JP4053957B2 - 無線通信受信機 - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信受信機および無線通信送信機に関し、特に所定周波数の局部発振信号を所望のベースバンド信号からなる変調信号で位相変調した信号を用いて無線通信を行う、近距離の微弱無線通信に好適な無線通信受信機および無線通信送信機に関するものである。
従来、所定周波数のキャリア信号を所望のベースバンド信号からなる変調信号で変調した信号を用いて無線通信を行う変調方式では、無線通信受信機および無線通信送信機において、所定周波数に対して周波数偏差の少ない高精度な局部発振信号およびキャリア信号が用いられていた。
図18に従来のスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信送信機の構成を示す。この無線通信送信機では、ミキサ(乗算器)101において、拡散符号発生器100からの拡散符号(擬似ランダム符号)を用いて、送信情報を含む所望のベースバンド信号を拡散処理して、スペクトラム拡散された変調信号を生成する。次に、この変調信号と周波数シンセサイザ102からの周波数ロック制御されたキャリア信号とから、ミキサ103で位相変調信号を生成する。そして、この位相変調信号をパワーアンプPA104により増幅した後、アンテナ105から送信する。この際、キャリア信号に送信情報を用いた情報変調を施す操作を1次変調といい、キャリア信号に拡散符号を乗じてスペクトラム拡散を行う操作を2次変調という。前述した構成例のように1次変調、2次変調ともに位相変調(PSK:Phase Shift Keying)を施すのが一般的である。
図19に従来のスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信受信機の構成を示す。この無線通信受信機では、アンテナ110から受信した位相変調信号をローノイズアンプ111で増幅した後、90°位相の異なる局部発振信号とミキサ114I、114Qで乗算してベースバンド信号帯域へ直接周波数変換(ダイレクトコンバージョン)する。そして、周波数変換された受信信号からローパスフィルタ115I、115Qで高周波成分を取り除き、リミッタ116I、116Qにより振幅制限を施してI、Q変調信号を得る。得られたI、Q変調信号に対して、ベースバンド復調器117で逆拡散処理を行った後、BPSK(Binary Phase Shift Keying)復調を行うことにより、元のベースバンド信号を得る。
これら従来技術であるスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信送信機、およびスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信送信機・受信機については、非特許文献1〜3に記載されている。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
丸林元、中川正雄、河野隆二、「スペクトラム拡散通信とその応用」、電子情報通信学会、pp19-260、ISBN 4-88552-153-X A Direct-Conversion Receiver for 900 MHz (ISM Band) Spread-Spectrum Digital Cordless Telephone、Christopher Dennis Hull、Joo Leong Tham, IEEE Journal of Solid-State Circuits, vol.31, no.12, pp1955-1963、Dec. 1996 西村芳一、「無線によるデータ変復調技術」、CQ出版社、pp42-43,pp133-134、ISBN 4-7898-3349-6
近年では、トランシーバ構成として、それまでの中間周波数を用いるスーパーへテロダイン方式に代えて、外付けの中間周波フィルタなどが省略可能な、システムLSI向けの信号処理であるダイレクトコンバージョン方式が多く採用されるようになってきており、特にスペクトラム拡散通信では、2次変調である拡散変調にBPSK変調を用いる構成が一般的である。
このような構成において、位相変調された信号を復調する場合、基準位相が重要になる。前述した図18、19のダイレクトコンバージョン方式では、送信側および受信側で用いるキャリア信号および局部発振信号の周波数を完全に一致させるのは難しく、周波数偏差が生じやすい。
従来の無線通信受信機および無線通信送信機では、このような周波数偏差が生じた場合、その偏差に起因する残留周波数誤差により基準位相が定まらず、位相変調信号を復調する際にこの周波数誤差が誤復調の原因となるため、この影響を自動的にキャンセルするようにAFC(Auto Frequency Control)やAPC(Auto Phase Control)と呼ばれる周波数、位相ずれを補正する操作を周波数シンセサイザにて行う必要がある。したがって、このような制御を行うために受信機側での信号処理が複雑になり、受信機のハードウェア量、消費電力が増大するといった問題がある。
本発明はこのような課題を解決するものであり、ダイレクトコンバージョン方式の受信機構成の簡易化、低コスト化、および低消費電力化を図ることができる無線通信受信機および無線通信送信機を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる無線通信受信機は、送信すべきベースバンド信号からなる変調信号と所定周波数のキャリア信号とを位相変調処理して得られた位相変調信号を受信し、変調信号を復調する無線通信受信機において、信した前記位相変調信号のキャリア信号との周波数偏差の絶対値が少なくとも前記変調信号のビットレートに対応する周波数より小さくなるような周波数の局部発振信号を用いて、当該位相変調信号を周波数変換して出力する周波数変換器と、この周波数変換器で周波数変換された信号を遅延検波することにより、変調信号を復調して出力する遅延検波器とを備え、周波数変換器で、互いの位相が直交する局部発振信号に基づき位相変調信号をそれぞれ周波数変換することにより、互いの位相が直交する直交受信信号を出力し、遅延検波器で、周波数変換器からの直交受信信号をそれぞれ遅延検波することにより、互いの位相が直交する直交変調信号をそれぞれ復調して出力するものとし、この遅延検波器からの各直交変調信号を加算することにより変調信号を出力する加算器をさらに備えている。
