JP4053741B2 - 遊技機回路基板ユニット、改造検出機、真贋判定機、および遊技機 - Google Patents

遊技機回路基板ユニット、改造検出機、真贋判定機、および遊技機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ台の制御装置から遊技店の管理用コンピュータへの信号出力に用いられる回路基板等、その改造や交換を規制すべき回路基板を含む基板アセンブリに関する。本発明は、より詳細には、回路基板の改造や交換を防止するための部材を備えた基板アセンブリ、この基板アセンブリの検査のための検査方法及び検査機、この基板アセンブリの用途の一例である遊技機用基板及び端子板、並びにその端子板を用いた遊技機に関し、特にメーカ毎にまちまちであったパチンコ台の外部端子板の統一化に関する。
【0002】
なお、本願では、回路基板の表面若しくは内部に実装された部品を除去若しくは交換し又は回路基板の表面若しくは内部に部品を追加すること、回路基板の表面若しくは内部に形成されている導体パターンを除去若しくは短絡し又は回路基板の表面若しくは内部に導体パターンを追加すること、回路基板を単独で又はその付属部品と共に他の回路基板に交換すること、並びにそれらをやり遂げず中途で断念したことを、いずれも回路基板の「改造」と総称する。
【0003】
更に、本願では、「改造」をこれから実施しようとしている者及び既に実施した者を何れも「改造者」と称する。文中の「改造者」が改造未実施の者を意味するのかそれとも既実施の者を意味するのかについては、文脈及び文意に即してかつ当業者の常識に従い理解されたし。
【0004】
また、本願では、改造のターゲットとなりうる回路基板を「改造対象基板」と称する。本願ではパチンコ台の盤用端子板を例として記述を行うが、これは記述の具体化ひいては読者による理解の促進のためであり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、パチンコ台その他の遊技機に限らず、その改造や交換を規制・防止すべき各種の回路基板に適用しうる。
【0005】
そして、本願では、各種の受動素子、能動素子、集積回路等の回路部品に限らず、回路基板に搭載されるコネクタ等の機能部品も、基板に搭載された「部品」に該当するものとする。また、本願では、回路基板の改造を防止するために回路基板に付設した部材をも、回路基板に搭載された「部品」としてとらえている。いくつかの実施形態においては、その種の「部品」の除去交換等を防ぐ手だてを採用している。
【0006】
【従来の技術】
パチンコ店の経営・運営に際して必要な点の一つに、遊技客の射幸心を徒に煽らないようにし、また遊技客に理不尽な不利益が及ばないようにすることがある。そのための策の一つとして、パチンコ業界及びこれを所轄する官庁・機関では、玉の出方等を左右する回路・機構(いわゆる「盤」)を制御する装置を各パチンコ台に設けることとし、外部から玉の出方等を容易に操作できないようにする、という策を採っている。通常、この制御装置は、CPUを搭載する制御基板として、パチンコ台の背面に実装される。
【0007】
また、パチンコ店の経営・運営に際しては、遊技客に紛れ込んでいる不心得者による不正な玉・盤の操作を防止することが、必要である。そのためには、発射ハンドル、玉貸し機、扉等、遊技客により操作され得る機構(いわゆる「枠」)の状態を監視することが、必要である。更に、パチンコ店を効率的に経営するには、盤の動作状況、例えば大当たりの頻度や図柄確定状況等に関する情報を、集中的に管理する必要がある。これらの必要から、枠や盤の状態を示す信号を出力するための装置を各パチンコ台に設け、ホールコンピュータ等と称される管理用コンピュータにてこの装置からの信号を受け取って、店内に設置されている多数のパチンコ台の稼働状況をリアルタイムに把握する、というシステム構成が採られるのが一般的である。パチンコ台から管理用コンピュータへの信号出力装置は、端子板等と呼ばれ、パチンコ台の背面に実装されるのが一般的である。
【0008】
図1に、上述したシステムを示す。パチンコ店内に設置されている複数のパチンコ台10は、それぞれ、回路・機構12、制御基板14、枠用端子板16及び盤用端子板18を有している。回路・機構12は枠と盤をまとめて描いたものである。制御基板14は上述の制御装置に、枠用端子板16及び盤用端子板18は上述の信号出力装置にそれぞれ該当する回路基板である。枠用端子板16は枠の状態を示す信号を出力するための端子板であり、盤用端子板18は盤の状態を示す信号を出力するための端子板である。また、店内に設けられている複数のパチンコ台10は、管理用コンピュータ20の管理下におかれている。
【0009】
枠用端子板16は、本質的にはパチンコ台10から管理用コンピュータ20への信号出力用の端子板である。他方、盤が専ら制御基板14上の回路により制御されていることから、盤用端子板18は制御基板14から供給される信号を管理用コンピュータ20へと出力する端子板として使用される。制御基板14はCPU等のデバイスが実装された基板であり、CPUは盤の制御を実行する。制御基板14からは、その結果を示す信号即ち盤の動作状態を示す信号が、盤用端子板18を介して管理用コンピュータ20に出力される。より具体的には、「大当たり」の回数及び期間、「特別電動役物」の作動回数、「図柄」の確定回数等を特定する情報等を、信号出力する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
パチンコ等の商業遊技は、いたずらに射幸心をあおらないよう、また遊技客が理不尽な不利益を被らないよう、公正に実施されねばならない。しかしながら、往々にして、パチンコ台の改造をはじめとする各種の不正が発生する。例えば、本来は信号出力用端子板である盤用端子板を改造して、不正或いは不法な動作を指令する信号を制御基板上のCPUに供給できるようにする、という不正が行われることがある。
【0011】
盤用端子板及びその周辺の改造の典型的手口としては、盤用端子板のコネクタを改造する、盤用端子板の配線パターンを切断・短絡・改変する、盤用端子板上の部品を除去又は交換する、盤用端子板に部品を追加する、盤用端子板を収納しているカシメケースの封印シールをはがし盤用端子板自体をパチンコ台から取り外して偽造品・模造品と交換する、その際封印シール自体も偽造・模造しておきそれを用いて再びシールする等、様々な手口がある。このように多様な手口があることから、パチンコ台の改造を検出するための検査を担当する者の負担が、従来は非常に重いものとなっていた。また、使用される手口の種類や巧妙さによっては、熟練した検査担当者でもパチンコ台の改造を容易に発見できないこともあった。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、パチンコ台の盤用端子板等に代表される各種回路基板の改造等をより容易にかつ低コストで迅速に発見できるようにすること、また改造を心理的又は物理的に妨害して改造を防止できるようにすること、回路基板の検査に際する作業者の負担を軽減しより容易かつ正確にまた短時間で改造を発見できるようにすること等を、その目的としている。特に、パチンコ台等の遊技機との関連では、本発明は、メーカ毎にまちまちであったパチンコ台の端子板を統一するにあたって不正改造されにくくかつ不正改造を発見しやすい高セキュリティの基板アセンブリを提供すること、遊技機の検査担当者の作業負担を軽減すること等を、その目的としている。本発明は、これらの目的を、回路基板を含めた基板アセンブリの改造によって、またそれに伴う検査方法及び検査機の改良によって、達成することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この様な目的を達成するため、本願においては、回路基板および改造検出パターン導体線を備える遊技機回路基板ユニット、その検査のための改造検出機、真贋判定機、ならびに当該遊技機回路基板ユニットを統一化端子板として備えることを特徴とする遊技機を提案する。
【0014】
(1)基本構成及び代表的用途
本発明における回路基板(以下、「改造対象基板」とも呼ぶ)は、例えばパチンコ台等の遊技機に端子板として設けられる回路基板である。回路基板は、通常、その表面又は内層に配置・形成された導体パターンを有している。この導体パターンは、通常、ランド等のように比較的面積の広い部分や、それらの間を接続するための配線に当たる部分や、異なる層(例えば表面と内層、内層と他の内層)に属する導体間を接続するためのスルーホール導体等から、構成されている。また、回路基板の表面又は内層には、通常、この導体パターンによって相互に接続され、又はこの導体パターンによって回路基板外の回路・装置と接続される回路部品が、実装される。本願でいう回路部品には、各種の集積回路部品やコネクタ等の機能部品を含める。
【0015】
本発明の特徴の一つは、検査用通電経路を設けたことにある。本発明における検査用通電経路には、大まかには2種類の態様がある。そのうちの第1の態様は、検査基準となる電気的定数又は特性を有し、回路基板又はそれの表面若しくは内層に位置する部材(以下「基板側部材」と総称)に対する改造操作の痕跡を、検査基準から変化した電気的定数又は特性の形態で保持するものであり、第2の態様は、回路基板の所定個所に設けられている複数の検出電極及びこの検出電極に検査基準となる所定の電位を発生させる識別情報電圧発生手段を有し、基板側部材に対する改造操作の痕跡を、検出電極に現れる検査基準から変化した電位の形態で保持するものである。
【0016】
第1の態様に係る検査用通電経路を設けた場合は、検査用通電経路に関する電気的定数又は特性の実測によって、改造を発見することができる。そのためには、検査に先立つ所定の時点(例えば出荷前の時点)で、検査用通電経路の電気的定数値又は特性に関する設計値又は初期実測値を、基板アセンブリの製品仕様、ロット又は個別製品を特定するための情報と対応付け、検査基準として保存しておく。検査に際しては、検査用通電経路の電気的定数又は特性に関し検査機による実測を行い、基板アセンブリの製品仕様、ロット又は個別製品を特定するための情報に応じ、実測の結果得られた情報即ち電気的定数又は特性に関する実測値を、検査基準と比較する。検査基準に対して実測値が所定程度以上に大きな相違を有している場合、基板側部材に何らかの改造が施され、それに伴い検査用通電経路に電気的定数又は特性の変化が生じた可能性がある。本発明の第1の態様では、これを以て“改造の痕跡あり”とみなす。
【0017】
また、第2の態様に係る検査用通電経路を設けた場合は、検査用通電経路を構成する検出電極に現れる電位を調べることによって、その基板アセンブリの製品仕様、ロット又は個別製品を特定できると共に、改造を発見することができる。そのためには、検査に先立つ所定の時点(例えば出荷前の時点)で、検出電極の配置及び検出電極に現れるべき電位に関する情報を、基板アセンブリの製品仕様、ロット又は個別製品を特定するための情報と対応付け、検査基準として保存しておく。検査に際しては、少なくとも検出電極に現れる電位に関し検査機による実測を行い、基板アセンブリの製品仕様、ロット又は個別製品を特定するための情報に応じ、実測の結果得られた情報電位に関する実測値を検査基準と比較することによって、改造の有無を判別する。
【0018】
