JP4047717B2 - 糖蛋白物質自動精製装置並びに同装置に使用する溶液カートリッジ、カラムカートリッジ及び流路カートリッジ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、血漿中からフィブロネクチン、アンチトロンビン等の糖蛋白物質を分離・精製する糖蛋白物質自動精製装置並びに同装置に用いる溶液カートリッジ、カラムカートリッジ及び流路カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
フィブロネクチンは生体内に広く分布する分子量約460,000 の糖蛋白質であり、特に血漿中には比較的高濃度に存在する。このフィブロネクチンは、細胞間の接合、免疫系等の多方面に生物活性があるが、特に、眼科治療の分野においては、角膜上皮細胞の進展・接着を促進する作用があり、角膜ヘルペス、三叉神経障害あるいは角膜移植後などの遷延性角膜上皮欠損などの角膜再生に有効である。このため、フィブロネクチンは、現在、医療機関で手作業により血漿中から精製することにより院内調製され、眼科治療等に使用されている。
【0003】
このフィブロネクチンは、変性コラーゲンに対して強い親和性をもつため、この性質を利用して、血漿中から精製する精製方法が、現在行なわれている。(例えば、T.Nishida,S.Nakagawa,T.Awata,C.Nishibayashi,R.Manabe,Jpn J. Ophthalmol.,26,416-424(1982) 等参照)
この精製方法は、まず、クエン酸ソーダ(3.8 %)1mlを予め吸引した注射筒に、患者から10mlの血液を採る。その後、遠心分離によって血漿を分離したのち約6mlの血漿を、予め人工房水でよく洗浄したゼラチン・セファロース入りのカラムに入れ、血漿中のフィブロネクチンのみを特異的に変性コラーゲンであるゼラチンに結合させる。
【0004】
次に、カラム内にクエン酸添加PBS(リン酸緩衝液)を流し入れ、溶出物から蛋白質が認められなくなるまでカラムを洗う。蛋白質の量はUVモニターでチェックし、波長280nm での吸収度が0.05以下になっていることを確認してもよい。次に、4M(モル)の溶出液をカラムに入れ、フィブロネクチンを溶出させる。
【0005】
このようにして精製されたフィブロネクチンと溶出液とを分離するために、次に人工房水をフィブロネクチンと溶出液中に入れ、ゲル濾過を行い、人工房水中に溶解している状態のフィブロネクチンを、シリンジ管に吸い取り、その後、フィルターでろ過し、採取容器に採取していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記調製に用いられているフィブロネクチンの精製は、大部分が手作業で行なわれるため、各工程での操作が繁雑で、且つ時間管理をする必要があり、また、精製作業者が精製に長時間従事する必要がある等の問題があった。更に、従来の精製作業は密閉構造で行なっていないため、フィブロネクチンを無菌的に採取することが困難な問題があった。さらに、この精製作業には高度な熟練性を必要とするため、均一な品質のフィブロネクチンを高い収率で精製するためには、熟練した専従者をおく必要があった。更に、手作業でのフィブロネクチンの精製は、精製作業者や患者にとって、ウイルス感染等の危険性があり、特に、精製過程において使用するチューブやUV検出器を使用する場合には、他の患者へのウイルス感染の危険性を伴う問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、血漿中からフィブロネクチン等の糖蛋白物質を自動化して、無菌的に、安全に、高い収率で精製することができる糖蛋白物質自動精製装置を提供することを目的とし、並びにその精製装置において簡単にかつ安全に無菌化して使用することができる溶液カートリッジ、カラムカートリッジ、及び流路カートリッジを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の糖蛋白物質自動精製装置は、血漿中から糖蛋白物質を分離・精製する糖蛋白物質自動精製装置において、カートリッジ装着部を設けた本体と、該本体のカートリッジ装着部の前面を開閉可能に装着された扉と、を備え、
該カートリッジ装着部には、溶液カートリッジ装着部と、カラムカートリッジ装着部と、流路カートリッジ装着部とが設けられ、
該溶液カートリッジ装着部には、血漿を収容する血漿容器、第一緩衝液を充填し密閉された第一緩衝液容器と、溶出液を充填し密閉された溶出液容器、及び第二緩衝液を充填し密閉された第二緩衝液容器とが一体にカートリッジ化された溶液カートリッジが着脱可能に装着され、
該カラムカートリッジ装着部には、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムが一体にカートリッジ化されたカラムカートリッジが着脱可能に装着され、
該流路カートリッジ装着部には、該アフィニティークロマトグラフィー用カラムからの液体をゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために接続された第一のチューブ、該第二緩衝液を該ゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために前記第二緩衝液容器に接続された第二のチューブ、該ゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側に接続された第三のチューブ、及び該血漿、第一緩衝液、溶出液を該アフィニティークロマトグラフィー用カラムに送るために前記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器に接続された第四のチューブ、さらに該第一のチューブに設けられた第一の送液チューブ、該第二のチューブに設けられた第二の送液チューブを相互に接続して1枚のシート上に取着されてなる流路カートリッジが着脱可能に装着され、
該流路カートリッジの第三のチューブに、バルブチューブを介して採取容器が接続されると共に、該流路カートリッジの第三のチューブの排出側に排液容器が接続され、
前記第一、第二、第三の容器の排出側及びゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側のチューブには各々バルブチューブが設けられ、前記第一の送液チューブと第二の送液チューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部に、チューブ押圧式送液装置が設けられ、前記各バルブチューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部にチューブ押圧式電動弁が設けられ、前記扉の内側に、押圧時の該バルブチューブを受けるバルブチューブ受け部及び送液チューブを受ける送液チューブ受け部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
ここで、上記カラムカートリッジ装着部には、カラムカートリッジのケースを両側から挟持する挟持部を取り付けることができる。また、カラムカートリッジ装着部には、カラムカートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部を設けることができる。また、上記溶液カートリッジ装着部には、溶液カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部を設けることができる。
【0010】
また、上記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器、および第二緩衝液容器は軟質合成樹脂製パウチから形成することができ、蓋体により閉鎖された各容器の口部を保持するようにホルダー板をその口部に取り付けることができる。また、血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器、および第二緩衝液容器の軟質合成樹脂製パウチはホルダー板と一体に形成された透明合成樹脂製のケース内に収容するように構成することもできる。
