JP4048799B2 - 土工事における施工データ管理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、埋立地の造成や山間部を切り開いての宅地造成といった土工事における施工データ管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
海上に人工島を建設したり陸上に土地造成を行ったりする場合には、土砂を敷き均すためのブルドーザや敷き均された土砂を転圧するための振動ローラを用いて広範囲にわたり造成作業を行うが、よく締まって密な構造になっている土は、外力に対する抵抗が大きく、より高い安定性を保つ。
【0003】
したがって、撒き出された盛土材や埋立材は、振動ローラで適切かつ十分に締め固めなければならない。
【0004】
また、ブルドーザや振動ローラで造成を行うにあたり、造成される地盤の天端が計画通りの高さになっているかどうかの管理は、従来、まず事前測量を行って計画高さとの差を計測し、次いでその差がわかるように随所に丁張りと呼ばれる目標を設置し、次いでその目標をオペレータが目視しながら天端均しを行い、最後に確認のための測量を再度行うという手順で行うのが一般的であった。
【0005】
しかしながら、かかる作業はきわめて煩雑であって、作業領域が広域になればなるほど、膨大な時間と人手を要する。
【0006】
そのため、最近では、ブルドーザや振動ローラにGPSを搭載し、それらの位置を一元的に集中管理することにより、広域施工を高精度に行う方法が提案されるようになってきた。
【0007】
GPSは、GPS衛星からの電波信号を受信することによって自分自身の位置を求めることができる測位システムであり、航空機等の動体のナビゲーション(航法支援)や時刻情報の提供を目的として当初開発されたものの、現在では、単独測位方式、干渉測位方式、ディファレンシャル方式(DGPS)といったさまざまな測位方式が開発され、測量分野でも広く使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のGPSによる集中管理では、ブルドーザや振動ローラごとに個別に行われているにすぎず、これらブルドーザと振動ローラとの間では、システム間のデータ連携が全く配慮されていない。
【0009】
そのため、ブルドーザによる撒出し作業と、振動ローラによる締固め作業との作業連携が非効率的となり、広域施工を効率よく行うにあたって大きな障害となっていた。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ブルドーザによる撒出し作業と振動ローラによる締固め作業との作業連携を確保することによって両者の作業を効率よく行うことが可能な土工事における施工データ管理システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る土工事における施工データ管理システムは請求項1に記載したように、ブルドーザ等の撒出し用移動体及び振動ローラ等の締固め用移動体を含む土工事用移動作業機械に搭載されたGPS測量装置及び移動体側データ通信装置と、前記締固め用移動体に備えられた振動部の鉛直方向加速度を転圧中に計測する加速度計と、前記締固め用移動体に搭載され前記加速度計で計測された加速度データを用いて転圧位置における地盤の転圧状況を演算処理する演算処理部を備えた移動側コンピュータと、地盤の沈下状態等を計測する地盤センサに接続されたセンサ側データ通信装置と、管理側データ通信装置が接続された管理側コンピュータと、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバーとから構成するとともに、前記管理側コンピュータを、前記GPS測量装置から得られた前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体の位置データ並びに前記撒出し用移動体による撒出し厚及び撒出し範囲を含む工事進捗データを前記データサーバーに蓄積するようにかつ前記地盤センサーによる地盤計測データを前記データサーバーに蓄積するように構成し、前記移動側コンピュータを、前記撒出し厚及び撒出し範囲が表示されるように構成し、前記管理側コンピュータを、前記締固め用移動体の転圧状況を工事進捗データとして前記データサーバーに蓄積するように構成し、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとしたものである。
【0013】
また、本発明に係る土工事における施工データ管理システムは、前記管理側コンピュータ、前記データサーバ及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなる管理側ネットワークと、該管理側ネットワークにインターネットを介して接続されたクライアント端末とを備えるとともに、前記クライアント端末を、インターネットを介して前記ウェブサーバーにアクセスすることによって前記位置データ、前記工事進捗データ及び前記地盤計測データの少なくともいずれかを閲覧できるように構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る土工事における施工データ管理システムは、土工事予定領域での地盤調査データ及び該地盤調査データから推定された推定地盤調査データをGISデータとして前記データサーバーに蓄積するとともに少なくともその一部を前記ウェブサーバーに蓄積し、前記地盤調査データ及び前記推定地盤調査データをインターネットを介して前記クライアント端末から閲覧できるように構成したものである。
【0015】
また、本発明に係る土工事における施工データ管理システムは、基本計画情報データ又は設計データをGISデータとして前記データサーバーに蓄積するとともに少なくともその一部を前記ウェブサーバーに蓄積し、該基本計画情報データ又は設計データをインターネットを介して前記クライアント端末から閲覧できるように構成したものである。
【0016】
