JP4048410B2 - 硼化物焼結体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐摩耗材料や切削工具に好適な硼化物焼結体に関するものである。特に、鋼や鋳鉄の加工・耐摩工具や切削工具に最適な高硬度の硼化物焼結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
切削工具に用いられるAl2O3やSi3N4からなるセラミック工具は硬度がHv1600〜2400と高く、鉄系材料の切削においては良好な耐摩耗性を示すが、靭性に乏しい。そのため、被削性の良い鋳鉄の切削には使用されるが、鋼の切削においては耐欠損性の低下により十分な寿命を得られていない。
【0003】
また、超硬合金工具は、その焼結体硬度がHv1500〜2000とセラミックより低く、さらに金属Coを含むため、熱処理によりHRc40程度まで高硬度化させた鋼の切削においては耐摩耗性、耐欠損性に劣り、十分な工具寿命が得られない。
【0004】
一方、高硬度な切削工具としてcBN焼結体があり、焼き入れによりHRc50以上に高硬度化された焼入鋼の切削においては高い性能を示すことが知られている。また、cBN焼結体はHRc30〜50の一般的な熱処理鋼の切削でも、セラミック工具や超硬合金工具と同等以上の寿命を持つ。しかし、製造コストの高い超高圧高温発生装置を用いて超高圧下で合成されるcBNを原料としており、さらに超高圧下で焼結されるために工具単価が高く、加工コストが高くなるために一般的に使用されていない。
【0005】
これに対し、H.WerheitらのJournal of Alloys and Compounds,202(1993)269-281には、Alを含む3元硼化物として、AlLiB14の単結晶の硬度がHv2950、AlMgB14の単結晶の硬度がHv2790と高い硬度を有することが示されている。この論文は、多量のアルミニウム融液中にマグネシウムと硼素を溶解し、結晶を析出させる方法を開示している。
【0006】
また、別の従来技術としてUSP6099605に記載の技術が知られている。この公報はAl、Mg、B元素の粉末を化学量論組成で配合後、メカニカルアロイング法を用いて微細化した後に、30重量%のTiB2を加えてホットプレスで焼結することにより、Hv3800-4600の高硬度焼結体が得られることを示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の論文とUSPに開示される技術では次のような問題があった。
前記論文の技術では、緻密で不純物の少ない焼結体を得ることができないという問題がある。この論文の技術は、数十μm以上のAlMgB14粒子が生成できる。より具体的には、粒径が最小でも50μmであり、最大では2mmに達する。しかし、AlMgB14は難焼結性であり、このような粗粒の粉末からは緻密な焼結体を得ることができない。
【0008】
また、このような粗粒を微細化し、高圧高温装置を用いれば緻密な焼結体を得ることができる。しかし、粗粒を粉砕するには微細化に長時間を要し、粉砕容器や粉砕媒体(ボールなど)から不純物が3重量%以上と多量に混入して、組成の制御が困難である。さらに、このようにして得られた焼結体は靭性が低いため、HRc40以上の硬度を有する鋼材では連続切削を行なっても欠損が生じて十分な性能を得られない。
【0009】
一方、USP6099605に記載の技術では、不純物の混入により十分な硬度と靭性を具える焼結体を得ることができないと言う問題がある。鋼製の粉砕ボールとAl、Mg、Bの原料粉末を入れた高エネルギータイプの粉砕装置でメカニカルアロイングを行なうため、粉砕ボールや容器材質の不純物混入が避けられない。そのため、鉄と原料硼素が反応して、FeB49が生成し混入していることが確認されている。このような鉄の硼化物は脆性材料であると共に鋼材との反応性が高いため、この焼結体を切削工具として用いた場合に刃先の耐摩耗性と耐欠損性のいずれをも低下させる問題がある。
【0010】
また、メカニカルアロイングでは酸化反応が生じやすく、さらに急激な酸化反応による爆発の恐れがあるために、LiやNa等のIa、IIa族金属を含む混合原料を微細化して焼結体を得ることは実質的に不可能である。
【0011】