【0011】
さらに、上記アフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムは、合成樹脂により一体成形されたカラムケース内に筒状に形成されると共に、上部と下部にゴム栓付きの口部を有し、カラムケースには、カラムカートリッジ装着部に突設された位置決めピンに嵌合される位置決め孔設けることができる。また、アフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムは、合成樹脂製の筒体を並行に配置し、ホルダー板及び上板と下板により一体に結合して形成されると共に、上部と下部にゴム栓付きの口部を有し、上板と下板には、カラムカートリッジ装着部に突設された位置決めピンに嵌合される位置決め孔設けることができる。また、アフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムの内部には、内容物質と上澄み液を分離するためのフィルタを移動可能に配設することができる。
【0012】
さらに、糖蛋白物質自動精製装置の流路カートリッジ装着部に装着される上記流路カートリッジは、アフィニティークロマトグラフィー用カラムに液体を注入するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注入針と、該アフィニティークロマトグラフィー用カラムから液体を注出するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注出針と、ゲルクロマトグラフィー用カラムに液体を注入するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注入針と、該ゲルクロマトグラフィー用カラムから液体を注出するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注出針と、血漿容器の口部のゴム栓に刺し込まれ血漿を注出するための血漿用注出針と、第一緩衝液容器の口部のゴム栓に刺し込まれ第一緩衝液を注出するための第一緩衝液用注出針と、溶出液容器の口部のゴム栓に刺し込まれ溶出液を注出するための溶出液用注出針と、第二緩衝液容器の口部のゴム栓に刺し込まれ第二緩衝液を注出するための第二緩衝液用注出針と、アフィニティークロマトグラフィー用カラムからの液体を該注出針を通してゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために接続される第一のチューブと、第二緩衝液を該ゲルクロマトグラフィー用カラムに該第二緩衝液用注出針及び該注入針を通して送るために第二緩衝液用注出針に接続される第二のチューブと、該ゲルクロマトグラフィー用カラムに刺し込まれた注出針に接続される第三のチューブと、血漿、第一緩衝液、溶出液を該アフィニティークロマトグラフィー用カラムに送るために血漿用注出針、第一緩衝液用注出針、及び溶出液用注出針に接続される第四のチューブと、該第一のチューブに設けられた第一の送液チューブと、該第二のチューブに設けられた第二の送液チューブと、該第三のチューブにバルブチューブを介して接続された採取容器と、該第三のチューブの排出側にバルブチューブを介して接続された排液容器と、
を接続して具備し、前記チューブ類をシート上に取着し且つ一体にカートリッジ化して構成され、装置本体の流路カートリッジ装着部に着脱可能に装着される。
【0013】
ここで、上記血漿用注出針、第一緩衝液用注出針、溶出液用注出針、及び第二緩衝液用注出針は、シートに取着されたホルダー板に突設することができる。また、同様に、アフィニティークロマトグラフィー用カラム用の注入針と注出針、及びゲルクロマトグラフィー用カラム用の注入針と注出針を、シートに取着されたカラム用ホルダー板に突設することができる。
【0014】
また、ホルダー板には、ホルダー板をカートリッジ装着部に装着したときの位置決め用に位置決めピンを突設することができる。さらに、上記採取容器に接続されるチューブには、容器内の空気を排出するエアベント針を備えると供に細菌を濾過するフィルタを装着することができる。さらに、上記排液容器は、透明軟質合成樹脂製のバッグ状に形成し、上記シートに接着して構成することができる。
【0015】
また、排液容器に接続される排液用のチューブには逆止弁を設けるとよく、流路カートリッジのシートには、流路カートリッジ装着部の所定箇所に突設された複数の位置決めピンに嵌め込まれる位置決め孔を形成することができる。さらに、流路カートリッジのチューブには、溶液の流れの有無を光学的に検出する光学センサ等を設け、処理工程中に所定のチューブで溶液の流れが生じるか否かを検出して、精製処理が正しく行なわれているか否かを監視することができる。
【0016】
【作用】
このような構成の糖蛋白物質自動精製装置は、予め工場などにおいて、溶液カートリッジの第一緩衝液容器に第一緩衝液が充填され、溶出液容器に溶出液が、第二緩衝液容器に第二緩衝液が各々無菌状態で充填され、各容器は密閉され滅菌されてる。また、カラムカートリッジのアフィニティークロマトグラフィー用カラムには、滅菌した後、アフィニティークロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉され、カラムゲルクロマトグラフィー用カラムには、滅菌後、ゲルクロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉される。
【0017】
そして、使用時に、滅菌処理された溶液カートリッジの血漿容器に血漿を、注入用シリンジなどにより注入する。そして、本体に設けたカートリッジ装着部の溶液カートリッジ装着部に溶液カートリッジを装着し、流路カートリッジ装着部に流路カートリッジを装着し、カラムカートリッジ装着部にカラムカートリッジを装着する。
【0018】
この際、精製装置で使用する血漿を収容した血漿容器、第一緩衝液を充填した第一緩衝液容器、溶出液を充填した溶出液容器、及び第二緩衝液を充填した第二緩衝液容器は、溶液カートリッジとして一体にカートリッジ化されているため、それを本体の溶液カートリッジ装着部に装着するだけで、簡単にそれらの薬液や血漿を装置にセットすることができる。
【0019】
さらに、この精製装置で使用する流路となるチューブ類、バルブ機能を有するバルブチューブ、送液機能を有する送液チューブ、チューブを介して接続された排液容器及び採取容器、カラムに接続されるカラム用注入針及び注出針、及び溶液カートリッジの血漿容器に接続される血漿用注出針、第一緩衝液容器に接続される第一緩衝液用注出針、溶出液容器に接続される溶出液用注出針、及び第二緩衝液容器に接続される第二緩衝液用注出針が1枚のシート上に取着され、流路カートリッジとして一体にカートリッジ化されているため、それを本体の流路カートリッジ装着部に、簡単に装着することができる。流路カートリッジを装着部に装着した状態で、流路カートリッジに設けた送液チューブは、本体側に配設されたフィンガー送液装置などのチューブ押圧式送液装置の押圧位置に装着され、バルブチューブは、各々のチューブ押圧式電動弁の押圧位置に装着される。
【0020】
そして、上記のように、本体のカートリッジ装着部の溶液カートリッジ装着部に溶液カートリッジを装着し、流路カートリッジ装着部に流路カートリッジを装着し、カラムカートリッジ装着部にカラムカートリッジを装着した後、溶液カートリッジを流路カートリッジの血漿用注出針などの注出針群に対し移動し、或いは注出針群を溶液カートリッジに対し移動して、血漿用注出針を溶液カートリッジの血漿容器のゴム栓に刺して接続し、第一緩衝液用注出針を第一緩衝液容器のゴム栓に刺して接続し、溶出液用注出針を溶出液容器のゴム栓に刺して接続し、さらに第二緩衝液用注出針を第二緩衝液容器のゴム栓に刺して接続する。
【0021】
同様に、注出針をカラムに対し移動し、或いはカラムを注出針に対し移動して、流路カートリッジのカラム用注出針をアフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムの下部のゴム栓に刺して接続する。同様に、カラム用注入針をアフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムの上部のゴム栓に刺して接続する。
