JP4049286B2 - 車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法及び装置に係り、特にフラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性メモリにおけるデータファイルの書き込み動作中の電源異常発生時における車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建設機械等の車両には、該車両内の各機械の作動データを、一括して収集、処理して、機械の動作状況,故障個所発見,故障の予防に関するデータをその内部に蓄積データとして記憶すると共に、付属する表示装置に表示する電子機器が搭載されている。
【0003】
建設機械等の保守・管理要員(サービスマン等)は、前記車両に搭載された電子機器に蓄積(記憶)されている蓄積データを、ICカード等のメモリ記憶装置を介して、または電子機器から直接パソコン等に取り出し(ダウンロードし)解析することで、前記車両の稼働状況や障害情報やメンテナンスのための各種の情報を得、これにより、建設機械等の車両のメンテナンスや障害(故障等)の復旧を行う。
【0004】
従来、これら建設機械等の車両に搭載された電子機器において、データを管理する場合、その手段として、データをファイル形式にて管理する方法がとられている。そして、実際のデータ蓄積場所(データを読み書きする媒体)として、フラッシュメモリが用いられている。
【0005】
ところで、前記フラッシュメモリに書き込まれたファイルを、書き込みモードでオープンし、書き換えを行っている最中に、電子機器への電源の供給が停止したり予期せぬ事象によりシステムがリセット状態となった場合等、フラッシュメモリ上の書き換え動作の行われているファイルデータへの書き換え動作が中断されてしまい、前記書き換え動作中のファイルが破壊されてしまうという問題が発生する。
【0006】
また、フラッシュメモリに書き込まれたファイルを、書き込みモードでオープンし、書き換えを行っている最中に、オペレータが不用意にキースイッチ(イグニッションキー等)をオフにした場合等も、電子機器への電源の供給が停止し、フラッシュメモリ上の書き換え動作の行われているファイルデータへの書き換え動作が中断されてしまい、前記書き換え動作中のファイルが破壊されてしまうという問題が発生する。
【0007】
一方、これら電子機器への不慮の電源の供給停止を補完すべく、コンデンサや電池等による電源のバックアップを考えた場合でも、フラッシュメモリ上への大容量のデータの書き込みに備える必要から、コンデンサや電池等の容量を大きなものとしなければならず、場積みやコストの制約上十分なバックアップ体制を整えることは困難であるという問題があった。また、電池は1次でも2次でも寿命の問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来、フラッシュメモリに書き込まれたファイルを、書き込みモードでオープンし、書き換えを行っている最中に、電子機器への電源の供給が停止したり予期せぬ事象によりシステムがリセット状態となったり、オペレータが不用意にキースイッチ(イグニッションキー等)をオフにした場合等、電子機器への電源の供給が停止し、フラッシュメモリ上の書き換え動作の行われているファイルデータへの書き換え動作が中断されてしまい、前記書き換え動作中のファイルが破壊されてしまうという問題があった。
【0009】
また、電子機器への不慮の電源の供給停止を補完すべく、コンデンサや電池等による電源のバックアップを考えた場合でも、フラッシュメモリ上への大容量のデータの書き込みに備える必要から、コンデンサや電池等の容量を大きなものとしなければならず、場積みやコストの制約上十分なバックアップ体制を整えることは困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、フラッシュメモリに書き込まれたファイルに書き換えを行っている最中に、電子機器への電源の供給が停止した場合でも、書き換え動作中のファイルが破壊されることのない、または最悪でも前回セーブしたファイルが残り得る車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置は、車両の稼働状況、障害発生情報、メンテナンスのための情報等の各種のデータ群を取得し、不揮発性メモリにそれぞれ記憶し、該不揮発性メモリに記憶された各情報ファイルを更新中に、メイン電源供給手段からの電源の供給が停止した場合に、該ファイルの破壊を防止、若しくは被害を最小限にとどめる車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