JP4053529B2 - モータ速度制御装置 - Google Patents
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Description
この問題を解決するために従来技術では、トルク指令にフィルタを通すなどの対処をしているが、予測された速度信号の誤差は完全には取りきれず、この誤差が速度制御器の積分器で積分されるために、どんなに小さな誤差であっても速度誤差が残ってしまう。
そこで、本発明は、速度制御器内の積分器で利用される速度フィードバック信号が現在時刻の位置検出値と1サンプリング前の位置検出値の差分値から算出した値とし、比例器で利用される速度フィードバック信号を予測された速度信号の重み付き移動平均値とすることにより、制御ゲインを大きくし、高速、高精度応答性を備えたモータ速度制御装置を提供することを目的とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記速度補償器は、前記位置Pfb(i-K)から速度Vfb(i-K)を算出する手段と、M'サンプリング前から時刻i-Kまでの前記速度Vfb(i-m)(ただし、m=K,…,M')を記憶する手段と、モータの動特性モデル、前記トルク指令Tref(i),前記位置Pfb(i-K)より、Mサンプリング先までの速度予測値Vfb*(i+m)(ただし、m=-K+1,…,M)を求める予測器と、前記速度補償値CVfb(i)を、
なる計算によって求める手段と、を備えるとともに、
前記予測器は、位置Pfbより位置増分値ΔPfb(Δはサンプリング周期Ts間の増分値を表す)を求める手段と、トルク指令Trefから位置増分値ΔPfbまでの伝達関数モデル
より、予測係数Amn、Bmnを決定し記憶する手段と、現在に至るまでの過去のトルク指令および位置増分値を記憶する手段と、これらの予測係数、トルク指令、位置増分値より、前記速度予測値を次式
で求める手段と、からなることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、前記予測係数Amn、Bmnを、
で決定することを特徴としている。
図2は一般的な位置制御システムの制御ブロック図である。
図3は図2に示す速度制御システムにおけるムダ時間を含む制御ブロック図である。
図4は図3に示す速度制御システムに従来技術の速度制御装置を適用した場合の制御ブロック図である。
図1において、本発明では、速度ループ積分器14には速度Vfbを用い、比例項16の演算に補償速度CVfbを用いて速度誤差を低減している。
図2中、11は減算器であり、入力された位置指令Prefからモータ位置Pfbを減じて位置偏差Peを出力する減算器である。12は位置偏差Peに位置ループゲインKpを乗じて速度指令Vrefを出力する乗算器である。13は速度指令Vre fからモータ速度Vfbを減じて速度偏差Veを出力する減算器、14は速度偏差Veを速度ループ積分時定数で時間積分する積分器、15は速度偏差Veと前記積分器の出力を加える加算器、16は加算器15の出力に速度ループゲインKvを乗じて加速度指令Arefを作成する乗算器である。17は乗算器16の出力である加速度指令Arefにイナーシャ補償値Jを乗じてトルク指令Trefを出力する乗算器、18は乗算器17の出力であるトルク指令Trefに時定数tfのローパスフィルタ処理をするトルクフィルタ、19はモータ、1aは積分器である。
実際にはこの他、電流アンプや位置検出器などが必要であるが、説明を簡略化するため割愛している。
以上のような構成にして、入力された位置指令にモータ位置が一致するように位置制御および速度制御をしており、位置ループゲインと速度ループゲインをできるだけ大きく、速度ループ積分時定数をできるだけ小さくすることで、高速、高精度応答が実現できる。