【0022】
同様に、精製装置で使用するアフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムは、カラムカートリッジとして一体にカートリッジ化されているため、それを本体のカラムカートリッジ装着部に装着するだけで、簡単にそれらのアフィニティークロマトグラフィー用担体やゲルクロマトグラフィー用担体を装置にセットすることができる。
【0023】
このようなカラム用注入針、カラム用注出針のカラムへの刺し込み、並びに血漿用注出針、溶出液用注出針、第一緩衝液用注出針、及び第二緩衝液用注出針の血漿容器などへの刺し込みは、手動によって行なうことができるが、リニアモータなどの駆動装置を用いて自動的に針の刺し込みを行なうこともできる。
【0024】
上記のように、本体に設けた溶液カートリッジ装着部に溶液カートリッジを装着し、流路カートリッジ装着部に流路カートリッジを装着し、カラムカートリッジ装着部にカラムカートリッジを装着した状態で、カートリッジ装着部の扉を閉じると、扉の内側に設けた送液チューブ受け部が各チューブ押圧式送液装置に装着された送液チューブを受け、同様に配設されたバルブチューブ受け部が各チューブ押圧式バルブに装着されたバルブチューブを受ける状態にセットされる。
【0025】
この状態で、精製装置の動作をスタートさせると、その制御手段は、予めプログラムされた処理工程を経時的に順に実行する。先ずチューブ押圧式バルブ(電動弁)をすべて閉じ、その後チューブ押圧式送液装置を制御して第一緩衝液容器から第一緩衝液をアフィニティークロマトグラフィー用カラムに送り、第二緩衝液容器から第二緩衝液をゲルクロマトグラフィー用カラムに送り、両カラム内の充填剤を平衡化する。次に、血漿容器から血漿をアフィニティークロマトグラフィー用カラム内に送り、アフィニティークロマトグラフィー用担体に固定されたゼラチンにフィブロネクチンを吸着させる。次に、電動弁と送液装置を制御して第一緩衝液容器から第一緩衝液を再びアフィニティークロマトグラフィー用カラムに送り、カラム内を洗浄し、これにより、カラム中のフィブロネクチン(糖蛋白物質)以外の不要な成分を排出除去する。その後、電動弁と送液装置等を制御して溶出液容器から溶出液をアフィニティークロマトグラフィー用カラム内に送り、ゼラチンに吸着されていたフィブロネクチンを溶出させ、ゲルクロマトグラフィー用カラムに送り込む。
【0026】
電動弁と送液装置等を制御して第二緩衝液容器から第二緩衝液をゲルクロマトグラフィー用カラムに送り込み、分子の大きさにより分離させる。ゲルクロマトグラフィー用担体は、分子量の小さい物質ほど良く捕捉し、分子量の大きい物質ほど早く溶出する性質があるため、フィブロネクチン(糖蛋白物質)がゲルクロマトグラフィー用担体から溶出され始めるタイミングは実験結果から予め把握されている。このタイミングをはかって、ゲルクロマトグラフィー用カラムから溶出されるフィブロネクチン(糖蛋白物質)を、カラムの排出弁を切り替えて滅菌処理された採取容器に採取する。
【0027】
このように、上記糖蛋白物質自動精製装置によれば、精製処理を完全に自動化して糖蛋白物質を精製することができ、手作業で精製する場合に比べ、熟練技術を必要とせず、遥かに効率よく短時間(手作業では約2時間かかるが、この装置を使用した場合約30〜40分間)で糖蛋白物質を精製することができる。
【0028】
また、予め工場などにおいて、第一緩衝液容器に第一緩衝液が充填され、溶出液容器に溶出液が充填され、第二緩衝液容器に第二緩衝液が各々無菌状態で充填され、各容器は密閉され滅菌処理される。また、アフィニティークロマトグラフィー用カラムには滅菌後、アフィニティークロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉され、カラムゲルクロマトグラフィー用カラムには滅菌後、ゲルクロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉されるから、細菌の混入やウイルス感染などを回避して安全に糖蛋白物質を精製することができる。
【0029】
そして、精製処理を完了した後は、扉を開いて採取容器を取り外す。その後、カートリッジ装着部から、溶液カートリッジ、カラムカートリッジ、流路カートリッジを一体で取り外し、溶液カートリッジ、カラムカートリッジ及び流路カートリッジは一体で廃棄する。このように使用された溶液カートリッジ、カラムカートリッジ、流路カートリッジは、全て使い捨てとし、新たに精製処理を行なう場合は、全て新しい溶液カートリッジ、カラムカートリッジ及び流路カートリッジが使用されるため、ウイルス感染等を回避して、血漿からフィブロネクチン等の糖蛋白物質を安全に精製することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はフィブロネクチン自動精製装置の分離精製室の扉3を開いた状態の斜視図を示し、図2はその分離精製室のカートリッジ装着部2の正面図を示し、図3はカートリッジ装着部2に溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を装着した状態の正面図を示している。
【0031】
図1に示すように、精製装置の本体1の前面に、扉3により閉鎖可能なカートリッジ装着部2が設けられる。このカートリッジ装着部2には、精製処理を行なう際、溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を装着して、フィブロネクチンの精製に必要な薬液、担体、及び血漿を精製装置に配置する。本体1前面のカートリッジ装着部2には、溶液カートリッジ装着部21がその上部に設けられ、その下側に流路カートリッジ装着部23が設けられ、流路カートリッジ装着部23の内部(内側)にカラムカートリッジ装着部22が設けられる。
【0032】
溶液カートリッジ装着部21に装着される溶液カートリッジ4は、図4に示すように、例えば硬質透明合成樹脂により矩形箱形に形成されたケース46内に、血漿容器45、第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42を収容して構成される。これらの容器42〜45はPP、PEなどの軟質透明合成樹脂のパウチとして形成され、血漿容器45、第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42には、その下部に口部421,431,441,451が設けられ、さらに、それらの口部にゴム栓422,432,442,452が設けられる。
【0033】
また、図4のように、血漿容器45の上部には、血漿を注入するための口部453が設けられ、その口部453にゴム栓454が取り付けられる。さらに、これらの容器42〜45の口部421,431,441,451にはそれらを並列に配置して保持するように、ホルダー板41が取り付けられ、各口部421,431,441,451はホルダー板41から下方に突出する。ホルダー板41はケース46の底部に固定されている。
【0034】
第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42は、工場など製造の段階で、予め第一緩衝液容器44には第一緩衝液としてクエン酸PBSが充填され。また、溶出液容器43にはアルギニン塩酸塩が充填され、第二緩衝液容器42には第二緩衝液としてPBSが充填され、各容器は密閉され、オートクレーブなどで滅菌処理を施される。また、血漿容器45はガンマ線等で滅菌処理を施され、空の状態で出荷される。なお、各容器の口部421,431,441,451には、相違した色の保護キャップを被せるか、或いはゴム栓422,432,442,452の上に、相違した色の保護シールを覆うように貼着することができる。また、各容器の色やゴム栓の色を変えて形成することもできる。
【0035】
