JP4053758B2 - 摩擦伝動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦により入力部材の回転を出力部材に伝達する摩擦伝動装置に関し、特に入出力部材の接触部の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり接触する二つの部材の接触部に発生する摩擦力により一方の部材から、他方へと動力伝達する摩擦伝動装置が知られている。摩擦力は、二つの部材の接触面に働く垂直抗力にほぼ比例する。つまり、二つの部材を押し付ける力を大きくすると、大きな動力を伝達することができるようになる。一方で、二つの部材を押し付ける力により接触面に発生する接触応力が高いと、部材表面または表面下に損耗が発生する。この損耗を低減するためには、接触面積を増加させ、接触応力を減少させればよい。しかし、接触領域内での二つの部材の相対速度が均一でない場合、速度差が大きくなり、今度はこれによる摩耗、発熱、伝達効率の低下が生じるという問題が発生する。
【0003】
したがって、接触領域内で、均一な相対速度が得られない場合、接触領域は小さく、かつ接触応力も小さいことが望まれる。これに対して、接触領域の応力分布を均一なものにするという方法がある。同一の荷重のもとでは、接触領域の応力分布を均一とすることによって、接触応力の最大値を下げることができる。このような、条件を満たす、二つの部材の接触部分の形状の一例が、特開平10−89431号公報に記載されている。この公報では、接触部分にルンドベルグ形状を与えることを提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにルンドベルグ形状などの接触領域の応力分布を均一とし、横領最大値を減少させる形状は、一般的に、二つの部材間に発生する摩擦ベクトルに直交する平面内における、当該二つの部材の間隔が、接触の中心から外側に向かうに従って接触領域内では比較的増加が少なく、接触領域外となると急激に増加する形状となる。この結果、少なくとも一方の部材の幅が小さくなり、剛性の低下して発生する応力が高くなる、熱容量が小さくなり部材温度が上昇するなどの問題が生じる。
【0005】
本発明は、前述の問題を解決するためになされたものであり、接触領域の応力分布を均一なものとしつつ、部材の剛性を高め、温度上昇を抑えた、摩擦伝動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明にかかる摩擦伝動装置は、転がり接触する二つの部材の形状を、二つの部材が接触する範囲においては、接触応力分布をより均一なものとし、応力の最大値を減少するようにする形状とし、前記の接触範囲の外側においては、部材の剛性を確保することができる形状とする。
【0007】
前記二つの部材の接触の幅方向に関する両部材間の間隔、すなわち、摩擦ベクトルに直交する平面内における間隔は、接触領域内の応力分布をより均一なものとするようにすると、接触幅の中心部分から端部付近にかけて、間隔の増加が比較的少なく、端部付近から接触幅の外側にかけては、急に増加するような形状となる。例えば、二つの部材が荷重0で接触している場合の接点を原点として接触幅方向にxをとり、二つの部材の間隔をzとすれば、次式で表される形状は、より均一な、すなわち応力のピーク値を低くする結果が得られる。
【0008】
【数3】
Figure 0004053758
【0009】
これらの関数で与えられる形状は、接触領域の端部付近では、急峻にその値を増大させる。そこで、接触領域の外側では、部材間の間隔を表す関数を、前記の関数ではなく、前述の原点で二つの部材に接触する円弧形状またはこの円弧形状より間隔が狭くなるようなものとする。さらに、前述の接触領域内外の関数を滑らかにつなぐ移行区間を設けてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。図1は、摩擦伝動装置の動力伝達にかかる構成の模式図である。ローラ10は、ローラ軸線12を軸として回転する厚みをもった円板であり、その側面14は所定の曲面に形成されている。ディスク16は、ディスク軸線18を軸として回転する円板であり、図中上面は前記軸線18に直交する平面である。二つの軸線12,18は直交配置され、ローラの側面14とディスクの上面20が接触し、この接触部分の摩擦によりローラ10とディスク16の間で動力伝達がなされる。以下の説明では、動力伝達を担う面という意味で、ローラの側面14をローラ動力伝達面14、ディスクの上面20をディスク動力伝達面20と記す。
【0011】
