JP4050660B2 - 吸込み口体及び電気掃除機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被掃除面上の塵を取込む吸込み口体、及びこの吸込み口体を備えた電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被掃除面と対向する吸塵開口を有した吸込み口体の前進時に、前方の塵を吸込み口体が押し動かすことを抑制しつつ、前方の塵の吸込みができる吸込み口体が本出願人により開発され、既に出願済みである(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1の吸込み口体では、通気部及び外周に被掃除面を拭く拭き部材を有した開閉部材を、吸込み口本体の吸塵開口の前側にこの吸込み口本体の前後移動に連動して反転自在に取付けている。吸込み口本体の前進時には、開閉部材に設けた抵抗手段と被掃除面との抵抗により、通気部を通しての吸塵開口の前方からの被掃除面に沿う吸塵開口への吸込みを許す位置に開閉部材が所定角度回転し、吸込み口体の後退時には、抵抗手段と被掃除面との抵抗により、吸塵開口の前方からの被掃除面に沿う吸塵開口への吸込みを抑制する位置に開閉部材が反転する。このため、吸込み口本体の前進時にはその前方の塵を押し動かすことなく吸塵できる。
【0004】
【特許文献1】
特願2002−287800(請求項2及び3、段落0007−0050、図2−図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の吸込み口体が備える開閉部材は、同文献1の図4に示されているように、円弧面を有した断面D字状部分、外周が被掃除面に接する断面円形状部分、及び前記両部分で区画される通気部を有して、外周面に起毛布等の拭き部材を設けているとともに、断面円形状部分の外周には起毛布等からなる抵抗手段を設けている。
【0006】
掃除の際には、開閉部材の断面円形状部分の外周が被掃除面に接して吸込み口体が被掃除面上に支持される。この吸込み口体を前進させる際には斜め下向きの力が延長管等を介して加わるので、吸込み口体本体の前部が絨毯に沈み込み易い。このため、毛足の長い絨毯等を掃除する場合を考慮すると、吸込み口本体の前部が絨毯に深く沈み込むことを抑制する必要から、開閉部材の断面円形状部分はある程度以上大きく形成する必要がある。しかし、断面円形状部分の外周には起毛布等の抵抗手段が設けられていて、この抵抗手段は被掃除面との抵抗で開閉部材をその前後移動に連動して反転させるために使用されている。
【0007】
このため、吸込み口体を移動させる際、断面円形状部分の外周の抵抗手段と絨毯との接触による抵抗が大きく、吸込み口体を軽く移動させることが抑制されるので、その改善が臨まれている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、吸込み口本体の移動方向前方の塵を吸塵しつつ絨毯上を軽く移動させて掃除することが可能な吸込み口体及びこの吸込み口体を備えた電気掃除機を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、吸込み口本体が有した吸塵開口の前側に取付けた開閉部材が、吸込み口本体の前後移動に連動して反転自在に吸込み口本体に取付けられた開閉部材本体と、この開閉部材本体に設けられ吸塵開口の前方からの被掃除面に沿う吸塵開口への吸込みを許す通気部と、開閉部材本体の外周に設けられ、吸込み口本体の前後移動に伴い被掃除面と接触して開閉部材本体を反転させる反転付与部材と、反転付与部材の表面より退いて開閉部材本体に設けられ、前記反転付与部材より被掃除面との抵抗が小さい抵抗低減体とを備えたものである。
【0010】
本発明では、絨毯に対する反転付与部材と抵抗低減体との合計接触面積により、吸込み口本体の前部が絨毯に深く沈み込むことを抑制しつつ、吸込み口本体を前進させる際の絨毯との抵抗を抵抗低減体により減らすことができる。そして、吸込み口本体の前後移動に伴って、絨毯等の被掃除面への反転付与部材の接触によりこの反転付与部材と被掃除面との抵抗で開閉部材を反転させ、吸込み口本体の前進時に吸塵開口の前方の塵を被掃除面に沿うように通気部に通して吸塵開口へ吸込むことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0012】