また、本発明に係る土工事における施工データ管理システムは、前記管理側コンピュータを、土工事が設計通りに行われるように、前記データサーバーに蓄積された前記各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データを前記管理側データ通信装置を介して前記土工事用移動作業機械に送信するように構成したものである。
また、本発明に係る土工事における施工データ管理システムは請求項6に記載したように、ブルドーザ、バックホウ、振動ローラ、杭打機等の土工事用移動作業機械に搭載されたGPS測量装置及び移動体側データ通信装置と、管理側データ通信装置が接続された管理側コンピュータと、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバーとからなり、前記管理側コンピュータを、前記GPS測量装置から得られた前記土工事用移動作業機械の位置データ及び該土工事用移動作業機械による工事進捗データを前記データサーバーに蓄積するように構成するとともに、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとし、前記管理側コンピュータを、土工事が設計通りに行われるように、前記データサーバーに蓄積された前記各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データを前記管理側データ通信装置を介して前記土工事用移動作業機械に送信するように構成したものである。
【0017】
本発明に係る土工事における施工データ管理システムにおいては、土工事用移動作業機械に搭載されたGPS測量装置でGPS計測を行ってGPS測量データを取得するとともに該土工事用移動作業機械による工事進捗データを移動体側データ通信装置を介して送信する。
【0018】
工事進捗データは、必要に応じてPDA、モバイルパソコン等の移動側コンピュータで適宜入力処理することでデータ化するのが望ましい。
【0019】
次に、管理側コンピュータは、かかるGPS測量データ及び工事進捗データを管理側データ通信装置を介して受信し、該GPS測量データを位置データとしてデータサーバーに蓄積するとともに工事進捗データを同じくデータサーバーに蓄積する。
【0020】
ここで、本発明においては、上述した土工事用移動作業機械が所定の作業を行う土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域内の上述した各データを把握できるよう、該各データをGISデータとしてある。
【0021】
そのため、土工事用移動作業機械の位置や出来高を周辺の地理状況と併せて把握することが可能となり、各現場単独での施工データと地理データとの連携が確保され、どの場所でどのような作業がどのように進行しているのかを一元的かつ集中的に管理することができる。
【0022】
また、本発明に係る土工事における施工データ管理システムにおいては、まず、ダンプトラック等で搬入されてきた埋立材や盛土材をブルドーザ、アスファルトフィニッシャー等の撒出し用移動体で撒き出すにあたり、該撒出し用移動体に搭載されたGPS測量装置でその走行位置を三次元的に計測し、そのGPS測量データを移動体側データ通信装置を介して送信する。
【0023】
また、地盤には、沈下状態等を計測する地盤センサを設置してあり、該地盤センサで計測された地盤計測データをセンサ側データ通信装置を介して送信し、管理側コンピュータは、かかる地盤計測データを管理側データ通信装置で受信する。
【0024】
次に、管理側コンピュータは、管理側データ通信装置を介して受信したGPS測量データを位置データとしてデータサーバーに蓄積する一方、該GPS測量データの鉛直座標データから撒出し厚を算出するとともに水平座標データから撒出し範囲を算出し、該撒出し厚及び撒出し範囲を撒き出し作業における工事進捗データとしてデータサーバーに蓄積する。同様に、管理側コンピュータは、管理側データ通信装置を介して受信した地盤計測データをデータサーバーに蓄積する。
【0025】
このようにすると、管理側では、撒出し作業及びそれに伴って生じるおそれがる地盤沈下状態を一元的かつ集中的に管理することができる。
【0026】
次に、管理側コンピュータは、上述した撒出し用移動体の工事進捗データを管理側データ通信装置を介して送信し、次いで、締固め用移動体側では、移動体側データ通信装置を介して受信された工事進捗データを移動側コンピュータに表示する。
【0027】
このようにすると、締固め用移動体のオペレータは、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚を移動側コンピュータの画面上で確認しながら転圧作業を効率よく行うことができる。
【0028】
締固め用移動体を用いて転圧作業を行うにあたっては、該締固め用移動体に搭載されたGPS測量装置でその走行位置を三次元的に計測し、そのGPS測量データを移動体側データ通信装置を介して管理側コンピュータに送信するとともに、振動部の鉛直方向加速度を加速度計で転圧中に計測する。
【0029】
そして、計測された加速度データを用いて移動側コンピュータの演算処理部で転圧位置における地盤の転圧状況を評価し、その評価にしたがって転圧作業を行うとともに、演算結果である転圧状況を工事進捗データとして移動体側データ通信装置を介して管理側コンピュータに送信する。
【0030】
次に、管理側コンピュータでは、受け取った工事進捗データを位置データとともにデータサーバーに蓄積する。
【0031】
このようにすると、管理側では、撒出し作業に引き続いて行われる転圧作業及びそれに伴って生じるおそれがある地盤沈下状態を一元的かつ集中的に管理することができる。
【0032】
工事進捗データは、土工事を行った結果としての出来高データや、土工事用移動作業機械に応じたそれぞれの計測データをはじめ、土工事を行った際の工事記録写真、土工事用移動作業機械の運行状況や作業情報その他土工事の進捗に伴って生じたデータをすべて包摂するものとする。
【0033】