この際、変調信号として、ベースバンド信号を拡散符号でスペクトラム拡散して得られた信号を用い、加算器からの変調信号を逆拡散処理することにより、ベースバンド信号を復調して出力する逆拡散復調器をさらに設けてもよい。
また、周波数変換器の出力段に直列接続されて、周波数変換器で周波数変換された受信信号に含まれる直流成分を除去して遅延検波器側へ出力する容量素子をさらに設けてもよい。
また、逆拡散復調器として、少なくとも位相または周波数がスペクトラム拡散時の拡散符号と同期していない拡散符号を用いて逆拡散処理する非同期方式逆拡散復調器を用いてもよい。
また、周波数変換器で、周波数変換に用いる局部発振信号周波数として、キャリア信号と当該局部発振信号との周波数偏差により生じる誤りチップ数が、送信側でのスペクトラム拡散に用いる擬似ランダム符号の1周期のチップ数の1/2以下となる周波数を用いてもよい。
また、非同期方式逆拡散復調器の入力段に直列接続されて、非同期方式逆拡散復調器の入力信号に含まれる直流成分を除去する容量素子をさらに備えてもよい。
本発明は、無線通信受信機において、受信した位相変調信号のキャリア信号周波数を変調信号のビットレートに対応する周波数より低い周波数へ周波数変換し、得られた信号の隣り合うシンボル間の位相差分に基づき遅延検波することにより、元の変調信号を復調するようにしたので、同期検波のための基準位相を受信側で用意する必要がなく、従来のように、受信側ではAFC、APCのような周波数誤差をキャンセルする制御を行う必要がなくなる。
また、無線通信送信機において、ベースバンド信号をスペクトラム拡散して得られた変調信号を、位相差分変調器で位相差分変調し、得られた位相差分変調信号に基づきキャリア信号を位相変調して送信するようにしたので、受信側では、周波数変換した信号を遅延検波して逆拡散処理することにより、元のベースバンド信号を得ることができる。
したがって、同期検波のための基準位相を受信側で用意する必要がなく、従来のように、受信側ではAFC、APCのような周波数誤差をキャンセルする制御を行う必要がなくなる。これにより、ダイレクトコンバージョン方式の無線通信受信機の構成を大幅に簡易化でき、無線通信受信機の低コスト化および低消費電力化を図ることができる。
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、所定周波数のキャリア信号と送信すべきベースバンド信号からなる変調信号とを位相変調処理して得られた位相変調信号を受信し、変調信号を復調する、位相変調方式の無線通信受信機であり、アンテナ10、ローノイズアンプ(以下、LNAという)11、発振器12、ミキサ13、ローパスフィルタ(以下、LPFという)14、リミッタ15、および遅延検波器16から構成されている。
LNA11は、アンテナ10で受信された受信信号を低雑音で増幅する増幅器である。発振器12は、キャリア信号周波数とほぼ等しい所定周波数の局部発振信号2を生成する回路部である。ミキサ13は、LNA11からの受信信号1と局部発振信号2とを乗算することにより、受信信号1のキャリア信号を変調信号(ベースバンド信号)4のビットレートに対応する周波数より低い周波数へ周波数変換(周波数シフト)する回路部(乗算器)である。LPF14は、ミキサ13で得られた周波数変換後の受信信号3のうち、変調信号4のビットレートに対応する周波数以下の信号成分を通過させるフィルタである。リミッタ15は、LPF14からの受信信号の振幅制限を行う増幅器である。
遅延検波器16は、リミッタ15からの受信信号を遅延検波することにより、変調信号4すなわち元のベースバンド信号を復調して出力する回路部である。
図2に、遅延検波器16の構成例を示す。この遅延検波器16は、入力信号を1シンボル分だけ遅延して出力する遅延器20と、この遅延器20からの出力と入力信号とを乗算することにより、入力信号の隣り合うシンボル間の位相差分すなわち位相変化を遅延検波された信号として出力する乗算器21とから構成されている。なお、遅延検波器16としては、同様の遅延検波機能が得られる回路であれば他の構成でもよく、図2の構成に限定されるものではない。
ここで、位相差分変調方式について説明する。位相差分変調方式とは、送信すべきベースバンド信号の各シンボル間の位相差分を利用して所望の情報を送信する方式であり、遅延検波方式に対応する変調方式のことである。
一般に、受信側の検波方式は、同期検波と遅延検波に大別される。同期検波とは、受信信号の各シンボルの位相を基準位相とを比較し、その位相差分に応じて元のベースバンド信号を復調するものである。例えば2つの位相を用いて2値データを送信するBPSK(Binary Phase Shift Keying)では、送信側で2値データ0/1が0゜位相と180゜位相のキャリア信号にそれぞれ変換されて送信され、受信側で受信信号の各シンボルの位相0゜/180゜に応じて元の2値データが出力される。したがって、同期検波では、ベースバンド信号の値にキャリア信号の絶対位相を対応させているため、受信側でキャリア信号の基準位相が必要となる。
これに対して遅延検波とは、受信信号の隣り合うシンボル間の位相差分に応じて元のベースバンド信号を復調するものである。例えば隣り合うシンボル間の位相差分を用いて2値データを送信するBPSKでは、送信側で2値データ0/1のシンボル間の値の変化有無が予め0/1に変調され、この変調信号0/1が0゜位相と180゜位相のキャリア信号にそれぞれ変換されて送信される。そして、受信側で受信信号の隣り合うシンボル間での位相差分、ここでは位相変化の有無が検出され、その位相変化有無に応じて元の2値データが復調出力される。したがって、遅延検波では、受信信号の隣り合うシンボル間での位相変化を検出できればよく、同期検波のように受信側でキャリア信号の基準位相が不要となる。
本発明でいう位相差分変調とは、遅延検波方式において送信側でベースバンド信号の2値データ0/1のシンボル間の値の変化有無を0/1に変調する処理であり、本発明の各実施の形態にかかる無線通信送信機および無線通信受信機は、すべてこの位相差分変調方式に基づき生成した位相差分変調信号をやり取りすることにより無線通信を行うものである。
