JP3956104B2 - 土工事における締固め管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、埋立地の造成や山間部を切り開いての宅地造成といった土工事における締固め管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
海上に人工島を建設したり陸上に土地造成を行ったりする場合には、土砂を敷き均すためのブルドーザや敷き均された土砂を転圧するための振動ローラを用いて広範囲にわたり造成作業を行うが、よく締まって密な構造になっている土は、外力に対する抵抗が大きく、より高い安定性を保つ。
【0003】
したがって、撒き出された盛土材や埋立材は、振動ローラで適切かつ十分に締め固めなければならない。
【0004】
また、ブルドーザや振動ローラで造成を行うにあたり、造成される地盤の天端が計画通りの高さになっているかどうかの管理は、従来、まず事前測量を行って計画高さとの差を計測し、次いでその差がわかるように随所に丁張りと呼ばれる目標を設置し、次いでその目標をオペレータが目視しながら天端均しを行い、最後に確認のための測量を再度行うという手順で行うのが一般的であった。
【0005】
しかしながら、かかる作業はきわめて煩雑であって、作業領域が広域になればなるほど、膨大な時間と人手を要する。
【0006】
そのため、最近では、ブルドーザや振動ローラにGPSを搭載し、それらの位置を一元的に集中管理することにより、広域施工を高精度に行う方法が提案されるようになってきた。
【0007】
GPSは、GPS衛星からの電波信号を受信することによって自分自身の位置を求めることができる測位システムであり、航空機等の動体のナビゲーション(航法支援)や時刻情報の提供を目的として当初開発されたものの、現在では、単独測位方式、干渉測位方式、ディファレンシャル方式(DGPS)といったさまざまな測位方式が開発され、測量分野でも広く使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のGPSによる集中管理では、ブルドーザや振動ローラごとに個別に行われているにすぎず、これらブルドーザと振動ローラとの間では、システム間のデータ連携が全く配慮されていない。
【0009】
そのため、ブルドーザによる撒出し作業と、振動ローラによる締固め作業との作業連携が非効率的となり、広域施工を効率よく行うにあたって大きな障害となっていた。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ブルドーザによる撒出し作業と振動ローラによる締固め作業との作業連携を確保することによって両者の作業を効率よく行うことが可能な土工事における締固め管理システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る土工事における締固め管理システムは請求項1に記載したように、ブルドーザ等の撒出し用移動体及び振動ローラ等の締固め用移動体に搭載されたGPS測量装置と、前記締固め用移動体に備えられた振動部の鉛直方向加速度を転圧中に計測する加速度計と、前記締固め用移動体に搭載され前記加速度計で計測された加速度データを用いて転圧位置における地盤の転圧状況を演算処理する演算処理部を備えた移動側コンピュータと、管理側コンピュータ、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバー及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなる管理側ネットワークと、該管理側ネットワークにインターネットを介して接続されたクライアント端末とから構成するとともに、前記管理側コンピュータを、前記GPS測量装置から得られた前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体の位置データ及び前記撒出し用移動体による撒出し厚及び撒出し範囲を含む出来高データを前記データサーバーに蓄積するように構成し、前記移動側コンピュータを、前記撒出し厚及び撒出し範囲が表示されるように構成し、前記管理側コンピュータを、前記締固め用移動体の転圧状況を出来高データとして前記データサーバーに蓄積するように構成し、前記クライアント端末を、インターネットを介して前記ウェブサーバーにアクセスすることによって前記位置データ及び前記出来高データを閲覧できるように構成したものである。
【0012】
また、本発明に係る土工事における締固め管理システムは、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとしたものである。
【0013】
