JP4048070B2 - 魚群探知機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は魚群探知技術、とくに音波を利用する魚群探知機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、魚群探知機は超音波を探知波として水中に射出し、その反射波に基づいて魚群や海底の状態を視覚化する。典型的な魚群探知機は、水中へ探知波を射出し、水中からの反射波を受波するトランスジューサと、トランスジューサを駆動する送信部と、トランスジューサからの信号を増幅、検波する受信部と、トランスジューサへの送波を指示するとともに、受波した反射波に基づいて海中の状態を検出する処理部と、その検出結果の視覚化部とを備える。処理部は、例えば反射波の強度に応じてその反射波をデジタル値に変換し、探知波の送波から反射波の受波までの経過時間に基づいて物体までの距離を測定する。視覚化部は、例えば反射波の強度、物体の大きさや距離をユーザが認識できるよう表示装置に描画する。
【0003】
送信部は、電気信号を音波に変えるトランスジューサを駆動し、受信部は、トランスジューサからの反射波を増幅、検波する。トランスジューサは、この送波と受波のための音響電気変換器であり、通常、船底に取り付けられる。トランスジューサは電歪振動子、磁歪振動子などの振動子が用いられる。
【0004】
探知波の周波数は探知目的による。周波数を高くすると減衰しやすくなり音波の到達距離は短くなるが、物体の識別解像度は上がる。周波数を低くすると識別解像度は下がるが、到達距離が長くなり深い水深まで探知できる。したがって、探知波の周波数は、探知対象魚種や操業水域の水深に応じて決められる。高周波、低周波双方の特長を生かすべく、複数周波数の探知波を使うこともあり、その場合、各周波数に対応するトランスジューサ、送信部および受信部を設ける。
【0005】
図1は、複数の周波数の探知波を利用する従来の魚群探知機10の構成図である。送受信部18aは、所定の周波数の探知波を射出し、反射波を受波する。この送受信部18aは、トランスジューサ12a、第1送信部16aおよび第1受信部14aを有する。トランスジューサ12aは、第1送信部16aからの電気信号を音波に変換して探知波として水中に射出し、反射波を電気信号に変換して第1受信部14aに出力する。トランスジューサ12aは、固有の共振周波数をもち、その周波数で電気信号を出力する。第1受信部14aは、反射波を変換して得られた電気信号を増幅、検波し、デジタル化する(以下、この電気信号を検出信号ともいう)。別の送受信部18nは、上述の送受信部18aとは異なる周波数の探知波を射出し、反射波を受波するユニットであり、その内部構成は送受信部18aと同様である。
【0006】
処理部20は、第1送信部16aに対して探知波の送信を指示し、検出信号に基づいて水中の状態を示す描画データを生成する。表示部24は、その描画データに基づいて水中の状態を示す画面を表示する。操作部22は、例えばカーソルキー、ボタン、タッチパネル、キーボード、ボリウム等のユーザインターフェイスであり、ユーザからの指示を受け付ける。電源部30は、漁船やプレジャーボート等の船舶電源から魚群探知機10の各部が必要とする電圧を生成し、各部に供給する。
【0007】
図2は、電源部30、第1送信部16aおよび第n送信部16nの内部構成図である。送信回路34aは、出力が数百ワットから数キロワット、出力時間が数百マイクロ秒から数ミリ秒のバースト状の信号(以下、バースト信号という)を、探知すべき水域の深度により数十ミリ秒から数秒の間隔でトランスジューサ12aに供給する。この信号によりトランスジューサ12aは探知波を水中に射出する。送信回路34aは、瞬間的に数キロワットの電力をトランスジューサ12aに供給する必要があるので、例えば電圧が一定の場合、送信回路34aが有する出力用のトランジスタ(図示しない)には数十アンペアの電流を供給する必要がある。そこで、瞬間的に、大電流を送信回路34aに供給するためにコンデンサ32aが設けられている。
【0008】
スイッチング電源回路36は、船内電源の電圧を、第1送信部16aおよび第n送信部16n向けの安定した電圧に変換する。スイッチング電源回路36の出力は、第1定電流回路38aに入力され、逆流防止用のダイオード40aを介してコンデンサ32aに供給される。第n送信部16nは、上述の第1送信部16aと同様の内部構成を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図3は、第1送信部16aおよび第n送信部16nに対して電力を供給する場合の、それぞれの送信部に流入する充電電流と、船内電源から電源部30に流入する入力電流の関係を示す図である。図2で説明したコンデンサ32aに電荷が蓄積されていない状態で電源から電力を供給すると、コンデンサ32aに充電電流が流入する。流入時間は短いが、電源投入時における船内電源から電源部30への入力電流は突入電流の様相をもち、定常状態より相当大きくなる。送信部が複数になると、入力電流はそれぞれの送信部に流入する充電電流の合計になるのでそのピーク値はきわめて大きくなる。