ここで、本発明においては、上述した土工事用移動作業機械が所定の作業を行う土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域内の上述した各データを把握できるよう、該各データをGISデータとしてある。
【0034】
そのため、土工事用移動作業機械の位置や出来高を周辺の地理状況と併せて把握することが可能となり、各現場単独での施工データと地理データとの連携が確保され、どの場所でどのような作業がどのように進行しているのかを一元的かつ集中的に管理することができる。
【0035】
GIS(GIS:Geographic Information System)とは、地理的に分布する情報を、位置を表す空間情報と性質を表す属性情報として管理・利用するための地理情報システムで、位置を表す空間情報については、国土地理院をはじめ、さまざまな団体あるいは機関から入手することができる。
【0036】
分割要素の大きさは、要求される施工精度に応じて適宜設定すればよいが、例えば50m×50m〜100m×100mとすることが考えられる。
【0037】
移動側コンピュータは、例えばモバイルパソコンやPDA等の小型携帯性に優れた小型パソコンで構成することが考えられる。
【0038】
GPS測量装置の測位方式は任意であるが、精度とリアルタイム性の面では、単独測位方式よりも相対測位方式であるDGPS方式を採用するのが望ましいし、さらなる精度向上という意味では、干渉測位方式の一種であるRTK―GPS(リアルタイムキネマティックGPS)方式の採用が望ましい。
【0039】
なお、DGPS方式やRTK―GPS方式を採用する場合には、GPS測量装置のほかに、座標位置が既知の固定局が別途必要となるとともに、該固定局からの補正データを受信するための無線機を撒出し用移動体や締固め用移動体に搭載しておく必要があることは言うまでもない。これらの測位方式の場合には、固定局からの補正データを移動局である撒出し用移動体や締固め用移動体の無線機で受信し、これをGPS測量装置で受信されたGPS信号と組み合わせることによって撒出し用移動体や締固め用移動体の位置を演算処理し、GPS測量データとして出力することとなる。
【0040】
移動体側データ通信装置、管理側データ通信装置及びセンサ側データ通信装置は、直接、双方向データ通信可能な無線機を採用してもよいが、パケット通信専用端末、例えばNTT移動通信網株式会社から市販されているDoPa対応端末(「DoPa」は登録商標)とし、NTT移動通信網株式会社が提供する通信サービスネットワークであるDoPa網を介してデータ通信を行うようにすることが考えられる。
【0041】
ここで、前記管理側コンピュータ、前記データサーバ及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなる管理側ネットワークと、該管理側ネットワークにインターネットを介して接続されたクライアント端末とを備えるとともに、前記クライアント端末を、インターネットを介して前記ウェブサーバーにアクセスすることによって前記位置データ及び前記工事進捗データを閲覧できるように構成した場合においては、管理側コンピュータが接続されている管理側ネットワークには、インターネットを介してクライアント端末も接続されているため、クライアント端末からは、該インターネットを介してウェブサーバーにアクセスすることにより、データサーバーに蓄積された位置データや工事進捗データを適宜閲覧することができる。
【0042】
管理側ネットワークは、上述したように管理側コンピュータ、データサーバー及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなるが、管理側コンピュータ及びデータサーバーについては、ルーターのフィルタリング機能を使ったり、ファイアウォールを別途設置することによって、外部からの不正アクセスを防止するように構成するのが望ましい。
【0043】
クライアント端末は、例えば施工会社の支店や技術支援部署に設置されることが考えられる。
【0044】
また、土工事予定領域での地盤調査データ及び該地盤調査データから推定された推定地盤調査データをGISデータとして前記データサーバーに蓄積するとともに少なくともその一部を前記ウェブサーバーに蓄積し、前記地盤調査データ及び前記推定地盤調査データをインターネットを介して前記クライアント端末から閲覧できるように構成した場合においては、クライアント端末からは、インターネットを介してウェブサーバーにアクセスすることにより、土工事用移動作業機械の位置データ、工事進捗データ及び地盤計測データのみならず、ボーリング調査等によって事前に得られている地盤調査データ及び推定地盤調査データも併せて閲覧することができる。
【0045】
また、基本計画情報データ又は設計データをGISデータとして前記データサーバーに蓄積するとともに少なくともその一部を前記ウェブサーバーに蓄積し、該基本計画情報データ又は設計データをインターネットを介して前記クライアント端末から閲覧できるように構成した場合においては、クライアント端末からは、インターネットを介してウェブサーバーにアクセスすることにより、土工事用移動作業機械の位置データ、工事進捗データ及び地盤計測データのみならず、基本計画情報データ又は設計データも併せて閲覧することができるとともに、位置データ等と、基本計画情報データ又は設計データとの整合性が高くなり、設計と実際の工事の進捗状況とを正確に把握することができる。
【0046】
基本計画情報データ又は設計データは、マスタープランと施工用実施図面という程度の意味合いであって、これらのデータには、施工に用いる各種図面がすべて含まれる。
【0047】
なお、基本計画や設計がCADで作成されている場合には、上述したように地理情報を適宜入手するとともにGISソフトを用いて地理情報との関連付けを行い、GISデータを作成すればよい。
【0048】