検査機としては、検査基準を入力又は記憶する手段と、実測及び比較を実行する手段と、その結果を出力し又は記憶する手段とを備えるものを、用いるのが望ましい。無論、電気的定数又は特性(第1の態様の場合)又は電位(第2の態様の場合)を検出する機能しか備えない装置でも、改造有無判別の資料となる情報を得ることはできる。
【0019】
本発明に係る基板アセンブリは、遊技機用の端子板をはじめとして、様々な分野にて使用できる。遊技機用の端子板としては、例えばパチンコ台の盤用端子板のように、遊技機により提供される各種機能を制御するための遊技機内制御基板(例えばCPUが搭載されている基板)、遊技機内制御基板から出力される信号を受信し遊技機の可動状況を把握する遊技機外管理装置(例えばホールコンピュータ)と、に接続される端子板がある。この種の端子板は回路基板を含む基板アセンブリとして実現しうる。この回路基板は、遊技機内制御基板と遊技機外管理装置とを接続するための導体パターンがその表面又は内部に形成され、この導体パターンを遊技機内制御基板及び遊技機外管理装置と接続するためのコネクタがその表面に実装され、更に上記導体パターンにおける信号伝送方向を規制するための部品がその表面又は内部に実装されたものである。この回路基板に対応して本発明の特徴たる検査用通電経路を設けることが可能であり、それによって、後に述べる各種の効果が得られる。また、本発明は、遊技機内制御基板を遊技機外管理装置に接続するための端子板を備え、遊技機内制御基板から出力される信号を端子板を介して遊技機外管理装置に出力する遊技機であって、端子板として本発明に係る端子板を備えたものとしても、表現することができる。
【0020】
(2)痕跡保持機能
以上の説明から明らかなように、本発明における検査用通電経路は、回路基板を改造した又は改造しようとした痕跡を保持する痕跡保持部材、という性格を有している。
【0021】
例えば第1の態様に係る検査用通電経路は、後述の被覆部材若しくはシートに配置された導体により又は回路基板側に配置された導体により実現できる。主としてパターン導体により実現することができるが、必要に応じスルーホールや平板キャパシタ等を活用する。また、単一の層(例えばシートの片面又は回路基板内の1層)のみを用いて形成してもよいし、複数の層(例えばシートの両面又は回路基板内の複数の層)を用いて形成してもよい。この通電経路の特定部位(例えば両端)には、検査担当者がテスタ等の検査機器、計測機器で通電経路の回路定数値を調べることができるよう、例えばパッチ状・ランド状の検出電極を設けてるのが望ましい。設ける個数は一対には限られない。
【0022】
第1の態様に係る検査用通電経路については、検査時に、その電気的定数又は特性が測定される。例えば、検査機から検査用通電経路に直流又は交流の電気信号を流し、その抵抗値等を測定する。測定対象となりうる電気的定数又は特性としては、抵抗、インダクタンス、静電容量等の集中定数値や、線路インピーダンス、反射係数等の分布定数値や、周波数特性、温度特性等の特性指標がある。これらは、いずれも、改造作業に伴い検査用通電経路が歪み又は断線し或いは検査用通電経路を含めた基板アセンブリ構成部品又は基板アセンブリ全体が交換されると、変化する。また、その変化の量は、設計値又は初期実測値に対して検出可能な程度に大きな変化となる。
【0023】
従って、検査担当者は、パターン設計等により定まる設計値や、出荷直前等に計測した初期実測値を基準情報として、検査時における実測結果をこの基準情報と比較することにより、改造の痕跡を比較的簡単に検出することができる。特に、初期実測値を製品仕様、ロット、個別製品(シリアル番号)等と対応付け、基準情報とすることにより、検査対象となっている基板アセンブリの製品仕様、ロット、個体等を実測結果に基づき識別することが可能となり、改造の有無をより綿密に調べることが可能になるだけでなく、正規品から正規品への不適法な交換等も検出できる場合がある。また、改造が巧妙に行われたため通電経路の変形や断線を視認できない場合でも、改造の痕跡を実測結果から検出できるため、巧妙な改造に対する有効な対処となる。更に、計測結果が数値で表されうることから、客観性の高い改造検出結果となると同時に、高度の熟練が検査担当者に対して要請されなくなる。これらの作用は、いずれも、高い改造痕跡保持機能を実現するものである。加えて、後述のように、目先の利く改造者に対して改造断念を心理的に強制し改造を妨害する効果もある。
【0024】
また、第1の態様に係る検査用通電経路については、改造作業に伴い電気的定数又は特性に測定可能な変化が現れるよう設計しておくのが望ましい。例えば、検査用通電経路の一部を比較的細いパターン導体又は薄い導体層とすることで、改造作業時に変形、断線又は破損して回路定数値の変化を引き起こす確率が高まるため、改造痕跡検出の信頼性が高まる。更に、検査用通電経路の電気的定数又は特性を、改造、特に交換の痕跡を保持・検出するための一種の識別情報として用いることもできる。例えば、検査用通電経路の一部を比較的細いパターン導体又は薄い導体層としておけば、製造の際にその電気的定数又は特性がばらつきやすくなり、製品毎に初期実測値が様々な値をとることとなる。この識別情報は、改造対象基板を個別製品単位、ロット単位、仕様単位等で区別するものであり、また、改造対象基板への記入や無線による発信等の手法を用いずとも改造対象基板に付与することができるものである。また、パターン設計に限らず、初期実測値がばらつくように導体層形成環境等の製造条件を設定するのが望ましい。かかる工夫によって、検査時における電気的定数又は特性の検査時実測結果を初期実測値と比較して改造の痕跡を検出するに当たって、交換の有無を好適に検出できることとなる。
【0025】
また、第2の態様に係る検査用通電経路は、電気的定数又は特性ではなく電圧が計測される点やそれに付随する相違点を除けば、第1の態様に係る検査用通電経路と同様の形態で実現し得る。即ち、第2の態様に係る検査用通電経路によっても痕跡保持機能を提供しうる。即ち、基板アセンブリに改造操作が施されると検出電極に現れる電位が変化する(現れなくなる)等の現象が生じうるため、これを以て改造の痕跡と判別できる。また、第2の態様においては電位に関する情報を識別情報として用いる。この形態による識別情報も、改造対象基板を個別製品単位、ロット単位、仕様単位等で区別するものであり、また、改造対象基板への記入や無線による発信等の手法を用いずとも改造対象基板に付与することができるものである。
【0026】
更に、第2の態様においては、識別情報付与のための回路や配線を、回路基板における導体配置や、スルーホール等を模した検出電極と共に、即ち改造者の目を欺く形態で、改造対象基板に設けることができる。そのため、識別情報付与のための手段が改造対象基板に設けられていること自体、改造者に悟られにくく、改造者が気づかないままに改造の痕跡が残る可能性が高い。また、第2の態様に係る検査用通電経路の存在が改造者に悟られたとしても、隠蔽された回路や配線を含めて正確に模造・偽造するのは困難であるため、改造(特に交換)の痕跡が好適に保持される確率が高い。なお、改造対象基板への記入や無線による発信等の手法を併用しても差し支えない。
【0027】
更に、検査用通電経路を第1の態様により実現する場合であっても第2の態様により実現する場合であっても、回路基板鉛直方向から見て検査用通電経路の少なくとも一部分が基板側部材と重なるようにしておくことが、有効である。このようにすれば、回路基板に実装されている部品や回路基板に形成されている導体等に対する改造操作の際に、検査用通電経路に“跡”が残る確率が高くなる。また、導体を蛇状又はすだれ状に配置することによって検査用通電経路を実現するのが有効である。この場合における導体の配置間隔は、回路基板の表面若しくは内層に位置している部材の寸法又は間隔以下の間隔とする。このようにすることによって、回路基板に実装されている部品や回路基板に設けられている導体に改造者がアクセスするための隙間が狭くなるため、改造操作の痕跡が残りやすくなる。特に、回路基板の表面と平行な複数の面をまたがるよう、かつ、当該複数の面のうち何れかの面における導体の配置と他の面における導体の配置とが回路基板鉛直方向から見て交差するよう、検査用通電経路に係る導体を配置することによって、回路基板側の回路部品や導体を網の目状に覆うことができ、従って改造操作の痕跡が更に残りやすくなる。検査用通電経路を、透かし文字、透かし記号又は透かし模様を描くような配置とすることによっても、目視による改造発見が容易となろう。
【0028】
更に、回路基板(及び後述の被覆部材やスペーサ)を有色又は無色の透明又は半透明な基板とすることによって、回路基板を表裏から透かして目視観察することができ、改造発見が容易になる。無論、導体の存在によって透明性は若干損なわれるとはいうものの、検査用通電経路に係る導体及び基板側部材に属する導体の配置及び形状の工夫によって、透明性を十分高い水準にすることができる。例えば、回路基板鉛直方向から見て検査用通電経路に係る導体の位置と基板側部材に属する導体の位置とが一致するよう、検査用通電経路を配置する。これにより、導体が存在するにもかかわらず基板アセンブリの透明性を維持できる。また、改造者が検査用通電経路の所在に気づかない確率が高まるため、当該導体に改造操作に伴う損傷が残りやすくなる。また例えば、回路基板鉛直方向から見て、導体被覆面積がそれ以外の部分の面積に対して狭くなるよう、検査用通電経路に係る導体並びに基板側部材に属する導体を配置する。ここでいう導体被覆面積とは、検査用通電経路に係る導体並びに基板側部材に属する導体の少なくともいずれかにより覆われる面積を指している。かかる配置の一例としては、それらの導体の幅をそれらの配置面内配置間隔より狭くしたもの、即ち導体幅に対する配線ピッチの比率を大きくしたものを掲げられる。これによって、導体が存在するにもかかわらず透明性を維持できるだけでなく、検査用通電経路等の導体を視認困難となり改造者が気づかないことがあり得るため、当該導体に改造操作に伴う損傷が残りやすくなる。そして、導体を薄くするのも有効である。
【0029】
また、検査用通電経路に係る導体を、基板側部材に属する導体と同一の幅又は形状とすることによって、検査用通電経路を改造者の目から隠蔽することができ、改造の痕跡が残りやすくなる。同様に、検査用通電経路の一部、例えば検出電極の形状及び寸法を、回路基板の表面又は内層に位置している導体の一部、例えば比較的面積が大きい導体であるスルーホール、ランド等と同一の形状及び寸法とすることによって、同様の隠蔽効果を得ることができる。また、フレキシブル基板に形成された通電経路が断線すると発光又は消灯する素子や断線の事実を記憶又は保持する回路等を、フレキシブル基板、改造対象基板、スペーサ等に設けておいてもよい。
【0030】
(3)妨害機能
本発明の好適な実施形態における検査用通電経路は、回路基板の改造を物理的に阻む妨害部材としての機能をも、備えている。
【0031】
