JP4053455B2 - 光集積化ユニットおよびそれを備える光ピックアップ装置 - Google Patents
光集積化ユニットおよびそれを備える光ピックアップ装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に情報を記録し、かつ光記録媒体に記録される情報を読取って再生する光ディスク装置に好適に用いられる光集積化ユニットおよびそれを備える光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスク(Compact Disk;略称:CD)およびデジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disk;略称:DVD)などの光記録媒体に情報を記録し、かつ光記録媒体に記録される情報を読取って再生する光ディスク装置において、光記録媒体の偏心に対物レンズを追従させて、ビームスポットが常に目的のトラックの上をトレースするように制御するトラッキングサーボの方式には、3ビーム法およびプッシュプル法がある。しかし、光ディスク装置において3ビーム法およびプッシュプル法を用いた場合には、記録時、再生時およびアクセス時、または光記録媒体の傾きによってオフセットが生じる。このオフセットを除去する方法として、光メモリシンポジウム’86において、差動プッシュプル(Differential Push−Pull;略称:DPP)法が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0003】
近年では、前記DPP法を用いてトラッキングサーボを行う光集積化ユニットを備える光ピックアップ装置が提案されており、たとえばDVD再生装置などの高密度光ディスク装置に前記光ピックアップ装置が用いられている。
【0004】
図8は、従来の技術における光集積化ユニット101の構成を簡略化して示す図である。図8(a)は、光集積化ユニット101の構成を示す平面図であり、図8(b)は光集積化ユニット101の構成を示す断面図である。ここで、図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸である。Z軸方向は、図示しないコリメートレンズおよび対物レンズの光軸方向に一致する。X軸方向は、図示しない光記録媒体の半径方向に一致する。Y軸方向は、図示しない光記録媒体に形成されるトラックの接線方向に一致する。
【0005】
光集積化ユニット101において、半導体レーザ素子105から出射されたレーザ光120は、3ビーム用回折格子106によって0次回折光であるメインビームと、±1次回折光である2つのサブビームとに分割される。メインビームおよび2つのサブビームは、複合プリズム107の偏光ビームスプリッタ面(以下、「PBS面」と表記する場合がある)107aを透過し、1/4波長板108を透過してコリメートレンズへ向かう。コリメートレンズを通過したメインビームおよび2つのサブビームは、対物レンズを通過した後、光記録媒体の情報記録面に集光する。ただし、図8(b)においては、図が煩雑になることを避けかつ理解を容易にするために、2つのサブビーム、コリメートレンズ、対物レンズおよび光記録媒体を省略している。
【0006】
光記録媒体の情報記録面で反射された前記メインビームおよび2つのサブビームの戻り光121は、往路の経路を逆に辿って、対物レンズ、コリメートレンズ、1/4波長板108を透過して、複合プリズム107に入射する。複合プリズム107に入射した戻り光121は、複合プリズム107のPBS面107aおよび反射ミラー面107bによって反射され、ホログラム素子109に入射する。ホログラム素子109に入射した前記戻り光121は、ホログラム素子109によって回折され、この回折光が受光素子110に入射する。
【0007】
ここで、半導体レーザ素子105から出射されたレーザ光120の偏光は、図8に示すX方向の直線偏光であり、この直線偏光のレーザ光が1/4波長板108に入射すると、円偏光のレーザ光に変換される。光記録媒体の情報記録面において反射されたレーザ光、つまり戻り光121は、再度1/4波長板108に入射することによって円偏光から、図8に示すY方向の直線偏光に変換される。
【0008】
前述のように、従来技術の光集積化ユニットでは、半導体レーザ素子105から出射されたレーザ光120を、メインビームおよびサブビームともに、ほぼすべての光を光記録媒体に導くとともに、戻り光のほぼすべての光を受光素子側に導くことができ、光利用効率を向上させることができる構成になっている。
【0009】
図9は、ホログラム素子109および受光素子110の素子形状ならびにホログラム素子109の各ホログラム領域によって回折された光が入射する受光素子110の各受光領域を示す図である。ここで、図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸であり、図8に示す軸と同一であるので、説明を省略する。
【0010】
ホログラム素子109は、図9に示すように、X方向に平行な分割線109lと、Y方向に平行な分割線109mとによって、3つのホログラム領域109a、109bおよび109cに分割される。
【0011】
受光素子110は、ホログラム素子109によって回折された+1次回折光を受光する受光領域110a〜110fと、ホログラム素子109によって回折された−1次回折光を受光する受光領域110g、110hおよび110iとを含んで構成される。以下の説明において、受光素子110の各受光領域110a〜110iにおける出力信号を、それぞれSa〜Siと表記する。以下の説明において、前記メインビームを「メインビームM」、2つのサブビームのうち、一方のサブビームを「サブビームA」、他方のサブビームを「サブビームB」と表記する場合がある。
【0012】
従来の技術の光集積化ユニット101は、メインビームMの戻り光のうち、ホログラム素子109のホログラム領域109aで回折された+1次回折光は、受光素子110の受光領域110aおよび110bの分割線110l上で検出され、前記ホログラム領域109aで回折された−1次回折光は、前記受光領域110gで検出されるように構成されている。またメインビームMの戻り光のうち、ホログラム素子109のホログラム領域109bで回折された−1次回折光は、受光素子110の受光領域110hで検出され、前記ホログラム領域109cで回折された−1次回折光は、前記受光領域110iで検出されるように構成されている。
【0013】
さらに、従来の技術の光集積化ユニット101は、サブビームAの戻り光のうち、ホログラム素子109のホログラム領域109bで回折された+1次回折光は、受光素子110の受光領域110eで検出され、前記ホログラム領域109cで回折された+1次回折光は、前記受光領域110cで検出されるように構成されている。またサブビームBの戻り光のうち、前記ホログラム領域109bで回折された+1次回折光は、前記受光領域110fで検出され、前記ホログラム領域109cで回折された+1次回折光は、前記受光領域110dで検出されるように構成されている。
【0014】
前述のように構成された光集積化ユニット101を備える光ピックアップ装置において、受光素子110の各受光領域110a〜110iによって検出される信号を用いたフォーカス誤差信号(略称:FES)、トラッキング誤差信号(略称:TES)および情報信号(略称:RF)の演算処理は、以下のように行われる。
【0015】
FESは、
FES=Sa−Sb …(1)
によって算出される。
【0016】
またプッシュプル法によるトラッキング誤差信号(略称:TES1)は、出力信号ShおよびSiを用いて、
TES1=Sh−Si …(2)
によって算出可能であるが、プッシュプル法ではオフセットが発生する。そのため、このオフセットを除去することができるDPP法が広く用いられている。DPP法によるトラッキング誤差信号(略称:TES2)は、サブビームAのプッシュプル信号(略称:TES(A))とサブビームBのプッシュプル信号(略称:TES(B))とを用いて、
によって算出される。
【0017】
ここで、式(3)に示す係数kは、メインビームMとサブビームA,Bとの光量比の違いを補正するための定数である。前記メインビームMとサブビームA,Bとの光量比が、メインビームM:サブビームA:サブビームB=a:b:b(a,b;自然数)であるときの係数kは、
k=a/(2b) …(4)
によって与えられる。
【0018】
ピット情報が記録された光記録媒体を再生するときには、前記出力信号Shおよび前記出力信号Siの位相差の変化を検出し、位相差(Differential Phase
Detection;略称:DPD)法によって、TESを算出することもできる。
【0019】
また、光記録媒体に記録されたRFは、
RF=Sh+Sg+Si …(5)
によって算出される(たとえば、特許文献1参照)。
【0020】
【特許文献1】
特開2001−273666号公報
【非特許文献1】
