JP4049351B2 - 軸受の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密機器に内蔵されるスピンドルモータの駆動軸等、比較的高速で回転する軸を高精度で支持する場合に用いて好適な軸受の製造方法に関する。本発明は、素材を圧縮することにより塑性変形を生じさせて所望形状の軸受を得る技術であって、素材としては、主に、圧粉体を焼結させた焼結体あるいは焼結体にサイジング(再圧縮)を施してなる円筒状の多孔質体が用いられる。また、本発明によって製造された軸受は、潤滑油が含浸され、焼結含油軸受として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
上記焼結含油軸受は、焼結体に含浸された潤滑油が内径面にしみ出し、内径面と回転軸との間に油膜が形成されることにより、摩擦抵抗が低減して騒音や振動が抑えられるといった特性を有する。また、振動や騒音の抑制効果をさらに高めた焼結含油軸受として、軸方向中央部の内径面に、内径が回転軸の外径より僅かに大きく回転軸と接触しない隙間(以下、中逃げ部と称する)を形成し、回転軸の軸支面を両端部の内径面に限定した2点支持構造として摩擦抵抗の低減効果と回転軸の支持力をより安定化させたものがある。
【0003】
焼結含油軸受は、通常、原料の金属粉末を圧縮成形して得た円筒状の圧粉体を焼結し、焼結体をサイジングして最終形状に仕上げるといった工程を主体として製造されている。ところで、上記中逃げ部を有する軸受を製造する場合、その中逃げ部を焼結体への機械加工で形成すると、内径面に表出している気孔が潰れて潤滑油の循環作用に支障を来すことになる。このため、焼結体のサイジング工程で中逃げ部を同時に形成するか、もしくはサイジング後にもう1度焼結体を圧縮して中逃げ部を独自に形成する方法が好ましい。
【0004】
そのような方法としては、例えば、特公平8−6124号公報に記載の方法が挙げられる。図7(a)は、同公報に記載の方法を概念的に示しており、同図の左半分は成形前、右半分は成形後の状態を示している。これによると、軸方向一端部に小径孔50aを有し、小径孔50a以外の内径面が大径内径面50bとされた円筒状の焼結体50を、大径内径面50b側の端部から金型51内に装入し、焼結体50にコアロッド(公報ではサイジングコア)52を挿入する。次いで、焼結体50を上パンチ52によって降下させるとともに、上下のパンチ52,53により軸方向に圧縮する。金型51には、焼結体50の押し込み方向先端側に絞り部51cが形成されており、この絞り部51aに倣って塑性変形した焼結体50の端部が縮径し、この縮径した絞り部50cと、小径孔50aの内径面がコアロッド52にそれぞれ圧接して回転軸を支持する軸支面(軸受面)54が形成される。また、これら軸受面54間の内径面は、軸受面54よりも大径で回転軸が接触しない中逃げ部(非接触面)55とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の成形方法のように、焼結体50の端部を1段階縮径して絞り部50cを形成し、この絞り部50cの内径面を軸支面54に形成する場合、次のような問題があった。すなわち、図7(b)に示すように、絞り部50cが形成される際に生じる肉の塑性流動が、主に矢印の方向に流れることから、軸支面54においては、aで示す奥側が密になり、bで示す端面側に向かうほど粗になりやすい。このように軸支面54の密度(気孔率)に差異が生じると、潤滑油が粗部に吸収されて潤滑油の浪費を招いたり、軸支面54と回転軸との間の油圧が低下して回転軸の支持力が不安定になったりする問題が起こる。
【0006】
したがって本発明は、絞り部とともに軸支面を形成して2点支持構造の軸受を製造するにあたり、軸支面の密度を均等化させて回転軸の支持力を安定化させることができる軸受の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コアロッドが挿入された円筒状の素材を、成形型内において軸方向に圧縮すると同時に、素材の少なくとも軸方向一端部を成形型に形成された絞り形成部に圧入することにより、該端部の外径および内径を縮小させて絞り部を形成するとともに、この絞り部の内径面をコアロッドに圧接させて回転軸を支持する軸支面に形成する一方、この軸支面に連続する軸方向中央部の内径面に、回転軸と接触しない中逃げ部を形成する軸受の製造方法において、絞り部の内径面である軸支面を、絞り部の外径面を端面に向かうにしたがって複数段階に縮径させることにより形成することを特徴としている。
【0008】