また、本発明に係る土工事における締固め管理システムは、前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体にそれぞれ移動体側データ通信装置を搭載するとともに前記管理側コンピュータに管理側データ通信装置を接続し、前記管理側コンピュータを、前記移動体側データ通信装置から送信されてきた前記位置データ及び前記出来高データを前記管理側データ通信装置で受信して前記データサーバーに蓄積するように構成したものである。
【0014】
本発明に係る土工事における締固め管理システムにおいては、まず、ダンプトラック等で搬入されてきた埋立材や盛土材をブルドーザ、アスファルトフィニッシャー等の撒出し用移動体で撒き出すにあたり、該撒出し用移動体に搭載されたGPS測量装置でその走行位置を三次元的に計測し、そのGPS計測データをMO等の記憶媒体を介してあるいはデータ通信によって管理側コンピュータに送る。
【0015】
次に、管理側コンピュータでは、受け取ったGPS計測データを位置データとしてデータサーバーに蓄積するとともに、該GPS計測データの鉛直座標データから撒出し厚を算出するとともに水平座標データから撒出し範囲を算出し、該撒出し厚及び撒出し範囲を撒き出し作業における出来高データとしてデータサーバーに蓄積する。
【0016】
次に、上述した撒出し用移動体の出来高データをMO等の記憶媒体を介してあるいはデータ通信によって締固め用移動体に搭載された移動側コンピュータに送り、該出来高データを移動側コンピュータに表示する。
【0017】
このようにすると、締固め用移動体のオペレータは、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚を移動側コンピュータの画面上で確認しながら転圧作業を効率よく行うことができる。
【0018】
ここで、締固め用移動体を用いて転圧作業を行うにあたっては、該締固め用移動体に搭載されたGPS測量装置でその走行位置を三次元的に計測し、そのGPS計測データをMO等の記憶媒体を介してあるいはデータ通信によって管理側コンピュータに送るとともに、振動部の鉛直方向加速度を加速度計で転圧中に計測する。
【0019】
そして、計測された加速度データを用いて移動側コンピュータの演算処理部で転圧位置における地盤の転圧状況を評価し、その評価にしたがって転圧作業を行うとともに、演算結果である転圧状況を出来高データとしてMO等の記憶媒体を介してあるいはデータ通信によって管理側コンピュータに送る。
【0020】
次に、管理側コンピュータでは、受け取った出来高データを位置データとともにデータサーバーに蓄積する。
【0021】
一方、管理側コンピュータは、データサーバーに蓄積された撒出し用移動体及び締固め用移動体の位置データ並びにそれらの出来高データの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるようにウェブサーバーに蓄積する。
【0022】
このようにすると、管理側コンピュータが接続されている管理側ネットワークには、インターネットを介してクライアント端末も接続されているため、クライアント端末からは、該インターネットを介してウェブサーバーにアクセスすることにより、撒出し用移動体及び締固め用移動体の位置データ並びにそれらの出来高データを適宜閲覧することができる。
【0023】
移動側コンピュータは、例えばモバイルパソコンやPDA等の小型携帯性に優れた小型パソコンで構成することが考えられる。
【0024】
GPS測量装置の測位方式は任意であるが、精度とリアルタイム性の面では、単独測位方式よりも相対測位方式であるDGPS方式を採用するのが望ましいし、さらなる精度向上という意味では、干渉測位方式の一種であるRTK―GPS(リアルタイムキネマティックGPS)方式の採用が望ましい。
【0025】
なお、DGPS方式やRTK―GPS方式を採用する場合には、GPS測量装置のほかに、座標位置が既知の固定局が別途必要となるとともに、該固定局からの補正データを受信するための無線機を撒出し用移動体や締固め用移動体に搭載しておく必要があることは言うまでもない。これらの測位方式の場合には、固定局からの補正データを移動局である撒出し用移動体や締固め用移動体の無線機で受信し、これをGPS測量装置で受信されたGPS信号と組み合わせることによって撒出し用移動体や締固め用移動体の位置を演算処理し、GPS測量データとして出力することとなる。
【0026】
管理側ネットワークは、上述したように管理側コンピュータ、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバー及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなるが、管理側コンピュータ及びデータサーバーについては、ルーターのフィルタリング機能を使ったり、ファイアウォールを別途設置することによって、外部からの不正アクセスを防止するように構成するのが望ましい。
【0027】
クライアント端末は、例えば施工会社の支店や技術支援部署に設置されることが考えられる。