大里潔、「差動プッシュプル法」、光メモリシンポジウム’86、pp.127−132、1986年
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
図8(b)に示す半導体レーザ素子105から出射されたレーザ光120は、図示しない光記録媒体側に進むにつれてビーム径が大きくなるので、同図に示す3ビーム用回折格子106を通過した後は、メインビームMとサブビームA,Bとがほぼ重なり合う状態で存在している。したがって、半導体レーザ素子105から出射されたレーザ光の外形が図8(b)に示すレーザ光120であると考えても大差はない。しかし、ビーム径が比較的小さい領域では、メインビームMとサブビームA,Bとのずれが顕著になり、前述と異なる状況を呈する。
【0022】
図10は、ホログラム素子109に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bを示す図である。図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸であり、図8に示す軸と同一であるので、説明を省略する。
【0023】
ビーム径が比較的小さい領域であるホログラム素子109付近では、図10に示すように、ホログラム素子109に入射したメインビーム121aと、サブビーム121bおよびサブビーム121cとの入射位置は一致せず、サブビーム121bはメインビーム121aからY方向一方側にずれた位置に、サブビーム121cはメインビーム121aからY方向他方側にずれた位置に入射する。
【0024】
図11は、図8(b)の切断面線X’−X’におけるメインビームMおよびサブビームA,Bの光の形状を示す図である。図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸であり、図8に示す軸と同一であるので、説明を省略する。
【0025】
図10に示すメインビーム121a、サブビーム121bおよびサブビーム121cがホログラム素子109の3つのホログラム領域109a〜109cによって回折された回折光の切断面線X’−X’における形状は、図11に示すようになる。
【0026】
同図において、光130eおよび光130cは、サブビームAがホログラム領域109bおよび109cにおいて回折された+1次回折光を示しており、光130fおよび光130dは、サブビームBがホログラム領域109bおよび109cにおいて回折された+1次回折光を示している。光130lは、メインビームMがホログラム領域109aにおいて回折された+1次回折光を示している。また、光130h、光130gおよび光130iは、メインビームMがホログラム領域109b、109aおよび109cにおいて回折された−1次回折光を示している。なお、同図において、参照符を付した光は、TESの生成およびRFの生成などに用いられる光を示しており、参照符を付していない光は、光ピックアップ装置において用いられない光である。
【0027】
前述の従来技術において、TESを検出するときに係数kを算出する式(4)は、最終的に受光素子110において検出されるサブビームA,Bの光量比が一定の場合に成立する式である。しかし、従来技術の光集積化ユニットを備える光ピックアップ装置では、サブビームA,B同士の光量比が異なるので、メインビームMとサブビームA,Bとの光量比は、メインビームM:サブビームA:サブビームB=a:b1:b2(a,b1,b2;自然数)になると考えられ、式(4)の係数kは、k’=a/(b1+b2)によって与えられるべきである。
【0028】
前述のサブビームA,Bにおける光量の相違は、図10に示すように、サブビームA121bおよびサブビームB121cがホログラム素子109の分割線109lによって、ビームスポットの中央で等分割されないことに起因する。前記分割線109lで分割されることによってサブビームA,Bの光量に相違が生じる構成であっても、前記光量の相違が常に一定であれば、前述の係数kを適当な値に設定することによって、光ピックアップ装置に依存せず、安定したトラッキングサーボが可能となる。しかし、従来技術の光ピックアップ装置では、半導体レーザ素子105の組立て誤差、パッケージ、ステムおよびキャップなど筐体部分に関する製造誤差ならびに偏光ビームスプリッタおよび反射ミラーなどの光ピックアップ装置に用いられる光学部品の製造誤差および組立て誤差などの影響を受けて、ホログラム素子109上のメインビームMとサブビームA,Bとの位置および間隔が、光ピックアップ装置ごとに異なってしまう。
【0029】
したがって、係数kを定めることによって本来有するメインビームMとサブビームA,Bとの光量の相違を補正しようとしても、光ピックアップ装置の有する個体差を考慮すると、光ピックアップ装置ごとにサブビームA,Bの光量比が異なるので、十分に補正することができないという問題がある。これによって、安定したトラッキングサーボを行うことが困難な光ピックアップ装置が製造される場合があるという問題がある。
【0030】
本発明の目的は、安定したトラッキングサーボが可能な光集積化ユニットおよびそれを備える光ピックアップ装置を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光を出射する光源と、
光記録媒体によって反射された光を検出する光検出手段と、
光学基板と、
前記光学基板の一方の面に設けられ、前記光源から出射されたレーザ光をメインビームならびに第1のサブビームおよび第2のサブビームに分割する第1の光分割手段と、
前記光学基板の一方の面に、前記第1の光分割手段と間隔をあけて設けられ、光記録媒体によって反射された前記メインビームならびに第1のサブビームおよび第2のサブビームの戻り光を、前記光記録媒体におけるトラックの接線方向であるタンジェンシャル方向に分割して、少なくとも予め定める回折特性の光である透過光と、透過光に対して前記タンジェンシャル方向と直交するラジアル方向にそれる分割光とに分割する第2の光分割手段と、
前記光学基板の他方の面に設けられ、偏光ビームスプリッタ面および反射面を有し、第1の光分割手段からのレーザ光を透過し、光記録媒体によって反射された戻り光を前記変更ビームスプリッタ面で略ラジアル方向に反射し、かつ前記反射面で前記第2の光分割手段に入射させる複合プリズムと、
前記光学基板の一方の面に設けられ、前記第2の光分割手段によって分割された光のうち透過光が入射し、この入射光を、前記ラジアル方向に分割する第3の光分割手段とを含むことを特徴とする光集積化ユニットである。
【0032】
本発明に従えば、光源から出射されたレーザ光は、第1の光分割手段によって、メインビームならびに第1のサブビームおよび第2のサブビームに分割された後、光記録媒体によって反射される。光記録媒体によって反射されたメインビームならびに第1および第2のサブビームの戻り光は、第2の光分割手段によって、光記録媒体におけるトラックの接線方向であるタンジェンシャル方向に分割される。第2の光分割手段によって分割された光のうち予め定める回折特性の光は、第3の光分割手段に入射して、前記タンジェンシャル方向と直交するラジアル方向に分割される。第2の光分割手段によって分割された光のうち予め定める回折特性の光以外の光および第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された光は、光検出手段によって検出される。光検出手段は、たとえば第3の光分割手段によって分割された光に基づいて、トラッキング誤差信号の検出を行う。
【0033】
第2および第3の光分割手段は光学基板の一方および他方にそれぞれ独立して配置されるので、光記録媒体によって反射された前記戻り光を、前述のように第2および第3の光分割手段を用いて分割させ、トラッキング誤差信号の検出に最適な光を生成することができる。特に、第3の光分割手段は、第2の光分割手段によって分割された光のうち予め定める回折特性の光をラジアル方向に分割するとき、トラッキング誤差信号の検出に用いる前記予め定める回折特性の光におけるメインビームならびに第1および第2のサブビームの形状が同一になるように分割することができる。これによって、トラッキング誤差信号の検出に用いるメインビームならびに第1および第2のサブビームとの光量比を一定に保つことができる。
【0034】
したがって、前述の光集積化ユニットを用いた光ピックアップ装置が、光源の組立て誤差、筐体部分に関する製造誤差ならびに光学部品の製造誤差および組立て誤差などの影響を受けて、装置ごとに個体差が生じる場合でも、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。また、生成される安定したトラッキング誤差信号を用いることによって、安定したトラッキングサーボを実現可能な光ピックアップ装置を製造することができる。
【0036】