本発明では、絞り部の外径面を端面に向かうにしたがって複数段階に縮径させることにより、絞り部が形成される際に、この絞り部の内径面すなわち軸支面に向かう塑性流動の主な流れが、縮径される段階の数に応じて生じる。複数の塑性流動の流れは軸支面の奥側から端面側に向かって並ぶように生じ、塑性流動は軸支面全長にわたって十分に作用する。このため、端面側の軸支面の密度が粗になりにくく、軸支面の密度が軸方向に均等化する。その結果、粗部からの潤滑油の浪費は生じず、また、軸支面と回転軸との間の保油量ならびに油圧が全長にわたって均等化するので、回転軸の支持力を安定化させることができる。
【0009】
絞り部の外径面を複数段階に縮径させるには、複数の円筒部の組み合わせで構成したり、複数のテーパ部で構成したりすることができる。また、円筒部とテーパ部を組み合わせてもよい。
【0010】
また、本発明では、軸受の素材が、軸方向一端部に内径小径部を有する形態において、素材の外面に、成形型内への装入方向を誤ることなく判別するための装入方向検知手段が設けられていることを特徴としている。この場合、素材は、内径小径部が形成されていない側の端部から成形型内に装入され、軸方向に圧縮されると、内径小径部の内径面がコアロッドに圧接して一方の軸支面が形成され、装入方向先端部が成形型の絞り部に圧入されて絞り部に形成され、その内径面がコアロッドに圧接して他方の軸支面が形成される。つまり、内径小径部を後端側にして装入しなければ両端部に軸支面が形成されず、したがって、装入方向を明白に判別することができるようにしておくことが好ましい。そこで、本発明のように、内径小径部が形成されている軸方向一端部がどちらであるかを判別するための装入方向検知手段を素材の外面に設け、それにしたがって素材を成形型に装入すれば、装入方向を誤ることなく軸受の製造を確実に行うことができる。本発明は、外径がストレートで外面の形状に特徴が見られない素材において特に有効である。
【0011】
装入方向検知手段としては、例えば、内径小径部が形成されていない側の端部を僅かに小径としたり、その端部の外周縁を面取りしたりする手段が挙げられる。このような手段によれば、成形型の絞り形成部への圧入およびこれに伴って生じる塑性変形がスムーズになされるので好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(1)第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る軸受の成形工程を(a),(b)の順に示している。本実施形態の成形装置は、パンチガイド20と、パンチガイド20に摺動自在に挿入される円筒状の上下のパンチ(成形型)21,22と、上下のパンチ21,22の軸心に摺動自在に挿入されるコアロッド30とから構成されている。上下のパンチ21,22は、上下対称とされた同一構成のもので、互いに対向するパンチ面の中心に、円形の成形孔23が形成されている。この成形孔23は、入口側の開口部23aから奥側に向かうにしたがって2段階に縮小しており、内径がそれぞれ均一な第1絞り形成部23bと第2絞り形成部23cとが同心的に形成されている。各絞り形成部23b,23cは、内径が均一の円筒状で、第1絞り形成部23bから第2絞り形成部23cへの移行部は、なだらかなテーパ状に形成されている。
【0013】
図1(a)に示す素材1Aは、焼結体もしくは焼結体にサイジングを施して成形された多孔質体である。この素材1Aは、内径および外径がともに均一の単純な円筒である。素材1Aの内径はコアロッド30の直径よりも大きく、コアロッド30が挿入された状態で、その内径面とコアロッド30との間に微小な隙間が形成される寸法に設定されている。また、外径は上下のパンチ21,22の成形孔23の開口縁よりも僅かに小さく、開口部23a内に端面の外周縁が入り込む寸法に設定されている。なお、素材1Aの内径はコアロッド30が摺動しながら挿入される程度に小さい寸法であってもよい。
【0014】
次に、成形装置により素材1Aを成形して軸受を製造する手順を説明する。まず、図1(a)に示すように、上下のパンチ21,22の間に素材1Aを挟み込むとともに、下パンチ22に挿入したコアロッド30を素材1Aに貫通させ、さらに上パンチ21に挿入する。素材1Aの上下端面の外周縁を成形孔23の開口部23a内に入り込んだ状態とし、素材1Aをコアロッド30と同軸的に配置する。次いで、図1(b)に示すように、上パンチ21を降下させ、上下のパンチ21,22により素材1Aを軸方向に圧縮する。
【0015】
軸方向に圧縮された素材1Aの上下端部は、それぞれ上下のパンチ21,22の成形孔23に圧入され、成形孔23の内径面形状に倣って塑性変形する。これにより、第1の絞り形成部23bに応じた第1の絞り部11bと、第2の絞り形成部23cに応じた第2の絞り部11cが形成される。また、素材1Aの軸方向中央部は上下のパンチ21,22間の開放部分に膨出する。このような塑性変形が生じることにより、素材1Aの上下端部の内径面はコアロッド30に圧接して回転軸を支持する軸支面12に形成され、これら軸支面12間には回転軸に接触しない中逃げ部13が形成される。