図2は、ディスク16を図1において上方から見た図であり、ローラ10をディスク16に荷重W(図1参照)で押し付けた時のローラおよびディスクの動力伝達面14,20の接触領域22が示されている。本実施形態のような動力伝達系の構成、すなわち接触領域22に対するローラまたはディスク軸線12,18の正投影である接触中心線24が、ローラおよびディスク軸線12,18と一点で交わる構成でない場合、接触領域22内の相対速度が一定とならない。
【0012】
図3は、その様子を示すものである。以下の説明においては、接触領域22における接触中心線24の方向を幅方向、幅方向に直交する方向を動力伝達方向と記す。ディスク動力伝達面20の速度Vdは、動力伝達方向に沿ったベクトルとなるが、ディスク16の外周にいくほど速い。しかし、ローラ動力伝達面14の速度は、幅方向において一定となる。したがって、これらの相対速度Vrは、接触領域22の中心を境にして向きが逆転し、スピンモーメントを発生する。このスピンモーメントは、損失を発生させ、動力の伝達効率を低下させる。相対速度Vrは、接触領域22の中心から離れた方が大きいから、接触領域22が幅方向に拡がるほどスピンによる損失が大きくなる。したがって、スピンによる損失を低減するためには、接触領域22の幅を小さくする必要がある。
【0013】
一方、接触領域22に発生する最大接触応力が大きいと、ローラおよびディスクの動力伝達面14,20に疲労による損耗が発生することがある。したがって、最大接触応力を低減させる必要がある。また逆に、最大接触応力を小さくすることができれば荷重Wを増加することが可能となり、より大きなトルクを伝達することが可能となる。
【0014】
以上の二つの要求、すなわち荷重Wが一定という条件下において、接触領域22の幅を狭くするおよび最大接触応力を小さくすることの双方を満たすことが望まれる。この要求に応えるには、接触領域22の幅方向の応力分布を均一にすることが必要となる。つまり、このような応力分布を与える、ローラおよびディスク動力伝達面14,20の形状を求める必要がある。
【0015】
この実施形態では、ディスク動力伝達面20を平面とし、これに対するローラ動力伝達面14の形状について検討する。ローラ動力伝達面14の形状とは、ローラ軸線12を含む断面の形状を指す。この形状を表すために、次のような座標系を採る。原点Oは、接触領域22の中心、すなわちローラ10をディスク16に押し付ける荷重Wが0としたときの接点とする。x軸は、前記接触中心線24に一致し、ディスク軸線18の向きを正とする。y軸は、前記動力伝達方向すなわち摩擦力の方向に一致し、原点Oにおける、ディスク動力伝達面の速度Vdの向きを正とする。このように定められたx軸、y軸と共に右手直交座標系を構成するようにz軸を定める。よって、z軸は、図2において紙面を垂直に貫く方向で、手前が正となる座標軸である。
【0016】
図4および図5は、ローラ動力伝達面14の断面形状を示している。図5は、図4に示すx方向の範囲A、z方向の範囲Bで囲まれる領域の拡大図である。最も一般的な形状である円弧が一点鎖線で、前述の公報の提案するルンドベルグ形状が破線で示されている。実線が本実施形態の形状であり、この形状は、次式(1)で示されるハイパボリックサイン形状となる。
【0017】
【数4】
z=a・sinh(bx2) ・・・(1)
【0018】
図6には、図4および図5に示される断面形状のローラ10を用いて、等しい荷重Wを加えたときの、接触領域22の幅方向(x軸方向)の接触応力Pの分布を示す図である。線種については図4と共通としている。図示するように、円弧形状であっては、中心付近で接触応力Pが大きくなることが分かる。また、ルンドベルグ形状では、接触領域の端部において、接触応力Pがピークを持つ。本実施形態の形状(ハイパボリックサイン形状)においては、接触領域の多くの部分(約80%)で、均一な応力分布が得られている。また、端部において応力のピークも生じておらず、応力が端に向けて単調に減少している。最大接触応力についても、円弧形状はもちろんルンドベルグ形状よりも小さい値となっている。このように、本実施形態の形状は、前述した、スピンのある摩擦伝動装置の動力伝達面に関する要求を高いレベルで満足するものである。
【0019】
図7には、前述の各形状における接触幅に影響を与える形状変更をしたときの、トラクション係数と最大接触応力の変化が示されている。トラクション係数が高い方が、伝達効率がよい、すなわちスピンロスが小さい。トラクション係数が大きい、すなわちより大きなトルクを伝達でき、最大接触応力は小さい方が好ましい。つまり、ある形状が与えるトラクション係数と最大接触応力の組が、図7においてより右下に位置することが好ましい。一点鎖線で示す円弧形状の場合、右上が円弧の曲率半径が小さい場合を示す。ハイパボリックサイン形状においては右上が、係数aが大きい場合を示す。ルンドベルグ形状の場合は、基準円の径を変えた点を図中にプロットしている。ハイパボリックサイン形状は、他の形状に比してより右下に位置し、好ましい形状であることが分かる。
