JP2005179240A - 糖蛋白物質自動採取装置 - Google Patents

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義彦 宮川
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Abstract

【課題】血漿中からフィブロネクチン等の糖蛋白物質を自動化して、無菌的に、安全に、高い収率で精製し採取することができる糖蛋白物質自動採取装置を提供する。
【解決手段】血漿を収容する血漿容器45、第一緩衝液を充填した第一緩衝液容器44、溶出液を充填した溶出液容器43、及び第二緩衝液を充填した第二緩衝液容器42は、溶液カートリッジ4として一体にカートリッジ化される。本体1に設けたカートリッジ装着部2の溶液カートリッジ装着部21に溶液カートリッジ4を装着する。カラムカートリッジ装着部22にカラムカートリッジ5を装着し、流路カートリッジ装着部23に流路カートリッジ6を装着する。コントロールユニットCは、予め記憶されたプログラムデータに基づき、注入針差込駆動手段、チューブ押圧式送液装置、及びチューブ押圧式電動弁を制御して糖蛋白物質の精製処理を自動化して行なう。
【選択図】図6

Description

本発明は、血漿中からフィブロネクチン、フィブリン、アンチトロンビン等の糖蛋白物質を分離・精製し採取する糖蛋白物質自動採取装置に関する。
フィブロネクチンは生体内に広く分布する分子量約460,000 の糖蛋白質であり、特に血漿中には比較的高濃度に存在する。このフィブロネクチンは、細胞間の接合、免疫系等の多方面に生物活性があるが、特に、眼科治療の分野においては、角膜上皮細胞の進展・接着を促進する作用があり、角膜ヘルペス、あるいは角膜移植後などの遷延性角膜上皮欠損などの角膜再生に有効である。このため、フィブロネクチンは、現在、医療機関で手作業により血漿中から精製することにより院内調製され、眼科治療等に使用されている。
このフィブロネクチンは、変性コラーゲンに対して強い親和性をもつため、この性質を利用して、血漿中から精製する精製方法が、現在行なわれている。(例えば、T.Nishida,S.Nakagawa,T.Awata,C.Nishibayashi,R.Manabe,Jpn J. Ophthalmol.,26,416-424(1982) 等参照)
この精製方法は、まず、クエン酸ソーダ(3.8 %)1mlを予め吸引した注射筒に、患者から10mlの血液を採る。その後、遠心分離によって血漿を分離したのち約6mlの血漿を、予め人工房水でよく洗浄したゼラチン・セファロース入りのカラムに入れ、血漿中のフィブロネクチンのみを特異的に変性コラーゲンであるゼラチンに結合させる。
次に、カラム内にクエン酸添加PBS(リン酸緩衝液)を流し入れ、溶出物から蛋白質が認められなくなるまでカラムを洗う。蛋白質の量はUVモニターでチェックし、波長280nm での吸収度が0.05以下になっていることを確認してもよい。次に、4M(モル)の溶出液をカラムに入れ、フィブロネクチンを溶出させる。
このようにして精製されたフィブロネクチンと溶出液とを分離するために、次に人工房水をフィブロネクチンと溶出液中に入れ、ゲル濾過を行い、人工房水中に溶解している状態のフィブロネクチンを、シリンジ管に吸い取り、その後、フィルターでろ過し、採取容器に採取していた。
この種の糖蛋白物質の精製方法或いはその器具は、下記特許文献1,2などで提案されている。
特開2000−109499公報 特開2003−194796公報
しかし、上記調製に用いられているフィブロネクチンの精製は、大部分が手作業で行なわれるため、各工程での操作が繁雑で、且つ時間管理をする必要があり、また、精製作業者が精製に長時間従事する必要がある等の問題があった。更に、従来の精製作業は密閉構造で行なっていないため、フィブロネクチンを無菌的に採取することが困難な問題があった。
さらに、この精製作業には高度な熟練性を必要とするため、均一な品質のフィブロネクチンを高い収率で精製するためには、熟練した専従者をおく必要があった。更に、手作業でのフィブロネクチンの精製は、精製作業者や患者にとって、ウイルス感染等の危険性があり、特に、精製過程において使用するチューブやUV検出器を使用する場合には、他の患者へのウイルス感染の危険性を伴う問題が生じていた。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、血漿中からフィブロネクチン等の糖蛋白物質を精製する処理を自動化して行なうことができ、無菌的に、安全に、高い収率で精製し採取することができる糖蛋白物質自動採取装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の糖蛋白物質自動採取装置は、血漿中から糖蛋白物質を分離・精製し採取する糖蛋白物質自動採取装置において、カートリッジ装着部を設けた本体と、該本体のカートリッジ装着部の前面を開閉可能に装着された扉と、を備え、
該カートリッジ装着部には、溶液カートリッジ装着部と、カラムカートリッジ装着部と、流路カートリッジ装着部とが設けられ、
該溶液カートリッジ装着部には、血漿を収容する血漿容器、第一緩衝液を充填し密閉された第一緩衝液容器と、溶出液を充填し密閉された溶出液容器、及び第二緩衝液を充填し密閉された第二緩衝液容器とが一体にカートリッジ化された溶液カートリッジが着脱可能に装着され、
該カラムカートリッジ装着部には、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムが一体にカートリッジ化されたカラムカートリッジが着脱可能に装着され、
該流路カートリッジ装着部には、該アフィニティークロマトグラフィー用カラムからの液体をゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために接続された第一のチューブ、該第二緩衝液を該ゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために前記第二緩衝液容器に接続された第二のチューブ、該ゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側に接続された第三のチューブ、及び該血漿、第一緩衝液、溶出液を該アフィニティークロマトグラフィー用カラムに送るために前記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器に接続された第四のチューブ、さらに該第一のチューブに設けられた第一の送液チューブ、該第二のチューブに設けられた第二の送液チューブを相互に接続して1枚のシート上に取着されてなる流路カートリッジが着脱可能に装着され、
該流路カートリッジの第三のチューブに、バルブチューブを介して採取容器が接続されると共に、該流路カートリッジの第三のチューブの排出側に排液容器が接続され、
前記第一、第二、第三の容器の排出側及びゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側のチューブには各々バルブチューブが設けられ、前記第一の送液チューブと第二の送液チューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部に、チューブ押圧式送液装置が設けられ、前記各バルブチューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部にチューブ押圧式電動弁が設けられ、前記扉の内側に、押圧時の該バルブチューブを受けるバルブチューブ受け部及び送液チューブを受ける送液チューブ受け部が設けられ、
該溶液カートリッジを該流路カートリッジに流路接続すると共に、該カラムカートリッジを該流路カートリッジに流路接続するために注入針を差し込むように駆動する注入針差込駆動手段が設けられ、
予め記憶されたプログラムデータに基づき、該注入針差込駆動手段、前記チューブ押圧式送液装置、及びチューブ押圧式電動弁を制御して糖蛋白物質の精製処理を自動化して行なう制御処理手段が設けられたことを特徴とする。
ここで、請求項2のように、前記カートリッジ装着部内が抗菌手段に抗菌処理されると共に、該カートリッジ装着部内を覆う扉が設けられ、該扉の当接部にシール材が配設され、該カートリッジ装着部内を該扉の閉鎖により密閉可能な構造とすることができる。
また、請求項3のように、前記制御処理手段には、予め登録された使用者を認識する認識手段が設けられ、該認識手段が該登録された使用者を認識することを条件に精製処理を開始するように構成することができる。