本発明の好適な実施形態のうち妨害機能を備える実施形態によれば、改造対象基板の改造を物理的に阻むことができる。本発明の好適な実施形態においては、妨害機能は、改造を物理的に困難にする作用と、改造を断念する方向の心理的圧力を改造者に及ぼす作用とを、有している。また、両者の間には関連がある。即ち、改造が困難であることが改造者にわかるように妨害機能を設けることによって、改造者に対して心理的圧力を加えることができる。改造が困難であることがわかれば、それは妨害への対策を要求する心理的圧力や、妨害への対策費用を要求する経済的圧力となることから、改造者が改造自体を断念することもあろう。逆に、妨害機能があることを改造者に察知されないように妨害機能を設けることも、有効である。
【0032】
例えば、回路基板(及び被覆部材やスペーサ)を透明又は半透明とする。このようにすれば、改造に伴う部品配置・導体配置変化を容易に視認できるため、露見しないように改造することが困難であることから、改造者には改造断念の心理的圧力がかかる。また、検査用通電経路の形状によって同様の心理的圧力を及ぼすこともできる。例えば、検査用通電経路を複雑な又は緻密な幾何学的描画形状とする。工具の通る隙間がなければ検査用通電経路に改変を加えることは困難であるし、模倣するのも困難である。一部の改造者はそのため改造を断念するであろう。複雑又は緻密な幾何学的描画形状の例としては、蛇状又はすだれ状の導体配置がある。その際の導体の配置間隔は、基板側部材の寸法又は間隔以下の間隔とする。より好ましくは、複数の導体層配置面を用いて検査用通電経路を網の目状とする。これにより、検査用通電経路を迂回した改造操作が困難になり、従って改造が妨害される。更に、透かし文字、透かし記号又は透かし模様を描くよう、例えば各種の名称、印章、番号等が表現されるよう、検査用通電経路を設計することも、検査用通電経路模造・偽造を妨害する方向の心理的圧力を加える上で有効である。或いは、回路基板鉛直方向から見て基板側部材と重なる部分を有するよう、検査用通電経路を配置することによって、改造を行うとその痕跡が検査用通電経路に残るとの心理的圧力が改造者に及び、結果として改造が妨害されることがある。
【0033】
逆に、各種導体を容易に視認できないように導体の細さ、膜厚、配線ピッチ等を設定し、検査用通電経路の所在を改造者から隠蔽することによって、検査用通電経路の断線を回避する策が採られることを、防ぎやすくなる。
【0034】
このように、本発明の好適な実施形態においては、改造そのものが行われにくくなるため、検査担当者による検査作業が省力化及び迅速化される。即ち、遊技店の公正な運営と遊技客の適正な享楽とを従来よりも簡便にかつ低コストで実現できる。また、第1の態様においては、前述の通り、検査用通電経路の電気的定数又は特性を、意図的にばらつかせ、改造、特に交換の痕跡を保持・検出するための一種の識別情報として用いることとすることができる。このようにすれば、交換等の有無を好適に検出できるだけでなく、改造を妨害することができる。即ち、改造者が仮に電気的定数又は特性のばらつきに気づいたとしても、検査用通電経路の模造・偽造に当たってそのばらつきを再現すること或いは目的とする特定の初期実測値を正確に再現することは難しいから、改造に対する物理的妨害となり、また改造者に対する心理的圧力となる。
【0035】
(4)効果
このように、本発明によれば、改造対象基板に施された改造操作(未遂及び交換を含む)の痕跡を、検査用通電経路によって少なくとも検査時まで保存できるため、検査担当者が改造の事実を容易にかつより確実に察知できる。その結果、検査担当者の労力が軽減されると同時に検査作業が効率化されるため、遊技店の公正な運営と遊技客の適正な享楽の維持及び実現という目的に、従来よりも簡便にかつ低コストで貢献することができる。更に、改造作業を行うとその痕跡が残るであろう、と改造者が見て取れるような形態で痕跡保持機能を実現することにより、基板の改造を思いとどまるよう改造者に対して心理的に働きかけることができ、それによって改造自体が抑止されるため、検査担当者の労力低減等の各効果がよりいっそう顕著になる。或いは、検査用通電経路を改造者から隠蔽する構造とすることによって、痕跡保持機能が強化される。
【0036】
また、本発明の好適な実施形態のうち痕跡保持機能及び妨害機能を併有する実施形態によれば、検査労力低減等の効果がいっそう顕著になる。本発明の好適な実施形態においては、検査用通電経路を設けることにより妨害及び痕跡保持の両機能を実現することができるため、両機能を付加することによる装置構成の肥大・複雑化を最低限に抑えることができる。また、本発明における検査用通電経路等の実現形態としては、改造対象基板の外装構造を工夫するもの、改造対象基板の形状・構造・配置・搭載回路を工夫するもの、これらを適宜組み合わせたもの等がある。これらの手だては、いずれも比較的簡便な措置により実現できるため、本発明の実施は容易でありかつ低コストですむ。
【0037】
(5)被覆部材を用いた検査用通電経路の実現
改造対象基板の外装構造の工夫により検査用通電経路を実現する実施形態としては、回路基板の表面のうち少なくとも一部を被覆する被覆部材を設け、この被覆部材に検査用通電経路を配置したものがある。この被覆部材は、改造操作が施されたとしてもその痕跡が残るように、また改造作業に際して邪魔になるように、回路基板を被覆する。更に、被覆部材による妨害機能を強化するため、好ましくは、シートを回路基板に固定する際に、強力な接着剤を使用する。強力な接着剤を使用して人為的剥離を困難にすることによって、被覆部材を改造対象基板から剥がした上で改造対象基板上の部品や導体パターンにアクセスするという手口を、より好適に防止できる。
【0038】
また、この被覆部材は、好ましくは、回路基板の表裏両面のうち部品が搭載されている部分のほぼ全体を覆うよう、設ける。この部位を被覆シートにより覆うのは、改造に当たって改造者が接触しようとするのが多くの場合これらの部位であるためである。更に好ましくは、部品を搭載していない部位を含め、回路基板の表裏両面を覆うようにする。それによって、例えば回路基板の部品(非)搭載面から工具の刃先を刺して部品搭載面にアクセスする手口や、部品(非)搭載面から工具の刃先を刺して回路基板の内層に存在する導体パターンや部品にアクセスする手口を、物理的に妨害できまたその事実を痕跡として残すことができる。
【0039】
但し、回路基板がその片面のみに部品を搭載する基板である場合には、部品非搭載面をほぼ全面に亘って導体層(例えばアース)を形成しておくようにしてもよい。それにより、当該導体層により回路基板内層の導体パターンが隠蔽され視認しづらくなり、また工具の刃先の痕跡が残りやすくなるため、類似した効果が得られる。部品搭載部位のうち一部(例えばコネクタ実装部位)を被覆部材による被覆範囲から除いてもよい。一部の部品や導体パターンについてはモールド又はポッティングにより樹脂被覆するようにしてもよい。このように、被覆部材を利用した外装によって、基板の顕著な大型化や複雑化なしに、改造を物理的若しくは心理的に妨害し又はその痕跡を保持することができる。
【0040】
被覆部材としては、好ましくは、有色又は無色の透明又は半透明の部材、例えば透明又は半透明のフィルム、フレキシブル基板等を用いる。このようにすれば、被覆部材に設けられている検査用通電経路、回路基板に設けられている導体、回路基板に実装されている回路部品等の一部を、被覆部材配置面側から目視観察することができる。即ち、改造操作に伴う外観上の変化、例えば導体・部品配置の変化や透明度の変化を、改造の痕跡として察知することができる。無論、検査用通電経路に係る導体により占有されている部分については透明性が損なわれるであろうが、検査用通電経路に係る導体により占有されていない部位のうち少なくとも一部については、透明又は半透明であるため、かかる効果が得られる。また、被覆部材を接着剤により固定する際には、その接着剤としてできるだけ透明性を損なわないものを選んで使用する。
【0041】
また、被覆部材としてフィルム、フレキシブル基板等を用い、これを回路基板表面に直接かぶせた場合、回路基板表面に現れている凹凸又は湾曲が被覆部材における検査用通電経路配置面にも現れやすいため、検査用通電経路が歪む可能性がある。この歪を防ぎ、検査用通電経路の状態をより安定にするには、被覆部材としてシート及びスペーサを重ねたものを用いるのが望ましい。検査用通電経路はシートの表面又は内層に形成され、このシートと回路基板表面との間には所定厚みのスペーサが介在する。回路基板表面が十分平坦であれば、回路基板表面に対するシートの間隔は一定となる。シートとスペーサとの間及びスペーサと回路基板の間は、好ましくは、強力でかつ透明性を損ないにくい接着剤にて接着する。このような構造とすることにより、検査用通電経路配置面の平坦度が向上し又は変化しにくくなるため、改造操作が施されたものとそうでないものとを検査時に的確により区別できることとなる。また、スペーサを使用することによってシートの歪みを防ぐことができひいては接着面が平坦になるため、接着がより堅固なものになり、妨害効果が高まる。更に、回路基板表面に回路部品等の部材が実装されている場合、その部材とスペーサとが抵触しないようにするため、その部材の位置と対応するスペーサ上の部位に、切欠、貫通孔又は盲孔を設けるのが望ましい。この場合、スペーサの厚みは、改造対象基板上の部品の高さ以上とする。シートのスペーサ側の面に導体が露出している場合には、かかる構造のスペーサを用いることによって、フレキシブル基板と部品との電気的接続・結合をも防ぐことができる。
【0042】
(6)回路基板による検査用通電経路の実現
また、検査用通電経路を、回路基板の表面又は内層に配置することもできる。その場合の回路基板としては、好ましくは、多層基板を使用する。回路基板自体に検査用通電経路を設ける利点の一つは、被覆部材なしで改造痕跡保持機能を強化することができること、従って全体の部品コスト、製造コスト、製品重量等の点で優れていることである。
【0043】
検査用通電経路の形成部位は、好ましくは、改造対象基板の外部露出面又は内層であるところの部品非搭載面とする。但し、検査用通電経路の少なくとも一部を部品搭載面に設けることもできる。検査用通電経路の一部たる検出電極を外部に露出させるようにすれば、検査担当者がテスタのプローブ等を直接検出電極に接触させることができる。
【0044】
また、検査用通電経路のうち検出電極を含むごく一部を外部露出面に設け、残りを全て内層に設け、両者をスルーホールや基板利用の平板コンデンサにて結合させる構造とすれば、検査用通電経路が改造者により発見されにくくなり、改造の痕跡が残さないための手だてを改造者が採るのが難しくなるから、痕跡を残さない巧妙な手口の開発を妨げることができる。即ち、検査用通電経路を隠蔽できまたその改造の痕跡を留めやすくなる。更に、検査用通電経路(の一部)が内層に設けられていることが改造者に知られていたとしても、搭載されている部品や形成されている回路用の導体パターンが支障となり、検査用通電経路の位置や形状等は容易に見て取ることができないため、改造の物理的妨害又は痕跡保持の機能が強まる。更に、改造対象基板に搭載されている部品のうちコネクタ等の高背の部品についても、機械的・物理的な干渉を特に考慮する必要がなく、またその直下部位まで通電経路を張り巡らす設計が可能であるから、高背部品をターゲットとした改造へのより好適な対策となる。また、検出電極が改造対象基板に設けられているため、配線をのばして遠隔地で不正改造を検出することや複数の基板を一括集中監視することもできる。
【0045】
なお、検出電極は一対に限られない。
【0046】
(7)第2の態様による検査用通電経路の各種実現形態