図5は、溶液カートリッジの他の実施形態を示している。この溶液カートリッジ7は、外側のケースを省略し、各血漿容器45、第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42を所定の並列状態として、一枚のホルダー板41により保持する構造である。ホルダー板41は、上記と同様に、各容器42〜45の下部に設けた口部421,431,441,451を保持するように取り付けられる。各口部にはゴム栓422,432,442,452が上記と同様に設けられる。このように、溶液カートリッジは、ケースを外した構造とすることもできる。
【0036】
このような構造の溶液カートリッジ4は、フィブロネクチンの精製時、本体1前面におけるカートリッジ装着部2上部の溶液カートリッジ装着部21に装着されるが、そのために、溶液カートリッジ装着部21には、図13に示すように、溶液カートリッジ4のホルダー板41を嵌め込むためのホルダー板保持部213が、昇降部211に設けられる。昇降部211は、本体1のカートリッジ装着部2に上下動可能に配設され、その内側に配設した昇降アクチュエータ(例えばモータ駆動のリニヤアクチュエータ)212により昇降駆動される構造である。
【0037】
ホルダー板保持部213には、溶液カートリッジ4のホルダー板41を嵌め込む際、適正な嵌め込み位置で節度感を生じさせるために、先端鋼球をばねで付勢した構造のクリックプランジャ214等が設けられる。また、ホルダー板41が適正な嵌め込み位置に嵌め込まれたことを検出するために、挿入センサ215がホルダー板保持部213の内部に設けられる。挿入センサ215としては、機械的なマイクロスイッチ或いは押圧力を検出する感圧センサなどを使用することができる。さらに、図13に示すように、ホルダー板保持部213には、位置決め孔216が縦に穿設され、この位置決め孔216には、ホルダー板保持部213が下降したとき、後述の流路カートリッジ6の最上部の最上部針用ホルダー板保持部232の上に突設された位置決めピン250が嵌入する。
【0038】
カートリッジ装着部2の下部寄りに配置されたカラムカートリッジ装着部22には、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム52、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラム53が一体にカートリッジ化されたカラムカートリッジ5が着脱可能に装着される。
【0039】
図6に示すように、この2本のカラム52,53は、カラムケース51内に縦に並列して配設され、カラムケース51は、例えば硬質透明合成樹脂の型成形或いは切削成形により形成することができる。各カラム52,53の上部と下部には、口部521,522,531,532が形成され、各々の口部にはゴム栓523,524,533,534が装着されている。また、矩形箱形に形成されたカラムケース51には、カラムカートリッジ装着部22側に突設された位置決めピンが嵌入するための位置決め孔511が所定位置に穿設されている。また、カラムケース51の上面、下面には、位置決め孔512が所定位置に穿設される。この位置決め孔512は、図7に示すように、後述の流路カートリッジ6の中間部に配置された上ホルダー板84と下ホルダー板85に突設された位置決めピン86,87が嵌入する。
【0040】
アフィニティークロマトグラフィー用カラム52は、アフィニティークロマトグラフィーによりフィブロネクチンを吸着・分離するカラムで、注射筒状のカラム内にアフィニティークロマトグラフィー用担体(例えばベースゲルとしてセルロースを、リガンドとしてゼラチンを用いた担体)が滅菌処理の後、充填される。ゲルクロマトグラフィー用カラム53は、ゲルクロマトグラフィーにより溶出液を分離するカラムで、例えば注射筒状のカラム内にセルロースを架橋剤で架橋したものが充填される。
【0041】
図8はカラムカートリッジの他の実施形態を示している。このカラムカートリッジ8は、硬質透明合成樹脂により円筒状に形成された2本のカラム、つまりアフィニティークロマトグラフィー用カラム552とゲルクロマトグラフィー用カラム553を並列状態で配置し、それらを上板55、下板56及び中間部に取り付けたホルダー板54により一体にした構造である。この場合、本体1のカラムカートリッジ装着部22側に図示しないホルダー保持部が設けられ、ホルダー板54は、そのホルダー保持部に差し込まれ、定位置に保持されるように構成される。各カラム552,553には、上部と下部に口部561,562,571,572が設けられ、各口部には、ゴム栓563,564,573,574が上記と同様に設けられる。
【0042】
さらに、カラムカートリッジ8の各カラム552,553内には、図9に示すように、ゲル保持用のフィルタ58を、フィルタ環59を介して上下に摺動可能に配設することができる。このゲル保持用のフィルタ58には、例えばPES樹脂製で5μmメッシュのメンブレンフィルタを用いることができる。このフィルタ58を使用した場合、アフィニティークロマトグラフィー用カラム552内のゼラチン及びとゲルクロマトグラフィー用カラム553内のゲルは、このフィルタ58により上澄み液と分離され、上澄み液を除くゼラチンまたはゲルを下部の口部から注出することができる。また、カラム552,553内のフィルタ環59は、溶液の集液率を上げるために、出口が漏斗状に形成される。
【0043】
一方、本体1におけるカートリッジ装着部2の下部寄りに設けられるカラムカートリッジ装着部22には、図7のように、上記構成のカラムカートリッジ5のカラムケース51を、両側から挟持部材(板ばね)により挟持して保持するカラム保持部223が昇降可能に配設される。カラム保持部223は、本体1に対し昇降可能に配設された昇降部221に両側に取り付けられる。昇降部221は、本体1のカートリッジ装着部2に上下動可能に配設され、その内側に配設した昇降アクチュエータ(例えばモータ駆動のリニヤアクチュエータ)222により昇降駆動される構造である。精製処理を行なう際のセット時には、カラムカートリッジ5をカラム保持部223により保持した昇降部221は、昇降アクチュエータ222の駆動により下降し、その下側に位置する後述の下針ホルダー板保持部238に保持された下ホルダー板85上のカラム用注出針81,83を、各カラム52,53の下部のゴム栓524,534に刺し込むように動作する。
【0044】
さらに、図7に示すように、カラムカートリッジ装着部22の上方には、上針ホルダー板保持部235が昇降部236に取り付けられ、昇降可能に配設される。昇降部236は、本体1のカラムカートリッジ装着部22の上方で上下動可能に配設され、その内側に配設した昇降アクチュエータ(例えばモータ駆動のリニヤアクチュエータ)237により昇降駆動される構造である。
【0045】
この上針ホルダー板保持部235には、後述の流路カートリッジ6の上ホルダー板84が差し込むようにして装着され、上ホルダー板84の下側にカラム用注入針80、82が下向きに取り付けられる。精製処理を行う際のセット時、上針ホルダー板84を保持した昇降部236は、昇降アクチュエータ237の駆動により下降し、その下側に位置するカラムカートリッジ5の各カラム52,53の口部521,531のゴム栓523,533に、上ホルダー板84上のカラム用注入針82,84を刺し込むように動作する。
【0046】
さらに、本体1のカートリッジ装着部2の流路カートリッジ装着部23には、図10に示すような流路カートリッジ6が装着される。この流路カートリッジ6は、PVC樹脂などの軟質透明合成樹脂製のシート61上に、チューブK1〜K4、送液チューブ66,67、並びにバルブチューブ68〜75、及び採取容器78、排液容器79、注入針、注出針などを取り付けて構成される。シート61は略矩形形状に形成され、4隅近傍に後述のシート嵌め込みピンに嵌める嵌め込み孔76が穿設され、カラムカートリッジ5を装着する部分に矩形の開口部が形成され、下部には排液容器79が取着されている。また、シート61は、2枚の薄い軟質合成樹脂シートを使用し、それらのシートの間にチューブ類は配置し、それらを2枚のシートで両側から挟むように接着して流路カートリッジ6を形成することもできる。また、2枚のシートのみを用いた型成形により流路を形成することもできる。