【0028】
上述した位置データや出来高データは、任意の方式で閲覧するようにしてもよいが、土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとしたならば、基本計画や設計がCADとGISとを関連付けた形で行われているような場合には、位置データや出来高データと、基本計画時の各種情報データ及び設計データとの整合性が高くなり、設計と実際の工事の進捗状況とを正確に把握することができる。
【0029】
GIS(GIS:Geographic Information System)とは、地理的に分布する情報を、位置を表す空間情報と性質を表す属性情報として管理・利用するための地理情報システムで、位置を表す空間情報については、国土地理院をはじめ、さまざまな団体あるいは機関から入手することができる。
【0030】
分割要素の大きさは、要求される施工精度に応じて適宜設定すればよいが、例えば50m×50m〜100m×100mとすることが考えられる。
【0031】
ここで、位置データや出来高データを上述したようにMO等の記憶媒体を介して受け渡ししてもよいが、前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体にそれぞれ移動体側データ通信装置を搭載するとともに前記管理側コンピュータに管理側データ通信装置を接続し、前記管理側コンピュータを、前記移動体側データ通信装置から送信されてきた前記位置データ及び前記出来高データを前記管理側データ通信装置で受信して前記データサーバーに蓄積するように構成してもよい。
【0032】
かかる構成によれば、土工事が設計通りに行われるよう、リアルタイムに集中監視することが可能となり、施工能率の向上及び品質の向上を図ることができる。
【0033】
移動体側データ通信装置及び管理側データ通信装置は、直接、双方向データ通信可能な無線機を採用してもよいが、パケット通信専用端末、例えばNTT移動通信網株式会社から市販されているDoPa対応端末(「DoPa」は登録商標)とし、NTT移動通信網株式会社が提供する通信サービスネットワークであるDoPa網を介してデータ通信を行うようにすることが考えられる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る土工事における締固め管理システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図1は、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1を示した全体ブロック図、図2は、締固め施工管理システム1が適用される土工事予定領域2を示した全体平面図である。
【0036】
本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1は図2に示すように、撒出し用移動体としてのブルドーザ21及び締固め用移動体としての振動ローラ23が土工事を行うものであって、図1に示すようにブルドーザ21には、GPS測量装置3、モバイルパソコン4及び移動側データ通信装置としてのパケット通信専用端末5を搭載してあり、GPS信号を受信処理してGPS測量データを得るとともに該GPS測量データの鉛直座標データから撒出し厚を、水平座標データから撒出し範囲をモバイルパソコン4でそれぞれ算出して出来高データとし、これらGPS測量データ及び出来高データをパケット通信専用端末5から送信できるようになっている。
【0037】
また、振動ローラ23には、GPS測量装置3、移動側コンピュータとしてのモバイルパソコン4及び移動側データ通信装置としてのパケット通信専用端末5を搭載してあり、管理側コンピュータ7からデータ送信されてきた撒出し作業における出来高データ、すなわち撒出し厚及び撒出し範囲をパケット通信専用端末5で受信し、これをモバイルパソコン4に表示できるようになっている。
【0038】
さらに、振動ローラ23は、振動部としてのローラを支持するアーム(図示せず)に加速度計15を付設してあり、GPS測量装置3でGPS信号を受信処理してGPS測量データを得るとともに、加速度計15で計測された加速度データを用いて転圧位置における地盤の転圧状況をモバイルパソコン4で演算処理して評価するとともにこれを出来高データとし、これらGPS測量データ及び出来高データをパケット通信専用端末5から送信できるようになっている。
【0039】
地盤の転圧状況を評価するにあたっては、必要に応じてFFTアナライザー等の解析機器をあらたな移動側コンピュータとして振動ローラ23に別途搭載しておく。
【0040】
一方、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1は管理側ネットワーク6を備えており、該管理側ネットワークは、管理側コンピュータ7、データサーバー9及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバー10を互いにLAN接続して構成してある。
