JP4046301B2 - 電子制御式機械時計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼンマイが解ける時に出力される機械エネルギを発電機で電気エネルギに変換し、その電気エネルギで回転制御手段を作動させてロータの回転を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に運針させる電子制御式機械時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼンマイが解放する時の機械エネルギを発電機で電気エネルギに変換し、その電気エネルギにより回転制御手段を作動させて発電機のコイルに流れる電流値を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に運針させて正確に時刻を表示する電子制御式機械時計として、特開平8−5758号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
このような電子制御式機械時計では、輪列を介して伝達されるゼンマイのトルクで発電機のロータを回転させ、この回転をステータおよびコイルを介して電気エネルギに変換し、これによって得られる電力でICや水晶振動子を備えた制御回路を作動させている。
【0004】
ところで、通常の腕時計等では、電子制御式機械時計、機械式時計、あるいはクォーツ時計等の駆動手段の種類に関係なく、各部材を金属製とすることが多い。これらの部材のうちの例えば地板は、真鍮からなる基材の表面をニッケルメッキで処理したものや、洋白(洋銀)を基材としたものなど、防錆を考慮したものが一般的に用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そのような地板はニッケルを含む磁性体となるため、特にロータを備えた電子制御式機械時計では、ロータ磁石によって生じる磁束の一部が漏れ磁束となって地板や近くの番車と鎖交してしまい、地板での渦電流損失が発生する。従って、その渦電流損失の発生により、ロータを回転させるのに必要なトルクが増加してしまい、ゼンマイエネルギが余計に費やされて時計の持続時間が短くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、磁性体部分を含む地板を用いた場合でも、漏れ磁束による渦電流損失の発生を低減させて持続時間を延ばすことができる電子制御式機械時計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子制御式機械時計は、ロータ磁石に対する地板の配置位置を最適にすることで、前記目的を達成しようとするものである。
【0008】
具体的には、本発明の電子制御式機械時計は、ゼンマイと、輪列を介して伝達されるゼンマイの機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、輪列に結合された指針と、変換した前記電気エネルギにより駆動されて発電機の回転周期を制御する制御回路とを備える電子制御式機械時計において、発電機を、輪列を介して伝達されたゼンマイのトルクで回転するロータと、このロータのロータ磁石を配置する配置穴が設けられたステータとを含んで構成するとともに、ロータの軸方向の一方側に地板を設け、この地板の磁性体からなる部分をロータ磁石から当該ロータ磁石およびステータ間のギャップの1.5倍以上離して配置することを特徴とするものである。
【0009】
ここで磁性体からなる部分とは、基材が磁性体材料からなる部分や、非磁性体材料の基材に磁性体材料の表面処理を施した部分等、磁性体材料を含んで構成された部分をいい、地板全体が磁性体である場合を含む。さらに、1.5倍以上離す時の方向は、断面方向(時計の表裏方向)および平面方向のいずれの方向も含む。
【0010】
このような本発明においては、地板の磁性体部分をロータ磁石とステータとのギャップの1.5倍以上ロータ磁石から離して配置するため、ロータ磁石から磁性体部分に漏れる漏れ磁束が減少し、地板での渦電流損失が抑えられる。従って、ロータを回転させるのに必要なトルクの増加が防止されるため、時計が少ないゼンマイエネルギで動作し、時計の持続時間が延びる。
【0011】
また、本発明の電子制御式機械時計では、ロータを駆動する番車は、磁性体とされてロータ磁石から前記ギャップの1.5倍以上離れた位置に配置されている
【0012】
