機器、
(11) 雑誌古紙を主成分とする繊維原料からなり、白色顔料を含む表層を有し、この表層下に少なくとも、段ボール古紙からなる表下層と、雑誌古紙からなる中層と、段ボール古紙からなる裏側層とがこの順に積層されている古紙再生紙を製造する方法であって、
雑誌古紙を主成分とする繊維原料を離解・繊維化する工程と、
白色顔料を添加した後に、前記表層を抄紙する工程と、
前記表層下に前記表下層と前記中層と前記裏側層とを抄紙積層する工程と、
しかる後にカレンダー処理を行う工程と
を有する、古紙再生紙の製造方法、
(12) 前記白色顔料を添加する工程と、前記カレンダー処理を行う工程との間で白色顔料含有のポリビニルアルコール水溶液等で前記表層を表面処理するか、或いは、白色顔料含有液の供給下で前記カレンダー処理を行う、前記(11)に記載した古紙再生紙の製造方法、
(13) 前記表層上には塗工層を形成しないこと、又は/及び、前記表層を無漂白、無脱墨、無着色の工程で形成することを構成とし、かつ前記表層の白色度を60%以上、70%未満とする、前記(11)に記載した古紙再生紙の製造方法、
(14) 前記白色顔料として二酸化チタンを用いる、前記(11)に記載した古紙再生紙の製造方法、
(15) 前記表層に含まれる前記雑誌古紙の含有量を前記繊維原料の30〜100重量%とする、前記(11)に記載した古紙再生紙の製造方法、
(16) 前記二酸化チタンの含有量を、繊維固形分に対して10重量%以下とし、前記表層の白色度を60%以上、70%未満とする、前記(14)に記載した古紙再生紙の製造方法、
(17) 板紙又はライナー紙を得る、前記(11)に記載した古紙再生紙の製造方法、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態について、図1に示した製造工程図を参照しながら説明する。まず、表層に雑誌古紙を100%使用する場合、第1のステップS1として古紙原料である雑誌古紙をバラバラにし、水に漬けた状態で例えばミキサー等を使用するいわゆるパルパー(離解)工程によって全体をドロドロの溶解状態にし、次の除塵工程において雑誌の成型に使用されていたホットメルトやホッチキス針等及び塗工物質等の諸々の異物を比重差を利用して、またはスクリーンを用いて除去する。但し、脱墨処理、漂白処理及び着色処理等の工程は行っても行わなくてもよい。これは、製造工程および工程からの排水、排ガスまたは廃棄物、および再生紙または再生紙の廃棄物に有害とされる薬品の含有または使用を極力抑制し、環境調和を図るためである。
【0010】
また、上記した形態は表層に雑誌古紙を100%使用したものであるが、用途によって、表層は雑誌古紙に限らず、例えば段ボール古紙、漂白バージンパルプ、上白パルプ、中白パルプ、脱墨古紙パルプ等が配合されてもよい。但し、BKP(晒クラフトパルプ)系のパルプが70重量%以上配合されると、それ単独でも十分な耐光性と白色度を有するため、雑誌古紙の有効利用および環境配慮の観点から好ましくない。
【0011】
表層に他の古紙と混合して使用する場合、雑誌古紙は繊維主原料全体の約30%以上配合されているのが好ましい。この場合も、上記した図1で示す工程と同様に古紙再生紙を製造することができるため、第1のステップS1において、雑誌古紙と他の古紙とを一緒にして重量比でパルパー(離解)と除塵を行う。表層に他の古紙と混合して使用する場合も、以下の工程は、表層に雑誌古紙を100%使用したときと同様にして行うことができる。
【0012】
第2のステップS2としては、溶解状態にある古紙を水洗いした後にレファイナー(繊維化)し、白色顔料等の填料を添加し、全体を均一に攪拌してから抄紙し、例えばロール等を用いて水絞りを行う。
【0013】
本発明に用いられる白色顔料、すなわち填料としては、屈折率が大きな二酸化チタンが最も有利である。二酸化チタンは、いわゆる酸化チタンと呼ばれているものであり、その結晶形態でルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型にわけられる。紙塗工用の二酸化チタンとしては、ルチル型及びアナターゼ型を使用するのが一般的であるが、各種二酸化チタンを単独または混合して適宜使用する。
二酸化チタン以外の填料としては、例えば炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム・カルシウム炭酸塩、珪酸塩、珪酸、アルミウム水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、亜鉛顔料等の天然物及び合成物等が挙げられ、これらは上記二酸化チタンと、適宜混合して用いてよい。
填料の定着は、例えばカルボン酸アミド縮合物4級アンモニウム化合物、アクリルアマイド、カチオンデンプン、硫酸アルミニウム等により公知の技術に従って行われる。
【0014】
填料の添加量は、約10重量%以上添加すると、紙力が大きく低下する傾向になるため、繊維固形分に対して約10重量%以下が好ましい。