置であって、前記電子機器に対して予備の電源を供給する補助電源供給手段と、前記メイン電源電圧と前記補助電源電圧とを監視し、前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となると内蔵タイマのカウントアップを開始し、該タイマ値が所定の値以上となるまで前記電子機器に対して予備の電源を供給し続ける補助電源制御手段と、前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルの更新処理を行うと共に前記不揮発性メモリに書き込み中に所定の間隔(タイマ値が所定の値になるまでの間隔)以内にリセット信号を繰り返し出力するタスクと、前記補助電源制御手段に内蔵されたタイマのタイマ値を前記タスクからのリセット信号を受信することによってリセットするタイマ値リセット手段とを備えて構成されることを特徴とするものである。
【0012】
ここで、上記請求項1に記載の発明によれば、メイン電源電圧と補助電源電圧とを監視し、前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となるとタイマをスタートし、タイムアップするまで補助電源が供給されるようにしておき、タスクが不揮発性メモリに書き込みを行う直前にリセット信号を出力すると、前記タイマを再スタートさせるようにしたので、メイン電源の供給が停止した際に、タスクがフラッシュメモリにファイル書き込み動作中の状態であっても、書き込み中のファイルが破壊されることなく正常にファイル書き込み動作を完了させることができる。また、この処理により、車体バッテリの電力消費をも押さえることが可能である。
【0013】
また、請求項2記載の発明である車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置は、車両の稼働状況、障害発生情報、メンテナンスのための情報等の各種のデータ群を取得し、不揮発性メモリにそれぞれ記憶し、該不揮発性メモリに記憶された各情報ファイルを更新中に、メイン電源供給手段からの電源の供給が停止した場合に、該ファイルの破壊を防止、若しくは被害を最小限にとどめる車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置であって、前記電子機器に対して予備の電源を供給する補助電源供給手段と、前記メイン電源電圧と前記補助電源電圧とを監視し、前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となると内蔵タイマのカウントアップを開始し、該タイマ値が所定の値以上となるまで前記電子機器に対して予備の電源を供給し続ける補助電源制御手段と、前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルの更新処理を行うと共に前記不揮発性メモリに書き込み中に所定の間隔(タイマ値が所定の値になるまでの間隔)以内にリセット信号を繰り返し出力するタスクと、前記補助電源制御手段に内蔵されたタイマのタイマ値を前記タスクからのリセット信号を受信することによってリセットするタイマ値リセット手段と、前記情報ファイルを一時的に記憶するRAMとを備え、前記タスクが、前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルを前記RAMにコピーする手段と、前記RAMに記憶された前記情報ファイルに対してデータの更新を行い、第2の情報ファイルを生成するデータ更新手段と、前記データ更新手段により更新された前記第2の情報ファイルを前記不揮発性メモリ上であって、前記データ更新手段により更新される以前の情報ファイルが記憶されていた領域以外の領域にコピーする手段とを備えて構成されることを特徴とするものである。
【0014】
ここで、上記請求項2に記載の発明によれば、フラッシュメモリ上における元のファイル(前回セーブしたファイル)を、新ファイル(元のファイルが更新されたファイル)が作成されCLOSEが完了するまでの間、前記フラッシュメモリ上に保持しておくようにしたので、最悪の状態での電源の供給停止が発生した場合であっても、元のファイルを残すことができる。また、ファイルが破壊され得るタイミングは更新ファイルのCLOSE処理中の短期間となる為、更新ファイル破壊のタイミングが少なくなり、破壊の確率を低下させることができる。
【0015】
