JP4048945B2 - ロータリーキルンにおける難燃性燃料の燃焼方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、無煙炭や石油コークス等の、揮発分の少ない難燃性の主燃料を、セメントキルンなど、キルンへ供給される2次空気やキルンから排出される原料の温度が高いロータリーキルンで、補助燃料を加えることで効率良く燃焼させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にロータリーキルンでは、燃焼用の空気を排出される原料と接触させることが容易なため、熱交換を行った後の高温の2次空気を利用することが多い。そのため、他のタイプの炉では利用の困難な難燃性の燃料でも効率良く使うことができる。特にロータリーキルンの代表的例であるセメント焼成炉では2次空気温度も高く、セメント製造原価低減などの要求も有って、低価格の難燃性燃料の利用を推進している。しかし、そのような難燃性の燃料の使用比率を上げると、キルン後方(以後、燃焼ガスの流れを基準にして前後を表現する)が燃焼遅れのため強い還元雰囲気となり、異常反応が発生し、コーチングと呼ばれる巨大な付着物が、排気煙道も兼ねているSP(サスペンションプレヒータ:原料予熱器)内に成長し、生産に大きな影響を及ぼしている。そのため、それまでと同じ燃焼性を得ようとすると、燃料を更に細かく粉砕するか、空気比を上げて燃焼させる必要が有り、非効率的な運転となっている。しかし、そのような対策だけでは十分な効果が得られないことも多く、未だコーチングトラブルに悩まされている。また、他のロータリーキルンにおいても、コーチングトラブルこそセメント焼成炉ほどではないが、未燃分の増加により非効率的な運転を余儀なくされている。
【0003】
一方、近年、物を廃棄する場合、燃やしたり埋め立てたりして処分することが困難となり、自治体等からの要請も有って、セメントの原燃料として利用する機会が増えている。その際、可燃分が少ないものは原料として利用している。また、可燃分が多いものは、窯尻(キルン最後端)から入れて利用しているが、その燃焼のため窯尻が強い還元雰囲気となって異常反応によるコーチングトラブルが発生している。そのため、空気比を大きくして還元性を弱めた運転をする必要から、効率が悪化したりSPファン能力が不足し、使用量がかなり限られている。このような理由から、最近では廃プラスチックや廃木材、廃畳などほとんどが可燃分のものは、窯前(キルン最前端)や仮焼炉でバーナーを使って燃焼させる方法が採られるようになってきている。
そこで、発明者は、可燃物を窯前から利用する方法について検討を重ねてきたが、その結果、文献には書かれていない色々な問題が存在することが判明した。
【0004】
例えば、従来のロータリーキルンにおける廃プラスチックの吹き込みは、粒径20mm以下の廃プラスチック粒子を細束流にして、主燃料の吹き込み位置の上側から吹き込んで燃焼させている(例えば、特許文献1)。これを参考に、主バーナーより上から可燃物である廃プラスチックを投入すると、0.5〜2mm程度の大きさで内部の詰まった物や、シート状又はスポンジ状又は絡んだ糸状といった気体に飛ばされやすい1〜20mg程度の物は、クーラーからの2次空気の上昇流で舞い上がり、燃え切らずにキルン上部の耐火物に当たって、耐火物を傷める可能性が有ることが判明した。そのため、そのような小さなプラスチックを主バーナーより上から投入するには、30m/秒程度以上のかなりの初速度を持たせてフレームを形成するように吹き込んで空中で大部分を燃え切らせる必要が有ることが分かった。
【0005】
そこで逆に、プラスチックを30m/秒程度以下の経済的な初速度で吹き込むには、かなりの粒子が、キルン内の原料中に着地するような条件が有効であると推測した。ところが、そのように着地させて燃焼させると、可燃性廃棄物が燃焼している周囲が強い還元性雰囲気となって、クリンカーの品質に悪影響を与える可能性が懸念された(特許文献2、3)。