図1に例示するキャニスタ型の電気掃除機1は、掃除機本体2と、これに内蔵された電動送風機3と、フローリング床面や絨毯等の被掃除面Fから吸込んだ含塵空気を掃除機本体2内に導く気流ガイド7と、吸込み口体20とを具備している。
【0013】
移動車輪6が取付けられている掃除機本体2は、例えば集塵室からなる集塵部4と、この集塵部4に対する空気の流れ方向の上流側に位置する吸込み口5とを有している。掃除機本体2内には、集塵部4に対する空気の流れ方向の下流側、例えば掃除機本体2の後部に位置して電動送風機3が配置されている。
【0014】
気流ガイド7は、例えば可撓性の吸塵ホース8と、例えば伸縮式で硬質な延長管10とを備えている。吸塵ホース8の一端部8aは吸込み口5に着脱可能に差込み接続される。吸塵ホース8の他端部8bは手元操作部9で形成され、この操作部9が有するハンドル9aには各種の操作スイッチ9bが取り付けられている。延長管10の一端部10aは手元操作部9の先端嵌合筒部9cに着脱可能に接続される。延長管10の他端部10b又は手元操作部9の先端嵌合筒部9cには、吸込み口体20が選択的に着脱可能に接続される。
【0015】
電気掃除機1の電動送風機3を駆動させることにより、この電動送風機3に吸い込まれる気流が形成される。それによって、吸込み口体20が被掃除面Fの塵を空気とともに吸込んで、それを、延長管10及び吸塵ホース8の内の少なくとも吸塵ホース8を経由させて掃除機本体2の集塵部4に導き、この集塵部4内に着脱可能に収容された集塵袋等のフィルタ4aで前記塵を捕捉できる。
【0016】
集塵部4は、掃除機本体2に着脱されて、その装着状態でサイクロン式の集塵をする集塵カップで形成することもできる。フィルタ4aを通過した空気は、電動送風機3に吸込まれてこの電動送風機3から排出された後、掃除機本体2に設けた排気口(図示せず)を通して掃除機本体2の外部に排出される。以上により被掃除面Fを掃除できる。
【0017】
図2〜図6を参照して吸込み口体20を説明する。この吸込み口体20は、吸込み口本体21、接続管22、回転清掃体23、及び前後一対の開閉部材24、25等を備えている。
【0018】
図2及び図3に示すように吸込み口本体21は、この本体21の上部外郭をなす第1のケース部材30と、吸込み口本体21の下部及び後部の外郭をなす第2のケース部材31とを、これらの間に中継ケース部材32を挟み込んで互いに連結してなるケースを備えている。
【0019】
ケース部材31は、その幅方向中央部に位置して前後方向両端を開口した筒部31aを有している。筒部31aの後部には、管継手35が筒部31aの外周に沿って周方向に回転可能に取付けられている。この管継手35には吸込み口本体21の幅方向中央部に設けられる接続管22が接続されている。接続管22は、筒部31aを通して吸込み口本体21のケース内、つまり本体内空間部21aに連通されている。この接続管22は、管継手35側の接続端部を中心として起倒するように回動可能に設けられている。
【0020】
図2及び図3中符号35aは、管継手35が一体に有する固定ガイド、符号36は接続管22の起倒に連動して固定ガイド35a上を摺動する可動ガイドを夫々示している。両ガイド35a、36により、接続管22が起こされた際に、筒部31aと接続管22との間の気密が確保されるようになっている。接続管22の自由端部は延長管10又は吸塵ホース8に着脱可能に差し込み接続される。
【0021】
ケース部材31の被掃除面に対向する底壁部には吸塵開口37が開けられている。吸塵開口37は吸込み口本体21の幅方向(図4及び図5で左右方向)に延びて形成されている。吸塵開口37はそれより上方の本体内空間部21aに連通されている。前記底壁部には吸塵開口37をその長手方向から挟むようにして固定拭き部材38(図4及び図5参照)が貼付けられている。これら一対の固定拭き部材38は例えば起毛布からなる。
【0022】
前記底壁部は、吸塵開口37の前側を区画する第1配置部41と、吸塵開口37の後側を区画する第2配置部42とを有している。両配置部41、42は、吸塵開口37と平行であって、いずれも図2及び図3に示すように断面略半円状で下方に開放する溝を作っており、その長手方向両端部は端壁41a又は42a(図4及び図5参照)で夫々閉じられている。
【0023】
