JP4050992B2 - 高炉用コークスの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄業における高炉用コークスの製造方法に関し、特に、バイオマスを利用した高炉用コークスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、室式コークス炉を用いた高炉用コークスの製造において、粘結炭に比べて埋蔵量が多く、安価な非微粘結炭の配合割合を増加し、かつ、冷間強度などの品質に優れたコークスを製造する方法がいろいろと提案されてきた。
【0003】
一般に、非微粘結炭は粘結炭に比べて粘結性が低いため、非微粘結炭を多量に配合した配合炭を室式コークス炉で乾留した場合に得られるコークスの強度は低下する。この問題を解決する方法として、例えば、特許文献1などでは、配合炭をコークス炉に装入する前に、乾燥機で乾燥させてその含有水分量を3〜6%まで低下させることにより、コークス炉に装入する際の配合炭の嵩密度を増加させ、乾留過程における石炭粒子間の密着性を向上して、非微粘結炭多量配合時のコークス強度を向上させる方法が提案されている。
【0004】
コークス強度向上とともにコークス炉の乾留熱量低減の観点から、配合炭の事前乾燥処理は、従来から実施されており、例えば、図2に示すようなプロセスが知られている。
【0005】
通常9%前後の水分を含有する湿炭を加熱乾燥機11に供給して加熱乾燥し、その水分含有量を3〜6%程度まで低減後、ベルトコンベアー12でコークス炉17の炉頂に配置された石炭塔16まで搬送して、コークス炉17の装入口から炭化室に装入する。
【0006】
コークス炉に装入する石炭は、通常、乾燥前に、3mm以下の質量比率が70%以上の粒度に粉砕されており、水分含有量が9%前後の石炭は水分の凝集作用により微粉粒子は擬似粒子化されて発塵は少ない。
【0007】
しかし、加熱乾燥により石炭中の水分含有量が6%以下まで低減されると、水分の低減により擬似粒子は崩壊し、特に1mm以下の微粉粒子の解離が発塵量増加の原因となる。
【0008】
加熱乾燥機11から排出された石炭はその内部顕熱によりベルトコンベアー12での搬送過程でも、さらに乾燥され、水分低下により擬似粒子から微粉粒子が解離する結果、発塵が生じる。
【0009】
通常、ベルトコンベアー12間の乗り継ぎ部において、特に微粉炭の発塵量が増加するため、この範囲をフード14で覆うと共に、ダクト13を介してバグフィルター15で発塵により飛散した石炭微粉粒子を回収していた。
【0010】
しかしながら、バグフィルター15には、石炭微粉粒子とともに、搬送過程で石炭中の水分が顕熱により蒸発して生じた蒸気も吸入するため、バグフィルター15内部およびダクト13の内部で結露し、それがバグフィルター15の集塵能力低下の原因となる。
【0011】
また、水分含有量が3〜6%の乾燥炭をコークス炉に装入する際にも、装入時の衝撃により、1mm以下の微粉粒子同士が凝集してなる擬似粒子のほかに、1mm以上の粗大粒子(核粒子)の表面に1mm以下の微粉粒子が付着してなる擬似粒子の崩壊し、微粉粒子の解離による発塵が生じる。
【0012】
コークス炉に装入する際に発塵が生じると、解離した微粉炭はコークス炉炭化室内で発生した乾留ガスに同伴され、いわゆる微粉炭のキャリーオーバー量が増加する原因となり、炭化室炉壁および上昇管基部へのデポジットカーボン量を増加させる。
【0013】
炭化室炉壁へのデポジットカーボン量の増加は、乾留後にコークスを炭化室から炉外に押出す際の負荷抵抗を増加させ、操業トラブルや炉寿命低下の問題を引き起こす原因となる。また、上昇管部へのデポジットカーボン量の増加は、コークス炉ガスの吸引不良による操業トラブルやタール中のスラッジ分増加によるタール品質低下の原因となる。
【0014】
これらの対策として、特許文献2などでは、石炭を加熱乾燥機でその水分含有量を低減した後、この乾燥炭を微粉炭と粗粒炭に分級、分離した後、発塵の原因となる微粉炭を加圧成形し、その後、粗粒炭と混合してコークス炉に装入する方法が提示されている。
【0015】
この方法は、乾燥炭の搬送過程における発塵抑制およびコークス炉に装入する際の微粉炭のキャリーオーバー量を低減するために有効な技術であるが、乾燥炭を分級し、微粉炭のみを塊成化するための分級機及び塊成機が必要であり、設備費の増加を招く点で好ましくない。
【0016】
また、特許文献3などには、石炭を乾燥してその水分含有量を低減した後、この乾燥炭を分級し、1mm以下が100%でかつ0.5〜1.0mmが1〜10質量%の微粉炭と、その他の粗粒炭に分離し、微粉炭には、タールを4〜15質量%添加し混練することにより擬似粒子化し、その後、粗粒炭と混練して、コークス炉に装入することが開示されている。
【0017】
