JP4050679B2 - 無線通信受信機 - Google Patents
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Description
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
2003 IEEE International Solid-State Circuits Conference Digest of Technical Papers, pp.360-361
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、PLL回路を必要としない低消費電力の無線通信受信機を提供することを目的としている。
したがって、送信側のキャリア信号周波数と受信側の局部発振信号周波数とを厳密に一致させる必要がなくなり、無線通信受信機さらには無線通信送信機に、周波数調整用のPLL回路を設ける必要がなくなる。これにより、従来のようにPLL回路を用いた無線通信受信機さらには無線通信送信機と比較して、その消費電力を大幅に低減できる。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いたAM変調方式の無線通信受信機であり、アンテナ30、ローノイズアンプ(以下、LNAという)31、逓倍器10、ローパスフィルタ(以下、LPFという)20、リミッタ32,および逆拡散復調器33から構成されている。
また、後述のように、スペクトラム拡散されていないベースバンド信号をそのまま変調信号として用いる場合、LPF20では、変調信号の周波数帯に対応する信号成分として、変調信号すなわちベースバンド信号のビットレートに対応する周波数以下の信号成分を通過させればよい。
したがって、送信側のキャリア信号周波数と受信側の局部発振信号周波数とを厳密に一致させる必要がなくなり、無線通信受信機さらには無線通信送信機に、周波数調整用のPLL回路を設ける必要がなくなる。これにより、従来のようにPLL回路を用いた無線通信受信機さらには無線通信送信機と比較して、その消費電力を大幅に低減できる。
なお、本実施例では変調信号 x(t) にスペクトル拡散された信号を用いる構成としたが、変調信号として送信すべきベースバンド信号をそのまま用いてAM変調を施す構成としてもよい。その場合は逆拡散復調器に代えて、ローパスフィルタからのAM変調された受信信号をAM復調して元の変調信号すなわちベースバンド信号を出力する復調器を用いればよい。
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図2は本発明の第2の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図であり、前述の第1の実施の形態にかかる無線通信受信機(図1参照)と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いたAM変調方式の無線通信受信機であり、図1の無線通信受信機のうちLNA31と逓倍器10との間に、周波数変換部40と増幅器34とを有しており、他の部分は図1の無線通信受信機と同等である。
発振器41は、キャリア信号周波数と変換先周波数とに応じた所定周波数の局部発振信号3を生成する回路部である。ミキサ42は、発振器41からの局部発振信号3と受信信号1とを乗算することにより、所定の中間周波数帯へ周波数変換された受信信号1Aを出力する乗算器である。
増幅器34は、周波数変換部40のミキサ42からの受信信号を増幅して逓倍器10へ出力する回路部である。
なお、ダウンコンバートによる周波数変換では振幅情報は変化せず、搬送波の周波数だけが変換される。そのため、前述した第1の実施の形態と同様にダウンコンバート後の受信信号4を2乗演算処理し、ローパスフィルタで高周波信号成分を取り除くことで送信された変調信号を再生することができる。
変調波を2乗演算処理する場合、その受信信号レベルがある程度大きくないと、演算処理後の信号レベルが小さくなってしまうため、特に、近距離の微弱無線通信などのように送信信号レベルを大きくできない場合には、逓倍器に受信信号を入力する前にある程度の信号レベルまで受信信号を増幅しておくことが望ましい。
また、本実施の形態では、スペクトラム拡散を施しており、得られた変調信号に多少の誤りが含まれていても逆拡散処理を行うことで元のベースバンド信号を誤りなく復調することが可能である。なお、本実施の形態においても、変調信号として送信すべきベースバンド信号をそのまま用いてAM変調を施す構成としてもよい。
図3(a)は送信すべきベースバンド信号を送信側でスペクトラム拡散して得られた変調信号を示す。図3(b)は、図3(a)の変調信号を用いて搬送波キャリアをオン・オフ・キーイングによりAM変調した信号波形である。この無線通信受信機では、図3(b)の送信信号を受信し、適当な中間周波数帯に受信信号をダウンコンバートして2乗演算し、ローパスフィルタを通すことで送信された変調信号を復調する。