吸込み口体20を被掃除面Fに沿って前方へ押し動かす際(前進時)に第1配置部41の内側空間は、この配置部41の吸塵開口37に臨んだ開口縁と被掃除面Fとの間に作られる前側塵通過部43を通じて吸塵開口37に連通されている。したがって、掃除の際には、吸塵開口37の前方に位置する被掃除面上の塵が、前側塵通過部43を経て吸塵開口37に吸込まれ、更に本体内空間部21aから筒部31aを通って接続管22を経て気流ガイド7に吸込まれる。
【0024】
同様に、吸込み口体20を被掃除面Fに沿って後方へ引き動かす際(後退時)に第2配置部42の内側空間は、この配置部42の吸塵開口37に臨んだ開口縁と被掃除面Fとの間に作られる後側塵通過部44を通じて吸塵開口37に連通されている。したがって、掃除の際には、吸塵開口37の後方に位置する被掃除面F上の塵が、後側塵通過部44を経て吸塵開口37に吸込まれ、更に本体内空間部21aから筒部31aを通って接続管22を経て気流ガイド7に吸込まれる。
【0025】
回転清掃体23は、両配置部41、42間の吸塵開口37に収められて吸込み口本体21に図示しない軸受を介して回転可能に取付けられている。この回転清掃体23は、吸込み口本体21内に組み込まれた図示しない電気モータを駆動源として回転駆動されるようになっている。なお、回転清掃体23及びこれを回転駆動させる電気モータ等は省略してもよい。回転清掃体23は、回転軸23aの外周にエラストマ製等の可撓性ブレードやブラシ等の清掃部材23bを例えば螺旋状に取付けて形成されている。清掃部材23bは、それが回転軸23aに対して、この軸23aの下方に移動された際に被掃除面Fにこの面を掃くように接する出幅を有している。
【0026】
第1配置部41には、吸込み口本体21の前進時に吸塵開口37の前方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への塵の吸込みを許し、吸込み口本体21の後退時に吸塵開口37の前方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への塵の吸込みを抑制する第1の開閉部材24が反転自在に取付けられている。
【0027】
詳しくは、図6に示すように開閉部材24は、吸込み口本体21の幅方向に延びる開閉部材本体(以下、本体と略称する。)46と、反転付与部材47と、1以上例えば複数の抵抗低減体48と、拭き部材49と、1以上例えば複数の通気部50a、50bとを備えている。
【0028】
複数の本体構成部品を連結してなる本体46は、外面に平坦面51a又は52aとこれに周方向に連続する円弧面51b又は52bとを有して断面D字状をなす(この断面を図2及び図3に示す。)第1及び第2の断面D字状部分51及び52、一対の断面D字状部分52に一端に連続して形成された断面円形状部分53、互いに隣接した断面D字状部分51と断面円形状部分53とを接続した一対の断面円形の連結軸部54、及び本体46の軸方向両端面中央から突出する取付け軸部55を有している。
【0029】
第2の断面D字状部分52の平坦面52bに対して直角に連続した断面円形状部分53の略半円部位の外周に、反転付与部材47が被着されている。この付与部材47は被掃除面Fと接触し、この接触に伴う摩擦抵抗で本体46を周方向に回転させるために設けられている。反転付与部材47には例えば起毛布等のような布製の軟質部材を好適に使用できる。
【0030】
抵抗低減体48は各連結軸部54に夫々取付けられている。抵抗低減体48の被掃除面Fに対する抵抗は、反転付与部材47の被掃除面Fに対する抵抗より小さい。このための一例として抵抗低減体48は連結軸部54の外周に嵌合して回転自在に支持されたローラで作られている。好ましい例として抵抗低減体48は、その外周面に被着された軟質材料層48aを有している。軟質材料層50aにはゴムやエラストマ等の合成樹脂製の軟質部材、若しくは起毛布等のような布製の軟質部材を好適に使用できる。この軟質材料層48aを有することにより、万が一、抵抗低減体48が被掃除面Fに当たった際、被掃除面Fが傷付くことを抑制できる。
【0031】
ローラ製抵抗低減体48の外径は、反転付与部材47を含めた断面円形状部分53の外径より小さく、これにより、抵抗低減体48は反転付与部材47の表面より本体46の軸線O側に退いて設けられている。この退き寸法Pは、絨毯の掃除の際に絨毯の起毛を反転付与部材47と抵抗低減体48の周面(表面)と共に受けることができ、かつ、フローリング床の掃除の場合には抵抗低減体48の周面(表面)がフローリング床に接しないように、例えば反転付与部材47の厚み寸法程度に設定されている。