この方法も、乾燥炭の搬送過程における発塵抑制およびコークス炉に装入する際の微粉炭のキャリーオーバー量を低減するために有効な技術であるが、擬似粒子化のためにタールを使用するため、タールを化学原料として有効利用する点から好ましい方法ではない。
【0018】
一方、高炉用コークスとしての要求品質として、上記強度の他に、成品粒径が挙げられ、従来、例えば、特許文献4などでコークス成品の粒径を向上させる方法として、配合炭、タールなどの歴青物および炭材の総量に対し、タールなどの歴青物の軟化点以上の温度において、配合炭の全部または一部と1〜10質量%の歴青物と混練した後、石炭の再固化温度以上での収縮率が石炭より小さい炭材を1〜10質量%添加して乾留する方法が提案されている。
【0019】
この方法は、コークス強度を低下させずに、コークス粒径を向上させるものであるが、炭材として粉コークスまたは無煙炭などを使用するため、充分なコークス強度を維持することは困難である。
【0020】
また、商品価値のある高価なタールなどの歴青物を多量に使用するため製造コスト増加を招き、さらには、炭化室炉壁または上昇管部へのデポジットカーボン量を増加させ、コークス押出抵抗の増加、コークス炉ガスの吸引不良などの操業トラブル、炉寿命低下を引き起こす原因となる。
【0021】
上記従来コークス製造プロセスにおける実情に加え、近年、地球規模での温暖化問題の対応が進められており、製造プロセスにおける二酸化炭素発生量の低減、一般および産業廃棄物のリサイクル化またはエネルギーとしての利用などの検討がなされている。
【0022】
この中で、特に、バイオマスはカーボンニュートラルであり、気候変動枠組条約締結国会議(COP3〜6、COP;The Conference Of the Party)での国際公約を達成するための石油、石炭などの代替資源として積極的使用が望まれている。
【0023】
【特許文献1】
特公昭63―15950号公報
【特許文献2】
特開平7−82568号公報
【特許文献3】
特開平8−239669号公報
【特許文献4】
特開平6−264069号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の実情に鑑みて、本発明は、製鉄業における高炉用コークスの製造プロセスにおいて、バイオマスを有効活用することにより、乾燥炭搬送時の発塵および乾燥炭装入時の微粉炭キャリーオーバーを抑制し、かつ、高炉用コークスに要求されるコークス強度及び粒径を向上することができる、高炉用コークスの製造プロセスを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) バイオマスを乾留してガス、油分およびチャ−を生成、分離し、さらに、上記油分から化学原料を抽出した後、その残部油分を回収し、上記チャ−を配合炭に添加し、乾燥した後、上記残部油分を乾燥したチャ−と配合炭に添加して搬送し、その後、コークス炉に装入して乾留することを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
【0026】
(2) 前記チャ−を配合炭に1〜5質量%添加することを特徴とする前記(1)に記載の高炉用コークスの製造方法。
【0027】
(3) 前記乾燥したチャ−と配合炭の含有水分量が6質量%以下であり、これらに残部油分を3〜6質量%添加することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の高炉用コークスの製造方法。
【0028】
(4) 前記化学原料は、酢酸、アルコール類、フェノール類の1種または2種以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高炉用コークスの製造方法。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
先ず、本発明において、バイオマスとは、以下のFAO(国連食糧農業機関)に定義に準じて定義される。
【0030】
FAO(国連食糧農業機関)によれば、バイオマスとは生物量の総称であり、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ごみ、RDF(ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建設廃材、下水汚泥)等に分類される。
【0031】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施態様を説明する。
【0032】
図1は、本発明に関わるバイオマスを利用した高炉用コークスの製造プロセスの一例を示す模式図である。
【0033】
バイオマスは外熱式乾留炉1に供給され、非酸化性雰囲気で、少なくとも1000℃以上の高温に加熱されて熱分解され、生成物として、固形分のチャ−(バイオマスチャ−)、常温で液体となる油分、および、ガスが生成する。