【0020】
図8には、フルトロイダル型の変速機構の概略構成が示されている。入力ディスク26の回転がパワーローラ28を介して出力ディスク30に伝達されるものである。入力ディスク26、出力ディスク30は、図示する断面をそれぞれの軸線32,34の周りに回転させた形状である。パワーローラ28も軸線36を軸とする回転体であり、軸線36の傾きは、図8の紙面内で連続的に変更可能となっている。入力ディスク26とパワーローラ28およびパワーローラ28と出力ディスク30の間では、摩擦により動力が伝達される。前述の例にならえば、パワーローラ28の側面がローラ動力伝達面、入力および出力ディスク26,30の図8中、パワーローラ28に対向する面が、ディスク動力伝達面に相当する。入力ディスク26とパワーローラ28の接触領域の中心と軸線32の距離を入力側半径Riとし、同様に出力ディスク30とパワーローラ28の接触領域中心の軸線34からの距離を出力側半径Roとする。この二つの半径の比Ro/Riが変速比となり、パワーローラ28の傾きを変更することで入出力側半径Ri,Roが変化し、変速比も変更される。パワーローラ28の傾きは、連続的に変更できるので、変速比も連続的に変更可能となる。
【0021】
このとき、パワーローラ28と入力および出力ディスク26,30のそれぞれの動力伝達面の形状は、次のように定められる。すなわち、両動力伝達面の間隙をzとし、荷重が0としたときの接触点を原点とし、接触点における動力伝達面の接線をxとしたときに、間隙zが前述の式(1)で示す関数として表されるように決定する。入力および出力ディスク26,30とパワーローラ28は、パワーローラ28の傾きが変わっても常に接触する必要があるから、これらディスクの動力伝達面の形状は、図8の断面において円弧である。したがって、パワーローラ28の動力伝達面は、前記の円弧のディスク動力伝達面に対して、式(1)で表される間隙zを有するように決定される。これにより、摩擦伝動機構における要求、すなわちスピンが少なく、最大接触応力が小さいという双方の要求を高いレベルで満足させることができる。
【0022】
以上は、ローラの断面形状、または間隔を表す関数zを与え、これについて接触応力を求めたが、応力分布を仮定して、これを満たすようにローラ断面形状を求める方法を以下に記す。なお、図1に示すディスク16の平面にローラ10が当接する機構を用いて説明する。ローラ10とディスク16の接触部分の応力分布を次式にて仮定する。
【0023】
【数5】
p(x,y)=Pmax{1−(y/b)2−(x/a)n1/2 ・・・(2)
ただし、aはx方向の接触幅、bはy方向の接触幅
【0024】
図9は、式(2)中のnにいくつかの数値を代入し、それぞれの場合の応力分布形状を示す図である。nが小さいほど円弧に近づき、大きいほど応力分布が接触中心付近でより平坦となっている。そして、式(2)の応力分布により荷重Wが次式で表される。
【0025】
【数6】
Figure 0004053758
【0026】
ローラ10とディスク16の間には潤滑のため流体が供給されるが、この流体のせん断応力τは、圧力によって大きく変化する。これは、前記流体が、高圧時弾塑性を示し、低圧時に粘性流体としてふるまうなど、その物性が変化するためである。潤滑33巻12号(1988)922ページには、大野らにより、弾塑性域と粘性域との境界についての記載がある。図10は、数種の流体のせん断特性を示す図である。これによれば、流体の粘度の圧力指数αと圧力pとの積が25が二つの領域の境界である。これより、流体のせん断特性を次式のように仮定する。ここで、ηは圧力pでの粘度、η0は大気圧での粘度、αは流体の粘度の圧力指数、γはせん断率、ΔUはせん断速度、hは膜圧を示す。
【0027】
【数7】
τ=mp (αp>25のとき) 弾塑性 ・・・(4)
τ=τ0・sinh-1(ηγ/τ0) (αp<25のとき) 粘性 ・・・(5)
ただし、η=τ0・exp(αp)、γ=ΔU/h
【0028】
図11には、最大接触応力Pmaxおよび式(2)の応力分布と、接触領域内の弾塑性域、粘性域の様子が示されている。弾塑性域は斜線が施されており、その周囲の白抜きの領域が粘性域である。また、接触領域は、x,y軸に関し、一つの象限のみ記載している。応力分布は、図9に示したように、式(2)のnの値によって変化し、Pmaxが大きい場合も、小さい場合もnが大きくなる方が頂部が平坦になる。また、xy平面の接触領域もnが大きくなると楕円形から長方形に近い形状となる。また、Pmaxが小さい場合、接触領域内において弾塑性域が占める割合が減少する。