【0032】
抵抗低減体48の幅Qは、反転付与部材47が被着された断面円形状部分53の幅Rと同じかそれ以上大きくするとよい。幅Qを幅Rより大きくすることにより、絨毯を掃除する際には、反転付与部材47が被着された断面円形状部分53よりも大きい面積で抵抗低減体48が絨毯の起毛に接触して、この抵抗低減体48によって開閉部材24の絨毯への沈み込みを主として担うことができる。
【0033】
拭き部材49は起毛布等のような布製の軟質部材で作られている。この拭き部材49はフローリング床を拭くためのものであって、断面D字状部分51、52の円弧状面51b、52bに夫々被着されている。
【0034】
通気部50aは断面D字状部分51とその両側の抵抗低減体48とで区画されている。左右一対の通気部50bは断面D字状部分52とその片側の断面円形状部分53とで区画されている。
【0035】
前記構成の開閉部材24が有した取付け軸部55の周面には図示しないが回動範囲規制用突起が設けられている。一方、第1配置部41の両端壁41aには、図示しない軸受部が夫々設けられ、これら軸受部は前記回動範囲規制用突起が遊嵌する回動範囲規制用溝を所定角度範囲にわたり有している。これら回動規制用の突起及び溝は、吸込み口体20の前進時に通気部50a、50bを通して吸塵開口37の前方からの被掃除面Fに沿う吸込みを許す開き位置と、吸込み口体20の後退時に拭き部材49を被掃除面Fに接触させて吸塵開口37の前方からの被掃除面Fに沿う吸込みを抑制する閉じ位置とに、本体46の回転を例えば90°に規制できるように夫々形成されている。そして、軸受部の溝に取付け軸部55の突起を嵌め込んだ状態で、これらの軸受部の夫々に取付け軸部55を支持させることによって、第1配置部41に上部が収容された開閉部材24が前記開き位置と閉じ位置とにわたって反転可能に取付けられている。
【0036】
第2配置部42には、吸込み口本体21の前進時に吸塵開口37の後方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への塵の吸込みを抑制し、吸込み口本体21の後退時に吸塵開口37の後方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への塵の吸込みを許す第2の開閉部材25が反転自在に取付けられている。
【0037】
開閉部材25は開閉部材24と同じ構成である。したがって、開閉部材24と同一構成については、同一符号を付して説明を省略する。一方、第2配置部42の両端壁42aには図示しない軸受部が夫々設けられている。これら軸受部は、開閉部材25が有した取付け軸部55の周面の図示しない回動範囲規制用突起が遊嵌する回動範囲規制用溝を、所定角度範囲にわたり有している。これら回動規制用の突起及び溝は、吸込み口体20の後退時に通気部50a、50bを通して吸塵開口37の後方からの被掃除面Fに沿う吸込みを許す開き位置と、吸込み口体20の前進時に拭き部材49を被掃除面Fに接触させて吸塵開口37の後方からの被掃除面Fに沿う吸込みを抑制する閉じ位置とに、本体46の回転を例えば90°に規制できるように夫々形成されている。そして、軸受部の溝に取付け軸部55の突起を嵌め込んだ状態で、これらの軸受部の夫々に取付け軸部55を支持させることによって、第2配置部42に上部が収容された開閉部材25が前記開き位置と閉じ位置とにわたって反転可能に取付けられている。
【0038】
図2〜図5中符号61はバンバー、符号62は表面に起毛布が被着された車輪を夫々示している。
【0039】
電気掃除機1を用いた掃除において、吸込み口体20は、吸塵開口37を被掃除面Fに対向させた状態で、この被掃除面Fに沿って前後に押し引きされる。
【0040】
吸込み口体20が被掃除面Fに沿って図2及び図4中矢印X方向に前進される時には、この吸込み口体20と被掃除面Fとの関係は次の通りとなる。
【0041】