また、請求項1または2に記載の車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置において、前記タスクはマルチタスク構成であってもよい。これによれば、マルチタスク構成であっても、請求項1と同様の作用を有するため、メイン電源の供給が停止した際において、タスク群の内の何れかのタスクがフラッシュメモリにファイル書き込み動作中の状態であっても、書き込み中のファイルが破壊されることなく正常にファイル書き込み動作を完了させることができる。
【0016】
一方、請求項3記載の発明である車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法は、車両の稼働状況、障害発生情報、メンテナンスのための情報等の各種のデータ群を取得し、不揮発性メモリにそれぞれ記憶し、該不揮発性メモリに記憶された各情報ファイルを更新中に、メイン電源供給手段からの電源の供給が停止した場合に、該ファイルの破壊を防止、若しくは被害を最小限にとどめる車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法であって、前記電子機器に対して補助電源を供給する手順と、前記メイン電源電圧と前記電子機器に対して供給される補助電源電圧とを監視する手順と、前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となると内蔵タイマのカウントアップを開始する手順と、前記タイマ値が所定の値以上となるまで、前記電子機器に対して予備の補助電源を供給する手順と、前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルに書き込みを行う手順と、前記不揮発性メモリに書き込み中に所定の間隔(タイマ値が所定の値になるまでの間隔)以内にリセット信号を繰り返し出力する手順と、前記補助電源制御手段に内蔵されたタイマのタイマ値を、リセット信号を受信することでリセットする手順とを含むことを特徴とする。
【0017】
ここで、上記請求項3に記載の発明によれば、不揮発性メモリ上における元のファイル(前回セーブしたファイル)を、新ファイル(元のファイルが更新されたファイル)が作成されCLOSEが完了するまでの間、前記メモリ上に保持しておくようにしたので、最悪の状態での電源の供給停止が発生した場合であっても、元のファイル(前回セーブしたファイル)を残すことができる。
【0018】
また、請求項3記載の車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法において、前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルをRAMにコピーする手順と、前記RAMに記憶された前記情報ファイルに対してデータの更新を行い、第2の情報ファイルを生成する手順と、前記更新された前記第2の情報ファイルを更新される以前の情報ファイルが記憶されていた領域以外の前記不揮発性メモリ上の領域にコピーする手順とを新たに含むようにしてもよい。これによれば、請求項3の作用・効果に加え、不揮発性ファイルが破壊され得るタイミングを、更新ファイルのCLOSE処理中の短期間としたため、更新ファイル破壊のタイミングが少なくなり、破壊の確率を低下させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置における構成を示したブロック図である。
【0020】
図1に示す如くに、本発明の車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置は、コントローラ1と、コントローラ1に補助電源を供給するバッテリEと、コントローラ1に駆動電源を供給する電源回路4と、図示しないオルタネータやダイナモ等のメイン電源供給源より供給される電源電圧をダイオードD1を介して電源回路4に供給するキーSW(イグニッションキー等)と、バッテリEからの電源電圧をダイオードD2を介して電源回路4に供給するSW2と、メイン電源電圧と補助電源電圧とを比較し、タイマーを起動してSW2のオン/オフを制御する補助電源制御部3と、キーSWのオフによって、ただちに動作終了するとコントローラ1が誤動作を起こす可能性があることから安全上問題となったり、データの破壊を招き、様々な不具合につながるような動作を司っている、図示しないCPU(及びOS)の制御の基で動作するタスク群(タスクA,B,C,D,…)と、タスク群からのリセット信号によって補助電源制御部3のタイマーリセットを行うカウンタリセットスイッチ2と、タスク群によりデータファイルの読み出し書き込みが行われるフラッシュメモリ(以降FLASHメモリともいう)5及びRAM6とにより構成される。
【0021】
