JP4047752B2 - イオン導電性膜の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に使用するイオン導電性膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のメタノール燃料電池には、液体燃料の供給方法の違いで液体供給型と気化供給型の2つのタイプがある。このうち気化供給型は、電極反応が気体燃料との間で行われるため高活性で高い性能が得られる反面、システムが極めて複雑になり小型化が困難である。一方の液体供給型の場合、電解質膜を介して燃料極と酸化剤極が対向し燃料供給に毛管力等を利用しており、液体状態で燃料が供給される液体供給型であるので、ポンプ等を必要とせず小型化に適している。ここで、電解質膜は、パーフルオロスルホン酸(商品名:Nafion Du Pont社製)などのプロトン導電性固体高分子膜等を電解質として用いた場合、メタノール等の液体有機燃料が電解質膜を酸化剤極側に透過してしまうクロスオーバーが生じることである。この現象が生じれば、液体燃料と酸化剤が直接反応してしまいエネルギーを電力として出力することができない。従って、安定した出力を得ることができないという決定的な問題が生じる。
【0003】
尚、本発明の関連従来技術として、イオン導電性膜がフッ素樹脂骨格及びスルホン酸からなるポリマーであることが特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−079257号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の燃料電池は、イオン導電性がメタノールのクロスオーバーを抑制する働きが十分ではなく、安定した出力を供給できなかった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、イオン導電性を維持しながらメタノールのクロスオーバーを抑制することを可能にする新しいイオン導電性膜の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池の電解質に用いるイオン導電性膜を準備する工程と、このイオン導電性膜の表面に対して電子線を照射することにより前記表面の架橋反応、およびスルホン酸基脱離の内の少なくとも一方を生起させ、前記表面での導電性を前記イオン導電性膜の内部での導電性に比べて低く改変する工程とを具備することを特徴とするイオン導電性膜の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
ナフィオン(Nafion)に代表されるフッ素系樹脂を基本構造とするイオン導電性膜は、優れたイオン導電性を示す。この高いイオン導電性は含水状態のクラスターネットワークを通して発揮されるため、メタノールを使用する燃料電池においては、メタノールがアノードから水に混ざってクラスタネットワークを通りカソードに拡散し出力電圧を下げるという問題があった。一方、架橋構造等を導入し、膨潤を抑える方法が一般的であるが、膜全体を架橋させると導電性が大きく低下するという問題点があった。そこで、導電性を維持し、メタノールのクロスオーバーを抑制するため、単一膜の表面薄膜層のみを緻密化、または疎水性化し、イオン導電性を維持しながら、水とメタノールの透過選択性を上げることを提案し、本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明のイオン導電性膜は以下のように記述できる。
【0010】
イオン導電性を持った膜の少なくとも一面の表面層を電子線照射などの物理的に改質或いは化学的な修飾を加えて改変し、導電性が内部の導電性に比較して低いイオン導電性膜、または、、水、または溶剤、電解質への膨潤が、内部よりも低いイオン導電性膜を使用する。ここでの表面の改質領域は少なくとも一面の表面層50μm以内の深さであることが望ましい。
【0011】
イオン導電性膜の母材としては、ポリベンズイミダゾールフィルム、ポリスチレンスルホン酸共重合体膜、ポリビニルスルホン酸共重合体膜、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素ポリマ膜等が挙げられるが、中でも耐久性、膜強度、イオン導電性を兼ね備えたフッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素ポリマ膜が最適である。
【0012】
