JP4047945B2 - 中分子ヘパリン、アミノ酸誘導体および医薬組成物 - Google Patents

中分子ヘパリン、アミノ酸誘導体および医薬組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中分子ヘパリンのアミノ酸誘導体に関する。より具体的には、中分子ヘパリニル−アミノ酸または−アミノ酸低級アルキルエステルに関する。また、本発明は、中分子ヘパリンのアミノ酸誘導体を有効成分とする医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ヘパリンは、肝、小腸、肺、皮膚などに存在する複雑な構造をもつヘテロ多糖であり、分子量4,000〜20,000の酸性ムコ多糖である。すなわち、糖鎖はD−グルコサミン、D−グルクロン酸を含んでおり、グルコサミンのアミノ基は部分的に硫酸エステルになっている。強い血液抗凝固活性を有しており、汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)の治療、種々の血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、術中・術後の血栓塞栓症など)の治療および予防のほか、血液透析・人工心肺などの体外循環装置使用時や血管カテーテル挿入時または輸血および血液検査の際などにおける血液凝固の防止に用いられている。
【0003】
しかし、ヘパリンは抗Xa活性に基づく強力な血液抗凝固作用を有することから、血液凝固時間の延長に伴う出血傾向の憎悪という重篤な副作用がある。また、脂質分解作用による高中性脂肪血症や遊離脂肪酸増加、低HDL血症、あるいは長期連用による血小板減少症の発症も知られている。
【0004】
一方、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止やDICの治療には、メシル酸ガベキサートやメシル酸ナファモスタットなどの蛋白分解酵素阻害剤も用いられているが、これらの薬剤は、代謝産物であるグアニジン化合物によって消化器障害が発現する。さらに、分子量が539ダルトンと小さく、ダイアライザーから透析除去されるため、回路内凝血、特にダイアライザー後の静脈側ドリップチャンバー内で凝血が発生する。
【0005】
近年、ヘパリンの解重合により得られる分子量約5,000ダルトン以下の低分子量分画である低分子ヘパリン(ダルテパリンナトリウム)に、血液凝固第X因子に対する阻害活性及び活性化部分トロンボプラスチン時間に対する延長作用の比率の増大が確認され、出血傾向が比較的少ない血液抗凝固剤として使用されつつある。しかしながら、この低分子ヘパリン製剤によっても前記の副作用を完全に改善するには至っておらず、また、高用量での使用においてヘパリンよりも高い頻度で骨多孔症が発生することが認められている。
【0006】
また、ヘパリンとグリシンとの化合物であるヘパリニルグリシンが、出血傾向の少ない血液抗凝固剤であることが報告されているが、このものは血液抗凝固活性も低下してしまうという問題点があるため、実用化されるには至っていない。
【0007】
以上のように、上記のヘパリンをはじめとする血液抗凝固剤は、出血傾向の増大という重篤な副作用などが発現するおそれがあるものの、特に、血液透析・人工心肺などの体外循環装置使用時の血液凝固防止には欠かせない薬剤であり、また、代替すべき適当な他の薬物もないことから、ある程度の危険性を承知の上で、使用せざるを得ないのが現状であった。
【0008】
一方、ヘパリンは前述の血液抗凝固活性の他に、リポ蛋白リパーゼ活性化作用、抗血小板凝集作用、血圧低下作用、抗補体作用、癌転移抑制作用および肥満細胞からの脱顆粒阻害作用などの多くの生理活性を有することが知られている。しかしながら、血液抗凝固活性に伴う出血傾向があまりに強いため、血液抗凝固目的以外に用いることはできなかった。
【0009】
本発明者らは、出血傾向などの副作用の少ない血液抗凝固剤について検討した結果、ヘパリンを解重合して平均分子量8,500〜9,500の中分子ヘパリンの画分を採取し、さらにこの中分子ヘパリンをアミノ酸誘導体化した化合物がこの目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体は、本来ヘパリンが有している各種の生理活性を損なうことなく、出血傾向を軽減することができるため、従来、重篤な副作用ゆえに適用できなかった種々の疾病に対しても有効に使用することができる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は平均分子量8,500〜9,500を有する中分子ヘパリンである。
【0011】
本発明の第2は上記の中分子ヘパリンから誘導される中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体であり、より具体的には、中分子ヘパリニルアミノ酸または中分子ヘパリニルアミノ酸低級アルキルエステルである。
【0012】
さらに、具体的には、中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体が、
一般式:NH2CH(R1)COOR2
[式中、R1は、H;アミノ酸のα−アミノ基のNおよびα位のCと共にピロリジン環を形成するか;または、OHで置換されていてもよいフェニル、OH、NH2、SH、SCH3、COOH、CONH2、グアニジノ(NH2C(=NH)NH−)、インドリルおよび1H−イミダゾリルからなる群から選ばれる基で置換されていてもよい低級アルキルであり、R2は、Hまたは低級アルキルである]で示される化合物である。
【0013】
本発明のアミノ酸は、好ましくは天然のアミノ酸であるか、より好ましくは必須アミノ酸である。
【0014】
本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体には抗凝血活性および腎メサンギウム細胞増殖抑制活性、癌転移抑制活性、補体活性化抑制活性、肺水腫抑制活性、腎疾患抑制活性、ラジカルスカベンジャー活性および肥満細胞からの脱顆粒阻害作用を示すことが確認されているところから、本発明の第3の態様は、中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体を含むこれらの活性を有する医薬組成物である。
【0015】
本発明で用いる中分子ヘパリンは、解重合ヘパリンの平均分子量8,500〜9,500の画分をいう。最小分子量が4,500、最大分子量12,500であり、分子量5,000〜10,000が中分子ヘパリン中70%以上のものをいう。
【0016】