従って、本発明の主目的は、熱処理した鋼の切削等に必要な耐摩耗性を具え、鋼等の加工コストを低減させることのできる、結合材を用いて焼結した硼化物焼結体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結合材の組成や原料の粒径を規定することで上記の目的を達成する。
【0013】
すなわち、本発明の硼化物焼結体は、Alと、Mg および Liから選ばれる一つの元素Mと、硼素とからなる硼化物を含む硼化物焼結体である。前記硼化物焼結体は、組成がAl x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される硼化物が50〜75体積%と残部が結合相と不可避不純物とからなる。前記硼化物は、 5 μ m 以下の粒子からなり、前記結合相はIVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物から選ばれる少なくとも1種またはこれらの固溶体化合物からなる。そして、Al x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される硼化物が焼結体組織中で前記結合相を介して相互に接合されていることを特徴とする。
【0014】
従来、組成がAl x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される硼化物を含む焼結体は、不可避不純物を除いてAl x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )のみからなる焼結体であるか、重量%で30%の添加物を含む焼結体で高い硬度を得られるが、十分な強度が得られない。例えば、USP6099605に記載の技術では、メカニカルアロイングにより各原料粉末の結晶構造を完全に破壊するような粉砕を行うため、粉砕容器・媒体から脆化をもたらす不純物が混入するからである。また、メカニカルアロイング後に30重量%のTiB2を配合し、高硬度の焼結体となるが、TiB2は体積%で17%と少なく、難焼結性のAl x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )硼化物粒子同士が接触してしまい十分な結合強度が得られないためである。
【0015】
本発明では、三元硼化物の含有量を50〜75体積%とし、残部の25〜50体積%を結合材とすることで、結合相を介して三元硼化物間を強い強度で結合させる。特に、結晶構造の崩れていない微細な三元硼化物粉末を原料として用い、その難焼結性を改善する。その結果、切削工具に適する高い硬度と耐欠損性を具える焼結体を得ることができる。
【0016】
本発明焼結体は、Al x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される50〜75体積%の三元硼化物と残部を結合相と不可避不純物とからなる。より具体的な三元硼化物の組成としてはAlMgB14やAlLiB14などが挙げられる。AlMgB14の場合、より正確な構造はAl0.75Mg0.78B14である。
【0017】
結合相としては、IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物から選ばれる1種もしくは混合物あるいは固溶体化合物からなる。より具体的にはTi、Zrの炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物の少なくとも一種を含むものが好ましい。
【0018】
不可避不純物としては、一般にAlMgB14を含む系では、AlおよびMgの酸化物、MgA1204ならびに結合相金属元素の酸化物が見られる。AlLiB14を含む系では、AlおよびLiの酸化物、AlLiO2ならびに結合相金属元素の酸化物が見られる。
【0019】
焼結体を構成する三元硼化物の最大粒径は5μm以下である。このような微細な三元硼化物で焼結体を構成することにより、鋼の切削における耐摩耗性と耐欠損性を得るに必要な強度を有する焼結体となる。より好ましい三元硼化物の最大粒径は2μm以下である。また、切削工具として好ましい焼結体の硬度はHv25GPa以上である。
【0020】