【0016】
以上のようにして素材1Aが圧縮成形され、軸受10Aが成形される。軸受10Aは、上パンチ21を上昇させてパンチガイド20から離脱させ、次いで、下パンチ22を上昇させることにより取り出すことができる。軸受10Aを使用に供する際には、潤滑油を含浸して焼結含油軸受とされる。
【0017】
軸受10Aの上下端部に形成された絞り部は、端面に向かうにしたがって2段階に縮径され、第1の絞り部11bと第2の絞り部11cとが形成されている。これら絞り部11b,11cが形成される際には、図2に示すように、軸支面12に向かう塑性流動の主な流れ(矢印で示す)が2つ生じ、塑性流動は軸支面12の全長にわたって十分に作用する。このため、従来のように端面側の軸支面12の密度が粗になる不具合は解消され、軸支面12の密度が軸方向に均等化する。その結果、潤滑油の浪費は生じず、また、軸支面12と回転軸との間の保油量ならびに油圧が全長にわたって均等化するので、回転軸の支持力を安定化させることができる。
【0018】
また、2つの軸支面12は、素材1Aの内径面をコアロッド30に強く圧接させることにより形成されるので、その内径および同軸度が高い精度で一致し、加えて高密度化する故、耐摩耗性および回転軸の支持力に優れる。一方、中逃げ部13はコアロッド30に圧接しないから軸支面12よりも密度は低くなる。このため、潤滑油の含有量を増大させることができ、軸支面12の潤滑性の向上が図られる。これらの結果、軸受10Aは優れた軸受性能を発揮する。
【0019】
(2)第2実施形態
次に、図3を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態の成形装置は、図3に示すように、ダイ(成形型)40と、ダイ40に挿入される上下のパンチ41,42と、コアロッド30とから構成されている。ダイ40の成形孔43は、素材の入口側(上側)に開口する主部43aが主体とされて奥部が2段階に縮径しており、内径がそれぞれ均一な第1の絞り形成部43bと第2の絞り形成部43cとが形成されている。上パンチ41は主部43aに摺動自在に挿入されるようになされ、下パンチ42は第2の絞り形成部43cに摺動自在に挿入されるようになされている。
【0020】
図3(a)に示す素材1Bは、軸方向一端部の外径が他の外径部分よりも大きい外径大径部4bを有し、一方、内径は均一な円筒状の焼結体である。素材1Bの内径はコアロッド30の直径よりも大きく、コアロッド30が挿入された状態でコアロッド30と内径面との間に微小な隙間が形成される寸法に設定されている。また、外径大径部4bの外径は成形孔43の主部43aの内径よりも大きく、外径大径部4b以外の外径部分である外径小径部4aの外径は、主部43aに中間嵌めの状態で嵌合する寸法に設定されている。外径小径部4aの外径は、成形孔43の主部43aの内径よりも大きくて主部43aに圧入される寸法か、逆に主部43aの内径よりも小さくて主部43aに遊嵌される寸法であってもよい。
【0021】
次に、成形装置により素材1Bを成形して軸受を製造する手順を説明する。まず、図3(a)に示すように、外径小径部4aを成形孔43の主部43aに押し込んで嵌合させるとともに、コアロッド30を素材1Bに貫通させる。次いで、図3(b)に示すように、上パンチ41を降下させ、上下のパンチ41,42により素材1Bを成形孔43に圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0022】
成形孔43に圧入され、軸方向に圧縮された素材1Bは、成形孔43の内径面形状に倣って塑性変形する。すなわち、上端部の外径大径部4bは成形孔43の主部43aの内径面の圧迫を受けて消滅する。そして、消滅した分の肉が内側に塑性流動して突出し、その内径面がコアロッド30に圧接して軸支面12が形成される。一方、素材1Bの下端部には、第1の絞り形成部43bに応じた第1の絞り部11bと、第2の絞り形成部43cに応じた第2の絞り部11cが形成される。これにより、下端部の内径面は内側に突出してコアロッド30に圧接し、軸支面12が形成される。軸方向への圧縮を受けた素材1Bは、上下端部の軸支面12がコアロッド30に強く圧接するとともに、軸支面12間の内径が外側に膨出し、中逃げ部13が形成される。このようにして素材1Bが圧縮成形され、軸受10Bが成形される。軸受10Bは、上パンチ41を上昇させてダイ40から離脱させ、次いで、下パンチ42を上昇させることにより取り出すことができる。
【0023】