【0010】
例えば、第1送信部16aに供給する電圧が180V、そのときの定電圧電流が200mA、電源部30の効率を70%、船内電源の電圧を標準12Vから不安定要素を加味した10%減の10.8Vとすると、入力電流は、180×0.2/10.8/0.7=4.76Aとなる。第1送信部16aと第n送信部16nの充電電流が等しい場合、4.76×2≒9.5Aの入力電流が船内電源から電源部30に流入する。
【0011】
一方、過電流による機器の破損、その他の事故を防止するヒューズの溶断電流値を、入力電流に合わせて設定する必要がある。入力電流は非常に大きく、かつヒューズが実際に溶断する電流値のばらつきは一般に大きいため定格値の大きなヒューズを採用するほかなく、装置の故障等による過電流を検出できない可能性が生じる。
【0012】
本発明者はそうした点に着目して本発明をなしたものであり、その目的は、電源投入時に発生する入力電流の電流量を制御する技術を提供することにある。また、その副次的な効果として、ヒューズの定格値の最適化を図ることにある。さらには、船内電源にかかる負荷を平滑化することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のある態様は、魚群探知機である。この装置は、探知信号を送信し、反射信号を受信する複数の送受信部と、前記複数の送受信部に電力を供給する電源部と、前記複数の送受信部に対する電力供給開始タイミングに時間差が生じるよう前記電源部を制御する制御部とを備える。「探知信号」は、例えば、超音波などの音波であり、その周波数は探知対象物に応じて任意である。「電力供給開始タイミング」は、送受信部を動作させるための電力の供給を開始するタイミングである。
【0014】
前記制御部は、前記複数の送受信部のうち、ある送受信部への充電電流が、電力供給開始時の過大な状態から定常的な状態に遷移した後、別の送受信部へ電力の供給を開始するよう前記電源部を制御してもよい。「充電電流」は、電源部から送受信部に流れる電流であり、一般に、送受信部におけるコンデンサの充電のために電源投入直後に流れる電流である。
【0015】
前記制御部は、前記複数の送受信部のうち、ある送受信部における前記電力供給開始タイミングからの経過時間を計測し、その経過時間が所定の時間に到達したときに、別の送受信部へ電力の供給を開始するよう前記電源部を制御してもよい。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラムの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
図4は、実施の形態に係る魚群探知機100の構成図である。この魚群探知機100は、送受信部18a、18bを有する。本図において図1を用いて説明した機能ブロックと同一の符号を付した構成は、その機能および構成が図1の機能ブロックと同一である。充電制御処理部104は、第1送信部16aおよび第2送信部16bに対する電力供給を指示する充電制御信号110を充電制御回路108に出力する。充電制御信号110は、パルス信号であり、このパルスが出力されるたびに充電制御回路108は、次の送信部への電力供給を開始する。
【0018】
充電制御処理部104は、一方の送信部の充電を指示する充電制御信号110を出力した後、充電に必要な時間(以下、充電時間という)に合わせてタイマーを設定する。そして、その充電時間が経過したときに、他方の送信部の充電を指示する充電制御信号110を出力する。充電時間は、送信部毎に予め設定されてもよいし、送信部に電力を供給する定電流回路の駆動能力やコンデンサ容量に基づいて算出され、動的に設定されてもよい。また、複数の送信部に共通の充電時間が設定されてもよい。充電制御回路108は、充電制御信号110により指定された送信部に電力の供給を開始する。これにより、複数の送信部に対する電力の投入に時間差を設けることができ、入力電流のピーク値を大幅に下げることができる。
【0019】
図5は、図4の電源部106、第1送信部16a、および第2送信部16bの内部構成図である。本図において図2を用いて説明した機能ブロックと同一の符号を付した構成は、その機能および構成が図2の機能ブロックと同一である。充電制御回路108は、充電制御信号110に基づいて、第1定電流回路38aおよび第2定電流回路38bに対して、後段の第1送信部16aならびに第2送信部16bへ電力の供給を開始させる。本実施の形態では、充電制御回路108は、第1定電流回路38aに対して電力の供給を指示し、所定の充電時間が経過した後、第2定電流回路38bに対して電力の供給を指示する。
【0020】
図6は、図4の魚群探知機100における充電制御処理のフローチャートである。まず、魚群探知機100に船内電源から電力が供給されて処理を開始する。処理部20は、メモリチェック、プログラムの実行などの初期化処理を行なう(S12)。その後、充電制御処理部104は、第1送信部16aの充電を許可する充電制御信号110を充電制御回路108に出力し(S14)、充電時間を設定しタイマーを起動する(S16)。S14で充電制御信号110を受け付けた充電制御回路108は、第1定電流回路38aに第1送信部16aへの電流の供給を開始させる。