【0041】
ここで、管理側コンピュータ7には管理用データ通信装置としてパケット通信専用端末8を接続してあり、ブルドーザ21や振動ローラ23に搭載されたパケット通信専用端末5との間でデータの送受信を双方向で行うことができるようになっている。
【0042】
一方、管理側ネットワーク6は、外部からの不正アクセスを防ぐファイアウォール11をLAN接続してあり、該ファイアウォールの上流側にウェブサーバー10を接続してあるとともに、ウェブサーバー10の上流側に設置されたルータ12を介してインターネット13に接続してあり、該インターネットには、クライアント端末14を接続してある。
【0043】
クライアント端末14は、例えば施工会社の支店や技術支援部署に設置されることが考えられる。
【0044】
ここで、管理側コンピュータ7は、パケット通信専用端末5から送信されてきたブルドーザ21や振動ローラ23のGPS測量データをパケット通信専用端末8で受信して位置データとしてデータサーバー9に蓄積するとともに、同様に受信された出来高データをデータサーバー9に蓄積し、これら位置データ及び出来高データのうち、公開してもよいものだけを適宜選んでウェブサーバー10に蓄積し、クライアント端末14は、インターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることによって、上述した位置データ及び出来高データを閲覧できるようになっている。
【0045】
また、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1は、土工事予定領域2での基本計画時の各種情報データ及び設計データをデータサーバー9及びウェブサーバー10(公開可能なデータのみ)に蓄積し、該基本計画時の各種情報データ及び設計データをインターネット13を介してクライアント端末14から閲覧できるようになっている。
【0046】
ここで、基本計画時の各種情報データ及び設計データについては、土工事予定領域2内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域2内の上述した各データを把握できるように該各データをGISデータとするのが望ましい。
【0047】
分割要素を作成するにあたっては、例えば国土地理院等から入手した地理的な空間情報を管理側コンピュータ7やクライアント端末14に取り込んだ上、該空間情報に関するデータをGISソフトで演算処理することで作成することができる。分割要素の大きさは、要求される施工精度に応じて適宜設定すればよいが、例えば50m×50m〜100m×100mとすればよい。
【0048】
本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1においては、まず、ダンプトラックで搬入されてきた埋立材や盛土材をブルドーザ21で撒き出すにあたり、該ブルドーザに搭載されたGPS測量装置3でその走行位置を三次元的に計測してGPS計測データを得るとともに、該GPS計測データの鉛直座標データから撒出し厚を、水平座標データから撒出し範囲をそれぞれモバイルパソコン4で算出し、該撒出し厚及び撒出し範囲を撒き出し作業における出来高データとしてGPS計測データとともに上述したデータ通信によって管理側コンピュータ7に送る。
【0049】
算出された出来高データは、モバイルパソコン4に適宜表示することができるので、撒出し作業を効率よく行うことができる。
【0050】
次に、管理側コンピュータ7では、受け取ったGPS計測データを位置データとしてデータサーバー9に蓄積するとともに、同様に受信した撒出し作業の出来高データをデータサーバー9に蓄積する。
【0051】
次に、上述したブルドーザ21の出来高データを上述したデータ通信によって振動ローラ23に搭載されたモバイルパソコン4に送り、該出来高データを振動ローラ23のモバイルパソコン4に表示する。
【0052】
このようにすると、振動ローラ23のオペレータは、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚をモバイルパソコン4の画面上で確認しながら転圧作業を効率よく行うことができる。
【0053】
ここで、振動ローラ23を用いて転圧作業を行うにあたっては、該振動ローラに搭載されたGPS測量装置3でその走行位置を三次元的に計測し、そのGPS計測データを上述したデータ通信によって管理側コンピュータ7に送るとともに、振動部であるローラーの鉛直方向加速度を加速度計15で転圧中に計測する。
【0054】
そして、計測された加速度データを用いて演算処理部であるモバイルパソコン4で演算処理して転圧位置における地盤の転圧状況を評価し、その評価にしたがって転圧作業を行うとともに、演算結果である転圧状況を出来高データとして管理側コンピュータ7に送る。