【0034】
生成物のうち、バイオマスチャーは乾留炉1から排出されコークス製造用の原料として回収する。また、生成物のうち、高温状態のガスおよび油分は乾留炉1から排出された後、ガス冷却器2に供給されてガスと油分に分離される。
【0035】
この油分には、バイオマスチャ−から発生する水分を含有するため、油水分離器3に供給して油分と水分に分離し、油分は、油分タンク5に一旦貯蔵される。
【0036】
なお、除去した水分は発生水タンク4に回収する。
【0037】
バイオマスの熱分解で得られる油分には、化学工業において利用価値の高い化学原料が含まれる。そのため、油分は、さらに、油分抽出機8に供給され、化学原料とその残りの油分(以下、残部油分ということもある。)に分離され、化学原料は抽出液タンク9に貯蔵し、残部油分は乾燥した後のコークス製造用原料炭の添加剤として、添加油分ホルダー10に一旦貯蔵される。
【0038】
ここで、本発明において、化学原料は特に限定するものではないが、例えば、酢酸、アルコール類、フェノール類などの化学工業において利用価値の高い化学成分が好ましい。
【0039】
一方、石炭配合槽の石炭フィーダー(図示せず)から各銘柄の石炭が所定量切り出されてコークス製造用の配合炭(1種類または2種類以上の銘柄の石炭が所定割合で配合された原料炭)とする。なお、天候、季節などの原料ヤードの状況によって変わるが、配合炭中の水分含有量は通常9%前後である。
【0040】
バイオマスの熱分解生成物から分離した前記バイオマスチャーは、バイオマスチャー添加装置19により、前記配合炭に所定量(後で説明する。)添加した後、これらを石炭乾燥機11に供給して乾燥し、その水分含有量を少なくとも6%以下までに低減する。
【0041】
バイオマスの熱分解生成物から分離した前記残部油分は、バイオマス油分添加装置18により、前記乾燥後の配合炭に所定量(後で説明する。)添加した後、ベルトコンベア−12によりコークス炉17の炉頂に配置された石炭塔16まで搬送されて、コークス炉17の装入口から炭化室に装入される。
【0042】
なお、図1では、バイオマスの熱分解生成物から分離した前記バイオマスチャーを乾燥前の配合炭に添加して使用し、かつ前記残部油分を乾燥後の配合炭に添加して使用する実施態様を示したが、前記バイオマスチャーまたは残部油分の何れか一方を高炉用コークスの製造プロセスで使用する方法も、本発明の実施態様に含まれるものである。
【0043】
また、前記バイオマスチャーは乾燥前の配合炭に添加することに限定する必要はなく、乾燥後の配合炭に添加してもよい。
【0044】
本発明者は、上記の本発明の実施態様にて、バイオマスの熱分解生成物から分離した前記バイオマスチャーまたは残部油分を高炉用コークスの製造プロセスで使用するうえで、より好ましい条件について検討をおこなった。
【0045】
以下にその使用条件の限定理由について説明する。
【0046】
先ず、残部油分の添加量について説明する。
【0047】
残部油分は、含有水分量を6%以下まで低減した乾燥炭(乾燥後の配合炭)に添加することにより、以下のような作用・効果が得られる。
【0048】
つまり、本発明における残部油分の添加により、
(i)乾燥炭の搬送過程で発生する微粉炭の発塵量、さらには、水蒸気量を低減でき、発塵および水蒸気の発生に伴うバグフィルター集塵効率の劣化を抑制する、
(ii)コークス炉において乾燥炭装入時の発塵に起因する微粉炭キャリーオーバー量を低減し、よって炭化室炉壁または上昇管部へのデポジットカーボン起因のコークス押出負荷増大またはコークスガス吸引不良を抑制し、さらには、副産物成品であるタール中のスラッジ分を低減してその品質を向上する、
(iii)一般廃棄物又は産業廃棄物であり、カーボンニュートラル資源であるバイオマスから得られる残部油分を有効し、資源リサイクル化及びCO2量削減を実現する、
などの効果が得られる。
【0049】
これらの効果を十分に得るためには、残部油分の乾燥炭への添加量を2質量%以上とするのが好ましい。
【0050】
しかし、残部油分を過度に乾燥炭に添加すると、乾燥炭のベルトコンベアでの搬送性を悪化させ、さらには、コークス炉において炭化室炉壁または上昇管部へのデポジットカーボン量を増加させ、コークス押出負荷の増加およびコークス炉ガスの吸引不良などの操業安定性の低下、炉寿命低下を引き起こす要因となるため、その添加量の上限を6質量%とするのが好ましい。
【0051】
よって、本発明において、残部油分の乾燥炭への添加量を2〜6質量%とするのが好ましい。
【0052】
なお、本発明において、残部油分は、バイオマスを熱分解して得られる油分から化学原料を抽出した、残りの油分を意味する。ここで、化学原料については特に限定する必要はなく、例えば、酢酸、アルコール類、フェノール類などの化学工業において利用価値の高い化学成分であればよい。