そのような番車を磁性体としてギャップの1.5倍離した場合には、良好な防錆性を維持しつつ、その番車での渦電流損失も抑えられるなお、ロータ磁石としてBHmax(Bは磁束密度、Hは磁化力)のより大きいものを用いることにより、径寸法を小さくしたことで減少する磁束数を補えばよい。
【0013】
さらに、本発明の電子制御式機械時計では、ロータ磁石から前記ギャップの1.5倍以上離れた位置に磁性体からなる耐磁板を配置することが好ましい。
【0014】
このような場合には、耐磁板をロータ磁石から前記ギャップの1.5倍以上離れた位置に配置することにより、ロータ磁石からの漏れ磁束を耐磁板と鎖交させることなく、ステータへの外部磁界の影響を少なくすることが可能になる
【0015】
さらにまた、本発明の電子制御式機械時計では、ロータ磁石にはステータとの対向面に密着するカバー材を設け、このカバー材を磁性体とするとともにロータ磁石と一体に回転させてもよく、このような場合には、磁性体のカバー材でロータ磁石を覆い、しかもカバー材をロータ磁石とともに回転させるため、カバー材内部での磁束変化やそれに伴う渦電流損失を生じさせることなく、ロータ磁石とステータとの隙間をカバー材の厚さ分だけ小さくでき、漏れ磁束がより一層少なくなる。
【0016】
この際、カバー材には、ロータ磁石の磁極の境界部分に対応した位置に互いに対向する切欠部を設けることが望ましく、それらの切欠部を設けることにより、カバー材内で磁束が閉じるのを防止してステータと交わる磁束が十分に確保されるようになる。
【0017】
以上の各電子制御式機械時計において、ロータ磁石の厚さ寸法をステータの厚さ寸法の0.4〜0.8倍にすることが好ましい。
【0018】
このような場合、必要な磁束数を得るためにはロータ磁石の径寸法を大きくしなければならず、その分ギャップは小さくなる。このことは、ギャップの1.5倍以上という前述来の距離寸法が実質的に小さくなり、時計が薄型化されるということである。また、ロータ磁石が配置穴内に確実に没するようになるため、文字板への漏れ磁束がさらに少なくなり、発電効率がより向上する。なお、ロータ磁石の厚さ寸法がステータの厚さ寸法の0.8倍よりも大きいと、漏れ磁束の減少が期待できず、0.4倍よりも小さいと、ロータ磁石の加工が難しいうえ、フローティング力が小さくなってロータのほぞが受石から浮揚せず、ロータほぞ先端が受石と接触して摩擦損失が大きくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係る電子制御式機械時計の概略を示す平面図、図2および図3は、その要部の断面図、図4は、その要部を拡大して示す断面図である。
図1〜図3において、電子制御式機械時計は、ゼンマイ1a、香箱歯車1b、香箱真1cおよび香箱蓋1dからなる香箱車1を備えている。ゼンマイ1aは、外端が香箱歯車1b、内端が香箱真1cに固定されている。香箱真1cは、筒状とされて支持部材2に挿通支持されることにより、香箱車1および地板3の間に配置された角穴車4と一体に回転し、支持部材2に螺合される角穴ネジ5で図中の上方に抜けないように押さえ込まれている。
【0021】
香箱歯車1bの回転は、二番車6へ伝達された後、増速されて三番車7(図1)へ、三番車7から秒針車8を介して四十四番車(中間車)9へ、さらに順次増速されて四番車10、五番車11、六番車12、ロータ13へと伝達される。そして、二番車6には筒かな6aが、筒かな6aには分針6bが、秒針車8には秒針8aがそれぞれ固定されている。
【0022】
五番車11は、上方が二番受15に、下方が地板3に支持され、三、四、六番車7,10,12およびロータ13は、上方が輪列受14に、下方が地板3に支持され、四十四番車9は、上方が輪列受14に、下方が二番受15に支持されている。地板3の外側(図中下側)には文字板17が配置され、文字板17と地板3との間にはアモルファス材等の磁性体からなる耐磁板18が介装されている。
【0023】
この電子制御式機械時計は、ロータ13、ステータ21、第1コイルブロック22、第2コイルブロック23、および継手24から構成される発電機20を備えている。ロータ13は、図5にも示すように、ロータ磁石13a、ロータかな13b、ロータ慣性円板13cを備え、ロータ磁石13aが非磁性体からなる保持部13fの内周面に接着等されて固定されている。そして、ロータ慣性円板13cは、香箱車1からの駆動トルク変動に対しロータ13の回転数変動を少なくするためのものである。ステータ21は、発電機20の磁気回路の一部を形成するものであり、ロータ磁石13aが配置される配置穴21aを有することで、ロータ13の磁束を鎖交させるようになっている。第1、第2コイルブロック22,23は、磁心22a,23aにコイルを巻線したものである。ここで、ステータ21、各磁心22a,23a、および継手24はPCパーマロイ等で構成されている。