イオン導電性膜の製造方法としては、上述したイオン導電性膜の母材に対してその表面にエレクトロンビームを照射することで表面を改質する事により得られる。一般にEBはフィルムの深部に達するため、加速電圧100KV以下で電子線を照射することが必要である。100KV以上であるとフィルムのダメージが大きすぎたり、深部にまでEBが到達し、目的とする燃料電池の電解質膜に使用可能な膜が得られない。加速電圧は20KV以上が好ましく、それ以下では燃料電池の電解質膜としての十分な効果が得られない。不活性雰囲気、空気中でもよいが、不活性ガス中の方が再現性があり現実的である。以上の方法によって膜表面の架橋反応、スルホン酸基の脱離により、疎水性化、緻密化が達成される。これらの表面改質層の厚みを十分な強度を保つ程度に薄膜化することが、重要である。
【0013】
上述したイオン導電性膜は膨潤時の表面強度が上がるため、場合によっては、電極とのコンタクトが悪化する心配があるが、膜の表面にさらに、水、溶剤、電解液に膨潤しやすいイオン導電性膜を積層することによって、容易に改善することができる。
【0014】
本発明の別のイオン導電性膜は以下のように記述できる。
【0015】
イオン導電性が高い第1のイオン導電性膜と、25℃での最大膨潤面積が5%未満であり、窒素、または水酸基を有することを特徴とする第2のイオン導電性膜との複合体である。第1のイオン導電性膜は、メタノール透過性が高いがイオン導電性が高い少なくとも一つ性質を有する。また、第2のイオン導電性膜は、このイオン導電性膜(以下(A)と称する)と比較してメタノール透過性が低いがイオン導電性も低い少なくとも一つのポリマ(B)との複合体からなる。導電性を維持しながらメタノール透過性を低下させるために、(以下(B)と称する)は(A)に比較し膜厚が薄いことが必要である。(A)の膜厚は通常10μmから500μmであり、機械的強度と導電性のバランスを考えると50-200μmが好ましい。(B)は薄膜であるほど、導電性の低下が少なく、通常0.01-10μmであるが、好ましくは0.1-1μmであることが望ましい。(B)は(A)の少なくとも一面にコートされていても、内部にサンドイッチ状に挿入されていても良い。(B)は(A)の膨潤を防止し、メタノールの透過性を良好にする働きを持つ。従って、(B)には、1×10-10S/cm以上のプロトン導電性が要求される。好ましくは1×10-5S/cmの導電性が望まれる。これらも膜はコート法、積層法、浸せき法等により形成され、プレスその他の熱処理を加えても良い。また、これらには導電性を高めるために、燐酸、硫酸等の酸をドープしてもよい。
【0016】
イオン導電性膜としてはポリスチレンスルホン酸共重合体膜、ポリビニルスルホン酸共重合体膜、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素ポリマ膜などが上げられるが、中でも耐久性、膜強度、イオン導電性を兼ね備えたフッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素ポリマ膜が最適である。
【0017】
窒素または水酸基を有する膜としてはポリベンズイミダゾール誘導体、ポリベンズオキサゾール誘導体、ポリエチレンイミン架橋体、ポリサイラミン誘導体、ポリジエチルアミノエチルポリスチレンに代表されるアミン置換ポリスチレン、ジエチルアミノエチルポリメタクリレートに代表される窒素置換ポリアクリレート、シラノール含有ポリシロキサン、ヒドロキシエチルポリメチルアクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂、パラヒドロキシポリスチレンに代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂などが上げられる。また、以下に示すよう
に架橋性の置換基、例えば、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シンナモイル基、メチロール基、アジド基、ナフトキノンジアジド基、等が置換していても良い。
【0018】
図1は、上述したイオン導電性膜を使用する燃料電池の要部構成を示す断面図である。同図において、1は、燃料極(アノード)2と酸化剤極(カソード)3とにより挟持された電解質板であり、電解質膜として板状に成形されている。これら電解質板1、燃料極2および酸化剤極3によって起電部4が構成されている。ここで、燃料極2および酸化剤極3は、燃料や酸化剤ガスを流通させると共に電子を通すようにするため、導電性の多孔質体で形成されている。
【0019】
