JP2003261382A - 硼化物焼結体 - Google Patents

硼化物焼結体

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JP2003261382A
JP2003261382A JP2002062436A JP2002062436A JP2003261382A JP 2003261382 A JP2003261382 A JP 2003261382A JP 2002062436 A JP2002062436 A JP 2002062436A JP 2002062436 A JP2002062436 A JP 2002062436A JP 2003261382 A JP2003261382 A JP 2003261382A
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boride
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cutting
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particle size
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JP2002062436A
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English (en)
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Shinya Kamisaka
伸哉 上坂
Hitoshi Sumiya
均 角谷
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理した鋼の切削などに必要な耐摩耗性や
耐欠損性を具え、鋼などの加工コストを低減させること
のできる、結合材を用いて焼結した硼化物焼結体を提供
する。 【解決手段】 Alと、周期律表IaおよびIIa族から選ば
れる一つの元素Mと、硼素とからなる硼化物を含む硼化
物焼結体である。前記硼化物焼結体は、組成がAlX ≦1M
y≦1BZ≧12で表される硼化物が50〜75体積%と残部が結
合相と不可避的不純物とからなる。前記結合相は、Al
の硼化物および窒化物の少なくとも1種またはこれらの
混合物と、IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭
窒化物および硼化物から選ばれる1種またはこれらの混
合物あるいは固溶体化合物とからなる。そして、AlX≦1
My≦1BZ≧12で表される硼化物が焼結体組織中で前記結
合相を介して相互に接合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗材料や切削
工具に好適な硼化物焼結体に関するものである。特に、
鋳鉄や鋼などの鉄系材料の加工・耐摩工具や切削工具に
最適な耐摩耗性及び耐欠損性に優れる高硬度の硼化物焼
結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】切削工具に用いられるAl2O3やSi3N4から
なるセラミック工具は硬度がHv1600〜2400と高く、鉄系
材料の切削においては良好な耐摩耗性を示すが、靭性に
乏しい。そのため、被削性の良い鋳鉄の切削には使用さ
れるが、鋼の切削においては耐欠損性の低下により十分
な寿命を得られていない。
【0003】また、超硬合金工具は、その焼結体硬度が
Hv1500〜2000とセラミックより低く、さらに金属Coを含
むため、熱処理によりHRc40程度まで高硬度化させた鋼
の切削においては耐摩耗性、耐欠損性に劣り、十分な工
具寿命が得られない。
【0004】一方、高硬度な切削工具としてcBN焼結体
があり、焼き入れによりHRc50以上に高硬度化された焼
入鋼の切削においては高い性能を示すことが知られてい
る。また、cBN焼結体はHRc30〜50の一般的な熱処理鋼の
切削でも、セラミック工具や超硬合金工具と同等以上の
寿命を持つ。しかし、cBN焼結体は、製造コストの高い
超高圧高温発生装置を用いて、超高圧下で合成されるcB
Nを原料としており、さらに超高圧下で焼結されるため
に工具単価が高く、加工コストが高くなるために一般的