【0047】
さらに、この流路カートリッジ6におけるカラムカートリッジ5を装着するシート開口部の上部位置には、アフィニティークロマトグラフィー用カラムに液体を注入するためのカラム用注入針80と、ゲルクロマトグラフィー用カラムに液体を注入するためのカラム用注入針82とを下向きに設けた上ホルダー板84がシート61に取着される。また、その開口部の下側のシート部分には、アフィニティークロマトグラフィー用カラムから液体を注出するためのカラム用注出針81と、ゲルクロマトグラフィー用カラムから液体を注出するためのカラム用注出針83とを上向きに設けた下ホルダー板85がシート61に取着される。また、この上ホルダー板84と下ホルダー板85には各々位置決めピン86,87が設けられ、上ホルダー板84を下降させたとき、或いはカラムカートリッジ5を下降させたとき、位置決めピン86,87が相手側の位置決め孔512に嵌入して、カラムなどの正確なゴム栓位置に注入針または注出針が刺し込まれるようにしている。
【0048】
さらに、シート61の上部には、血漿容器45の口部のゴム栓に刺し込まれ血漿を注出するための血漿用注出針91と、第一緩衝液容器44の口部のゴム栓に刺し込まれ第一緩衝液を注出するための第一緩衝液用注出針92と、溶出液容器43の口部のゴム栓に刺し込まれ溶出液を注出するための溶出液用注出針93と、第二緩衝液容器42の口部のゴム栓に刺し込まれ第二緩衝液を注出するための第二緩衝液用注出針94と、を上向きに取り付けた最上部針用ホルダー板90が取着されている。この最上部針用ホルダー板90は、流路カートリッジ装着部23の最上部に設けた最上部針用ホルダー板保持部232に差し込まれて装着される。また、最上部針用ホルダー板90の上には位置決めピン95が上向きに突設され、溶液カートリッジ4が下降したとき、上方のホルダー板保持部213の位置決め孔216に嵌入し、注出針が正確なゴム栓位置に刺し込まれるようにしている。
【0049】
さらに、シート61上には、アフィニティークロマトグラフィー用カラム52からの液体を、注出針を通してゲルクロマトグラフィー用カラム53に送るために接続される第一のチューブK1と、第二緩衝液をゲルクロマトグラフィー用カラム53に第二緩衝液用注出針94及び注入針を通して送るために第二緩衝液用注出針94に接続される第二のチューブK2と、ゲルクロマトグラフィー用カラム53に刺し込まれる注出針82に接続される第三のチューブK3と、血漿、第一緩衝液、溶出液をアフィニティークロマトグラフィー用カラム52に送るために血漿用注出針91、第一緩衝液用注出針92、及び溶出液用注出針93に接続される第四のチューブK4とが、図10に示すようにシート61上に取着される。
【0050】
さらに、第一のチューブK1には第一送液装置P1の一部として機能する送液チューブ66が設けられ、第二のチューブK2には第二送液装置P2の一部として機能する送液チューブ67が設けられる。これらの送液チューブ66,67は例えばPVC、シリコン樹脂などの軟質透明合成樹脂チューブから形成され、後述のチューブ押圧式送液装置の押圧部により順に移動方向に押圧され、内部の液体を密閉状態で搬送することができる。
【0051】
さらに、図10に示すように、チューブK1〜K4の各所には、PVC、シリコン樹脂などの軟質透明合成樹脂チューブからなる複数のバルブチューブ68〜75が配設される。これらのバルブチューブ68〜75は、後述の本体1側に配設したチューブ押圧式電動弁V5〜V12のプランジャから押圧作用を受け、チューブの流路を潰して各々のバルブを閉鎖する構造である。第三のチューブK3には、バルブチューブ74,75、チューブクランプ、及びフィルタ77を介して採取容器78が接続される。フィルタ77には、採取容器78への採取時に容器内の空気を抜くためのエアベント針が付属する。また、第三のチューブK3の排出側にバルブチューブ73を介して排液容器79が接続されている。排液容器79に接続されるチューブには逆止弁が設けられ、排液の逆流を防止している。
【0052】
一方、本体1側の流路カートリッジ装着部23には、送液チューブ66と送液チューブ67に対応して、チューブ押圧式送液装置(例えばフィンガー送液装置或いはローラ送液装置)からなる第一送液装置P1と第二送液装置P2が設けられる。また、上記の各バルブチューブ68〜75に対応した位置には、チューブ押圧式電動弁V5〜V12が本体1内に、各々のプランジャを押し出して、各バルブチューブ68〜75を押圧閉鎖するように配設される。
【0053】
一方、本体1の装着部を閉じる扉3の内側には、送液チューブ66,67を受けるための送液チューブ受け部31,32と、バルブチューブ68〜75を受けるための複数のバルブチューブ受け部33が突設される。送液チューブ受け部31,32は、図12に示すように、チューブ押圧式送液装置によって押圧されたとき、ばねを介して弾性的に送液チューブ66,67を受けて保持する構造である。また、バルブチューブ受け部33は、図14に示すように、ロッド状に形成され、チューブ押圧式バルブにより押圧されたとき、ロッドの先端でバルブチューブ68〜75の押圧力を受けて保持し、また、ロッドの一部に内蔵した押圧センサ(圧力センサなど)34によりその検出信号を出力するように構成される。
【0054】
なお、上記溶液カートリッジ4内の各容器42〜45、そのケース46、カラムカートリッジ5の各カラム52,53、及び流路カートリッジ6の採取容器78は、透明若しくは半透明とし、内部の液体が外部から確認できるようにする。
【0055】
上記構成の糖蛋白物質自動精製装置は、図示しない制御装置により制御される。この制御装置の制御部は、例えばCPU、RAM、ROM、HDD、ディスプレイ、プリンタを主要部として構成され、その制御部の入出力回路に、駆動回路を介して上記送液装置P1、P2、電動弁V5〜V12が接続される。ROM、HDDには、予め以下に示すようなフィブロネクチンの精製のためのプログラムが記憶され、時間経過に従って各ステップを読み出し、精製のための各処理を順に実行する。
【0056】
本精製装置で使用される溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5には、予め工場などにおいて、薬液などが充填され、溶液カートリッジ4の第一緩衝液容器44には例えばクエン酸ソーダ添加PBS(リン酸緩衝液)などの第一緩衝液が充填され、溶出液容器43には例えばアルギニン塩酸塩などの溶出液が充填され、第二緩衝液容器42には例えば滅菌PBS(リン酸緩衝液)などの第二緩衝液が各々無菌状態で充填され、各容器は密閉され滅菌される。また、カラムカートリッジ5のアフィニティークロマトグラフィー用カラム52にはアフィニティークロマトグラフィー用担体が滅菌後、無菌状態で充填されて密閉され、カラムゲルクロマトグラフィー用カラム53にはゲルクロマトグラフィー用担体が滅菌後、無菌状態で充填されて密閉される。
【0057】
そして、精製処理を行う際、フィブロネクチンを抽出する対象の血漿を、滅菌処理された溶液カートリッジ4の血漿容器45に、注入用シリンジなどにより注入する。そして、本体1の前面に設けたカートリッジ装着部2の溶液カートリッジ装着部21に溶液カートリッジ4を装着し、流路カートリッジ装着部23に流路カートリッジ6を装着し、そしてカラムカートリッジ装着部22にカラムカートリッジ5を装着する。
【0058】
すなわち、先ず、上部の溶液カートリッジ装着部21のホルダー板保持部213に溶液カートリッジ4のホルダー板41を差し込んで装着する。次に、流路カートリッジ装着部23に流路カートリッジ6を装着する。次に、最上部針用ホルダー板90を最上部針用ホルダー板保持部232に差し込む。そして、図7のように、カラムカートリッジ装着部22の上ホルダー板84を上針ホルダー板保持部235に差し込み、下ホルダー板85を下針ホルダー板保持部238に差し込む。流路カートリッジ6の装着は、本体1側のシート嵌め込みピン231に、シート61の四隅のシート嵌め込み孔76を嵌め込んで行なう。そしてカラムカートリッジ装着部22のカラム保持部223にカラムカートリッジ5をその両側を挟持させるように縦に装着する。