【0029】
ディスク16とローラ10の間に伝達される力(以下、トラクションと記す)Tは、y方向のせん断応力を、接触領域で積分した値であり、式(6)で示される。また、その際の伝達損失Plossは、次式で表される。
【0030】
【数8】
Figure 0004053758
【0031】
図12は、最大接触応力Pmaxが大きい場合と小さい場合において、nの値に対する伝達損失Plossの変化を示す図である。図から、最大接触応力Pmaxの一つの値について、伝達損失Plossを最小にするnが存在することが分かる。このnを求めるために、式(3),(6),(7)に、式(2),(4),(5)を代入して同一の最大接触応力Pmax、同一伝達効率におけるnとトラクション係数の関係を求める。同一伝達効率における円弧(n=2)に対するトラクション係数の増加率の逆数が、最大接触応力Pmaxの低減率に相当する。これをnに対してプロットしたものが、図13である。最大接触応力Pmaxとnの関係はαPmax、スピン角速度ωs、接触領域の縦横比(b/a)に依存する。図13は、図8に示すようなフルトロイダル型変速機構の場合を示している。図からn=3〜6で最大接触応力の低減効果が認められる。
【0032】
好ましいnが見つかれば、これに関する応力分布は、図9にも示されるように算出することができる。この応力分布を達成するようなローラ10の表面形状を求める。図14(a)に示すように、ディスク16の表面に相当する平坦面に、前述のようにして求めた応力分布となる分布荷重p(x,y)が作用したとき、平坦面の変形δは次式で表される。
【0033】
【数9】
Figure 0004053758
【0034】
図14(b)に示すように、荷重0でディスク16にローラ10が接しているとき、ディスクとローラの隙間zが、次式で表されるように、ローラの形状を定める。なお、図14(a),(b)に示す破線は、同一の形状である。
【0035】
【数10】
Figure 0004053758
【0036】
式(8),(9)の示す形状のローラ10をディスク16に対し、応力分布を求めたときの荷重Wで押圧すれば、図14(c)に示すように、図14(a)と同様の応力分布となる。このときの隙間zは、次に示す4次式で近似することができる。
【0037】
【数11】
Figure 0004053758
【0038】
図15は、ローラ10の幅方向の断面形状の例を示している。以上のように求められたローラの形状は、nを無限大としたときに前述のハイパボリックサイン形状に漸近する。一方、図13よりαPmax>45、すなわち接触領域のほぼ全域が弾塑性域となる場合に、nが無限大となったとき、最大接触応力Pmaxの低減効果が最も大きくなる。これらは、ここで述べた内容が、前述したハイパボリックサインの場合を含んでいることを示すものである。なお、ディスク16が平面である場合について述べたが、トロイダル型変速機構のようにディスクが平面でない場合については、ディスクとローラの相対的な隙間が、式(10)などで示されるものとなるように、ローラの接触部分の形状を形成する。
【0039】
図16は、図1に示すローラ10とディスク16の、これらの部材間に作用する摩擦ベクトルに直交する断面図である。また、各部材の形状は、z軸に対して対称となる。これらの部材は、押し付け荷重0にて接触してるときの断面形状が示されている。両部材は、定格荷重を加えたときには、接触半幅Cの範囲で接触する。この接触範囲内では、前述してきた、接触応力ができるだけ均一となるような、すなわち最大応力値を下げるような形状が選択されている。例えば、式(1)で記載されるハイパボリックサイン関数で表される形状や、式(10)で示されるような4次関数で表される形状とすることができる。これらの関数は、図中一点鎖線で表されているように、接触半幅Cの端部付近より、部材間の間隔を急に大きくする形状を示している。したがって、接触範囲の外側を、この関数に基づく形状とするとローラ10の幅が小さくなる。
【0040】
ローラ10の幅が小さくなると、ローラ10の部材内部で、応力が高くなる部分が発生する。また、伝熱経路の断面積が狭まるので、発熱の最も激しいローラ10の接触面近傍の熱をローラ中心方向に向けて伝熱する妨げとなり、放熱性の低下が生じる。
【0041】