尚、バッテリEより供給される前記補助電源は、建設機械等の車両における偶発故障による断線やバッテリ電圧Eの低下などにより、SW2がオンしていてもコントローラ内部(電源回路4等)に補助電源を供給できない場合がある。
【0022】
ところで、本発明における電子機器蓄積データファイルの保護動作は、図1の補助電源制御部3によって行われるものと、タスク群(タスクA,B,C,D,…)の処理(動作)によって行われるものとがある。実際には、上記2つの動作が連係することにより、データファイルの保護動作が行われる。
【0023】
先ず、補助電源制御部3によって行われるデータファイルの保護動作について説明する。
図1において、初期状態ではコントローラ1を構成するキーSW、SW2共にオフとなっており、キーSW(イグニッションキー)がオンされるとコントローラ1は動作を開始する。これに伴い、補助電源制御部3は、メイン電源電圧が補助電源電圧と比べて所定の電圧以上になった場合、例えば、
(メイン電源電圧) ≧ (補助電源電圧)/2 …(1)
となった場合に、SW2をオンする。その後、キーSWがオフされ、メイン電源電圧が、補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となった場合、例えば、
(メイン電源電圧) < (補助電源電圧)/2 …(2)
となった場合、補助電源制御部3はタイマをカウントアップし、タイマ値が所定の値以上となった場合、SW2をオフしてコントローラ1の動作を停止する。
【0024】
以上から、キーSWオン時にコントローラ1(電子機器)が稼働するとSW2がオンし、コントローラ1に補助電源(バッテリー電圧)が供給される。この後キーSWがオフされること等により、コントローラ1へのメイン電源の供給が停止した場合でも、補助電源制御部3が一定時間コントローラ1に対して補助電源(バッテリー電圧)を供給し続ける。
【0025】
これにより、コントローラ1へのメイン電源の供給が停止した際に、タスク群の内の何れかのタスクがフラッシュメモリ5等にファイル書き込み動作中の状態であっても、書き込み中のファイルが破壊されることなく正常にファイル書き込み動作が完了することになる。尚、この処理により、車体バッテリEの電力消費を、同時に押さえることが可能である。
【0026】
次に、タスク群(タスクA,B,C,D,…)の処理(動作)によって行われる(補助電源制御部3も一部で使用)データファイルの保護動作について説明する。説明は図面を用いて行う
図2はFLASHメモリ5に記憶されたファイルをRAM6にコピーし、RAM6上でバッファ7を介在させてデータ(ファイル)の書き換えを行った後、RAM6からFLASHメモリ5に再びファイルをコピーすることで、もともとFLASHメモリ5に記憶されたファイルの書き換え(更新)を行う動作を示した図である。また、図3はFLASHメモリ5に記憶されたファイルのオープン動作を示したフローチャートであり、図4はFLASHメモリ5における書き換えられたファイルのクローズ動作を示したフローチャートである。
【0027】
以下、図3及び図4のフローチャートに従い、図1及び図2を参照しながら、フラッシュメモリに書き込まれたファイルの、タスク群(タスクA,B,C,D,…)による書き換え動作について詳細に説明を行う。尚、以降の説明において、説明を簡略化するため、ファイルの書き換え動作はタスクAによって行われるものとして説明を行う。
【0028】
先ず、FLASHメモリ5に記憶されたファイルのオープン動作について、図3を用いて説明する。
【0029】
図1における、コントローラ(電子機器)1内に設けられた、図示しないCPU(及びOS)の制御の基で動作するタスクAは、フラッシュメモリ5上に記憶された所定のファイル(書き換えを行おうとするファイル100)の最初のセクタの探索を行う(ステップS1)。最初のセクタの探索は、図2(a)におけるフラッシュメモリ5の各セクタ毎に設けられたファイルの状態を示すデータエリア8Fに、ヘッダデータであることを示すファイル状態情報“3FFF”が書き込まれているセクタを探すことで行われる。
【0030】
タスクAは最初のセクタが検出されると、RAM6上に空きセクタを探し、該空きセクタに、フラッシュメモリ5上の前記最初のセクタに記憶されていたデータ(情報)をコピーする(ステップS2)。このとき、前記RAM6上の空きセクタにおけるファイルの状態を示すデータエリア8Rの内容は何でも良い(以降同様)。
【0031】
ヘッダデータの記憶された最初のセクタに記憶されていたデータ(情報)のコピーを行ったタスクAは、フラッシュメモリ5上にコピーすべき次のセクタがあるか否かを判断する(ステップS3)。尚、当該ファイルを構成する前記データは、セクタ単位にて分割構成・管理されているため、必ずしもアドレス上連続している必要はない。これは、RAM6上においても同様である。