本実施の形態にかかる無線通信受信機では、アンテナ10で受信された受信信号がLNA11で増幅され、受信信号1としてミキサ13へ入力される。そして、ミキサ13で、発振器12からの局部発振信号2と乗算され、受信信号のキャリア信号周波数が元の変調信号のビットレートに対応する周波数より低い周波数へ周波数変換される。
このようにして周波数変換された受信信号3は、LPF14を通過して、送信時に用いられた拡散符号のチップレートよりも低い周波数帯域の信号成分となる。そして、リミッタ15で振幅制限を受けた後、遅延検波器16で、隣り合うシンボル間の位相差分に基づき変調信号4へ復調される。
このように、受信した位相変調信号のキャリア信号周波数を変調信号のビットレートに対応する周波数より低い周波数へ周波数変換し、得られた信号の隣り合うシンボル間の位相差分に基づき遅延検波することにより、所望の変調信号すなわちベースバンド信号を復調するようにしたので、同期検波のための基準位相を受信側で用意する必要がなく、従来のように、受信側ではAFC、APCのような周波数誤差をキャンセルする制御を行う必要がなくなる。
したがって、ダイレクトコンバージョン方式の無線通信の構成を大幅に簡易化でき、無線通信受信機の低コスト化および低消費電力化を図ることができる。
なお、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に基づく偏差成分が、ミキサ13で得られる受信信号3に重畳することから、場合によっては振幅が減衰してその情報が欠落したり基準位相が回転して、その周波数偏差の2倍の周波数で復調誤りが繰り返し発生する。
図3に図1の無線通信受信機の各部における信号波形を示す。図3(a)は、ミキサ13から得られた周波数変換後の受信信号3を示しており、図3(b)は、図3(a)の受信信号3を遅延検波して得られた変調信号4を示している。
図3(a)の信号波形は、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因してその振幅に偏差成分が重畳しており、この場合、その節となる部分(破線部分)で基準位相の極性が反転している。したがって、図3(c)に示す元の変調信号と比較して、図3(b)の信号波形が異なっており、この部分で復調誤りが生じているのがわかる。
この復調誤りについては、後述のように変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトラム拡散した信号を用いることにより、元のベースバンド信号を誤りなく復調でき、受信機の受信感度を改善できる。また、無線通信受信機が用いられるデータ通信で要求される通信品質や上位のデータ通信プロトコルによる再送制御などにより、ある程度の復調誤りが生じても許容される場合もある。
なお、上記節が変調信号のビット幅以下の間隔で発生した場合、すべてのビットで復調誤りが発生するため、節が発生する間隔は少なくとも変調信号のビット幅より長いことが最低条件となる。したがって、周波数変換を行うミキサ13では、受信信号1のキャリア信号と受信側の局部発振信号との周波数偏差の絶対値が、少なくとも変調信号のビットレートに対応する周波数より小さくなるような周波数の局部発振信号2を用いることにより、ある程度のビットを誤りなく復調できる。
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図4は本発明の第2の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信受信機であり、図1の無線通信受信機のうち遅延検波器16の出力端に、遅延検波器16からの変調信号4を逆拡散処理することにより、スペクトラム拡散されている元のベースバンド信号4Aを復調して出力する逆拡散復調器17が設けられている他は、図1の無線通信受信機と同等である。
前述した第1の実施の形態では、周波数変換した受信信号を遅延検波器16を用いて遅延検波することにより変調信号4を得る場合について説明した。
この際、前述の図3に示した信号波形のように、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に基づく偏差成分が、ミキサ13で得られる受信信号3に重畳することから、場合によっては振幅が減衰してその情報が欠落したり基準位相が回転して、その周波数偏差の2倍の周波数で復調誤りが繰り返し発生する。
本実施の形態では、送信側で所望のベースバンド信号をスペクトラム拡散して生成した変調信号を用いて位相差分変調を行えば、受信信号にある程度の誤りが含まれていても受信側でベースバンド信号を正常に復調できることに着目し、遅延検波器16の後段に逆拡散復調器17を設け、送信側で予めスペクトラム拡散された変調信号4を遅延検波器16で復調した後、これを逆拡散処理して元のベースバンド信号4Aを復調するようにしたものである。
したがって、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因して周波数変換後の受信信号に振幅のつぶれや位相回転が生じ、遅延検波器から得られた変調信号に復調誤りが発生する場合でも、元のベースバンド信号を誤りなく復調でき、受信機の受信感度を改善できる。
[第3の実施の形態]
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信受信機は、所定周波数のキャリア信号と送信すべきベースバンド信号からなる変調信号とを位相変調処理して得られた位相変調信号を受信し、変調信号を復調する、位相変調方式の無線通信受信機であり、図1の無線通信受信機のうち、ミキサ13としてI,Q直交検波用のミキサ13I,13Qを設けるとともに、遅延検波器16としてミキサ13I,13Qからの直交受信信号3I,3Qをそれぞれ個別に遅延検波する遅延検波器16I,16Qを設け、さらにこれら遅延検波器16I,16Qで得られたI,Q変調信号4I,4Qを加算して元の変調信号4を出力する加算器18を設けたものである。
前述した第2の実施の形態では、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因して遅延検波に誤りが生じる場合の対策として、逆拡散復調器17を設けて送信側で予めスペクトラム拡散されたベースバンド信号を復調するようにした場合について説明した。
