JP4049454B2 - 航空機汚水の前処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に航空機汚水を汚泥処理する前段階で汚水中に混入している金属等の固形物類および紙・繊維類を効率的かつ衛生的に分離するようにした航空機汚水の前処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の高アンモニア性排水や高濃度有機排水などの汚水については、いわゆる標準汚泥活性処理、ステップエアレーション、長時間エアレーションなどの活性汚泥処理法による好気性処理や、消化槽による嫌気性処理などの従来法またはその改良法によって処理されている。
【0003】
本出願人においても、先の特願昭55−045487号において、従来別々の槽で行っていた好気性処理と嫌気性処理とを同一の槽で原水の基質、濃度等に応じて並列、直列あるいはそれらの組み合わせ運転によって処理することにより、きわめて単純な設備をもって航空機汚水を無人、無希釈、無注入で実施できる方法及び装置を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に航空機等の人員輸送用乗り物のトイレに貯留されるし尿等の場合には、トイレットペーパー、ナプキン、タンポンなどの生理衛生用品などの紙・繊維類が多量に混入している他、使い終わったスプレーなどの金属管類、ガラス瓶や金属類等の多種多様の固形物類が混入していることが多く、これらの夾雑物が混入しているまま汚泥処理を行うと、ドラムスクリーンなどの分離装置やスクリュープレスなどの脱水装置における処理の際に装置を損傷させるおそれがあるなどの問題が発生していた。
【0005】
また、し尿等が最初に投入される投入槽においては、特に前記紙・繊維類を含んだ汚水を効率的に最初のドラムスクリーンなどの固液分離装置に送給する必要があるが、送給および破砕を兼用するカッターポンプの吸込み口から離れた部分に、前記紙・繊維類が堆積したままとなっているなどの問題があった。
【0006】
さらに、既存の回転型ドラムスクリーン(スリットタイプ)による固液分離では、細かい紙・繊維質類を効率的に分離することができず、濾液中に多く含有された紙・繊維質類によって、活性汚泥処理における活性汚泥フロックの形成、微生物による酸化・同化に時間が掛かるようになるなどの問題があった。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、特に航空機の機内トイレに貯留された、し尿等の高アンモニア排水等の汚水を汚泥処理するに当たり、活性汚泥処理を行う前処理段階で前記し尿に混入している金属等の固形物類および紙・繊維類を効率的かつ衛生的に分離するようにした航空機汚水の前処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明は、トイレットペーパー、不織布等の紙・繊維質類や、金属、プラスチック等の固形物類などの夾雑物が混入している航空機汚水を汚泥処理槽に送る前段階で、前記航空機汚水から前記紙・繊維質類および固形物類を分離するための前処理装置であって、
前記前処理装置は、最初の受け入れ槽となる汚水投入槽と、この汚水投入槽の上部に設けられるとともに、航空機汚水から前記固形物類を分離除去する固形物分離槽と、前記汚水投入槽の後段に設けられ、航空機汚水から前記紙・繊維質類を分離除去する固液分離装置とからなり、
前記汚水投入槽は、底面に汚水集積溝が形成されるとともに、この汚水集積溝に向かって下り勾配の傾斜底が形成され、かつ槽の底部側に空気吹き込みによる攪拌装置が配設された槽とされ、
前記固形物分離槽は、汲取り車より航空機汚水を受け入れる汚水投入ホッパと、この汚水投入ホッパの下端口に連設されるとともに、管路の途中に電磁流量計が配設された汚水投入管とからなる汚水投入設備を囲繞するように設けられ、前記汚水投入管は、前記汚水投入ホッパの下端口から順に、屈曲管路部、第1水平管路部、絞り管路部、電磁流量計、拡径管路部、第2水平管路部、上向き屈曲管路部から構成されており、前記上向き屈曲管路部の汚水吐出口の高さ位置を前記汚水投入ホッパの下端口高さ位置よりも上位に設定することにより、液面水位が汚水投入ホッパ内に保持されるようにするとともに、前記絞り管路部の直前であって管路の上面に一端が接続されたエア抜き管を設け、且つ槽の底部より若干上側の側壁に一端が接続されるとともに、他端側を前記汚水集積溝に臨ませた汚水落し込み管を備え、