上記の硼化物焼結体は、最大粒径が5μm以下の硼化物粒子を圧力:150MPa以上10GPa以下、温度:1000℃以上1500℃以下で焼結することで得られる。より好ましい硼化物粒子の最大粒径は3μm以下である。
【0021】
微細な硼化物粒子を用いることで、緻密で高硬度の焼結体を得ることができる。このような硼化物粒子は、粉砕を行わないか短時間の粉砕とすることで結晶構造を極力崩さず、かつ不純物の少ない状態とすることができる。焼結圧力のより好ましい範囲は、1GPa以上5GPa以下、更に好ましくは、1GPa以上3GPa以下である。焼結温度のより好ましい範囲は1200〜1400℃である。焼結保持時間は、15〜60分程度が好ましい。
【0022】
焼結体の原料粉末となる微細な硼化物粒子は、粉砕を行うことなく当初から微粒の硼化物粒子を得る方法と、まず粗粒を得て、その後粉砕することで微粒とする方法の2通りがある。
【0023】
粉砕を行わない方法は、硼素:最大粒径3μm以下で75〜91原子%、Al:4〜21原子%、周期律表IaおよびIIa族から選ばれる一つの元素M:3〜6原子%の組成を有する原料を、窒素以外の不活性ガス雰囲気中にて、1300℃以下の温度で加熱処理する工程により得ることができる。
【0024】
最大粒径が3μm以下の硼素を原料とすることで、得られる硼化物粒子の最大粒径を5μm以下に抑えることができる。より好ましくは、最大粒径が1μm以下の硼素を原料とし、得られる硼化物粒子の最大粒径を3μm以下とする。
【0025】
従来、AlMgB14では、結晶成長させるためにAlが多く含まれていた。例えばAlの含有量は80〜91原子%程度である。本発明では、極力Alの含有量を減らし、微細な硼化物粒子が得られる組成を選択した。Alが21原子%を超えると結晶粒成長が起こり、粗粒の硼化物粒子となる傾向がある。
【0026】
AlMgB14について、Alの含有量を変化させて上記の方法にて微粒の硼化物粒子が得られた組成例を表1に示す。この表1における組成No.1はAlMgB14の化学量論組成で、微細な硼化物粒子が得られたが、若干の酸化物も見られた。また、No.2は得られた粒子が微粒であり、酸化物も非常に少なく好ましいAlMgB14であった。さらに、No.3でも微粒のAlMgB14が合成できたが、No.2に比べて粗粒化しており、好ましい微粒子が得られるAl量としては21原子%と思われる。
【0027】
【表1】
【0028】
加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気とする。ただし、窒素は除く。通常、アルゴンを用いることが好適である。
【0029】
加熱処理温度は、理論上、Alの融点(660.4℃)以上の温度〜1300℃以下の温度であれば良い。1300℃を超える温度で合成した場合はAlB12も同時に合成してしまうため好ましくない。最適な合成温度は1200〜1300℃、特に1200℃前後である。保持時間は、30〜90分程度が好ましい。
【0030】
この方法であれば、粉砕を行うことなく微粒の硼化物粒子を得ることができ、粉砕時に不純物が混入して焼結体とした際に硼化物の含有量が低下することを回避できる。
【0031】
次に、粉砕を行う方法は、まず硼素:最大粒径40μm以下で75〜91原子%、Al:4〜21原子%、周期律表IaおよびIIa族から選ばれる一つの元素M:3〜6原子%の組成を有する原料を、窒素以外の不活性ガス雰囲気中にて、1300℃以下の温度で加熱処理し、最大粒径が50μm以下で、かつ平均粒径15μm以下の硼化物粒子を得る。続いて、この最大粒径が50μm以下の硼化物粒子を粉砕して最大粒径5μm以下の硼化物粒子とする。
【0032】
原料の組成、加熱処理における雰囲気、温度は粉砕を行わない方法の場合と同様である。ここでは原料となる硼素の粒径が粗いため合成された硼化物粒径も大きくなるが、最大粒径が50μm以下で、平均粒径を15μm以下とすることで、粉砕工程を用いても短時間で最大粒径5μm以下に微細化できる。粉砕時間が短かければ、不純物の混入がほとんど無い状態で硼化物粉末を得ることができる。そして、不純物の少ない硼化物粒子を用いることで焼結性も改善され、緻密な焼結体を得ることができる。
【0033】