【0021】
充電制御処理部104は、S16で設定した充電時間が経過するまで待機する(S18のN)。充電時間が経過すると(S18のY)、充電制御処理部104は、第2送信部16bの充電を許可する充電制御信号110を充電制御回路108に出力し(S20)、充電時間を設定しタイマーを起動する(S22)。S20で充電制御信号110を受け付けた充電制御回路108は、第2定電流回路38bに第2送信部16bへの電流の供給を開始させる。充電制御処理部104は、S22で設定した充電時間が経過するまで待機する(S24のN)。充電時間が経過すると(S24のY)、処理部102は探知処理を開始する。
【0022】
図7は、第1送信部16a、第2送信部16bの充電を開始するタイミング、充電電流、および入力電流を示す図である。充電制御処理部104は、魚群探知機100の初期化が終了した後、第1送信部16aに対する充電制御信号110を出力する。第1送信部16aの充電が完了するまで、第1送信部16aに充電電流が流入する。この間、充電電流と同等の入力電流が船内電源から電源部30に流入する。
【0023】
第1送信部16aの充電が完了し、電流量が定常的な状態になった後、充電制御処理部104は、第2送信部16bに対する充電制御信号110を出力する。これにより第2送信部16bに充電電流が流入する。この間、充電電流と同等の入力電流が船内電源から電源部30に流入する。このように、同時に複数の送信部に過大な充電電流が流れないように制御する。入力電流を抑えることができるので、ヒューズの溶断電流の定格値を低く設定でき、装置の故障などによる過電流の検出が容易になる。また、船内電源にかかる瞬間的な負荷のピーク値を下げることができ、一般に電源に好ましい使い方となる。
【0024】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0025】
こうした変形例として、充電制御処理部104に関するものがある。充電制御処理部104は、タイマーを利用して充電制御信号110を出力することとしたが、タイマーはCR時定数回路等他の方法で代替してもよい。
【0026】
他の変形例として、充電制御信号110はパルス信号であることとしたが、シリアル通信やパラレル通信を利用して明示的に送信部を指定する信号であってもよい。これにより、ソフト的な対応ができ柔軟性が向上する。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の送信部を有する場合に、入力電流の電流量を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の魚群探知機の構成図である。
【図2】 図1の電源部および送信部の内部構成図である。
【図3】 図1の送信部に流入する充電電流および電源部に流入する入力電流の時間経過にともなう変化を示す図である。
【図4】 実施の形態に係る魚群探知機の構成図である。
【図5】 図4の電源部および送信部の内部構成図である。
【図6】 図4の魚群探知機における充電制御処理のフローチャートである。
【図7】 図4の魚群探知機における、充電制御信号を出力するタイミング、送信部に流入する充電電流および電源部に流入する入力電流の時間経過にともなう変化を示す図である。
【符号の説明】
12 トランスジューサ、18 送受信部、32 コンデンサ、102 処理部、104 充電制御処理部、106 電源部、108 充電制御回路。
Claims (1)
- 探知信号を送信し、反射信号を受信する、それぞれ異なる周波数を射出および受波する複数の送受信部と、
前記複数の送受信部に電力を供給する電源部と、
前記複数の送受信部に対する電力供給開始タイミングに時間差が生じるよう前記電源部を制御する制御部と、
を備え、前記制御部は、前記複数の送受信部のうち、第1の送受信部における前記電力供給開始タイミングからの経過時間を計測し、その経過時間が前記第1の送受信部に対して予め設定された所定の時間に到達したときに、前記第1の送受信部とは異なる第2の送受信部へ電力の供給を開始するよう前記電源部を制御することを特徴とする魚群探知機。
Priority Applications (1)
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JP2002093350A Expired - Lifetime JP4048070B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 魚群探知機 |
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- 2002-03-28 JP JP2002093350A patent/JP4048070B2/ja not_active Expired - Lifetime
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