また、前記管理側コンピュータを、土工事が設計通りに行われるように、前記データサーバーに蓄積された前記各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データを前記管理側データ通信装置を介して前記土工事用移動作業機械に送信するように構成した場合においては、土工事が設計通りに行われるよう、リアルタイムに集中監視することが可能となり、施工能率の向上及び品質の向上を図ることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る土工事における施工データ管理システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図1は、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1を示した全体ブロック図、図2は、施工データ管理システム1が適用される土工事予定領域2を示した全体平面図である。
【0051】
本実施形態に係る土工事における施工管理支援システム1は図2に示すように、撒出し用移動体としてのブルドーザ21、バックホウ22、締固め用移動体としての振動ローラ23及び杭打機24が土工事用移動作業機械として土工事を行うものであって、これらの土工事用移動作業機械には図1に示すように、それぞれGPS測量装置3、モバイルパソコン4及び移動体側データ通信装置としてのパケット通信専用端末5を搭載してあり、GPS信号を受信処理することで得られたGPS測量データとモバイルパソコン4で入力演算処理された工事進捗データとをパケット通信専用端末5から送信できるようになっているとともに、図2に示すように適宜位置に設置されている地盤センサ25で計測された地盤の沈下状態や傾斜状態等を該地盤センサに接続されたセンサ側データ通信装置としてのパケット通信専用端末5から送信できるようになっている。
【0052】
特に、ブルドーザ21は、GPS測量データの鉛直座標データから撒出し厚を、水平座標データから撒出し範囲をモバイルパソコン4でそれぞれ算出して工事進捗データとし、これらGPS測量データ及び工事進捗データをパケット通信専用端末5から送信できるようになっている。
【0053】
また、振動ローラ23は、後述する管理側コンピュータ7からデータ送信されてきた撒出し作業における工事進捗データ、すなわち撒出し厚及び撒出し範囲をパケット通信専用端末5で受信し、これをモバイルパソコン4に表示できるようになっている。
【0054】
さらに、振動ローラ23は、振動部としてのローラを支持するアーム(図示せず)に加速度計15を付設してあり、加速度計15で計測された加速度データを用いて転圧位置における地盤の転圧状況をモバイルパソコン4で演算処理して評価するとともにこれを工事進捗データとし、これらGPS測量データ及び工事進捗データをパケット通信専用端末5から送信できるようになっている。
【0055】
地盤の転圧状況を評価するにあたっては、必要に応じてFFTアナライザー等の解析機器をあらたな移動側コンピュータとして振動ローラ23に別途搭載しておく。
【0056】
一方、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1は管理側ネットワーク6を備えており、該管理側ネットワークは、管理側コンピュータ7、データサーバー9及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバー10を互いにLAN接続して構成してある。
【0057】
ここで、管理側コンピュータ7には管理側データ通信装置としてのパケット通信専用端末8を接続してあり、ブルドーザ21、バックホウ22、振動ローラ23及び杭打機24に搭載されあるいは地盤センサー25に接続されたパケット通信専用端末5との間でデータの送受信を双方向で行うことができるようになっている。
【0058】
一方、管理側ネットワーク6は、外部からの不正アクセスを防ぐファイアウォール11をLAN接続してあり、該ファイアウォールの上流側にウェブサーバー10を接続してあるとともに、ウェブサーバー10の上流側に設置されたルータ12を介してインターネット13に接続してあり、該インターネットには、クライアント端末14を接続してある。
【0059】
クライアント端末14は、例えば施工会社の支店や技術支援部署に設置されることが考えられる。
【0060】
ここで、管理側コンピュータ7は、パケット通信専用端末5から送信されてきたブルドーザ21や振動ローラ23のGPS測量データをパケット通信専用端末8で受信して位置データとしてデータサーバー9に蓄積するとともに、同様に受信された工事進捗データをデータサーバー9に蓄積し、これら位置データ及び工事進捗データのうち、公開してもよいものだけを適宜選んでウェブサーバー10に蓄積し、クライアント端末14は、インターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることによって、上述した位置データ及び工事進捗データを閲覧できるようになっている。
【0061】
同様に、管理側コンピュータ7は、パケット通信専用端末5から送信されてきたバックホウ22及び杭打機24の位置データ及びその工事進捗データ並びに地盤センサ25による地盤計測データをパケット通信専用端末8で受信してデータサーバー9に蓄積するとともに、クライアント端末14は、インターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることによって、上述した位置データ、工事進捗データ及び地盤計測データを閲覧できるようになっている。
【0062】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1は、土工事予定領域2での地盤調査データ及び該地盤調査データから推定された推定地盤調査データをデータサーバー9に蓄積するとともに、そのうちの少なくとも一部をウェブサーバー10に蓄積し、かかる地盤調査データ及び推定地盤調査データをインターネット13を介してクライアント端末14から閲覧できるようになっているとともに、基本計画情報データ及び設計データについても同様、データサーバー9及びウェブサーバー10に蓄積し、該基本計画情報データ及び設計データをインターネット13を介してクライアント端末14から閲覧できるようになっている。