また第2の光分割手段は、前記戻り光を、少なくとも前記予め定める回折特性の光である0次回折光すなわち透過光と、透過光に対して前記ラジアル方向にそれる分割光とに分割する。透過光に対して前記ラジアル方向にそれる光は、温度変化による波長変動や、第2の光分割手段の製造ばらつきに伴って、透過光に対して前記ラジアル方向にそれる角度にばらつきが生じる。これに対して透過光は、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けないので、この透過光を、たとえばトラッキング誤差信号の生成に用いる。前記分割光は、トラッキング誤差信号以外の信号の生成に用いる。
【0037】
前述のように、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない透過光を、トラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0038】
また本発明は、前記第2の光分割手段は、前記メインビームならびに第1および第2のサブビームの戻り光のすべてを包含する位置に形成されることを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、第2の光分割手段は、メインビームならびに第1および第2のサブビームのすべての戻り光を包含する位置に形成される。第2の光分割手段は、入射した前記すべての戻り光を、少なくとも予め定める回折特性の光である0次回折光すなわち透過光と、透過光からそれる第1の分割光とに分割し、分割した光のうち透過光は第3の光分割手段に入射する。前述のように、第2の光分割手段は、前記すべての戻り光を包含する位置に形成されるので、前記戻り光に対する光利用効率を向上することができる。また、前記戻り光に対する光利用効率を向上することによって、第2の光分割手段によって分割された透過光が第3の光分割手段に入射したときに、メインビームならびに第1および第2のサブビームの透過光における回折効率を等しく、かつビーム形状に部分的な欠けなどが発生しないようにすることができる。これによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0040】
また本発明は、前記第2の光分割手段は、前記透過光の回折効率よりも前記第1の分割光の回折効率が大きくなるように設定されて形成されることを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、第2の光分割手段は、透過光の回折効率よりも、第1の分割光の回折効率が大きくなるように設定されて形成される。したがって、第1の分割光を、たとえば光記録媒体に記憶されている情報信号の生成に用いる場合に、第1の分割光の光量を透過光の光量よりも増加させることができる。これによって、情報信号の信号対雑音比を向上することができる。
【0042】
また本発明は、前記第3の光分割手段は、前記第2の光分割手段によって分割された前記透過光を、第2の分割光と第3の分割光とに分割することを特徴とする。
【0043】
本発明に従えば、第3の光分割手段は、前記第2の光分割手段によって分割された光のうち透過光を、第2の分割光と第3の分割光とに分割する。透過光は、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない。したがって、前記透過光を分割した第2および第3の分割光を、たとえばトラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0044】
また本発明は、前記第2および第3の分割光に基づいてトラッキング誤差信号が生成されることを特徴とする。
【0045】
本発明に従えば、第3の光分割手段によって分割された第2および第3の分割光に基づいて、トラッキング誤差信号を生成する。第2および第3の分割光は、第3の光分割手段に入射した透過光を分割した光であり、この透過光は、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない光である。したがって、前述のような透過光を分割した第2および第3の分割光を、トラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0046】
また本発明は、前記第1および第2のサブビームにおける前記第2および第3の分割光の光量は等しいことを特徴とする。
【0047】
本発明に従えば、第2および第3の分割光は、前記第2の光分割手段によって分割された透過光に対して光検出手段の対称な位置に入射するように、光記録媒体のラジアル方向にそれて分割される。このように分割された第2の分割光の光量と第3の分割光の光量とは等しいので、安定した第1および第2のサブビームにおけるサブプッシュプル信号を生成することができる。
【0048】
また本発明は、前記第1および第2のサブビームにおける第2および第3の分割光の形状は等しいことを特徴とする。
【0049】
本発明に従えば、第2および第3の分割光は、前記第2の光分割手段によって分割された透過光に対して光検出手段の対称な位置に入射するように、光記録媒体のラジアル方向にそれて分割される。このように分割された第2の分割光の形状と第3の分割光の形状とは等しいので、安定した第1および第2のサブビームにおけるサブプッシュプル信号を生成することができる。
【0050】
また本発明は、前記メインビームならびに第1および第2のサブビームにおける第2および第3の分割光の形状は等しいことを特徴とする。
【0051】
本発明に従えば、第2および第3の分割光は、前記第2の光分割手段によって分割された透過光に対して光検出手段の対称な位置に入射するように、光記録媒体のラジアル方向にそれて分割される。このように分割された第2の分割光の形状と第3の分割光の形状とは等しいので、メインビームにおけるメインプッシュプル信号および第1および第2のサブビームにおけるサブプッシュプル信号の強度比を一定に保つことができる。したがって、安定したメインプッシュプル信号および安定したサブプッシュプル信号を得ることができる。
【0052】
また本発明は、前記第3の光分割手段は、前記第2の光分割手段よりも前記光検出手段側に設けられることを特徴とする。
【0053】
本発明に従えば、第3の光分割手段は、第2の光分割手段よりも光検出手段側に設けられる。これによって、第2の光分割手段によって分割された第1の分割光を、第2の光分割手段によって分割された透過光からより遠くに離れたラジアル方向一方にそれる構成にしている。これによって、第2の光分割手段を僅かに回転させるだけで、第1の分割光の光検出手段上での位置を大きく移動させる作用が生じるので、フォーカスオフセット調整を行うときの第2の光分割手段の回転量が少なくて済む。したがって、トラッキング誤差信号の生成に用いる光が非対称に分割されることによる不要なオフセットの発生およびトラッキング誤差信号の生成に必要なプッシュプル成分の低下を防止することができる。これによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0054】
また本発明は、前記第2の光分割手段は、回折格子によって構成されることを特徴とする。
【0055】
本発明に従えば、第2の光分割手段は回折格子によって構成されるので、たとえばフォトリソグラフィ技術および射出成型を用いることによって容易に形成することができる。また、他の光分割手段も回折格子で作製することができるので、設計の自由度を高くすることができる。これによって、回折格子で作製した光分割手段を一体的に形成することができる。また光分割手段を一体的に形成することによって、光集積化ユニットの製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業も簡素化することができる。
【0056】
また本発明は、前記第3の光分割手段は、回折格子によって構成されることを特徴とする。
【0057】
本発明に従えば、第3の光分割手段は回折格子によって構成されるので、たとえばフォトリソグラフィ技術および射出成型を用いることによって容易に形成することができる。また、他の光分割手段も回折格子で作製することができるので、設計の自由度を高くすることができる。これによって、回折格子で作製した光分割手段を一体的に形成することができる。また光分割手段を一体的に形成することによって、光集積化ユニットの製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業も簡素化することができる。
【0058】
また本発明は、前記光集積化ユニットと、
前記光源から出射されたレーザ光を、光記録媒体の情報記録面に集光させる集光手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0059】
本発明に従えば、前記光集積化ユニットおよび集光手段を組み合わせて光ピックアップ装置が構成される。光集積化ユニットは、安定したトラッキング誤差信号を生成することができるので、安定したトラッキングサーボを行うことができる光ピックアップ装置を実現することができる。