さらに、請求項4のように、前記本体には、カルテ、調剤指示書、精製処理を行なって採取された糖蛋白物質の採取容器、精製の際に使用したカートリッジなどに貼着するためのラベルに必要事項を印刷するプリンタを設けることができる。
また、請求項5のように、前記制御処理手段には、精製処理の履歴データを記憶するデータ記憶手段を設けることができる。これにより、精製採取の際に使用された各種薬剤やカートリッジ類から、精製された糖蛋白物質などをトレースすることができる。
また、請求項6のように、前記制御処理手段には、情報を表示するための表示部と情報を入力するための操作部が設けられ、使用後のカートリッジ、採取容器等に付された前記ラベルのバーコードを読み取るためのバーコードリーダを設けることができ、これによって、データの検索、収集、保存などの処理を効率よく行うことができる。
さらに、請求項7のように、前記制御処理手段には、使用者が前記カートリッジ装着部内に前記流路カートリッジ、溶液カートリッジ、及びカラムカートリッジを装着して装置をセットする際、音声案内または文字表示案内を出す案内手段を設けることができる。
さらに、請求項8のように、前記流路カートリッジ装着部には、前記流路カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部が設けられ、前記カラムカートリッジ装着部には、前記カラムカートリッジを嵌め込むための嵌入部が設けられ、前記溶液カートリッジ装着部には、前記溶液カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部が設けられ、各々の該嵌入部に該ホルダー板の嵌入を検出してその検出信号を出力するホルダー板嵌入センサを設けることができる。
また、請求項9のように、前記チューブ内を流れる流体の種類や有無を検出しその検出信号を出力する流路センサを設けることができる。
さらに、請求項10のように、前記本体のカートリッジ装着部内の温度を検出してその検出信号を出力する温度センサを設けることができる。
このような構成の糖蛋白物質自動採取装置は、予め工場などにおいて、溶液カートリッジの第一緩衝液容器に第一緩衝液が充填され、溶出液容器に溶出液が、第二緩衝液容器に第二緩衝液が各々無菌状態で充填され、各容器は密閉され滅菌されている。また、カラムカートリッジのアフィニティークロマトグラフィー用カラムには、滅菌した後、アフィニティークロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉され、カラムゲルクロマトグラフィー用カラムには、滅菌後、ゲルクロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉される。
本自動採取装置の使用に際し、まず、例えば所定のキースイッチにキーを差し込んでオンし、且つ所定の認証用のコードデータを記憶した認証キータグを入力部に差し込み、コードデータを入力する。このとき、認識手段により、そのコードデータが予め登録された使用許諾者のコードデータであることが判明したとき、使用者の認証を完了し、続いて、患者(血漿の提供者)のID、氏名、生年月日などを制御処理手段に入力する。
次に、制御処理手段はラベルプリンタを動作させて、ラベルに所定事項を印刷する。ラベルは、カルテ、調剤指示書、採取容器、カートリッジなどに貼着するためのもので、そのラベルには、精製された糖蛋白物質である薬品などの名称、患者のID、氏名、生年月日、有効期限、バーコードなどが印刷される。そして、そのうちの1枚のラベルを、調剤指示書に貼り付ける。次に、滅菌処理された溶液カートリッジの血漿容器に、患者の血漿を注入用シリンジなどにより注入する。
次に、使用者は、本自動採取装置のカートリッジ装着部の扉を開き、その溶液カートリッジ装着部に溶液カートリッジを装着し、流路カートリッジ装着部に流路カートリッジを装着し、カラムカートリッジ装着部にカラムカートリッジを装着する。流路カートリッジなどは工場での生産の際に予め滅菌処理されている。
溶液カートリッジ装着部に溶液カートリッジを装着し、流路カートリッジ装着部に流路カートリッジを装着し、カラムカートリッジ装着部にカラムカートリッジを装着する際、各カートリッジにホルダー板が設けられ、装着部側にそのホルダー板を嵌め込む嵌入部が設けられ、さらにそれらの嵌め込みを検出するホルダー板嵌入センサが設けられているため、装着時には、それらのセンサから検出信号が出力され、その検出信号によって、装着部への各カートリッジの嵌め込みが確認される。
そして、カラムカートリッジ、溶液カートリッジ、流路カートリッジなどを所定装着部に装着した状態で、カートリッジ装着部の扉を閉じる。このとき、流路カートリッジに設けた送液チューブは、扉の内側に設けた受け部により受けられて、本体側に配設されたチューブ押圧式送液装置の押圧位置に押し付けられ、バルブチューブは、扉の内側に設けた受け部により受けられて、各々のチューブ押圧式電動弁の押圧位置に接触した状態となる。そして、扉が閉鎖されると、扉センサが扉の閉鎖を検出し、制御処理手段は扉の閉鎖を条件に装置の処理実行を許可する。
この状態で、使用者が実行ボタンをオンすると、自動採取装置は精製処理を開始し、まず、全チューブ押圧式電動弁が閉じた後、注入針差込駆動手段が作動し、溶液カートリッジが流路カートリッジの血漿用注出針などの注出針群に対し移動し、或いは注出針群を溶液カートリッジに対し移動して、血漿用注出針が溶液カートリッジの血漿容器のゴム栓に刺し込まれ、第一緩衝液用注出針が第一緩衝液容器のゴム栓に刺し込まれ、溶出液用注出針が溶出液容器のゴム栓に刺し込まれ、さらに第二緩衝液用注出針が第二緩衝液容器のゴム栓に刺し込まれて接続される。
同様に、流路カートリッジに設けた注出針がカラムに対し移動し、或いはカラムが注出針に対し移動して、流路カートリッジのカラム用注出針がアフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムの下部のゴム栓に刺し込まれ、また、カラム用注入針をアフィニティークロマトグラフィー用カラムとゲルクロマトグラフィー用カラムの上部のゴム栓に刺し込まれて接続される。
このようなカラム用注入針、カラム用注出針のカラムへの刺し込み、並びに血漿用注出針、溶出液用注出針、第一緩衝液用注出針、及び第二緩衝液用注出針の血漿容器などへの刺し込みを行なう注入針差込駆動手段は、リニアモータなどの直線駆動装置を用いて自動的に針の刺し込みを行なう。そして、それらの針接続は、リニアモータなどのアクチュエータに設けたセンサにより検出される。
なお、精製処理を行うカートリッジ装着部内は、扉の閉鎖により密閉され、内側は光触媒の塗布或いは殺菌灯の点灯により殺菌状態となっており、ほぼ無菌状態で精製処理を行うことができる。
そして、制御処理手段は、全ての注入針と注出針の接続が完了したとき、温度センサの検出したカートリッジ装着部内の温度が所定の精製処理可能な温度範囲であることを条件に、精製処理をスタートさせ、予めプログラムされた処理工程を経時的に順に実行する。
先ずチューブ押圧式送液装置を制御して第一緩衝液容器から第一緩衝液をアフィニティークロマトグラフィー用カラムに送り、第二緩衝液容器から第二緩衝液をゲルクロマトグラフィー用カラムに送り、両カラム内の充填剤を平衡化する。次に、血漿容器から血漿をアフィニティークロマトグラフィー用カラム内に送り、アフィニティークロマトグラフィー用担体に固定されたゼラチンにフィブロネクチンを吸着させる。次に、電動弁と送液装置を制御して第一緩衝液容器から第一緩衝液を再びアフィニティークロマトグラフィー用カラムに送り、カラム内を洗浄し、これにより、カラム中のフィブロネクチン(糖蛋白物質)以外の不要な成分を排出除去する。その後、電動弁と送液装置等を制御して溶出液容器から溶出液をアフィニティークロマトグラフィー用カラム内に送り、ゼラチンに吸着されていたフィブロネクチンを溶出させ、ゲルクロマトグラフィー用カラムに送り込む。
電動弁と送液装置等を制御して第二緩衝液容器から第二緩衝液をゲルクロマトグラフィー用カラムに送り込み、分子の大きさにより分離させる。ゲルクロマトグラフィー用担体は、分子量の小さい物質ほど良く捕捉し、分子量の大きい物質ほど早く溶出する性質があるため、フィブロネクチン(糖蛋白物質)がゲルクロマトグラフィー用担体から溶出され始めるタイミングは実験結果から予め把握されている。このタイミングをはかって、或いは紫外線検出型の流路センサによってフィブロネクチンの抽出を確認した後、ゲルクロマトグラフィー用カラムから溶出されるフィブロネクチン(糖蛋白物質)を検出し、流路カートリッジ内の排出弁を切り替えて滅菌処理された採取容器に採取し、精製処理工程を完了する。