図3は図2の速度指令Vrefからモータ速度Vfbまでにおいて、一般的に存在するムダ時間を考慮した制御ブロック図である。図中、減算器13からモータ19までは図2と同じである。21は速度ループの出力であるトルク指令が実際に電流に変換されるまでのむだ時間1であり、ここではtd1時間遅れるとしている。22はモータ位置が実際にエンコーダなどで検出され、信号処理されてモータ速度Vfbとなるまでのむだ時間2であり、ここではtd2時間遅れるとしている。以上2つのむだ時間の影響で、速度ループゲインなどの制御ゲインが大きくできず、高速、高精度応答実現の妨げとなっている。
図4は実際のロボット、工作機械等の図3に示すようなシステムに従来技術である特許文献1の速度予測モデルを適用した場合の制御ブロック図である(以下、これを従来方法と呼ぶ)。図中、減算器13からむだ時間22までは図3と同じである。31は速度補償器であり、トルク指令Trefおよびモータ速度Vfbを入力し、低速度域での速度分解能が高く位相遅れのない補償速度CVfbを出力する。
ここからはデジタル制御で実現されるサーボ製品を想定して離散時間系で説明する。
ここで、図4におけるむだ時間td2は遅れ時間Kに相当し、速度Vfb(i-K)はKサンプリング周期遅れたモータ位置Pfb(i-K)から差分演算により算出した位置増分値ΔPfb(i-K)に相当する。ただし、Δはサンプリング周期ts間の増分値を表す。速度補償器31はエンコーダなどで検出されたKサンプリング周期遅れたモータ位置から差分演算により算出した速度Vfb(i-K)を入力し、M'サンプリング前から時刻i-Kまでの前記速度Vfb(i-m)(ただし、m=K,…,M')を記憶する手段と、モータの動特性モデルとしてトルク指令uから速度Vfb(=位置増分値ΔPfb)までの伝達関数モデル
以上より、図4に示したシステムを用いれば、低速度域での速度分解能が高く位相遅れのない補償速度CVfb(i)を作ることができるため、制御ゲインを大きくすることができ、高速・高精度応答が実現できる。
しかし、式(3)が示すように、例えば重力などの一定方向の外乱入力があった場合、その補償トルクがトルク指令Tref (i-K)に含まれるため、予測速度Vfb*(i+m)に誤差を含んでしまう。
図4の場合はこの問題を解決するために式(3)で利用するトルク指令にハイパスフィルタを通す、トルク指令の比例項(速度比例積分制御の場合)のみ利用する、という対策をしているが、実際にはメカ振動、クーロン摩擦、粘性摩擦などの影響をハイパスフィルタで取りきれず、さらにハイパスフィルタの時定数によっても誤差が変わってしまう。この誤差がどんなに小さくとも、速度ループの積分器で補償速度CVfbを利用しているため誤差が蓄積し、定常状態においても速度誤差を生じていた。
以下、図1に基づいて説明する。
図1中、減算器13から速度補償器31までは図3と同じである。従来技術では減算器13の出力である速度偏差Veとそれを速度ループ積分器14で積分した値を加算器15で足し合わせていたが、図1では速度ループ積分器14には補償速度CVfbではなくエンコーダから検出された位置の差分で求めた速度Vfbを利用し、比例項16側の演算を図1のように等価ブロック変換し、この比例項の演算には補償速度CVfbを利用するように変更した。
図2から図4までの速度制御方法はPI制御方式であり、本発明のように等価変換すればPI制御とI-P制御を切り替えることができるばかりでなく、
α=1.0,0.9,0.8,…,0.2,0.1,0.0
のように設定すればPI制御とI-P制御を連続的に切り替えることが可能となる。
図1の構成とすることで、摩擦などの影響で補償速度に誤差を含んでいても、積分器がその誤差を補償してくれるため、速度誤差を生じない、高速、高精度応答が実現できる。
図5は図1の本発明に位置制御ループを加え、位置決め応答させた結果である。図中、r[rad/s]は位置指令で最高速度305mm/sまで30msで加速して30msで減速して速度ゼロとなる三角速度パタンとし、加減速度は1Gである。なお、ボールネジリードは20mmであり、ref_endは指令払い出し終了時刻60msを意味する。y[rad/s]は実際に動いたモータ位置、tr[Nm]はトルク指令、v[rad/s]はモータ速度、2000Pe[rad]は位置偏差であり2000倍に拡大している。図から明らかなように、位置決め停止時にオーバーシュートすることもなく停止時の誤差も生じず安定した応答をしている。なお、制御パラメータは、位置ループゲインKp=480[1/s],速度ループゲインKv=3014[rad/s],速度ループ積分時定数Ti=0.66[ms]、トルクフィルタ定数Tf=0.1[ms]と設定し、速度制御方法はI-P制御としている。