【0060】
また本発明は、前記第3の光分割手段によって分割された第2および第3の分割光の光検出手段における出力信号に基づいて、トラッキング誤差信号が生成されることを特徴とする。
【0061】
本発明に従えば、第3の光分割手段によって分割された第2および第3の分割光の光検出手段における出力信号に基づいて、トラッキング誤差信号を生成する。第2および第3の分割光は、第3の光分割手段に入射した透過光を分割した光であり、この透過光は、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない光である。したがって、前述のような透過光を分割した第2および第3の分割光の光検出手段における出力信号を、トラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0062】
また本発明は、前記光検出手段は、
前記第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された前記メインビームの一方の光および他方の光の前記光検出器における出力信号の差信号である第1の差信号と、
前記第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された前記第1のサブビームの一方の光および他方の光の前記光検出器における出力信号の差信号である第2の差信号と、
前記第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された前記第2のサブビームの一方の光および他方の光の前記光検出器における出力信号の差信号である第3の差信号とを検出し、
前記検出された第1の差信号と、前記第2および第3の差信号の和との差に基づいてトラッキング誤差信号が生成されることを特徴とする。
【0063】
本発明に従えば、第1の差信号、第2の差信号および第3の差信号を用いて、第1の差信号と、前記第2および第3の差信号の和との差を算出することによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。このようにして生成される安定したトラッキング誤差信号を用いることによって、安定したトラッキングサーボを行うことができる光ピックアップ装置を実現することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である光集積化ユニット2を備える光ピックアップ装置1の構成を簡略化して示す断面図である。図2は、3ビーム用回折格子6を示す平面図である。図3は、タンジェンシャル方向分割回折格子9を示す平面図である。図4は、ラジアル方向分割回折格子10を示す平面図である。光ピックアップ装置1は、光集積化ユニット2、コリメートレンズ3および対物レンズ4を含んで構成される。光集積化ユニット2は、半導体レーザ素子5、3ビーム用回折格子6、複合プリズム7、1/4波長板8、タンジェンシャル方向分割回折格子9、ラジアル方向分割回折格子10、光検出器11、ステム12、サブマウント13、キャップ14および光学基板15を含んで構成される。
【0065】
光ピックアップ装置1は、光記録媒体16の情報記録面に記録された情報を光学的に読取る処理および光記録媒体16の情報記録面に情報を光学的に記録する処理の少なくとも一方の処理を行う装置である。光記録媒体16は、たとえばコンパクトディスク(Compact Disk;略称:CD)、コンパクトディスク−レコーダブル/リライタブル(Compact Disk-Recordable/Rewritable;略称:CD−R/RW)およびデジタルバーサタイルディスク(Digital Versatie Disk;略称:DVD)などである。
【0066】
ここで、図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸である。Z軸方向は、コリメートレンズ3および対物レンズ4の光軸方向に一致する。X軸方向は、光記録媒体16の半径方向に一致する。Y軸方向は、光記録媒体16に形成されるトラックの接線方向に一致する。以下の実施形態の説明において、X軸方向を「ラジアル方向」、Y軸方向を「タンジェンシャル方向」と表記する場合がある。
【0067】
コリメートレンズ3は、入射光を平行光に変換する。対物レンズ4は、入射光を光記録媒体16の情報記録面に集光させる。半導体レーザ素子5は、光ピックアップ装置1における光源である。3ビーム用回折格子6は、図2に示すように、X−Y平面上で長方形状であって、格子溝の方向とラジアル方向とが一致するように形成される。3ビーム用回折格子6は、入射されるレーザ光を、1つのメインビームと2つのサブビームとに分割する。以下の説明において、前記メインビームを「メインビームM」、前記2つのサブビームのうち、一方のサブビームを「サブビームA」、他方のサブビームを「サブビームB」と表記する場合がある。
【0068】
複合プリズム7は、偏光ビームスプリッタ面7aを有する偏光ビームスプリッタと反射面7bを有する反射ミラーとを含んで構成される。1/4波長板8は、直線偏光の光が入射されると円偏光の光に変換して出射し、円偏光の光が入射されると直線偏光の光に変換して出射する。
【0069】
タンジェンシャル方向分割回折格子(以下、単に「タンジェンシャル回折格子」と表記する場合がある)9は、図3に示すように、ラジアル方向に延在する分割線9aによってタンジェンシャル方向に分割された2つの領域9b,9cを有する。タンジェンシャル回折格子9は、入射光を0次回折光として透過する透過光と、0次回折光とは異なる方向へ回折する±n次回折光(nは自然数である)とに分割する。前記領域(以下、「格子領域」と表記する場合がある)9b,9cは、それぞれ回折特性が異なる回折格子によって構成されており、各格子領域9b,9cにおける0次回折光と±n次回折光との回折効率は一定で、かつ格子領域9b,9cにおける回折効率が等しくなるように設計される。
【0070】
ラジアル方向分割回折格子(以下、単に「ラジアル回折格子」と表記する場合がある)10は、図4に示すように、タンジェンシャル方向に延在する分割線10aによってラジアル方向に分割された2つの領域10b,10cを有する。ラジアル回折格子10は、入射光を+1次回折光と−1次回折光とに分割する。前記領域(以下、「格子領域」と表記する場合がある)10b,10cは、それぞれ回折特性が異なる回折格子によって構成される。
【0071】
ここで、ラジアル回折格子10には、後述するように、タンジェンシャル回折格子9における0次回折光23が入射し、この0次回折光23がトラッキング誤差信号の検出に用いられる。そこで、前記タンジェンシャル回折格子9は、図3に示すように、前記戻り光であるメインビームMおよびサブビームA,Bをすべて覆う位置に形成され、メインビームMおよびサブビームA,Bが同形状でラジアル回折格子10に入射するように構成される。
【0072】
光検出器11は、タンジェンシャル回折格子9によって回折された±n次回折光のうちの±1次回折光と、ラジアル回折格子10によって回折された±1次回折光とを受光する複数の受光領域を有する。光検出器11では、各受光領域から出力される信号に基づいて、フォーカス誤差信号(以下、「FES」と表記する場合がある)、トラッキング誤差信号(以下、「TES」と表記する場合がある)および光記録媒体16の情報記録面に記録された情報信号(以下、「RF」と表記する場合がある)の検出を行う。
【0073】
本実施形態において、3ビーム用回折格子6は第1の光分割手段、タンジェンシャル回折格子9は第2の光分割手段、ラジアル回折格子10は第3の光分割手段であり、光検出器11は光検出手段である。
【0074】
半導体レーザ素子5および光検出器11は、ステム12上に設けられるサブマウント13に設けられる。本実施形態において、半導体レーザ素子5は、図1に示すように、サブマウント13のタンジェンシャル方向他方の面に設けられ、光検出器11は、サブマウント13のZ軸方向一方の面に設けられる。キャップ14は、半導体レーザ素子5および光検出器11と外部との物理的接触を避けるために、半導体レーザ素子5および光検出器11を封止する封止部材であり、ステム12のZ軸方向一方の面に装着される。これによって、半導体レーザ素子5および光検出器11は図1に示すように、ステム12およびキャップ14によって密封される。
【0075】
キャップ14のZ軸方向一方の面には、直方体状の光学基板15が設けられる。光学基板15のZ軸方向他方の面15aには、3ビーム用回折格子6とラジアル回折格子10とが間隔をあけて形成される。光学基板15のZ軸方向一方の面15bで、かつラジアル回折格子10と対向する位置には、タンジェンシャル回折格子9が形成される。光学基板15のZ軸方向一方の面15bには、直方体状の複合プリズム7が設けられる。複合プリズム7のZ軸方向一方の面には、1/4波長板8が設けられる。
【0076】