精製処理工程が完了すると、使用者はカートリッジ装着部の扉を開き、採取容器を取り外し、容器に蓋をする。次に、その採取容器に事前に印刷したラベルを貼り付け、そのラベルに印刷されたバーコードを、バーコードリーダにより読み取る。これにより、精製して抽出された採取容器内のフィブロネクチンが何れの患者の血漿から精製したものであるか、精製処理の履歴データが、正確に確認されることになる。また、印刷したラベルは、カルテ、調剤指示書にも貼り付けられる。そして、使用済みのカラムカートリッジ、溶液カートリッジ、及び流路カートリッジはカートリッジ装着部から一体で外され、廃棄される。なお、処理工程中の各ステップにおいては、制御処理手段が各ステップの良否、温度、処理工程の経過時間を履歴データとしてメモリやハードディスクに記憶しているため、終了時にはそれらの履歴データを患者名などと共に記録編集し、データベース化することができる。
このように、上記糖蛋白物質自動採取装置によれば、精製採取処理を完全に自動化して糖蛋白物質を精製・採取することができ、手作業で精製する場合に比べ、熟練技術を必要とせず、遥かに効率よく短時間(手作業では約2時間かかるが、この装置を使用した場合約30分間)で糖蛋白物質を精製・採取することができる。
また、予め工場などにおいて、第一緩衝液容器に第一緩衝液が充填され、溶出液容器に溶出液が充填され、第二緩衝液容器に第二緩衝液が各々無菌状態で充填され、各容器は密閉され滅菌処理される。また、アフィニティークロマトグラフィー用カラムには滅菌後、アフィニティークロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉され、カラムゲルクロマトグラフィー用カラムには滅菌後、ゲルクロマトグラフィー用担体が無菌状態で充填されて密閉され、さらに糖蛋白物質の精製処理は、扉を閉鎖して密閉され殺菌状態の処理室内で自動的に実行されるから、細菌の混入やウイルス感染などを回避して安全に糖蛋白物質を精製することができる。また、このように使用された溶液カートリッジ、カラムカートリッジ、流路カートリッジは、全て使い捨てとし、新たに精製処理を行なう場合は、全て新しい溶液カートリッジ、カラムカートリッジ及び流路カートリッジが使用されるため、ウイルス感染等を回避して、血漿からフィブロネクチン等の糖蛋白物質を安全に精製し採取することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はフィブロネクチン自動採取装置の正面図を、図2はその側面図を、図3はその平面図を示している。さらに、図4は分離精製室の内扉3bを開いた状態の斜視図を、図5はその分離精製室のカートリッジ装着部2の正面図を示し、図6はカートリッジ装着部2に溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を装着した状態の正面図を示している。
図1〜図3に示すように、略矩形の箱形に形成された本体1の上部には、前面に向けて傾斜した部分に、パネルスイッチ(タッチパネルスイッチ)付きのディスプレイ(液晶ディスプレイ)14が取り付けられ、その左側にフレキシブルディスクドライブ11が設けられる。また、ディスプレイ14の右側にカーソル移動スイッチなどの機能スイッチ15が配置され、その右側に2台のラベルプリンタ16,17が装着されている。この2台のラベルプリンタ16,17は大小2種類のラベルに、精製された薬品などの名称、患者のID、氏名、生年月日、精製の際の履歴データ、それらのバーコードなどを印刷し、それらのラベルは、カルテ、調剤指示書、採取容器などに貼り付けられる。ラベル紙には、粘着層を有する剥離紙が使用され、ロール状のラベル紙をラベルプリンタ16,17内に収納している。
ラベルプリンタ17の右側には、使用時の電源をオンするためのキースイッチ37、及び認証キータグを差し込むための認証キータグ入力部12が設けられる。認証キータグは、例えばUSB接続されるメモリチップに所定の認証コードデータ(予め登録された使用許諾者のコードデータ)を記憶したタグ状の器具で、この認証キータグを入力部12に差し込むと、内部のコントロールユニットの入出力回路18に認証キータグが接続され、認証キータグ内の所定の認証コードデータをコントロールユニットCに入力可能である。さらに、キースイッチ37の後方に、例えば3色のインジケータランプ24が折りたたみ可能に設けられ、処理工程の進行状態に応じて色彩ランプを点灯または点滅させる。
さらに、ラベルプリンタ16、17の前方に、コードレスのバーコードリーダ35が取り出し可能に装着され、その右側には緊急停止などの際に操作する停止スイッチ36が設けられる。一方、図1、図2に示すように、本体1の下部には付属品を収納するための付属品用引出し48が設けられ、さらに後述のカートリッジ装着部2内の底部には、トレパン引出し47が設けられ、トレパン引出し47内には液体を吸収して保水する保水材を入れた受け皿が配設される。さらに、本体1内の下部にはコントロールユニットCの無停電電源となるバックアップ電源49が配設される。
さらに、本体1の前面に、内扉3b、外扉3aにより閉鎖可能なカートリッジ装着部2が設けられる。このカートリッジ装着部2内は、分離精製室を構成するもので、シール材を内側に装着した内扉3bと外扉3aにより密閉可能であり、フィブロネクチンの分離精製処理を行なう際、溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を装着して、フィブロネクチンの精製に必要な薬液、担体、及び血漿を採取装置に配置する。本体1前面のカートリッジ装着部2には、溶液カートリッジ装着部21がその上部に設けられ、その下側に流路カートリッジ装着部23が設けられ、流路カートリッジ装着部23の内部(内側)にカラムカートリッジ装着部22が設けられる。
さらに、図5に示すように、精製室を構成するカートリッジ装着部2内には殺菌灯39が装着されると共に、装着部内面に殺菌効果のある光触媒が塗布され、内扉3bと外扉3aによる閉鎖と共に、精製室内の無菌化を可能としている。また、カートリッジ装着部2の精製室内には温度を検出する温度センサ29が設けられ、その検出信号をコントロールユニットの入出力回路18に出力する。
溶液カートリッジ装着部21に装着される溶液カートリッジ4は、図7に示すように、例えば硬質透明合成樹脂により矩形箱形に形成されたケース46内に、血漿容器45、第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42を収容して構成される。これらの容器42〜45はPP、PEなどの軟質透明合成樹脂のパウチとして形成され、血漿容器45、第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42には、その下部に口部421,431,441,451が設けられ、さらに、それらの口部にゴム栓422,432,442,452が設けられる。
また、図7のように、血漿容器45の上部には、血漿を注入するための口部453が設けられ、その口部453にゴム栓454が取り付けられる。さらに、これらの容器42〜45の口部421,431,441,451にはそれらを並列に配置して保持するように、ホルダー板41が取り付けられ、各口部421,431,441,451はホルダー板41から下方に突出する。ホルダー板41はケース46の底部に固定されている。それらのゴム栓422,432,442,452,454は無菌化のためにシールされている。
第一緩衝液容器44、溶出液容器43、および第二緩衝液容器42は、工場など製造の段階で、予め第一緩衝液容器44には第一緩衝液としてクエン酸PBSが充填され。また、溶出液容器43にはアルギニン塩酸塩が充填され、第二緩衝液容器42には第二緩衝液としてPBSが充填され、各容器は密閉され、オートクレーブなどで滅菌処理を施される。また、血漿容器45はガンマ線等で滅菌処理を施され、空の状態で出荷される。
なお、各容器の口部421,431,441,451,453には、相違した色の保護キャップを被せるか、或いはゴム栓422,432,442,452,454の上に、相違した色の保護シールを覆うように貼着することができる。また、各容器の色やゴム栓の色を変えて形成することもできる。
このような構造の溶液カートリッジ4は、フィブロネクチンの分離精製時、本体1前面におけるカートリッジ装着部2上部の溶液カートリッジ装着部21に装着されるが、そのために、溶液カートリッジ装着部21には、図12、13に示すように、溶液カートリッジ4のホルダー板41を嵌め込むためのホルダー板保持部213が、昇降部211に設けられる。昇降部211は、本体1のカートリッジ装着部2に上下動可能に配設され、その内側に配設した針接続アクチュエータ(例えばモータ駆動のリニヤアクチュエータ)212により昇降駆動される構造である。