第2の態様に係る検査用通電経路の実現形態としては、識別情報電圧発生手段が、複数通りの電圧を発生させる電圧発生手段(例えば電圧レギュレータ)と、この電圧発生手段にて発生した複数通りの電圧を各検出電極に分配印加する導体とを有し、回路基板における導体配置が、検出電極を回路基板の導体に短絡する又は検出電極を回路基板上の導体から絶縁して開放状態とすることにより検査基準となる所定電位を検査電極に発生させるための導体配置を含んでいるというものがある。この場合における識別情報電圧発生手段は好ましくはその出力電圧たる識別情報電圧を切り換えることが可能な構成とする。更に好ましくは、識別情報電圧発生回路を基板の内層に設ける。
【0047】
いずれの実現形態においても、検査用通電経路は、例えば回路基板内部に忍ばせた導体や各層導体間を接続するスルーホールを用いて形成することができ、またその検査用通電経路を改造者から隠蔽することができる。例えば、検出電極は、検査担当者がテスターのプローブ等でチェックを行えるよう回路基板の外面に設ける。また、検出電極に混在して、検出電極を模した形状を有する擬似検出電極を配置し、本物の検出電極を見つけにくくする。例えば、スルーホール等、回路基板上の回路に付随する導体と誤認しやすい形状・構造にて設ける。識別情報電圧発生手段と検出電極との間を接続する配線は、回路基板に形成したパターン導体やスルーホールを駆使して実現する。好ましくは、このパターン導体は回路基板の内層を引き回すこととする。更に好ましくは、回路基板の内層にあるこの配線が隠れるよう、基板本来の配線に係るパターン導体の位置・形状等を設定する。隠蔽されている検出電極及び検査用通電経路を設けることによって、改造痕跡(特に交換の痕跡)を保持することができ、しかも比較的低コストでの実現が容易である。また、第2の態様による検査用通電経路は、好ましくは、その内層にも導体層を備える多層基板を用いて実現する。
【0048】
(8)その他
また、検査用通電経路は、複数本の導体配線を並列接続した構造とするのが望ましい。これにより、導体配線間の導通をチェックする等して改造を検出できるだけでなく、検査用通電経路を構成する導体を微細な配線にした場合でも、製造不良が多く発生することを防止できる。また、回路基板の表面又は内層に位置している導体を、同一信号の伝送に使用される導体を複数本並列接続した構造とするのが望ましい。当該複数本の導体のうち何れかが改造者により切断されたとしても、それにより直ちに基板アセンブリ本来の機能が改変されるわけではないため、改造されにくい基板アセンブリが得られる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態に関し図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、説明の平易さを保つため図1に示したシステム及び台の構成を前提とする。また、各実施形態に係る基板はいずれもパチンコ台10の盤用端子板18として好適に使用しうるものであるが、他種の装置にて或いは他種の基板としても使用されうるものである。更に、以下の説明では、従来技術と本発明の実施形態との間又は本発明の実施形態同士の間で共通又は対応する部材には同一の符号を付し重複する説明を省略する場合がある。
【0050】
図2に、本発明の第1実施形態に係る基板アセンブリにおける被覆構造を示す。この実施形態における基板100は、盤用端子板18等として使用される回路基板であり、絶縁体から形成されたリジッドな又はフレキシブルな基板である。この基板100に実装された集積回路等の部品102は、基板100の片面(部品搭載面104)に実装され或いは基板100の内部に埋め込まれており、基板100の裏面(図では見えない側の面)には実装されていない。同様に、部品102をコネクタ112又は114に接続し又は部品102同士を接続する導体パターンは、すべて、部品搭載面104上に被着形成された導体か、基板100の内層に埋め込まれた導体により、形成されている。裏面にはこの種の導体パターンが形成されておらず、例えば、接地電位のベタ導体とする。
【0051】
本実施形態では、基板100の部品搭載面104のほぼ全体、特に部品102や導体パターンが形成されている部位が、被覆部材により被覆されている。この被覆部材は、絶縁体例えばアクリル等のプラスチックのスペーサ106を介して絶縁体のフレキシブル基板108により面104を覆う部材である。フレキシブル基板108及びスペーサ106は、導体が配置形成されている部分を除き、有色又は無色の透明又は半透明(以下単に「透明」と称する)とする。基板100をも透明としてもよい。基板100とスペーサ106との間及びスペーサ106とフレキシブル基板108との間は、可能な限り強力でかつフレキシブル基板108やスペーサ106の透明性を損なわない接着剤により、接着する。スペーサ106の厚みは一定であり、部品102のうち最も高背のものの高さと同じか、それよりも若干厚くなるよう、設定しておく。
【0052】
均一厚みのスペーサ106を設けるのは、一つには、フレキシブル基板108を基板100に直接接着するとフレキシブル基板108が部品102の実装個所及びその近傍でゆがみ、フレキシブル基板108上の導体が歪むためである。スペーサ106を設ける目的としては、更に、接着強度確保による改造妨害、という点がある。
【0053】
即ち、スペーサ106は、均一厚みであるだけでなく各所に孔や切欠を有している。例えば、図中の貫通孔又は盲孔110は、部品102と抵触しないよう、それらの実装位置と対応する位置に設けられている。また、図中の切欠116及び118は、コネクタ112及び114と抵触しないよう、それらの実装位置と対応する位置に設けられている。従って、部品搭載面104に部品102並びにコネクタ112及び114が実装されているにもかかわらず、フレキシブル基板108の接着先の面を平坦な面とすることが可能であり、高い接着強度を得ることができる。他方、部品搭載面104は部品102並びにコネクタ112及び114やその周囲のランド等を除けばほぼ平坦であり、従って部品搭載面104へのスペーサ106の接着強度は高い。これら、2個の界面における高い接着強度によって、人為的剥離操作が困難になるため、フレキシブル基板108等をはがす作業を伴う改造は物理的に困難になる。なお、部品102のひとつ一つに対応して孔110や切欠を設けるのではなく、複数の部品102を一つの孔110に収容するといった構成としてもよい。
【0054】
更に、フレキシブル基板108には、導体例えばパターン導体130、132等が配置されている。パターン導体132がフレキシブル基板108の下面に露出している場合は、スペーサ106及び接着剤は、当該パターン導体132と部品102等との接触・電気的結合を防ぐ役割も果たすこととなる。
【0055】
基板100の端縁部に設けられているコネクタ112及び114は、管理用コンピュータ20や制御基板14側との接続に用いられるコネクタである。これらとの抵触を避けるため、スペーサ106の端縁部には前述の通り切欠116及び118が設けられており、フレキシブル基板108の端縁部にも切欠120及び122が設けられている。スペーサ106及びフレキシブル基板108を載せ接着した後、これらの切欠とコネクタとの間をポッティング樹脂等により埋め、或いは強引にコネクタを外すとフレキシブル基板108が破損するようコネクタカバーを設け、コネクタやケーブルの改造を妨害するのが望ましい。
【0056】
なお、図中の124,126及び128は、それぞれ基板100,スペーサ106及びフレキシブル基板108の隅部に設けられている取り付け孔であり、パチンコ台10等への取り付けはこの孔を用いた締結等により行う。
【0057】
フレキシブル基板108は、図中上側の面及び下側の面それぞれに、銅等によるパターン導体130及び132を被着形成した構成を有している。図示した例では、パターン導体130及び132はいずれも蛇状或いはクランク状の一筆書きパターンを有している。これに代えすだれ状のパターンとしてもよい。フレキシブル基板108は、更に、パターン導体130とパターン導体132とを電気的に接続するための構造を有しており、図示の例ではこの構造はスルーホール134として実現されている。フレキシブル基板108は、このスルーホール134の他にもう1個、パターン導体130の一端をフレキシブル基板108の上側の面に引き出すためのスルーホール136を有している。フレキシブル基板108の図中上側の面には、パターン導体130の他に、パッチ状の検出電極138及び140並びに電極接続用の導体142が被着形成されており、検出電極138はパターン導体130の一端に、検出電極140は導体142を介してスルーホール136によりパターン導体132の一端に、それぞれ接続されている。
【0058】
従って、フレキシブル基板108は、検出電極138→パターン導体130→スルーホール134→パターン導体132→スルーホール136→導体142→検出電極140、という通電経路を提供しているといえる。
【0059】
以上のような構成を有する基板100に、部品102の除去・交換、回路パターンの除去・変更等の改造を施すには、フレキシブル基板108やスペーサ106等、部品搭載面104に手を加える上で障害となる部材を剥がすか、或いはそれらを少なくとも部分的に切断(切る、削る等)しなければならない。しかし、フレキシブル基板108やスペーサ106の接着に強力な接着剤を用いているため、それらを剥がすのは困難である。仮に、強引に剥がしたとしても、大抵の場合はフレキシブル基板108、スペーサ106或いは基板100の導体等が破損する。従って、改造作業に際し剥がしたフレキシブル基板108やスペーサ106を改造作業後に再接着したとしても、破損部位(破れ、切れ目、半濁箇所等)の視認によって、検査担当者が改造等の事実を容易に察知できる。この点は、フレキシブル基板108やスペーサ106を切断した場合についても、同様である。目先の利く改造者であれば、改造前の視認でこれらの“事態”を予測できるであろうから、本実施形態に係る構造は、改造を断念するよう心理的に強制する効果を有しているといえる。
【0060】
また、仮に、剥離作業や切断作業が巧妙に行われ、それらに伴うフレキシブル基板108の破損が軽微な視認できない程度のものにとどまっていたとしても、本実施形態においてはそれをテスタ等の簡便な装置で検出できる。
【0061】
例えば、図3に示すように、設計・製造(200)の際に作成・使用した導体配置等に関する設計情報に基づき上述の通電経路に関する電気的定数や特性の設計値を求める。或いは、製造後出荷前等の時点で実測により当該電気的定数や特性を計測して初期実測値を得る。このようにして製造後出荷前等の時点で検査基準に関する情報を作成し(202)、作成した検査基準を保存し(204)、更に検査機に入力又は記憶させる(206)。設計値を検査基準として用いる場合は、その検査基準がどのような製品仕様における設計情報に基づくものなのかを示す情報と対応付けておく。また、初期実測値を検査基準として用いる場合は、その検査基準がどのロット又は個別製品に関するものなのかを示す情報と対応付けておく。なお、ここでは、ロット毎に電気的定数等の初期実測値をサンプル計測しその代表値(平均値等)を以てそのロット全体の検査基準とすることをも想定している。
【0062】