【0032】
いま、図2(a)に示す如くに、前記所定のファイル(書き換えを行おうとするファイル100)が4つのセクタにより構成されているとすると、タスクAは次のセクタ(2番目のセクタ)をフラッシュメモリ5上より探索し(ステップS4)、図1におけるカウンタリセットスイッチ2にリセット信号を出力する(ステップS5)。
【0033】
リセット信号を出力したタスクAは、ステップS2へ戻り、RAM6上に空きセクタを探し、該空きセクタに、フラッシュメモリ5上の前記2番目のセクタに記憶されていたデータ(情報)をコピーする。タスクAは、以降、4番目のセクタのRAM6へのコピーが完了するまでステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS2の一連の処理を繰り返し、4番目のセクタのRAM6へのコピーが完了すると、FLASHメモリ5に記憶されたファイルのオープン動作の処理を終了する。
【0034】
この後、タスクAは、RAM6上にコピーされた、前記書き換えを行おうとするファイル100より、指定されたバッファへ指定されたバイト数だけデータをコピーし、逆に指定されたバッファからRAM6上のファイル100に対して指定されたバイト数だけデータをコピー(ライト)する。以上を繰り返すことにより、RAM6上のファイル100、即ち前記書き換えを行おうとするファイル100の書き換えがRAM6上にて行われる。
【0035】
次に、フラッシュメモリ5における書き換えられたファイルのクローズ動作について、図4を用いて説明する。
先ず、タスクAは、フラッシュメモリ5上にファイルヘッダ用及びファイルデータ用の空きセクタを探索・確保する(ステップT1)。尚、以降の説明では、書き換えの行われたRAM6上のファイル100のサイズ(セクタ数)に変更が無かったものとして、即ち、RAM6上のファイル100は、4つのセクタにより構成されているものとして説明を行う。
【0036】
次に、タスクAは、フラッシュメモリ5上に確保した空きセクタの先頭のセクタ(ファイルヘッダ用として確保したセクタ)におけるデータエリア8Fに、データ書き込み中であることを示すファイル状態情報“7FFF”を書き込むと共に、前記フラッシュメモリ5上にファイルヘッダ用として確保した先頭のセクタ(空きセクタ)に、RAM6上のファイル100のヘッダ情報を書き込む(ステップT2)。
【0037】
ヘッダ情報を書き込んだタスクAは、フラッシュメモリ5上に確保した空きセクタの次(2番目)のセクタ(ファイルデータ用として確保したセクタ)におけるデータエリア8Fに、データ書き込み中であることを示すファイル状態情報“7FFF”を書き込むと共に、前記フラッシュメモリ5上にファイルデータ用として確保した次(2番目)のセクタ(空きセクタ)に、RAM6上のファイル100のファイルデータ1セクタ分を書き込む(ステップT3)。
【0038】
ファイルデータ1セクタ分を書き込んだタスクAは、フラッシュメモリ5上に次のファイルデータ用の空きセクタを探索・確保し(ステップT4)、図1におけるカウンタリセットスイッチ2に対してリセット信号を出力する(ステップT5)。
【0039】
リセット信号を出力したタスクAは、RAM6上のファイル100にコピーすべき次のセクタがあるか否かを判断する(ステップT6)。ここで、前述の通りRAM6上のファイル100は、4つのセクタ(ヘッダを含む)により構成されているので、ステップT7の処理へ進み、RAM6上のファイル100の次(ここでは3番目のセクタ)のファイルデータ1セクタ分を用意し、ステップT3へ戻る。以降、フラッシュメモリ5上に確保された4番目のセクタ(空きセクタ)に、RAM6上のファイル100の4番目のセクタのファイルデータ1セクタ分が書き込まれるまで、ステップT7→ステップT3→ステップT4→ステップT5→ステップT6の一連の処理を繰り返す。これにより、フラッシュメモリ5上には、図2(a)に示す如くに、CLOSE時新たに書き込まれたファイル101が生成される。
【0040】
前記一連の処理を抜けたタスクAは、フラッシュメモリ5上に確保した空きセクタの先頭のセクタ(ファイルヘッダ用として確保したセクタ)におけるデータエリア8Fを、データ書き込み中であることを示すファイル状態情報“7FFF”から、ファイルヘッダであることを示すファイル状態情報“3FFF”に書き換え(ステップT8)、同様に、フラッシュメモリ5上に確保した空きセクタの内のファイルデータ用として確保したセクタにおける全て(この場合3つ)のデータエリア8Fを、データ書き込み中であることを示すファイル状態情報“7FFF”から、ファイルデータであることを示すファイル状態情報“1FFF”に書き換える(ステップT9)。