【0059】
このとき、ホルダー板90の差し込みは、クリックプランジャの作用により節度感をもって所定の位置に差し込むことができ、また、その適正な差込は挿入センサ225により電気的に検出される。さらに、このようなシート61とホルダー板90,84,85の差し込みにより、流路カートリッジ6はその装着部23の適正位置に装着され、図3のように、送液チューブ67,68は第一送液装置P1、第二送液装置P2の対応位置に配置され、各バルブチューブ68〜75は各電動弁V5〜V12の対応位置に配置される。
【0060】
そして、扉3を閉じることにより、扉3の内側の送液チューブ受け部31,32が送液チューブ66,67をその前面から受けて、押圧送液装置作動を可能とし、複数のバルブチューブ受け部33がバルブチューブ68〜75を受けてバルブの押圧による閉弁を可能な状態とする。そして、図示しないスタータスイッチをオンして精製装置の精製処理をスタートさせると、まず、各電動弁V5〜V11が各バルブチューブを閉じる。次に、図7に示すよう、本体1内の昇降アクチュエータ222と237が作動して、昇降部221と236が下降し、カラムカートリッジ6と上針ホルダー板保持部235が下降する。このカラムカートリッジ6の下降により、アフィニティークロマトグラフィー用カラム52の下部の口部522のゴム栓524にカラム用注出針81が刺し込まれ、ゲルクロマトグラフィー用カラム53の下部の口部532のゴム栓534にカラム用注出針83が刺し込まれる。
【0061】
また、上針ホルダー板保持部235が下降することにより、カラム用注入針80がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52の上部の口部521のゴム栓523に刺し込まれ、同様にカラム用注入針82がゲルクロマトグラフィー用カラム53の上部の口部531のゴム栓533にカラム用注出針82が刺し込まれる。
【0062】
そして、図13に示すように、本体1内の昇降アクチュエータ212が作動して、ホルダー板保持部213が下降し、これにより、溶液カートリッジ4が下降して、流路カートリッジ6の上部に上向きに突出する血漿用注出針91などの注出針群に対し移動する。
【0063】
このとき、血漿用注出針91が溶液カートリッジ4の血漿容器45のゴム栓452に刺し込まれて接続され、第一緩衝液用注出針92が第一緩衝液容器44のゴム栓442に差し込まれて接続され、溶出液用注出針93が溶出液容器43のゴム栓432に差し込まれて接続され、さらに第二緩衝液用注出針94が第二緩衝液容器42のゴム栓422に差し込まれて接続される。
【0064】
これによって、図3に示すように、溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6が、本体1のカートリッジ装着部2上に、相互に接続された状態となり、カートリッジの装着及び接続が完了する。
【0065】
続いて、精製装置は、自動的に精製運転に入り、以下のような精製処理が制御部の自動制御に基づき実行される。
【0066】
先ず、図3において、電動弁V6、V9が開動作し、第一送液装置P1が起動し、これにより、第一緩衝液容器44から第一緩衝液がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52に流入する。第一緩衝液(クエン酸ソーダ添加PBS)はカラム52中の充填剤の平衡化を行ない、第一送液装置P1により排出用のチューブK3を通して排出される。また同時に、電動弁V10が開動作し、第二送液装置P2が起動し、この作動により第二緩衝液(滅菌PBS)がチューブK2を通りゲルクロマトグラフィー用カラム53に流入し、チューブK3を通して排出されることにより、カラム53中の充填剤の平衡化が行なわれる。
【0067】
次に、電動弁V6が閉鎖して電動弁V5が開き、第一送液装置P1が作動する。これにより、血漿容器45内の血漿が、アフィニティークロマトグラフィー用カラム52に流入し、この時血漿中の糖蛋白物質(例えばフィブロネクチン)がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52内の充填剤に吸着し、フィブロネクチンが分離された血漿は、第一送液装置P1により排出用のチューブK3を通して排出される。
【0068】
次に、上記と同様に、電動弁V5が閉鎖して電動弁V6が開き、第一送液装置P1が作動し、第一緩衝液容器44から第一緩衝液がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52に流入し、第一送液装置P1によりチューブK3を通して排出される。フィブロネクチンが吸着した充填剤を第一緩衝液で洗浄することにより、挾雑物の排除を行ない、フィブロネクチンの純度を高める。
【0069】
次に、電動弁V6が閉鎖して電動弁V7が開き、第一送液装置P1が作動する。溶出液(アルギニン塩酸塩)がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52内に流入し、この溶出液はチューブK3を通して排出される。これにより、カラム52中の充填剤に吸着したフィブロネクチンを溶出液中に溶出させる。
【0070】
次に、電動弁V9、V10が閉鎖、電動弁V8が開放、第一送液装置P1が作動した状態で、第二送液装置P2が停止する。これにより、第二緩衝液(滅菌PBS)によるゲルクロマトグラフィー用カラム53中の充填剤の洗浄が終了し、溶出液容器43内の溶出液(アルギニン塩酸塩)がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52からチューブK1を通してゲルクロマトグラフィー用カラム53内に流入する。これにより、フィブロネクチンを含む溶出液がゲルクロマトグラフィー用カラム53に送られる。
【0071】
次に、電動弁V7、V8を閉鎖し、第一送液装置P1を停止させる。次に、電動弁V8を開放し、第二送液装置P2が作動し、第二緩衝液が第二緩衝液容器44からチューブK2を通り、カラムに入る。これにより、チューブK2に残っているフィブロネクチンを含む溶出液を送り込む。
【0072】
次に、第二送液装置P2が作動し、これにより、第二緩衝液が第二緩衝液容器44からチューブK2を通り、ゲルクロマトグラフィー用カラム53内に入る。カラム53内に入ったフィブロネクチンを含む溶出液は、ゲルろ過の原理により分離され、高分子成分であるフィブロネクチンが真っ先にチューブK3に流出する。
【0073】
即ち、ゲルクロマトグラフィー用担体は、分子量の小さい物質ほど良く捕捉し、分子量の大きい物質ほど早く溶出・分離する性質があるため、フィブロネクチンがゲルクロマトグラフィー用担体から溶出・分離され始めるタイミングは、使用材料の成分、量、粒径等が同じであれば略一定であり、実験計測値から把握することができる。
【0074】
次に、電動弁V10が閉鎖して電動弁V11が開き、第二送液装置P2が作動する。上記と同様に、第二緩衝液が第二緩衝液容器44からチューブK2を通りゲルクロマトグラフィー用カラム53内に入る。
【0075】
このステップ9の開始時が、ほぼフィブロネクチンのゲルクロマトグラフィー用担体からの溶出開始時点であるから、溶出液を含まない分離されたフィブロネクチンを含む緩衝液がカラム53内から流出し始め、チューブK3を通して採取容器78に採取される。血漿中に含まれるフィブロネクチンが高い効率で採取される。その後、電動弁V12が閉じ、処理工程が終了する。
【0076】
上記ステップは、扉3によって閉鎖された本体1の前面の空間内で無菌状態を保つようにして行なわれ、滅菌された採取容器78にフィブロネクチンは採取される。上記のような精製処理が終了したとき、採取容器78がチューブから外され、採取容器78には所定のキャップが被せられる。採取された容器78内のフィブロネクチンには、例えば適量の抗生剤を添加して点眼剤とされ、採血した患者自身の治療薬として使用できる。また、精製されたフィブロネクチンは点眼剤の他、手術後の細菌感染症等の治療薬、再生医療用薬品としても使用可能である。