また、本発明で用いるアミノ酸は、合成物、天然物を問わずアミノ基とカルボキシル基を有する化合物であれば特に制限はないが、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリンなどのα−アミノ酸またはその誘導体類が好適に用いられる。これらのアミノ酸はD体、L体またはDL体のいずれでもよい。
本発明の低級アルキルとは飽和の直鎖または分枝状の、炭素原子1〜6個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個を含む炭化水素残基をいう。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルなどが包含される。
本発明の化合物には一般に生体内において遊離形と実質的に同様の生理活性または薬理活性を発揮するもの、例えば、本発明の化合物の誘導体および医薬的に許容される塩、付加塩、水和物などは本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0017】
中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の製造
(1)中分子ヘパリンの調製
通常のヘパリンを酵素分解法、亜硝酸分解法、過酸化水素分解法などの常法により解重合した後に、例えば、限外濾過などの分画手段を用いて分画したもので、平均分子量が8,500〜9,500の画分からなる。
【0018】
例えば、ヘパリンを水に溶解し、陽イオン交換樹脂を加えてpH3.30〜3.40とした後、濾過する。濾液に過酸化水素水を加え、加圧加熱して解重合する。加熱終了後、反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、限外濾過を繰り返して分子量分画を行う。エタノールによる再結晶を行い、中分子ヘパリンを得る。
【0019】
(2)中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の調製
前述の中分子ヘパリンを、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用いてカルボキシル基をエステル化した後、上記アミノ酸のエステル体を加えて中分子ヘパリニルアミノ酸エステルとし、さらにアルカリ条件下で加水分解して中分子ヘパリニルアミノ酸を得る。
例えば、中分子ヘパリンを水に溶解し、pH4.75に調整後、対応するアミノ酸エステル塩酸塩(中分子ヘパリンに対するモル比、1:100)を加える。
【0020】
さらに、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(中分子ヘパリンに対するモル比、1:50)の水溶液を徐々に加え、約4時間攪拌反応させた後、水および臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液をアンモニウム塩の沈澱物が生じなくなるまで加える。
次いでこの沈澱物を分離後、沈澱物にヨウ化ナトリウムのエタノール溶液を加える。攪拌後、濾過し、沈澱物をエタノールで再結晶して、白色粉末の中分子ヘパリニルアミノ酸エステルを得る。
【0021】
この中分子ヘパリニルアミノ酸エステルに水酸化ナトリウム水溶液を加え、窒素気流下、0〜5℃にて長時間攪拌する。反応液を酢酸でpH5に調整後、濾過し、濾液にエタノールを加えて、白色粉末の中分子ヘパリニルアミノ酸を得る。
【0022】
こうして得られる中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体は、通常の方法により製剤化し、注射剤や経口剤として投与することができる。
例えば以下のような投与法によって投与されるが、その投与量あるいは投与速度は、通常本剤投与後、全血凝固時間または全血活性化部分トロンボプラスチン時間を測定しつつ、年齢、症例、適応領域あるいは目的によって決定される。
【0023】
例えば、静脈内点滴投与法では、中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の5,000〜50,000ヘパリン単位に相当する量を5%ブドウ糖注射液、生理食塩液またはリンゲル液1,000mlで希釈し、1分間に20〜30滴前後の速度で静脈内に点滴投与する。
また、静脈内間歇注射法では、中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の5,000〜50,000ヘパリン単位に相当する量を4〜8時間毎に静脈内に注射する。皮下注射・筋肉内注射法では、1回5,000〜10,000ヘパリン単位に相当する量の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体を4時間毎に皮下注射または筋肉内注射する。
【0024】
体外循環時(血液透析・人工心肺)における使用において、人工腎では各患者の適正使用量は透析前のヘパリン感受性試験の結果に基づいて算出されるが、全身ヘパリン化法の場合、通常透析開始に先だって、1,000〜3,000ヘパリン単位に相当する量の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体を投与し、透析開始後は、1時間あたり500〜1,500ヘパリン単位に相当する量を持続的に、または1時間毎に500〜1,500ヘパリン単位に相当する量を間歇的に追加する。局所ヘパリン化法の場合は、1時間あたり1,500〜2,500ヘパリン単位に相当する量を持続注入する。また、人工心肺灌流時では、術式・方法によって異なるが、150〜300ヘパリン単位/kgに相当する量を投与し、更に体外循環時間の延長に応じて適宜追加投与する。
【0025】
経口投与の場合は、500〜2,000ヘパリン単位/gに相当する量の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体を1日1〜数回服用する。
外用剤の場合は、100〜500ヘパリン単位/gに相当する量の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の軟膏として用いられ、適量を1日1〜数回塗擦またはガーゼなどに延ばして貼付する。
【0026】
座剤の場合は、1,000〜4,000ヘパリン単位/gに相当する量の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体を1日1〜2回肛門または膣に適用する。
【0027】
薬理実験
I. in vitroにおけるAPTT測定