【0015】
さらに上記した填料の他に、所要の添加剤、例えば、ラテックス等の柔軟材、クレー、硫酸アルミ、サイズ剤等の内添剤、更にポリアクリルアミド等の紙力増強剤、一般に使用される各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内填サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加してもよい。但し、染料および蛍光増加剤は再生紙を再利用する際に除去が難しいので、環境配慮の観点から極力使用を控えるべきである。
【0016】
上記抄紙工程によって得られる層を表層とし、通常はその下層に、さらに複数層に積層させて抄紙することができ、用途によって、例えば3〜5層の範囲で適宜選択できる。例えば、4層に抄紙する場合、図2に示したように、1層目と3層目は雑誌古紙と段ボール古紙との混合材料を含む雑誌古紙を繊維主原料とする層5及び7を積層し、2層目と4層目は段ボール古紙100%からなる段ボール古紙層6及び8を積層するようにすることができ、この雑誌古紙と段ボール古紙からなる混合材料層5、7及び段ボール古紙層6、8を含めて古紙再生紙1となるのである。段ボール古紙層は、紙質の強度を強め、製品としての信頼性を高める。また包装箱に製缶する際に、折り曲げ部で発生するひび割れ(罫線割れと称す)を防止することができる。さらに、原紙のリングクラッシュ(RC)強度を保証することができる。
層5及び7の繊維主原料は、雑誌古紙のみまたは雑誌古紙と段ボール古紙の混合であってよく、雑誌古紙は繊維原料全体の約30〜100重量%である。層6及び8の繊維主原料は上記の混合であってもよいが、好ましくは段ボール古紙100%である。層5は表層であるが、上記したように白色顔料を填料として加え、層7には填料の添加は不要である。
【0017】
このように雑誌古紙と段ボール古紙からなる混合材料層5、7と段ボール古紙層6、8とを積層させる場合には、予め第1のステップS1において、両方の材料のものをそれぞれ別々に準備しておき、第2のステップS2における抄紙の際に、別々の系統から混合材料層5、7と段ボール古紙層6、8とをそれぞれ供給することにより、容易に異なる材質のものを任意に積層することができる。
尚、第1のステップS1と第2のステップS2までは、所定の添加剤を添加することを除けば従来行われている工程をそのまま採用することができる。
【0018】
原紙の抄紙方法については特に限定されるものではなく、例えばトップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン、二者を併用したマシン、ヤンキードライヤーマシン等のいずれであってもよい。
【0019】
水絞りを行った抄紙は、第3のステップS3として、この業界で一般に使用されているような乾燥領域を通過させてドライパート(乾燥)工程を行う。
【0020】
次に表層である層5については、所望により、第4のステップS4として二酸化チタン等の填料等を含むポリビニルアルコール水溶液を、ロールコート、含浸、ドクターブレードコート、スプレー等によって、層5の表面に表面処理を施す。該表面処理に用いる処理液の組成としては例えば填料(通常は白色顔料)、バインダー、接着剤及びその他助剤等から構成される。これらの添加剤は、いずれも公知のものを使用することができる。
【0021】
填料としては、上記と同様のものが挙げられ、好ましくは二酸化チタンである。白色顔料としては、屈折率、不透明度の高いものが好適に使用でき、例えば無機顔料としては、例えばクレー(例えば焼成クレー、化学変性クレー等の各種変性クレーを含む)、酸化マグネシウム、重酸炭酸カルシウム、軽酸炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、サチンホワイト、タルク等が挙げられ、有機顔料としては、例えばポリスチレン、ポリアクリル樹脂系の中実ないし中空のビグメント、尿素樹脂系ビグメント等が挙げられるが、二酸化チタンが好ましい顔料として用いられる。これらは単独でも二種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
接着剤は水系接着剤が好ましく、例えば澱粉(各種変性澱粉を含む)、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリスチレン−ブタジエン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、ポリアクリル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス等が挙げられる。これらは単独でも二種以上を混合して使用してもよい。
【0023】
助剤としては、通常この分野で使用される素材を適用することができ、例えば分散剤、pH調整剤、消泡剤、染料、離型剤、撥水剤、耐水化剤、流動性改良剤、防腐剤等が挙げられ、これらを必要に応じて単独でも二種以上を混合して使用してもよい。