図3(c)は、受信信号がLPF20の通過帯域よりも高い周波数帯域にダウンコンバートされた場合の信号波形である。この場合、2乗演算によって生じるキャリアの2倍の周波数成分はLPF20によって抑圧され、送信した元の変調信号成分が出力される。
図3(d)は、受信信号がLPF20の通過帯域(拡散帯域)と同程度にダウンコンバートされた場合の信号波形である。この場合、キャリア信号の2倍の周波数成分は、LPF20の通過帯域よりもわずかに高い周波数となるため、出力信号に若干のリプルが表れるが、変調信号を識別可能である。
ローパスフィルタの通過帯域と同程度以上であればダウンコンバートする中間周波数帯はどこでもよく、厳密な周波数制御は必要ない。周波数制御をしなかった結果、中間周波数帯がローパスフィルタの通過帯域内にある程度入ったとしてもほとんど影響なく復調することが可能である。
次に、図4を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図4は本発明の第3の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いたAM変調方式の無線通信受信機であり、前述した第1の実施の形態にかかる無線通信受信機(図1参照)と比較して、周波数変換部40の出力端に、受信信号3AのDC(直流)成分を除去する容量素子35が設けられている他は、前述の無線通信受信機と同等である。
ダイレクトコンバージョン方式では、周波数変換後の変調信号スペクトラムは、0Hz付近に信号ピークが存在する。つまり、DC付近に多くのエネルギー(情報)を含んでいるため、ハイパスフィルタの遮断周波数は極めて低い値に設定する必要がある。しかしこの場合は、非常に大きな容量素子が必要となり、システムLSI向けのアーキテクチャーであるダイレクトコンバージョン方式の利点と反し、集積回路で実現するメリットが薄れる。また、容量素子を大きくすると高速に変化するオフセット電圧に追随できないため、オフセット除去が不十分な場合もある。逆に容量素子を小さくした場合は、ハイパスフィルタの遮断周波数が大きくなり、変調信号のピーク成分が遮断されてしまうため、ビット誤り率(BER)が大幅に低下することになる。
この対策方法によれば、前述のように、容量素子として大きな容量値の素子が必要であることから、その充放電時間も長くなり、受信品質への影響は無視できない。
一般に、スペクトラム拡散通信では、ベースバンド信号が拡散符号により広帯域に拡散される。通常、ベースバンド信号のスペクトル帯域71に比較して、数倍から数十倍の帯域幅に拡散することから、拡散変調信号のスペクトル帯域72は、数MHzから数十MHzとなる。
次に、図6を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる無線通信受信機および無線通信受信機について説明する。図6は、本発明の第4の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、前述した第1の実施の形態にかかるスペクトラム拡散通信の無線通信受信機(図1参照)と比較して、逆拡散復調器33として非同期式逆拡散復調器を用い、逆拡散復調器33の入力端に容量素子36を設けた点が異なる。
一方、拡散符号発生回路84からはクロックf2に基づき拡散符号が生成され、各乗算器85a〜85gの他方の入力端子へ入力される。乗算器85a〜85gでは、S/H回路81a〜81gからの信号と拡散符号発生回路84からの拡散符号とが、それぞれチップごとに乗算され、これら乗算結果が加算器86で加算され出力信号として出力される。
したがって、このピーク値に応じて、拡散符号発生回路84で発生させる拡散符号のタイミングを入力信号に対して前後に調整することにより、入力信号と拡散符号とが同期して、拡散符号長ごとに連続してピーク値を得ることができる。
第2の拡散符号発生回路90bは、クロックf2により拡散符号を逆方向(乗算器85gから乗算器85a方向)にシフトするシフトレジスタを構成するFF回路93h〜93n、FF回路93i,93jの出力に基づき拡散符号を発生する排他的論理和回路92、および各FF回路93h〜93nおよび排他的論理和回路92の出力をオン/オフするスイッチ94h〜94n,94pから構成されている。
一方、拡散符号制御回路95から逆方向制御信号95bが出力された場合、スイッチ94a〜94g,94oがオフとなり、スイッチ94h〜94oがオンとなる。これにより、FF回路93h〜93nが直列に接続されるとともに排他的論理和回路92が接続されて、クロックf2に応じて逆方向にシフトする拡散符号が乗算器85a〜85gへ出力される。
したがって、拡散符号制御回路95で、ピーク検出器87からの制御信号に基づき、例えばピーク値が検出されるごとに、順方向制御信号95aと逆方向制御信号95bを切り替えて出力することにより、入力信号と拡散符号との位相がピーク値が得られたタイミングでほぼ維持されることなる。
