JP4050175B2 - 位置標示器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤に一部もしくは全部が埋め込まれて、土地の境界標示や区画番号、基準点からの距離、測量点などの地理的情報を標示するための位置標示器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の位置標示器として、本願出願人は、地盤に一部もしくは全部が埋め込まれる位置標示部材の頭部に識別体を内装し、これに検出器を近付けることにより識別体に内蔵した標示情報を外部から非接触で読み出し可能としたものを、先に出願した(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9- 53941号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上の位置標示器は、故意に引き抜かれて他の場所に移設されたことを確認することはできない。このため、位置標示器は、移動により誤った標示情報を標示することになる。
【0005】
そこで,本発明は、引き抜かれて移設されたことを確認できる位置標示器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1の位置標示器は、地盤に一部もしくは全部が埋め込まれる位置標示部材と、標示情報を内蔵し、前記位置標示部材に内蔵されて、外部から非接触で前記標示情報を読み出し可能な識別体と、前記位置標示部材に近接して地盤に埋め込まれる補助部材とを備え、前記補助部材に前記識別体を作動させる作動回路の一部分が支持されて,前記位置標示部材の引き抜き時に、地盤内に残る補助部材との間で前記作動回路が引張り力により切断されるように設定されている。
【0007】
位置標示器の引き抜き時に、その位置標示部材は地盤から引き抜かれるのに対し補助部材は地盤内に残るので、このときの両者にかかる引張り力により識別体の作動回路が切断される。このため、前記識別体が作動しなくなり、その標示情報の検出器などによる読み取りができなくなる。これにより、位置標示器が引き抜かれて移設されたことが確認される。
【0008】
請求項2の位置標示器は、請求項1の構成において、前記補助部材が,前記位置標示部材の先端部に被せられたキャップで構成されている。このようにすれば、位置標示部材の地盤への打ち込み時に、補助部材を位置標示部材と一緒に地盤内に埋め込める。
【0009】
請求項3の位置標示器は、請求項1または2の構成において、前記補助部材が磁性体で形成されている。このようにすれば、位置標示器が引き抜かれて移設されたとき、磁性体に反応するロケータなどを用いて、前記識別体の座標値などの標示情報に基づき該当場所を探索することにより、補助部材の位置、つまり位置標示器の最初に埋め込まれた元の位置を探し出せる。したがって、この地盤中に残された補助部材を、位置標示器移動の証拠として使用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にかかる位置標示器の全体の斜視図を示している。この位置標示器Aは、地盤に一部もしくは全部が埋め込まれる杭状の位置標示部材1と、この位置標示部材1に内蔵されて、外部から非接触で位置標示器Aの識別番号のような標示情報を読み出し可能な識別体2と、前記位置標示部材1に近接して地盤に埋め込まれる補助部材3を有している。
【0011】
図2は位置標示器Aの一部省略した断面図,図3は同位置標示器Aの簡略的な説明図を示している。図2に示すように、この位置標示器Aの位置標示部材1は、その先端側に四角錐形状の先鋭部11が、他方側に四角柱形状の頭部12が形成され、この頭部12に形成した上部開放の収容部13に前記識別体2を内蔵し、この識別体2の上方を前記頭部12に被せたカバー14により覆っている。
【0012】
前記補助部材3として、図の実施形態では、鉄のような磁性体からなる四角錐形状のキャップを用い、このキャップ3を前記位置標示部材1の尖った先端部11に被せている。キャップ3は、前記先端部11に固定されないで、単に接触しているのみであり、したがって、位置標示部材1が地盤Gから引き抜かれたとき、その先端部11から抜け出て地盤G内に残るようになっている。以上のように、前記補助部材3として前記位置標示部材1の先端部11に被せたキャップを用いる場合、前記位置標示部材1の地盤Gへの打ち込み時に、補助部材3を位置標示部材1と一緒に地盤G内に埋め込むことができる。
【0013】
前記識別体2として、図3に示すように、ICタグと呼ばれる公知のものを用い、その作動回路であるアンテナ用コイル22を含む全体を樹脂によりモールドして、このモールド体23を前記収容部13(図2)内に収容させている。識別体2のコイル22は、これを構成する導線の一部がモールド体23から外方に導出され、このコイル22の導出部22aが図2の位置標示部材1の収容部13から先端部11の外壁面にまで貫通して形成した導出孔15に挿通され、その導出端部が前記キャップ3の内面に、例えば接着剤により支持されている。このとき、前記導線の延長部22aとキャップ3との支持部Sの支持強度は、前記位置標示部材1の引き抜き時に、これと地盤G内に残るキャップ3との間の引張り力によって導線が切断されるような力とされる。前記コイル22の延長部22aは、ビニル皮膜などを被覆してもよく、この場合は延長部22aのキャップ3への接着剤による支持が容易に行える。
【0014】