【0053】
これらの化学成分を分離する方法としては、蒸留およびまたは溶媒抽出法などが適用できる。
【0054】
次に、バイオマスチャ−の添加量について説明する。
【0055】
バイオマスチャーは、乾燥前または乾燥後の配合炭に添加することにより、コークス炉での乾留工程において、以下のような作用・効果が得られる。
【0056】
通常、室式コークス炉の炭化室に装入された石炭の乾留は、先ず、隣接する燃焼室の熱により炉壁を介して加熱された炉壁近傍の石炭が軟化し、熱分解により石炭中の揮発成分が脱離した後、再固化し、その後、熱収縮してコークス化され、これら一連のコークス化反応が両側の炉壁から炭化室中心部に向かって順次進行する。
【0057】
この再固化後、熱収縮過程で炉壁面に平行な方向に熱応力が発生し、その応力集中部から亀裂が発生すると、その亀裂は壁面側から炭化室中心部の方向へコークス化の進行に伴い進展する。
【0058】
このようにして形成されたコークス中に大きな亀裂が、コークス押し出し後の成品コークスの平均粒径を低下させ、粉コークスを増加させる原因となる。
【0059】
本発明において、バイオマスを熱分解して得られたバイオマスチャ−は、石炭が再固化する温度域における収縮率は、石炭に比べて小さいため、バイオマスを石炭に添加して乾留すると、上記の再固化後の熱収縮する過程で亀裂が発生した場合に、亀裂先端部のエネルギーをバイオマスチャー粒界近傍での微小亀裂発生により開放させることで、さらなる亀裂伝播を阻止する作用を有する。
【0060】
その結果、コークス中の大きな亀裂は減少し、成品コークスの平均粒径は増大し、粉コークス量は減少する効果が得られる。
【0061】
また、バイオマスチャ−は、従来の粉コークスと比べて収縮率は変わらないが、気孔量が多く、嵩密度が大きく、また、従来の無煙炭に比べて揮発成分がないため収縮率が小さい。
【0062】
そのため、従来の粉コークスや無煙炭などに比べて少ない添加量で、成品コークス中の大きな亀裂発生の抑制および平均粒径の増大などの効果が得られる。
【0063】
これらのバイオマスチャ−添加による効果を十分に得るためには、1質量%以上添加するのが好ましい。
【0064】
一方、バイオマスチャ−の添加量の増加に伴って成品コークス強度は低下する。このコークス強度の低下量は、従来の粉コークスや無煙炭に比べて小さいため、より多く添加することが可能である。
【0065】
しかし、バイオマスチャ−を5質量%を超えて添加すると、成品コークス強度の低下の影響は無視できなくなり、高炉用コークスとしての強度を安定して得られ難くなるため、その添加量の上限を5質量%とするのが好ましい。
【0066】
よって、本発明において、バイオマスチャ−を乾燥前の配合炭に添加する量を1〜5質量%とするのが好ましい。
【0067】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
林業系バイオマスである杉の廃材を乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留し熱分解した。その結果、熱分解生成物として、バイオマスチャー:26質量%、油分:21質量%、水分30質量%、ガス:23質量%が得られた。
【0069】
さらに、油分の組成をGC/MS分析法及びガスクロマトグラフィー分析法により調べた。その結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 0004050992
【0071】
表1から、油分の組成は、酢酸:9.8質量%、アルコール類:7.2質量%、フェノール類:18.0質量%、グルコース類:14.3質量%、残部油分(組成不明):50.7質量%であった。
【0072】
油分のうち、酢酸、アルコール類、フェノール類、グルコース類は、さらに、蒸留及び溶媒抽出により精製してそれぞれ化学工業において利用価値の高い化学原料として回収し、残部油分は、乾燥後のコークス用原料炭の添加剤として利用した。
【0073】
上記残部油分を乾燥炭に添加することによる微粉炭起因の発塵およびキャリーオーバーなどの抑制効果を確認するため、以下の試験をおこなった。
【0074】
本発明例として、上述の図1に示す本発明のコークス製造プロセスにおいて、加熱乾燥機11によりコークス用原料炭を乾燥し、水分含有量を3質量%まで低減した乾燥炭に、バイオマス油分添加装置18により上記残部油分を3質量%添加した後、ベルトコンベアー12で搬送し、コークス炉17に搬送した。
【0075】
比較例として、上述の図2に示すコークス製造プロセスにおいて、加熱乾燥機11によりコークス用原料炭を乾燥し、水分含有量を3質量%まで低減した乾燥炭をそのまま(前記残部油分またはタールなどの発塵抑制剤を添加せず)ベルトコンベアー12で搬送し、コークス炉17に搬送した。