に使用されていない。
【0005】これに対しAlを含む3元硼化物として、H.W
erheitらのJournal of Alloys and Compounds,202
(1993)269-281には、AlLiB14の単結晶の硬度がHv295
0、AlMgB14の単結晶の硬度がHv2790と高い硬度を有する
ことが示されている。この論文は、多量のアルミニウム
融液中にマグネシウムと硼素を溶解し、結晶を析出させ
る方法を開示している。
【0006】また、別の従来技術としてUSP6099605に記
載の技術が知られている。この公報はAl、Mg、B元素の
粉末を化学量論組成で配合後、メカニカルアロイング法
を用いて微細化した後に、30重量%のTiB2を加えてホッ
トプレスで焼結することにより、Hv3800-4600の高硬度
焼結体が得られることを示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の論文と
USPに開示される技術では次のような問題があった。前
記論文の技術では、緻密で不純物の少ない焼結体を得る
ことができないという問題がある。この論文の技術は、
数十μm以上のAlMgB14粒子が生成できる。より具体的に
は、粒径が最小でも50μmであり、最大では2mmに達す
る。しかし、AlMgB14は難焼結性であり、このような粗
粒の粉末からは緻密な焼結体を得ることができない。
【0008】また、このような粗粒を微細化し、高圧高
温装置を用いれば緻密な焼結体を得ることができる。し
かし、粗粒を粉砕するには微細化に長時間を要し、粉砕
容器や粉砕媒体(ボールなど)から不純物が3重量%以上
と多量に混入して、組成の制御が困難である。さらに、
このようにして得られた焼結体は靭性が低いため、例え
ば、熱処理を施しているが比較的低硬度の鋼材を断続切
削すると欠損が生じ、十分な性能を得られない。
【0009】一方、USP6099605に記載の技術では、不純
物の混入により十分な硬度と靭性を具える焼結体を得る
ことができないと言う問題がある。鋼製の粉砕ボールと
Al、Mg、Bの原料粉末を入れた高エネルギータイプの粉
砕装置でメカニカルアロイングを行うため、粉砕ボール
や容器材質の不純物混入が避けられない。そのため、鉄
と原料硼素が反応して、FeB49が生成し混入しているこ
とが確認されている。このような鉄の硼化物は脆性材料
であると共に鋼材との反応性が高いため、この焼結体を
切削工具として用いた場合に刃先の耐摩耗性と耐欠損性
のいずれをも低下させる問題がある。
【0010】また、メカニカルアロイングでは酸化反応
が生じやすく、さらに急激な酸化反応による爆発の恐れ
があるために、LiやNaなどのIa、IIa族金属を含む混合
原料を微細化して焼結体を得ることは実質的に不可能で
ある。
【0011】従って、本発明の主目的は、熱処理した鋼
の切削などに必要な耐摩耗性や耐欠損性を具え、鋼など
の加工コストを低減させることのできる、結合材を用い
て焼結した硼化物焼結体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、結合材の組成
や原料の粒径を規定することで上記の目的を達成する。
【0013】すなわち、本発明の硼化物焼結体は、Al
と、周期律表IaおよびIIa族から選ばれる一つの元素M
と、硼素とからなる硼化物を含む硼化物焼結体である。
前記硼化物焼結体は、組成がAlX≦1My≦1BZ≧12で表さ
れる硼化物が50〜75体積%と残部が結合相と不可避的不
純物とからなる。前記結合相は、Alの硼化物および窒
化物の少なくとも1種またはこれらの混合物と、IVa、
Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化
物から選ばれる1種またはこれらの混合物あるいは固溶
体化合物とからなる。そして、AlX≦1My≦1BZ≧12で表
される硼化物が焼結体組織中で前記結合相を介して相互
に接合されていることを特徴とする。
【0014】従来、組成がAlX≦1My≦1BZ≧12で表され
る硼化物を含む焼結体は、不可避的不純物を除いてAl
X≦1My≦1BZ≧12のみからなる焼結体であるか、重量%
で30%の添加物を含む焼結体で高い硬度が得られる。し
かし、このような従来の硼化物焼結体では、鋼などの断
続切削などに用いる場合に十分な強度が得られない。例
