JP4053660B2 - 採血管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液検査に用いる血液試料を採取するための採血管に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、採血管に薬品を封入する方法として、薬品を顆粒状にして採血管に封入する方法がある。しかし採血管内に血清分離剤、血漿分離剤等の分離剤がある場合、薬品を顆粒状にして同時に封入し、顆粒状薬品が分離剤に接触した状態で長期間保存すると、顆粒状薬品の表面上に分離剤が徐々に移行して顆粒状薬品の表面を覆い分離剤に取り込まれた状態となり、血液との接触面積が減少してくる。このような状態で採血を行うと、顆粒状薬品は血液に溶解しにくくなったり又は全く溶解しなかったりし、目的の薬効を得ることができないという問題があった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、顆粒状の薬品を分離剤と共に採血管内に封入しても、分離剤の影響を受けることなく、封入した薬品が長期の保存後にも安定して血液に溶解し作用する採血管を提供することである。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
本発明は次の手段によって達成される。
【0008】
(1)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品の該分離剤への接着または捕捉または取り込みが生じないための手段を有し、該前記接着または捕捉または取り込みが生じないための手段が該分離剤と親和性または溶解性を示さない物質または該分離剤をはじく性質を有する物質による処理であることを特徴とする採血管。
【0009】
(2)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該分離剤の表面が該分離剤と親和性または溶解性を示さない物質により処理されたことを特徴とする採血管。
【0010】
(3)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品が該分離剤と親和性または溶解性を示さない物質により処理されたことを特徴とする採血管。
【0011】
(4)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該分離剤の表面が該分離剤をはじく性質を有する物質により処理されたことを特徴とする採血管。
【0012】
(5)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品が該分離剤をはじく性質を有する物質により処理されたことを特徴とする採血管。
【0013】
(6)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該分離剤の表面にシリコーンが塗布されたことを特徴とする採血管。
【0014】
(7)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品にシリコーンが塗布されたことを特徴とする採血管。
【0015】
(8)顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品中にシリコーンが混合されていることを特徴とする採血管。
【0016】
【本発明の実施の形態】
本発明は、顆粒状の薬品が分離剤と共に採血管内に封入されていても、顆粒状薬品が十分に血液に溶解することを可能とした。
【0017】
すなわち、顆粒状薬品が分離剤に直接接触することを防御することによって、もしくは分離剤に接触した顆粒状薬品の表面が分離剤により被覆されるのを防御することによって、封入した顆粒状薬品の血液に対する作用を十分に発現させることを可能とした。
【0018】
本発明の顆粒状薬品としては、例えば血液凝固促進剤としてトロンビン、トロンビン様酵素、トロンビン様酵素を含んだ蛇毒抽出物質やシリカ粒子、ガラス粉末、または珪藻土やカオリン等のSiO2を含む混合物等がある。また、抗凝固剤であるヘパリン、EDTA−2Na、EDTA−2K等のEDTA塩、シュウ酸塩、フッ化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等がある。又はこれらの薬品を適宜組み合わせてもよい。
【0019】
本発明の顆粒状薬品を得る方法としては、一旦、バインダーと薬品とを水に溶かし、これを凍結乾燥した後に砕き、更にふるいを通し粒径を揃えて顆粒状薬品を得る方法がある。粒径は約32meshのふるいを通り約60meshのふるいを通らない範囲のものが、計量および採血管への分注に適している。
【0020】
本発明のバインダーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性物質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水溶性アクリル酸誘導体、ゼラチン、でんぷん等の水溶性多種タンパク質の混合物質などが挙げられる。
【0021】
本発明の分離剤とは、血漿と血球成分とを分離するための血漿分離剤、あるいは凝固促進剤の反応により生じた血清と血餅とを分離するための血清分離剤等である。
【0022】
分離剤の材料としてはオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合したもの、ポリエステル系樹脂に無機充填剤を配合したもの、ポリブテン系樹脂に無機充填剤を配合したもの、アクリル系樹脂に無機充填剤を配合したもの等が挙げられる。分離剤の比重は血漿や血清の比重と、血球や血餅の比重との中間のものが望ましい。
【0023】
本発明の目的である、長期保存における顆粒状薬品の薬効維持の方法としては、大きく分けて2通りある。
【0024】