図4は本発明の位置標示器Aを利用した位置標示システムを示しており、このシステムは、前記位置標示器Aを検出する検出器Bを備えている。この検出器Bは、検知器4と報知手段5とを有し、この検知器4としては、非接触で前記識別体2から、位置標示器Aの識別番号のような標示情報を読み出すものであって、磁気検知器が用いられる。この磁気検知器4は、指向性のある磁界を発生させる磁界発生器41と受信器42とを備え、磁界発生器41で発生する磁界が、図3の識別体2のコイル22に付加されたとき、アンテナ21から発信される特有の周波数の電磁波を図4の受信器42で受信する。前記報知手段5は、例えば光マーカーや警報ブザーなどからなり、前記磁気検知器4が識別体2に近接して、識別体2から発信する電磁波の強度が大きくなったとき、これを識別して報知するようにしている。
【0015】
また、前記検出器Bは、前記識別体2から発信する特有の周波数に対応する、つまり標示情報に対応する各種情報、例えば、土地の境界標示や区画番号、基準点からの距離、測量点などの地理的情報を記憶したメモリ6と、前記受信器42で受信された電磁波に対応する情報をメモリ6から読み出す読出手段7と、読み出された情報を表示するディスプレイやプリンタなどの表示手段8を備えている。さらに、以上の位置標示システムには、前記磁気識別体2に特有の周波数を付加または変更するための識別コード付加手段9が設けられている。
【0016】
次に、以上の位置標示器Aを用いて例えば地籍調査を行う場合の手順について説明する。
地籍調査を行う場合には、先ず、前記識別体2を内蔵した位置標示器Aの一部または全部が地盤Gに埋め込まれる。この後、地籍の再確認を行うようなときに、前記検出器Bを用いて位置標示器Aの探索が行われる。
【0017】
このとき、前記検出器Bを構成する磁気検知器4の磁界発生器41から指向性のある磁界が、前記位置標示器A内の識別体2に付加されると、図3に示すコイル22が励磁されてアンテナ21から特有の周波数の電磁波が発信され、図4の受信器42で受信される。検出器Bが識別体2に接近して、受信器42で受信される電磁波の強度が大となったとき、前記報知手段5が作動して位置標示器Aの位置が確認される。また、これと同時に、磁気検知器3の磁界発生器41から磁界が付加されて、識別体2から特有の周波数の電磁波が発信され、これが受信器42で受信されることにより、メモリ6に記憶された前記特有の周波数に対応した地理的情報のような各種情報が読出手段7により読み出されて、表示手段8で表示される。
【0018】
ここで、位置標示器Aが引き抜かれた場合、位置標示部材1は地盤Gから引き抜かれるのに対し、その先端のキャップ3は位置標示部材1から外れて地盤G内に残るので、このときのキャップ3と位置標示部材1との間にかかる引張り力により識別体2のコイル22の延長部22aが切断される。このため、引き抜かれたのち他の場所に位置標示部材1が打ち込まれていた場合、前記コイル22に磁気検知器4から次回を付加しても、コイル22は励磁されないので、アンテナ21から電磁波が発信されることはなくなり、前記検知器Bによる位置標示器Aの標示情報の読み取りができなくなる。このことによって、位置標示器Aが引き抜かれて別の場所に移設されたことがわかる。
【0019】
また、前記キャップ3は鉄のような磁性体で形成されているので、位置標示器Aが引き抜かれて移設されたとき、磁性体に反応するロケータ(磁気探索器)などを用いて、前記位置標示器Aに付される座標値などの標示情報に基づき、該当する場所を探索することにより、キャップ3の位置、つまり位置標示器Aの最初に埋め込まれた元の位置を探し出せる。
【0020】
上記実施形態では、図3のコイル22の導出部22aを接着剤でキャップ3に固定したが、キャップ3に設けた下孔にクリップ部材を固定して、このクリップ部材によって導出部22aを支持するなど、種々の支持方法を採用できる。また、キャップ3は、必ずしも位置標示部材1に接触させておく必要はなく、位置標示部材1に近接した場所に埋入しておいてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の位置標示器によれば、引き抜かれて移設されたことを確認することができる。このため、位置標示器の移動による誤った標示情報の標示が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる位置標示器の全体を示す斜視図である。
【図2】位置標示器の一部省略した正断面図である。
【図3】位置標示器を簡略的に説明する斜視図である。
【図4】位置標示器を利用した位置標示システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
1…位置標示部材、2…識別体、22…作動回路(コイル)、3…補助部材( キャップ) 、A…位置標示器、G…地盤。

Claims (3)

  1. 地盤に一部もしくは全部が埋め込まれる位置標示部材と、
    標示情報を内蔵し、前記位置標示部材に内蔵されて、外部から非接触で前記標示情報を読み出し可能な識別体と、
    前記位置標示部材に近接して地盤に埋め込まれる補助部材とを備え、
    前記補助部材に前記識別体を作動させる作動回路の一部分が支持されて、前記位置標示部材の引き抜き時に、地盤内に残る補助部材との間で前記作動回路が引張り力により切断されるように設定されている位置標示器。
  2. 請求項1において、前記補助部材は,前記位置標示部材の先端部に被せられたキャップである位置標示器。
  3. 請求項1または2において、前記補助部材は磁性体からなる位置標示器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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