つまり、開閉部材24、25は、その断面円形状部分53の周面に被着されている反転付与部材47とこれが接触している被掃除面Fとの抵抗により、夫々吸込み口体20の前進に連動して、図2中時計回りに90°回転されるとともに、それ以上の回転を回動範囲規制用の突起と溝とによって停止される。この状態を図2及び図4に示す。これにより、開閉部材24は、この部材24の通気部50a、50bを通して吸塵開口37の前方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への吸込みを許す開き位置に保持され、開閉部材25は、この部材25の通気部50a、50bを通して吸塵開口37の後方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への吸込みを抑制する閉じ位置に保持される。
【0042】
このため、吸込み口体20が前進される時には、移動方向前側に位置した開閉部材24の通気部50a、50bが前側塵通過部43と連通した状態となっていて、第1配置部41に吸込み負圧が波及しているので、開閉部材24よりも前側にある塵は、前方に押し動かされることなく第1配置部41に円滑に取り込まれる。こうして取込まれた塵は、通気部50a、50b及び前側塵通過部43を通って吸塵開口37に吸込まれ、更に、本体内空間部21a及び筒部31aを経て、接続管22を流通して気流ガイド7に吸込まれる。
【0043】
一方、吸込み口体20の前進時に、移動方向後側に位置した開閉部材25は閉じ位置にあり、この部材25の通気部50a、50bと後側塵通過部44とは連通していない状態となっているとともに、開閉部材25の拭き部材49が被掃除面Fに接触している。このように吸込み口体20の前進時には開閉部材25が吸塵開口37の後側近傍をシールするので、本体内空間部21aの負圧の減衰が抑制されるに伴い前方からの吸塵性能が高められる。更に、開閉部材25の拭き部材49が被掃除面Fに接触しているので、この拭き部材49によってフローリング床などの被掃除面Fを拭き掃除できる。
【0044】
吸込み口体20が被掃除面Fに沿って図3及び図5中矢印Y方向に後退される時には、この吸込み口体20と被掃除面Fとの関係は次の通りとなる。
【0045】
つまり、開閉部材24、25は、その断面円形状部分53の周面に被着されている反転付与部材47とこれが接触している被掃除面Fとの抵抗により、夫々吸込み口体20の後退に連動して、図3中反時計回りに90°回転されるとともに、それ以上の回転を回動範囲規制用の突起と溝とによって停止される。この状態を図3及び図5に示す。これにより、開閉部材25は、この部材25の通気部50a、50bを通して吸塵開口37の後方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への吸込みを許す開き位置に保持され、開閉部材24は、この部材24の通気部50a、50bを通して吸塵開口37の前方からの被掃除面Fに沿う吸塵開口37への吸込みを抑制する閉じ位置に保持される。
【0046】
このため、吸込み口体20が後退される時には、移動方向前側に位置した開閉部材25の通気部50a、50bが後側塵通過部44と連通した状態となっていて、第2配置部42に吸込み負圧が波及しているので、開閉部材25よりも移動方向前側(この場合吸込み口体20を向きの基準とすれば後側)にある塵は、前方(なお、吸込み口体20を向きの基準とすれば後方)に押し動かされることなく第2配置部42に円滑に取り込まれる。こうして取込まれた塵は、通気部50a、50b及び後側塵通過部44を通って吸塵開口37に吸込まれ、更に、本体内空間部21a及び筒部31aを経て、接続管22を流通して気流ガイド7に吸込まれる。
【0047】
一方、吸込み口体20の後退時に、移動方向後側に位置した開閉部材24は閉じ位置にあり、この部材24の通気部50a、50bと前側塵通過部43とは連通していない状態となっているとともに、開閉部材24の拭き部材49が被掃除面Fに接触している。このように吸込み口体20の後退時には、開閉部材24が吸塵開口37の移動方向後側近傍をシールするので、本体内空間部21aの負圧の減衰が抑制されるに伴い移動方向前方からの吸塵性能が高められる。更に、開閉部材24の拭き部材49が被掃除面Fに接触しているので、この拭き部材49によってフローリング床などの被掃除面Fを拭き掃除できる。
【0048】
以上のように吸込み口体20の前進時には、移動方向前側に位置した開閉部材24の前方にある塵を吸塵開口37に良好に吸込むことができると共に、移動方向後側に位置した開閉部材25により被掃除面Fを拭き掃除しつつ、本体内空間部21aの負圧の減衰を抑制して移動方向前方からの吸塵力を高めることができる。同様に、吸込み口体20の後退時には、移動方向前側に位置した開閉部材25の前方にある塵を吸塵開口37に良好に吸込むことができると共に、移動方向後側に位置した開閉部材24により被掃除面Fを拭き掃除しつつ、本体内空間部21aの負圧の減衰を抑制して移動方向前方からの吸塵力を高めることができる。