耐水化剤としては、例えばロジン系サイズ剤、合成系サイズ剤、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、環状尿素−グリオキザール反応物、アクリルアミド−グリオキザール反応物共重合体、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリアミド−エポキシ樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
【0024】
撥水剤としては、例えばワックス、石油樹脂、高級脂肪酸塩、シリコーン樹脂、フッ素系撥水剤、エチレン尿素系撥水剤、ピリジン系撥水剤、オレフィン系樹脂等を任意に使用することができる。耐油剤としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、フッ素系耐油剤等が使用できる。フッ素系耐油剤としては、例えばパーフロロ炭化水素のカルボン酸エステルまたは塩、パーフロロ炭化水素のリン酸エステルまたは塩等が使用できる。
【0025】
処理量は、表層である層5に既に添加された填料の内添量、使用する白色顔料の種類にもよるが、白色顔料の重量換算で約0.6g/m2〜1.5g/m2である。これは填料の内添量が10重量%以下のとき、塗布量が約0.6g/m2以上ないと耐光性が向上しないためである。この時、エコマーク表示の観点から、白色度が70%未満となる塗布量が好ましい。
白色度は、製紙業界で通常行われる測定方法(ハンター白色度法)により測定される。
【0026】
次に、第5ステップS5においては、複数のロール間を通過させるカレンダー(平滑化)工程を経て第6ステップS6でリール状に巻き取られ、古紙再生紙として完成する。なお、カレンダー工程のカレンダー液に白色顔料を含有させ、カレンダー処理と表面処理を一体化させた工程を採用することが、経済性、生産性、設備投資面からは望ましい。
【0027】
このように製造された古紙再生紙は、その厚さによって、例えば、包装用容器(箱体)の材料、板紙用紙として使用することもできるし、ライナー紙として使用することもできる。いずれにしても、抄紙紙のリール状に巻き取られた古紙再生紙は、所定幅にするため両側の耳部を裁ち落として整揃しロール状態で出荷してもよいし、また、適宜に裁断して出荷してもよい。
【0028】
本発明で製造して得られた古紙再生紙は、例えば印刷、包装、カートン等に用いられる紙、板紙、電子、例えばCDやDVD等の電気機器等の小型物品を収納する包装用容器等に用いることができる。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
〔実施例1〕
雑誌古紙を100%とする製紙原料にカルボン酸アミド縮合物4級アンモニウム化合物0.17重量%(対バルブ固形分)、二酸化チタンアナタ−ゼ5重量%(対バルブ固形分)、硫酸アルミニウム0.32重量%(対バルブ固形分)、サイズ剤0.8重量%(対バルブ固形分)、カチオン澱粉1重量%(対バルブ固形分)を添加したものを表層60g/m2とし、表下層として段ボール古紙を75g/m2、中層として雑誌古紙を70g/m2、裏層として段ボール古紙を75g/m2でそれぞれ抄造し抄合わせ、プレス、乾燥処理を行い、二酸化チタンアナターゼを100部及びポリビニルアルコール20部を含む顔料組成水溶液を、二酸化チタンアナターゼが0.8g/m2になるようにカレンダーにて表面処理し、古紙再生紙を製造した。
【0031】
〔比較例1〕
雑誌古紙を100%とする製紙原料に硫酸アルミニウム0.32重量%(対バルブ固形分)、サイズ剤0.8重量%(対バルブ固形分)、カチオン澱粉1重量%(対バルブ固形分)を添加したものを表層として60g/m2、表下層として段ボール古紙を75g/m2、中層として雑誌古紙を70g/m2、裏層として段ボール古紙を75g/m2でそれぞれ抄造し抄合わせ、プレス、乾燥処理を行った。
実施例1と比較例1をフェードメーターにかけ、未照射部と照射部とを色素計にて比較した結果を表1に示す。
【表1】
照射条件:フェードメーター63℃×10−30(スライド)
【0032】
【発明の効果】
従来捨てられていた雑誌古紙を再生利用するため、近年問題となっている廃棄物(ごみ)削減に貢献できるとともに、安価で入手が容易な原料である雑誌古紙を再利用するため安価な製造が可能である。また、本発明に係る古紙再生紙は、何ら新規の設備投資(付加)を行わずして従来の設備で製造することが可能であり、また塗工層を設けないでもよいことから容易に工業的、設備的に有利に製造することができ、かつコーター処理等にかかるコストを削減することができる。そのため、エコロジー(環境調和)とエコノミー(経済性)を両立させることが可能である。
そのうえ、本発明に係る古紙再生紙は、塗工層を有さないにも関わらず優れた耐光性と罫線割水耐性、リングクラッシュ強度を有し、長時間(約50日)にわたる太陽光及び紫外線を受けても変色(退色)せず、60〜70%の白色度を有するため、カラー印刷可能な優れた美粧性を備えている。