半導体レーザ素子5から出射された直線偏光のレーザ光は、3ビーム用回折格子6に入射して、0次回折光であるメインビームM、+1次回折光であるサブビームAおよび−1次回折光であるサブビームBに、略タンジェンシャル方向に分割される。前記レーザ光が分割される方向は、図1において、紙面の略奥行き方向となる。したがって図1では、理解を容易にするために、メインビームMのみを記載している。ここで、用語「略タンジェンシャル方向」は、タンジェンシャル方向を含み、用語「略奥行き方向」は、奥行き方向を含む。
【0077】
前記3ビーム用回折格子6を通過したメインビームMおよびサブビームA,B(以下、メインビームMおよびサブビームA,Bは、単に「レーザ光」と表記する場合がある)は、複合プリズム7の偏光ビームスプリッタ面(以下、「PBS面」と表記する場合がある)7aを透過し、1/4波長板8に入射する。1/4波長板8に入射した直線偏光のレーザ光は、円偏光のレーザ光に変換されて、コリメートレンズ3に入射する。コリメートレンズ3に入射した円偏光のレーザ光は、平行光に変換される。平行光に変換された前記レーザ光は、対物レンズ4を通過して光記録媒体16の情報記録面に集光する。
【0078】
光記録媒体16の情報記録面で反射されたレーザ光(以下、「戻り光」と表記する場合がある)は、対物レンズ4およびコリメートレンズ3を通過した後、1/4波長板8に入射する。1/4波長板8に入射した円偏光の戻り光は、半導体レーザ素子5から出射された直線偏光とは偏光方向が90度異なる直線偏光に変換される。1/4波長板8を通過した戻り光は、複合プリズム7のPBS面7aで略ラジアル方向に反射され、反射面7bで略Z軸他方方向に反射される。
【0079】
前記反射面7bで反射された戻り光は、タンジェンシャル回折格子9に入射する。タンジェンシャル回折格子9に入射した戻り光は、透過光である0次回折光23と±n次回折光とに分割される。0次回折光23は、ラジアル回折格子10に入射し、±n次回折光のうち、+1次回折光21および−1次回折光22は、ラジアル回折格子10には入射せずに、光検出器11の所定の受光領域に入射する。
【0080】
本実施形態におけるタンジェンシャル回折格子9は、メインビームMおよびサブビームA,Bのすべての戻り光を包含する位置に形成される。タンジェンシャル回折格子9は、入射した前記すべての戻り光を、少なくとも予め定める回折特性の光である0次回折光23と、0次回折光23からラジアル方向にそれる+1次回折光とに分割し、分割した光のうち0次回折光23はラジアル回折格子10に入射する。前述のように、タンジェンシャル回折格子9は、前記すべての戻り光を包含する位置に形成されるので、前記戻り光に対する光利用効率を向上することができる。また、前記戻り光に対する光利用効率を向上することによって、タンジェンシャル回折格子9によって分割された0次回折光がラジアル回折格子10に入射したときに、メインビームMおよびサブビームA,Bの0次回折光における回折効率を等しく、かつビーム形状に部分的な欠けなどが発生しないようにすることができる。これによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0081】
また、本実施形態では、タンジェンシャル回折格子9によって回折されずに透過する0次回折光23を、ラジアル回折格子10に入射させる構成にしている。タンジェンシャル回折格子9によって回折された±1次回折光21,22は、温度変化による波長変動や格子ピッチの製造ばらつきなどによって、回折光の回折角度にばらつきを生じやすい。このような回折角度にばらつきを生じやすい±1次回折光21,22を、ラジアル回折格子10に入射させると、ラジアル回折格子10によって回折される回折光に対しても前記回折角度のばらつきによる影響を与えることになる。これに対して、0次回折光23は、温度変化による波長変動や格子ピッチの製造ばらつきなどによって、回折光の回折角度にばらつきが生じるなどの影響を受けないので、この0次回折光23がラジアル回折格子10に入射しても、ラジアル回折格子10によって回折される回折光に悪影響を与えない。したがって、タンジェンシャル回折格子9によって回折された±1次回折光21,22ではなく、回折されずに透過した0次回折光23を、ラジアル回折格子10に入射させるのが好ましい。
【0082】
前述のように、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつタンジェンシャル回折格子9の製造ばらつきによる影響を受けない0次回折光23を、たとえばトラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0083】
図1では、前記0次回折光23と、前記格子領域9bおよび9cで回折された+1次回折光21ならびに前記格子領域9bおよび9cで回折された−1次回折光22とを記載している。
【0084】
前記タンジェンシャル回折格子9を透過した0次回折光23は、ラジアル回折格子10に入射する。ラジアル回折格子10に入射した0次回折光23は、+1次回折光25および−1次回折光26に分割される。この分割された+1次回折光25および−1次回折光26は、光検出器11に入射する。本実施形態では、前記+1次回折光25および−1次回折光26の回折効率を向上させるために、ラジアル回折格子10における0次回折光を殆ど発生させないような回折特性を有するラジアル回折格子10を用いている。
【0085】
前述のように本実施形態では、3ビーム用回折格子6およびラジアル回折格子10は、光学基板15のZ軸方向他方の面15aに形成され、タンジェンシャル回折格子9は、光学基板15のZ軸方向一方の面15bに形成される。具体的には、3ビーム用回折格子6、タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10は、硝材を光学基板15としてフォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。また樹脂材料を光学基板15として射出成形によって形成することもできる。
【0086】
このように、3ビーム用回折格子6、タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10を、光学基板15に一体に形成することができる。これによって、光集積化ユニット2の製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業も簡素化することができる。
【0087】
図5は、タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの形状を示す図である。図5(a)は、タンジェンシャル回折格子9によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの−1次回折光の形状を示す図であり、図5(d)はタンジェンシャル回折格子9によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの+1次回折光の形状を示す図である。図5(b)は、ラジアル回折格子10によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの−1次回折光の形状を示す図であり、図5(d)はラジアル回折格子10によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの+1次回折光の形状を示す図である。ここで、図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸であり、図1に示す軸と同一であるので、説明を省略する。
【0088】
本実施形態において、図5の各光を示す参照符は、以下のように表記している。タンジェンシャル回折格子9に関しては、タンジェンシャル回折格子9の格子領域を示す参照符「9b」、「9c」の添え字「b」、「c」と、タンジェンシャル回折格子9によって回折された+1次回折光を示す参照符「21」および−1次回折光を示す参照符「22」と、メインビームを示す参照符「M」ならびに第1および第2のサブビームを示す参照符「A」、「B」とをそれぞれ複合して表記している。
【0089】
ラジアル回折格子10に関しては、ラジアル回折格子10の格子領域10bによって回折された+1次回折光を示す参照符「25」およびラジアル回折格子10の格子領域10cによって回折された−1次回折光を示す参照符「26」と、メインビームを示す参照符「M」ならびに第1および第2のサブビームを示す参照符「A」、「B」とをそれぞれ複合して表記している。たとえば、図5(a)の参照符「22Mb」は、タンジェンシャル回折格子9の格子領域9bによって回折されたメインビームMの−1次回折光22であることを示す。光検出器11の各受光領域における出力信号は、受光領域を示す参照符の前に「S」を付記する。図5において、丸括弧「( )」を付した参照符で示される光は、本実施形態において信号検出には用いない光であることを表しているが、丸括弧を付した参照符で示される光を、信号検出に用いる構成にしてもよい。