えば、USP6099605に記載の技術では、Al、Mg、Bの各原
料粉末を配合後、メカニカルアロイングにより各原料粉
末の結晶構造を完全に破壊するような粉砕を行うため、
粉砕容器・媒体などから脆化をもたらす不純物が混入す
るからである。また、メカニカルアロイング後に30重量
%のTiB2を配合し、高硬度の焼結体となるが、TiB2は体
積%で17%と少なく、難焼結性のAlX≦1My≦1BZ≧12
化物粒子同士が接触してしまい十分な結合強度が得られ
ないためである。
【0015】本発明では、三元硼化物の含有量を50〜75
体積%とし、残部の25〜50体積%をAl化合物を有する結
合材とすることで、Al化合物と三元硼化物との相互作用
により結合強度をより高め、この結合相を介して三元硼
化物間を強い強度で結合させる。特に、結晶構造の崩れ
ていない微細な三元硼化物粉末を原料として用い、その
難焼結性を改善する。その結果、特に、断続切削に用い
られる工具に適する高い硬度と耐欠損性を具える焼結体
を得ることができる。
【0016】本発明焼結体は、AlX≦1My≦1BZ≧12で表
される50〜75体積%の三元硼化物と、残部がAl化合物を
有する結合相と不可避的不純物とからなる。より具体的
な三元硼化物の組成としてはAlMgB14やAlLiB14などが挙
げられる。AlMgB14の場合、より正確な構造はAl0.75Mg
0.78B14である。
【0017】結合相は、Alの硼化物および窒化物の少な
くとも1種またはこれらの混合物と、IVa、Va、VIa族金
属の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物から選ばれる1
種もしくは混合物あるいは固溶体化合物とからなる。三
元硼化物と結合相とを強固に結合させるAl化合物として
は、AlB2やAlB12、AlNが挙げられる。特に、AlB2は、Al
の硼化物の中で強度が強く、三元硼化物と結合相間の結
合力を高められるので好ましい。IVa、Va、VIa族金属の
化合物としては、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化
物の少なくとも一種を含むものが好ましい。このとき、
Tiの化合物の含有量(体積%)は、結合相の半分よりも多
いことが望ましい。また、結合相の硼化物は、AlやIV
a、Va、VIa族金属と三元硼化物との反応により生成させ
たものでも同様の効果が得られる。
【0018】不可避的不純物としては、一般にAlMgB14
を含む系では、AlおよびMgの酸化物、MgA1204ならびに
結合相金属元素の酸化物が見られる。AlLiB14を含む系
では、AlおよびLiの酸化物、結合相金属元素の酸化物、
AlLiO2が見られる。
【0019】焼結体を構成する三元硼化物の最大粒径は
5μm以下が好ましい。このような微細な三元硼化物で焼
結体を構成することにより、鋼の切削における耐摩耗性
と耐欠損性を得るに必要な強度を有する焼結体となる。
より好ましい三元硼化物の最大粒径は2μm以下である。
また、切削工具として好ましい焼結体の硬度はHv25GPa
以上である。
【0020】上記の硼化物焼結体は、最大粒径が5μm以
下の硼化物粒子を圧力:150MPa以上10GPa以下、温度:1
000℃以上1600℃以下で焼結することで得られる。より
好ましい硼化物粒子の最大粒径は3μm以下である。
【0021】微細な硼化物粒子を用いることで、緻密で
高硬度の焼結体を得ることができる。このような硼化物
粒子は、粉砕を行わないか短時間の粉砕をすることで結
晶構造を極力崩さず、かつ不純物の少ない状態とするこ
とができる。焼結圧力のより好ましい範囲は、1GPa以上
5GPa以下、更に好ましくは、1GPa以上3GPa以下である。
焼結温度のより好ましい範囲は1200〜1600℃である。焼
結保持時間は、15〜60分程度が好ましい。
【0022】焼結体の原料粉末となる微細な硼化物粒子
は、粉砕を行うことなく当初から微粒の硼化物粒子を得
る方法と、まず粗粒を得て、その後粉砕することで微粒
とする方法の2通りがある。
【0023】粉砕を行わない方法は、硼素:最大粒径3
μm以下で75〜91原子%、Al:4〜21原子%、周期律表Ia
およびIIa族から選ばれる一つの元素M:3〜6原子%の組
成を有する原料を、窒素以外の不活性ガス雰囲気中に
て、1300℃以下の温度で加熱処理する工程により得るこ