検査機としては、例えば図4に示す構成のものを使用することができる。この図に示されている検査機は、検出電極138と検出電極140との間で電気的定数値(抵抗、インダクタンス、キャパシタンス等)や電気的特性を測定する処理を実行する計測部208、並びにこのこの測定の結果を検査基準に照らすことにより改造の有無を判別する改造判別部210を、有している。改造判別部210にて使用する検査基準については、検査機内の記憶部212に記憶させておくようにしてもよいし、通信インタフェース214を介した通信により随時入力するようにしてもよい。製品仕様(設計)、ロット(製品群)、個別製品等の特定に必要な情報は、記憶部212や通信インタフェース214や検査担当者が操作する入力部216から与えればよい。基板100上に識別符号を出力する素子を設けておきその識別符号を通信インタフェース214により入力するようにしてもよい。また、改造判別部210による判別の結果即ちどの基板100に改造が施されているのかを示す情報は、音声、映像、通信等の形態での出力を行う出力部218から検査担当者に知らしめてもよいし、一時的に記憶部220に保存してもよい。
【0063】
いずれにしても、例えば図5に示す手順に従い検査を行うことによって、改造を発見することができる。この図に示す手順においては、まず、検査機を用いその計測部208にて計測に関する処理を実行し(222)、その結果得られた実測値を改造判別部210にて検査基準(及び検査対象となっている設計、製品群又は個別製品を特定する情報)と比較照合する(224)。フレキシブル基板108に形成されている上述の通電経路は、剥離や切断等に伴って断線し或いは歪むため、検出電極138と検出電極140との間で電気的定数(抵抗、インダクタンス、キャパシタンス等)や電気的特性を測定し、本来あるべき値即ち設計値や初期実測値からの変化を検出することによって、剥離作業や切断作業が行われた疑いがあることを、発見することができる。
【0064】
例えば、断線が生じていれば(固有)抵抗値は顕著に増大する。歪みが生じていれば抵抗値やインダクタンス値は微妙に変化する。即ち、検査用の通電経路には改造の有無を示す情報が電気的定数又は特性の形態で保存されているため、実測により得られる情報についての判別により改造の有無を知ることができる。また、検査基準として初期実測値を用いている場合は、初期実測値に反映されているロット毎又は個別製品毎の相違が、改造有無判別に反映される。この場合における検査基準は、それ自体、一種の識別情報である。従って、検査対象としている基板100が検査基準たる初期実測値を適用しうるロット又は個別製品なのかどうかと併せ、より緻密で正確な判別を実施できる。なお、改造者がフレキシブル基板108それ自体を模造・偽造し、その模造品・偽造品を用いることで改造を隠蔽するかもしれない。これを考慮すると、初期実測値が大きくばらつくように製造条件等を設定するのが望ましい。そのようにすれば、初期実測値の識別情報としての性格が強まるため、実測値を検査基準に照らすことにより、模造品・偽造品をより的確に発見できる。
【0065】
判別の結果は、出力部218から出力され又は記憶部220に保存される。予め設計情報に基づき又は初期測定により定めた検査基準と測定結果との比較による判別であるから、高い客観性があるだけでなく、目視確認では察知し得ない現象をとらえて改造を発見することができる。
【0066】
また、人間が行う作業であるため図5には示していないが、改造が行われたか否かを調べるための目視確認を、検査機による実測に前後して行うのが望ましい。図2に示した構造では、例えば、フレキシブル基板108の上側にあるパターン導体130等の配置を目視確認する。また、フレキシブル基板108及びスペーサ106が透明である場合には、それらを透かして部品102や部品搭載面104上の導体配置をも目視確認することができる。基板100も透明である場合には、基板100の内層や裏面における部品配置や導体配置を、裏面への部品追加有無等も含めて、目視確認することができる。従って、目視確認を優先して検査を行うのであれば、図2に示した部材のできる限り多くを透明にするのが望ましい。また、改造が困難であることを改造者に知らしめ改造を断念させるという効果を狙って、透明な部材を用いることもできる。即ち、透明化と同時に、フレキシブル基板108に通電経路が形成されていることがかろうじてわかる程度に導体の細さや薄さを設定しておくことで、“これを断線させないよう加工するのは難しいから改造は断念しよう”との印象を改造者に与えることができる。
【0067】
また、剥離作業や切断作業により電気的定数又は特性に測定可能な変化が現れるようにするには、パターン導体130及び132を含め、フレキシブル基板108に形成されている導体層を細いパターン或いは薄い導体層とすること、即ち改造作業に伴う破損等が生じやすい設計とすることが望ましい。改造作業時に断線や歪みが生じやすいようにするためパターン導体130及び132等の導体を細く又は薄く設計した場合、それらの導体を視認することが難しくなる。即ち、フレキシブル基板108に通電経路が形成されていることが、改造者に察知されにくくなる。従って、通電経路に影響が及ばないよう改造が行われてしまうことを、防ぎやすい面がある。
【0068】
いずれの場合でも、即ち改造者の目から検査用の通電経路を隠蔽する場合でも、改造者に対して改造の難しさを見せつける場合でも、フレキシブル基板108における通電経路をできるだけ緻密或いは複雑にし、工具の通る隙間をなくすことが有効である。まず、パターン導体130及び132の太さは、0.1mm等(製造工程上可能な範囲内で)できるだけ細くする。パターン導体130同士及びパターン導体132同士の間隔は、改造者が使用する工具の刃先が通りにくい間隔にするため、できるだけ狭くする。しかし、フレキシブル基板108を透明なものとしている場合は、その透明性がパターン導体130及び132によって損なわれないようにするために、太さ/間隔の値をできるだけ小さくする。従って、間隔を狭くすることと透明性を維持することとを考量し、太さが例えば0.1mmであるなら間隔を例えば0.6mmとする等、設計的な決定を行う。透明性を維持向上させる手法としては、フレキシブル基板108上の導体を薄くするという方法もある。更に、図2に示した例では、パターン導体130とパターン導体132とを直交させることにより網の目状のパターンとしている。そのため、改造者がカッター等の工具を刺す際の刃先の向きがタテかヨコかによらず、断線が起きる。即ち、刃先を具合よい向きで差し入れることで断線を回避する、というやりかたを防ぐことができる。
【0069】
また、図2に示した通電経路は検出電極138から検出電極140まで一筆書きできる比較的単純な経路であるが、本発明を実施する際にはより複雑な経路設計としてもよい。例えば、すだれ状の経路としてもよい。一筆書きできる経路とする場合でも、製造者若しくは検査担当者又はその所属若しくは管轄企業若しくは機関の名称又は印章、或いは製品の名称、製品番号、ロット番号、シリアル番号等が表現されるよう、パターン導体130及び132のパターンを設計して透かし文字、透かし記号、透かし模様等を入れるようにすれば、フレキシブル基板108の模造・偽造をより確実に防止・検出することができる。また、製造上の簡便さを優先して、フレキシブル基板108の表面又は内層を1面(1層)だけ用いて通電経路を形成するようにしてもよい。例えば、図6に示すような配置とする。この図に示した配置は、スルーホールを設ける必要がないため製造が容易である。フレキシブル基板108の図中の下側の面に導体が存在しないことから、スペーサ106の役割のうち電気的絶縁の役割を軽減でき、設計の自由度が高まる。また、ここでは、検出電極138と検出電極140とに挟まれているスペース188を、パターン導体130の配置用スペースの一部として利用することによって、フレキシブル基板108のスペースを有効利用している。
【0070】
また、特にフレキシブル基板108及びスペーサ106を透明なものにしている場合は、図7に示すように、パターン導体130及び132を基板100の表面又は内層の導体186と、基板100鉛直方向から見た位置をほぼ一致させまたその幅をほぼ一致させる等することが、改造防止に有効である。このようにすることにより、パターン導体130又は132を損傷することなく導体186を改変することが更に難しくなるため、改造者がそれを断念することがありうるし、仮に改造者がそれを実行したとしても、多くの場合、その痕跡がパターン導体130若しくは132の外観又は検査用の通電経路の実測結果に現れることとなる。
【0071】
更に、基板100側の部品102及び導体186の配置が図8に示すものであるなら、導体186の位置及び幅と同じ位置及び幅となるようパターン導体130又は132を設けた場合、基板鉛直方向から見たときの部品102周辺における導体配置は図9の如く見えるものになる。このように、パターン導体130及び132は部品102の直上(又は直下)を通るものとすることができ、そのようにすることによって部品102に関する改造の有無を目視確認することが容易になる。また、図8及び図9に示される例では、部品102用の各ランド190から複数本(ここでは3本)の導体186が引き出されている。このような構成とすることによって、導体186の何れかに損傷が生じてもそれと同じランド190に接続され並行して設けられている導体186が役割を果たすため、改造操作による機能改変が達成されにくい。
【0072】
また、図10に示すように、複数個の通電経路を併設してもよい。この図の例では、対をなす2組の検出電極138と検出電極140との間にそれぞれ通電経路を並行させることによって、隣接導体同士のブリッジ等による両通電経路の短絡を改造の痕跡として検出ができるようになる。即ち、改造者が改造の際に通電経路を切断しそれを隠すため切断箇所を接続(復旧)させようとしたときに、改造者が誤って隣接する通電経路(導体)間を短絡させる場合があり、図示した例ではこれを検出できる。その検出はテスタ等で実施でき容易である。また、基板製造時の通電回路の不良を検出できるようになる。また、並行する通電経路の数を増やすことにより、更に、上記検出の確率が高まる。
【0073】
更に、本実施形態では基板100の裏面(図2では隠れている面)には部品102を実装しないようにしている。基板100の裏面から基板100の部品搭載面104にアクセスされることを防ぐには、またそれを容易に検出できるようにするには、基板100の裏面をほぼ全面に亘って導体とするか、或いは部品搭載面104側と同じようにフレキシブル基板(及びスペーサ)で被覆するのが、望ましい。全面導体とした場合は、その導体をアースとして使用できる。部品搭載面104のうち回路配線用のパターン導体を形成しない部分も、そのパターン導体との絶縁用の間隙を除き、全面導体とするのが望ましい。また、基板100の表裏両面に部品102を実装するのであれば、表裏両面とも図2に示したフレキシブル基板及びスペーサで被覆するのが、望ましい。また、通電経路の途中にフレキシブル基板108を誘電体とする平板コンデンサを形成してもよい。
【0074】