一つは、顆粒状薬品が分離剤に接触しないように双方が分離された状態を維持するための手段を設ける方法であり、採血管内であればどの部位に設けてもかまわない。例えば、採血管内に空間遮断物を配置することにより空間を2つに分けて分離剤と顆粒状薬品が接触しないようにする方法がある。空間遮断物は、顆粒状薬品が存在する空間と、分離剤が存在する空間との境界にあり、顆粒状薬品が分離剤の存在する空間に移動しなければ十分であり、その目的が達成できる形状であればどのような形状でもかまわない。
【0025】
もう一つは、分離剤との親和性または溶解性を示さない物質、あるいは分離剤をはじく性質を有する物質を用い、顆粒状薬品または分離剤に対して塗布や混合等の処理をする方法である。このような処理によって顆粒状薬品が分離剤に接触した状態で長期保存しても顆粒状薬品の表面上に分離剤が移行せず、顆粒状薬品の分離剤への接着または捕捉または取り込みが起こらないようにできる。
【0026】
まず、前者の具体的な方法としては、顆粒状薬品が分離剤に接触しないように双方が分離された状態を維持するための手段として、成形物やフィルムなどの空間遮断物を用い、これを分離剤表面から離れた位置に配置してもよいし、分離剤の表面を密着して覆うように配置してもよい。いずれの方法においても、成形物やフィルムは採血管の空間を2つに分ける壁のように存在させ、一方の空間には分離剤、他方の空間には顆粒状薬品を封入する。空間遮断物は採血の際、流入してくる血液によりその位置や向きを変えたり、または流入してきた血液の移動によって実質の遮断が解除される。また遠心分離後は分離剤の内部または血球、血餅成分内に位置することがより好ましい。
【0027】
このような採血管の製造方法としては、例えば、採血管内に分離剤を分注後、射出成形、ブロー成形、プレス成形等の各種成形方法または切削によって得られた成形品、フィルム、不織布またはそれらを重ねたものを挿入して壁の代わりとし、更にその上に顆粒状薬品を分注する方法がある。
【0028】
また、上記フィルムに、血液凝固促進剤をコートする方法もある。具体的には、シリカ粒子及びポリビニルピロリドンをアルコール中に分散させ、この溶液をフィルムまたは不織布に噴霧またはコーティングの方法により塗布し乾燥する。更にこのフィルムまたは不織布を円形に打ち抜き採血管内に封入するという方法である。
【0029】
こうすることにより分離剤と顆粒状薬品を分離するものと、血液凝固促進剤の支持体とが兼用でき、部材を少なくすることが可能となる。
【0030】
成形品としては、プラスチック製のものであれば何でもよく、ポリプロピレン・ポリエチレン等のオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等の各種熱可塑性樹脂、およびフィラー入りポリプロピレン、フィラー入りポリカーボネート等の各種充填剤入り熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等が用いられ、天然ゴム・合成ゴム等のゴム材質や、金属、ガラス等でも可能であり、血漿または血清より比重の大きいものが好ましい。
【0031】
フィルムとしては、プラスチック製フィルムであれば何でもよく、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、延伸PETフィルム、ナイロンフィルム、フィラー充填PPフィルム、フィラー充填PEフィルム、プラスチックラミネートアルミ箔フィルム等が用いられ、さらに血液凝固促進剤が付着させやすいように、表面処理、例えばプラズマ処理やエンボス加工を施したものも用いられる。不織布の材料としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨンおよびそれらを組み合わせたものが用いられ、血漿または血清より比重の大きいものが好ましい。
【0032】
次に、後者の具体的な方法としては、分離剤との親和性または溶解性を示さない物質、あるいは分離剤をはじく性質を有する物質による処理であり、採血管内の分離剤が露出している部分の表面にこのような物質を噴霧しコートする方法、または、前述の物質を溶媒に溶かし、採血管内に満たした後、風乾、減圧乾燥、温風等の方法により乾燥するという方法等があげられる。さらに、前述の物質を顆粒状薬品の表面に噴霧しコートする方法や造粒時に薬品と一緒に混合し造粒する方法等がある。これらの方法により顆粒状薬品が分離剤に接触しても顆粒状薬品の表面上に分離剤が移行せず、顆粒状薬品の分離剤への接着または捕捉または取り込みが起こらないようにできる。
【0033】
分離剤との親和性または溶解性を示さない物質、あるいは分離剤をはじく性質を有する物質としては、分離剤や顆粒状薬品に塗布または顆粒状薬品に混合等の処理が可能な物質であれば何でもよいが、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーンが用いられ、水溶性のものがより好ましい。
【0034】
本発明の採血管の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート、ポリメタアクリル酸等のアクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂のほか、ガラス等の無機材質が用いられ、ガスバリアー性の高いものがより好ましい。
【0035】
また、採血管の内面には血餅剥離性物質を塗布することが好ましい。血餅剥離性物質としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル等の水溶性シリコーン、ジメチルポリシロキサン等の変性シリコーンオイル、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、パラフィン、ワックス類、フタル酸ジオクチル等の可塑剤、各種セルロース誘導体等が好ましい。
【0036】