とができる。
【0024】最大粒径が3μm以下の硼素を原料とするこ
とで、得られる硼化物粒子の最大粒径を5μm以下に抑え
ることができる。より好ましくは、最大粒径が1μm以下
の硼素を原料とし、得られる硼化物粒子の最大粒径を3
μm以下とする。
【0025】従来、AlMgB14では、結晶成長させるため
に硼化物中にAlが比較的多く含まれていた。例えば、上
記硼化物AlMgB14のAlの含有量は80〜91原子%程度であ
る。本発明では、硼化物中のAlの含有量を極力減らし、
微細な硼化物粒子が得られる組成を上記のように選択し
た。Alが21原子%を超えると結晶粒成長が起こり、粗粒
の硼化物粒子となる傾向がある。
【0026】AlMgB14について、Alの含有量を変化させ
て上記の方法にて微粒の硼化物粒子が得られた組成例を
表1に示す。この表1における組成No.1はAlMgB14の化
学量論組成で、微細な硼化物粒子が得られたが、若干の
酸化物も見られた。また、No.2は得られた粒子が微粒で
あり、酸化物も非常に少なく好ましいAlMgB14であっ
た。さらに、No.3でも微粒のAlMgB14が合成できたが、N
o.2に比べて粗粒化しており、硼化物において好ましい
微粒子が得られるAl量としては21原子%以下と思われ
る。
【0027】
【表1】
【0028】加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気と
する。ただし、窒素は除く。通常、アルゴンを用いるこ
とが好適である。
【0029】加熱処理温度は、理論上、Alの融点(660.4
℃)以上の温度〜1300℃以下の温度であれば良い。1300
℃を超える温度で合成した場合はAlB12を過剰に合成し
てしまうため好ましくない。最適な合成温度は1200〜13
00℃、特に1200℃前後である。保持時間は、30〜90分程
度が好ましい。
【0030】この方法であれば、粉砕を行うことなく微
粒の硼化物粒子を得ることができ、粉砕時に不純物が混
入して焼結体とした際に硼化物の含有量が低下すること
を回避できる。
【0031】次に、粉砕を行う方法は、まず硼素:最大
粒径40μm以下で75〜91原子%、Al:4〜21原子%、周期
律表IaおよびIIa族から選ばれる一つの元素M:3〜6原子
%の組成を有する原料を、窒素以外の不活性ガス雰囲気
中にて、1300℃以下の温度で加熱処理し、最大粒径が50
μm以下で、かつ平均粒径15μm以下の硼化物粒子を得
る。続いて、この最大粒径が50μm以下の硼化物粒子を
粉砕して最大粒径5μm以下の硼化物粒子とする。
【0032】原料の組成、加熱処理における雰囲気、温
度は粉砕を行わない方法の場合と同様である。ここでは
原料となる硼素の粒径が粗いため合成された硼化物粒径
も大きくなるが、最大粒径が50μm以下で、平均粒径を1
5μm以下とすることで、粉砕工程を有しても短時間で最
大粒径5μm以下に微細化できる。粉砕時間が短ければ、
不純物の混入がほとんど無い状態で硼化物粉末を得るこ
とができる。そして、不純物の少ない硼化物粒子を用い
ることで焼結性も改善され、緻密な焼結体を得ることが
できる。
【0033】粉砕は、不純物が極力混入しないような条
件を選択して行うことが好ましい。ボールミルを用いた
粉砕条件例としては、例えば、ボール:アルミナ製、直
径3〜6mm、粉砕時間:4〜10時間が挙げられる。できる
だけ、短時間で粉砕を行うことが好ましい。
【0034】また、硼化物粒子だけでなく、結合相の原
料粒子も微細ものを用いる方が好ましい。特に、結合相
の原料粒子は、硼化物粒子よりも微細なものを用いるこ
とが好ましい。具体的には、最大粒径5μm以下、特に、
2μm以下であることが好ましい。結合相の原料において
微細な粒子を得るには、材料を反応させた後、ボールミ
ルなどで粉砕するとよい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 (実施例1)最大粒径が2μmで平均粒径が0.7μmのAlMgB14
粉末と、表2に示す組成からなる最大粒径が2μm以下の
結合材とを配合して焼結した焼結体について、X線回折
測定とビッカース硬度の測定を行った。また、得られた
焼結体を切れ刃とする切削加工用チップを作製し、切削
評価を行った。表2に、配合組成、測定結果、切削評価
を示す。