【0076】
本発明例と比較例において、ベルトコンベアー12で搬送する過程の微粉炭の発塵状況、および、コークス炉に装入する際の微粉炭の発塵状況を目視により確認した結果、本発明例は、比較例に比べて、ベルトコンベアー12、切り替え部でのダクト13およびフード14、さらに、コークス炉17のいずれにおいても微粉炭の発塵は抑制され、乾燥炭の搬送及び装入時における作業環境が著しく改善することをした。
【0077】
さらに、本発明例および比較例におけるコークス炉17における微粉炭のキャリーオーバー量および炉壁へのデポジットカーボン付着量を調べるために、図3に示すような試験装置を用いて比較評価した。
【0078】
微粉炭のキャリーオーバー量測定試験は、本発明例の試料(乾燥炭+3質量%残部油分)と比較例の試料(乾燥炭)をそれぞれ図3に示す直径:125mm、長さ:2000mmの円筒管20の上部に仕切り板21を介して配置された試料装入部22に充填後、円仕切り板21を引いて試料を下方(図中の矢印方向)に落下させるとともに、筒管20内を、集塵用フィルター23を介して吸引ブロアー24により3分間吸引し、円筒管20下部の残炭回収部25で回収された残炭量を測定し、試料全質量と残炭量の差分量を微粉炭粉塵量として求め、試料全質量に対する微粉炭粉塵量の割合(質量%)を求めた。
【0079】
その結果、本発明例(乾燥炭+3質量%残部油分)は、比較例(乾燥炭)に比べて微粉炭粉塵量の割合が20質量%低減した。
【0080】
また、本発明例(乾燥炭+3質量%残部油分)と比較例(乾燥炭)において、コークス炉17内でのデポジットカーボン付着量を以下の方法で調べた。
【0081】
デポジットカーボン付着量の調査方法は、コークス炉17の炭化室内の炉頂空間部に珪石煉瓦のテストピースを吊り下げて、本発明例(乾燥炭+3質量%残部油分)と比較例(乾燥炭)のそれぞれで、石炭を乾留する間(乾留時間:18時間)中、テストピースへのデポジットカーボンの付着量を調べた。
【0082】
その結果、本発明例(乾燥炭+3質量%残部油分)は、比較例(乾燥炭)に比べて、コークス炉内でのテストピースに付着するデポジットカーボン量が20質量%低減した。
【0083】
以上の結果から、本発明例のバイオマス残部油分の乾燥炭への添加により、微粉炭の発塵量、コークス炉でのキャリーオーバー量および炉壁デポジットカーボン付着量を低減することが可能である。
【0084】
(実施例2)
林業系バイオマスである杉の廃材を乾留炉に供給し、1000℃、5時間で乾留し熱分解した。その結果、熱分解生成物として、バイオマスチャー:26質量%、油分:21質量%、水分30質量%、ガス:23質量%が得られた。
【0085】
上記バイオマスチャーをコークス用原料に添加することによる成品コークスの平均粒径の増大効果を確認するため、以下の試験をおこなった。
【0086】
本発明例として、上述の図1に示す本発明のコークス製造プロセスにおいて、バイオマスチャーをバイオマスチャー添加装置19から切り出して、コークス用原料炭に1質量%(発明例1)添加、または、2質量%添加(発明例2)した後、加熱乾燥機11によりコークス用原料炭を乾燥してその水分含有量を3質量%まで低減し、その後、コークス炉17に装入して乾留しコークスを製造した。
【0087】
また、比較例として、上述の図2に示すコークス製造プロセスにおいて、コークス用原料炭に対してバイオマスチャーなどの添加剤を全く添加しない(比較例1)で、または、粒径:0.1mm以下の粉コークスを1質量%添加(比較例2)し、または、粒径:0.1mm以下の粉コークスを3質量%添加(比較例3)した後、加熱乾燥機11によりコークス用原料炭を乾燥してその水分含有量を3質量%まで低減し、その後、コークス炉17に装入して乾留しコークスを製造した。
【0088】
なお、発明例及び比較例のコークス炉での乾留は、揮発分:26%、灰分:8.7%のコークス用原料炭を用いて、炉温:1150℃、乾留時間:18時間の条件で行い、得られた成品コークスの平均粒径およびコークス強度(JISK2151準じるドラム強度:DI150 15)を測定し評価した。その結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
Figure 0004050992
【0090】
発明例1(バイオマスチャー1質量%添加)の成品コークスの平均粒径は51mmであり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)の成品コークスの平均粒径(49mm)に比べて2mm増大した。
【0091】