【0063】
地盤調査データは、例えば柱状図と同様の内容、すなわち深度に応じた土質やN値とすればよい。
【0064】
ここで、上述した位置データ、工事進捗データ、地盤計測データ、地盤調査データ、推定地盤調査データ、基本計画情報データ及び設計データについては、土工事予定領域2内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域2内の上述した各データを把握できるよう、該各データをGISデータとしてある。
【0065】
分割要素を作成するにあたっては、例えば国土地理院等から入手した地理的な空間情報を管理側コンピュータ7やクライアント端末14に取り込んだ上、該空間情報に関するデータをGISソフトで演算処理することで作成することができる。分割要素の大きさは、要求される施工精度に応じて適宜設定すればよいが、例えば50m×50m〜100m×100mとすればよい。
【0066】
なお、地盤調査データを分割要素に関連付けるにあたっては、まず、ボーリング試験等による地盤調査を行った位置を、上述した各分割要素のうち、対応する位置の分割要素に属性情報として関連付けるとともに、該分割要素にその位置での地盤データを属性情報として関連付ければよい。
【0067】
また、推定地盤調査データを作成するにあたっては、例えば、既知の地盤調査位置における地盤調査データを該位置が属する分割要素と推定地盤調査データを求めたい分割要素との相対位置関係を考慮して適宜補間すればよい。
【0068】
一方、管理側コンピュータ7は、土工事が設計通りに行われるように、データサーバー9に蓄積された上述の各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データをパケット通信専用端末8を介して各土工事用移動作業機械に送信するように構成してある。
【0069】
本実施形態に係る土工事における施工管理支援システム1においては、土工事用移動作業機械であるブルドーザ21、バックホウ22、振動ローラ23及び杭打機24にGPS測量装置3及びパケット通信専用端末5がそれぞれ搭載してあり、GPS信号を受信したGPS測量装置3が自分の位置を演算し、演算されたGPS測量データを、モバイルパソコン4で入力演算された工事進捗データとともにパケット通信専用端末5を介して送信する。
【0070】
すなわち、盛土工事や埋立工事を例に具体的に説明すると、まず、ダンプトラックで搬入されてきた埋立材や盛土材をブルドーザ21で撒き出すにあたり、該ブルドーザに搭載されたGPS測量装置3でその走行位置を三次元的に計測してGPS測量データを得るとともに、該GPS測量データの鉛直座標データから撒出し厚を、水平座標データから撒出し範囲をそれぞれモバイルパソコン4で算出し、該撒出し厚及び撒出し範囲を撒き出し作業における工事進捗データとしてGPS測量データとともに上述したデータ通信によって管理側コンピュータ7に送る。
【0071】
算出された工事進捗データは、モバイルパソコン4に適宜表示することができるので、撒出し作業を効率よく行うことができる。
【0072】
バックホウ22や杭打機24も同様、それらに搭載されたGPS測量装置3でその走行位置を三次元的に計測してGPS測量データを得るとともに、バックホウ22については稼働状況や掘削状況を、杭打機24については掘削深度や地盤状況あるいは掘削精度といった情報をそれぞれ工事進捗データとしてGPS測量データとともに上述したデータ通信によって管理側コンピュータ7に送る。
【0073】
また、地盤には、その沈下状態等を計測する地盤センサ25を設置してあり、該地盤センサで計測された計測データをパケット通信専用端末5を介して送信する。
【0074】
それに対し、管理側コンピュータ7は、パケット通信専用端末5から送信されてきた各土工事用移動作業機械のGPS測量データ及び工事進捗データ並びに地盤センサ25による地盤計測データを管理側データ通信装置8を介して受信する。
【0075】
次に、管理側コンピュータ7では、受け取ったGPS測量データを位置データとしてデータサーバー9に蓄積するとともに、同様に受信した撒出し作業をはじめとした各工事進捗データをデータサーバー9に蓄積し、さらに該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるようにウェブサーバー10に蓄積する。
【0076】
特に、管理側コンピュータ7は、ブルドーザ21の工事進捗データを上述したデータ通信によって振動ローラ23に搭載されたモバイルパソコン4に送り、モバイルパソコン4は、かかる工事進捗データを画面上に表示する。
【0077】
このようにすると、振動ローラ23のオペレータは、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚をモバイルパソコン4の画面上で確認しながら転圧作業を効率よく行うことができる。
【0078】
振動ローラ23を用いて転圧作業を行うにあたっては、該振動ローラに搭載されたGPS測量装置3でその走行位置を三次元的に計測し、そのGPS測量データを上述したデータ通信によって管理側コンピュータ7に送るとともに、振動部であるローラーの鉛直方向加速度を加速度計15で転圧中に計測する。
【0079】
そして、計測された加速度データを用いて演算処理部であるモバイルパソコン4で演算処理して転圧位置における地盤の転圧状況を評価し、その評価にしたがって転圧作業を行うとともに、演算結果である転圧状況を工事進捗データとして管理側コンピュータ7に送信し、該工事進捗データを上述したと同様、データサーバー9に蓄積するとともにその一部をインターネットを介して閲覧できるようにウェブサーバー10に蓄積する。
【0080】
このようにすると、地盤の転圧状況を客観的なデータに基づいて評価ないし監視することが可能となり、地盤を効率よくしかも確実に締め固めることができる。
【0081】