本実施の形態では、遅延検波器16I,16Qの後段に加算器18を設け、直交検波により得られたI,Q変調信号4I,4Qを加算することにより、スペクトラム拡散通信を用いずに、遅延検波の誤りを補間するようにしたものである。
図6に、図5の無線通信受信機の各部における信号波形図を示す。図6(a)は、遅延検波器16Iから得られたI変調信号4Iを示し、図6(b)は、遅延検波器16Qから得られたQ変調信号4Qを示している。これらI,Q変調信号4I,4Qには、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因して、その振幅に偏差成分が重畳しており、その節となる部分で振幅が減衰し情報が欠落している。
この際、I,Q変調信号4I,4Qは、互いの位相が直交していることから、これらを加算器18で加算することにより、図6(c)に示すように情報の欠落部分が補間された変調信号4が得られ、図6(d)に示す元の変調信号と等しい信号を復調できる。
このように、本実施の形態では、遅延検波器16I,16Qの後段に加算器18を設け、直交検波により得られたI,Q変調信号4I,4Qを加算することにより、遅延検波の誤りを補間するようにしたので、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因して周波数変換後の受信信号で振幅のつぶれによる情報の欠落や位相回転が生じ、遅延検波器から得られた変調信号に復調誤りが発生する場合でも、元の変調信号を誤りなく復調でき、受信機の受信感度を改善できる。
[第4の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図7は、本発明の第4の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信受信機であり、図5の無線通信受信機のうち加算器18の出力端に、加算器18からの変調信号4を逆拡散処理することにより、スペクトラム拡散されている元のベースバンド信号4Aを復調して出力する逆拡散復調器17Aが設けられている他は、図5の無線通信受信機と同等である。
このように、加算器18の後段に逆拡散復調部17Aを設け、加算器18で補間された変調信号4を逆拡散処理して元のベースバンド信号4Aを復調するようにしたので、前述した第2の実施の形態と同様に、ベースバンド信号をスペクトラム拡散した変調信号を用いて位相差分変調を行えば、受信信号にある程度の誤りが含まれていても受信側でベースバンド信号を正常に復調できることから、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因して周波数変換後の変調信号に振幅のつぶれによる情報の欠落や位相回転が生じ、遅延検波器から得られた変調信号に復調誤りが発生する場合でも、元のベースバンド信号を誤りなく復調でき、受信機の受信感度を改善できる。
[第5の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図8は、本発明の第5の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信受信機であり、図7の無線通信受信機のうち加算器18および逆拡散復調器17Aに代えて、個々の遅延検波器16I,16Qの後段に、これら遅延検波器16I,16QからのI,Q変調信号4I,4Qをそれぞれ個別に逆拡散処理することにより、元のベースバンド信号を復調して出力する逆拡散復調器17I,17Qが設けられている他は、図7の無線通信受信機と同等である。
このように、各遅延検波器16I,16QからのI,Q変調信号4I,4Qを逆拡散復調器17I,17Qで逆拡散処理して元のベースバンド信号をそれぞれ復調するようにしたので、前述したBPSKだけでなく、送信側において2ビットのベースバンド信号をスペクトラム拡散した後に位相差分変換した位相差分変調信号でキャリア信号を位相変調したQPSK(Quadri Phase Shift Keying)にも対応できる。
[第6の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第6の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図9は本発明の第6の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いた周波数変調方式の無線通信受信機であり、図4の無線通信受信機のうちミキサ13の出力端に、受信信号3のDC(直流)成分を除去する容量素子30が設けられている他は、図4の無線通信受信機と同等である。
一般に、受信信号を中間周波数帯域に周波数変換することなく、ベースバンド信号の周波数帯域へ直接周波数変換するダイレクトコンバージョン方式の無線通信受信機は、外付けのチャネル選択フィルタや中間周波数変換器が不要となり、受信機を小型化できる。しかし、このようなダイレクトコンバージョン方式では、ベースバンド信号の周波数帯域すなわち0Hz付近に周波数変換されるため、受信機内部で受信信号へ混入した信号に起因して当該受信信号に生じたDC成分により、信号の中点電位が上下にずれる現象すなわちDCオフセットが生じ、周波数変換部以降の回路部で信号の劣化を生ずる。例えば、増幅器にDCオフセットを有する受信信号が入力された場合、増幅器の出力が飽和して所望の信号を増幅できない。したがって、通常は、DCオフセット対策や受信信号のレベル管理を行う必要がある。
従来、このようなDCオフセット対策として、受信信号をハイパスフィルタに通すという構成がとられていたが、次のような問題点がある。
ダイレクトコンバージョン方式では、周波数変換後の変調信号スペクトラムは、0Hz付近に信号ピークが存在する。つまり、DC付近に多くのエネルギー(情報)を含んでいるため、ハイパスフィルタの遮断周波数は極めて低い値に設定する必要がある。しかしこの場合は、非常に大きな容量素子が必要となり、システムLSI向けのアーキテクチャーであるダイレクトコンバージョン方式の利点と反し、集積回路で実現するメリットが薄れる。また、容量素子を大きくすると高速に変化するオフセット電圧に追随できないため、オフセット除去が不十分な場合もある。逆に容量素子を小さくした場合は、ハイパスフィルタの遮断周波数が大きくなり、変調信号のピーク成分が遮断されてしまうため、ビット誤り率(BER)が大幅に低下することになる。