【0055】
このようにすると、地盤の転圧状況を客観的なデータに基づいて評価ないし監視することが可能となり、地盤を効率よくしかも確実に締め固めることができる。
【0056】
振動ローラ23の振動部の鉛直方向加速度を計測して転圧状況を評価する例としては、計測された振動部の加速度時刻歴データを、振動ローラ23に別途搭載されたFFTアナライザでフーリエ解析して加速度スペクトルを算出するとともに、算出された加速度スペクトルから卓越振動数における加速度スペクトル(パワースペクトル)を基本(一次)振動数でのピーク値A、二次振動数でのピーク値B、三次振動数でのピーク値Cとしてそれぞれ求め、しかる後に比率(B+C)/Aを演算して締固め評価指標とする方法が考えられる。
【0057】
次に、管理側コンピュータ7では、受け取った出来高データを位置データとともにデータサーバー9に蓄積する。
【0058】
一方、管理側コンピュータ7は、データサーバー9に蓄積されたブルドーザ21及び振動ローラ23の位置データ並びにそれらの出来高データの少なくとも一部をインターネット13を介して閲覧できるようにウェブサーバー10に蓄積する。
【0059】
このようにすると、管理側コンピュータ7が接続されている管理側ネットワーク6には、インターネット13を介してクライアント端末14も接続されているため、クライアント端末14からは、該インターネットを介してウェブサーバー10にアクセスすることにより、ブルドーザ21及び振動ローラ23の位置データ並びにそれらの出来高データを適宜閲覧することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1によれば、振動ローラ23のオペレータは、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚をモバイルパソコン4の画面上で確認することができるため、転圧作業を効率よく行うことが可能となる。
【0061】
また、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1によれば、振動部であるローラーの鉛直方向加速度を加速度計15で転圧中に計測し、計測された加速度データを用いてモバイルパソコン4で演算処理して転圧位置における地盤の転圧状況を評価し、その評価にしたがって転圧作業を行うようにしたので、地盤の転圧状況を客観的なデータに基づいて評価ないし監視することが可能となり、地盤を効率よくしかも確実に締め固めることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1によれば、データサーバー9に蓄積されたブルドーザ21及び振動ローラ23の位置データ並びにそれらの出来高データの少なくとも一部をインターネット13を介して閲覧できるようにウェブサーバー10に蓄積するようにしたので、クライアント端末14からインターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスすることにより、ブルドーザ21及び振動ローラ23の位置データ並びにそれらの出来高データを適宜閲覧することが可能となる。
【0063】
そのため、管理側コンピュータ7が設置された例えば工事事務所のみならず、クライアント端末14が設置された支社や本社あるいは技術支援部署から、土工事の進捗状況をリアルタイムに監視することが可能となる。そして、ハードウェア及びソフトウェア(ブラウザ)を構成するにあたっては、従来のインターネットの基盤を利用することができるため、きわめて汎用性の高いシステムとなり、どの現場でも採用することができるし、特定の現場で把握されたノウハウを次の現場にフィードバックすることも容易となる。
【0064】
また、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1によれば、土工事予定領域2内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに土工事予定領域2内の各データを把握できるように該各データをGISデータとしたので、基本計画や設計がCADとGISとを関連付けた形で行われているような場合には、位置データや出来高データと、基本計画時の各種情報データ及び設計データとの整合性が高くなり、設計と実際の工事の進捗状況とを正確に把握することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る土工事における締固め管理システム1によれば、ウェブサーバー10に蓄積された土工事予定領域2での基本計画時の各種情報データ及び設計データを、土工事の進捗状況とともにクライアント端末14から閲覧することができる。
【0066】