特許文献2の発明では、可燃性廃棄物を焼成帯の上流に投入到達させる方法で、この悪影響を避けようとしている。すなわち、セメント原料焼成装置が対象の場合、前記コーチングの問題に加え、クリンカ品質低下の問題が発生するのである。しかしながら、特許文献3などの結果を見ても、この悪影響も少量の可燃物なら大きな問題にならないことは知られている。
【0006】
【特許文献1】
特許第3195192号公報(請求項2)
【特許文献2】
特許第2905689号公報(段落[0003]、表1)
【特許文献3】
特開平11−100244号公報(表3,表4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、難燃性燃料を主燃料として焼成を行なうロータリーキルンにおいて、揮発分の高い可燃物を補助燃料として使用する、主燃料燃焼性の改善を主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、粒径が3mm程度のナイロンチップを、窯前投入燃料総発熱量の2〜20%相当分の量を、それと同程度〜数倍程度の質量で流速が10〜30m/秒程度の空気に同伴させて、窯前の主燃料バーナーより下の方から吹き込んだ実験を行ったところ、空気比を増やしていないにも関わらず窯尻のCO濃度が0.2%程度から0.1%以下にまで低下するという驚くべき結果を見出した。これは特許文献3に記載された結果と逆である。窯尻のCO濃度が低下すると云うことは、その時使用していた難燃性燃料の燃焼遅れが解消し、コーチングトラブルの原因となるキルン後方における強い還元雰囲気の発生が弱まったことを意味する。実際、窯尻の原料分析などから異常反応の発生が減少していることも確認できた。
また、投入ナイロンチップのかなりの部分が、窯前付近の原料(この時点で半製品であるクリンカーにほぼ焼成されている)に着地して燃焼しているにも関わらず、得られたクリンカーから製造したセメントは色の変化やモルタル等の強度低下はほとんど見られなかった。
【0009】
本発明者等はこの現象が起こった理由を次のように推測した。先ず、主燃料の燃焼性の改善については、供給したナイロン粒子の一部が2次空気に乗って舞い上がりながら燃焼して、主燃料の燃焼フレームに吸い込まれるような現象が観察できたことから、燃焼用空気温度の上昇と、揮発分が分解・燃焼中に発生するフリーラジカルによって燃焼が活性化したことが考えられた。
又、セメントの強度低下を招かなかったことについては、例えば、ナイロンは石炭の工業分析と同様の評価では揮発分が99%以上と高く、500℃以上の温度下ではその大部分が酸素が無くても分解して気化するので、着地したクリンカー周辺の酸素をほとんど奪うことなく分解・気化し、更に燃焼・分解によって小径化した後は2次空気に乗って飛散するため、クリンカー周辺が強い還元雰囲気にならなかったことが要因として考えられた。
【0010】
そこで、更に、ナイロンチップに代えて他のプラスチックのチップや、廃木材や椰子殻、畳といった植物を粉砕した物を用いて同様の実験を繰り返し、観察を行なった。その結果、揮発分の少ない難燃性主燃料の燃焼フレームに、揮発分の多い可燃物が燃えながら少量入るような条件で補助燃料を供給すると、主燃料を効率良く燃焼させ燃焼性を改善することができ、且つ、セメントのロータリーキルンにおいては更に品質を低下させない効率的な方法が有ることを見い出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、セメント原料をロータリーキルンにおいて焼成した後、生成したセメントクリンカーをクーラーへ導き、クーラーに供給された空気でセメントクリンカーを急冷する方法において、ロータリーキルンの窯前の主燃料バーナーに難燃性燃料を供給し、難燃性燃料の補助燃料として主燃料のバーナーより下方から可燃性固形物を供給し、補助燃料のフレームから漏れ出る補助燃料を、クーラーからロータリーキルンへ導かれた前記空気に同伴させて、主燃料のフレームへと燃えながら供給することを特徴とするロータリーキルンにおける難燃性燃料の燃焼方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