【0077】
一方、一旦使用した溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6は、本体1のカートリッジ装着部2上から一体で外され、全て廃棄される。したがって、これらのカートリッジは全て使い捨て器具として使用され、新たな血漿で新たなフィブロネクチンを精製する際には、新たな溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6が本体1のカートリッジ装着部2に装着される。
【0078】
なお、上記実施形態の流路カートリッジ6は、シート61に各チューブや注入針、注出針などの部材を取り付けた開放構造であったが、図15、図16に示すように、ケース内に各部材を収容した構造とすることもできる。すなわち、この図15、図16に示す流路カートリッジ600は、矩形の透明若しくは半透明のケース611内に、各チューブ、送液チューブ、バルブチューブ、注出針、注入針、採取容器、排液容器などの部材が収納されている。ケース611の背面上部には、溶液カートリッジ4のホルダー板41を導入するための開口部612が形成され、その内部に血漿用注出針、第1緩衝液用注出針、溶出液用注出針、第2緩衝液用注出針が配設される。
【0079】
また、ケース611の上部には、溶液カートリッジ4の各容器の口部が嵌入する嵌入部が設けられ、その嵌入部にはカバーシール615が、使用時に剥離可能に貼り付けられる。この嵌入部の下側に血漿用注出針、第1緩衝液用注出針、溶出液用注出針、第2緩衝液用注出針が配設される。
【0080】
さらに、ケース611の背面右下部には、カラムカートリッジ5のホルダー板54を導入するための開口部613が形成され、その内部上下位置には、カラム用注出針、カラム用注入針が配設される。また、ケース611の正面右側下部には、採取容器78を取り出すための開口部614が形成される。さらに、ケース611の背面には、流路カートリッジ装着部23の側の複数の位置決めピンが嵌入される複数の位置決め孔が穿設されている。
【0081】
このように、流路カートリッジをケース611に収容した構成とすれば、各チューブ、送液チューブ、バルブチューブと供に、注出針、注入針をケース内に収容した状態で、容易に取り扱うことができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の糖蛋白物質自動精製装置によれば、精製装置で使用する血漿を収容した血漿容器、第一緩衝液を充填した第一緩衝液容器、溶出液を充填した溶出液容器、及び第二緩衝液を充填した第二緩衝液容器は、溶液カートリッジとして一体にカートリッジ化されているため、それを分離精製室の溶液カートリッジ装着部に装着するだけで、簡単にそれらの薬液や血漿を装置にセットすることができる。
【0083】
また、同様に、精製装置で使用するアフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムは、カラムカートリッジとして一体にカートリッジ化されているため、それを分離精製室のカラムカートリッジ装着部に装着するだけで、簡単にそれらのアフィニティークロマトグラフィー用担体やゲルクロマトグラフィー用担体を装置にセットすることができる。同様に流路カートリッジも、分離精製室のカートリッジ装着部に装着するだけで、複雑な構成部材や流路を簡単にセットすることができる。
【0084】
さらに、精製処理後は、分離精製室のカートリッジ装着部から、溶液カートリッジ、カラムカートリッジ、及び流路カートリッジを一体で取り外し、これらのカートリッジは全て廃棄されるから、溶液カートリッジ、カラムカートリッジ、及び流路カートリッジは、全て使い捨て器具とされ、新たに精製処理を行なう場合は、全て新しい溶液カートリッジ、カラムカートリッジ及び流路カートリッジが装着して使用されるため、血漿から、ウイルス感染等を回避して、フィブロネクチン等の糖蛋白物質を安全に精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す糖蛋白物質自動精製装置の扉を開いた状態の斜視図である。
【図2】同精製装置のカートリッジ装着部2の正面図である。
【図3】カートリッジ装着部2に溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を装着した状態の正面図である。
【図4】溶液カートリッジの平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)である。
【図5】他の実施形態の溶液カートリッジの正面図(a)、底面図(b)である。
【図6】カラムカートリッジ5の斜視図である。
【図7】カラムカートリッジ5を装着する状態の斜視図である。
【図8】他の実施形態のカラムカートリッジ8の正面図(a)、左側面図(b)、底面図(c)である。
【図9】他の実施形態のカラムカートリッジ内のフィルタの状態を示す断面図(a)(b)である。
【図10】流路カートリッジの正面図である。
【図11】同流路カートリッジの概略側面図である。
【図12】カートリッジ装着部2の第二送液装置の状態を示す左側面図である。
【図13】薬液カートリッジと最上部針用ホルダー板の装着状態を示す左側面図である。
【図14】電動弁V5と最上部針用ホルダー板の装着状態を示す左側面図である。
【図15】他の実施形態の流路カートリッジの概略斜視図である。
【図16】他の実施形態の流路カートリッジの背面側から概略斜視図である。
【符号の説明】
1―本体
2−カートリッジ装着部
3−扉
4−溶液カートリッジ
5−カラムカートリッジ
6−流路カートリッジ
21−溶液カートリッジ装着部
22−カラムカートリッジ装着部
23−流路カートリッジ装着部
41−ホルダー板
42−第二緩衝液容器
43−溶出液容器
44−第一緩衝液容器
45−血漿容器
46−ケース
52−アフィニティークロマトグラフィー用カラム
53−ゲルクロマトグラフィー用カラム
K1〜K4−チューブ
78−採取容器
79−排液容器
P1−第一送液装置
P2−第二送液装置
Claims (18)
- 血漿中から糖蛋白物質を分離・精製する糖蛋白物質自動精製装置において、
カートリッジ装着部を設けた本体と、該本体のカートリッジ装着部の前面を開閉可能に装着された扉と、を備え、
該カートリッジ装着部には、溶液カートリッジ装着部と、カラムカートリッジ装着部と、流路カートリッジ装着部とが設けられ、
該溶液カートリッジ装着部には、血漿を収容する血漿容器、第一緩衝液を充填し密閉された第一緩衝液容器と、溶出液を充填し密閉された溶出液容器、及び第二緩衝液を充填し密閉された第二緩衝液容器とが一体にカートリッジ化された溶液カートリッジが着脱可能に装着され、
該カラムカートリッジ装着部には、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムがカートリッジ化されたカラムカートリッジが着脱可能に装着され、
該流路カートリッジ装着部には、該アフィニティークロマトグラフィー用カラムからの液体をゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために接続された第一のチューブ、該第二緩衝液を該ゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために前記第二緩衝液容器に接続された第二のチューブ、該ゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側に接続された第三のチューブ、及び該血漿、第一緩衝液、溶出液を該アフィニティークロマトグラフィー用カラムに送るために前記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器に接続された第四のチューブ、さらに該第一のチューブに設けられた第一の送液チューブ、該第二のチューブに設けられた第二の送液チューブを相互に接続して1枚のシート上に取着されてなる流路カートリッジが着脱可能に装着され、