振動ローラ23の振動部の鉛直方向加速度を計測して転圧状況を評価する例としては、計測された振動部の加速度時刻歴データを、振動ローラ23に別途搭載されたFFTアナライザでフーリエ解析して加速度スペクトルを算出するとともに、算出された加速度スペクトルから卓越振動数における加速度スペクトル(パワースペクトル)を基本(一次)振動数でのピーク値A、二次振動数でのピーク値B、三次振動数でのピーク値Cとしてそれぞれ求め、しかる後に比率(B+C)/Aを演算して締固め評価指標とする方法が考えられる。
【0082】
一方、クライアント端末14からは、インターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることにより、各土工事用移動作業機械の位置データ及びそれらの工事進捗データ並びに地盤計測データを適宜閲覧することができる。
【0083】
特に、ウェブサーバー10に蓄積されたブルドーザ21及び振動ローラ23の位置データ並びにそれらの工事進捗データをインターネット13を介して閲覧することができるので、クライアント端末14から該インターネットを介してウェブサーバー10にアクセスすることにより、ブルドーザ21及び振動ローラ23の位置データ並びにそれらの工事進捗データ、すなわち撒出し作業及び転圧作業をリアルタイムに閲覧することができる。
【0084】
また、データサーバー9には、土工事予定領域2での地盤調査データ及び該地盤調査データから推定された推定地盤調査データを蓄積し、その少なくとも一部をウェブサーバー10に蓄積してあるとともに、土工事予定領域2における基本計画情報データ及び設計データを蓄積し、その少なくとも一部をウェブサーバー10に蓄積してある。
【0085】
したがって、クライアント端末14からは、インターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることにより、土工事予定領域2での地盤調査データ及び該地盤調査データから推定された推定地盤調査データや、土工事予定領域2における基本計画情報データ及び設計データを適宜閲覧することができる。
【0086】
ここで、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1では、上述した土工事用移動作業機械が所定の作業を行う土工事予定領域2内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域2内の上述した各データを把握できるよう、該各データをGISデータとしてある。
【0087】
そのため、土工事用移動作業機械の位置データや工事進捗データあるいは地盤計測データを周辺の地理状況と併せて把握することが可能となり、各現場単独での施工データと地理データとの連携が確保され、どの場所でどのような作業がどのように進行しているのかを一元的かつ集中的に管理することができる。
【0088】
地盤調査データ、推定地盤調査データ、基本計画情報データ及び設計データについても、同様にしてGISデータとしてあるため、地盤調査データ及び推定地盤調査データと、基本計画情報データ及び設計データとの整合性が高くなる。
【0089】
一方、管理側コンピュータ7は、土工事が設計通りに行われるように、データサーバー9に蓄積された上述の各データを用いて所定の施工支援情報データを作成し、該施工支援情報データをパケット通信専用端末8を介して各土工事用移動作業機械に送信する。
【0090】
施工支援情報データとしては、例えば振動ローラ23の転圧回数が少なければそれを増加させる作業内容自体の指示をはじめ、各土工事用移動作業機械の運行を指示したり、作業位置の変更を伝達したり、他の土工事用移動作業機械との近接状況を知らせたりといった内容が考えられる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、土工事予定領域2内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域2内の各データを把握できるように該各データをGISデータとしたので、土工事用移動作業機械の位置や出来高を周辺の地理状況と併せて把握することが可能となる。
【0092】
すなわち、従来においても、CALS/ECが進むとともに、設計図、施工図、出来形図及び竣工図のCAD化により、発注者と施工業者との間で図面の統合化が図られ、また、施工データの電子化も進められてはいたが、いかんせん膨大なデータを互いに連携させるまでには至っておらず、これらのデータを別現場で再利用することはきわめて困難であるとともに、電子化された施工データをコンピュータの画面上で見たとしても、施工の進捗状況を直感的に把握することはやはり困難であった。
【0093】
しかし、本実施形態によれば、上述したように、土工事予定領域2内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域2内の各データを把握できるように該各データをGISデータとしたので、各現場単独での施工データと地理データとの連携が確保され、施工の進捗状況を直感的に把握することが可能となるとともに、位置データ、工事進捗データ、地盤計測データ、地盤調査データ、推定地盤調査データ、基本計画情報データ、設計データ、施工支援情報データといった各種データをGISデータにすることでデータの連携を図ることが可能となり、どの場所でどのような作業がどのように進行しているのかを一元的かつ集中的に管理することができる。
【0094】
したがって、例えば位置データ、すなわち施工位置を検索キーとしてその位置での工事進捗データや地盤計測データなどを検索して管理側コンピュータ7やクライアント端末14に画像表示したり、工事記録写真や出来形図を同様に画像表示させたり、その検索結果を利用して土量の管理を行ったりすることができることは言うまでもない。
【0095】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、撒出し厚及び撒出し範囲を撒き出し作業における工事進捗データとしてデータサーバー9に蓄積するとともに地盤計測データをデータサーバー9に蓄積するようにしたので、管理側では、撒出し作業及びそれに伴って生じるおそれがある地盤沈下状態を一元的かつ集中的に管理することができる。