主燃料の燃焼性改善に効果を示す補助燃料としては、揮発分が80%(燃えにくい木材などがこれに入る)以上である可燃物が使用可能であるが、揮発分95%(PETなどがこれに入る)以上のものが好ましく、99%以上(残滓がほとんど出ず燃え切る普通の多くのプラスチックがこれに入る)が更に好ましい。
【0013】
又、主燃料の燃焼性を向上させるには、補助燃料が主燃料用バーナー炎に供給される必要が有り、そのためには補助燃料は、主燃料用バーナー炎より上流側に供給される必要があることは勿論、主燃料のフレームに補助燃料が燃え切らずに供給される必要がある。
主燃料の燃焼性改善に寄与の有った、揮発分が80%以上で有る可燃物の場合、球に近い全体が詰まった形状のものでは、燃え切らないためには、0.5mm以上、好ましくは1mm以上の大きさが必要である。逆に舞い上がるためには、30mm(約20g)以下である必要があるが、10mm(約1g)以下であればより好ましい。舞い上がった粒子は、燃えながら大部分が主燃料のフレームに吸引されるように2次空気に乗って供給される。
一方、シート状又はスポンジ状又は絡んだ糸状といった気体に飛ばされやすい形状物では、代表的な大きさを1g以上とし、同伴空気量を更に減らして供給すると、クリンカー上に一部着地する程度で、大部分が燃えながら主燃料のフレームに吸引されるように供給されていることを確認した。
【0014】
この様な現象が起こるのは、主燃料のバーナーはフレームを形成させるため50m/秒以上の1次空気速度を持つが、2次空気速度やキルン内の平均速度は10〜30m/秒程度なので、ベルヌーイの法則により主燃料のフレームに負圧が発生し吸引されるような流れになっているためと考えられる。この時、同じ2次空気の流れから見て主燃料用バーナー炎より上流であっても、2次空気の主流の中に補助燃料を供給できなければ、主燃料のフレームにうまく吸引されるように補助燃料は流れず、燃焼性の改善は期待できないのみならず、主燃料バーナや壁面の耐火物に当たってそこで燃えるなどして耐火物劣化トラブルの発生が懸念されることになる。
どちらの形状についても、1個の重さが20gより大になると補助燃料の舞上がりは余り起きておらず、燃焼性の改善は確認されなかった。
【0015】
補助燃料が表面から揮発して燃えながら主燃料のフレームに供給されるには、2次空気温度は平均で500℃以上にする必要がある。600℃〜1200℃であれば更に好ましい。窒素雰囲気での可燃物の燃焼実験から、補助燃料の可燃物の揮発分は、酸素が無くても500℃以上でほぼ全量が揮発することを確認しており、主燃料の燃焼改善効果が高くなる。更に、ロータリーキルンから排出される原料がそのまま製品になったとしても、原料は、2次空気より高温である500℃以上あるので、揮発分が80%以上有るような可燃物ならば大部分が揮発し更に灰分も2次空気と共にほとんどが飛散するので、製品の品質上も効率上も問題が少ない。また特にセメント原料焼成装置が対象である場合には、この温度条件下では、クリンカー品質に殆ど影響を与えなかった。つまり、補助燃料は2次空気から酸素をほとんど奪うことなく揮発してその後燃焼するので、着地したクリンカー周辺を強い還元雰囲気にすることがないため、クリンカー品質への影響が小さかったと考えられる。
【0016】
補助燃料の同伴空気速度を30m/秒より大にすると、はっきりとフレームを形成して燃えるようになり、補助燃料が主燃料のフレームにうまく供給されないためか、燃焼性の改善効果は小さい。30m/秒以下に流速を絞ると、大きな粒子はフレームから漏れ始め、クリンカー上に落下したり主燃料のフレームへと吸収されるようになり、燃焼性の改善が見られるようになった。更に、20m/秒以下に流速を絞ると、フレームから漏れ出る粒子が顕著となり、15m/秒以下ではフレームがほとんど無くなって、粒子が全体にばらけて、一部大きな粒子はクリンカー上に落下するようになったが、主燃料のフレームへと燃えながら供給される粒子もかなり多くなり、主燃料の燃焼も大きく改善されていた。