この燃料電池に於いては、各単電池には液体燃料を保持する機能をもつ燃料浸透部6と、燃料浸透部6に保持され液体燃料が気化した気体燃料を燃料極2に導くための燃料気化部7が具備される。10は電解質板1、燃料極2、及び酸化剤極3から構成される起電部である。この起電部10及び、燃料浸透部6、燃料気化部7からなる単電池をセパレ一タ5を介して複数積層することにより、電池本体となるスタック100が構成されている。セパレータ5の酸化剤極3と接する面には、酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス供給溝8を連続溝として設けている。燃料タンク(図示せず)から燃料浸透部6に液体燃料を供給する手段としては、例えばスタック100の少なくとも1つの側面に、この面に沿って液体燃料導入路4を形成する。上記液体燃料導入路4内に導入された液体燃料は、スタック100の側面から燃料浸透部6に供給され、さらに燃料気化部7で気化されて燃料極2に供給される。この際、燃料浸透部を毛管現象を示す部材で構成することにより、補器を用いずに毛管力で液体燃料を燃料浸透部6に供給することができる。そためには、液体燃料導入路4内に導入された液体燃料が、燃料浸透部端面に直接接触するような構成とされる。
【0020】
なお、図1のように単電池を積層してスタック100を構成する場合は、上記セパレータ5、燃料浸透部6、燃料気化部7は、発生した電子を伝導する集電板の機能も果たすため、導電性材料により形成される。さらに必要に応じて、燃料極2や酸化剤極3と電解質板1との間に、層状、島状、あるいは粒状等の触媒層を形成することもあるが、本発明はこのような触媒層の有無に制約を受けるものではない。また、燃料極2や酸化剤極3自体を触媒電極としてもよい。前記触媒電極は、触媒層単独でもよいが、導電性のペーパーやクロス等の支持体の上に触媒層を形成したような多層構造を持つものでもよい。
【0021】
上述したように、セパレータ5は、酸化剤ガスを流すチャンネルとしての機能を併せ持つものである。このように、セパレータとチャンネルの両方の機能を有するセパレータ5を用いることにより、より部品点数を削減することができ、小型化をより一層図ることが可能となる。なお、上記セパレータ5に代えて通常のチャンネルを用いることも可能である。
【0022】
燃料貯蔵タンクから液体燃料導入路4に液体燃料を供給する方法としては、燃料貯蔵タンクの液体燃料を自然落下させて、液体燃料導入路4に導入する方法がある。この方法は、スタック10の上面より高い位置に燃料貯蔵タンクを設けなければならないという構造上の制約を除けば、液体燃料導入路4に確実に液体燃料を導入することができる。他の方法としては、液体燃料導入路4の毛管力で、燃料貯蔵タンクから液体燃料を引き込む方法が挙げられる。この方法によれば、燃料貯蔵タンクと液体燃料導入路4との接続点、つまり液体燃料導入路4に設けられた燃料入口の位置を、スタック10の上面より高くする必要がなくなり、例えば上記自然落下法と組み合せると、燃料タンクの設置場所を自在に設定することができるという利点がある。
【0023】
ただし、毛管力で液体燃料導入路4に導入された液体燃料を、引き続き円滑に毛管力で燃料浸透部6に供給するためには、液体燃料導入路4の毛管力より燃料浸透部6への毛管力のほうが大きくなるように設定することが重要である。なお、液体燃料導入路4の数は、スタック10の側面に沿って1つに限定されるものではなく、他方のスタック側面にも液体燃料導入路4を形成することも可能である。
【0024】
また、上述したような燃料貯蔵タンクは、電池本体から着脱可能とすることかできる。これにより、燃料貯蔵タンクを交換することで、電池の作動を継続して長時間行うことが可能となる。また、燃料貯蔵タンクから液体燃料導入路4への液体燃料の供給は、上述したような自然落下や、タンク内の内圧等で液体燃料を押し出すような構成としてもよいし、また液体燃料導入路4の毛管力で燃料を引き出すような構成とすることもできる。
【0025】
上述したような方法によって、液体燃料導入路4内に導入された液体燃料は、燃料浸透部6に供給される。燃料浸透部6の形態は、液体燃料をその内部に保持し、気化した燃料のみを燃料気化部7を通して燃料極2に供給するような機能を有していれば特に限定される物ではなく、例えば、液体燃料の通路をもち、その燃料気化部7との界面に気液分離膜を具備したようなものでもよい。更に、毛管力により燃料浸透部6に液体燃料を供給する場合、燃料浸透部6の形態は、液体燃料を毛管力で浸透し得るものであれば特に限定されるものではなく、粒子やフィラーからなる多孔質体や、抄紙法等で製造した不織布、繊維を織った織布等の他に、ガラスやプラスチック等の板と板との間に形成された狭い隙間等も用いることができる。
【0026】
以下に、燃料浸透部6として多孔質体を用いた場合について説明する。液体燃料を燃料浸透部6側に引き込むための毛管力としては、まず燃料浸透部6となる多孔質体自体の毛管力が挙げられる。このような毛管力を利用する場合、多孔質体である燃料浸透部6の孔を連結させた、いわゆる連続孔とし、その孔径を制御すると共に、液体燃料導入路4側の燃料浸透部6側面から少なくとも他の一面まで連続した連通孔とすることにより、液体燃料を横方向でも円滑に毛管力で供給することが可能となる。