前記汚水投入槽の汚水集積溝に集積された紙・繊維質類を含む汚水を破砕しながら前記固液分離装置に送給するカッターポンプを備えるとともに、前記固液分離装置は、スクリーンプレートの内面に、網目寸法が0.5〜1.5mmのメッシュ金網が張設された回転ドラム型スクリーンが用いられていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る汚水投入槽1部分の断面図であり、図2は固形物分離槽6部分の拡大断面図、図3は航空機汚泥処理の全体システム図である。
【0010】
飛行機内に貯留されたし尿汚水は、ラバトリーカーと呼ばれる汲取り車11によって汲み取られ、汚水処理施設10まで運搬された後、最初の受け入れ槽となる汚水投入槽1に投下される。かかる航空機汚水は、一般住宅などの通常のし尿汚水と比べると、トイレットペーパー、生理用品などの不織布等の紙・繊維質類の他に、金属管類、金属片類、ガラス瓶、プラスチック等の固形物類等、多種多様の夾雑物が混入しているのが特徴であり、汚水処理に当たっては、これらの紙・繊維質類および固形物類等の夾雑物を如何に効率的かつ衛生的に取り除くかが重要となる。
【0011】
前記汚水投入槽1の上部には、前記汲み取り車11から投入される汚水を受け入れする汚水投入ホッパ4と、この汚水投入ホッパ4の下端口4aに連設された汚水投入管5からなる汚水投入設備3を囲繞するように固形物分離槽6が設けられているとともに、この固形物分離槽6の槽底部より若干上方の側壁部位に一端が接続され、他端側を後述の汚水集積溝9に向けて臨ませた2本の汚水落し込み管7,7が設けられている。
【0012】
以下、さらに具体的に詳述すると、前記汚水投入設備3は、詳細には図2に示されるように、汚水を受け入れする汚水投入ホッパ4と、この汚水投入ホッパ4の下端口4aに連設されるとともに、管路の途中に電磁流量計18が配設された汚水投入管5とから構成されている。この汚水投入管5は、前記汚水投入ホッパ4の下端口4aから順に、屈曲管路部15、第1水平管路部16、絞り管路部17、電磁流量計18,拡径管路部19、第2水平管路部20,上向き屈曲管路部21とから構成されており、前記上向き屈曲管路部21の汚水吐出口21aの高さ位置を前記汚水投入ホッパ4の下端口4a高さ位置よりも上位に設定することにより、液面水位Lが汚水投入ホッパ4内に保持されるようにしてある。前記ホッパ下端口4aから液面水位Lまでの水深は、概ね50mm以上、好ましくは70mm以上確保するのが望ましい。
【0013】
また、前記電磁流量計18への流入側に絞り管路部17を挿入し、かつこの絞り管路部17の直前であってかつ管路の上面に一端が接続され、他端が前記汚水投入ホッパ4の上側に接続されたエア抜き管22が設けられている。前記絞り管路部17の始点と前記エア抜き管22との距離Sは、概ね200〜300mmの範囲とするのが良い。なお、前記エア抜き管22は混入したエアを外部に排出できればよいため、鉛直方向の直管とし上部側口を単に開口としておくことでもよい。
【0014】
一方、前記屈曲管路部15のR部には第1水平管路部16側に噴射口を向けた噴射ノズル23が設けられており、高圧水送給管24を通じて送られた高圧水を管内に向けて噴射可能となっている。たとえば、管内に汚濁沈降物の付着や堆積が生じた場合に、前記噴射ノズル23から高圧水を噴射させることにより、前記付着や堆積を取り除き、管路の縮小や閉塞を防止するとともに、偏流を防止することにより前記電磁流量計18の誤差が大きくなるのを防止する。なお、25は前記高圧水の供給を制御するオンオフ弁である。
【0015】
また、前記汚水投入ホッパ4の上端口部には、シリンダ30のピストン31に開閉ゲート32が連結された汚水投入口開閉装置が設けられており、投入時以外は前記汚水投入ホッパ4の開口を閉鎖するようになっている。
【0016】
他方、前記汚水投入槽1には、槽底部に紙・繊維質類を含むし尿汚水を集積するための汚水集積溝9が形成されているとともに、この汚水集積溝9に向かって傾斜する傾斜底8が設けられ、かつ槽下部側にはエア吹込み管13を横行配置し、隣接するポンプ室のブロア12から供給されるエアを汚水中に吹き込むことにより、旋回流を生起し、浮き上がった紙・繊維質類を沈降させるようになっている。
【0017】