粉砕は、極力不純物が混入しないような条件を選択して行うことが好ましい。ボールミルを用いた粉砕条件例としては、ボール:アルミナ製、直径3〜6mm、粉砕時間:4〜10時間が挙げられる。できるだけ、短時間で粉砕を行うことが好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
純度99.9%、最大粒径3μm以下の無定形硼素粉末、純度99.9%、最大粒径40μm以下のアルミニウム粉末、純度99.9%、最大粒径180μm以下のマグネシウム粉末をそれぞれ85原子%、10原子%、5原子%配合混合した。この混合粉末を高純度なアルミナるつぼにいれ、高温雰囲気加熱炉中に設置し、99.99%以上の高純度アルゴンガス雰囲気中、1200℃で1時間保持し、最大粒径が5μmで平均粒径が2μmのAlMgB14粉末を得た。また、上記と同様に純度99.9%、最大粒径1μm以下の無定形硼素粉末とすることにより、最大粒径で2μm、平均粒径で0.7μmのAlMgB14粉末を得た。
【0035】
上記の各々の粒子を用いて、表2に示す組成で最大粒径で3μm以下のTiN粒子を配合した。これらの混合粉末をアルミナ製のボールミル容器中に、アルミナ製ボール、エタノールとともに充填してボールミルし、均質に混合した。この混合粉末を1×10− 3Paの真空中、600℃で乾燥処理したのち、ペレット状に加圧成形した。この成形体をMo容器中に入れ、この容器を高圧高温装置を用いて、圧力2GPa、温度1350℃で30分間保持して焼結体を得た。得られた焼結体のX線回折測定結果とビッカース硬度の測定結果も表2に示す。X線回折測定の結果、全ての焼結体において、AlMgB14とTiN、TiB2が観察された。こられの物質以外には、MgA1204とA1203のピークが認められた焼結体もあった。
【0036】
次に、これらの焼結体の組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微細なAlMgB14粒子は結合相を介して相互に接合していることが認められた。
【0037】
比較例として、上記の方法で結合材を含まない焼結体(比較例1-7)、さらに結合材として、TiNを10体積%、20体積%含む焼結体(比較例1-8、1-9)を作製した。これらのX線回折測定結果、硬度測定結果も表2に示す。また、走査型電子顕微鏡で組織を観察したところ、結合材を含む場合でもAlMgB14が相互に接触している個所が多く、粒子間の三重点に結合材の多くが存在していた。
【0038】
上記焼結体を切れ刃とする切削加工用チップを製作した。これらの切削加工用チップを用いて、熱処理した炭素鋼SCM435(HRc30)の丸棒(φ150×300mm)の外周切削を20分間行った。切削条件はV=300m/min、d=0.5mm、f=0.2mm/rev、乾式である。20分切削後の本発明例と比較例の逃げ面摩耗量の結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2から明らかなように、本発明例はいずれも25GPa以上の硬度と少ない逃げ面摩耗量を具えており、優れた硬度を有する焼結体であることがわかる。
【0041】
(実施例2)
最大粒径で2μm以下のAlMgB14粒子と最大粒径で3μm以下の結合材粒子を表3に示す組成で配合した。これらの混合粉末を実施例1と同様にして高圧高温焼結して焼結体を得た。得られた焼結体のX線回折測定結果とビッカース硬度の測定結果を表3に示す。全ての焼結体において、AlMgB14と配合した結合材と結合材を形成する金属元素の硼化物が観察された。上記の物質以外に、MgA12O4とA12O3のピークが認められた。
【0042】
比較例として、表3に示すように、結合材の配合比を50体積%以上の焼結体(比較例2-9)と10〜23体積%(比較例2-10〜2-12)とした焼結体も作製した。
【0043】
上記焼結体を切れ刃とする切削加工用チップを製作した。これらの切削加工用チップを用いて、熱処理した炭素鋼SCM435(HRc30)の丸棒(φ150×300mm)に4本のV字溝を入れた被削材を準備し、断続切削を行なった。切削条件はV=250m/min、d=0.2mm、f=0.15mm/rev、乾式である。本発明例と比較例の工具の欠損寿命を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3から明らかなように、本発明例はいずれも25GPa以上の硬度を具え、さらに欠損寿命も長く、硬度と靭性を兼備した焼結体であることがわかる。