上記第2実施形態で製造された軸受10Bの下端部には、第1、第2の絞り部11b,11cが形成され、このように絞り部が2段階に形成されることにより、絞り部とともに形成される軸支面12の密度が均等化される作用効果を、上記第1実施形態と同様に得ることができる。また、上記第2実施形態で用いた素材1Bは、外径が上端部側に均一な外径の外径大径部4bを備えたものであったが、この外径大径部4bを、上端部側が比較的大径で外径小径部4a側を比較的小径とした2段形状、あるいはテーパ状にしたものを用いることができる。このような素材1Bは、成形孔43に圧入されたときの変形量は上端側の方が大きいことから、製造された軸受10Bの上端部側の軸支面12の密度が高くなり、このため、軸受の大きさや材質等に応じて一端側の密度を他端側よりも高く設定したい場合に好適である。
【0024】
(3)第3実施形態
次に、図4を参照して本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、上記第2実施形態の成形装置を用い、図4(a)に示す素材1Cから軸受を製造する。素材1Cは、軸方向一端部の内径が他の内径部分よりも小さい内径小径部3aを有し、内径小径部3aとは反対側の端部には、外径小径部(装入方向検知手段)4cが形成されている。内径小径部3aの内径は、コアロッド30が摺動しながら挿入される寸法に設定されている。内径小径部3a以外の内径部分である内径大径部3bの内径はコアロッド30の直径よりも大きく、その内径面とコアロッド30との間に隙間が形成される寸法に設定されている。外径小径部4cの外径は、成形孔43の第1の絞り形成部43bの内径と同等の寸法に設定され、外径小径部4c以外の外径部分である外径大径部4bの外径は、成形孔43の主部43aに中間嵌めの状態で嵌合する寸法に設定されている。
【0025】
次に、成形装置により素材1Cを成形して軸受を製造する手順を説明する。まず、図4(a)に示すように、外径小径部4c側から素材1Cを成形孔43の主部43aに押し込んで嵌合させるとともに、コアロッド30を素材1Cに貫通させる。次いで、図4(b)に示すように、上パンチ41を降下させ、上下のパンチ41,42により素材1Cを成形孔43に圧入するとともに、軸方向に圧縮する。
【0026】
成形孔43に圧入され、軸方向に圧縮された素材1Cは、成形孔43の内径面形状に倣って塑性変形し、下端部には、第2実施形態と同様に第1の絞り部11bと第2の絞り部11cが形成される。また、両端部内径面はコアロッド30に強く圧接して軸支面12が形成され、軸支面12間には中逃げ部13が形成される。このようにして素材1Cが圧縮成形され、軸受10Cが成形される。軸受10Cは、上パンチ41を上昇させてダイ40から離脱させ、次いで、下パンチ42を上昇させることにより取り出すことができる。
【0027】
上記第3実施形態によっても、絞り部が2段階に形成されることにより軸支面の密度が均等化される作用効果を、上記第1、第2実施形態と同様に得ることができる。
【0028】
また、第3実施形態の素材1Cによれば、外径小径部4cを目印として、この外径小径部4c側から素材1Cを成形孔43に装入することにより、軸支面12を両端部に確実に形成することができる。つまり、素材1Cの外径面がストレートであると、内径小径部3aが形成されている端部が判別しづらく、誤って内径小径部3a側から素材1Cを成形孔43に装入してしまうおそれがあり、その場合には、両端部に軸支面12が形成されない。しかしながら、本実施形態の素材1Cには外径小径部4cが形成されているので、内径小径部3aの形成位置を明白に判別することができ、2つの軸支面12を有する軸受を確実に製造することができる。
【0029】
本発明に係る装入方向検知手段は、装入方向を定めることができる形態であればいかなる形態であってもかまわないが、第3実施形態の外径小径部4cのように、装入方向端部を小径とすることにより、成形孔43の絞り形成部(第1、第2の絞り形成部43b,43c)への圧入およびこれに伴って生じる塑性変形がスムーズになされるので好ましい。
【0030】
(4)他の実施形態
▲1▼絞り部
上記第1〜第3実施形態では、軸受の端部に形成した第1、第2の絞り部11b,11cの外径面は、いずれも外径が均一の円筒部であったが、2段階に縮径する絞り部を形成する場合、図5(a)に示すように、第1の絞り部11bがテーパ部で、第2の絞り部11cが円筒部といった組み合わせにしてもよい。また、テーパ部と円筒部の組み合わせ順を、この逆にすることもできる。また、図5(b)に示すように、第1、第2の絞り部11b,11cを、いずれもテーパ部で構成してもよい。
【0031】