同様に、補償速度を利用しない一般的な方法と従来方法の位置決め応答を評価した。
一般的な方法では振動発生のため、Kp=320[1/s],速度ループゲインKv=2010[rad/s],速度ループ積分時定数Ti=0.99[ms]、トルクフィルタ定数Tf=0.1[ms]と設定した。従来方法では本発明と同様の制御ゲインを設定することができた。
図6中、Pe1は本発明を用いた場合、Pe2従来方法を用いた場合、Pe3は一般的な方法を用いた場合の応答結果である。本発明Pe1と従来方法Pe2は制御ゲインを同じく設定できたため、位置偏差がゼロに近づくまではほぼ同じ応答をしているが、従来方法では補償速度に含まれた誤差の影響で位置決め停止時に誤差を生じている。一方、本発明では誤差を生じていない。
また、一般的な方法ではむだ時間の影響で制御ゲインを大きくできなかったため、位置決め時間が本発明より遅くなっている。整定時間は本発明では8msであり一般的な方法では13msかかったため、本発明を利用することで5ms位置決め時間を短縮できた。なお、本実験では、K=0としてトルク指令から位置までの連続系の伝達関数モデルを1/JS^2とおき、零次ホールドとサンプラを考慮して離散化した。この場合、式(2)のモデルGv(z)の係数は、Na=1,a1=1,Nb=2,b1=b2=b=Ts^2/2Jとなり、さらに、M=2とし、W2=0.5,W1=0.25,W'1=0.25と重み付けし、式(3)と式(1)を合わせた形に簡略化すると、
12 位置ループゲイン乗算器
13 減算器
14 速度制御ループ積分器
15 加算器
16 速度ループゲイン乗算器
17 イナーシャ補償乗算器
18 トルクフィルタ
19 モータ
1a 積分器
21 むだ時間1
22 むだ時間2
31 速度補償器
41 PI/I-P切り替えゲイン
Claims (3)
- 現在時刻iにおいてK・Ts(K≧0,Ts:サンプリング周期)前のモータ位置Pfb(i-K)を検出し、この検出信号を基に算出したモータ速度フィードバック信号Vfbによりフィードバック制御を行うモータ速度制御装置において、
速度指令Vrefから前記速度Vfbを減じて速度偏差Veを求める減算器と、前記速度偏差Veを時定数Tiで時間積分し速度偏差積分値SVeを求める積分器と、前記速度Vfbを補償して速度補償値CVfbを求める速度補償器と、前記速度指令Vrefにα(0.0≦α≦1.0)を乗じて比例信号αVrefを求める乗算器と、前記比例信号αVrefと前記速度偏差積分値SVeを加えるとともに前記速度補償値CVfbを減じる加減算器と、前記加減算器の出力に速度ル−プゲインKvを乗じて加速度指令Arefを算出する乗算器と、前記加速度指令Arefにイナーシャ補償値Jを乗じてトルク指令Trefを算出する乗算器と、前記トルク指令をフィルタリング(ロ−パスフィルタ)して新たにトルク指令Trefとするトルクフィルタとを備える構成とすることを特徴とするモータ速度制御装置。 - 前記速度補償器は、前記位置Pfb(i-K)から速度Vfb(i-K)を算出する手段と、M'サンプリング前から時刻i-Kまでの前記速度Vfb(i-m)(ただし、m=K,…,M')を記憶する手段と、モータの動特性モデル、前記トルク指令Tref(i),前記位置Pfb(i-K)より、Mサンプリング先までの速度予測値Vfb*(i+m)(ただし、m=-K+1,…,M)を求める予測器と、前記速度補償値CVfb(i)を、
前記予測器は、位置Pfbより位置増分値ΔPfb(Δはサンプリング周期Ts間の増分値を表す)を求める手段と、トルク指令Trefから位置増分値ΔPfbまでの伝達関数モデル
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