ホルダー板保持部213には、溶液カートリッジ4のホルダー板41を嵌め込む際、適正な嵌め込み位置で節度感を生じさせるために、先端鋼球をばねで付勢した構造のクリックプランジャ214が設けられる。また、ホルダー板41が適正な嵌め込み位置に嵌め込まれたことを検出するために、ホルダー板嵌入センサ281がホルダー板保持部213の内部に設けられる。ホルダー板嵌入センサ281としては、機械的なマイクロスイッチ或いは押圧力を検出する感圧センサなどを使用することができる。さらに、図12に示すように、ホルダー板保持部213には、位置決め孔216が縦に穿設され、この位置決め孔216には、ホルダー板保持部213が下降したとき、後述の流路カートリッジ6の最上部の最上部針用ホルダー板90の上に突設された接合ピン250が嵌入し、溶液カートリッジ4と流路カートリッジ6のホルダー板が接合される。
カートリッジ装着部2の下部寄りに配置されたカラムカートリッジ装着部22には、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム52、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラム53が一体にカートリッジ化されたカラムカートリッジ5が着脱可能に装着される。
図8に示すように、この2本のカラム52,53は、カラムケース51内に縦に並列して配設され、カラムケース51は、例えば硬質透明合成樹脂の型成形或いは切削成形により形成することができる。各カラム52,53の上部と下部には、口部521,522,531,532が形成され、各々の口部にはゴム栓523,524,533,534が装着され、それらのゴム栓523,524,533,534は無菌化のためにシールされている。また、矩形箱形に形成されたカラムケース51には、カラムカートリッジ装着部22側に突設された位置決めピンが嵌入するための位置決め孔511が所定位置に穿設されている。また、カラムケース51の上面、下面には、接合孔512が所定位置に穿設される。この接合孔512は、図9に示すように、後述の流路カートリッジ6の中間部に配置された上ホルダー板84と下ホルダー板85に突設された接合ピン86,87が嵌入する。
アフィニティークロマトグラフィー用カラム52は、アフィニティークロマトグラフィーによりフィブロネクチンを吸着・分離するカラムで、注射筒状のカラム内にアフィニティークロマトグラフィー用担体(例えばベースゲルとしてセルロースを、リガンドとしてゼラチンを用いた担体)が滅菌処理の後、充填される。ゲルクロマトグラフィー用カラム53は、ゲルクロマトグラフィーにより溶出液を分離するカラムで、例えば注射筒状のカラム内にセルロースを架橋剤で架橋したものが滅菌処理された後充填される。
一方、本体1におけるカートリッジ装着部2の下部寄りに設けられるカラムカートリッジ装着部22には、図9のように、上記構成のカラムカートリッジ5のカラムケース51を、両側から挟持部材(板ばね)により挟持して保持するカラム保持部223が昇降可能に配設される。カラム保持部223は、本体1に対し昇降可能に配設された昇降部221に両側に取り付けられる。昇降部221は、本体1のカートリッジ装着部2に上下動可能に配設され、その内側に配設した針接続アクチュエータ(例えばモータ駆動のリニヤアクチュエータ)222により昇降駆動される構造である。また、カラム保持部223の前面中央には、マイクロスイッチなどからなる装着センサ285が設けられ、カラムカートリッジ5のカラムケース51をカラム保持部223の適正位置に嵌め込むように装着した際、装着センサ285がそれを検出して検出信号を出力する。
精製処理を行なう際のセット時には、カラムカートリッジ5をカラム保持部223により保持した昇降部221は、針接続アクチュエータ222の駆動により下降し、その下側に位置する後述の下針ホルダー板保持部238に保持された下ホルダー板85上のカラム用注出針81,83を、各カラム52,53の下部のゴム栓524,534に刺し込むように動作する。
さらに、図9に示すように、カラムカートリッジ装着部22の上方には、上針ホルダー板保持部235が昇降部236に取り付けられ、昇降可能に配設される。昇降部236は、本体1のカラムカートリッジ装着部22の上方で上下動可能に配設され、その内側に配設した針接続アクチュエータ237により昇降駆動される構造である。図13に示すように、針接続アクチュエータ222と237は、同一のリニアアクチュエータにおける別々の昇降部を使用して構成することができる。
この上針ホルダー板保持部235には、後述の流路カートリッジ6の上ホルダー板84が差し込むようにして装着され、上ホルダー板84の下側にカラム用注入針80、82が下向きに取り付けられる。また、上針ホルダー板保持部235内には、上ホルダー板84の嵌入を検出するホルダー板嵌入センサ283が設けられる。精製処理を行う際のセット時、上針ホルダー板84を保持した昇降部236は、針接続アクチュエータ222の駆動により下降し、その下側に位置するカラムカートリッジ5の各カラム52,53の口部521,531のゴム栓523,533に、そのゴム栓523,533のシールを剥がした後、上ホルダー板84上のカラム用注入針80,82を刺し込むように動作する。なお、図13に示すように、カラムカートリッジ5としては、ホルダー板54を設けた構造のものとすることができ、その場合には、ホルダー板54をカラムカートリッジ装着部22側のホルダー板保持部に嵌め込むことになる。
さらに、本体1のカートリッジ装着部2の流路カートリッジ装着部23には、図10に示すような流路カートリッジ6が装着される。この流路カートリッジ6は、PVC樹脂などの軟質透明合成樹脂製のシート61上に、チューブK1〜K4、送液チューブ66,67、並びにバルブチューブ68〜75、及び採取容器78、排液容器79、注入針、注出針などを取り付けて構成される。シート61は略矩形形状に形成され、4隅近傍に後述のシート嵌め込みピンに嵌める嵌め込み孔76が穿設され、カラムカートリッジ5を装着する部分に矩形の開口部が形成され、下部には排液容器79が取着されている。また、シート61は、2枚の薄い軟質合成樹脂シートを使用し、それらのシートの間にチューブ類は配置し、或いは2枚のシートで両側から挟むようにチューブ類を接着して流路カートリッジ6を形成することもできる。また、2枚のシートのみを用いた型成形により流路を形成することもできる。
さらに、この流路カートリッジ6におけるカラムカートリッジ5を装着するシート開口部の上部位置には、アフィニティークロマトグラフィー用カラムに液体を注入するためのカラム用注入針80と、ゲルクロマトグラフィー用カラムに液体を注入するためのカラム用注入針82とを下向きに設けた上ホルダー板84がシート61のチューブに取着される。また、その開口部の下側のシート部分には、アフィニティークロマトグラフィー用カラムから液体を注出するためのカラム用注出針81と、ゲルクロマトグラフィー用カラムから液体を注出するためのカラム用注出針83とを上向きに設けた下ホルダー板85がシート61のチューブに取着される。
一方、カートリッジ装着部2の下部には下針ホルダー板保持部238が下ホルダー板85を嵌入するために設けられるが、この下針ホルダー板保持部238内には、下ホルダー板85の嵌入を検出するためのホルダー板嵌入センサ284が設けられる。また、上ホルダー板84と下ホルダー板85には各々接合ピン86,87が設けられ、上ホルダー板84を下降させたとき、或いはカラムカートリッジ5を下降させたとき、接合ピン86,87が相手側の接合孔512に嵌入して、カラムなどの正確なゴム栓位置に注入針または注出針が刺し込まれ、各ホルダー板とカラムカートリッジが確実に接続されるようにしている。
さらに、シート61の上部には、血漿容器45の口部のゴム栓に刺し込まれ血漿を注出するための血漿用注出針91と、第一緩衝液容器44の口部のゴム栓に刺し込まれ第一緩衝液を注出するための第一緩衝液用注出針92と、溶出液容器43の口部のゴム栓に刺し込まれ溶出液を注出するための溶出液用注出針93と、第二緩衝液容器42の口部のゴム栓に刺し込まれ第二緩衝液を注出するための第二緩衝液用注出針94と、を上向きに取り付けた最上部針用ホルダー板90が取着されている。この最上部針用ホルダー板90は、流路カートリッジ装着部23の最上部に設けた最上部針用ホルダー板保持部232に差し込まれて装着される。また、最上部針用ホルダー板90の上には接合ピン95が上向きに突設され、溶液カートリッジ4が下降したとき、注出針が溶液カートリッジ4のホルダー板41の接合孔216を通りホルダー板の接合孔419に嵌入し、注出針が正確なゴム栓位置に刺し込まれて、溶液カートリッジ4のホルダー板41と最上部針用ホルダー板90が接合し一体となるようにしている。