上述の方法により作成した採血管では、顆粒状薬品が分離剤に接触しないように双方が分離された状態を維持するための手段による防御方法や、分離剤との親和性または溶解性を示さない物質、あるいは分離剤をはじく性質を有する物質による処理等の防御方法が用いられているため、顆粒状薬品は分離剤の影響を受けることがない。すなわち、顆粒状薬品と分離剤とが別空間に存在するため、顆粒状薬品と分離剤とが接触しない。また、分離剤との親和性または溶解性を示さない物質、あるいは分離剤をはじく性質を有する物質の存在により、分離剤への接着または捕捉または取り込みが生じない。よって長期保存後でも、封入した規定の顆粒状薬品を血液に溶解させ、目的の薬効を得ることが可能となる。
【0037】
【実施例】
(減圧採血管の作成)
(実施例1)
血液抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、これらを一度水に溶解させ混合して凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0038】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、更に分離剤が存在する側と空間を2分するように円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを採血管のほぼ中央に挿入した。
【0039】
このポリエステルフィルムの上に、先に造粒した顆粒を10mg分注した(図1参照)。
【0040】
(実施例2)
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、更に分離剤の表面を密着して覆うように円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを採血管に挿入した。
【0041】
このポリエステルフィルムの上に血液抗凝固剤としてEDTA−2K顆粒(和光純薬工業株式会社製:粒径:32mesh〜60mesh)を10mg分注した。
【0042】
(実施例3)
血液凝固活性を有する物質としてトロンビン(牛血漿由来:持田製薬株式会社製)を 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、これらを一度水に溶解させ混合して凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0043】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、更に分離剤が存在する側と空間を2分するように円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを採血管のほぼ中央に挿入した。
【0044】
このポリエステルフィルムの上に先に造粒した顆粒を10mg分注した。
【0045】
更にシリカ粒子及びポリビニルピロリドンをアルコール溶液中に分散させ、この溶液をポリエステルフィルムにコーティングし、乾燥したものを円形に打ち抜いた。これを採血管内に分離剤が存在する空間とは反対側の空間に挿入した(図1参照)。
【0046】
(実施例4)
血液凝固活性を有する物質としてトロンビン(牛血漿由来:持田製薬株式会社製)を 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、水溶性シリコーンを5mg、これらを一度水に溶解させ凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0047】
シリカ粒子及びポリビニルピロリドンをアルコール溶液中に分散させ、この溶液をポリエステルフィルムにコーティングし、乾燥したものを円形に打ち抜いた。
【0048】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、先に造粒した顆粒を10mg分注し、先に円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを封入した。
【0049】
(実施例5)
血液凝固活性を有する物質としてトロンビン(牛血漿由来:持田製薬株式会社製)を 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、これらを一度水に溶解させ混合して凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0050】
シリカ粒子及びポリビニルピロリドンをアルコール溶液中に分散させ、この溶液をポリエステルフィルムにコーティングし、乾燥したものを円形に打ち抜いた。
【0051】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、更に分離剤の露出している面に水溶性シリコーンを塗布し、その上に造粒した顆粒を分注し、先に円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを封入した。
【0052】
(実施例6)
血液凝固活性を有する物質としてトロンビン(牛血漿由来:持田製薬株式会社製)を 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、これらを一度水に溶解させ混合して凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0053】
更に水溶性シリコーンを5%濃度になるように適切な有機溶媒に溶解させた溶液に造粒した顆粒を浸した後取り出して風乾させた。
【0054】
シリカ粒子及びポリビニルピロリドンをアルコール溶液中に分散させ、この溶液をポリエステルフィルムにコーティングし、乾燥したものを円形に打ち抜いた。
【0055】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、その上に造粒した顆粒を10mg分注し、先に円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを封入した(図2参照)。
【0056】
(比較例1)
血液抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、これらを一度水に溶解させ混合して凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0057】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、更に分離剤の上に造粒した顆粒を10mg分注した。