すなわち、インターネット13を介してウェブサーバー10にアクセスするだけで、基本計画段階から設計段階を経て実際に行われている土工事の様子に至る一連の流れを統合的に把握することが可能となる。
【0067】
本実施形態では、各種データをGISデータとしたが、必ずしもGISを取り入れる必要はない。また、土工事予定領域での基本計画時の各種情報データ又は設計データについては、必ずしもクライアント端末で閲覧できなくてもよい。
【0068】
かかる場合においては、基本計画段階から施工状況の進捗状況に至る統合的な把握は難しくなるが、土工事の進捗状況をリアルタイムに監視できることができることには何ら変わりはない。
【0069】
また、本実施形態では、ブルドーザ21にモバイルパソコン4を搭載するようにしたが、撒出し厚や撒出し範囲を自ら監視する必要がないのであれば、これを省略してもよい。かかる場合、管理側コンピュータ7でこれらの出来高データを算出すればよい。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る土工事における締固め管理システムによれば、管理側コンピュータが設置された例えば工事事務所のみならず、クライアント端末が設置された支社や本社あるいは技術支援部署から、土工事の進捗状況をリアルタイムに監視することが可能となる。そして、ハードウェア及びソフトウェア(ブラウザ)を構成するにあたっては、従来のインターネットの基盤をそのまま利用することができるため、きわめて汎用性の高いシステムとなり、どの現場でも採用することができるし、特定の現場で把握されたノウハウを次の現場にフィードバックすることも容易となる。
【0071】
また、埋立材や盛土材が撒き出された撒出し範囲とその撒出し厚を締固め用移動体に搭載された移動側コンピュータの画面上で確認することができるため、撒出し作業と締固め作業とのデータ連携が確立され、転圧作業を効率よくしかも確実に行うことが可能となる。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る土工事における締固め管理システムの全体ブロック図。
【図2】本実施形態に係る土工事における締固め管理システムが適用される土工事予定領域を示した全体平面図。
【符号の説明】
1 土工事における締固め管理システム
2 土工事予定領域
3 GPS測量装置
5 パケット通信専用端末(移動体側データ通信装置)
6 管理側ネットワーク
7 管理側コンピュータ
8 管理側データ通信装置
9 データサーバー
10 ウェブサーバー
13 インターネット
14 クライアント端末
21 ブルドーザ(撒出し用移動体)
23 振動ローラ(締固め用移動体)
Claims (3)
- ブルドーザ等の撒出し用移動体及び振動ローラ等の締固め用移動体に搭載されたGPS測量装置と、前記締固め用移動体に備えられた振動部の鉛直方向加速度を転圧中に計測する加速度計と、前記締固め用移動体に搭載され前記加速度計で計測された加速度データを用いて転圧位置における地盤の転圧状況を演算処理する演算処理部を備えた移動側コンピュータと、管理側コンピュータ、該管理側コンピュータに接続されたデータサーバー及び該データサーバーに蓄積されたデータの少なくとも一部をインターネットを介して閲覧できるように構成されたウェブサーバーからなる管理側ネットワークと、該管理側ネットワークにインターネットを介して接続されたクライアント端末とから構成するとともに、前記管理側コンピュータを、前記GPS測量装置から得られた前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体の位置データ及び前記撒出し用移動体による撒出し厚及び撒出し範囲を含む出来高データを前記データサーバーに蓄積するように構成し、前記移動側コンピュータを、前記撒出し厚及び撒出し範囲が表示されるように構成し、前記管理側コンピュータを、前記締固め用移動体の転圧状況を出来高データとして前記データサーバーに蓄積するように構成し、前記クライアント端末を、インターネットを介して前記ウェブサーバーにアクセスすることによって前記位置データ及び前記出来高データを閲覧できるように構成したことを特徴とする土工事における締固め管理システム。
- 土工事予定領域内を地理的に分割して分割要素とし、該分割要素ごとに前記土工事予定領域内の前記各データを把握できるように該各データをGISデータとした請求項1記載の土工事における締固め管理システム。
- 前記撒出し用移動体及び前記締固め用移動体にそれぞれ移動体側データ通信装置を搭載するとともに前記管理側コンピュータに管理側データ通信装置を接続し、前記管理側コンピュータを、前記移動体側データ通信装置から送信されてきた前記位置データ及び前記出来高データを前記管理側データ通信装置で受信して前記データサーバーに蓄積するように構成した請求項1記載の土工事における締固め管理システム。
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