【0036】AlMgB14粉末は、以下のようにして得た。
純度99.9%、最大粒径1μm以下の無定形硼素粉末、純度
99.9%、最大粒径40μm以下のアルミニウム粉末、純度9
9.9%、最大粒径150μm以下のマグネシウム粉末をそれ
ぞれ86.0原子%、9.0原子%、5.0原子%配合混合した。
この混合粉末を高純度なアルミナるつぼにいれ、高温雰
囲気加熱炉中に設置し、純度99.99%以上のアルゴンガ
ス雰囲気中、1200℃で1時間保持して得た。
【0037】結合材粉末は、以下のようにして得た。表
2に示す組成となるようにAl、AlB2、AlN粉末と、IVa、V
a、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物粉末
とを選択し、1×10-3Paの真空中において1273Kで熱処理
して反応させた。その後、アルミナ製のボールミル容器
にアルミナ製ボール、エタノールとともに上記反応物を
充填してボールミルし、最大粒径2μm以下に微細化した
結合材粉末を得た。
【0038】硼化物焼結体は、以下のようにして得た。
上記得られた硼化物粉末と、結合材粉末とを配合し、こ
れらの混合粉末をポリテトラフルオロエチレン製のボー
ルミル容器中に、アルミナ製ボール、エタノールととも
に充填してボールミルし、均質に混合した。この混合粉
末を1×10−3Paの真空中、600℃で乾燥処理したのち、
ペレット状に加圧成形した。この成形体をTa容器中に入
れ、この容器を高圧高温装置を用いて、圧力2GPa、温度
1500℃で30分間保持して焼結体を得た。得られた焼結体
の組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微細なAl
MgB14粒子は結合相を介して相互に接合していることが
認められた。
【0039】比較例として、結合材が50体積%超である
焼結体(試料No.1-12、1-14)、結合材が25体積%未満で
ある焼結体(試料No.1-13、1-15)を上記と同様の方法で
作製し、これらのX線回折測定、ビッカース硬度測定を
行った。また、得られた焼結体を切れ刃とする切削加工
用チップを作製し、切削評価を行った。表3に、配合組
成、測定結果、切削評価を示す。また、得られた焼結体
の組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、AlMgB14
が相互に接触している個所が多く、粒子間の三重点に結
合材の多くが存在していた。
【0040】上記焼結体を切れ刃として作製した切削加
工用チップを用いて、断続切削を行い、欠損寿命を調べ
た。被削材は、熱処理した合金鋼SCM435(HRc30)の丸棒
(φ150mm×300mm)で外周に4本のV字溝を有するものを用
いた。切削条件は、V=200m/min、d=0.5mm、f=0.15mm
/rev、乾式である。欠損寿命は、欠損が生じるまでの時
間とし、以下の実施例についても同様とする。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】表2から明らかなように、試料No.1-1〜1-1
1はいずれも25GPa以上の高い硬度と、断続切削において
も10分以上という長い欠損寿命とを具えており、優れた
硬度と靭性とを有する焼結体であることがわかる。特
に、X線回折測定結果に示すように結合相にAlB2を有す
る試料No.1-2や1-7などは、焼結体の耐欠損性を高め
て、長時間の仕様に耐え得ることがわかる。これに対
し、表3に示すように試料No.1-12〜1-15は、高い硬度を
有するものもあるが、いずれも欠損寿命が短く、断続切
削において十分な靭性が得られていないことが分かる。
【0044】(実施例2)最大粒径及び平均粒径が異な
るAlMgB14粒子と、結合材とを配合して焼結した焼結体
について、X線回折とビッカース硬度とを測定した。ま
た、得られた焼結体を切れ刃とする切削加工用チップを
作製し、切削評価を行った。表4に、硼化物の最大粒径
及び平均粒径、測定結果、切削評価を示す。
【0045】焼結体は、以下のようにして得た。最大粒
径が5μm以下で平均粒径が2μmのAlMgB14粒子、または
最大粒径が2μm以下で平均粒径が0.7μmのAlMgB14粒子
のいずれかの粉末60体積%と、最大粒径2μm以下の結合
材粉末(28体積%TiN-12体積%Al)を配合し、実施例1と