なお、測定対象は、抵抗、インダクタンス、キャパシタンス等の集中定数値に限られない。例えば線路インピーダンス等の分布定数値を測定対象としてもよい。検出電極138と検出電極140との間で測定した電圧電流特性や周波数特性を、これらに代えて又はこれらと共に、検査対象としてもよい。また、検出電極を3個以上設け、検出電極の組合せを代えて複数組測定するようにすれば、更に改造検出の正確さ・信頼性が向上する。更に、フレキシブル基板108に形成された通電経路が断線すると発光又は消灯する素子や、当該通電経路が断線するとその事実をフリップフロップ等で保持する回路等を、フレキシブル基板108若しくは基板100に形成し又はスペーサ106に埋め込んでおいてもよい。それらとフレキシブル基板108上の通電経路との接続は導電性接着剤で行うことができる。
【0075】
図11に、本発明の第2実施形態に係る基板アセンブリの構造を示す。本実施形態に係る基板100も盤用端子板18等として使用しうるものである。第1実施形態においては、検査用の通電経路を有するフレキシブル基板108を基板100に重ねて固定し、改造妨害及び改造痕跡保持機能を実現していた。これに対して、本実施形態においては、基板100の裏面又は内層であるところの部品非搭載面144に、検査用の通電経路を形成してある。また、基板100は、例えば、厚さを薄くすることで透明性を持たせた半透明ガラスエポキシ基板に、部品間接続用の導体(及び更に検査用の通電経路)、検査用の通電経路を順に位置し、各層導体間はガラスエポキシで絶縁した構造とする。部品102やコネクタ類は第1層の上に配置する。第1層には、導体としては、原則として、部品102やコネクタ類を内層の導体と接続するための導体しか設けない。なお、最下層は導体層を無くしたガラスエポキシのみとしてもよい。
【0076】
基板100は、好ましくは、部品102、コネクタ112、114等を実装したとき、それらの間を接続する導体186(図示せず)が見えなくなるよう設計する。部品間接続用の導体186のパターンは内層に形成されているため、基板100の表面に痕跡を残すことなく導体186に改変を施すことが、困難又は不可能になる。また、検査用の通電経路を形成する面は、例えば、部品間接続用の導体層186から(絶縁体を隔てて)そのすぐ上又は下又は上と下でサンドイッチさせた検査用通電経路形成面を設ける。
【0077】
更に、本実施形態においては、部品102及び導体186の隙間から部品搭載面104越しに部品非搭載面144を見通せるよう、基板100を透明な素材により形成する。例えば、基板100は、厚さを薄くすることで透明性を持たせた半透明なガラスエポキシ基板で形成する。なお、導体186を形成する面と検査用通電経路を形成する面を同一の面としてもよいが、改造防止の効果を高めるには両者を別々の層に設けるのが望ましい。更に好ましくは、基板100鉛直方向から見て導体186や部品102、コネクタ112、114等と検査用の通電経路とが重複又は交差するようにする。特に、導体186の位置と検査用通電経路に係る導体の位置とを一致させ、検査用通電経路の導体層は導体幅は導体186より細くするのが望ましい。第1実施形態におけるスぺーサ106に比べ本実施形態における誘電体層の方が薄いため(例えば数mmに対して数〜数十μm)、改造の困難性という点では本実施形態の方がすぐれている。なお、以上の説明における本実施形態の基板100はリジッドな基板であるが、フレキシブル基板にしてもよい。
【0078】
本実施形態における通電経路は、図11の下半分に示すように、部品非搭載面144に形成されたクランク状のパターン導体146及びこのパターン導体146の両端に設けられた検出電極138及び140により、構成されている。この通電経路を外部露出面上に設けた場合は、検出電極138及び140が外部に露出しているため、検査担当者はテスタのプローブ等を直接検出電極138及び140に接触させることができる。また、通電経路を基板100の内層に設けた場合には、検査担当者がテスタのプローブ等を検出電極138及び140に接触させることができるよう、検出電極138及び140を外部露出面上に設け内層の通電経路(主としてパターン導体146)とスルーホール等によって接続する。或いは、検出電極138及び140をパターン導体146と同じく内層に設けておき、テスタのプローブ等を接触させるための導体を改造対象基板100の端面から引き出す。或いは、内層に設けられた検出電極138及び140に対してプローブを直接接触させずに回路定数値の計測を行う(改造対象基板100の一部の層を誘電体とした平板コンデンサを介して測定を行う)。
【0079】
いずれにしても、検出電極138及び140は、通電経路の形成層の位置にかかわらず検査担当者がテスタ等で回路定数値を測定できるように設ける。その他、本実施形態における通電経路に関しても、図2に示した実施形態におけるそれと同様、様々な設計が可能でありまた様々な変形、工夫等を施すことが可能である。
【0080】
従って、本実施形態においては、図2に示した実施形態にて得られる効果のうち、フレキシブル基板108に形成された通電経路による効果と同じ効果を、得ることができる。本実施形態においては、この効果をフレキシブル基板108及びスペーサ106なしに得ることができるため、部品コスト、製造コスト、製品重量等の点で図2に示した実施形態より有利である。反面、部品102へのアクセスに対する物理的な妨害という点では、図2に示した実施形態の方が効果的である。
【0081】
また、基板100が透明であるため、裏面又は内層への部品追加という手口での改造を防ぐことが容易である。この透明性を損なわない範囲であれば、部品搭載面104にも検査用の通電経路(の一部)を設けるようにしても、何ら支障はなく、却って改造痕跡保持検出性能が高まる。基板100が多層基板であり複数の部品非搭載面を有する場合には、当該複数の部品非搭載面に検査用の通電経路(の一部)を設け、改造痕跡保持検出性能向上を図ってもよい。
【0082】
逆に、検査用通電経路のうち少なくとも一部を基板100の内層に形成しているため、当該検査用通電経路を改造者から隠蔽する方針も採れる。即ち、導体を隠すことにより、改造の痕跡が残ることを避ける手だてを、改造者が採るのが難しくなり、従って痕跡を残さない巧妙な手口の開発を妨げることができる。更に、検査用通電経路が内層のどこに入り込んでいるのかについては、改造者が容易に見て取ることができないようにすることができる。例えば、部品102の直下、はり回された導体186に合わせた直下等を有効利用して隠蔽する。また、導体パターン形成部位及びそれとの絶縁用の間隙を除いてベタ導体とするのも、通電経路をかくす上で有効である。このような導体配置の下では、改造者は、改造自体を断念するか、断線の発生を覚悟して改造を行うか、いずれかの途を採らざるをえない。いずれの途が採られたとしても、改造防止又は改造痕跡保持という効果が生じる。
【0083】
更に、本実施形態では、検査用の通電経路が基板100自身の部品非搭載面144に形成されている。そのため、コネクタ112及び114として表面実装型のコネクタを使用することとすれば、コネクタ112及び114と検査用の通電経路との間の機械的・物理的な干渉は生じない。従って、図2に示した実施形態にて採用していた競合・干渉回避策(切欠120等)を採用する必要がない。結果として、コネクタ112及び114の直下部位までパターン導体146を張り巡らす設計が可能であるから、コネクタ112及び114をターゲットとした改造への対策という点では、図2に示した実施形態に比べ本実施形態の方が効果的である。また、検出電極138及び140が基板100に設けられているため、検出電極138及び140から配線をのばせば、遠隔地で不正改造を検出することもでき、複数のパチンコ台10を対象とした一括集中監視も可能である。
【0084】
通電経路を備えたフレキシブル基板108にて通電経路を備えた基板100を被覆すること、透明又は半透明の基板100を(スペーサ106を介して)透明又は半透明のフレキシブル基板108により被覆すること等、本実施形態を図2に示した実施形態と組み合わせることも可能である。また、フレキシブル基板108による被覆に代えて、特開平10−151253号公報に記載されているように透明樹脂による被覆を用いてもよい。
【0085】
図12及び図13に、本発明の第3実施形態に係る基板100の回路及び構造を示す。本実施形態に係る基板100は、多層基板として構成されており、基板100を個別製品単位、ロット単位、仕様単位等で区別する識別情報をどのような形態で提供するのか、またそれを模造・偽造からどのように守るのかという点で、特徴的である。
【0086】
従来から基板に識別情報を付与する方法として広く用いられているのは、製造番号、型式名、バーコード等を基板上の導体のエッチング、基板への印刷、基板へのシールの貼付等により基板に記すという手法である。この手法には、それらを偽造することが比較的容易であるため、基板が偽造・模造され交換されるという手口による改造を、なかなか発見できないという問題点があった。また、問いかけに対する応答として又は自発的に識別情報(ID)を出力する素子・回路を、基板に搭載しておくという手法が、従来から検討されている。この手法の典型的な実現形態は、基板から固定的なIDを出力するという形態である。この手法は、番号の印刷等の方法に比べれば偽造・模造のしにくい基板を提供できるとはいうものの、基板から発信される信号を解読しIDを模倣することが可能であるため、やはり、模造・偽造への更なる対策が必要とされる。
【0087】
本実施形態における識別情報付与手法は、基板上の導体配置を利用した手法である点で、従来の手法と共通する面を有している。また、基板上に素子・回路を設けるという点で、ID出力の単純適用に係る手法と共通する面を有している。しかし、本実施形態に係る識別情報付与手法は、以下に述べるように、その表面及び内層を利用した回路によって識別情報を提供すると共に、当該回路及び導体の所在を、従って識別情報を基板のどこから読み取ればよいかを、改造者の目から隠蔽するものである。スルーホールの利用や多層基板内層配線の利用等の点を含め、いくつかの点で、従来当技術分野又は他技術分野で用いられていた手法から自明でない要素を含んでいる。また、本実施形態は、単なる識別情報付与を特徴とするものではなく、電圧(電位)の測定による改造発見との関連における識別情報付与を特徴としている。なお、本実施形態における識別情報付与回路は、従来当技術分野又は他技術分野にて用いられていた手法に代わり又はこれを補助する手法として用いられるものである。
【0088】
本実施形態における識別情報付与回路は、図12に示すように、電圧レギュレータ148及び検出電極150を備えている。電圧レギュレータ148は、基板100上の図示しない電源回路(例えばパチンコ台10からの配線やバックアップ電池)や、検査時に用いる検査機の電源端子から、正の電源端子152と負の電源端子154との間に電源電圧の供給を受け、識別情報電圧を発生させる。この識別情報電圧の値は、電圧レギュレータ148に付設されている抵抗156及び158の値により決定される。識別情報電圧を調整できるようにするため、ひいては精度よい値で識別情報電圧を発生させるため、抵抗156及び158のうち一方を可変抵抗とするのが望ましい。図においては抵抗158が可変抵抗とされている。また、発生した識別情報電圧は、電圧レギュレータ148と検出電極150とを接続する検査用の通電経路160を介して、検出電極150に印加されている。検出電極150は、後述のように通常のスルーホールと区別の付かない形態等で、基板100の表面等に設ける。識別情報電圧は、検出電極150にテスタのプローブを接触させる等して、検査時において検査担当者により計測される。なお、図中の基準電極162は識別情報電極を計測する際の基準電位を提供する電極であり、基板100の表面等に設ける。この図では負側の電源端子154から基準電極162を引き出しているが、安定した基準電位を提供できるのであれば他の箇所に設けてもよい。