【0049】
すなわち、吸込み口体20の進退に連動して開閉部材24、25を反転させることにより、吸込み口体20の前進時にも後退時にも、その進行方向前側からの塵の吸込みと、吸塵された跡の拭き掃除とができる。そして、両開閉部材24、25の反転動作は、これらの部材24、25に被着した反転付与部材47と被掃除面Fとの抵抗を利用してなされるので、反転させるためのセンサや駆動機器等を要することなく、極めて簡単な構成で実現できる。
【0050】
以上の動作は被掃除面Fがフローリング床でも絨毯でも可能である。ところで、毛足の長い絨毯を掃除する場合、吸込み口体20の前部が絨毯に沈みこむことは、吸込み口本体21の前部に配置された開閉部材24の断面円形状部分53及びこれより大きい抵抗低減体48と毛足との接触により十分に抑制可能である。この場合、断面円形状部分53に被着された反転付与部材47及び抵抗低減体48は、吸込み口体20を絨毯に沿って押し引きする際の抵抗となる。
【0051】
しかし、吸込み口本体21前部の沈み込み抑制を主として担っている抵抗低減体48は回転自由なローラであるから、吸込み口体20を絨毯に沿って押し引きする際の抵抗を低減できる。その上、反転付与部材47の絨毯に対する接触面積は抵抗低減体48に比較して遥かに小さい。なお、同様に、吸込み口本体21の後部の沈み込みも後側開閉部材25によって抑制される。
【0052】
このため、開閉部材24の断面円形状部分53及び抵抗低減体48によって、前記沈み込みを十分に抑制できるにも拘らず、吸込み口体20を絨毯に沿って押し引きする際の抵抗が低減されて、吸込み口体20を絨毯に沿って軽く前後移動させることができる。
【0053】
又、吸込み口体20をフローリング床に沿って前後移動させる場合、抵抗低減体48は、断面円形状部分53に被着された反転付与部材47の表面より下がっているので、フローリング床には接触しない。これにより、抵抗低減体48が反転付与部材47による本体46の反転動作を妨げることがない。しかも、抵抗低減体48の外周面をなしている軟質材料層48aがフローリング床を擦って、抵抗となることがないから、吸込み口体20をフローリング床に沿って軽く前後移動させることができる。
【0054】
なお、第1実施形態では、一対の第2の通気部50bが本体46の長手方向両端部に設けられていて、これらの通気部50bを通る空気が、この吸込み口本体21の軸受部の近傍を通過するので、軸受部に塵が付着することを防止可能である。更に、断面円形状部分53及び抵抗低減体48が本体46の軸方向両端部に寄せて夫々設けられていて、本体46の軸方向中央部には通気部50bが設けられているので、これらと吸込み口本体21の幅方向中央部に位置する筒部31aとの位置関係により、断面円形状部分53及び抵抗低減体48が吸塵の邪魔となることが少なく、したがって、吸塵し易い。
【0055】
図7は本発明の第2実施形態を示している。この実施形態は基本的には第1実施形態と同じ構成であるので、同一構成部分には第1実施形態と同一符号を付して、その構成および作用の説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0056】
第2実施形態では、前後の開閉部材24、25の内の少なくとも前側開閉部材24が図7に示すように形成されている。すなわち、開閉部材24は、その本体46の長手方向中央部にローラ製の抵抗低減体48を設けている。この低減体48は周面に軟質材料層48aを有している。更に、開閉部材24は、ローラ製抵抗低減体48をその軸方向両側から挟むように設けられた断面円形状部分53と、本体46の長手方向両端に位置する端板56と、これら断面円形状部分53及び端板56にわたるブリッジ部57とを備えている。ブリッジ部57とこれに対向する断面D字状部分51との間には、断面円形状部分53及び端板56で長手方向両端を閉じられた通気部50が夫々形成されている。この開閉部材24は、その長手方向両端の取付け軸部55を吸込み口体本体の軸受部に支持させることによって、吸込み口の前後移動に連動して反転自在に吸込み口本体に取付けられて使用される。