特に、雑誌古紙を主成分とする繊維原料からなり、白色顔料を含む表層を有し、この表層下に少なくとも、段ボール古紙からなる表下層と、雑誌古紙からなる中層と、段ボール古紙からなる裏側層とがこの順に積層されているので、段ボール古紙層によって、紙質の強度を強めて製品としての信頼性を高め、また包装箱に製缶する際等に、折り曲げ部で発生するひび割れ(罫線割れ)を防止することができ、さらには原紙のリングクラッシュ強度を保証することができる。
さらに、本発明は包装用材料の原料として雑誌古紙を使用することから、森林資源の保護、省エネルギー、二酸化炭素の削減及びゼロエミッション(廃棄物ゼロ)の増進につながるという優れた効果を奏する。
本発明によれば、通常の製紙工程で実施されている漂白、着色、脱墨を行わずして所望の特性と性能を有し、カラー印刷の美粧性に最低限要求される白色度60〜70%を有する包装容器用紙材料を得ることができる。また、無漂白な工程を採用することにより、漂白に用いられる塩素系化合物の使用を排除することができるため、塩素に起因するとされるダイオキシンの発生を防止することができ、無脱墨、無着色の工程を採用することにより有害な化学薬品の使用を抑制することが可能となる。
このように本発明によれば、特性、性能、環境調和、資源の有効活用と経済性の3拍子揃った紙容器用材料の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る製造方法をステップ(工程)順に示したブロック図である。
【図2】本発明によって製造された古紙再生紙の実施の形態を拡大して示す略示的断面図である。
【符号の説明】
1 古紙再生紙
5 混合材料表層
6 段ボール古紙層
7 混合材料層
8 段ボール古紙層
S1 第1のステップ
S2 第2のステップ
S3 第3のステップ
S4 第4のステップ
S5 第5のステップ
S6 第6のステップ
Claims (16)
- 雑誌古紙を主成分とする繊維原料からなり、白色顔料を含む表層を有し、この表層下に少なくとも、段ボール古紙からなる表下層と、雑誌古紙からなる中層と、段ボール古紙からなる裏側層とがこの順に積層されている古紙再生紙。
- 前記表層上には塗工層を有さないこと、又は/及び、前記表層が無漂白、無脱墨、無着色の工程で形成されたものであることを構成とし、かつ白色度が60%以上、70%未満である、請求項1に記載した古紙再生紙。
- 前記白色顔料が二酸化チタンである、請求項1に記載した古紙再生紙。
- 前記表層に含まれる前記雑誌古紙の含有量が前記繊維原料の30〜100重量%である、請求項1に記載した古紙再生紙。
- 前記表層の表面が、白色顔料含有液で処理されているか或いは白色顔料含有液の供給下でカレンダー処理されている、請求項1に記載した古紙再生紙。
- 前記二酸化チタンの含有量が、繊維固形分に対して10重量%以下であり、前記表層の白色度が60%以上、70%未満である、請求項3に記載した古紙再生紙。
- 板紙又はライナー紙である、請求項1に記載した古紙再生紙。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載した古紙再生紙を基材とする工業用包装材料。
- 請求項8に記載した包装材料で包装された電子又は電気機器。
- 雑誌古紙を主成分とする繊維原料からなり、白色顔料を含む表層を有し、この表層下に少なくとも、段ボール古紙からなる表下層と、雑誌古紙からなる中層と、段ボール古紙からなる裏側層とがこの順に積層されている古紙再生紙を製造する方法であって、
雑誌古紙を主成分とする繊維原料を離解・繊維化する工程と、
白色顔料を添加した後に、前記表層を抄紙する工程と、
前記表層下に前記表下層と前記中層と前記裏側層とを抄紙積層する工程と、
しかる後にカレンダー処理を行う工程と
を有する、古紙再生紙の製造方法。 - 前記白色顔料を添加する工程と、前記カレンダー処理を行う工程との間で白色顔料含有液で前記表層を表面処理するか、或いは、白色顔料含有液の供給下で前記カレンダー処理を行う、請求項10に記載した古紙再生紙の製造方法。
- 前記表層上には塗工層を形成しないこと、又は/及び、前記表層を無漂白、無脱墨、無着色の工程で形成することを構成とし、かつ前記表層の白色度を60%以上、70%未満とする、請求項10に記載した古紙再生紙の製造方法。
- 前記白色顔料として二酸化チタンを用いる、請求項10に記載した古紙再生紙の製造方法。
- 前記表層に含まれる前記雑誌古紙の含有量を前記繊維原料の30〜100重量%とする、請求項10に記載した古紙再生紙の製造方法。
- 前記二酸化チタンの含有量を、繊維固形分に対して10重量%以下とし、前記表層の白色度を60%以上、70%未満とする、請求項13に記載した古紙再生紙の製造方法。
- 板紙又はライナー紙を得る、請求項10に記載した古紙再生紙の製造方法。
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