【0017】
補助燃料のバーナーは、流速が速い時は単純な筒で良いが、補助燃料の同伴空気の速度が遅くなると、バーナーが加熱されて融点の低い補助燃料が付着するようになり閉塞の危険が生じる。そのため、バーナーを2重管にして外側に冷却空気を流したり、3重管にしてすぐ外側に水の行きを、一番外側にその水の帰りを冷却水として流すこともできる。更に4重管にして冷却空気と冷却水を組み合わせることもできる。
【0018】
80%以上の揮発分を有し、本発明において補助燃料として利用可能なものとしては、プラスチック、木を始めとした植物、FRP等のプラスチック加工物、紙や畳等の植物の加工物、並びに、これらの廃棄物や更にRDF、RPF等と言った以上挙げた物の廃棄物を主体とする混合物を挙げることが出来る。
【0019】
補助燃料が主燃料の燃焼に悪影響を与えないためには、補助燃料だけで主燃料が生成する火炎温度を得ることが望ましい。Aの量のガスを温度T0からTまで熱するのに熱量Qが必要であった場合、その間の平均比熱をCとすると、AC(T−T0)=Qの関係が成り立つ。AとQを補助燃料1kg当たりで計算すると、Aは補助燃料1kg当たりの燃焼ガス量で約5km3N、T0を2次空気温度の500℃、Tを火炎温度の1750℃とすると、Cは約1.6kJ/m3N℃なので、Q=5×1.6×1250=10MJ/kgが補助燃料の低位発熱量として必要となる。セメントキルンでは、火炎温度Tは2000℃以上であるので、同様の計算から、12MJ/kgが補助燃料の低位発熱量として必要となる。現実には、効率が低いので、好ましくはその2〜3割り増しの12〜15MJ/kgが補助燃料に要求される低位発熱量となる。実際、低位発熱量が10MJ/kgより少ない量の補助燃料を利用した場合、主燃料を置き換える形での主燃料量の低減効果は、かなり低いものとなった。
【0020】
今までの実績から、高揮発率の瀝青炭と呼ばれる揮発分が28%より大きい燃料では燃焼性の悪化は余り見られず、石炭だけで十分燃焼可能であった。しかし、揮発分が28%以下の中揮発率の瀝青炭、特に揮発分が20%以下の無煙炭又は石油コークスにおいては、難燃性が顕著となり、窯尻のCO濃度が増加した非効率的な運転となった。そのため、燃料を更に細かく粉砕するか、空気比を上げるなどの対策をとる必要が有った。しかし対策が十分とれることは少なく、窯尻のCOは十分減らず、コーチングトラブルも発生している。同様の現象は、揮発分が28%以下となった混炭に対しても発生した。
【0021】
このように、揮発率が28%以下の難燃性の燃料を主燃料として利用するに際して、揮発率が80%以上でかつカロリーが10MJ/kg以上の前記可燃物を補助燃料として加えることにより、窯尻のCOが低い効率的な運転を行うことができる。特に、セメント原料焼成装置では、SPにおけるコーチングトラブルを抑制することもできる。
【0022】
以下では、本発明の、セメント原料焼成用のロータリーキルンへの応用例を示し、本発明を詳細に説明する。
図1は、現在一般的に使われているセメントクリンカー焼成装置の一例を、図2は、図1の窯前周辺の拡大図と共に従来技術の一実施例を示す。図3は、図2に対応した本発明の一実施例を示す。