【0041】
そして最後に、タスクAは、フラッシュメモリ5上の書き換えを行おうとするファイル100のファイルヘッダ用のセクタのファイルの状態を示すデータエリア8Fを、ファイルヘッダであることを示すファイル状態情報“3FFF”から不用データが記憶されていることを示す“0000”に書き換え(ステップT10)、同様に、フラッシュメモリ5上の書き換えを行おうとするファイル100のファイルデータ用のセクタのファイルの状態を示すデータエリア8Fを、ファイルデータであることを示すファイル状態情報“1FFF”から不用データが記憶されていることを示す“0000”に書き換え(ステップT11)、フラッシュメモリ5における書き換えられたファイルのクローズ動作を終了する。
【0042】
以上から、ファイル(フラッシュメモリ5)へのデータの書き込みは、RAM6上のセクタに対して行われるため、最悪の状態での電源の供給停止が発生しても、元のファイル(前回セーブしたファイル)そのまま残ることになる。
【0043】
具体的には、フラッシュメモリ5へのデータの書き込みは、CLOSE動作時のみ行われ、しかもフラッシュメモリ5へのデータの上書きは行わず、新しい領域に書き込まれる。また、データ書き込み中は、元のファイル(前回セーブしたファイル)はそのままであり、フラッシュメモリ5へのデータの書き込み終了時に、元のファイルに不用マーク付け破棄し、新しいファイルに正式データマークを付け有効とする。これにより、マークの付け直しのタイミング以外で最悪の状態での電源の供給停止が発生しても、元のファイル(前回セーブしたファイル)はそのまま残ることになる。即ち、クリティカルなタイミングは、図2(b)における3から4への移行(遷移)、つまり、図4のステップT8〜T11のタイミングのみである。
【0044】
尚、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、メモリ上における元のファイル(前回セーブしたファイル)を、新ファイル(元のファイルが更新されたファイル)が作成されCLOSEが完了するまでの間、前記メモリ上に保持しておくようにしたので、最悪の状態での電源の供給停止が発生した場合であっても、元のファイル(前回セーブしたファイル)を残すことができる。
【0046】
また、ファイルが破壊され得るタイミングは、更新ファイルのCLOSE処理中の短期間となるため、更新ファイル破壊のタイミングが少なくなり、破壊の確率を低下させることができる。
【0047】
さらに、メイン電源が供給され、本発明の電子機器が稼働すると補助電源が供給され、この後何らかの原因でメイン電源の供給が停止した場合でも、補助電源制御部が一定時間電子機器に対して補助電源(バッテリー電圧)を供給し続けるようにしたので、メイン電源の供給が停止した際に、ファイル書き込み動作中の状態であっても、書き込み中のファイルが破壊されることなく正常にファイル書き込み動作が完了させることができる。尚、この処理により、車体バッテリの電力消費を同時に押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置における構成を示したブロック図である。
【図2】フラッシュメモリ5上に記憶されたファイルにおけるファイルのオープン並びにクローズの動作を示した図である。
【図3】フラッシュメモリ上に記憶されたファイルのオープン動作を示したフローチャートである。
【図4】フラッシュメモリ上における書き換えられたファイルのクローズ動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 コントローラ(電子機器)
2 カウンタリセットスイッチ
3 補助電源制御部
4 電源回路
5 フラッシュ(FLASH)メモリ
6 RAM
7 バッファ
8F,8R ファイルの状態を示すデータエリア
100 書き換えを行おうとするファイル
101 CLOSE時新たに書き込まれるファイル
キーSW,SW2 スイッチ
D1,D2 ダイオード
E バッテリ
タスクA,B,C,D,… 制御モジュール
Claims (3)
- 車両の稼働状況、障害発生情報、メンテナンスのための情報等の各種のデータ群を取得し、不揮発性メモリにそれぞれ記憶し、該不揮発性メモリに記憶された各情報ファイルを更新中に、メイン電源供給手段からの電源の供給が停止した場合に、該ファイルの破壊を防止、若しくは被害を最小限にとどめる車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置であって、
前記電子機器に対して予備の電源を供給する補助電源供給手段と、