【0096】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、管理側コンピュータ7がブルドーザ21の工事進捗データを振動ローラ23側に送信し、振動ローラ側では、受信された工事進捗データをモバイルパソコン4に表示するようにしたので、振動ローラ23のオペレータは、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚をモバイルパソコン4の画面上で確認しながら転圧作業を効率よく行うことができる。
【0097】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、振動部であるローラーの鉛直方向加速度を加速度計15で転圧中に計測し、計測された加速度データを用いてモバイルパソコン4で演算処理して転圧位置における地盤の転圧状況を評価し、その評価にしたがって転圧作業を行うようにしたので、地盤の転圧状況を客観的なデータに基づいて評価ないし監視することが可能となり、地盤を効率よくしかも確実に締め固めることができる。
【0098】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、振動ローラ23から送信されてきた転圧状況を内容とする工事進捗データを位置データとともにデータサーバー9に蓄積するようにしたので、管理側では、撒出し作業に引き続いて行われる転圧作業及びそれに伴って生じるおそれがある地盤沈下状態を一元的かつ集中的に管理することができる。
【0099】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、クライアント端末14からインターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることにより、各土工事用移動作業機械の位置データ及びそれらの工事進捗データ並びに地盤計測データを適宜閲覧することができる。
【0100】
そのため、管理側コンピュータ7が設置された例えば工事事務所のみならず、クライアント端末14が設置された支社や本社あるいは技術支援部署から、土工事の進捗状況をリアルタイムに監視する、いわばデータ共有が可能となる。そして、ハードウェア及びソフトウェア(ブラウザ)を構成するにあたっては、従来のインターネットの基盤を利用することができるため、きわめて汎用性の高いシステムとなり、どの現場でも採用することができるし、特定の現場で把握されたノウハウを次の現場にフィードバックする二次的利用も可能となる。
【0101】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、ウェブサーバー10に蓄積された土工事予定領域2での地盤調査データ及び推定地盤調査データや基本計画情報データ及び設計データをクライアント端末14から閲覧できるように構成したので、クライアント端末14からは、土工事用移動作業機械の位置データ、工事進捗データ及び地盤計測データのみならず、ボーリング調査等によって事前に得られている地盤調査データ及び推定地盤調査データも併せて閲覧することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、基本計画情報データ又は設計データをGISデータとしてデータサーバー9に蓄積するとともに少なくともその一部をウェブサーバー10に蓄積し、該基本計画情報データ又は設計データをインターネット13を介してクライアント端末14から閲覧できるように構成したので、該クライアント端末からは、土工事用移動作業機械の位置データ、工事進捗データ及び地盤計測データのみならず、基本計画情報データ又は設計データも併せて閲覧することができるとともに、位置データ等と、基本計画情報データ又は設計データとの整合性が高くなり、設計と実際の工事の進捗状況とを正確に把握することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る土工事における施工データ管理システム1によれば、管理側コンピュータ7を、土工事が設計通りに行われるように、データサーバー9に蓄積された各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データをパケット通信専用端末8を介して土工事用移動作業機械に送信するように構成したので、土工事が設計通りに行われるよう、リアルタイムに集中監視することが可能となり、施工能率の向上及び品質の向上を図ることができる。
【0104】
本実施形態では特に言及しなかったが、土工事予定領域での地盤調査データ及び推定地盤調査データや、基本計画情報データ又は設計データについては、必ずしもデータサーバー9に蓄積せずともよい。
【0105】
かかる場合においては、基本計画段階から施工状況の進捗状況に至る統合的な把握は難しくなるが、土工事の進捗状況をGIS化によって周辺地理環境と照合しながら監視することができることには何ら変わりはない。
【0106】
また、本実施形態では、データサーバー9に蓄積された各データをウェブサーバー10に蓄積することによって、インターネット13を介した閲覧が可能になるように構成したが、そもそもインターネットによって各データを公開する必要はない。
【0107】
かかる構成においては、遠隔地でのリアルタイム管理が難しくなるが、土工事の進捗状況をGIS化によって周辺地理環境と照合しながら現場で監視することができることには何ら変わりはない。
【0108】
また、本実施形態では、ブルドーザ21にモバイルパソコン4を搭載するようにしたが、撒出し厚や撒出し範囲を自ら監視する必要がないのであれば、これを省略してもよい。かかる場合、管理側コンピュータ7でこれらの工事進捗データを算出すればよい。
【0109】
また、本実施形態では、撒出し及び転圧作業を重点的に説明したが、工事進捗管理の対象となるのは、必ずしもこれらの作業に限定されるものではないし、これらの作業以外の土工事を対象としてもよいことは言うまでもない。