【0024】
図4において、地板3、六番車12、文字板17は、表面にニッケルメッキからなる表面処理層3a,12a,17aが形成された磁性体であり、ロータ慣性円板13cやロータ13を支持する軸受ユニット19の構成部材は、ニッケルメッキが施されていない真鍮、ルビー、合成樹脂等で構成された非磁性体である。
ロータ磁石13aおよび地板3、六番車12、文字板17、耐磁板18間のそれぞれの距離寸法L1,L2,L3,L4は、ロータ磁石13aおよびステータ21(具体的には配置穴21aの内周面)間のギャップG1の1.5倍以上(L1〜L4≧1.5×G1)、より好ましくは2倍以上に設定され、地板3、六番車12、文字板17と鎖交する漏れ磁束を減少させている。また、ロータ磁石13aの厚さ寸法H1は、ステータ21の厚さ寸法H2の0.4〜0.8倍(H1=0.4〜0.8×H2)に設定され、このことによっても漏れ磁束を減少させている。
【0025】
以上の電子制御式機械時計では、発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等からなる整流回路を通して昇圧、整流されて平滑用コンデンサに充電され、このコンデンサからの電力で発電機20の回転を制御する図示しない制御回路を作動させている。なお、制御回路としては、発振回路、分周回路、回転検出回路、回転数比較回路、電磁ブレーキ制御手段等を含む集積回路(IC)によって構成され、発振回路には水晶振動子が用いられる。
【0026】
また、角穴車4を回転させてゼンマイ1aを巻く方法は、図示しない竜頭に接続された巻真30操作することにより、キチ車31、丸穴車32、角穴中間車33を介して行われ、この際、角穴車4の回転方向がコハゼ4aによって規制されている。また、分針6bおよび時針を合わせる方法は、同様に巻真30を操作し、つづみ車34、小鉄車35、日の裏中間車36、日の裏車37を介して行われ、この際、駆動系は、規制レバー38を五番車11に当接させることで停止するようになっている。なお、これらの機構は、周知である機械時計の自動巻または手巻機構と同様であるため、さらなる詳細な説明を省略する。
【0027】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
【0028】
▲1▼ ロータ磁石13aと磁性体である地板3との距離寸法L1は、ロータ磁石13aとステータ21とのギャップG1の1.5倍以上に設定されているため、ロータ磁石13aから地板3に漏れる漏れ磁束を減少させて地板3での渦電流損失を抑えることができる。従って、ロータ13を回転させるのに必要なトルクの増加を防止でき、時計の持続時間をより長くできる。
【0029】
▲2▼ ロータ13と噛み合う六番車12は磁性体であるが、六番車12とロータ磁石13aとの距離寸法L2がギャップG1の1.5倍離以上であるため、六番車12での渦電流損失も抑えることができる。
【0030】
▲3▼ 文字板17も磁性体であるが、同様に、ロータ磁石13aとの距離寸法L3がギャップG1の1.5倍離以上であるため、文字板17での渦電流損失も抑えることができる。
【0031】
▲4▼ 地板3、六番車12、文字板17は、表面にニッケルメッキによる表面処理層3a,12a,17aを有しているため、錆の発生を有効に防止できる。
【0032】
▲5▼ 文字板17とロータ磁石13aとの間には耐磁板18が配置されているうえ、この耐磁板18とロータ磁石13aとの距離寸法L4が前記ギャップG1の1.5倍以上に設定されているため、ロータ磁石13aから耐磁板18へ漏れる漏れ磁束を生じさせることなく、ステータ21に対する外部磁界の影響を少なくできる。
【0033】
▲6▼ ロータ磁石13aの厚さ寸法H1がステータ21の厚さ寸法H2の0.4〜0.8倍とされているため、必要な磁束数を得るためにはロータ磁石13aの径寸法を大きくしなければならず、その分ギャップG1を小さくできる。従って、ギャップG1の1.5倍以上という距離寸法L1〜L4を実質的に小さくでき、時計を薄型化できる。また、前記厚さ寸法H1が厚さ寸法H2の0.4〜0.8倍とされていることで、ロータ磁石13aが配置穴21a内に確実に没するように配置されているため、ロータ磁石13aからの磁束が文字板17へさらに漏れ難くなり、発電効率をより向上させることができる。
【0034】