前記メイン電源電圧と前記補助電源電圧とを監視し、前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となると内蔵タイマのカウントアップを開始し、該タイマ値が所定の値以上となるまで、前記電子機器に対して予備の電源を供給し続ける補助電源制御手段と、
前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルの更新処理を行うと共に、前記不揮発性メモリに書き込み中に所定の間隔以内にリセット信号を繰り返し出力するタスクと、
前記補助電源制御手段に内蔵されたタイマのタイマ値を、前記タスクからのリセット信号を受信することによってリセットするタイマ値リセット手段と、
を備えたことを特徴とする車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置。 - 車両の稼働状況、障害発生情報、メンテナンスのための情報等の各種のデータ群を取得し、不揮発性メモリにそれぞれ記憶し、該不揮発性メモリに記憶された各情報ファイルを更新中に、メイン電源供給手段からの電源の供給が停止した場合に、該ファイルの破壊を防止、若しくは被害を最小限にとどめる車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置であって、
前記電子機器に対して予備の電源を供給する補助電源供給手段と、
前記メイン電源電圧と前記補助電源電圧とを監視し、前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となると内蔵タイマのカウントアップを開始し、該タイマ値が所定の値以上となるまで、前記電子機器に対して予備の電源を供給し続ける補助電源制御手段と、
前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルの更新処理を行うと共に、前記不揮発性メモリに書き込み中に所定の間隔以内にリセット信号を繰り返し出力するタスクと、
前記補助電源制御手段に内蔵されたタイマのタイマ値を、前記タスクからのリセット信号を受信することによってリセットするタイマ値リセット手段と、
前記情報ファイルを一時的に記憶するRAMと、
を備え、
前記タスクは、
前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルを前記RAMにコピーする手段と、
前記RAMに記憶された前記情報ファイルに対してデータの更新を行い、第2の情報ファイルを生成するデータ更新手段と、
前記データ更新手段により更新された前記第2の情報ファイルを、前記不揮発性メモリ上であって、前記データ更新手段により更新される以前の情報ファイルが記憶されていた領域以外の領域にコピーする手段と、
を備えて構成されることを特徴とする車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護装置。 - 車両の稼働状況、障害発生情報、メンテナンスのための情報等の各種のデータ群を取得し、不揮発性メモリにそれぞれ記憶し、該不揮発性メモリに記憶された各情報ファイルを更新中に、メイン電源供給手段からの電源の供給が停止した場合に、該ファイルの破壊を防止、若しくは被害を最小限にとどめる車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法であって、
前記電子機器に対して補助電源を供給する手順と、
前記メイン電源電圧と前記電子機器に対して供給される補助電源電圧とを監視する手順と、
前記メイン電源電圧が前記補助電源電圧と比べて所定の電圧以下となると内蔵タイマのカウントアップを開始する手順と、
前記タイマ値が所定の値以上となるまで、前記電子機器に対して予備の補助電源を供給する手順と、
前記不揮発性メモリに記憶された情報ファイルに書き込みを行う手順と、
前記不揮発性メモリに書き込み中に所定の間隔以内にリセット信号を繰り返し出力する手順と、
前記補助電源制御手段に内蔵されたタイマのタイマ値を、リセット信号を受信することでリセットする手順と、
を含むことを特徴とする車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10452299A JP4049286B2 (ja) | 1999-04-12 | 1999-04-12 | 車両搭載電子機器蓄積データファイルの保護方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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