そこで、本実施形態においては、接触範囲の外側では、原点(x=0)を通り、接触幅の端(x=C)でハイパボリックサインなどの関数と交差する、図中破線で示す円弧にほぼ沿うようにローラの表面を形成する。接触幅の端からやや外側の区間は、二つの曲線を滑らかに接続するための、移行区間である。接触幅内のローラ表面を規定する関数による表面形状は、図示されるように、接触幅の端からやや外側まで延長されることが望ましい。これは、ローラの接触面の変形は、接触幅の外側部分の形状の影響も受けるためであり、求められた接触応力分布を達成するためには、接触幅の外側部分の形状も算出された形状とする必要があるためである。接触範囲からある程度離れれば、大きな影響を及ぼさなくなるので、円弧などの形状とすることもできる。
【0042】
接触範囲の外側の形状については、円弧である必要はない。ローラの剛性が十分に取れるなど、必要な性能を得られるのであれば、円弧よりローラ幅を狭くすることも可能である。また、より大きい剛性が必要であれば、ローラの幅を大きくする形状とすることもできる。この場合、ローラ10の表面が図示する破線より下側となり、両部材間の間隔zは円弧の場合に比して小さくなる。
【0043】
図17は、ローラ10の表面形状を変更して、耐久性を評価した結果を示すグラフである。ローラ10の表面形状を単純な円弧、すなわち図16の破線で示される形状とした場合を基準とし、これに対する寿命を比較している。図16中、一点鎖線で示す形状、すなわち、接触応力分布がより均一となる形状とした場合(非円弧)、耐久性が低下する。また、接触範囲は一点鎖線で示す形状とし、接触範囲の外では破線で示す形状とした場合(非円弧+円弧)、単一の円弧の場合とほぼ同様の耐久性を示す。さらに、図16中、実線で示すように、接触範囲内では、一点鎖線で示す形状、接触範囲に隣接する部分では、一点鎖線から破線へと滑らかに移行する部分を設けた場合(非円弧+円弧+滑らかな継ぎ目)、耐久性が大幅に向上している。接触範囲の内外の曲線を滑らかに接続したことにより、接続部分の応力集中を防止することができ、耐久性が向上したと考えられる。
【0044】
図18は、図13と同様にして求めた、ハーフトロイダル型変速機構の場合の最大接触応力Pmax(対円弧比)とnの関係を表す図である。図より、ハーフトロイダル型の場合は、n=3〜10の範囲で、最大接触応力の低減効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 摩擦伝動装置の動力伝達にかかる構成の概略図である。
【図2】 ディスク16の上面20を見た図である。
【図3】 接触領域内の速度分布を示す図である。
【図4】 動力伝達面の形状の例を示す図である。
【図5】 図4の部分拡大図である。
【図6】 接触応力の幅方向の分布を示す図である。
【図7】 トラクション係数と最大接触応力の関係を、動力伝達面ごとに示す図である。
【図8】 摩擦伝動機構を有する変速機の要部構成を示す図である。
【図9】 接触応力分布のいくつかの例を示す図である。
【図10】 流体のせん断特性を示す図である。
【図11】 接触領域内の弾塑性域と粘性域の様子を示す図である。
【図12】 伝達損失とnの関係を示す図である。
【図13】 最大接触応力の低減の様子を示す図であり、特にフルトロイダル変速機構の場合を示す図である。
【図14】 応力分布からローラの断面形状を求める手法を示す図である。
【図15】 ローラの断面形状のいくつかの例を示す図である。
【図16】 ローラの断面形状を示す図であり、特に接触領域外側の形状も含めて示す図である。
【図17】 図16のローラ形状の効果を示す図である。
【図18】 最大接触応力の低減の様子を示す図であり、特にハーフトロイダル変速機構の場合を示す図である。
【符号の説明】
10 ローラ、14 ローラ動力伝達面、16 ディスク、20 ディスク動力伝達面、22 接触領域、24 接触中心線。

Claims (5)

  1. 入力部材の回転を、前記入力部材に転がり接触する出力部材へ、摩擦により伝達する摩擦伝動装置であって、
    前記入力部材と前記出力部材の間の摩擦力のベクトルに直交する平面において、前記入力部材と前記出力部材を押し付ける荷重が定格荷重において両部材が接触する接触範囲と、その接触範囲外との、両部材の形状が、
    前記接触範囲においては、前記入力部材と前記出力部材が押し付け荷重0で接触していると仮定したときの両部材の間隔を定義する関数の形状が非円弧形状であり、前記摩擦力のベクトルに直交する平面において、定格荷重近傍における前記入力部材と前記出力部材の接触応力の最大値が、前記関数の形状が円弧形状である場合よりも小さい、非円弧形状であり、
    前記接触範囲外においては、前記入力部材と前記出力部材が押し付け荷重0で接触していると仮定したときの両部材の間隔を定義する関数の形状が、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点にてこれらの部材の表面に接する円弧形状または、これより両部材の間隔が狭くなる形状であ