かかる汚水処理施設10においては、汲み取り車11が汚水処理施設10に到着すると、操作盤26の操作により前記シリンダ30を稼働し、開閉ゲート32をスライドさせて汚水投入ホッパ4の投入口を開とした後、前記汲み取り車11から汚水投入ホッパ4に汚水が投入される。
【0018】
前記汚水投入ホッパ4に対して、汲み取り車11から汚水が投入されると、液面が激しく叩かれ波打つようになるが、汚水投入ホッパ4内に液面水位Lが保持されているため、汚水中にエアが巻き込まれても直ぐに浮上し汚水投入管5にエアが流入することがほとんど無くなる。仮に、巻き込まれたエアがそのまま汚水と共に汚水投入管5内に流入したとしても、管路の上面側を這うように流れるエアは前記エア抜き管22から汚水投入ホッパ4の上部に排出される。このエア抜きに際し、エア抜き管22の後方側に前記絞り管路部17を配することにより効果的に前記エア抜きが行われるようになっている。すなわち、絞り管路部17手前の第1水平管路部16において、管路上側にエア溜まりを生成させ易くすることにより、電磁流量計18の上流部で効率的なエア抜きを促進させることが可能となっている。
【0019】
以上のように、汚水投入ホッパ4内に液面水位Lが保持されることによりエアの随伴が防止され、かつたとえエアが混入しても電磁流量計18に到達する前にエア抜き管22よりエアが排出されるため、電磁流量計18による計量誤差が従来のものよりも格段に小さいものとなる。
【0020】
前記上向き屈曲管路部21の汚水吐出口21aより固形物分離槽6内に排出された汚水は、ここで金属類等の夾雑物が分離除去される。すなわち、汚水中の、金属類等の比重の大きな固形夾雑物については固形物分離槽6の底部に沈降分離し、それ以外の紙・繊維質類を含む汚水については前記汚水落し込み管7,7により汚水投入槽1内に投入される。
【0021】
汚水投入槽1では、連続的または断続的にエアの吹き込みが行われ、汚水を攪拌することにより液面に浮上している紙・繊維質類を沈降させるとともに、攪拌流により傾斜底8に堆積している紙・繊維質類を剥離させ、汚水集積溝9に効果的に集積させる。この汚水集積溝9に貯留された紙・繊維質類を含む汚水は、引抜きと破砕を兼ねるカッターポンプ26により次の固形分離工程に送られ、回転型ドラムスクリーン34によって紙・繊維質類が取り除かれる。
【0022】
前記回転型ドラムスクリーン34は、スクリーンプレート43、43…を所定の間隔、たとえば3〜5mmの間隔を空けながらで並べて円筒体とし、これを斜め下がり方向に傾斜させた状態で軸芯周りにゆっくりと回転させながら、内部に汚水を供給することにより、前記スクリーンプレート43を通過する濾液と前記スクリーンプレート43上に残置される夾雑物とに分離するもので、本発明では前記スクリーンプレート43の内面側にメッシュ金網42が張設されている。このメッシュ金網42としては、好ましくはステンレス等の錆びにくい素材のものが用いられ、その網目寸法が0.5〜1.5mm、好ましくは0.8〜1.2mmのものが用いられる。網目寸法が0.5mm未満であると、濾過効率が低下し目詰まりが頻繁に起こるなど処理効率が著しく低下し、一方網目寸法が1.5mmを超えると、細かな繊維類が網目を通過し、濾液中に多く含有されることになり、活性汚泥処理における活性汚泥フロックの形成、微生物による酸化・同化に時間が掛かるようになる。
【0023】
前記回転型ドラムスクリーン34によって分離された濾液は、次の貯留槽36に送られ、一方、分離された紙・繊維質類の夾雑物は、回転型ドラムスクリーン34内をもつれ合いながら固形物排出口34aよりスクリュープレス35に送られる。このスクリュープレス35では、前記紙・繊維質類を圧搾し含水比70%の脱水ケーキとするとともに、分離された濾液は前記貯留槽36に送られる。前記貯留槽36は、活性汚泥処理のための曝気槽38に対して汚水を安定的に一定供給するために設けられたバッファ的機能の汚水供給槽である。
【0024】
前記貯留槽36に貯留された汚水は、計量装置37を経て、流入量が常時管理されながら、次の曝気槽38へ送られる。曝気槽38では、汚水と活性汚泥とをエアレーションにより均一に混合することにより、BOD、CODが活性汚泥中の好気性微生物により生物学的に処理される。また、流入NH4-Nは硝化作用によりNO2-N、NO3-Nに変化し安定化する。
【0025】
前記曝気槽38によってエアレーション処理された汚水は、活性汚泥と共に次の沈殿槽39に送られる。この沈殿槽39では、上澄水と汚泥とを沈降分離し、沈降した汚泥分については掻き寄せ機39Aによって中央の集積溝39aに集めた後、その一部は返送汚泥として曝気槽38に送られ、他の活性汚泥は余剰汚泥として余剰汚泥槽41に送られる。