さらに、シート61上には、アフィニティークロマトグラフィー用カラム52からの液体を、注出針を通してゲルクロマトグラフィー用カラム53に送るために接続される第一のチューブK1と、第二緩衝液をゲルクロマトグラフィー用カラム53に第二緩衝液用注出針94及び注入針を通して送るために第二緩衝液用注出針94に接続される第二のチューブK2と、ゲルクロマトグラフィー用カラム53に刺し込まれる注出針82に接続される第三のチューブK3と、血漿、第一緩衝液、溶出液をアフィニティークロマトグラフィー用カラム52に送るために血漿用注出針91、第一緩衝液用注出針92、及び溶出液用注出針93に接続される第四のチューブK4とが、図10に示すようにシート61上に取着される。
さらに、第一のチューブK1には第一送液装置P1の一部として機能する送液チューブ66が設けられ、第二のチューブK2には第二送液装置P2の一部として機能する送液チューブ67が設けられる。これらの送液チューブ66,67は例えばPVC、シリコン樹脂などの軟質透明合成樹脂チューブから形成され、後述のチューブ押圧式送液装置の押圧部により順に移動方向に押圧され、内部の液体を密閉状態で搬送することができる。
さらに、図10に示すように、チューブK1〜K4の各所には、PVC、シリコン樹脂などの軟質透明合成樹脂チューブからなる複数のバルブチューブ68〜75が配設される。これらのバルブチューブ68〜75は、後述の本体1側に配設したチューブ押圧式電動弁V5〜V12のプランジャから押圧作用を受け、チューブの流路を潰して各々のバルブを閉鎖する構造である。第三のチューブK3には、バルブチューブ74、75、フィルタ77、及びチューブクランプを介して採取容器78が接続される。また、図14に示すように、第一送液装置P1、第二送液装置P2の前後のチューブK1〜K4内を流れる流体を検出するために流路センサ30が配設される。この流路センサ30は、紫外線検出型、超音波検出型、光検出型の流体センサであり、採取容器78に導かれるチューブK1〜K4内の閉塞状態、気泡の有無、流体(フィブロネクチン)の有無などを検出し、その検出信号を出力する。チューブK3にはフィルタ77が接続され、さらに、その先端に設けたエアベント針が採取容器78の上部のゴム栓に差し込まれている。エアベント針は採取時に容器内の空気を抜くために設けられる。また、第三のチューブK3の排出側にバルブチューブ73を介して排液容器79が接続されている。排液容器79に接続されるチューブには逆止弁が設けられ、排液の逆流を防止している。
一方、本体1側の流路カートリッジ装着部23には、送液チューブ66と送液チューブ67に対応して、チューブ押圧式ポンプからなる第一送液装置P1と第二送液装置P2が設けられる。第一送液装置P1と第二送液装置P2としては、図13に示すように、例えばフィンガー式送液装置が使用され、ステップモータによりカム軸を回転させ、各カム部材により各押圧部材を順に軸方向に往復移動させ、送液チューブ66,67内の液体を送るように動作する。ステップモータにはロータリエンコーダが設けられ、その回転数が検出され、適正な送液量が得られるように制御される。
また、上記の各バルブチューブ68〜75に対応した位置には、チューブ押圧式電動弁V5〜V12が本体1内に、各々のプランジャを押し出して、各バルブチューブ68〜75を押圧閉鎖するように配設される。チューブ押圧式電動弁V5〜V12としては、例えばステップモータによりめねじ部を回転駆動し、そのめねじ部内に螺合したスクリューシャフトを軸方向に移動させ、スクリューシャフトの先端に取り付けたプランジャでチューブを押圧する構造のものが使用される。また、各電動弁には、開弁状態を検出するための開弁センサ239a〜246aとして、マイクロスイッチがスクリューシャフトの末端位置に配設される。
一方、本体1の装着部を閉じる内扉3bの内側には、送液チューブ66,67を受けるための送液チューブ受け部31,32と、バルブチューブ68〜75を受けるための複数のバルブチューブ受け部33が突設される。送液チューブ受け部31,32は、図13に示すように、チューブ押圧式送液装置によって押圧されたとき、ばねを介して弾性的に送液チューブ66,67を受けて保持する構造である。また、バルブチューブ受け部33は、図14に示すように、ロッド状に形成され、チューブ押圧式バルブにより押圧されたとき、ロッドの先端でバルブチューブ68〜75の押圧力を受けて保持する。また、それらのバルブチューブ受け部33の先端には、押圧力を受けて閉弁信号を出力して閉弁を検出する閉弁センサ239b〜246bが設けられている。
なお、上記溶液カートリッジ4内の各容器42〜45、そのケース46、カラムカートリッジ5の各カラム52,53、及び流路カートリッジ6の採取容器78は、透明若しくは半透明とし、内部の液体が外部から確認できるようにする。
上記構成の糖蛋白物質自動採取装置は、本体1内の上部に配設したコントロールユニットCによりその全体が制御され、カートリッジの装着時には対話形式により案内メッセージを出して適正に作業者がカートリッジの装着を可能とし、分離精製時には、自動精製処理を実行する。コントロールユニットCは、図15に示すように、コンピュータを主要部として構成され、予め記憶されたプログラムデータに基づき各種演算処理を実行するCPU20、CPUのワークエリアとして使用されデータを一時記憶するRAM19、プログラムデータ等の各種固定データを記憶するROM9、各種入出力信号の制御を行う入出力回路18を備えている。
さらに、コントロールユニットCは、患者(血漿の提供者)に関する情報、精製処理の履歴に関する情報などを記憶するハードディクスドライブ10及びフレキシブルディスクドライブ11が設けられ、上述の本体1の上部などに取り付けられたパネルスイッチ(タッチパネル)13付きのディスプレイ14、ラベルプリンタ16,17、認証キータグ入力部12、機能スイッチ15、バーコードリーダ35、停止スイッチ36などが入出力回路18に接続される。
さらに、入出力回路18には、チューブ押圧式ポンプの送液装置P1、P2、チューブ押圧式電動弁V5〜V12及びその開弁を検出する開弁センサ239a〜246a、その閉弁を検出する閉弁センサ239b〜246b、インジケータランプ24、音声ガイドを出力するスピーカ25、扉の開閉を検出する外扉センサ26、内扉センサ27、ホルダー板嵌入センサ281〜284、針接続アクチュエータ212,222とその接続センサ、分離精製室の温度を検出する温度センサ29、及びチューブ内の流体の種類や有無などを検出する紫外線検出型、超音波検出型、光検出型などの流路センサ30が接続される。さらに、ROM9又はハードディスクドライブ10には、予め後述するフィブロネクチンの精製・採取のためのプログラムデータが記憶され、CPU20は、時間経過に従って各ステップのデータを読み出し、分離精製のための各処理を順に実行し、自動的にフィブロネクチンを採取する。
本自動採取装置で使用される溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5には、予め工場などにおいて、薬液などが充填され、溶液カートリッジ4の第一緩衝液容器44には例えばクエン酸ソーダ添加PBS(リン酸緩衝液)などの第一緩衝液が充填され、溶出液容器43には例えばアルギニン塩酸塩などの溶出液が充填され、第二緩衝液容器42には例えば滅菌PBS(リン酸緩衝液)などの第二緩衝液が各々無菌状態で充填され、各容器は密閉され滅菌される。また、滅菌処理されたカラムカートリッジ5のアフィニティークロマトグラフィー用カラム52には、アフィニティークロマトグラフィー用担体が滅菌後、無菌状態で充填されて密閉され、カラムゲルクロマトグラフィー用カラム53にはゲルクロマトグラフィー用担体が滅菌後、無菌状態で充填されて密閉される。
本採取装置を使用してフィブロネクチンの精製抽出を行う場合、作業者は先ず、所定の認証キータグを認証キータグ入力部12に差し込み、さらに所定のキーをキースイッチ37に差し込み、電源をオンする。これにより、コントロールユニットCが起動し、ディスプレイ14には、例えば図16に示すような初期メニュー画面が表示される。この初期メニュー画面には、予め登録されている管理者名、作業者名、日付などが変更可能に表示される。
次に、このメニュー画面において、機能スイッチにて入力し、またはタッチスイッチにより設定完了の文字にタッチすると、図17のような患者名等の入力画面が表示され、そこに患者の氏名、ID、生年月日などを、パネルスイッチ13を使用して入力する。なお、文字入力の際には、ディスプレイ上にキーボードが表示され、パネルスイッチ13によるキーボードの使用が可能となる。そして、患者名などを入力した後、図17のような画面上で、作業者が患者名、日時などを確認して「確認」または「YES」のパネルスイッチをオンすると、その後、ラベルプリンタ16,17が所定の枚数のラベルをプリントアウトする。