【0027】
燃料浸透部6となる多孔質体の孔径等は、液体燃料導入路4内の液体燃料を引き込み得るものであればよく、特に限定されるものではないが、液体燃料導入路4の毛管力を考慮した上で、0.01〜150μm程度とすることが好ましい。また、多孔質体における孔の連続性の指標となる孔の体積は、20〜90%程度とすることが好ましい。孔径を0.01μmより小さくすると、燃料浸透部6の製造が困難となり、また150μmを超えると毛管力が低下してしまう。また、孔の体積が20%未満となると連続孔の量が減り、閉鎖された孔が増えるため、毛管力を十分に得ることができなくなる。逆に、孔の体積が90%を超えると、連続孔の量は増加するものの、強度的に弱くなると共に製造が困難となる。実用的には、孔径は0.5〜100μmの範囲、また孔の体積は30〜75%の範囲とすることが望ましい。
【0028】
【実施例】
以下、具体的ではあるが限定的ではない実施例を説明することによって、本発明をより深く理解することができる。
【0029】
(実施例1)
膜厚170μmのDuPont社製Nafion117を、加速電圧50KVで30μC/cm2の電子線を照射し、表面を変成した。水中に1時間放置後、表面の導電性を測定したところ、1.1×10 -6S/cmであった。一方、表面を30μm切りだした後のフィルムの表面の導電性を同様に測定したところ、4.5×10-2S/cmであった。得られた膜は目的通り、単一な膜でありながら、内部の導電性が高く、表面の導電性が低いイオン導電性膜であることがわかった。
【0030】
上述したイオン導電性膜の表面10μmを切り出した。同様にして内部の90μmから100μmを切り出し、水に一時間浸せきした後に膨潤度を測定したところ、表面層の膨潤度は約10%であったのに対し、内部の膨潤は22%であった。得られた膜は目的通り、単一な膜でありながら、内部の膨潤度が高く、表面薄膜層の膨純度が低いイオン導電性膜であることがわかった。
【0031】
また、上述したイオン導電性膜の対抗面間の導電性は1.5×10-3S/cmであり、水に浸せきしたときの全体の膨純度は13%であった。赤外分光法による解析では、スルホン酸の表面の吸収が内部の吸収に比較し、15%低下していた。表面層でスルホン酸基の減少が認められ、架橋とともに、スルホン酸含量が低下するために、膨潤度、及び導電性が低下する事がわかった。さらに、水層と水・メタノール(1:1容量)を上述したイオン導電膜で仕切り、メタノールの透過係数を測定したところ、7×10-8cm2/sであり、EB照射前の1.2×10-6cm2/sと比較し、メタノール透過性が減少していることが確認できた。
【0032】
以上説明したイオン導電膜を使用して図2に示した構成を有する液体燃料電池(単電池)を、以下に示す要領で作製した。図1で示した燃料電池が基本的な構成であるが、実際に作成した燃料電池を図2に示した。
【0033】
まず、カーボンクロス上にPt-Ru系触媒層を塗布した32mm×32mmの燃料極22と、カーボンクロス上にPtブラック触媒層を塗布した32mm×32mmの酸化剤極23とで、触媒層が電解質膜と接するようにして上述した実施例1で作製したイオン導電性膜を所定の形状に切り出し電解質膜21として挟持した。これらを、120℃で5分間、100kg/cm2の圧力でホットプレスして接合した。この起電部と、燃料気化層25としての平均孔径100μm、気孔率70%のカーボン多孔質板と、燃料浸透層24としての平均孔径5μm、気孔率40%のカーボン多孔質板とを、深さ2mm、幅1mmの酸化剤ガス供給溝26をもつ酸化剤極側ホルダー27と燃料極側ホルダー28の内部に組み込んで反応面積10cm2の単電池を作製した。このようにして得た液体燃料電池に、液体燃料としてメタノールと水の1:1(モル比)混合液を燃料浸透層25の側面から毛管力で導入し、酸化剤ガスとして1atmの空気を100ml/minでガスチャンネル26に流して80℃、0.2A/cm2の負荷条件で発電を行った。初期の電圧は0.5Vであった。一日運転した後でも電圧の変化はなかった。
【0034】
(比較例1)
実施例1において、加速電圧200KVで同量を照射した膜を同様に分析したところ、内部と表面層での導電性の差はほとんどなく、水中での膨純度は10%と低下した。実施例1と同様にメタノール透過性を調べたところ6×10-8cm2/sと処理前のNafion117に比較し透過性が大きく減少することがわかった。しかし、対抗面間の導電性は4.5×10-5S/cmと大きく減少し、メタノールの透過性の減少と導電性の維持を両立させることはできなかった。