【0026】
一方、越流堰39Bを越えた上澄水は、希釈・放流槽40に送られ、一部が希釈水として貯留槽36に戻されるとともに、他は下水道に放流処理される。
【0027】
【発明の効果】
以上詳説のとおり、本発明によれば、航空機内に貯留された、し尿等の高アンモニア排水等の汚水を汚泥処理するに当たり、活性汚泥処理などの本処理を行う前処理段階で前記し尿に混入している金属等の固形物類および紙・繊維類を効率的かつ衛生的に分離することが可能となる。したがって、ドラムスクリーンなどの分離装置やスクリュープレスなどの脱水装置における処理の際に装置を損傷させる虞がなくなるとともに、次工程の活性汚泥処理を効率的かつ安定的に行い得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る汚水投入槽1部分の断面図である。
【図2】 汚水投入部の格段断面図である。
【図3】 航空機汚水処理の全体システム図である。
【符号の説明】
1…汚水投入槽、3…汚水投入・計量装置、4…汚水投入ホッパ、4a…下端口、5…汚水投入管、6…固形物分離槽、7…汚水落し込み管、8…傾斜底、9…汚水集積溝、12…ブロア、13…エア吹き込み管、18…電磁流量計、21a…汚水吐出口、22…エア抜き管、23…噴射ノズル、26…カッターポンプ、34…回転型ドラムスクリーン、35…スクリュープレス、36…貯留槽、37…計量装置、38…曝気槽、39…沈殿槽、40…希釈・放流槽、41…余剰汚泥槽、42…メッシュ金網、43…スクリーンプレート
Claims (1)
- トイレットペーパー、不織布等の紙・繊維質類や、金属、プラスチック等の固形物類などの夾雑物が混入している航空機汚水を汚泥処理槽に送る前段階で、前記航空機汚水から前記紙・繊維質類および固形物類を分離するための前処理装置であって、
前記前処理装置は、最初の受け入れ槽となる汚水投入槽と、この汚水投入槽の上部に設けられるとともに、航空機汚水から前記固形物類を分離除去する固形物分離槽と、前記汚水投入槽の後段に設けられ、航空機汚水から前記紙・繊維質類を分離除去する固液分離装置とからなり、
前記汚水投入槽は、底面に汚水集積溝が形成されるとともに、この汚水集積溝に向かって下り勾配の傾斜底が形成され、かつ槽の底部側に空気吹き込みによる攪拌装置が配設された槽とされ、
前記固形物分離槽は、汲取り車より航空機汚水を受け入れる汚水投入ホッパと、この汚水投入ホッパの下端口に連設されるとともに、管路の途中に電磁流量計が配設された汚水投入管とからなる汚水投入設備を囲繞するように設けられ、前記汚水投入管は、前記汚水投入ホッパの下端口から順に、屈曲管路部、第1水平管路部、絞り管路部、電磁流量計、拡径管路部、第2水平管路部、上向き屈曲管路部から構成されており、前記上向き屈曲管路部の汚水吐出口の高さ位置を前記汚水投入ホッパの下端口高さ位置よりも上位に設定することにより、液面水位が汚水投入ホッパ内に保持されるようにするとともに、前記絞り管路部の直前であって管路の上面に一端が接続されたエア抜き管を設け、且つ槽の底部より若干上側の側壁に一端が接続されるとともに、他端側を前記汚水集積溝に臨ませた汚水落し込み管を備え、
前記汚水投入槽の汚水集積溝に集積された紙・繊維質類を含む汚水を破砕しながら前記固液分離装置に送給するカッターポンプを備えるとともに、前記固液分離装置は、スクリーンプレートの内面に、網目寸法が0.5〜1.5mmのメッシュ金網が張設された回転ドラム型スクリーンが用いられていることを特徴とする航空機汚水の前処理装置。
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JP26937398A Expired - Lifetime JP4049454B2 (ja) | 1998-09-24 | 1998-09-24 | 航空機汚水の前処理装置 |
Country Status (1)
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1998
- 1998-09-24 JP JP26937398A patent/JP4049454B2/ja not_active Expired - Lifetime
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