該流路カートリッジの第三のチューブに、バルブチューブを介して採取容器が接続されると共に、該流路カートリッジの第三のチューブの排出側に排液容器が接続され、
前記第一、第二、第三の容器の排出側及びゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側のチューブには各々バルブチューブが設けられ、前記第一の送液チューブと第二の送液チューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部に、チューブ押圧式送液装置が設けられ、前記各バルブチューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部にチューブ押圧式電動弁が設けられ、前記扉の内側に、押圧時の該バルブチューブを受けるバルブチューブ受け部及び送液チューブを受ける送液チューブ受け部が設けられたことを特徴とする糖蛋白物質自動精製装置。 - 前記カラムカートリッジ装着部には、前記カラムカートリッジのケースを挟持する挟持部が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動精製装置。
- 前記カラムカートリッジ装着部には、前記カラムカートリッジのホルダー板が嵌め込まれる嵌入部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動精製装置。
- 前記溶液カートリッジ装着部には、前記溶液カートリッジのホルダー板が嵌め込まれる嵌入部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動精製装置。
- 血漿中から糖蛋白物質を分離・精製する糖蛋白物質自動精製装置の溶液カートリッジ装着部に装着される溶液カートリッジであって、
血漿を収容する血漿容器、第一緩衝液を充填し密閉された第一緩衝液容器と、溶出液を充填し密閉された溶出液容器、及び第二緩衝液を充填し密閉された第二緩衝液容器とが、一体にカートリッジ化されて形成され、装置本体の溶液カートリッジ装着部に着脱可能に装着されることを特徴とする溶液カートリッジ。 - 前記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器、および第二緩衝液容器が軟質合成樹脂製パウチから形成され、蓋体により閉鎖された各容器の口部を保持するようにホルダー板が該口部に取り付けられたことを特徴とする請求項5記載の溶液カートリッジ。
- 前記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器、および第二緩衝液容器の軟質合成樹脂製パウチが前記ホルダー板と一体に形成された透明合成樹脂製のケース内に収容されたことを特徴とする請求項5記載の溶液カートリッジ。
- 血漿中から糖蛋白物質を分離・精製する糖蛋白物質自動精製装置のカラムカートリッジ装着部に装着されるカラムカートリッジであって、
アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムが一体にカートリッジ化されて形成され、装置本体のカラムカートリッジ装着部に着脱可能に装着されることを特徴とするカラムカートリッジ。 - 前記アフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムは、合成樹脂により一体成形されたカラムケース内に筒状に形成されると共に、上部と下部にゴム栓付きの口部を有し、該カラムケースには、前記カラムカートリッジ装着部に突設された位置決めピンに嵌合される位置決め孔が設けられていることを特徴とする請求項8記載のカラムカートリッジ。
- 前記アフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムは、合成樹脂製の筒体を並行に配置し、ホルダー板により一体に結合して形成されると共に、上部と下部にゴム栓付きの口部を有し、該ホルダー板には、前記カラムカートリッジ装着部に突設された位置決めピンに嵌合される位置決め孔が設けられていることを特徴とする請求項8記載のカラムカートリッジ。
- 前記アフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムの内部には、内容物質と上澄み液を分離するためのフィルタが移動可能に配設されている請求項8記載のカラムカートリッジ。
- 血漿中から糖蛋白物質を分離・精製する糖蛋白物質自動精製装置の流路カートリッジ装着部に装着される流路カートリッジであって、
アフィニティークロマトグラフィー用カラムに液体を注入するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注入針と、
該アフィニティークロマトグラフィー用カラムから液体を注出するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注出針と
ゲルクロマトグラフィー用カラムに液体を注入するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注入針と、
該ゲルクロマトグラフィー用カラムから液体を注出するために該カラムのゴム栓に刺し込まれる注出針と、
血漿容器の口部のゴム栓に刺し込まれ血漿を注出するための血漿用注出針と、
第一緩衝液容器の口部のゴム栓に刺し込まれ第一緩衝液を注出するための第一緩衝液用注出針と、
溶出液容器の口部のゴム栓に刺し込まれ溶出液を注出するための溶出液用注出針と、
第二緩衝液容器の口部のゴム栓に刺し込まれ第二緩衝液を注出するための第二緩衝液用注出針と、
アフィニティークロマトグラフィー用カラムからの液体を該注出針を通してゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために接続される第一のチューブと、
第二緩衝液を該ゲルクロマトグラフィー用カラムに該第二緩衝液用注出針及び該注入針を通して送るために第二緩衝液用注出針に接続される第二のチューブと、
該ゲルクロマトグラフィー用カラムに刺し込まれた注出針に接続される第三の
チューブと、
血漿、第一緩衝液、溶出液を該アフィニティークロマトグラフィー用カラムに送るために血漿用注出針、第一緩衝液用注出針、及び溶出液用注出針に接続される第四のチューブと、
該第一のチューブに設けられた第一の送液チューブと、
該第二のチューブに設けられた第二の送液チューブと、
該第三のチューブにバルブチューブを介して接続された採取容器と、
該第三のチューブの排出側にバルブチューブを介して接続された排液容器と、
を接続して具備し、前記チューブ類をシート上に取着し且つ一体にカートリッジ化して構成され、装置本体の流路カートリッジ装着部に着脱可能に装着されることを特徴とする流路カートリッジ。 - 前記血漿用注出針、第一緩衝液用注出針、溶出液用注出針、及び第二緩衝液用注出針は、前記シートに取着されたホルダー板に突設されていることを特徴とする請求項12記載の流路カートリッジ。
- 前記アフィニティークロマトグラフィー用カラム用の注入針と注出針、及びゲルクロマトグラフィー用カラム用の注入針と注出針は、前記シートに取着されたカラム用ホルダー板に突設されていることを特徴とする請求項12記載の流路カートリッジ。
- 前記ホルダー板に位置決めピンが該ホルダー板をカートリッジ装着部に装着したときの位置決め用に突設されていることを特徴とする請求項13または14記載の流路カートリッジ。
- 前記採取容器に接続されるチューブには、細菌を濾過するためのフィルタが装着されていることを特徴とする請求項12記載の流路カートリッジ。
- 前記排液容器は透明軟質合成樹脂製のバッグ状に形成され、前記シートに接着されていることを特徴とする請求項12記載の流路カートリッジ。
- 前記シートには、前記流路カートリッジ装着部の所定箇所に突設された複数の位置決めピンに嵌め込まれる位置決め孔が形成されていることを特徴とする請求項12記載の流路カートリッジ。
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