【0110】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る土工事における施工データ管理システムによれば、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域内の各データを把握できるように該各データをGISデータとしたので、土工事用移動作業機械の位置や出来高を周辺の地理状況と併せて把握することが可能となり、各現場単独での施工データと地理データとの連携が確保され、どの場所でどのような作業がどのように進行しているのかを一元的かつ集中的に管理することができる。
【0111】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る土工事における施工データ管理システムの全体ブロック図。
【図2】本実施形態に係る土工事における施工データ管理システムが適用される土工事予定領域を示した全体平面図。
【符号の説明】
1 土工事における施工データ管理システム
2 土工事予定領域
3 GPS測量装置
5 パケット通信専用端末(移動体側データ通信装置)
6 管理側ネットワーク
7 管理側コンピュータ
8 管理側データ通信装置
9 データサーバー
10 ウェブサーバー
13 インターネット
14 クライアント端末
21 ブルドーザ(撒出し用移動体、土工事用移動作業機械)
22 バックホウ(土工事用移動作業機械)
23 振動ローラ(締固め用移動体、土工事用移動作業機械)
24 杭打機(土工事用移動作業機械)

Claims (6)

  1. ブルドーザ等の撒出し用移動体及び振動ローラ等の締固め用移動体を含む土工事用移動作業機械に搭載されたGPS測量装置及び移動体側データ通信装置と、前記締固め用移動体に備えられた振動部の鉛直方向加速度を転圧中に計測する加速度計と、前記締固め用移動体に搭載され前記加速度計で計測された加速度データを用いて転圧位置における地盤の転圧状況を演算処理する演算処理部を備えた移動側コンピュータと、地盤の沈下状態等を計測する地盤センサに接続されたセンサ側データ通信装置と、管理側データ通信装置が接続された管理側コンピュータと、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバーとから構成するとともに、前記管理側コンピュータを、前記GPS測量装置から得られた前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体の位置データ並びに前記撒出し用移動体による撒出し厚及び撒出し範囲を含む工事進捗データを前記データサーバーに蓄積するようにかつ前記地盤センサーによる地盤計測データを前記データサーバーに蓄積するように構成し、前記移動側コンピュータを、前記撒出し厚及び撒出し範囲が表示されるように構成し、前記管理側コンピュータを、前記締固め用移動体の転圧状況を工事進捗データとして前記データサーバーに蓄積するように構成し、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとしたことを特徴とする土工事における施工データ管理システム。
  2. 前記管理側コンピュータ、前記データサーバ及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなる管理側ネットワークと、該管理側ネットワークにインターネットを介して接続されたクライアント端末とを備えるとともに、前記クライアント端末を、インターネットを介して前記ウェブサーバーにアクセスすることによって前記位置データ、前記工事進捗データ及び前記地盤計測データの少なくともいずれかを閲覧できるように構成した請求項1記載の土工事における施工データ管理システム。
  3. 土工事予定領域での地盤調査データ及び該地盤調査データから推定された推定地盤調査データをGISデータとして前記データサーバーに蓄積するとともに少なくともその一部を前記ウェブサーバーに蓄積し、前記地盤調査データ及び前記推定地盤調査データをインターネットを介して前記クライアント端末から閲覧できるように構成した請求項2記載の土工事における施工データ管理システム。
  4. 基本計画情報データ又は設計データをGISデータとして前記データサーバーに蓄積するとともに少なくともその一部を前記ウェブサーバーに蓄積し、該基本計画情報データ又は設計データをインターネットを介して前記クライアント端末から閲覧できるように構成した請求項2記載の土工事における施工データ管理システム。
  5. 前記管理側コンピュータを、土工事が設計通りに行われるように、前記データサーバーに蓄積された前記各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データを前記管理側データ通信装置を介して前記土工事用移動作業機械に送信するように構成した請求項1乃至請求項4のいずれか一記載の土工事における施工データ管理システム。
  6. ブルドーザ、バックホウ、振動ローラ、杭打機等の土工事用移動作業機械に搭載されたGPS測量装置及び移動体側データ通信装置と、管理側データ通信装置が接続された管理側コンピュータと、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバーとからなり、前記管理側コンピュータを、前記GPS測量装置から得られた前記土工事用移動作業機械の位置データ及び該土工事用移動作業機械による工事進捗データを前記データサーバーに蓄積するように構成するとともに、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとし、前記管理側コンピュータを、土工事が設計通りに行われるように、前記データサーバーに蓄積された前記各データを用いて所定の施工支援情報データをGISデータとして作成し、該施工支援情報データを前記管理側データ通信装置を介して前記土工事用移動作業機械に送信するように構成したことを特徴とする土工事における施工データ管理システム。
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