本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体における出血傾向の低減効果を調べるために、各化合物の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)に対する影響を測定した。ヒト正常血漿(Coagulation Control Plasma(Normal)Level 1:Pacific Hemostasis製)9容量に、種々の濃度に調製したヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体水溶液1容量を加えて被験血漿とする。別にPBS(−)1容量をとり、被験血漿と同様に操作し、対照血漿とする。
被験血漿および対照血漿につき、活性化部分トロンボプラスチン試薬(APTTテストワコー:和光純薬工業製)および塩化カルシウム溶液を添加後、血漿凝固時間自動測定器(Amelung-coagulometer)を用いて、各血漿のAPTTを測定した。結果を表1に示す。ヒト正常血漿におけるAPTT延長作用は、いずれの化合物においてもヘパリンに比べて軽度であり、出血傾向が低下していることが明らかになった。
【0028】
II.in vitro における抗Xa活性測定
本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の血液抗凝固活性を調べるために、各化合物の抗Xa活性を測定し、ヘパリン、低分子ヘパリンおよび低分子ヘパリニルアミノ酸誘導体と比較した。なお、低分子ヘパリンはヘパリンを常法により解重合したもの、また、低分子ヘパリニルアミノ酸誘導体は、この低分子ヘパリンを原料とし、前述の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の調製法に準じて製した。
ヒト正常血漿(Coagulation Control Plasma(Normal)Level 1:PacificHemostasis製)2容量に、種々の濃度に調製したヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体水溶液2容量を加え、さらに緩衝液(50mMの2−アミノ−2−ヒドロキシル−1,3−プロパンジオール、pH8.4)を6容量加えて被験血漿とする。
【0029】
被験血漿につき、Xa因子、基質液および反応停止液を添加後、405nmにおける吸光度から残存するXa因子を測定した。結果を表1に示す。
APTTおよび抗Xa活性の結果から、血液抗凝固能の指標となる抗Xa/APTT活性比を求めた。結果を表1に示す。ヘパリンを解重合して中分子画分を選別し、さらにアミノ酸誘導体とすることにより、血液抗凝固活性を維持しつつ、重篤な出血傾向を軽減できることが明らかになった。
【0030】
【表1】
Figure 0004047945
【0031】
副作用の指標であるAPTTについては、本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体は、いずれも、血液凝固時間を100秒に延長した濃度は、ヘパリンの6〜17倍であり、ヘパリンと比較して明らかな副作用の低減が認められた。また、低分子ヘパリン(13.57)との比較においても同等若しくはそれ以上の副作用の低減が確認された。
従来、低分子ヘパリンの血液抗凝固作用の指標として、抗Xa/APTT活性比が用いられ、この比が高いほど出血傾向が弱く、かつ血液抗凝固能が強いとされている(長沼信治ら、医学ジャーナル、第27巻、55頁、1991年)。通常のヘパリンを1としたときの抗Xa/APTT活性比は、中分子ヘパリニルプロリンが2.14と高活性を示した他、低分子ヘパリニルアミノ酸に比べて同等若しくはそれ以上の活性を示した。
【0032】
III.中分子ヘパリニルアミノ酸の腎メサンギウム細胞増殖抑制効果
近年、ヘパリンの薬理作用の一つとして、腎メサンギウム細胞の増殖抑制効果が報告されていることから(Castellot,J.J.et al.,アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am.J.Pathol.),第120巻、427頁、1985年)、ヘパリンの有するこの腎メサンギウム細胞増殖抑制効果について、中分子ヘパリニルアミノ酸のうち、中分子ヘパリニルフェニルアラニンを被験薬物とし、ヘパリンを対照として検討した。
【0033】
(1)糸球体および腎メサンギウム細胞の培養
糸球体は種類の異なる篩を連続的に用いる方法(sieving method)により単離した。
体重約150gのWistar系雄性ラット(日本チャールス・リバー)をエーテルで麻酔し、背部を剃毛した後、頸動脈を切断し、放血した。放血終了後、ラットをクリーンベンチ内に入れ、背部側から腎臓を摘出し、PBS(−)(カルシウムおよびマグネシウムを含まないリン酸緩衝液)を満たしたシャーレに保存した。腎臓の被膜を剥離し、腎皮質を細切した。この細片を金属篩(篩サイズ355μm、125μm、75μmの順)上に置き、スパーテルで押し潰しながら篩を通過させ、篩サイズ75μmの篩上に残った糸球体を回収しPBS(−)に懸濁した。この懸濁液を1000rpmで5分間遠心分離し、上澄を除去し、得られた糸球体を0.2%トリプシン液で37℃、20分間、さらに0.1%コラゲナーゼ液で37℃、40分間インキュベーションした。その後、糸球体を洗浄し、20%牛胎児血清(Biowhittaker製)および0.66U/mlのインスリンを含有するRPMI 1640培養液(日水製薬製)に懸濁し、5%炭酸ガス存在下、37℃で培養した。
培養7日目に培養液を交換し、それ以降は2〜3回/週の頻度で培養液を交換した。培養21日目に糸球体周囲に増殖した腎メサンギウム細胞を培養フラスコからトリプシン−EDTA溶液で剥離し、継代した。本実施例では、第3〜10継代細胞を用いた。
【0034】
(2)腎メサンギウム細胞増殖に対する中分子ヘパリニルフェニルアラニンの効果
腎メサンギウム細胞を20%牛胎児血清添加培養液に加え、24−ウェルのマイクロプレート(コーニング製)を用い、細胞数5〜8×103cell/wellの条件で24時間培養した。さらに、0.4%牛胎児血清添加培養液に置換して3日間培養した後、10%牛胎児血清添加培養液に置換し、被験薬物または対照薬物を添加した。4日後に細胞をトリプシン−EDTA溶液で剥離し、Coulter Counter(日科機製)を用いて細胞数を測定した。なお、各薬物の添加量は全容量の1/10容量とした。
下式に示す制御率により腎メサンギウム細胞増殖に対する抑制効果を評価した。
【数1】
Figure 0004047945
【0035】
実験の結果、対照のヘパリンは1〜100μg/mlの用量において、腎メサンギウム細胞増殖を用量依存的に40.5〜83.5%抑制した。一方、中分子ヘパリニルフェニルアラニン100μg/mlの抑制率は、95.0%であり、腎メサンギウム細胞増殖抑制効果が認められた。
【0036】