図1を用いて、セメントクリンカーの焼成行程を説明する。原料はサスペンションプリヒーター(SP)のサイクロン3cの最上段(図には2つ描かれている)の入口に供給され、下段ガス出口から排出されるガスと熱交換をしながらサイクロン内に導かれ、サイクロンで固気分離される。固体として分離された原料は、直ぐ下のサイクロンの入口に再び供給され、各段のサイクロン(図では4段)で、「入口に供給」→「熱交換」→「固気分離」を繰り返し、仮焼炉3dに供給される。仮焼炉では燃料を燃焼させて石灰石成分から二酸化炭素を分離して生石灰成分を生成させる。なお、仮焼炉には色々な形式の物があり、更に装置によっては、仮焼炉の無い物も有る。気流に同伴されて仮焼炉を出た原料は、最下段のサイクロン内に導かれ、固気分離され、インレットフッド3aを経てキルン1へと供給される。原料は、キルンの傾斜に沿って窯尻から窯前へと更に熱交換をしながら移動して焼成され、(セメント)クリンカーとなる。セメントクリンカーは品質上急冷が必要なので、キルンを出た後直ぐにクーラー2へと導かれ、ここで空気などで急冷されて半製品であるセメントクリンカーとなる。セメント原料焼成装置では、この、急冷に使われたガスの一部がキルンへと導かれ、2次空気として利用されるが、この2次空気を巧く用いて、補助燃料を主燃料のバーナーフレームに供給して難燃性主燃料の燃焼性を改善しようと言うのが、本発明の主題である。
【0023】
燃料と気体の流れは次の様である。主燃料用バーナー7から数十m/秒の速度の空気などに同伴されてキルンに吹き込まれたキルン燃料は、2次空気と混合されてキルン内でフレーム7aを作って燃焼する。キルンで燃焼した燃焼排ガスはSP3に導かれる。SP内でガスは、インレットフッド3a、ライジングダクト3b(形式により非常に短い場合もある)、仮焼炉3d(形式により無い場合もある)を経て、サイクロン3cの一番下の段に供給され、順次上の段へと導かれ、最上段のサイクロンからファン6によって次行程に供給される。大型の仮焼炉では、燃焼用空気として、通常クーラーからの抽気を用いている。
【0024】
クーラーフッド2bにおけるガス温度は1000℃前後と高く、キルン1のエアシールのため弱い負圧で運転する必要が有る。そのため、クーラーフッドからSPファン前までのガス流れの動力は、通常SPファン6のみで賄う必要が有る。しかし、窯尻5にSPコーチング3eが大量に生成すると、キルン主燃料燃焼に必要な燃焼用空気を取れなくなるため、キルンの燃料を絞ることになり、減産に追い込まれる。これが窯尻ドラフトの悪化で、初期のコーチングトラブルである。更にコーチングが増えると、原料の流路にもコーチングが成長し、最終的にはそのコーチング除去のための休転へと追い込まれる。コーチングの生成には、窯尻の還元雰囲気が強く影響しており、その主原因は、主燃料用バーナー7で難燃性の燃料を使用することと、窯尻5で可燃物を使用することである。本発明は、可燃物を補助燃料として使用しキルン主燃料の燃焼性を改善するに際して、特にセメント原料焼成装置においては、窯尻5に供給していた可燃物の一部を窯前4へ移すことにより、コーチング3eの生成を抑制できるという効果が付加され、まさに一石二鳥の方法となっている。
【0025】
セメント原料焼成装置においては、クリンカー品質に与える影響も考慮する必要がある。クリンカーと接触した状態での可燃物の燃焼は、クリンカーの品質を落とすからである。
図2と図3では、窯前周辺部について、夫々従来技術例と本発明例とを対比して示し、互いの違いの一例を示した。従来技術は大きく2つに分かれる。一つはクリンカー上に可燃物が落ちて還元雰囲気になりクリンカー品質が低下するのを防ぐために、クリンカー上にはほとんど落とさずに、キルンの中で浮いた状態で燃焼させるために、補助燃料で燃焼フレーム8aを作ったり、主燃料のフレーム7aに落ちるよう補助燃料用のバーナーを配置したりする方法である。図2にその一例を示す。もう一つは、補助燃料を、クリンカー上ではあるが、クリンカーが未だ完全なクリンカーになる前の状態で存在する位置である、窯前から見て奥の方に落として、その後の焼成で品質を元に戻す方法である。図3に一例を示した本発明の方法は、両者を組み合わせたようなところがある。窯前4に補助燃料を、多少はクリンカー上に補助燃料が落ちる様な吹き込み速度を落とした条件で吹き込み、クーラーからの平均で500℃以上の2次空気の主流にうまく乗せることで、主燃料のフレームに燃焼している補助燃料を供給しようというものである。揮発分が多い可燃物ならクリンカー上に多少落ちても品質上問題がないことの知見に基づくものである。