それらのラベルには、患者名、物質名、精製日付、それらを示すバーコードなどが印刷され、印刷が完了すると、ディスプレイ14には、図18に示すように、ラベルの印刷枚数とそれらを所定のカルテなどに貼り付けるための案内メッセージが表示され(同時にスピーカ25から音声メッセージも出力され)、作業者はその案内文の内容を確認しながら、「はい」などのスイッチ操作をパネルスイッチ13または機能スイッチなどから行う。このとき、印刷されたラベルは、作業者により所定のカルテ、調剤指示書などに貼着される。
そして、図18のように、ディスプレイ14上に表示された案内メッセージ(または音声メッセージ)の指示に従って、フィブロネクチンを抽出する対象の血漿(患者の血漿)を、滅菌処理された溶液カートリッジ4の血漿容器45に、注入用シリンジなどにより注入する。そして、処理を行った後に「はい」の文字をクリックすると、次の案内文(案内メッセージ)が順に表示される。次に、図19に示すような案内メッセージに従って、本体1の前面に設けた分離精製室の外扉3aと内扉3bを開き、カートリッジ装着部2の溶液カートリッジ装着部21に溶液カートリッジ4を装着し、流路カートリッジ装着部23に流路カートリッジ6を装着し、そしてカラムカートリッジ装着部22にカラムカートリッジ5を装着し、各カートリッジに付されたシールを、上記で印刷した個別認識ラベルの所定の欄に貼り付ける。
カートリッジを装着する場合、先ず、上部の溶液カートリッジ装着部21のホルダー板保持部213に溶液カートリッジ4のホルダー板41を差し込んで装着する。次に、流路カートリッジ装着部23に流路カートリッジ6を装着する。そして、最上部針用ホルダー板90を最上部針用ホルダー板保持部232に差し込む。次に、図9のように、カラムカートリッジ装着部22の上ホルダー板84を上針ホルダー板保持部235に差し込み、下ホルダー板85を下針ホルダー板保持部238に差し込み、保護キャップを外す。流路カートリッジ6の装着は、図6、図10のように、本体1側のシート嵌め込みピン231に、シート61の四隅のシート嵌め込み孔76を嵌め込んで行なう。そしてカラムカートリッジ装着部22のカラム保持部223に、上下4つのゴム栓保護シールを剥がしたカラムカートリッジ5を、その両側を挟持させるように縦に装着する。このとき、図9のように、カラムカートリッジ5の装着が装着センサ285により検出され、検出信号がコントロールユニットCに送られる。
また、ホルダー板90などの差し込みは、クリックプランジャの作用により節度感をもって所定の位置に差し込むことができ、また、その適正な差込はホルダー板嵌入センサ281〜284により電気的に検出される。さらに、このようなシート61とホルダー板90,84,85の差し込みにより、流路カートリッジ6はその装着部23の適正位置に装着され、図6、図10のように、送液チューブ67,68は第一送液装置P1、第二送液装置P2の対応位置に配置され、各バルブチューブ68〜75は各電動弁V5〜V12の対応位置に配置される。このような操作手順は、ディスプレイ14上に図19、20の如く表示され、作業者は、操作手順を実施する毎に「はい」の文字をクリックし、これによって、作業を確認しながら、正しい手順で、飛びこし入力や一括入力ができない状態で、確実に操作を行うことができる。
そして、作業者は、カートリッジの装着作業を完了した後、図20に示すような案内メッセージに従って、内扉3b外扉3aとを閉じる。このとき、内扉3bの内側の送液チューブ受け部31,32が送液チューブ66,67をその前面から受けて、押圧送液装置作動を可能とし、複数のバルブチューブ受け部33がバルブチューブ68〜75を受けてバルブの押圧による閉弁を可能な状態とする。外扉センサ26と内扉センサ27によって扉の閉鎖がコントローラユニットCにおいて確認される。この状態で、ディスプレイ14上に表示されている精製室内の温度、患者名、日付などを確認し、ディスプレイ14上の「実行」をオンして採取装置の精製処理をスタートさせる。なお、温度センサ29によって検出された精製室内の温度が、予め設定された精製に適した温度の範囲内にない場合、温度表示とインジケータランプ24を点滅させて、実行を不可能にすることもできる。
「実行」スイッチがオンされ、コントローラユニットCが分離精製の実行処理を開始すると、まず、各電動弁V5〜V11が閉動作して各バルブチューブを閉じる。
そして、図13に示すように、本体1内の針接続アクチュエータ212が作動して、ホルダー板保持部213が下降し、これにより、溶液カートリッジ4が下降して、流路カートリッジ6の上部に上向きに突出する血漿用注出針91などの注出針群に対し移動する。
このとき、血漿用注出針91が溶液カートリッジ4の血漿容器45のゴム栓452に刺し込まれて接続され、第一緩衝液用注出針92が第一緩衝液容器44のゴム栓442に差し込まれて接続され、溶出液用注出針93が溶出液容器43のゴム栓432に差し込まれて接続され、さらに第二緩衝液用注出針94が第二緩衝液容器42のゴム栓422に差し込まれて接続される。
各電動弁V5〜V11の閉動作は、閉弁センサ239b〜245bの検出信号により検出される。次に、図9に示すよう、本体1内の針接続アクチュエータ222と237が作動して、昇降部221と236が下降し、カラムカートリッジ5と上針ホルダー板保持部235が下降する。このカラムカートリッジ5の下降により、アフィニティークロマトグラフィー用カラム52の下部の口部522のゴム栓524にカラム用注出針81が刺し込まれ、ゲルクロマトグラフィー用カラム53の下部の口部532のゴム栓534にカラム用注出針83が刺し込まれる。
また、上針ホルダー板保持部235が下降することにより、カラム用注入針80がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52の上部の口部521のゴム栓523に刺し込まれ、同様にカラム用注入針82がゲルクロマトグラフィー用カラム53の上部の口部531のゴム栓533にカラム用注入針82が刺し込まれる。
これによって、図6、図13に示すように、溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6が、本体1のカートリッジ装着部2上に、相互に接続された状態となり、カートリッジの装着及び接続が完了する。各針接続アクチュエータ212,222,237の接続動作は、各アクチュエータに設けたその移動部の移動量を示す信号を出力するセンサ(エンコーダ)の出力信号により、コントローラユニットCにおいて確認される。
続いて、本自動採取装置は、自動的に精製運転に入り、以下のような精製処理が制御部の自動制御に基づき実行される。なお、実行中には、ディスプレイ14上に「実行中」の文字を点滅表示し、インジケータランプ24を緑色で点滅動作させ、さらに、グラフィック表示画面を表示することができる。
先ず、図6において、電動弁V6、V9、V10が開動作し、第一送液装置P1が起動し、これにより、第一緩衝液容器44から第一緩衝液がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52に流入する。第一緩衝液(クエン酸ソーダ添加PBS)はカラム52中の充填剤の平衡化を行ない、第一送液装置P1により排出用のチューブK1、K3を通して排出される。また同時に、第二送液装置P2が起動し、この作動により第二緩衝液(滅菌PBS)がチューブK2を通りゲルクロマトグラフィー用カラム53に流入し、チューブK3を通して排出されることにより、カラム53中の充填剤の平衡化が行なわれる。
次に、電動弁V6が閉鎖して電動弁V5が開き、第一送液装置P1が作動する。これにより、血漿容器45内の血漿が、アフィニティークロマトグラフィー用カラム52に流入し、この時血漿中の糖蛋白物質(例えばフィブロネクチン)がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52内の充填剤に吸着し、フィブロネクチンが分離された血漿は、第一送液装置P1により排出用のチューブK1、K3を通して排出される。
次に、上記と同様に、電動弁V5が閉鎖して電動弁V6が開き、第一送液装置P1が作動し、第一緩衝液容器44から第一緩衝液がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52に流入し、第一送液装置P1によりチューブK1,K3を通して排出される。フィブロネクチンが吸着した充填剤を第一緩衝液で洗浄することにより、挾雑物の排除を行ない、フィブロネクチンの純度を高める。