同様の方法で均質な混合粉末を作製し、ペレット状に加
圧成形した。この成形体をTa容器中に入れ、この容器を
高圧高温装置を用いて、圧力3GPa、温度1450℃で30分間
保持して焼結体を得た。これらの焼結体の組織を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、サブミクロンからなる微
細なAlMgB14粒子は結合相を介して相互に接合している
ことが認められた。
【0046】上記で用いた硼化物粉末及び結合材粉末
は、実施例1と同様の方法で作製した。硼化物粉末の粒
径は、材料粉末の粒径を変化させることで異ならせた。
【0047】比較例として、最大粒径15μm、平均粒径8
μmに結晶成長させたAlMgB14粒子と、上記と同様の組成
の結合材を配合して同様に焼結して焼結体(試料No.2-3)
を得て、同様にX線回折測定、ビッカース硬度測定を行
った。また、得られた焼結体を切れ刃とする切削加工用
チップを作製し、切削評価を行った。表4に、硼化物の
最大粒径及び平均粒径、測定結果、切削評価を示す。ま
た、得られた焼結体の組織を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、AlMgB14が結合材を介して接合している組織
であった。しかし、AlMgB14粒子間の間隔が広くなって
おり、このため硬度が低下したものと考えられる。ま
た、硬度測定の際の亀裂が粒子間の結合相中に進んでい
た。
【0048】上記焼結体を切れ刃として作製した切削加
工用チップを用いて、断続切削を行い、欠損寿命を調べ
た。被削材は、熱処理した合金鋼SKD11(HRc40)の丸棒
(φ150mm×300mm)で外周に4本のU字溝を有するものを用
いた。切削条件は、V=150m/min、d=0.3mm、f=0.2mm/
rev、乾式である。
【0049】
【表4】
【0050】表4から明らかなように、硼化物の最大粒
径が5μm以下である試料No.2-1及び2-2はいずれも25GPa
以上の硬度を具え、さらに欠損寿命も長く、高い硬度と
優れた靭性とを兼備した焼結体であることがわかる。
【0051】(実施例3)最大粒径が1.5μmで平均粒径が
0.5μmのAlLiB14粉末と、表5に示す組成からなる最大粒
径が2μm以下の結合材とを配合して焼結した焼結体につ
いてX線回折測定を行った。また、得られた焼結体を切
れ刃とする切削加工用チップを作製し、切削評価を行っ
た。表5に、配合組成、測定結果、切削評価を示す。
【0052】AlLiB14粉末は、実施例1においてマグネシ
ウム粉末をリチウム粉末に代えて同様の方法で作製し
た。また、結合材粉末も実施例1と同様に作製した。そ
して、得られた硼化物粉末と結合材粉末とを配合し、実
施例1と同様の方法で均質な混合粉末を作製し、ペレッ
ト状に加圧成形した。この成形体をTa容器中に入れ、こ
の容器を高圧高温装置を用いて、圧力3GPa、温度1550℃
で15分間保持して焼結体を得た。これらの焼結体の組織
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微細なAlLiB14
粒子は粒成長せずに結合相を介して相互に接合している
ことが認められた。
【0053】比較例として、結合材が50体積%超である
焼結体(試料No.3-7)、結合材が25体積%未満である焼結
体(試料No.3-8、3-9)を上記と同様の方法で作製し、こ
れらのX線回折測定を行った。また、得られた焼結体を
切れ刃とする切削加工用チップを作製し、切削評価を行
った。表5に、配合組成、測定結果、切削評価を示す。
また、得られた焼結体の組織を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、結合材が50体積%超である試料No.3-7は、
三元硼化物粒子間の間隔が広く、亀裂が伝播しやすい状
態であり、結合材が25体積%未満である試料No.3-8、3-
9は、三元硼化物同士が接触して、焼結されていなかっ
た。
【0054】上記焼結体を切れ刃として作製した切削加
工用チップを用いて、断続切削を行い、欠損寿命を調べ
た。被削材は、熱処理した炭素鋼S45C(HRc25)の丸棒(φ
300mm×400mm)で外周に6本のU字溝を有するものを用い
た。切削条件は、V=350m/min、d=0.35mm、f=0.2mm/r
ev、乾式である。