【0026】
尚、図3において、補助燃料のフレーム8aは、はっきりしたフレームではなく、補助燃料粒子のほとんどがフレームからこぼれるが、軽いものは直ぐに、重いものはかなり落下してから2次空気の気流に乗る。更に重いものはクリンカーの上に落ちて分解・燃焼し、その内の一部は、再度2次空気の気流に乗って舞い上がる。燃焼用の空気に乗った粒子は、揮発分が分解してそれに火がついて小さな帚星のように見える。帚星の尾は、ガス流速より粒子本体の動きが遅いため気流の方向つまり粒子の進行方向に伸びている。2次空気の主流に乗った粒子はそのまま燃えながら主燃料のフレーム7aに吸収される。このような燃え方が主燃料の燃焼性を向上させていると推測される。
【0027】
本発明では、このようにフレームをほとんど作らずに燃焼させるため、主燃料用バーナー7と直角の方向、つまりキルン1の半径方向である窯前の側面に補助燃料バーナーを配置することができ、バーナー配置上の自由度は高い。ただし、窯前では、クーラーフッド2bの側部の一部や上部は2次空気がスムーズにキルンに流れないためウエイク(渦)が発生しており、そのような2次空気の主流から外れた所に補助燃料を供給すると、主燃料バーナーや壁面の耐火物に当たってそこで燃えるなどして耐火物劣化トラブルが懸念され、また、うまく主燃料のフレームに吸引されるように補助燃料は流れず、燃焼性の改善は期待できない。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、ロータリーキルンにおいて、安価な燃焼性の悪い燃料を経済的に使うことができる。また、大量に発生することからその処理が問題となっているプラスチック系や植物系の廃棄物を経済的に使うことができる。
従って、焼成装置における燃料コストの低下に繋がることは勿論、開発が急務の廃棄物処理法としての意義も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメント原料製造装置の内、一般的なクリンカー焼成装置の一例の、一部断面を切り裂いた側面から見た概略図である。
【図2】図1の窯前周辺図で、従来技術の一例を示した概略図である。
【図3】図2に対応する、本発明の一実施例である。
【符号の説明】
1 キルン
1a キルン耐火物
1b キルンコーチング
2 クーラー
2a クーラー耐火物
2b クーラーフッド
3 SP
3a インレット フッド
3b ライジング ダクト
3c サイクロン
3d 仮焼炉
3e SPコーチング
4 窯前
5 窯尻
6 SPファン
7 主燃料用バーナー
7a 主燃料の(バーナー)フレーム
8 補助燃料用バーナー
8a 補助燃料の(バーナー)フレーム
8b (燃焼中の)補助燃料の一部
9 被焼成物(原料〜クリンカーに変化)
Claims (4)
- セメント原料をロータリーキルンにおいて焼成した後、生成したセメントクリンカーをクーラーへ導き、クーラーに供給された空気でセメントクリンカーを急冷する方法において、ロータリーキルンの窯前の主燃料バーナーに難燃性燃料を供給し、難燃性燃料の補助燃料として主燃料のバーナーより下方から可燃性固形物を供給し、補助燃料のフレームから漏れ出る補助燃料を、クーラーからロータリーキルンへ導かれた前記空気に同伴させて、主燃料のフレームへと燃えながら供給することを特徴とするロータリーキルンにおける難燃性燃料の燃焼方法。
- 可燃性固形物を30m/秒以下の速度の空気に同伴させて供給することを特徴とする請求項1記載のロータリーキルンにおける難燃性燃料の燃焼方法。
- 前記可燃性固形物の1個の重さが20g以下である請求項1又は2記載のロータリーキルンにおける難燃性燃料の燃焼方法。
- 前記難燃性燃料が無煙炭微粉又は石油コークス微粉である請求項1から3のいずれか1項に記載のロータリーキルンにおける難燃性燃料の燃焼方法。
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