また、そのコークス強度は82.9であり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)のコークス強度(83.0)に比べてバイオマスチャー添加による強度低下(−0.2)の影響は小さかった。
【0092】
発明例2(バイオマスチャー2質量%添加)の成品コークスの平均粒径は53mmであり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)の成品コークスの平均粒径(49mm)に比べて4mm増大した。
【0093】
また、そのコークス強度は、82.8であり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)のコークス強度(83.0)に比べてバイオマスチャー添加による強度低下(−0.2)の影響は小さかった。
【0094】
一方、比較例2(粉コークス1質量%添加)の成品コークスの平均粒径は49.8mmであり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)の成品コークスの平均粒径(49mm)に比べてやや(0.8mm)増大した。
【0095】
しかし、そのコークス強度は82.5であり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)のコークス強度(83.0)に比べて粉コークス添加による強度低下(−0.5)の影響は大きかった。
【0096】
比較例3(粉コークス5質量%添加)の成品コークスの平均粒径は53mmであり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)の成品コークスの平均粒径(49mm)に比べて4mm増大した。
【0097】
しかし、そのコークス強度は80.5であり、比較例1(バイオマスチャーなどの添加剤の添加なし)のコークス強度(83.0)に比べて2.5低下し、粉コークス添加による強度低下(−2.5)の影響は非常大きかった。
【0098】
以上の結果から、本発明例のバイオマスチャ−のコークス用原料炭への添加により、コークス強度を低下させずに、成品コークスの平均粒径を向上させることが可能である。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、製鉄業における高炉用コークスの製造プロセスにおいて、バイオマスを有効活用することにより、乾燥炭搬送時の発塵および乾燥炭装入時の微粉炭キャリーオーバーを抑制し、かつ高炉用コークスに要求されるコークス強度及び粒径を向上することができる、高炉用コークスの製造プロセスを提供することが可能となる。
【0100】
また、本発明により、製鉄におけるカーボンニュートラル資源であるバイオマスの有効利用により、資源リサイクル化及びCO2量削減を実現できるなど、技術的のみならず経済的な効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオマスを用いたコークス製造プロセスのフローを示す図である。
【図2】従来のコークス製造プロセスのフローを示す図である。
【図3】微粉炭キャリーオーバー量を測定するための試験装置を示す図である。
【符号の説明】
1…乾留炉
2…ガス冷却器
3…油水分離器
4…発生水タンク
5…油分タンク
6…ガスブロワー
7…ガスホルダー
8…油分抽出機
9…抽出液タンク
10…添加油分ホルダー
11…加熱乾燥機
12…ベルトコンベアー
13…ダクト
14…フード
15…バグフィルター
16…石炭塔
17…コークス炉
18…バイオマス油分添加装置
19…バイオマスチャー添加装置
20…円筒管
21…仕切り板
22…試料装入部
23…集塵用フィルター
24…吸引ブロアー
25…残炭回収部

Claims (4)

  1. バイオマスを乾留してガス、油分およびチャ−を生成、分離し、さらに、上記油分から化学原料を抽出した後、その残部油分を回収し、上記チャ−を配合炭に添加し、乾燥した後、上記残部油分を乾燥したチャ−と配合炭に添加して搬送し、その後、コークス炉に装入して乾留することを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
  2. 前記チャ−を配合炭に1〜5質量%添加することを特徴とする請求項1に記載の高炉用コークスの製造方法。
  3. 前記乾燥したチャ−と配合炭の含有水分量が6質量%以下であり、これらに残部油分を3〜6質量%添加することを特徴とする請求項1または2に記載の高炉用コークスの製造方法。
  4. 前記化学原料は、酢酸、アルコール類、フェノール類の1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉用コークスの製造方法。
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