一方、DC付近に変調信号のピークが来ないようにDCフリーコーディングを行う方法も考えられるが、この場合は、送受信機にエンコーダやデコーダが新たな必要となる。また、この方法は、変調信号の周波数帯域が広帯域の場合は、ある程度の効果が得られるものの、周波数帯域があまり広く取れない場合には効果が得られない。つまり、元の周波数帯域が100KHz程度の信号の信号ピークをDC付近から50KHz付近へ移動するようにコーディングを行っても効果は小さい。
また、他のDCオフセット対策として、データが送信されない時間を利用してDCオフセットを除去する方法が考えられる。TDMA通信の場合、送信および受信が間欠的に繰り返されるため、送信と受信の合間にDCオフセット成分を容量素子に保持することで受信スロットにおいて仮想的にHPFの遮断周波数を0Hzに設定することができる。ただしこの場合は、受信時にデータ信号が送信されてこない時間帯を設ける必要があり、こうしたタイムスロットの制御や通信方式が限定されるという問題点がある。
また、実際には容量素子を切替接続するスイッチによる熱雑音が容量素子に蓄積されるため、大きな容量値の素子を使用する必要があり、受信機の小型化を実現できない。また、DCオフセット除去時に妨害信号を受信すると、その信号も保持されてしまい、正確なオフセット除去ができないという問題点がある。さらに、容量素子の充放電が送受信の切り替え時間に比べて十分短い時間で完了しないと受信側へ切り替えた直後の受信品質が落ちる。
この対策方法によれば、前述のように、容量素子として大きな容量値の素子が必要であることから、その充放電時間も長くなり、受信品質への影響は無視できない。
本実施の形態では、図9に示すように、ミキサ13の出力端、ここではLPF14との間に、容量素子30を直列接続していることから、ミキサ13で周波数変換された受信信号3に含まれるDC成分により発生するDCオフセットが除去され、その後段で所望のベースバンド信号を正常に復調できる。
図10に、スペクトラム拡散通信における周波数スペクトラムを示す。図10(a)は、スペクトラム拡散処理されていないベースバンド信号の周波数スペクトラムを示し、図10(b)は、スペクトラム拡散処理された拡散変調信号の周波数スペクトラムを示している。
一般に、スペクトラム拡散通信では、ベースバンド信号が拡散符号により広帯域に拡散される。通常、ベースバンド信号のスペクトル帯域71に比較して、数倍から数十倍の帯域幅に拡散することから、拡散変調信号のスペクトル帯域72は、数MHzから数十MHzとなる。
このような周波数帯域であれば、DCオフセットの周波数帯域70を除去するための容量素子30は、それほど大きな容量値を必要としないことから、集積回路での実装が可能となる。また、高速に変化するDCオフセットに対しても迅速に対応できる。スペクトラム拡散通信では、逆拡散によるプロセスゲインがあり、DC付近の信号が失われても逆拡散後のS/N比が良好であれば、変調信号を誤りなく復調できる。
なお、図9では、図4の無線通信受信機を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図7,図8の無線通信受信機のミキサ13I,13Qの出力端に容量素子をそれぞれ設けてもよく、本実施の形態と同様の作用効果が得られる。
[第7の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第7の実施の形態にかかる無線通信受信機について説明する。図11は、本発明の第7の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いた周波数変調方式の無線通信受信機であり、前述した第2の実施の形態にかかる無線通信受信機(図4参照)と比較して、逆拡散復調器17として非同期式逆拡散復調器を用い、逆拡散復調器17の入力端に容量素子31を設けた点が異なる。
図12に非同期式逆拡散復調器の構成例を示す。この非同期式逆拡散復調器は、サンプルホールド回路(以下、S/H回路という)81a〜81g、サンプルホールド制御回路(以下、S/H制御回路という)82、フリップフロップ回路(以下、FF回路という)83a〜83f、拡散符号発生回路84、乗算器85、加算器86、およびピーク検出器87から構成されている。
S/H回路81a〜81gは、入力信号をサンプルホールドする。S/H制御回路82は、入力信号の拡散に用いたクロックとほぼ同じ周波数のクロックf1を入力してN(本実施の形態ではN=7)分周し、S/H回路81a〜81gを制御する信号を発生する。FF回路83a〜83fは、S/H制御回路82からの出力信号をクロックf1でシフトするシフトレジスタを構成する。拡散符号発生回路84はクロックf2に基づきスペクトラム拡散時に用いたものと同じ拡散符号を発生する。乗算器85a〜85gはS/H回路81a〜81gから出力される信号と拡散符号発生回路84から出力される拡散符号とを各々乗算する。加算器86は乗算器85a〜85gの出力信号を加算する。ピーク検出器87は加算器86の出力信号からピーク値を検出する。
入力信号は、S/H回路81a〜81gによりサンプルホールドされて乗算器85a〜85gの一方の入力端子に入力される。このとき、乗算器85a〜85gには、S/H制御回路82およびFF回路83a〜83fによって受信された新たな信号が、これら乗算器の数と同じクロック数間隔で、S/H回路81a〜81gで更新されて保持される。
一方、拡散符号発生回路84からはクロックf2に基づき拡散符号が生成され、各乗算器85a〜85gの他方の入力端子へ入力される。乗算器85a〜85gでは、S/H回路81a〜81gからの信号と拡散符号発生回路84からの拡散符号とが、それぞれチップごとに乗算され、これら乗算結果が加算器86で加算され出力信号として出力される。
これにより、入力信号のクロックf1の周波数、拡散符号のクロックf2の周波数、および拡散符号長で決定される周期で、出力信号にピーク値が発生し、この出力信号は、入力信号と拡散符号とが同期した際に高い値を示し、同期が取れていない場合にはほぼゼロを示すものとなる。
したがって、このピーク値に応じて、拡散符号発生回路84で発生させる拡散符号のタイミングを入力信号に対して前後に調整することにより、入力信号と拡散符号とが同期して、拡散符号長ごとに連続してピーク値を得ることができる。