【0055】
【表5】
【0056】表5から明らかなように、試料No.3-1〜3-6
はいずれも、本試験のように強い衝撃が加わる断続切削
に用いても、欠損寿命が長く、優れた靭性を有する焼結
体であることがわかる。これに対し、試料No.3-7〜3-9
は、いずれも欠損寿命が短く、断続切削において十分な
靭性が得られていないことが分かる。
【0057】また、各焼結体のビッカース硬度を調べて
みた。すると、試料No.3-1〜3-6は、いずれも27Gpa以上
の硬度であり、高い硬度を有するものであった。これに
対し、試料No.3-7は21GPaと低く、試料No.3-8及び3-9
は、19〜25GPaと十分に焼結できていないために大きな
ばらつきがみられた。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明焼結体は、
組成がAlX≦1My≦1BZ≧12で表される硼化物がAl化合物
を有する結合材により相互に強い強度で結合された組織
とすることで、特に断続切削工具として用いた場合、優
れた耐摩耗性と耐欠損性とを具える。
フロントページの続き Fターム(参考) 3C046 FF43 FF55 4G001 BA24 BA25 BA36 BA37 BA38 BA41 BA43 BA44 BA57 BA63 BB24 BB25 BB36 BB37 BB38 BB41 BB43 BB44 BB57 BB63 BB68 BC01 BC11 BC42 BD12 BD13 BD18 BE01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alと、周期律表Ia族あるいはIIa族から
    選ばれる一つの元素Mと、硼素からなる硼化物を含む硼
    化物焼結体であって、 前記硼化物焼結体は、組成がAlX≦1My≦1BZ≧12で表さ
    れる硼化物が50〜75体積%と残部が結合相と不可避的不
    純物とからなり、 前記結合相は、Alの硼化物および窒化物の少なくとも1
    種またはこれらの混合物と、IVa、Va、VIa族金属の炭化
    物、窒化物、炭窒化物および硼化物から選ばれる1種ま
    たはこれらの混合物あるいは固溶体化合物とからなり、 AlX≦1My≦1BZ≧12で表される硼化物が焼結体組織中で
    前記結合相を介して相互に接合されていることを特徴と
    する硼化物焼結体。
  2. 【請求項2】 前記元素MがMgであることを特徴とする
    請求項1に記載の硼化物焼結体。
  3. 【請求項3】 前記元素MがLiであることを特徴とする
    請求項1に記載の硼化物焼結体。
  4. 【請求項4】 前記結合相中のAlの化合物がAlB2である
    ことを特徴とする請求項1に記載の硼化物焼結体。
  5. 【請求項5】 前記結合相がTiの炭化物、窒化物、炭窒
    化物、硼化物の少なくとも1種を含むことを特徴とする
    請求項1に記載の硼化物焼結体。
  6. 【請求項6】 組成がAlX≦1My≦1BZ≧12で表される硼
    化物が最大粒径5μm以下の粒子からなることを特徴とす
    る請求項1に記載の硼化物焼結体。
  7. 【請求項7】 組成がAlX≦1My≦1BZ≧12で表される硼
    化物が最大粒径2μm以下の粒子からなることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の硼化物焼結体。
  8. 【請求項8】 不可避的不純物として、Alの酸化物、元
    素Mの酸化物、Bの酸化物、Alと元素MとBとの複合酸化
    物、およびAlと元素Mとの酸化物から選択される少なく
    とも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の硼化物
    焼結体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016539290A (ja) * 2013-11-21 2016-12-15 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ セラミックマトリックス複合材から製造された構成要素を有する軸受

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