上記第1〜第3実施形態では、いずれも絞り部を2段階に縮径させた構成としているが、絞り部の数はこれに限定されず、3段階あるいはそれ以上の複数段階に縮径してもよい。
【0032】
▲2▼素材の形状
素材としては、上記素材1A〜1C以外の様々な円筒形状のものを適用することができる。図6(a)〜(d)は、その例を示している。(a)は外径面がストレートで軸方向一端部に内径小径部3aを有するもの、(b)は軸方向一端部に内径小径部3aおよび外径大径部を有するもの、(c)は軸方向一端部にフランジ5を有するもの、(d)は軸方向一端部に内径小径部3aとフランジ5を有するもの、である。なお、フランジ5は圧縮成形後も残存し、例えば、固定手段や位置決め手段として利用される。
【0033】
▲3▼動圧溝
上記第1〜第3実施形態における軸支面12は平滑な周面であったが、この軸支面12に動圧溝を形成してもよい。動圧溝は、例えば、軸支面12に形成される素材の内径面が圧接するコアロッド30の外面に、動圧溝形成用の凸部または凹部を形成しておき、この凸部または凹部を軸支面12に刻設させることにより、圧縮成形と同時に形成することができる。
【0034】
軸支面12に動圧溝を形成すると、両端部の各軸支面12により回転軸を支持する2点支持構造に加え、動圧溝に発生する動圧効果(動圧溝に流入する潤滑油の高圧化に伴う剛性向上)によって回転軸の支持力が相乗的に高まり、回転軸の支持力がより安定する。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、絞り部とともに軸支面を形成して2点支持構造の軸受を製造するにあたり、絞り部の外径面を端面に向かうにしたがって複数段階に縮径させるので、軸支面の密度を均等化させることができ、その結果、回転軸の支持力を安定化させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る軸受の製造工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図2】 第1実施形態によって絞り部を2段階に形成した際の作用を説明するための縦断面図である。
【図3】 本発明の第2実施形態に係る軸受の製造工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図4】 本発明の第3実施形態に係る軸受の製造工程を(a),(b)の順に示す縦断面図である。
【図5】 (a),(b)は本発明に係る絞り部の他の形態を示す縦断面図である。
【図6】 (a)〜(d)は本発明に係る素材の他の形態を示す縦断面図である。
【図7】 (a)は従来の軸受の製造方法の一例を示す縦断面図、(b)は従来の課題を説明するための絞り部の縦断面図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C…素材、3a…内径小径部、
4c…外径小径部(装入方向検知手段)、10A,10B,10C…軸受、
11b…第1の絞り部、11c…第2の絞り部、12…軸支面、
13…中逃げ部、21…上パンチ(成形型)、22…下パンチ(成形型)、
23b,43b…第1の絞り形成部、23c,43c…第2の絞り形成部、
30…コアロッド、40…ダイ(成形型)。
Claims (5)
- コアロッドが挿入された円筒状の素材を、成形型内において軸方向に圧縮すると同時に、素材の少なくとも軸方向一端部を成形型に形成された絞り形成部に圧入することにより、
該端部の外径および内径を縮小させて絞り部を形成するとともに、この絞り部の内径面をコアロッドに圧接させて回転軸を支持する軸支面に形成する一方、この軸支面に連続する軸方向中央部の内径面に、回転軸と接触しない中逃げ部を形成する軸受の製造方法において、
前記絞り部の内径面である前記軸支面を、絞り部の外径面を端面に向かうにしたがって複数段階に縮径させることにより形成することを特徴とする軸受の製造方法。 - 前記絞り部が、複数の円筒部の組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の軸受の製造方法。
- 前記絞り部が、複数のテーパ部の組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の軸受の製造方法。
- 前記絞り部が、円筒部とテーパ部の組み合わせからなることを特徴とする請求項1に記載の軸受の製造方法。
- 前記素材は軸方向一端部に内径小径部を有し、この素材の外面に、成形型内への装入方向を誤ることなく判別するための装入方向検知手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軸受の製造方法。
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