図13に拡散符号発生回路84の構成例を示す。この拡散符号発生回路84は、クロックf2に応じて拡散符号を順方向にシフトして各乗算器85a〜85gへ出力する第1の拡散符号発生回路90aと、クロックf2に応じて拡散符号を逆方向にシフトして各乗算器95a〜95gへ出力する第2の拡散符号発生回路90bと、ピーク検出器87からの制御信号に基づき順方向制御信号95aまたは逆方向制御信号95bのいずれかを出力して、第1または第2の拡散符号発生回路90a,90bのいずれかを動作させる拡散符号制御回路95とから構成されている。
第1の拡散符号発生回路90aは、クロックf2により拡散符号を順方向(乗算器85aから乗算器85g方向)にシフトするシフトレジスタを構成するFF回路93a〜93g、FF回路93a,93cの出力に基づき拡散符号を発生する排他的論理和回路91、および各FF回路93a〜93gおよび排他的論理和回路91の出力をオン/オフするスイッチ94a〜94g,94oから構成されている。
第2の拡散符号発生回路90bは、クロックf2により拡散符号を逆方向(乗算器85gから乗算器85a方向)にシフトするシフトレジスタを構成するFF回路93h〜93n、FF回路93i,93jの出力に基づき拡散符号を発生する排他的論理和回路92、および各FF回路93h〜93nおよび排他的論理和回路92の出力をオン/オフするスイッチ94h〜94n,94pから構成されている。
拡散符号制御回路95から順方向制御信号95aが出力された場合、スイッチ94a〜94g,94oがオンとなり、スイッチ94h〜94oがオフとなる。これにより、FF回路93a〜93gが直列に接続されるとともに排他的論理和回路91が接続されて、クロックf2に応じて順方向にシフトする拡散符号が乗算器85a〜85gへ出力される。
一方、拡散符号制御回路95から逆方向制御信号95bが出力された場合、スイッチ94a〜94g,94oがオフとなり、スイッチ94h〜94oがオンとなる。これにより、FF回路93h〜93nが直列に接続されるとともに排他的論理和回路92が接続されて、クロックf2に応じて逆方向にシフトする拡散符号が乗算器85a〜85gへ出力される。
この際、FF回路93b〜93gの入力とFF回路93h〜93mの入力とが接続され、FF回路93gの出力がスイッチ94gを介してFF回路93hの入力へ接続され、FF回路93nの出力がスイッチ94nを介してFF回路93aの入力へ接続されていおり、順方向/逆方向の切替の際、その時点で出力されている拡散符号が保持された状態で切り替えられる。
したがって、拡散符号制御回路95で、ピーク検出器87からの制御信号に基づき、例えばピーク値が検出されるごとに、順方向制御信号95aと逆方向制御信号95bを切り替えて出力することにより、入力信号と拡散符号との位相がピーク値が得られたタイミングでほぼ維持されることになる。
これにより、加算器86からの出力信号およびピーク検出器87からの受信信号として、図16に示すような信号波形が得られる。加算器86からの出力信号は、入力信号と拡散符号の極性が同じ状態で同期した場合に正の値となり、極性が逆で同期した場合に負の値となる。この際、送信側でベースバンド信号のビット値0/1に対応させて拡散符号の極性を正/負に切り替えることにより、ベースバンド信号と等しい極性のピーク値が得られる。したがって、これらピーク値の包絡線から受信信号すなわち所望のベースバンド信号4Aが得られる。
なお、本実施の形態では、拡散符号長=7(PN7)の場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の拡散符号長N(Nは2以上の整数)を用いることができる。その際、S/H回路81a〜81g、FF回路83a〜83g、乗算器85a〜85g、FF回路93a〜93n、およびスイッチ94a〜94pなどを、拡散符号長Nに合わせた数だけ設ければよい。また、使用する拡散符号についても排他的論理和回路91,92の入力を選択することにより、他の系列の符号を用いてもよい。
一般的な、同期式逆拡散復調器では、送信側でのスペクトラム拡散時の拡散符号に対して逆拡散処理に用いる拡散符号の周波数および位相を完全同期させる必要があり、この際、PLL回路などを用いた同期制御回路で、逆拡散処理を開始する前にその拡散符号発生に用いるクロックの周波数を高精度に保持(ロック)するものとなっている。
したがって、このような同期式逆拡散復調器では、回路構成が複雑化して規模が増大するとともに、クロック周波数を高精度に保持して同期が得られるまでに時間を要することになる。
これに対して非同期式逆拡散復調器では、前述したように、基本的にはスペクトラム拡散時の拡散符号と逆拡散時の拡散符号との周波数および位相を完全同期させる必要はなく、信号処理系全体が非同期で動作するため、拡散符号の発生に用いるクロックf2を選択すれば、比較的短い時間で所望のデータを復調できる。
したがって、非同期式逆拡散復調器を用いることにより、PLL回路などの複雑な回路構成を必要とせず、比較的短い時間で所望のデータを復調でき、無線通信受信機全体として消費電力を低減できる。
また、乗算器95a〜95gについては、図17に示すような乗算回路を用いてもよい。この乗算回路において、NM1〜NM7はMOSトランジスタであり、2段縦横型の差動回路で構成されている。拡散符号発生回路84からの拡散符号やS/H回路81a〜81gからの信号は差動形式の信号であり、拡散符号は上段の2つの差動回路に逆相で入力され、S/H回路81からの信号は下段の2つの差動回路に入力される。これにより、両信号が乗算され、その乗算結果が電流モードで出力される。
このようなアナログ信号系の乗算器は、デジタル信号系の乗算器と比較して、入力信号に対して適正に動作するDCレベル(直流バイアス)を持っている。したがって、遅延検波器16から出力される変調信号4のDCレベルが、非同期式逆拡散復調器17の直流レベルと異なる場合には、図11のように、非同期式逆拡散復調器17の入力段に容量素子31を設けて、遅延検波器16と非同期式逆拡散復調器17とを容量結合した後、抵抗分割回路などにより変調信号4の中心電位を適正なDCレベルへ設定すればよい。