IV.中分子ヘパリニルアミノ酸の癌転移抑制効果
ヘパリンのグリシン誘導体であるヘパリニルグリシンに癌転移抑制効果作用が報告されていることから(Villanueva,G.B.et al.,アナルズ・ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Ann.N.Y.Acad.Sci.)、第556巻、496頁、1989年)、中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の癌転移抑制作用について、ヘパリンを対照とし、in vitroケモインベーションアッセイ法およびマウスの実験的腫瘍肺転移系を用いて検討した。
【0037】
(1)癌細胞
Fidlerの方法(Fidler,I.J.,ネイチャー(Nature),第242巻、148頁、1973年)に準じて作成した肺高転移性のB16マウスメラノーマ細胞(B16−F7またはF10)を使用した。5%牛胎児血清含有F12/DME(1:1)培養液中、5%炭酸ガス存在下、37℃で培養した細胞を実験に供した。
【0038】
(2)実験動物
生後7週齢の雄性C57BL/6NCrj系マウス(日本チャールス・リバー)を使用した。
【0039】
(3)癌転移抑制効果の検討
操作
▲1▼ケモインベーション誘発因子の調製
Sub−confluentな状態にある3T3細胞を無血清F12/DME(1:1)培地中で37℃炭酸ガスインキュベーター内で24時間培養後の培養上清を無血清F12/DME(1:1)培地で2倍希釈したものをケモインベーション誘発因子とした。
【0040】
▲2▼in vitroケモインベーション法
24穴プレートウェル内に上記で調製したケモインベーション誘発因子700μlを入れ、チャンバー内には0.1%BSA含有F12/DME(1:1)培地中に懸濁されたB16−F7細胞5×104個(200μl)を添加した。中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体をチャンバー内に500μg/mlとなるように加え、24穴プレートに蓋をした後、炭酸ガスインキュベーター内で24時間静置した。その後チャンバーを取り出し、チャンバー中のメンブレン下面に浸潤したB16−F7細胞をギムザ染色後、メンブレンを切り出し、スライドグラス上に封入した。封入終了後、B16−F7細胞を顕微鏡下(×200)で、Miller ocular discを用いて、0.2025mm2あたりの浸潤細胞数をカウントした。
【0041】
結果
結果を表2に示す。表から明らかなように、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸は、メチオニンおよびフェニルアラニン誘導体以外すべて浸潤癌細胞数を減少させた。特に中分子ヘパリン、アスパラギン酸誘導体、セリン誘導体およびアルギニン誘導体については、ヘパリンを上回る浸潤癌細胞数抑制効果が確認された。
【0042】
【表2】
Figure 0004047945
【0043】
(4)中分子ヘパリニルアスパラギン酸および中分子ヘパリニルセリンの癌転移抑制効果の検討
中分子ヘパリニルアスパラギン酸および中分子ヘパリニルセリンにつき、さらに検討を加えた。
B16−F10癌細胞(1×105個/マウス)を対照薬物(10、30、100μg/マウス)または被験薬物(100、300、1000μg/マウス)と同時にマウス尾静脈内に投与し、20日後に肺を摘出して、癌細胞生着による肺結節数を測定した。同量の癌細胞と同容量の溶媒のみを投与する対照群および無処置正常群を設定し、比較した。一群の例数は6ないし7匹とした。また、同容量の対照薬物または被験薬物をマウス尾静脈内に投与し、その1時間後にネンブタール麻酔下腹部大動脈より採血(3.8%クエン酸ナトリウム溶液:血液=1:9)し、遠心分離後、血漿サンプルを得た。この血漿サンプルに試薬を加え、アメルング−コアグロメーターKC10A(アメルング製)を用いてAPTTを測定した。なお、対照として同容量(0.1ml)のPBS(−)(溶媒)を投与した群を設けた。一群の例数は3または5匹とした。
【0044】
肺メラノーマ結節数の測定結果並びに当該投与量におけるAPTT値を表3に示す。中分子ヘパリニルアスパラギン酸および中分子ヘパリニルセリンは、統計学的に有意(p<0.01)な結節形成抑制効果を示した。APTT値より判断して、ヘパリンでは出血助長の副作用のために癌転移抑制薬としての応用は不可能であるのに対し、中分子ヘパリニルアミノ酸は出血傾向が軽減されていることから、癌転移抑制薬としての臨床応用が期待できる。
【0045】
【表3】
Figure 0004047945
【0046】
V.中分子ヘパリニルアミノ酸の補体活性化抑制効果
中分子ヘパリニルアミノ酸の抗補体作用について、classical pathwayの活性化に基づく感作ヒツジ赤血球の溶血反応を指標とし、メシル酸ナファモスタットを陽性対照として検討した。なお、被験薬物はin vitro試験ではゼラチンベロナール緩衝液(GVB)に、in vivo試験では生理食塩液に溶解して使用した。
【0047】
生後6週齢の雄性Hartley系モルモット(日本チャールス・リバー)を購入し、12時間の明暗サイクル(明期:7時〜19時)、温度23±2℃、湿度50±5%の条件下で1週間の予備飼育後、実験に供した。実験当日までの予備飼育の期間は、自由に摂食・摂水させた。
【0048】
(2)補体活性化抑制効果の検討
▲1▼in vitroにおけるモルモット補体classical pathway活性化による感作ヒツジ赤血球の溶血反応に対する作用
【0049】
操作
5×108cells/mlの濃度になるように感作ヒツジ赤血球(デンカ生検)をGVBに浮遊させる。この液200μlにGVBで溶解、希釈した補体(乾燥補体、デンカ生検)を加え、さらにGVBを加えて全量1.5mlとした。37℃の恒温槽中で1時間反応させた後に、3000rpmで10分間遠心分離し、上清のヘモグロビン量の測定波長542nmにおける吸光値を測定した(UVIDEC−77Σ)。
同時に物理的溶血として補体の代わりにGVBを加えたもの、及び100%溶血として補体及びGVBの代わりに純水を加えた検体の吸光値を測定した。
各被験薬物の作用検討は、補体の活性化による溶血率が約50%となる条件下で行った。また、被験薬物の添加量は、全容量の1/100容とした。
【0050】
結果
ヘパリンは2〜50μg/mlの用量において9.6〜83.4%の溶血抑制作用を示し、そのIC50値は20.1μg/mlであった。中分子ヘパリンも同様に、10〜400μg/mlの用量において、10〜97.8%の溶血抑制作用を示したが、そのIC50値は66.8μg/mlとヘパリンの約3.3倍であり、作用の低下が認められた。