次に、電動弁V6が閉鎖して電動弁V7が開き、第一送液装置P1が作動する。溶出液(アルギニン塩酸塩)がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52内に流入する。これにより、カラム52中の充填剤に吸着したフィブロネクチンを溶出液中に溶出させる。
次に、第二送液装置P2が停止し、電動弁V9、V10が閉鎖、電動弁V8が開放、第一送液装置P1が作動した状態で、第二緩衝液(滅菌PBS)によるゲルクロマトグラフィー用カラム53中の充填剤の平衡化が終了し、溶出液容器43内の溶出液(アルギニン塩酸塩)がアフィニティークロマトグラフィー用カラム52からチューブK1、K2を通してゲルクロマトグラフィー用カラム53内に流入する。これにより、フィブロネクチンを含む溶出液がゲルクロマトグラフィー用カラム53に送られる。
次に、電動弁V7,V8が閉鎖され、第一送液装置P1が停止する。次に、電動弁V9,V10が開き、第二送液装置P2が作動し、第二緩衝液が第二緩衝液容器42からチューブK2を通り、ゲルクロマトグラフィー用カラム53内に入る。これにより、カラム53内に入ったフィブロネクチンを含む溶出液は、ゲルろ過の原理により分離され、高分子成分であるフィブロネクチンがチューブK3に流出する。
即ち、ゲルクロマトグラフィー用担体は、分子量の小さい物質ほど良く捕捉し、分子量の大きい物質ほど早く溶出・分離する性質があるため、フィブロネクチンがゲルクロマトグラフィー用担体から溶出・分離されるタイミングは、使用材料の成分、量、粒径等が同じであれば略一定であり、実験計測値から把握することができる。
このとき、電動弁V10が閉鎖して電動弁V11が開き、第二送液装置P2が作動し、第二緩衝液が第二緩衝液容器42からチューブK2を通りチューブK3に流入し、チューブK3内のフィブロネクチンは電動弁V11,V12を通り、採取容器78内に溜められる。
このとき、フィブロネクチンは、280nmの紫外線を投受光して検出する流路センサによって検出することができ、フィブロネクチンが高い効率で採取される。その後、電動弁V12が閉じ、処理工程が終了する。
上記ステップは、外扉3aと内扉3bによって完全に閉鎖された本体1の前面の空間内で無菌状態を保つようにして行なわれ、フィブロネクチンは滅菌された採取容器78にフィルタ77を通して採取される。上記のような精製処理が終了したとき、ディスプレイ14には「工程完了」の文字が表示され、インジケータランプ24の緑色点滅が常時点灯動作に変わる。
そして、処理工程の完了後、作業者は、図21に示すような案内メッセージに従って、外扉3aを開き、電動弁V12による上方のクランプの閉鎖を確認した後、内扉3bを開いてエアーベント針付キャップより採取容器78を外し、採取容器78に無菌化された付属のキャップを被せる。次に、案内メッセージに従って、採取容器78に、前もって印刷してある所定のラベルを貼り付け、さらに、そのラベル上のバーコードを、バーコードリーダ35により読み取る。そして、カルテに貼るための廃棄カートリッジのラベルのバーコードをバーコードリーダ35により読み取り、そのラベルをカルテと調剤指示書に貼り付ける。さらに、図22のような案内メッセージにしたがって、分離精製室内のカートリッジ類、つまり使用した溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を一体として取り外し、それを医療廃棄物として処理する。使用後の本体1の外扉3aと内扉3bは再び閉鎖しておく。
その後、ディスプレイ14には、図23に示すような精製処理工程の履歴データが表示され、この履歴データは、患者名と共にハードディスクドライブ10などに記憶され、この後、履歴データを印刷した履歴シールが、ラベルプリンタ16からプリントアウトされ、履歴シールは、カルテと調剤指示書に貼り付けられる。
一方、採取された容器78内のフィブロネクチンには、例えば適量の抗生剤を添加して点眼剤とされ、採血した患者自身の治療薬として使用できる。また、採取されたフィブロネクチンは点眼剤の他、手術時の医療用接着剤、再生医療用薬品などとしても使用可能である。
このように、使用後のカートリッジ類は、本体1のカートリッジ装着部2上から一体で外され、全て廃棄され、新たな血漿で新たなフィブロネクチンを精製する際には、新たな溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6が本体1のカートリッジ装着部2に装着される。
以上説明したように、本発明の糖蛋白物質自動採取装置によれば、溶液カートリッジを流路カートリッジに流路接続すると共に、カラムカートリッジを流路カートリッジに流路接続するために注入針を差し込むように駆動する注入針差込駆動手段が設けられ、制御処理手段が、予め記憶されたプログラムデータに基づき、注入針差込駆動手段、チューブ押圧式送液装置、及びチューブ押圧式電動弁を制御して糖蛋白物質の精製・採取処理を自動化して行なうから、手作業で精製する場合に比べ、熟練技術を必要とせず、遥かに効率よく短時間(手作業では約2時間かかるが、この装置を使用した場合約30分間)で糖蛋白物質を精製採取することができる。
さらに、請求項2のように、カートリッジ装着部内が抗菌手段に抗菌処理されると共に、カートリッジ装着部内を覆う扉が設けられ、扉の当接部にシール材が配設されて、カートリッジ装着部内が扉の閉鎖により密閉可能な構造とすれば、無菌状態で安全に糖蛋白物質を分離精製することができる。
また、請求項3のように、制御処理手段には、予め登録された使用者を認識する認識手段が設けられ、認識手段が登録された使用者を認識することを条件に精製処理を開始するように構成すれば、使用者を限定して安全な精製処理を実施することができる。
さらに、請求項4のように、本体には、カルテ、調剤指示書、精製処理を行なって採取された糖蛋白物質の採取容器、精製の際に使用したカートリッジなどに貼着するためのラベルに必要事項を印刷するプリンタを設ければ、患者名、精製日付、履歴データなどをラベルに簡単に印刷でき、そのラベルをカルテ、調剤指示書などに簡単に貼り付けて使用することができる。
さらに、請求項5のように、制御処理手段に、精製処理の履歴データを記憶するデータ記憶手段を設けておけば、採取容器や患者データなどから、採取した糖蛋白物質の精製時の履歴データを残し記録することができ、使用したカートリッジなどを追跡することが可能なトレーサビリティの機能をもたせることができる。
また、請求項6のように、制御処理手段に、情報を表示するための表示部と情報を入力するための操作部を設けると共に、バーコードリーダを設けた構成とすれば、使用後のカートリッジ、採取容器等に付されたラベルのバーコードを読み取ることができ、ラベルを貼り付けた最終状態の採取容器などの情報を読み取って記録することができる。
また、請求項7のように、制御処理手段に、使用者がカートリッジ装着部内に流路カートリッジ、溶液カートリッジ、及びカラムカートリッジを装着して装置をセットする際、音声案内または文字表示案内を出す案内手段を設ければ、熟練しない使用者であっても、案内メッセージに従って誤りなく操作して、安全・確実に糖蛋白物質を採取することができる。
また、請求項8のように、流路カートリッジ装着部に、流路カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部を設け、カラムカートリッジ装着部には、カラムカートリッジを嵌め込むための嵌入部が設けられ、溶液カートリッジ装着部には、溶液カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部が設けられ、各々の嵌入部にホルダー板の嵌入を検出してその検出信号を出力するホルダー板嵌入センサを設けた構成とすれば、使用者の各カートリッジ類の嵌め込み操作を確認することができ、確実に各カートリッジ類を装着することができ、誤操作の防止が可能となる。
また、請求項9のように、チューブ内を流れる流体の種類や有無を検出しその検出信号を出力する流路センサを設けておけば、精製工程中の各流体の有無や種類、採取された糖蛋白物質などを確認することができる。
さらに、請求項10のように、本体のカートリッジ装着部内の温度を検出してその検出信号を出力する温度センサを設置すれば、分離精製室となるカートリッジ装着部の温度を、精製に必要な適正温度条件に合う環境の下で、良好に採取を行うことができる。