【0090】
次に、トラッキング誤差信号の算出形態について説明する。ラジアル回折格子10の格子領域10b,10cにおける+1次回折光25および−1次回折光26には、光記録媒体16の案内溝で生じる光の回折による変調成分が含まれている。ラジアル回折格子10によって回折されたメインビームMの+1次回折光25Mが検出される光検出器11の受光領域31およびラジアル回折格子10によって回折されたメインビームMの−1次回折光26Mが検出される光検出器11の受光領域36の出力信号を、それぞれS31,S36と表記すると、出力信号S31と出力信号S36との差によってメインビームMのプッシュプル信号(略称:MPP)が算出される。すなわちMPPは、
MPP=S31−S36 …(6)
によって算出される。
【0091】
さらにサブビームA,Bは、前記メインビームMの+1次回折光25Mが有する変調成分の位相に対して、ラジアル回折格子10によって回折されたサブビームA,Bの+1次回折光25A,25Bの変調成分の位相が180度異なるように、光記録媒体16の案内溝に照射される。また前記メインビームMの−1次回折光26Mが有する変調成分の位相に対して、ラジアル回折格子10によって回折されたサブビームA,Bの−1次回折光26A,26Bの変調成分の位相が180度異なるように、光記録媒体16の案内溝に照射される。
【0092】
したがって、前記+1次回折光25A,25Bおよび前記−1次回折光26A,26Bが検出される受光領域30,32,35,37における出力信号をそれぞれS30,S32,S35,S37と表記すると、出力信号S30と出力信号S35との差および出力信号S32と出力信号S37との差は、前記MPPに対して逆相のプッシュプル成分となる。
【0093】
ここで、トラッキングサーボを行うときに、対物レンズ4がラジアル方向に移動することによって生じるオフセットは、前記ラジアル回折格子10によって回折されたメインビームMの+1次回折光25M、および前記ラジアル回折格子10によって回折されたサブビームA,Bの+1次回折光25A,25B同士で同様に生じる。また、前記ラジアル回折格子10によって回折されたメインビームMの−1次回折光26M、および前記ラジアル回折格子10によって回折されたサブビームA,Bの−1次回折光26A,26B同士でも同様に生じる。
【0094】
以上のことから、出力信号S30と出力信号S35との差および出力信号S32と出力信号S37との差は、前記MPPに対してプッシュプル成分が逆相で、かつオフセット成分が同符号となる。
【0095】
したがって、差動プッシュプル(Differential Push−Pull;略称:DPP)法によるトラッキング誤差信号は、式(6)を用いて、
によって算出される。
【0096】
ここで、式(7)における係数kについて説明する。係数kは、メインビームMとサブビームA,Bとの光量比を補正する定数である。本実施形態において、3ビーム用回折格子6において分割されるメインビームMとサブビームA,Bとの光量比は、メインビームM:サブビームA:サブビームB=10:1:1となるように構成されるとともに、TESを検出するときには、同一の回折効率に設定されたラジアル回折格子10の格子領域10b,10cの回折光を用いているので、係数kは、k=10/(1+1)=5となる。このように定めた係数kを代入した式(7)を用いることによって、MPPに生じる対物レンズ4の移動によるオフセット成分を相殺することができる。
【0097】
図6は、ラジアル回折格子10に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bのビーム径および位置を示す図である。図6(a)は、メインビームMおよびサブビームA,Bのビーム径が拡大したときを示す図であり、図6(b)はメインビームMおよびサブビームA,Bのビーム径が縮小したときを示す図であり、図6(c)はメインビームMおよびサブビームA,Bの位置ずれを示す図である。ここで、図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸であり、図1に示す軸と同一であるので、説明を省略する。
【0098】
光ピックアップ装置1において、半導体レーザ素子5の組立て誤差や、ステム12およびキャップ14などの筐体部分に関する製造誤差、偏光ビームスプリッタおよび反射ミラーなどの光学部品の製造誤差ならびに組立て誤差の影響を受けると、ラジアル回折格子10に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bは、図6(a)〜図6(c)に示すように、ビーム径およびビーム位置などが光ピックアップ装置ごとに異なり、装置のばらつきが生じる。たとえば、図6(a)に示すように、メインビームMおよびサブビームA,Bのビーム径が、正常なビーム径に比べて拡大されてしまう光ピックアップ装置や、図6(b)に示すように、メインビームMおよびサブビームA,Bのビーム径が、正常なビーム径に比べて縮小されてしまう光ピックアップ装置が製造される場合がある。また図6(c)に示すように、メインビームMおよびサブビームA,Bの入射位置が、タンジェンシャル方向一方にずれてしまう光ピックアップ装置が製造される場合もある。
【0099】
前述のように本実施形態によれば、タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10は独立して配置されるので、光記録媒体16によって反射された戻り光を、タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10を用いて分割させ、トラッキング誤差信号の検出に最適な光を生成することができる。特に、前記ラジアル回折格子10は、タンジェンシャル回折格子9によって分割された光のうち0次回折光23を、メインビームMおよびサブビームA,Bの+1次回折光25M,25A,25BならびにメインビームMおよびサブビームA,Bの−1次回折光26M,26A,26Bの形状が同一になるように分割することができる。本実施形態では、前記0次回折光23が常に半円形状に分割されて互いに同形状を維持することによって、トラッキング誤差信号の検出に用いる光である+1次回折光25および−1次回折光26におけるメインビームMおよびサブビームA,Bとの光量比を一定に保つことができる。
【0100】
したがって、光集積化ユニット2を用いた光ピックアップ装置1が、半導体レーザ素子5の組立て誤差、ステム12およびキャップ14などの筐体部分に関する製造誤差ならびに偏光ビームスプリッタおよび反射ミラーなどの光学部品の製造誤差および組立て誤差などの影響を受けて、装置ごとに個体差が生じる場合でも、前述の式(4)における係数kが装置ごとにばらつくことがなくなり、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。また、生成される安定したトラッキング誤差信号を用いることによって、安定したトラッキングサーボを実現可能な光ピックアップ装置を製造することができる。
【0101】
また本実施形態では、ラジアル回折格子10によって分割された+1次回折光25の光量と−1次回折光26の光量とは等しくなるように構成している。これによって、安定したサブビームA,Bにおけるサブプッシュプル信号を生成することができる。また本実施形態では、ラジアル回折格子10によって分割された+1次回折光25の光検出器11における形状と−1次回折光26の光検出器11における形状とが等しくなるように構成しているので、安定したサブビームA,Bにおけるサブプッシュプル信号を生成することができる。
【0102】
さらに本実施形態では、ラジアル回折格子10によって分割された+1次回折光25の光検出器11における形状と−1次回折光26の光検出器11における形状とが等しくなるように構成している。これによって、メインビームMにおけるメインプッシュプル信号およびサブビームA,Bにおけるサブプッシュプル信号の強度比を一定に保つことができる。したがって、安定したメインプッシュプル信号および安定したサブプッシュプル信号を生成することができる。
【0103】
前述のように本実施形態では、安定したメインプッシュプル信号および安定したサブプッシュプル信号を生成することができ、これらの安定した信号を用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0104】
次に、本実施形態におけるフォーカス誤差信号の算出形態について説明する。本実施形態では、ラジアル回折格子10を、タンジェンシャル回折格子9と光検出器11との間に配置している。前記タンジェンシャル回折格子9の少なくとも格子領域9bは、ホログラム素子によって構成されており、格子領域9bによって回折されたメインビームMの+1次回折光21Mbは、光検出器11の受光領域33,34の分割線上に集光されるように構成されている。ただし図5では、便宜上、焦点位置をずらした状態を示している。したがって、前記+1次回折光21Mbを、前記受光領域33,34の分割線上で受光し、受光領域33,34における出力信号をS33,S34と表記すると、フォーカス誤差信号は、出力信号S33と出力信号S34との差によって算出される。すなわちFESは、