しかしながら、中分子ヘパリンにフェニルアラニンを導入した場合、IC50値は中分子ヘパリンの0.09倍の6.1μg/mlとなり、また、チロシンを導入した場合には、IC50値は中分子ヘパリンの0.32倍の21.4μg/mlとなり、中分子ヘパリンに比べて溶血抑制作用は増強した(表4)。
【0051】
▲2▼in vivoにおけるモルモット補体classical pathway活性化による感作ヒツジ赤血球の溶血反応に対する作用
操作
1010cells/mlの感作ヒツジ赤血球浮遊液1mlをモルモット背中足静脈より静脈内投与し、その3分後に外頸静脈より0.5mlの血液を採取した。直ちに、その血液に0.01%のEDTA−Salineを4.5ml加え、2000rpmで10分間遠心分離し、上清のヘモグロビン量の測定波長542nmにおける吸光値を測定した。被験薬物は感作ヒツジ赤血球投与の1分前に背中足静脈より静脈内投与した。
【0052】
【表4】
Figure 0004047945
【0053】
結果
陽性対照であるメシル酸ナファモスタットは、0.1〜1.0mg/kgの静脈内投与によって8.5〜76.6%の抑制作用を示した。中分子ヘパリニルフェニルアラニンも3〜30mg/kgの静脈内投与によって23.8〜91.1%の溶血抑制作用を示した。中分子ヘパリニルアミノ酸は低分子ヘパリニルアミノ酸と比較すると明らかにより強力な溶血抑制効果および補体活性化抑制作用を示した。
【0054】
VI.中分子ヘパリニルアミノ酸の肺水腫抑制効果
中分子ヘパリニルアミノ酸のサソリ毒誘発肺水腫抑制効果について検討した。
(1)実験動物
生後6週齢の雄性Wistar系ラット(日本チャールス・リバー)を購入し、12時間の明暗サイクル(明期:7時〜19時)、温度23±2℃、湿度50±5%および換気オールフレッシュ15回/時間の条件下で1週間の予備飼育後、実験に供した。
【0055】
(2)肺水腫抑制効果の検討
操作
Lineu,F.M.およびIone,M.D.M.の方法(トキシコン(Toxicon)、第31巻、1207頁、1993年)に準じて操作した。すなわち、ラットにヘパリン、中分子ヘパリンまたは中分子ヘパリニルアミノ酸あるいは同容量のSalineを静脈内に投与し、30分後にサソリ毒(Tityus serrulatus venom,シグマ製)を静脈内に投与した。1時間後にラットを致死せしめ、瀉血後、肺を摘出し、湿重量を測定した。肺の湿重量よりLBI(Lung/Body Index:Lung weight(g)×100/Body weight(g))および炎光光度計(MF−303型、日本分光工業製)により肺組織中Na+/K+比を求め、各被験化合物の肺水腫抑制効果を算定した。
一群の例数は4〜14匹とし、群間の有意性は、Bartlett法にて分散の均一性を確認した後、Duncan法により検定した。
【0056】
結果
ヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸のサソリ毒誘発肺水腫に対する抑制効果を表5に示した。
その結果、ヘパリンにはサソリ毒誘発肺水腫抑制効果は認められなかったが、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸はいずれも対照群に比べてLBIを減少させ、ヒスチジン、メチオニン、アルギニン、チロシン誘導体では有意な肺水腫抑制効果が確認された。また、フェニルアラニン、ヒスチジン、アルギニンおよびチロシン誘導体では、Na+/K+比の値においても改善効果が認められた。
【0057】
【表5】
Figure 0004047945
【0058】
VII.中分子ヘパリニルアミノ酸の腎疾患治療効果
微小変化型ネフローゼ症候群に近似した病態を生ずることが知られているピューロマイシンアミノヌクレオシド(PAN)腎疾患モデルを用い、被験薬物に中分子ヘパリニルフェニルアラニンを選択し、中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の腎疾患治療効果について検討した。
【0059】
(1)実験動物
生後6週齢の雄性Crj:CD系ラット(日本チャールス・リバー)を使用した。
【0060】
(2)腎疾患抑制効果の検討
ラットをエーテルで麻酔し、先端にシリコンチューブ(内径0.7mm、外径1.3mm、イマムラ製)を付けたアルザ浸透圧ポンプ(モデル2002、アルザ製)を頸部皮下に埋め込んだ。シリコンチューブは右頸静脈内に挿入固定した。ラットが覚醒した後、100mg/kgのPANを腹腔内に単回投与して腎疾患を惹起した。腎疾患惹起後1、4、7、10および14日目にラットを代謝ケージ内に収容して採尿し、尿量および尿中蛋白濃度(マイクロTP−テストワコー、和光純薬工業製)を測定し、尿中蛋白排泄量/日を算出した。
中分子ヘパリニルフェニルアラニンの投与量は0.3、1および3mg/kg/dayとし、投与期間は2週間とした。各群の動物数は6例とした。結果を表6に示す。その結果、中分子ヘパリニルフェニルアラニン、3mg/kg/day投与群において、4日目以降に有意な尿中蛋白排泄抑制効果が認められた。これは文献によるヘパリンの尿中蛋白排泄抑制効果を大幅に凌駕するものであった。
【0061】
【表6】
Figure 0004047945
【0062】
VIII.中分子ヘパリニルアミノ酸のラジカルスカベンジャー効果
ヘパリンは、ラジカルスカベンジャーとしての作用を有することが報告されている(Hiebert,L.M.、Liu,Ji-min、アテロスクレローシス(Atherosclerosis)、第83巻、47頁、1990年)そこで、キサンチン(X)およびキサンチンオキシダーゼ(XO)を用い、これらの化合物から発生したフリーラジカルによる培養細胞の傷害に対するラジカルスカベンジャーとしての中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の傷害抑制効果を検討した。
【0063】
(1)培養細胞
培養細胞にはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUV−EC:大日本製薬製)を使用し、20%ウシ胎児血清、ウシ脳抽出液、Epidermal Growth Factor(EGF)、ハイドロコーチゾン、ゲンタマイシンおよびアンフォテリシンを含むヘパリンフリーの血管内皮細胞培養用添加因子セット(EGM−MV添加因子セット:三光純薬製)を含有するM−199培地(大日本製薬製)を用いて培養した。
【0064】
(2)HUV−ECがフリーラジカルによって受ける傷害に対する中分子ヘパリニルフェニルアラニン、中分子ヘパリニルチロシンおよび中分子ヘパリニルロイシンの効果