【0046】
(実施例3)
硼素とアルミニウムとリチウムの組成比が82原子%、13原子%、5原子%となるように、純度99.9%、最大粒径1μm以下の結晶硼素粉末と、純度99.9%、最大粒径で300μm以下のアルミニウム-28原子%リチウム合金粉末とをそれぞれ70重量%と30重量%配合して混合した。この混合粉末を高純度なアルミナるつぼに入れ、高温雰囲気加熱炉中に設置し、99.99%以上の高純度アルゴンガス雰囲気中、1180℃で1時間保持し最大粒径で2μm、平均粒径で0.8μmのAlLiB14粉末を得た。
【0047】
この粉末に、表4に示す組成で最大粒径で2μm以下のZrN粒子を配合した。これらの混合粉末をジルコニア製のボールミル容器中、ジルコニア製ボール、エタノールとともに充填してボールミルし、均質に混合した。この混合粉末を1×10− 3Paの真空中、600℃で乾燥処理したのち、ペレット状に加圧成形した。この成形体をMo容器中に入れ、この容器を高圧高温装置を用いて、圧力2GPa、温度1400℃で30分間保持して焼結体を得た。得られた焼結体のX線回折測定結果とビッカース硬度の測定結果を表4に示す。全ての焼結体において、AlLiB14とZrN、ZrB2が観察された。上記の物質以外に、AlLiO2とA12O3のピークが認められた。
【0048】
次に、これらの焼結体の組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、AlLiB14粒子は結合相を介して相互に接合していることが認められた。
【0049】
比較例として、上記の方法で結合材を含まない焼結体(比較例3-5)、さらに結合材としてZrNを20体積%含む焼結体(比較例3-6)を作製した。これらのX線回折測定結果、硬度測定結果も表4に示す。
【0050】
上記焼結体を切れ刃とする切削加工用チップを製作した。これらの切削加工用チップを用いて、熱処理した炭素鋼SCM435(HRc30)の丸棒(φ150×300mm)の連続切削を10分間行なった。切削条件はV=400m/min、d=0.2mm、f=0.15mm/rev、乾式である。本発明例と比較例の刃先損傷の結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表4から明らかなように、本発明例はいずれも25GPa以上の硬度と少ない逃げ面摩耗量を具えており、優れた硬度を有する焼結体であることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明焼結体は、組成がAl x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される硼化物が結合材により相互に結合された組織とすることで、切削工具として用いた場合に優れた耐摩耗性と耐欠損性とを備える。
Claims (3)
- Alと、Mg および Liから選ばれる一つの元素Mと、硼素とからなる硼化物を含む硼化物焼結体であって、
前記硼化物焼結体は、組成がAl x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される硼化物が50〜75体積%と残部が結合相と不可避不純物とからなり、
前記硼化物は、 5 μ m 以下の粒子からなり、
前記結合相はIVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物から選ばれる少なくとも1種またはこれらの固溶体化合物からなり、
Al x M y B z ( x ≦ 1 、 y ≦ 1 、 z ≧ 12 )で表される硼化物が焼結体組織中で前記結合相を介して相互に接合されていることを特徴とする硼化物焼結体。 - 上記結合相がTi、Zrの炭化物、窒化物、炭窒化物の少なくとも一種を主体とすることを特徴とする請求項1に記載の硼化物焼結体。
- 不可避不純物として、Alの酸化物、元素Mの酸化物、Bの酸化物およびAl、元素MおよびBの複合酸化物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の硼化物焼結体。
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