    前記円弧形状は、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点を通り、かつ定格荷重における接触範囲の端にて、接触範囲における両部材の間隔を定義する前記関数と交差するものである、
    摩擦伝動装置。
  2. 入力部材の回転を、前記入力部材に転がり接触する出力部材へ、摩擦により伝達する摩擦伝動装置であって、
    前記入力部材と前記出力部材の間の摩擦力のベクトルに直交する平面において、前記入力部材と前記出力部材を押し付ける荷重が定格荷重において両部材が接触する接触範囲と、その接触範囲外との、両部材の形状が、
    前記接触範囲においては、前記入力部材と前記出力部材が押し付け荷重0で接触していると仮定したときの両部材の間隔を定義する関数の形状が非円弧形状であり、前記摩擦力のベクトルに直交する平面において、定格荷重近傍における前記入力部材と前記出力部材の接触応力が、接触領域の端部付近で、端部に向けて単調に減少する形状であり、
    前記接触範囲外においては、前記入力部材と前記出力部材が押し付け荷重0で接触していると仮定したときの両部材の間隔を定義する関数の形状が、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点にてこれらの部材の表面に接する円弧形状または、これより両部材の間隔が狭くなる形状であ
    前記円弧形状は、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点を通り、かつ定格荷重における接触範囲の端にて、接触範囲における両部材の間隔を定義する前記関数と交差するものである、
    摩擦伝動装置。
  3. 入力部材の回転を、前記入力部材に転がり接触する出力部材へ、摩擦により伝達する摩擦伝動装置であって、
    前記入力部材と前記出力部材の間の摩擦力のベクトルに直交する平面において、前記入力部材と前記出力部材を押し付ける荷重が定格荷重において両部材が接触する接触範囲と、その接触範囲外との、両部材の形状が、
    前記接触範囲においては、前記入力部材と前記出力部材が点接触していると仮定したときの両部材の間隔zを表す関数が、前記両部材の接触点における接線上の前記接触点からの距離xを用いて、
    Figure 0004053758
    で表され、
    前記接触範囲外においては、前記入力部材と前記出力部材が点接触していると仮定したときの両部材の間隔を定義する関数の形状が、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点にてこれらの部材の表面に接する円弧形状または、これより両部材の間隔が狭くなる形状であ
    前記円弧形状は、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点を通り、かつ定格荷重における接触範囲の端にて、接触範囲における両部材の間隔zを定義する前記関数と交差するものである、
    摩擦伝動装置。
  4. 入力部材の回転を、前記入力部材に転がり接触する出力部材へ、摩擦により伝達する摩擦伝動装置であって、
    前記入力部材と前記出力部材の間の摩擦力のベクトルに直交する平面において、前記入力部材と前記出力部材を押し付ける荷重が定格荷重において両部材が接触する接触範囲と、その接触範囲外との、両部材の形状が、
    前記接触範囲においては、前記入力部材と前記出力部材が点接触していると仮定したときの両部材の間隔zを表す関数が、前記両部材の接触点における接線上の前記接触点からの距離xを用いて、
    Figure 0004053758
    で表され、
    前記接触範囲外においては、前記入力部材と前記出力部材が点接触していると仮定したときの両部材の間隔を定義する関数の形状が、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点にてこれらの部材の表面に接する円弧形状または、これより両部材の間隔が狭くなる形状であ
    前記円弧形状は、押し付け荷重0のときの前記入力部材と前記出力部材の接点を通り、かつ定格荷重における接触範囲の端にて、接触範囲における両部材の間隔zを定義する前記関数と交差するものである、
    摩擦伝動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦伝動装置において、前記接触範囲と接触範囲外の境界付近は、前記関数の形状が滑らかに連続している、摩擦伝動装置。
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