【0035】
これらのことから、内部のイオン導電性を維持しつつ、表面薄膜層の膨潤度、導電性を低下させた本発明の膜は、全体の性質を均一に変化させた膜に比較し、本来のNafion膜の導電性を維持したまま、メタノールの透過をより効果的に防止できることがわかった。
【0036】
実施例1で作製した膜のかわりに、未処理のNafion117を使用した以外は実施例1と同様に実験したところ、初期電圧は0.4Vであったが次第に低下し、5時間運転することにより0.2A/cm2の負荷がとれなくなるまで低下した。
【0037】
実施例1と比較例1の比較から容易に本発明の膜がメタノール燃料電池用固体電解質として優れていることがわかった。
【0038】
(比較例2)
実施例1で作製した膜のかわりに、未処理のNafion117を使用した以外は実施例5と同様の構造の燃料電池について、駆動したところ、初期電圧は0.4Vであったが次第に低下し、5時間運転することにより0.2A/cm2の負荷がとれなくなるまで低下した。
【0039】
実施例1と実施例2の比較から容易に本発明の膜がメタノール燃料電池用固体電解質として優れていることがわから。
【0040】
(実施例2)
膜厚170μmのDuPont社製Nafion117を、加速電圧35KVで20μC/cm2の電子線を照射し、表面薄膜層のみを変成した。このイオン導電性膜を使用した以外は実施例1と同様に図2に示したメタノール燃料電池を作製し出力電圧を測定したところ、0.5Vであり、一日運転した後の出力低下は5%以下で安定しており、メタノールによるカソード被毒が減少していることが確認できた。
【0041】
(実施例3)
膜厚約100μmのDuPont社製Nafion112を、加速電圧35KVで20μC/cm2の電子線を照射し、表面薄膜層のみを変成した。未処理Nafion112/本イオン導電性膜/未処理Nafion112積層し、それ以外は実施例1と同様にメタノール燃料電池を作製し出力電圧を測定したところ、0.55Vであり、一日運転した後の出力低下は5%以内であった。
【0042】
参考例1
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリベンズイミダゾールの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥したのち、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。
【0043】
参考例2
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリアニリンの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥した後、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。
【0044】
参考例3
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリ(ジメチルアミノエチルスチレン)の1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥した後、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。
【0045】
参考例4
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリベンズイミダゾールの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥したのち、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。さらに、この膜に燐酸の1%水溶液に5時間浸し、燐酸をドープした。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。
【0046】
参考例5
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリアニリンの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥した後、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。さらに、この膜を硫酸の1%水溶液に5時間浸し、硫酸をドープした。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。
【0047】
参考例6