なお、本実施の形態では、前述した第2の実施の形態を例として説明したが、逆拡散復調器を用いる第4〜6の実施の形態(図7〜9参照)に対し、前述と同様にして適用することができ、同様の作用効果が得られる。
特に、第6の実施の形態(図9参照)で用いている容量素子30の機能を容量素子31で実現することができ、1つの容量素子31で、ミキサ13で周波数変換された受信信号3に含まれるDC成分により発生するDCオフセットを除去できるとともに、非同期式逆拡散復調器の持つ入力信号に対して適正なDCレベルを設定できる。したがって、集積回路に実装する際、比較的面積が必要となる容量素子を削減でき、無線通信受信機のチップ化を容易に実現できる。
[第8の実施の形態]
次に、図16を参照して、本発明の第8の実施の形態にかかる無線通信送信機について説明する。図16は、本発明の第8の実施の形態にかかる無線通信送信機の構成を示すブロック図である。
この無線通信送信機は、変調信号として所望のベースバンド信号をスペクトル拡散した信号を用いるスペクトラム拡散通信を用いた位相変調方式の無線通信送信機であり、拡散符号発生器50、ミキサ51、位相差分変調器52、発振器53、ミキサ54、電力増幅器(以下、PAという)55、およびアンテナ56から構成されている。
拡散符号発生器50は、所定の擬似ランダム信号6を出力する回路部である。
ミキサ51は、送信情報を含むデジタルのベースバンド信号5と拡散符号発生器50からの擬似ランダム符号6とを乗算することにより、スペクトラム拡散された変調信号7を出力する回路部(乗算器)である。
位相差分変調器52は、ミキサ51からの変調信号7を隣り合うシンボル間の値変化に基づき位相差分変調し、位相差分変調された位相差分変調信号7Aとして出力する回路部である。
図17に位相差分変調器52の構成例を示す。この位相差分変調器52は、排他的論理和回路(以下、XORという)60から構成されており、その一方の入力端子に入力信号が接続され、もう一方の入力端子が出力端子と接続されている。したがって、XOR60では、入力信号として入力されたシンボルとその1つ前のシンボルとから排他的論理和が算出されて出力される。この場合、隣り合う2つのシンボルが同じ極性の場合は「−1」が出力され、異なる極性の場合には「1」が出力されることになる。
発振器53は、所定周波数のキャリア信号8を出力する回路部である。
ミキサ54は、位相差分変調器52で位相差分変調された位相差分変調信号7Aに基づき、発振器53からのキャリア信号8の位相を変調して位相変調信号9を出力する回路部である。
PA55は、ミキサ54からの位相変調信号9を増幅してアンテナ56へ出力する増幅器である。
この無線通信送信機では、送信すべきベースバンド信号5はミキサ51に入力され、拡散符号発生器50からの擬似ランダム符号6と乗算されて、ベースバンド信号5が広帯域に直接スペクトラム拡散された変調信号7となる。この際、拡散符号発生器50とミキサ51とは、送信すべきベースバンド信号に対して拡散符号を乗じてスペクトラム拡散を行う拡散手段として機能する。
変調信号7は位相差分変調器52に入力されて、隣り合うシンボル間の値変化に基づき位相差分変調され、1/−1の2値からなる位相差分変調信号7Aとなる。これにより、変調信号7の位相の絶対値が持っていた情報を、シンボル間の位相差に情報を持たせて伝送されることになる。
ミキサ54では、この位相差分変調信号7Aと発振器53からのキャリア信号8とが乗算されて、キャリア信号8の位相が制御され、位相変調信号9が生成される。すなわち位相差分変調信号7Aが「1」のときは位相回転0゜となり、「−1」のときは位相回転180゜となる。
ミキサ54からの位相変調信号9は、PA55で増幅され、アンテナ56から無線送信される。
このように、ミキサ51で、ベースバンド信号5をスペクトラム拡散した後、位相差分変調器52で位相差分変調し(1次変調)、得られた位相差分変調信号7Aに基づきキャリア信号を位相変調して(2次変調)送信するようにしたので、受信側では、周波数変換した受信信号を遅延検波して逆拡散復調することにより、スペクトラム拡散された元のベースバンド信号を得ることができる。
したがって、同期検波のための基準位相を受信側で用意する必要がなく、従来のように、受信側ではAFC、APCのような周波数誤差をキャンセルする制御を行う必要がなくなる。これにより、ダイレクトコンバージョン方式のスペクトラム拡散通信を用いた無線通信の構成を大幅に簡易化でき、無線通信受信機の低コスト化および低消費電力化を図ることができる。
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態にかかる無線通信受信機および無線通信送信機について説明する。
本実施の形態にかかる無線通信受信機は、前述した第2,4,5の実施の形態にかかるスペクトラム拡散通信の無線通信受信機において、ミキサ13,13I,13Qで周波数変換に用いる局部発振信号2の周波数として、キャリア信号と当該局部発振信号2との周波数偏差により生じる誤りチップ数が、通信相手となる無線通信送信機でのスペクトラム拡散に用いる擬似ランダム符号の1周期のチップ数の1/2以下となる周波数を用いるようにしたものである。
また、本実施の形態にかかる無線通信送信機は、前述した第7の実施の形態にかかるスペクトラム拡散通信の無線通信送信機において、ミキサ51でスペクトラム拡散に用いる擬似ランダム符号の1周期のチップ数として、通信相手となる無線通信受信機でのキャリア信号と局部発振信号との周波数偏差により生じる誤りチップ数の2倍以上のチップ数を用いるようにしたものである。
前述の図3,図6に示したように、受信側において、キャリア信号と局部発振信号との周波数偏差に起因して、振幅のつぶれによる情報の欠落や位相回転が生じ、復調誤差を生じる場合がある。
この際、送信側でスペクトラム拡散に用いる擬似ランダム符号の1周期のチップ数Csと、受信側でキャリア信号と局部発振信号との周波数偏差により生じる誤りチップ数Crとの関係を、Cs≧Cr×2とすることにより、受信側で逆拡散に用いる十分なチップ数が得られ、復調誤りを確実に回避でき、受信機の受信感度を改善できる。
このCsとCrの関係は、送信側においてスペクトラム拡散に用いる擬似ランダム符号の1周期のチップ数すなわちCrを直接選択することにより満足すればよい。