FES=S33−S34 …(8)
によって算出される。
【0105】
次に、光ピックアップ装置における焦点位置調整について説明する。光集積化ユニット2を構成する各光学部品が有している寸法公差およびそれらの組立て公差などの影響によって、光記録媒体16におけるレーザ光の焦点位置に、ばらつきが生じる。したがって、光集積化ユニット2の組立時には、前記焦点位置の調整(以下、「フォーカスオフセット調整」と表記する場合がある)を行う必要がある。このフォーカスオフセット調整は、タンジェンシャル回折格子9を、図1に示す反射光の光軸Z1のまわりに回転し、光検出器11上の受光領域33,34の分割線上に入射する光21Mb(図5参照)の位置を移動することによって行う。
【0106】
図7は、ラジアル回折格子10によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの形状を示す図である。ここで、図中に示すX軸、Y軸、Z軸は、3次元の直交座標軸であり、図1に示す軸と同一であるので、説明を省略する。図7では、理解を容易にするために、TESの生成に関わる回折光および受光領域のみを示し、他の回折光および受光領域は省略している。
【0107】
タンジェンシャル回折格子9とラジアル回折格子10とは、共に、光学基板15に一体に形成されるので、タンジェンシャル回折格子9を回転することによってラジアル回折格子10も同様に回転する。タンジェンシャル回折格子9を過度に回転すると、光検出器11の受光領域30〜32および受光領域35〜37上の光は、図7に示すように、ラジアル方向に非対称に分割される。これによって、不要なオフセットの発生およびTESに必要なプッシュプル成分の低下を引き起こしてしまうことがある。
【0108】
本実施形態では、タンジェンシャル回折格子9を、ラジアル回折格子10よりもZ軸方向において上部に設けて、前記受光領域33,34の分割線上に入射する光21Mbを、前記光軸Z1からラジアル方向一方のより遠くに回折させる構成にしている。これによって、タンジェンシャル回折格子9を、前記光軸Z1まわりに僅かに回転、たとえば回転角度が略1度となるように回転させるだけで、前記光21Mbの位置を大きく移動させる作用を生じさせることができる。換言すれば、フォーカスオフセット調整を行うときに必要なタンジェンシャル回折格子9の回転量は少なくて済む。
【0109】
したがって、TESを生成するための光25M,25A,25B;26M,26A,26Bが、前記回転によってラジアル方向に非対称に分割されることを防止することができる。これによって、不要なオフセットの発生およびトラッキング誤差信号の生成に必要なプッシュプル成分の低下を防止することができる。また、フォーカスオフセット調整に要するタンジェンシャル回折格子9の回転量は少ないので、回折光の光量変化は極めて少ない。したがって、より安定したトラッキング誤差信号を取得することができる。
【0110】
情報信号は、図5に示す受光領域33,34,38における出力信号S33,S34,S38の和によって算出される。すなわちRFは、
RF=S33+S34+S38 …(9)
によって算出される。
【0111】
RFは、前述の方法に限らず、たとえばタンジェンシャル回折格子9によって回折された−1次回折光22Mb,22Mcを検出することによって得られる出力信号の和に基づいて算出してもよい。
【0112】
また本実施形態では、タンジェンシャル回折格子9は、0次回折光23の回折効率よりも、+1次回折光21の回折効率が大きくなるように設定されて形成される。これによって、+1次回折光21を、光記録媒体16に記憶されているRFの生成に用いる場合に、+1次回折光21の光量を0次回折光23すなわち透過光の光量より増加させることができる。したがって、RFの信号対雑音比(
Signal to Noise ratio;略称:S/N比)を向上することができる。
【0113】
以上のように前述の光集積化ユニット2は、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。このような光集積化ユニット2を、光ピックアップ装置1に備えることによって、安定したトラッキングサーボを行うことができる光ピックアップ装置を実現することができる。
【0114】
前述の実施形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更してもよい。たとえば、前述の実施形態において、タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10によって分割された光のうち、フォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および情報信号などの信号検出に用いられていない光を、各信号を検出するために適宜用いるようにしてもよい。
【0115】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、トラッキング誤差信号の検出に用いるメインビームならびに第1および第2のサブビームとの光量比を一定に保つことができる。これによって、前述のような光集積化ユニットを用いた光ピックアップ装置が、光源の組立て誤差、筐体部分に関する製造誤差ならびに光学部品の製造誤差および組立て誤差などの影響を受けて、装置ごとに個体差が生じる場合でも、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。また、生成される安定したトラッキング誤差信号を用いることによって、安定したトラッキングサーボを実現可能な光ピックアップ装置を製造することができる。
【0116】
また温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない透過光を、トラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0117】
また本発明によれば、第2の光分割手段は、前記すべての戻り光を包含する位置に形成されるので、前記戻り光に対する光利用効率を向上することができる。また、前記戻り光に対する光利用効率を向上することによって、第2の光分割手段によって分割された透過光が第3の光分割手段に入射したときに、メインビームならびに第1および第2のサブビームの透過光における回折効率を等しく、かつビーム形状に部分的な欠けなどが発生しないようにすることができる。これによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0118】
また本発明によれば、第1の分割光を、たとえば光記録媒体に記憶されている情報信号の生成に用いる場合に、第1の分割光の光量を透過光よりも増加させることができる。これによって、情報信号の信号対雑音比を向上することができる。
【0119】
また本発明によれば、前記第2の光分割手段によって分割された光のうち透過光は、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない。したがって、前記透過光を分割した第2および第3の分割光を、たとえばトラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0120】
また本発明によれば、透過光を分割した第2および第3の分割光を、トラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0121】
また本発明によれば、安定した第1および第2のサブビームにおけるサブプッシュプル信号を生成することができる。
【0122】
また本発明によれば、分割された第2の分割光の形状と第3の分割光の形状とは等しいので、安定した第1および第2のサブビームにおけるサブプッシュプル信号を生成することができる。
【0123】
また本発明によれば、分割された第2の分割光の形状と第3の分割光の形状とは等しいので、メインビームにおけるメインプッシュプル信号および第1および第2のサブビームにおけるサブプッシュプル信号の強度比を一定に保つことができる。したがって、安定したメインプッシュプル信号および安定したサブプッシュプル信号を得ることができる。
【0124】
また本発明によれば、第2の光分割手段を僅かに回転させるだけで、第1の分割光の位置を大きく移動させる作用が生じるので、フォーカスオフセット調整を行うときの第2の光分割手段の回転量が少なくて済む。したがって、トラッキング誤差信号の生成に用いる光が非対称に分割されることによる不要なオフセットの発生およびトラッキング誤差信号の生成に必要なプッシュプル成分の低下を防止することができる。これによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0125】