【0058】
(比較例2)
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、更にこの上に血液抗凝固剤としてEDTA−2K顆粒(和光純薬工業株式会社製:粒径:32mesh〜60mesh)を20mg分注した。
【0059】
(比較例3)
血液凝固活性を有する物質としてトロンビン(牛血漿由来:持田製薬株式会社製)を 200IU、バインダーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を100mg、これらを一度水に溶解させ混合して凍結乾燥した。得られたものを砕き、ふるいにかけて粒径を揃えた。得られた顆粒の粒径は32mesh〜60meshのものであった。
【0060】
シリカ粒子及びポリビニルピロリドンをアルコール溶液中に分散させ、この溶液をポリエステルフィルムにコーティングし、乾燥したものを円形に打ち抜いた。
【0061】
採血管にオレフィン系樹脂に無機充填剤を配合した分離剤をノズルの後方より圧力をかけて1.6ml充填し、先に造粒した顆粒を10mg分注、更に先に円形に打ち抜いたポリエステルフィルムを封入した。
【0062】
上記各実施例及び比較例において作製した採血管を減圧下にて、採血管材質と熱融着する性質を持つフィルムを採血管の開口部に熱融着、減圧採血管を作製した。作製後、40℃オーブンにて1ヶ月間保存した。
【0063】
(マイクロクロット発生の有無確認)
実施例1〜2、比較例1〜2の減圧採血管を用い、人より9ml採血を行い24時間室温にて放置後、血液中のマイクロクロット発生の有無を確認した。
【0064】
確認方法は、採血管内の血液を生食にて洗い出し濾過装置で濾過しマイクロクロットの発生の有無を確認した。
【0065】
(凝固時間の測定)
実施例3〜6、比較例3の減圧採血管を用い、人より9mlの採血を行い血液の凝固時間を観察した。血液凝固完了時点の見極めは、採血管を横に倒し血液の流動性を確認、流動性が無くなった時点を血液の血液凝固完了時とした。
【0066】
採血後は1200Gの強さで10分間の遠心分離を行い血清の分離を行った。
【0067】
各実施例及び比較例の結果を表1および表2に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004053660
【0069】
【表2】
Figure 0004053660
【0070】
【発明の効果】
本発明により、顆粒状の薬品が分離剤と共に採血管内に封入されていても、顆粒状薬品が分離剤に接触しないための手段、または、顆粒状薬品の分離剤への接着または捕捉または取り込みが生じないための手段によって、顆粒状薬品の表面が分離剤により被覆されるのを防ぎ、封入した顆粒状薬品の血液に対する作用を十分に発現させることを可能とした。
【0071】
すなわち、顆粒状薬品が分離剤に接触しないための手段として空間遮断物を用いて採血管の空間を2つに分けることにより、顆粒状薬品と分離剤とが別空間に存在するため、顆粒状薬品と分離剤との分離状態を維持することができ、双方が接触することがない。
【0072】
また、顆粒状薬品または分離剤に対して、親和性または溶解性を示さない物質や、分離剤をはじく性質を有する物質、例えばシリコーンを塗布または混合するなどの処理を行い、このような物質を顆粒状薬品と分離剤との間に介在させることにより、顆粒状薬品の表面が分離剤により被覆されず、顆粒状薬品の分離剤への接着または捕捉または取り込みを生じることがない。
【0073】
従って長期保存後でも、封入した規定の顆粒状薬品を血液に溶解させ、目的の薬効を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の減圧採血管を説明するための中央断面図である。
【図2】本発明の一実施例の減圧採血管を説明するための中央断面図である。

Claims (8)

  1. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品の該分離剤への接着または捕捉または取り込みが生じないための手段を有し、該前記接着または捕捉または取り込みが生じないための手段が該分離剤と親和性または溶解性を示さない物質または該分離剤をはじく性質を有する物質による処理であることを特徴とする採血管。
  2. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該分離剤の表面が該分離剤と親和性または溶解性を示さない物質により処理されたことを特徴とする採血管。
  3. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品が該分離剤と親和性または溶解性を示さない物質により処理されたことを特徴とする採血管。
  4. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該分離剤の表面が該分離剤をはじく性質を有する物質により処理されたことを特徴とする採血管。
  5. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品が該分離剤をはじく性質を有する物質により処理されたことを特徴とする採血管。
  6. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該分離剤の表面にシリコーンが塗布されたことを特徴とする採血管。
  7. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品にシリコーンが塗布されたことを特徴とする採血管。
  8. 顆粒状薬品と分離剤とが封入された採血管において、該顆粒状薬品中にシリコーンが混合されていることを特徴とする採血管。
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