また、受信側において、受信側でキャリア信号と局部発振信号との周波数偏差により生じる誤りチップ数Crを直接選択できないことから、このようなCsとCrの関係を満足するようなキャリア信号との周波数偏差が得られる局部発振周波数を選択すればよい。
なお、以上の各実施の形態にかかる無線通信受信機では、受信信号を直接ベースバンド信号へダウンコンバートする場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、キャリア信号周波数帯域より低い周波数帯域へダウンコンバートすれば、いずれの周波数帯域へダウンコンバートした場合でも、それぞれ前述と同様の作用効果が得られる。
また、受信信号をベースバンド信号の周波数帯域へダウンコンバートした後の処理は、ADコンバータなどを用いてデジタルドメインで信号処理を行う構成にしてもよく、それぞれ前述と同様の作用効果が得られる。
本発明の第1の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 図1の遅延検波器の構成例である。 図1の無線通信受信機の各部信号を示す信号波形図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 図5の無線通信受信機の各部信号を示す信号波形図である。 本発明の第4の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 本発明の第6の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 位相変調波の周波数スペクトルとバンドパスフィルタの通過帯域との関係を示す説明である。 本発明の第7の実施の形態にかかる無線通信受信機の構成を示すブロック図である。 図11の非同期逆拡散復調器の構成例である。 図12の拡散符号発生器の構成例である。 図12の非同期逆拡散復調器の各部信号を示す信号波形図である。 図12の乗算器の構成例である。 本発明の第8の実施の形態にかかる無線通信送信機の構成を示すブロック図である。 図16の位相差分変調器の構成例である。 従来の無線通信送信機の構成を示すブロック図である。 従来の無線通信受信機の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…受信信号、2…局部発振信号、3…受信信号(周波数変換後)、3I,3Q…直交受信信号、4…変調信号、4A…ベースバンド信号、4I,4Q…I,Q変調信号、5…ベースバンド信号、6…擬似ランダム符号、7…変調信号(スペクトラム拡散後)、7A…位相差分変調信号、8…キャリア信号、9…位相変調信号、10…アンテナ、11…LNA、12…発振器、12A…π/2移相器、13,13I,13Q…ミキサ、14,14I,14Q…LPF、15,15I,15Q…リミッタ、16,16I,16Q…遅延検波器、17,17A,17I,17Q…逆拡散復調器、18…加算器、20…遅延器、21…乗算器、30,31…容量素子、50…拡散符号発生器、51…ミキサ、52…位相差分変調器、53…発振器、54…ミキサ、55…PA、56…アンテナ、60…XOR、81a〜81g…S/H回路、82…S/H制御回路、83a〜83f…FF回路、84…拡散符号発生回路、85a〜85g…乗算器、86…加算器、87…ピーク検出器、90a…第1の拡散符号発生回路、90b…第2の拡散符号発生回路、91,92…排他的論理和回路、93a〜93n…FF回路、94a〜94p…スイッチ、95…拡散符号制御回路、95a…順方向制御信号、95b…逆方向制御信号。

Claims (6)

  1. 送信すべきベースバンド信号からなる変調信号と所定周波数のキャリア信号とを位相変調処理して得られた位相変調信号を受信し、前記変調信号を復調する無線通信受信機において、
    信した前記位相変調信号のキャリア信号との周波数偏差の絶対値が少なくとも前記変調信号のビットレートに対応する周波数より小さくなるような周波数の局部発振信号を用いて、当該位相変調信号を周波数変換して出力する周波数変換器と、
    この周波数変換器で周波数変換された信号を遅延検波することにより、前記変調信号を復調して出力する遅延検波器とを備え
    前記周波数変換器は、互いの位相が直交する局部発振信号に基づき前記位相変調信号をそれぞれ周波数変換することにより、互いの位相が直交する直交受信信号を出力し、
    前記遅延検波器は、前記周波数変換器からの直交受信信号をそれぞれ遅延検波することにより、互いの位相が直交する直交変調信号をそれぞれ復調して出力し、
    この遅延検波器からの各直交変調信号を加算することにより前記変調信号を出力する加算器をさらに備える
    ことを特徴とする無線通信受信機。
  2. 請求項に記載の無線通信受信機において、
    前記変調信号は、前記ベースバンド信号を所定の拡散符号でスペクトラム拡散して得られた信号からなり、
    前記加算器からの変調信号を逆拡散処理することにより、前記ベースバンド信号を復調して出力する逆拡散復調器をさらに備えることを特徴とする無線通信受信機。
  3. 請求項に記載の無線通信受信機において、
    前記逆拡散復調器は、少なくとも位相または周波数がスペクトラム拡散時の拡散符号と同期していない拡散符号を用いて逆拡散処理する非同期方式逆拡散復調器からなることを特徴とする無線通信受信機。
  4. 請求項に記載の無線通信受信機において、
    前記周波数変換器は、前記周波数変換に用いる局部発振信号周波数として、キャリア信号と当該局部発振信号との周波数偏差により生じる誤りチップ数が、送信側でのスペクトラム拡散に用いる擬似ランダム符号の1周期のチップ数の1/2以下となる周波数を用いることを特徴とする無線通信受信機。
  5. 請求項1に記載の無線通信受信機において、
    前記周波数変換器の出力段に直列接続されて、前記周波数変換器で周波数変換された受信信号に含まれる直流成分を除去して前記遅延検波器側へ出力する容量素子をさらに備えることを特徴とする無線通信受信機。
  6. 請求項3に記載の無線通信受信機において、
    前記非同期方式逆拡散復調器の入力段に直列接続されて、前記非同期方式逆拡散復調器の入力信号に含まれる直流成分を除去する容量素子をさらに備えることを特徴とする無線通信受信機。
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