▲7▼ ロータ磁石13aは、ロータ13のロータかな13bに固定されていないため、ロータ磁石13aとロータかな13bとのはめ合いを考慮する必要がなく、ロータ13を簡単に製作できる。
【0035】
▲8▼ ロータ磁石13aが保持部13fで覆われていることにより、ロータ磁石13aを保護することができ、ロータ磁石13aの欠損等を防止できる。また、寸法精度を出し易い保持部13fの外形寸法によってステータ21との隙間幅が決まるため、保持部13fが形成されていない場合、すなわち、寸法精度を出し難いロータ磁石13aの外形寸法がそのまま隙間幅に影響を与えるような場合に比し、ロータ13を容易かつ高い寸法精度で製作できる。
【0036】
参考例
図6には、参考例に係る電子制御式機械時計の要部が拡大して示されている。
【0037】
本参考例では、ロータ磁石13aの径寸法が小さく、ギャップG1が大きく設定されている点、これに伴い六番車12および文字板17がギャップG1の1.5倍よりも近い位置に配置されている点(1.5×G1>L2,L3)、これら六番車12および文字板17がニッケルメッキを施していない非磁性体である点、および耐磁板が設けられていない点、およびロータ磁石13aの小径化によって減少する磁束数を補うために、BHmax(Bは磁束密度、Hは磁化力)のより大きい磁石を用いている点、で前記第1実施形態とは異なる。なお、地板3にはニッケルメッキ等の表面処理層3aが設けられているが、この表面処理層3a部分がギャップG1の1.5倍以上離れていることなど(L1≧1.5×G1)、他の構成は第1実施形態と同じである。
【0038】
Figure 0004046301
【0039】
▲9▼ ロータ磁石13aは径寸法がより小さくなっているため、その分ロータ13を軽くできる。従って、時計の落下によるロータほぞの折れや曲がりを有効に防止できるうえ、ロータ13を良好に浮揚させることができ、ロータほぞ先端と受石との接触をなくして摩擦抵抗の発生を確実に防止できる。
【0040】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0041】
例えば、前記実施形態では、ロータ磁石13aの外周面および上面が保持部13fで覆われていたが、図7に示すように、ロータ磁石13aにおけるステータ21(図4)との対向面(すなわち外周面)のみをカバー材13dで覆ってもよく、ロータ磁石13aを軸部分に接着等で固定してもい。さらに、このカバー材13dをロータ磁石13aと一体に成形された磁性体とするとともに、ロータ磁石13aのN極、S極の境界部分(二点鎖線で図示)対応した位置に互いに対向した切欠部13eを設け、この切欠部13eでカバー材13d内の磁束を飽和させてもよい。
【0042】
このような場合には、ロータ磁石13aの外周面をこれと一体になって回転する磁性体のカバー材13dで覆うため、カバー材13d内部での磁束変化(渦損失)を生じさせることなく、すなわち、ロータ13の駆動トルクを必要以上に増加させることなく、ロータ磁石13aおよびステータ21間の隙間を小さくでき、漏れ磁束を一層少なくできる。
【0043】
また、ロータ磁石13aをカバー材13dで覆うことにより、前記▲8▼の効果を同様に達成できる。
【0044】
さらに、カバー材13dにはロータ磁石13aの磁極の境界部分に対応した位置に一対の切欠部13eを設けるため、カバー材13d内で磁束が閉じるのを防止でき、ステータ21と交わる磁束を十分に確保できる。
【0045】
なお、図7では、ロータ13のカバー材13dに切欠部13eが設けられていたが、このような切欠部13eとしては、図7に示された形状のものに限定されるものではない。すなわち、図8に示すように、カバー材13dの対向する一部を切削加工等して削除し、ロータ磁石13aが線状に露出するように切欠部13eを形成してもよい。また、この際、カバー材13dがN極側とS極側とに分かれてしまうが、このことでロータ13の回転中に遠心力等によって離脱するのを防止するために、前記実施形態と同様に、ロータ13にカバー材13dの外周面および上面を覆う非磁性体からなる保持部13fを形成してもよい。
【0046】
ただし、カバー材13dの切欠部13eは必須のものではない。そして、切欠部を設けない場合には、カバー材13d内で磁束が閉じることでステータ21との鎖交磁束が減少するため、その減少分をロータ磁石13aの径寸法を大きくする等して補うことが好ましい。
【0047】