フラスコ内でサブコンフルエントな状態のHUV−ECを0.25%トリプシン:0.25%EDTA=1:1の混合溶液で処理後、回収し、6穴プレートに1.5×105cells/wellの細胞密度で分注した後、1%ウシ胎児血清のみを含有するM−199培地を用いて24時間培養した。その後にX(0.01μM/ml)およびXO(0.2U/ml)(ともに和光純薬工業製)を培地中に24時間作用させることによりフリーラジカルを発生させた。X及びXO作用24時間後にプレート中のHUV−ECを再び前記のトリプシン:EDTA=1:1混合溶液で処理した後、回収した。回収された細胞浮遊液に同量の0.2%トリパンブルー溶液を加え、この混液中の細胞質・核全体が青染された細胞(死細胞)と非染色細胞(生細胞)を区別し、血球計算盤を用いてそれぞれの細胞数を計測し、セルバイアビリティー(生細胞数/全細胞数)を求めた。なお、ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体はPBS(−)に溶解した後、50μg/mlの用量でXおよびXOを作用させると同時に培地中に添加した。また、XおよびXOを作用させない正常群並びにヘパリンあるいは中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の溶媒のみを添加した対照群も設けた。
【0065】
実験の結果を表7に示す。XとXOによる傷害により、対照群においては著しいセルバイアビリティーの低下がみられたが、中分子ヘパリニルフェニルアラニン、中分子ヘパリニルチロシンあるいは中分子ヘパリニルロイシンを添加することにより、統計学的に有意にセルバイアビリティーの低下を抑制することができた。また、この抑制効果はヘパリンを上回るものであった。
【0066】
【表7】
Figure 0004047945
【0067】
XI.中分子ヘパリニルアミノ酸のアレルギー抑制効果
近年、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、慢性蕁麻疹などのアレルギー性疾患が増加する傾向にあるが、これらの疾患は肥満細胞からの脱顆粒を主たる発症原因のひとつとする。
一方、ヘパリンには肥満細胞からの脱顆粒を阻害する作用のあることが知られている。(T.Ahmed et.al.、アメリカン・レビュー・オブ・レスピレイトリー・ディシーズ(Am. Rev. Respir. Dis.)、第145巻、566頁、1992年)。そこで、本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体のアレルギー抑制効果について、ラット48時間の同種受動的皮膚アナフィラキシー(PCA)反応に対する作用を指標とし、検討した。
【0068】
(1)実験動物
生後8週齢の雄性Wistar系ラット(日本チャールス・リバー)および5週齢の雌性Wistar系ラット(日本チャールス・リバー)を12時間の明暗サイクル(明期:7時〜19時)、室温23±2℃、湿度50±5%および換気オールフレッシュ15回/時間の条件下で1週間の予備飼育をした後、実験に供した。
【0069】
(2)中分子ヘパリニルフェニルアラニンのラット48時間同種PCA反応に対する作用
操作
Stotlandらの方法(カナディアン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー(Can. J. Physiol. Pharmacol.)、第52巻、1119頁、1974年)に準拠して抗ovalbumin(OVA)ラット血清を調製した。すなわち、雌性ラットの脾臓を摘出して4日後に、OVA(生化学工業製)2.0mg/mlを含む生理食塩液と2%水酸化アルミニウムゲル(和光純薬工業製)の等量混合液1.0mlを四肢の皮下に4分割して投与し、さらに百日咳死菌体(和光純薬工業製)2×1010cell/1.0mlを腹腔内に投与することにより感作しておく。投与5日後にOVA2.0mg/mlを含む生理食塩液と2%水酸化アルミニウムゲルの等量混合液をさらに1.0ml投与し、追加感作した。最終感作から2週間後に麻酔下にて腹部大動脈より採血し、血液を遠心分離し、抗OVAラット血清を採取した。このもののラット48時間PCA抗体価は128であった。
【0070】
このようにして得られた抗OVAラット血清を生理食塩液で抗体価が16となるように希釈し、その100μl/siteを雄性ラットの剃毛した背部皮内の6箇所に投与して受動感作させた。感作48時間後に体重1kgあたり0.3、3.0および30.0mgの中分子ヘパリニルフェニルアラニンを10ml/kgの液量となるように尾静脈内に投与した。対照には同容量の生理食塩液を用いた。投与5分後に1mgのOVAを含有するエバンスブルー生理食塩液溶液1mlを尾静脈内に投与した。このOVAはPCA反応を誘発し、その強度はエバンスブルー(色素)が感作部位の周囲の組織へ拡散する程度に比例する。OVA含有エバンスブルー生理食塩液溶液を投与して30分後に断頭放血致死させ、Katayamaらの方法(マイクロバイオロジー・アンド・イムノロジー(Microbiol.Immunol.)、第22巻、89頁、1978年)により、ラット背部皮膚の感作部位の組織内色素漏出量(μg/site)ならびに色素漏出部位面積(mm2)を測定した。
なお、一群の例数は4〜5匹とした。また、群間の有意性は、Bartlett法にて分散の均一性を確認した後、Spjotvoll & Stoline法(補正チューキー法)を用いて検定することにより確認した。
【0071】
結果
中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体のラット48時間PCA反応に対する抑制効果を表8に示す。
【表8】
Figure 0004047945
【0072】
中分子ヘパリニルフェニルアラニン投与群において、組織内色素漏出量ならびに色素漏出部位面積を用量依存的に抑制する傾向が認められ、特に30.0mg/kg投与群においては組織内色素漏出量を生理食塩液(対照)投与群と比べて約30%と有意(P<0.01)に減少させ、アレルギー反応の抑制効果が顕著であった。
アレルギー性疾患に用いる薬剤には、症状の改善もさることながら、発症を未然に防止する効果を併せ持つことが要求される。本発明の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体は、上記の結果より、アレルギー性疾患の予防剤や治療剤として用い得る。
【0073】
実施例
実施例1
中分子ヘパリンの調製
ヘパリン(サイエンティフィック・プロテイン・ラボラトリーズ製)3gを水に溶かして52.5mlとしたものに、陽イオン交換樹脂(Dowex HCR-W2 20-50mesh)を加えてpH3.30〜3.40とした後、濾過する。