したがって、このような同期式逆拡散復調器では、回路構成が複雑化して規模が増大するとともに、クロック周波数を高精度に保持して同期が得られるまでに時間を要することになる。
したがって、非同期式逆拡散復調器を用いることにより、PLL回路などの複雑な回路構成を必要とせず、比較的短い時間で所望のデータを復調でき、無線通信受信機全体として消費電力を低減できる。
特に、第3の実施の形態(図4参照)で用いている容量素子35の機能を容量素子36で実現することができ、1つの容量素子36で、逓倍器10で逓倍された受信信号2に含まれるDC成分により発生するDCオフセットを除去できるとともに、非同期式逆拡散復調器の持つ入力信号に対して適正なDCレベルを設定できる。したがって、集積回路に実装する際、比較的面積が必要となる容量素子を削減でき、無線通信受信機のチップ化を容易に実現できる。
次に、図11を参照して、本発明の各実施の形態にかかる無線通信受信機と対として用いられる無線通信送信機について説明する。図11は本発明の各実施の形態にかかる無線通信受信機と対として用いられる無線通信送信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信送信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散を用いたAM変調方式の無線通信送信機であり、発振器50、拡散符号発生器51、ミキサ52、スイッチ53、電力増幅器(以下、PAという)54、バンドパスフィルタ(以下、BPFという)55、およびアンテナ56から構成されている。
スイッチ53は、この変調信号6Aに基づき、オン/オフ動作を行うことにより、発振器50からのキャリア信号5をAM変調、ここでは0%/100%変調して拡散AM変調信号7を生成する回路部である。
PA54は、スイッチ53からの拡散AM変調信号7を増幅する増幅器である。BPF55は、スペクトラム拡散されたAM変調信号7の帯域のみを通過させるフィルタである。
発振器50から出力されたキャリア信号5は、スイッチ53へ入力される。
スイッチ53では、キャリア信号5に対し、ミキサ52から出力されるスペクトラム拡散された信号からなる変調信号6Aを用いてAM変調を施す。
スイッチ53から出力される拡散AM変調信号7は、PA54で増幅されてBPF55を通過した後、アンテナ56に供給され、無線信号として送信される。
この際、キャリア信号周波数と受信側の局部発振信号周波数との周波数偏差による受信感度の低下が見込まれるものの、キャリア信号5と変調信号6Aとから拡散AM変調信号7を生成するスイッチ53を設け、変調信号6Aとしてスペクトラム拡散された信号を用いるようにしたので、送信信号をスペクトラム拡散することで受信信号のS/N比を改善することができ、受信側での受信感度の低下を防ぐことができる。
Claims (5)
- 送信すべきベースバンド信号からなる変調信号と所定周波数のキャリア信号とをAM変調処理して得られたAM変調信号を受信して、元の変調信号を復調する無線通信受信機において、
受信した前記AM変調信号を逓倍する逓倍器と、
この逓倍器で逓倍された受信信号のうち、前記AM変調信号の周波数帯に対応する信号成分を減衰させるとともに、前記変調信号の周波数帯に対応する信号成分を通過させるローパスフィルタと、
このローパスフィルタを通過した受信信号から前記変調信号を復調する復調器とを備えることを特徴とする無線通信受信機。 - 請求項1に記載の無線通信受信機において、
前記変調信号は、前記ベースバンド信号を拡散符号でスペクトラム拡散して得られた信号からなり、
前記ローパスフィルタは、前記変調信号の周波数帯に対応する信号成分として、前記拡散符号のチップレートに対応する周波数以下の信号成分を通過させ、
前記復調器は、前記ローパスフィルタを通過した受信信号を逆拡散処理して前記ベースバンド信号を復調することを特徴とする無線通信受信機。 - 請求項1に記載の無線通信受信機において、
前記AM変調信号のキャリア信号を、当該キャリア信号の周波数より低い周波数であって、かつ前記変調信号のビットレートに対応する周波数より高い周波数へ周波数変換し、前記逓倍器へ前記受信信号として出力する周波数変換部をさらに備えることを特徴とする無線通信受信機。 - 請求項3に記載の無線通信受信機において、
前記周波数変換部と前記逓倍器との間に直列接続されて、前記周波数変換部で周波数変換された受信信号に含まれる直流成分を除去して前記逓倍器へ出力する容量素子をさらに備えることを特徴とする無線通信受信機。 - 請求項2に記載の無線通信受信機において、
前記復調器は、少なくとも位相または周波数がスペクトル拡散時の拡散符号と同期していない拡散符号を用いて、前記ローパスフィルタを通過した受信信号を逆拡散処理して出力する非同期方式逆拡散復調器からなることを特徴とする無線通信受信機。
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