また本発明によれば、たとえばフォトリソグラフィ技術および射出成型を用いることによって容易に形成することができる。また、他の光分割手段も回折格子で作製することができるので、設計の自由度を高くすることができる。これによって、回折格子で作製した光分割手段を一体的に形成することができる。また光分割手段を一体的に形成することによって、光集積化ユニットの製造時における光学部品の部品点数および組立て工程数が削減されるとともに、光軸調整などの光学的調整作業も簡素化することができる。
【0126】
また本発明によれば、光集積化ユニットは、安定したトラッキング誤差信号を生成することができるので、安定したトラッキングサーボを行うことができる光ピックアップ装置を実現することができる。
【0127】
また本発明によれば、第2および第3の分割光は、第3の光分割手段に入射した透過光を分割した光であり、この透過光は、温度変化による波長変動の影響を受けることがなく、かつ第2の光分割手段の製造ばらつきによる影響を受けない光である。したがって、前述のような透過光を分割した第2および第3の分割光の光検出手段における出力信号を、トラッキング誤差信号の生成に用いることによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。
【0128】
また本発明によれば、第1の差信号、第2の差信号および第3の差信号を用いて、第1の差信号と、前記第2および第3の差信号の和との差を算出することによって、安定したトラッキング誤差信号を生成することができる。これによって、安定したトラッキングサーボを行うことができる光ピックアップ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である光集積化ユニット2を備える光ピックアップ装置1の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】3ビーム用回折格子6を示す平面図である。
【図3】タンジェンシャル方向分割回折格子9を示す平面図である。
【図4】ラジアル方向分割回折格子10を示す平面図である。
【図5】タンジェンシャル回折格子9およびラジアル回折格子10によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの形状を示す図である。
【図6】ラジアル回折格子10に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bのビーム径および位置を示す図である。
【図7】ラジアル回折格子10によって回折され、光検出器11に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bの形状を示す図である。
【図8】従来の技術における光集積化ユニット101の構成を簡略化して示す図である。
【図9】ホログラム素子109および受光素子110の素子形状ならびにホログラム素子109の各ホログラム領域によって回折された光が入射する受光素子110の受光領域を示す図である。
【図10】ホログラム素子109に入射したメインビームMおよびサブビームA,Bを示す図である。
【図11】図8(b)の切断面線X’−X’におけるメインビームMおよびサブビームA,Bの光の形状を示す図である。
【符号の説明】
1 光ピックアップ装置
2 光集積化ユニット
3 コリメートレンズ
4 対物レンズ
5 半導体レーザ素子
6 3ビーム用回折格子
7 複合プリズム
7a 偏光ビームスプリッタ面
7b 反射面
8 1/4波長板
9 タンジェンシャル方向分割回折格子
10 ラジアル方向分割回折格子
9a;10a 分割線
9b,9c;10b,10c 格子領域
11 光検出器
12 ステム
13 サブマウント
14 キャップ
15 光学基板
16 光記録媒体
21 タンジェンシャル回折格子によって回折された+1次回折光
22 タンジェンシャル回折格子によって回折された−1次回折光
23 タンジェンシャル回折格子によって回折された0次回折光
25 ラジアル回折格子によって回折された+1次回折光
26 ラジアル回折格子によって回折された−1次回折光
30,31,32,33,34,35,36,37,38 受光領域
Claims (14)
- レーザ光を出射する光源と、
光記録媒体によって反射された光を検出する光検出手段と、
光学基板と、
前記光学基板の一方の面に設けられ、前記光源から出射されたレーザ光をメインビームならびに第1のサブビームおよび第2のサブビームに分割する第1の光分割手段と、
前記光学基板の一方の面に、前記第1の光分割手段と間隔をあけて設けられ、光記録媒体によって反射された前記メインビームならびに第1のサブビームおよび第2のサブビームの戻り光を、前記光記録媒体におけるトラックの接線方向であるタンジェンシャル方向に分割して、少なくとも予め定める回折特性の光である透過光と、透過光に対して前記タンジェンシャル方向と直交するラジアル方向にそれる分割光とに分割する第2の光分割手段と、
前記光学基板の他方の面に設けられ、偏光ビームスプリッタ面および反射面を有し、第1の光分割手段からのレーザ光を透過し、光記録媒体によって反射された戻り光を前記変更ビームスプリッタ面で略ラジアル方向に反射し、かつ前記反射面で前記第2の光分割手段に入射させる複合プリズムと、
前記光学基板の一方の面に設けられ、前記第2の光分割手段によって分割された光のうち透過光が入射し、この入射光を、前記ラジアル方向に分割する第3の光分割手段とを含むことを特徴とする光集積化ユニット。 - 前記第2の光分割手段は、メインビームならびに第1および第2のサブビームの戻り光のすべてを包含する位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の光集積化ユニット。
- 前記第2の光分割手段は、前記透過光の回折効率よりも前記分割光の回折効率が大きくなるように設定されて形成されることを特徴とする請求項1または2記載の光集積化ユニット。
- 前記第3の光分割手段は、前記第2の光分割手段によって分割された前記透過光を、第2の分割光と第3の分割光とに分割することを特徴とする請求項1に記載の光集積化ユニット。
- 前記第2および第3の分割光に基づいてトラッキング誤差信号が生成されることを特徴とする請求項4記載の光集積化ユニット。
- 前記第1および第2のサブビームにおける前記第2および第3の分割光の光量は等しいことを特徴とする請求項4または5記載の光集積化ユニット。
- 前記第1および第2のサブビームにおける前記第2および第3の分割光の形状は等しいことを特徴とする請求項4または5記載の光集積化ユニット。
- 前記メインビームならびに第1および第2のサブビームにおける第2および第3の分割光の形状は等しいことを特徴とする請求項5または6記載の光集積化ユニット。
- 前記第3の光分割手段は、前記第2の光分割手段よりも前記光検出手段側に設けられることを特徴とする請求項1または4記載の光集積化ユニット。
- 前記第2の光分割手段は、回折格子によって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光集積化ユニット。
- 前記第3の光分割手段は、回折格子によって構成されることを特徴とする請求項1,4,9のいずれか1つに記載の光集積化ユニット。
- 前記請求項1〜11のいずれか1つに記載の光集積化ユニットと、
前記光源から出射されたレーザ光を、光記録媒体の情報記録面に集光させる集光手段とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記第3の光分割手段によって分割された第2および第3の分割光の光検出手段における出力信号に基づいて、トラッキング誤差信号が生成されることを特徴とする請求項12記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出手段は、
前記第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された前記メインビームの一方の光および他方の光の前記光検出器における出力信号の差信号である第1の差信号と、
前記第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された前記第1のサブビームの一方の光および他方の光の前記光検出器における出力信号の差信号である第2の差信号と、
前記第3の光分割手段によってラジアル方向に分割された前記第2のサブビームの一方の光および他方の光の前記光検出器における出力信号の差信号である第3の差信号とを検出し、
前記検出された第1の差信号と、前記第2および第3の差信号の和との差に基づいて、トラッキング誤差信号が生成されることを特徴とする請求項13記載の光ピックアップ装置。
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