【0057】
以上説明した以外の構成は、図7に示されない部分を含めて第1実施形態と同じである。なお、第2実施形態においてブリッジ部57は省略できる。
【0058】
したがって、この第2実施形態でも図7に示した開閉部材24を備えることで、第1実施形態と同様な作用を得て、本発明の課題を解決できる。なお、第2実施形態では、断面円形状部分53及び抵抗低減体48が本体46の軸方向中央部に設けられているので、これと吸込み口本体の幅方向中央部に位置する筒部との位置関係により、吸気負圧によって本体46の軸方向中央部が変形することを防止できる点で好ましい。
【0059】
本発明は前記両実施形態には制約されない。例えば、吸込み口本体21の後部に配置された開閉部材25及びこれを取付ける第2配置部42は用いなくてもよい。又、抵抗低減体48をローラ製とすることは、その表面が荒れても絨毯との抵抗を大きく低減する機能を維持できる点で優れている。しかし、これに代えて自らの回転ができない抵抗低減体を用いることが可能であリ、この場合、抵抗低減体の表面に滑性の高い四弗化エチレン樹脂等の滑り層を設けて実施するとよい。又、抵抗低減体及び断面円形状部分の数は任意に設定可能である。更に、本発明の吸込み口体は、キャニスタ型の電気掃除機だけではなく、例えばステック型その他種々の形式の電気掃除機の吸込み口体として実施できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、吸込み口本体の移動方向前方の塵を吸塵しつつ絨毯上を軽く移動させて掃除することが可能な吸込み口体及びこの吸込み口体を備えた電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図。
【図2】 図1の電気掃除機が備える吸込み口体を被掃除面に沿って前進させた時の吸込み口体を示す断面図。
【図3】 図1の電気掃除機が備える吸込み口体を被掃除面に沿って後退させた時の吸込み口体を示す断面図。
【図4】 図1の電気掃除機が備える吸込み口体を被掃除面に沿って前進させた時の吸込み口体を示す下面図。
【図5】 図1の電気掃除機が備える吸込み口体を被掃除面に沿って後退させた時の吸込み口体を示す下面図。
【図6】 (A)は図1の電気掃除機が備える吸込み口体の開閉部材を示す斜視図。(B)は図6(A)の開閉部材を示す縦断面図。
【図7】 本発明の第2実施形態に係る電気掃除機が備える吸込み口体の開閉部材を示す斜視図。
【符号の説明】
1…電気掃除機、2…掃除機本体、3…電動送風機、4…集塵部、F…被掃除面、20…吸込み口体20…吸込み口本体、24…開閉部材、37…吸塵開口、46…開閉部材本体、47…反転付与部材、50、50a、50b…通気部、48…抵抗低減体、48a…軟質部材、51、52…断面D字状部分、53…断面円形状部分

Claims (4)

  1. 吸込み口本体が有した吸塵開口の前側に取付けた開閉部材によって、前記吸塵開口の前方からの被掃除面に沿う前記吸塵開口への吸込みを、前記吸込み口本体の前進時に許すとともに前記吸込み口本体の後退時に抑制する吸込み口体であって、
    前記開閉部材が、
    前記吸込み口本体にこの本体の前後移動に連動して反転自在に取付けられた開閉部材本体と、
    この開閉部材本体に設けられ前記吸塵開口の前方からの被掃除面に沿う前記吸塵開口への吸込みを許す通気部と、
    前記開閉部材本体の外周に設けられ、前記吸込み口本体の前後移動に伴い被掃除面と接触して前記開閉部材本体を反転させる反転付与部材と、
    この反転付与部材の表面より退いて前記開閉部材本体に設けられ、前記反転付与部材より被掃除面との抵抗が小さい抵抗低減体と、
    を具備した吸込み口体。
  2. 請求項1に記載の吸込み口体において、前記抵抗低減体がローラ製である。
  3. 請求項1又は2に記載の吸込み口体において、前記抵抗低減体がその表面が被着された軟質材料層を有している。
  4. 掃除機本体内の電動送風機の動作により、前記掃除機本体の集塵部に連通された吸込み口体の吸塵開口から被掃除面の塵を空気とともに吸込み、吸込んだ塵を前記集塵部に捕捉する電気掃除機において、前記吸込み口体に請求項1から3の内のいずれか1項に記載の吸込み口体を用いた電気掃除機。
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