本発明の一実施形態を示す糖蛋白物質自動採取装置の正面図である。 同採取装置の左側面図である。 同採取装置の平面図である。 同採取装置の正面の内扉を開いた状態の斜視図である。 同採取装置のカートリッジ装着部2の正面図である。 カートリッジ装着部2に溶液カートリッジ4、カラムカートリッジ5、及び流路カートリッジ6を装着した状態の正面図である。 溶液カートリッジの平面図(a)、正面図(b)、底面図(c)である。 カラムカートリッジ5の斜視図である。 カラムカートリッジ5を装着する状態の斜視図である。 流路カートリッジの正面図である。 同流路カートリッジの概略側面図である。 溶液カートリッジと流路カートリッジ側の針接続動作状態を示す左側面・断面図である。 流路カートリッジとカラムカートリッジの針接続動作状態を示す左側面・断面図である。 電動弁V5、V11と最上部針用ホルダー板の装着状態を示す左側面図である。 本採取装置のコントローラユニットCの構成ブロック図である。 ディスプレイに表示される初期登録画面の説明図である。 ディスプレイに表示される患者名などの入力画面の説明図である。 ディスプレイに表示される操作手順の案内メッセージ画面の説明図である。 ディスプレイに表示される操作手順の案内メッセージ画面の説明図である。 ディスプレイに表示される操作手順の案内メッセージ画面の説明図である。 ディスプレイに表示される操作手順の案内メッセージ画面の説明図である。 ディスプレイに表示される操作手順の案内メッセージ画面の説明図である。 ディスプレイに表示される分離精製後の履歴データ画面の説明図である。
符号の説明
1−本体
2−カートリッジ装着部
3a−外扉
3b−内扉
4−溶液カートリッジ
5−カラムカートリッジ
6−流路カートリッジ
9−ROM
10−ハードディスクドライブ
12−認証キータグ
13−パネルスイッチ
14−ディスプレイ
19−RAM
20−CPU
21−溶液カートリッジ装着部
22−カラムカートリッジ装着部
23−流路カートリッジ装着部
41−溶液カートリッジホルダー板
42−第二緩衝液容器
43−溶出液容器
44−第一緩衝液容器
45−血漿容器
46−ケース
52−アフィニティークロマトグラフィー用カラム
53−ゲルクロマトグラフィー用カラム
K1〜K4−チューブ
78−採取容器
79−排液容器
P1−第一送液装置
P2−第二送液装置
C−コントローラユニット

Claims (10)

  1. 血漿中から糖蛋白物質を分離・精製し採取する糖蛋白物質自動採取装置において、
    カートリッジ装着部を設けた本体と、該本体のカートリッジ装着部の前面を開閉可能に装着された扉と、を備え、
    該カートリッジ装着部には、溶液カートリッジ装着部と、カラムカートリッジ装着部と、流路カートリッジ装着部とが設けられ、
    該溶液カートリッジ装着部には、血漿を収容する血漿容器、第一緩衝液を充填し密閉された第一緩衝液容器と、溶出液を充填し密閉された溶出液容器、及び第二緩衝液を充填し密閉された第二緩衝液容器とが一体にカートリッジ化された溶液カートリッジが着脱可能に装着され、
    該カラムカートリッジ装着部には、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたアフィニティークロマトグラフィー用カラム、及びゲルクロマトグラフィー用担体を充填し密閉されたゲルクロマトグラフィー用カラムがカートリッジ化されたカラムカートリッジが着脱可能に装着され、
    該流路カートリッジ装着部には、該アフィニティークロマトグラフィー用カラムからの流体をゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために接続された第一のチューブ、該第二緩衝液を該ゲルクロマトグラフィー用カラムに送るために前記第二緩衝液容器に接続された第二のチューブ、該ゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側に接続された第三のチューブ、及び該血漿、第一緩衝液、溶出液を該アフィニティークロマトグラフィー用カラムに送るために前記血漿容器、第一緩衝液容器、溶出液容器に接続された第四のチューブ、さらに該第一のチューブに設けられた第一の送液チューブ、該第二のチューブに設けられた第二の送液チューブを相互に接続して1枚のシート上に取着されてなる流路カートリッジが着脱可能に装着され、
    該流路カートリッジの第三のチューブに、バルブチューブを介して採取容器が接続されると共に、該流路カートリッジの第三のチューブの排出側に排液容器が接続され、
    前記第一、第二、第三の容器の排出側及びゲルクロマトグラフィー用カラムの排出側のチューブには各々バルブチューブが設けられ、前記第一の送液チューブと第二の送液チューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部に、チューブ押圧式送液装置が設けられ、前記各バルブチューブに対応して前記本体の流路カートリッジ装着部にチューブ押圧式電動弁が設けられ、前記扉の内側に、押圧時の該バルブチューブを受けるバルブチューブ受け部及び送液チューブを受ける送液チューブ受け部が設けられ、
    該溶液カートリッジを該流路カートリッジに流路接続すると共に、該カラムカートリッジを該流路カートリッジに流路接続するために注入針を差し込むように駆動する注入針差込駆動手段が設けられ、
    予め記憶されたプログラムデータに基づき、該注入針差込駆動手段、前記チューブ押圧式送液装置、及びチューブ押圧式電動弁を制御して糖蛋白物質の精製処理を自動化して行なう制御処理手段が設けられたことを特徴とする糖蛋白物質自動採取装置。
  2. 前記カートリッジ装着部内が抗菌手段に抗菌処理されると共に、該カートリッジ装着部内を覆う扉が設けられ、該扉の当接部にシール材が配設され、該カートリッジ装着部内が該扉の閉鎖により密閉可能な構造としたことを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  3. 前記制御処理手段には、予め登録された使用者を認識する認識手段が設けられ、該認識手段が該登録された使用者を認識することを条件に精製処理が開始されることを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  4. 前記本体には、カルテ、調剤指示書、精製処理を行なって採取された糖蛋白物質の採取容器、精製の際に使用したカートリッジなどに貼着するためのラベルに必要事項を印刷するラベルプリンタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  5. 前記制御処理手段には、精製処理の履歴データを記憶するデータ記憶手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  6. 前記制御処理手段には、情報を表示するための表示部と情報を入力するための操作部が設けられ、使用後のカートリッジ、採取容器等に付された前記ラベルのバーコードを読み取るためのデータ読取り装置が設けられたことを特徴とする請求項4記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  7. 前記制御処理手段には、使用者が前記カートリッジ装着部内に前記流路カートリッジ、溶液カートリッジ、及びカラムカートリッジを装着して装置をセットする際などに、音声案内または文字表示案内を出す案内手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  8. 前記流路カートリッジ装着部には、前記流路カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部が設けられ、前記カラムカートリッジ装着部には、前記カラムカートリッジを嵌め込むための嵌入部が設けられ、前記溶液カートリッジ装着部には、前記溶液カートリッジのホルダー板を嵌め込むための嵌入部が設けられ、各々の該嵌入部に該ホルダー板の嵌入を検出してその検出信号を出力するホルダー板嵌入センサが設けられていることを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  9. 前記チューブ内を流れる流体の種類や有無を検出しその検出信号を出力する流路センサが設けられたことを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
  10. 前記本体のカートリッジ装着部内の温度を検出してその検出信号を出力する温度センサが設けられていることを特徴とする請求項1記載の糖蛋白物質自動採取装置。
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