【0089】
電圧レギュレータ148は好ましくは複数個設け、各電圧レギュレータ148により互いに異なる値の識別情報電圧が得られるようにする。また、各電圧レギュレータ148に対してそれぞれ複数個の検出電極150を設けるのが望ましい。本実施形態にて発生させうる識別情報の範囲は、何個の電圧レギュレータ148を使用するか、各電圧レギュレータ148で識別情報電圧をどの程度の範囲に亘り変化させうるか、また何個の検出電極150を使用するか等により決まる。発生させうる識別情報の範囲は相当に広く、例えば配線設計段階で各個別製品に対し互いに異なる識別情報を付与するのに十分である。
【0090】
この点についてより詳細に説明する。まず、対応する可変抵抗158の調整等によって、ある電圧レギュレータ148から出力する識別情報電圧をN1段階に亘り変化させることができるとする。この電圧レギュレータ148をN2個設けるのであれば、それらN2個の電圧レギュレータ148にて発生させられる識別情報電圧の組合せはN1のN2乗通りとなる。また、検出電極150がN3個あり、配線設計にあたっては、それらN3個の検出電極150それぞれに対してN2個の電圧レギュレータ148の中から選択した1個を接続することができるものとする。この場合、各検出電極150への各電圧レギュレータ148の接続の多様性は、N2のN3乗通りに亘る。従って、識別情報電圧をN1段階切替可能なN2個の電圧レギュレータ148からN3個の検出電極150を用いて出力できる識別情報電圧の多様性は、(N1のN2乗)×(N2のN3乗)通りとなる。仮に、N1=256段階、N2=2個、N3=8個とすると、この値は、256×256×256=16777216通りとなる。N1=256段階、N2=2個、N3=8個という設計は、基板100を製造する上で必要となる部品や工数をさして増加させずに、従って低コストで基板100を実現するのに適する現実的な値であることに、留意されたい。
【0091】
図12に示した回路は、例えば、図13に示す形態で基板100に組み込まれる。図13(A)及び(B)中、基板第1層の周縁部にあるクロスハッチ部分は接地電極である。図13(B)は、図13(A)に示した基板第1層の導体・部品配置のうち図12に示した回路に関わる部分を拡大して描いたものである。負側の電源端子154及び基準電極162は、基板第1層(部品102が実装される面)に設けられた接地電極の一部をなし、又はこれと接続されるスルーホールである。正側の電源端子152はここでは方形の導体であり、図示しないパターン導体、スルーホール等を介して電源と接続される。更に、図13(C)は、その部分のA−B断面を示すものである。但し、ここでは、基板100が4層基板であると想定している。図13(C)中、172、174、176及び178はそれぞれ基板100の第1層〜第4層導体であり、180、182及び184はそれぞれ絶縁体である。
【0092】
基板100の第1層には、例えば、図示しないコネクタ、それらと接続される部品102等が実装される。第1層導体172は、コネクタ、部品102等を相互に接続するためのパターン導体164に加え、接地導体並びにその一部分である負側の電源端子154及び基準電極162や、図12に示した配線160の一部を構成するパターン導体を含んでいる。電圧レギュレータ148や抵抗156及び158は、例えば第1層導体172上に実装される部品であり、それらの間の接続のための配線等も基板第1層に形成されている。また、第1層導体172と他層導体との間は、図中白丸又は黒丸によって表されているスルーホールにより相互に接続されている。
【0093】
図中白丸で表されているスルーホール166のうちいくつかは、コネクタから部品102へ、また部品102から他のコネクタへ、というように、信号を伝送する回路を形成するためのスルーホールである。本実施形態においては、例えば、第4層導体178や、第1層〜第3層導体172、174及び176の一部を用いて、かかる回路配線を実現する。白丸で表されているスルーホール166のうち残りのいくつかは、基板第1層に実装されている電圧レギュレータ148の出力を他層導体へと供給するためのスルーホール168、170であり、電圧レギュレータ148の出力を対応するスルーホール168、170に印加するためのパターン導体等と共に、図12に示した配線160の一部を構成している。
【0094】
図中黒丸で表されているスルーホールは、基板第2層又は第3層に設けられているパターン導体のうちスルーホール168又は170を介して電圧レギュレータ148から識別情報電圧が印加されている導体を、基板第1層に設けられている検出電極150に接続するためのものであり、従って配線160の一部を構成している。図13(B)及び(C)に拡大して示されている部分を例として述べると、図13(B)中で上側に描いた電圧レギュレータ148の出力端は、第1層第2層間スルーホール168、第2層導体174等を介し、図13(C)中の検出電極150−1及び150−3を含むいくつかの検出電極150に接続されている。また、図13(B)中で下側に描いた電圧レギュレータ148の出力端は、第1層第3層間スルーホール170、第3層導体176等を介し、図13(C)中の検出電極150−2を含むいくつかの検出電極150に接続されている。
【0095】
検出電極150は、その形状・構造が通常の回路配線用のスルーホール166と区別できないだけでなく、スルーホール166に現れる電圧とは異なる電圧かもしれないが、ともかく電圧が現れているという点でも、スルーホール166と誤認しやすいものである。このように識別情報付与に関わる部材を隠蔽することにより、本実施形態においては、改造を妨害している。本実施形態においては、好ましくは、検出電極150を更にスルーホール166と紛らわしくし、その隠蔽効果を高めるため、その位置をも工夫する。また、本実施形態では、第4層導体178を回路接続用の配線に用いていない。即ち、第4層には識別情報付与に関わる導体が存在せず、部品102とは逆側から基板100を見たときに第2及び第3層導体174及び176の配線の少なくとも一部が第4層導体178により隠されるようにしている。第4層導体178については、よりわかりにくくするには、導体を多く残す、複雑なパターンを形成する等して、可能な限り内層の配線を視認しにくくなるよう設計する。この様にすることによって、本実施形態においては、更に隠蔽効果を高め、改造妨害の機能を強化している。
【0096】
更に、改造者がスルーホールを用いて識別情報が付与されていることに気づかずに模造品・偽造品を作成し、元々の基板100をパチンコ台10等からはずしその模造品・偽造品を代わりに取り付ける等の手口を採ることがあろう。その場合、検査担当者は、予めその位置及び電圧値がわかっている識別情報用のスルーホール(検出電極150)の電位をチェックするのみで、交換の事実を察知することができる。即ち、改造痕跡保持の機能が実現される。また、第1層導体172のエッチングによる番号表記やID機能搭載といった措置を併用した場合は、隠蔽による改造妨害効果及びこの改造痕跡保持効果が更に顕著になろう。
【0097】
なお、原理的には、回路配線用のスルーホール166が同時に検出電極150でもある構成を実現しうる。検出電極150の個数は図13(A)中の8個には限定されず、基板100の面積等の物理的要因による制限範囲内であるが、より多く設けることが可能であるし、識別情報の複雑化・偽造困難化の点でいえば、そのようにするのが望ましい。識別情報の複雑化・偽造困難化の点でいえば、更に、識別情報電圧の出力精度はできるだけ高くするのが望ましく、電圧レギュレータ148の個数もできるだけ多い方がよい。また、上記の例では電圧レギュレータ148を第1層に設けているが、識別情報電圧を発生させるための回路を基板100の内層に埋め込むようにすれば、その回路の存在を改造者に知られる危険が少なくなると共に、識別情報電圧がどのような値かを知られる危険も少なくなるため、識別情報の解読が困難になる。更に、識別情報電圧の値は、好ましくは、基板100上で実用している電圧と同じか又はこれに近い電圧にした方がよい。それにより、識別情報電圧が現れている部位がどこかを、わかりにくくすることができる。
【0098】
このように、本実施形態によれば、検出電極150と識別情報電圧の組み合わせにより非常に解読の難しい識別情報を付与でき、しかもそのための機能を低価格で実現できる。また、この識別情報は、基板100に忍ばせた検出電極150の位置及びそこに現れるべき識別情報電圧値に関する情報と、その位置の電圧をテスタ等により読み取った結果との照合により、確認することができ、基板100の真贋を簡便に確認することができる。更に、基板100における検出電極150の位置にて識別情報電圧を測定する専用プローブ、これらが接続される識別情報管理コンピュータ等を組み合わせ、テスターとすることで、容易に識別情報を検出し基板の真贋を確認することができる。
【0099】
また、電源電圧や接地電位等、基板100上の回路で実用されている電圧をそのまま又は分圧して一連の識別情報電圧の構成要素として用いるようにすれば、識別情報の解読がより困難になる。この様な方法で識別情報電圧の種類を増やすことにより、電圧レギュレータ148等の個数を増やすことなく、より複雑な識別情報を得ることが可能になり、識別情報の解読がより困難になる。更に、電圧レギュレータ148等を使用せず、基板100上の回路で実要されている電圧だけを用いて、識別情報化することもできる。例えば、図14に示すように、検出電極150を電源又は接地電位に接続するか否かだけを決めておくという形態で実施できる。この図中の検出電極150のうち、開放状態であるものは、“本物”の検出電極と同じ電位を有していない“偽物”の検出電極であり、いわば擬似検出電極であるといえる。この方法は、低コストでの実施に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ台と管理用コンピュータとの関係及び各パチンコ台の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1実施形態に係る基板アセンブリの構造を示す分解斜視図である。
【図3】 本実施形態における検査基準の例を示す概念図である。
【図4】 本実施形態において使用する検査機の構成を示すブロック図である。
【図5】 本実施形態における検査手順を示すフローチャートである。
【図6】 本実施形態におけるフレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【図7】 本実施形態における導体配置の例を示す部分分解斜視図である。
【図8】 本実施形態における導体配置の例を示す平面図である。
【図9】 本実施形態における導体配置の例を示す投影図である。
【図10】 本実施形態における導体配置の例を示す平面図である。