さらに、図7に示したロータ13では、ロータ磁石13aの外周面を磁性体のカバー材13dで覆うことにより、カバー材13d内部での磁束変化を生じさせずにロータ磁石13aとステータ21との隙間幅を小さくし(ギャップG1は変わらない)、これによって漏れ磁束を減少させるが、例えば、ロータ磁石自身を薄くするとともに、その径寸法をより大きくすることにより、同じ磁束数を確保しながらステータ21とのギャップをより小さくして漏れ磁束を減少させてもよい。
【0048】
ここで、同じ磁束数を確保する際のステータの配置穴の内径寸法に対するロータ磁石の外径寸法、ロータ磁石の厚さ寸法、およびギャップの具体的な数値は、磁石のBHmax(Bは磁束密度、Hは磁化力)によっても異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、BHmax 30程度の磁石で配置穴の内径寸法を3mmとした場合、以下の表1のようになる。
【0049】
【表1】
Figure 0004046301
【0050】
また、ロータ磁石の径寸法のみを大きくし、厚さ寸法を変えない場合でも、BHmaxの小さいロータ磁石を用いて同じ鎖交数を確保することができる。すなわち、例えば、BHmax 30程度の磁石よりも、BHmax 20程度の希土類磁石やサマリウム・コバルト磁石、あるいはBHmax 10程度のボンド磁石やプラ磁石等を用いた場合の方が、ギャップのみを小さくしてより漏れ磁束を少なくできる。しかしながら、ロータ磁石としては、より軽いものの方が時計の落下時にロータほぞの折れや曲がりに対して有効となるため、特に優れた耐衝撃性が求められる電子制御式機械時計では、BHmax がより大きい磁石(径寸法が小さいもの)を用いることで軽量化を図ることが好ましい。
【0051】
前記参考例では、ロータ磁石13aの径寸法を小さくしたことで、六番車12および文字板17をギャップG1の1.5倍以内に配置したが、ロータ磁石13aの径寸法を変えず、ロータ磁石13aと六番車12および文字板17との距離寸法L2,L3を実質的に小さくすることにより、それらをギャップG1の1.5倍以内に配置してもよい。こうすることにより、六番車12、文字板17をともにロータ磁石13aに近づけることができ、時計の薄型化を図ることができる。
【0052】
また、前記実施形態では、上下の軸受ユニット19の構成部材が非磁性体であったが、軸受ユニット19の例えば真鍮の受石ガイドをニッケルメッキが施された耐錆性を有する磁性体としてもよく、このような場合には、ロータ磁石13aと受石ガイドとの距離寸法をステータ21との距離寸法G1の1.5倍以上に設定して、受石ガイドでの渦電流損失を防止すればよい。しかし、特に図中下方の受石ガイドを磁性体にしてしまうと、電子制御式機械時計の厚さ寸法が格段に大きくなってしまうので、時計の薄型化の点からは、非磁性体にするのが好ましい。
【0053】
また、本発明に係る地板としては、ニッケルメッキの表面処理層を有するものの他、他の磁性体材料からなる表面処理層を有するものや、従来の洋白製の文字板のように、基材として磁性体材料を用いたものも含まれる。
【0054】
〔実施例〕
ロータ13およびニッケルメッキが施された地板3において、地板3に組み込まれた軸受ユニット19の形状を変える等してロータ磁石13aと地板3との距離寸法L1を変化させ、ゼンマイ1aから一定のトルクをロータ13に伝えた時のロータ13の回転周波数を測定した。図9の表にその周波数と距離寸法L1の関係を示す。
【0055】
本実施例でのロータ磁石13aの外径寸法は1.35mm、その厚さ寸法は0.4mmである。ステータ21の配置穴14cの内径寸法は3mmである。従って、ギャップG1は0.825mmである。
【0056】
本実施例によれば、図9に示す表から明らかなように、距離寸法L1=1.235mm付近を境にして、それよりも地板3がロータ磁石13aから離れている場合(距離寸法L1が大きい場合)には、ロータ13は高い周波数で回転し、反対に地板3がロータ磁石13aに近いと、ロータ13の回転周波数が低下するのを確認できた。すなわち、ゼンマイ1aから一定のトルクをロータ13に伝えているのにもかかわらず、ロータの回転周波数が低下するのは、損失が次第に増加するためであり、ロータを所定の周波数で回転させるのに多くのエネルギーが必要であることを意味する。従って、本発明に基づき、距離寸法L1をギャップG1の1.5倍以上に設定した場合には、1.235mm<1.2375(1.5×G1)mm≦L1となるから、少ないゼンマイエネルギでロータ13を安定して回転させることができ、本発明が有効であると認められる。