濾液に30%過酸化水素水(三菱瓦斯化学製)3.5mlを加え、オートクレーブ中、123℃、1.4kgf/cm2、10分間の条件で加圧加熱して解重合する。
加熱終了後、反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.8とし、限外濾過(ウルトラフリーCL:ミリポア製、ウルトラセント-10:東ソー製、モルカットII:ミリポア製、モルカットL:ミリポア製)を繰り返して分子量分画を行った。エタノールによる再結晶で、白色粉末の中分子ヘパリン(2.1g、収率70.10%)を得た。
【0074】
実施例2
中分子ヘパリニルアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、チロシン)の調製
中分子ヘパリン0.64gに水を加えて15mlとし、pH4.75に調整後、対応するアミノ酸エステル塩酸塩(中分子ヘパリン1Mに対して、100M)を加える(L−アラニンメチルエステル塩酸塩:シグマ製、L−アルギニンメチルエステル二塩酸塩:シグマ製、L−アスパラギン酸ジメチルエステル塩酸塩:シグマ製、L−グリシンメチルエステル塩酸塩:半井テスク製、L−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩:半井テスク製、L−ロイシンメチルエステル塩酸塩:東京化成製、L−メチオニンメチルエステル塩酸塩:シグマ製、L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩:アルドリッチ製、L−プロリンメチルエステル塩酸塩:東京化成製、L−セリンメチルエステル塩酸塩:半井テスク製、L−チロシンメチルエステル塩酸塩:和光純薬工業製)。
【0075】
さらに、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(半井テスク製)0.98gの水溶液5mlを徐々に加え、4時間攪拌した後、少量の水および臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(半井テスク製)の5%水溶液をアンモニウム塩の沈澱物が生じなくなるまで加える。
次いでこの沈澱物を遠心分離により完全に分離後、沈澱物にヨウ化ナトリウム(半井テスク製)の5%エタノール溶液50mlを加える。1時間攪拌後、濾過し、沈澱物をエタノールで再結晶して、白色粉末の中分子ヘパリニルアミノ酸エステルを得る。
この中分子ヘパリニルアミノ酸エステルに0.1N水酸化ナトリウム水溶液10mlを加え、窒素気流下、0〜5℃で2日間攪拌する。反応液を酢酸でpH5に調整後、濾過し、濾液にエタノールを加えて、白色粉末の中分子ヘパリニルアミノ酸を得た。各収率を表9に示す。
【0076】
【表9】
Figure 0004047945
【0077】
中分子ヘパリニルアミノ酸の機器分析
(1)HPLC分析による分子量の測定
ヘパリン、中分子ヘパリン、および中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体を0.1M硫酸ナトリウム水溶液で5mg/mlに調整し、試料溶液とする。
一方、ポリエチレングリコール(分子量10,000:アルドリッチ製、分子量8,500および平均分子量3,000:東京化成製、平均分子量1,450:関東化学製)を標準物質とし、試料溶液と同様に調整し、標準溶液とする。
試料溶液および標準溶液につき、以下の測定機器および操作条件でHPLC分析を行い、検量線法により、ヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリニルアミノ酸の分子量を測定した。結果を表10に示す。
使用機器 送液ポンプ:LC−10AD(島津製作所製)
示差屈折計:RI−8020(東ソー製)
オ―トサンプラ―:KMT−60A−11(協和精密製)
デ―タ処理装置:C−R3A(島津製作所製)
カラム:TSK−Gel G3000PWXL(7.8mm×30cm:東ソー製)を2本連結して使用
操作条件 流速:1.0ml/分
圧力:43kg/cm2
感度:RI 512×10-6 RIVFS
カラム温度:40℃
検出感度:8〜10
注入量:200μl
【0078】
【表10】
Figure 0004047945
【0079】
(2)赤外吸収スペクトルの測定
中分子ヘパリン、および中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体をそれぞれ約3mg秤量し、約100mgの臭化カリウムと混ぜ合わせ、ハンディープレスでペレットを作成した。このものにつき、臭化カリウム錠剤法により、以下の測定機器および操作条件で赤外吸収スペクトルを測定した。結果を表11に示す。
Figure 0004047945
【0080】
【表11】
Figure 0004047945
【0081】
(3)アミノ酸分析
中分子ヘパリン、および中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体約100μgを試料用試験管に秤量し、この試験管を反応バイアル瓶に入れ減圧乾燥した。次に反応バイアル瓶の底に加水分解用6N塩酸(1%フェノール含有)100μlを入れ、減圧下、反応バイアル瓶内の空気を窒素で置換した後、105℃で24時間加熱し、加水分解した。冷却後、試料用試験管を取り出し、0.02N塩酸100μlを加えてよく混合し、フィルターで濾過し、濾液を試料溶液とした。試料溶液と加水分解前の原料を用いて、以下の測定機器および操作条件でアミノ酸の含有量を測定した。その結果すべての中分子ヘパリニルアミノ酸において、中分子ヘパリンに対するカルボン酸の約90%以上の比率でアミノ酸に置換していた。
Figure 0004047945
【0082】
(4)1Hおよび13C−NMRスペクトルの測定
中分子ヘパリン、および中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体をD2Oに溶解し、1Hおよび13C−NMRスペクトルを測定した(XL−300:バリアン製、300MHz、75.4MHz)。結果を図1〜図12に示す。
【0083】
(5)元素分析
ヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体につき、CHN CORDER(柳本製)を用い、燃焼法により測定した。結果を表12に示す。
【表12】
Figure 0004047945
【0084】
(6)ウロン酸の定量
カルバゾール硫酸法(Bitter-Muirの改良法:アナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Biochem.)、第4巻、330頁、1962年)により、ウロン酸含量を測定した。
ヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体の水溶液0.5mlを試験管にとり、氷水で冷却しながら3.0mlの硫酸溶液(四ホウ酸ナトリウム10水和物(キシダ化学製)0.95gを濃硫酸100mlに溶かしたもの)を滴下し、0.1mlの0.125%カルバゾール溶液(カルバゾール(和光純薬工業製)12.5mgを10mlのエタノールに溶かしたもの)を加え、十分混合した後、ガラス球で栓をし、沸騰水浴中で20分間加熱する。室温に冷却後、530nmにおける吸光度を測定した(UVIDEC-77Σ:日本分光工業製)。
【0085】
(7)硫酸基の定量
T.T.Terho et al.の方法(アナリティカル・バイオケミストリー(Anal. Biochem.)、第41巻、471頁、1971年)に準じ、ロジゾン酸法により硫酸基を測定した。すなわち、ヘパリン、中分子ヘパリンおよび中分子ヘパリンの各アミノ酸誘導体約0.2mgを含む1N塩酸溶液0.5mlをガラス栓付試験管にとり、密栓する。沸騰水浴中で1時間加熱して加水分解した後、減圧乾固して塩酸を除去し、このものを1.0mlの水に溶かした。
この溶液0.5mlをガラス栓付遠心管にとり、エタノール2.0mlを加える。さらに1.0mlの塩化バリウム溶液(2.0M酢酸10ml、5mM塩化バリウム2ml、20mM炭酸水素ナトリウム8mlを混合し、エタノールを加えて100mlとしたもの)、および1.5mlのロジゾン酸ナトリウム溶液(ロジゾン酸ナトリウム(和光純薬工業製)5mgを水20mlに溶かし、100mgのL−アスコルビン酸を加えて溶かし、さらにエタノールを加えて100mlとしたもの)を加えてよく攪拌する。室温暗所に10分間放置した後、520nmにおける吸光度を測定した(UVIDEC-77Σ:日本分光工業製)。結果を表13に示す。
【0086】
【表13】
Figure 0004047945
【0087】
実施例3 注射剤
中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体250μg〜2.5mgをとり、生理食塩液10mlを加えて溶かした後、アンプルに充填、密封および滅菌して注射剤とする。
【0088】
実施例4 錠剤
中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体2.5〜10mgをとり、賦形剤として乳糖300mgを加えて均等に混和したものを、直接圧縮成形して錠剤とする。
【0089】
実施例5
カプセル剤
中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体2.5〜10mgをとり、賦形剤として乳糖300mgを加えて均等に混和したものをカプセルに充填してカプセル剤とする。
【0090】
実施例6
坐剤
中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体5.0〜20mgをとり、基剤としてマクロゴール2gを加えて均等に混和し、一定の形状に成形して、坐剤とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 中分子ヘパリンの13C NMRスペクトルを示す。
【図2】 中分子ヘパリンの1H NMRスペクトルを示す。
【図3】 中分子ヘパリニルフェニルアラニンの13C NMRスペクトルを示す。
【図4】 中分子ヘパリニルフェニルアラニンの1H NMRスペクトルを示す。
【図5】 中分子ヘパリニルアルギニンの13C NMRスペクトルを示す。
【図6】 中分子ヘパリニルアルギニンの1H NMRスペクトルを示す。
【図7】 中分子ヘパリニルセリンの13C NMRスペクトルを示す。
【図8】 中分子ヘパリニルセリンの1H NMRスペクトルを示す。
【図9】 中分子ヘパリニルプロリンの13C NMRスペクトルを示す。
【図10】 中分子ヘパリニルプロリンの1H NMRスペクトルを示す。
【図11】 中分子ヘパリニルアスパラギン酸の13C NMRスペクトルを示す。
【図12】 中分子ヘパリニルアスパラギン酸の1H NMRスペクトルを示す。

Claims (11)

  1. 平均分子量8,500〜9,500を有する中分子ヘパリンと、一般式:
    NH CH ( ) COOR
    [式中、R は、
    ・H;
    ・アミノ酸のα−アミノ基のNおよびα位のCと共にピロリジン環を形成するか;または、
    ・OHで置換されていてもよいフェニル、OH、NH 、SH、SCH 、COOH、CONH 、グアニジノ、インドリルおよび1H−イミダゾリルからなる群から選ばれる基で置換されていてもよい低級アルキルであり、
    は、Hまたは低級アルキルである]
    で示されるアミノ酸誘導体がカルボキシル基にアミド結合してなる中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体。
  2. アミノ酸が天然のアミノ酸である、請求項記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体。
  3. アミノ酸が必須アミノ酸である、請求項記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体。
  4. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とする抗凝血活性医薬組成物。
  5. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とする腎メサンギウム細胞増殖抑制活性医薬組成物。
  6. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とする癌転移抑制活性医薬組成物。
  7. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とする補体活性化抑制活性医薬組成物。
  8. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とする肺水腫抑制活性医薬組成物。
  9. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とする腎疾患治療用医薬組成物。
  10. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とするラジカルスカベンジャー活性医薬組成物。
  11. 請求項1に記載の中分子ヘパリニルアミノ酸誘導体の少なくとも1種を有効成分とするアレルギー性疾患予防および治療用医薬組成物。
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