【図11】 本発明の第2実施形態の構造を示す斜視図(一部は部品非搭載面の拡大図)である。
【図12】 本発明の第3実施形態の識別情報提供用の回路の構成を示す回路図である。
【図13】 本実施形態の構造を示す図であり、特に(A)は全体の概略導体配置を示す平面図、(B)はその一部を拡大した平面図、(C)は更にそのAB断面図である。
【図14】 本実施形態の変形例を示す回路図である。
【符号の説明】
10 パチンコ台、12 回路・機構、14 制御基板、16 枠用端子板、18 盤用端子板、20 管理用コンピュータ、100 基板、102 部品、104 部品搭載面、106 スペーサ、108 フレキシブル基板、110,124,126,128 孔、112,114 コネクタ、116,118,120,122 切り欠き、130,132,142,146,164,172,174,176,178,186 導体・配線、134,136 スルーホール、138,140,150,162 電極、144 部品非搭載面、148 電圧レギュレータ、152,154 電源端子、160 通電経路、180,182,184 絶縁体。

Claims (22)

  1. 遊技機用の電気部品が設けられた回路基板と、
    前記回路基板に重ねられ、前記電気部品との接触を避けるための欠損部を有するスペーサ板と、
    前記回路基板との間に前記スペーサ板を挟むよう、前記スペーサ板に重ねられたフレキシブル基板と、
    前記フレキシブル基板に設けられ、外力が与えられることにより電気的特性が変化する改造検出パターン導体線と、
    前記スペーサ板に面しない側の前記フレキシブル基板の表面に設けられ、前記改造検出パターン導体線に接続された改造検出電極と、
    を備えることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  2. 請求項1に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記フレキシブル基板の両面に設けられ、
    一方の面に設けられた前記改造検出パターン導体線は、他方の面に設けられた前記改造検出パターン導体線と交差するよう配置されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記スペーサ板および前記フレキシブル基板は透明または半透明の材料によって形成されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  4. 請求項3に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記スペーサ板に面する側の前記回路基板の面に設けられ、前記電気部品に接続される部品接続パターン導体線を備え、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記部品接続パターン導体線に沿って重なるよう、前記フレキシブル基板に配置されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  5. 請求項4に記載の遊戯機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線の幅と、前記部品接続パターン導体線の幅と、を等しくしたことを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記回路基板に設けられた前記電気部品と重なるよう、前記フレキシブル基板に配置されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  7. 請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記回路基板は、透明または半透明の材料によって形成されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  8. 遊技機用の電気部品が表面層に設けられた多層構造の回路基板と、
    前記回路基板を形成する複数層のうちのいずれかの層に設けられ、前記電気部品に接続される部品接続パターン導体線と、
    前記部品接続パターン導体線が設けられる層とは異なる層に設けられ、外力が与えられることにより電気的特性が変化する改造検出パターン導体線と、
    前記回路基板の表面層に設けられ、前記改造検出パターン導体線に接続された改造検出電極と、
    を備えることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  9. 請求項8に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記部品接続パターン導体線が設けられる層の直上または直下の層に設けられることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  10. 請求項8または請求項9に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記回路基板を形成する複数層のうちの2以上の層に設けられることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記回路基板は透明または半透明の材料で形成されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  12. 請求項11に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記部品接続パターン導体線に沿って重なるよう、前記回路基板に配置されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  13. 請求項12に記載の遊戯機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線の幅は、前記部品接続パターン導体線の幅よりも細いことを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  14. 請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    前記電気部品が設けられる表面層とは異なる層に設けられ、
    前記電気部品と重なるよう配置されることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記改造検出パターン導体線は、
    複数の直線区間を含み、
    当該複数の直線区間が平行に配置されていることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  16. 遊技機用の電気部品が設けられる多層構造の回路基板と、
    前記回路基板に設けられ、複数通りの基準電圧のうちいずれかを出力するようそれぞれが設定可能な複数の電圧発生回路と、
    前記回路基板の内層に各電圧発生回路に対応して設けられ、対応する電圧発生回路の電圧出力端子にそれぞれが接続される複数の検査パターン導体線と、
    前記回路基板の表面層に各検査パターン導体線に対応して設けられ、対応する検査パターン導体線にそれぞれが接続される複数の検出電極と、
    を備え、
    各電圧発生回路は、
    複数の基準電圧のうち予め定められた基準電圧を出力するよう設定され、
    対応する検査パターン導体線を介して接続された電圧発生回路の出力電圧をそれぞれが出力する前記複数の検出電極は、
    それぞれが出力する電圧の組み合わせによって、予め割り当てられたIDを示すことを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  17. 遊技機用の電気部品が設けられる多層構造の回路基板と、
    前記回路基板に設けられ、基準電圧を出力する電圧発生回路と、
    前記回路基板の内層に設けられ、前記電圧発生回路の電圧出力端子に接続される検査パターン導体線と、
    前記回路基板の表面層に設けられた複数の検出電極と、
    を備え、
    前記複数の検出電極のうちいずれかは、
    前記検査パターン導体線に接続され、
    前記複数の検出電極は、
    それぞれが出力する電圧の組み合わせによって、予め割り当てられたIDを示すことを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  18. 請求項16または請求項17のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットにおいて、
    前記回路基板の表面層に設けられ前記検出電極を模した形状を有する擬似検出電極を備えることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  19. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットの改造を検出する改造検出機であって、
    前記改造検出パターン導体線の電気的特性の設計値または初期実測値を、検査基準として記憶する検査基準記憶部と、
    前記改造検出パターン導体線の電気的特性を、前記改造検出電極との電気的接触により測定する計測部と、
    前記検査基準記憶部に記憶された検査基準と、前記計測部によって測定された電気的特性と、を比較することによって改造の有無を判別する改造判別部と、
    を備えることを特徴とする改造検出機。
  20. 請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットが贋物であるか否かを判定する真贋判定機であって、
    複数の数値の組み合わせによって示される、前記遊技機回路基板ユニットに割り当てられたIDを記憶するID記憶部と、
    各検出電極が出力する電圧を測定する電圧測定部と、
    前記ID記憶部に記憶されたIDと、前記電圧測定部によって測定された各検出電極の出力電圧値の組み合わせが示すIDと、を比較することにより、前記遊技機回路基板ユニットが贋物であるか否かを判定する真贋判定部と、
    を備えることを特徴とする真贋判定機。
  21. 前記電気部品が遊技機電気回路を構成する請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の遊技機回路基板ユニットであって、
    前記回路基板に設けられ、前記遊技機電気回路の出力信号を出力する出力コネクタを備え、
    前記出力コネクタは、
    遊技機の出力信号に基づいて遊技機の稼働状況を把握する管理装置に備えられる統一コネクタであって複数の遊技機との間で統一規格化された統一コネクタに着脱可能であり、
    前記遊技機回路基板ユニットは、
    前記管理装置の統一コネクタに接続される統一化端子板として用いられることを特徴とする遊技機回路基板ユニット。
  22. 請求項21に記載の遊技機回路基板ユニットを統一化端子板として備えることを特徴とする遊技機。
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