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリ(ジメチルアミノエチルスチレン)の1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥した後、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。さらに、この膜にポリパラビニルベンゼンスルホン酸の1%溶液に5時間浸し、スルホン酸をドープした。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。て燃料電池を形成した。
【0048】
参考例7
ポリエチレンクロスにポリスチレン・ジビニルベンゼンを染み込ませ、スルホンしたイオン交換膜をポリベンズイミダゾールの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥したのち、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。
【0049】
(実施例11)
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリベンズイミダゾールの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し室温で乾燥したの、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。さらに加速電圧50KV, ドーズ量300μC/cmでEB照射した。このイオン導電性膜を使用する以外は実施例1と全く同様にして燃料電池を形成した。このイオン導電性膜として使用し実施例1と同様にメタノール燃料電池を作製し出力電圧を測定したところ、0.5Vであり、一日運転した後の出力低下は5%以下であり、上述した実施例3、参考例1〜7と同様に出力低下を防止することができ、メタノールによるカソード被毒が減少していることが確認できた。
【0050】
(比較例3)
サンプル1 厚さ190μmのNafion@フィルムをポリスチレンの0.1%トルエン溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥したのち、125℃、100kg/c
m2で10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のサンプルを作製した。
【0051】
表1に参考例1〜7、実施例11、並びに比較例3における各膜の導電性と相対的メタノール透過性を示す。未処理のナフィオン膜のメタノール透過性を100とすると、参考例1〜7、本発明の実施例11で用いた膜は導電性の低下が少ないにもかかわらず、メタノール透過性が低下していることがわかる。一方、比較例で示すように、窒素、水酸基を持たないポリスチレンで表面コートした場合には、大きな抵抗の増加が認められた。
【0052】
【表1】
Figure 0004047752
【0053】
参考例8
厚さ190μmのNafion@フィルムをポリアニリンの0.1%DMAc溶液中に室温で1時間浸し、室温で乾燥した後、125℃、100kg/cmで10分間プレスしたのち、純水で煮沸1時間して、複合膜のイオン導電性膜を作製した。さらに、この膜を硫酸の1%水溶液に5時間浸し、硫酸をドープした。このイオン導電性膜を使用して、未処理Nafion112/イオン導電性膜/未処理Nafion112積層し、実施例1と同様にメタノール燃料電池を作製し出力電圧を測定したところ、0.55Vであり、一日運転した後の出力低下は5%以内であった。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明のイオン導電性膜の製造方法を使用すれば、メタノールのクロスオーバーを減少させ、安定した高い出力の燃料電池用のイオン導電性膜を作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を説明する燃料電池の断面図。
【図2】 本発明の実施例の主要部を説明する断面図。
【符号の説明】
1 電解質板
2 燃料極
3 酸化剤極
4 液体燃料導入路
5 セパレータ
6 燃料浸透部
7 燃料気化部
8 酸化剤ガス供給溝
10 起電部

Claims (1)

  1. 燃料電池の電解質に用いるイオン導電性膜を準備する工程と、このイオン導電性膜の表面に対して電子線を照射することにより前記表面の架橋反応、およびスルホン酸基脱離の内の少なくとも一方を生起させ、前記表面での導電性を前記イオン導電性膜の内部での導電性に比べて低く改変する工程とを具備することを特徴とするイオン導電性膜の製造方法。
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