【0057】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、磁性体部分を有する地板、磁性体の番車、磁性体の耐磁板が、ロータ磁石とステータとの距離寸法の1.5以上ロータ磁石から離して配置されているため、ロータ磁石から前記磁性体部分を有する地板、磁性体の番車、磁性体の耐磁板に漏れる漏れ磁束を減少させ、前記磁性体での渦電流損失を抑えられることができる。従って、ロータを回転させるのに必要なトルクの増加を防止でき、時計の持続時間を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子制御式機械時計の概略を示す平面図である。
【図2】前記実施形態の要部の断面図である。
【図3】前記実施形態の他の要部の断面図である。
【図4】前記要部を拡大して示す断面図である。
【図5】前記実施形態の構成部材を示す断面図である。
【図6】参考例に係る電子制御式機械時計の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】前記構成部材の変形例を示す断面図である。
【図8】前記構成部材の他の変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例の結果を示す表である。
【符号の説明】
1a ゼンマイ
3 地板、
12 六番車
13 ロータ
13a ロータ磁石
13d カバー材
13e 切欠部
17 文字板
18 耐磁板
20 発電機
21 ステータ
21a 配置穴
G1 ギャップ
L1〜L4 距離寸法
H1,H2 厚さ寸法

Claims (4)

  1. ゼンマイと、輪列を介して伝達されるゼンマイの機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、前記輪列に結合された指針と、変換した前記電気エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する制御回路とを備える電子制御式機械時計において、
    前記発電機は、前記輪列を介して伝達された前記ゼンマイのトルクで回転するロータと、該ロータのロータ磁石を配置する配置穴が設けられたステータと、を含んで構成されている一方、前記ロータの軸方向の一側には地板が設けられるとともに、該地板の磁性体からなる部分は、前記ロータ磁石と前記ステータとのギャップの1.5倍以上、前記ロータ磁石から離れて配置されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  2. ゼンマイと、輪列を介して伝達されるゼンマイの機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、前記輪列に結合された指針と、変換した前記電気エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する制御回路とを備える電子制御式機械時計において、
    前記発電機は、前記輪列を介して伝達されたゼンマイのトルクで回転するロータと、該ロータのロータ磁石を配置する配置穴が設けられたステータと、を含んで構成されている一方、前記ロータを駆動する番車は、磁性体とされ、かつ前記ロータ磁石と前記ステータとのギャップの1.5倍以上、前記ロータ磁石から離れた位置に配置されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  3. ゼンマイと、輪列を介して伝達されるゼンマイの機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機と、前記輪列に結合された指針と、変換した前記電気エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する制御回路とを備える電子制御式機械時計において、
    前記発電機は、前記輪列を介して伝達されたゼンマイのトルクで回転するロータと、該ロータのロータ磁石を配置する配置穴が設けられたステータとを含んで構成されている一方、前記ロータ磁石と前記ステータとのギャップの1.5倍以上、前記ロータ磁石から離れた位置に、磁性体からなる文字板が配置されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、前記ロータ磁石の厚さ寸法は、前記ステータの厚さ寸法の0.4〜0.8倍であることを特徴とする電子制御式機械時計。
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