JP4045966B2 - 放電ランプ点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電ランプ点灯装置、特に保護機能を有する放電ランプ点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来例として、たとえば、特開2001−185374号公報に示されるものがある。このものは、放電灯点灯時間を積算する累積カウンターと、前記累積カウンターに積算された放電灯点灯時間が予め定めた設定値を超えたときは寿命が到来したと判定する判定手段と、前記判定手段が寿命の到来と判定したときは保護動作を行う保護動作手段とを備えたことを特徴としている。ここで、前記判定手段は、寿命に影響を与える素子の温度を加味して寿命判定を行う。これにより、放電灯点灯装置の寿命と判定したときは保護動作を行うので、放電灯の点灯に悪影響を与えることがなくなる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−185374号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例においては、主として累積カウンターに積算された放電灯点灯時間によって放電灯点灯装置の寿命を判定するので、不慮の放電灯点灯装置の異常が発生した場合には対応することができない。
【0005】
本発明は、かかる事由に鑑みてなしたものであり、その目的とするところは、不慮の放電ランプ点灯装置の異常が発生した場合においても、その異常を検知することのできる放電ランプ点灯装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、放電ランプを始動させる始動回路と、スイッチ素子の切り替えにより電源から放電ランプに電力を供給する電力変換回路と、電力変換回路のスイッチ素子及び始動回路を制御する制御回路と、を備える放電ランプ点灯装置において、電源投入後、制御回路に対して始動回路の動作前に電力変換回路を待機動作させるようにし、待機動作の期間内に電源、電力変換回路及び制御回路の異常、故障を診断する診断部を備え、前記診断部は、電源投入後、電力変換回路内の出力電圧が安定するまでの過渡期間に電源の異常の有無を診断し、電力変換回路内の出力電圧が安定する安定期間経過後に電力変換回路及び制御回路の異常、故障を診断するものであることを特徴とする。ここで待機動作期間とは、電源投入後、放電ランプが始動する前の電力変換回路が動作している期間をいう。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の放電ランプ点灯装置において、前記電力変換回路は、電源からの交流電圧を整流する整流部を有し、前記診断部は、整流部の出力電圧波形により電源の異常の有無を診断するものであることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態を、図1から図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態の放電ランプ点灯装置の基本構成図である。図2は、本実施形態の電力変換回路3の出力電圧の動作波形図である。図3は、本実施形態の放電ランプ点灯装置のブロック構成図である。図4は、本実施形態の放電ランプ点灯装置の具体的な回路例である。図5は、本実施形態の放電ランプ点灯装置の立ち上がり時の各電圧、電流の波形図である。
【0010】
本実施形態の放電ランプ点灯装置100は、放電ランプ1と、放電ランプ1を始動させる始動回路2と、スイッチ素子の切り替えにより電源から放電ランプ1に電力を供給する電力変換回路3と、電力変換回路3のスイッチ素子及び始動回路2を制御する制御回路4と、電源投入後、制御回路4に対して始動回路2の動作前に電力変換回路3を待機動作させるようにし待機動作の期間内に電源、電力変換回路3及び制御回路4の異常を診断する診断部5と、を備えている。
【0011】
放電ランプ1は、たとえば、バルブ内部に水銀と始動用の希ガスとハロゲン化金属が封入された発光管7を有するメタルハライドランプであり、後述する電力変換回路3に接続されている。
【0012】
始動回路2は、放電ランプ1を始動させるための高電圧を発生させるもので、図4に示すようにパルス発生回路8及びトランスPTを有し、パルス発生回路8は、トランスPTの1次側に接続され、トランスPTの2次側は、スイッチ素子S3とスイッチ素子S4の接続部と放電ランプ1に接続されている。
【0013】
電力変換回路3は、スイッチ素子の切り替えにより電源から放電ランプ1に電力を供給するもので、図3及び図4に示すように、整流部9、PFC回路10、出力電力変換回路11、インバータ回路12、始動回路2が直列に接続されて構成されている。整流部9は、交流電源の交流電圧を整流するもので、ダイオードブリッジで構成されており、整流部9の入力端子は電源に接続され、出力端子はPFC回路10に接続されている。
【0014】
PFC回路10は、電源から取りこむ電流波形を正弦波状に整形し、また直流電圧を出力するもので、整流部9の出力端子にインダクタL1とダイオードD1とが直列に接続され、インダクタL1とダイオードD1の接続部とグランド間には、スイッチ素子S1が接続されている。また、ダイオードD1のカソード側には、コンデンサC1が接続されている。
【0015】
出力電力変換回路11は、PFC回路10の出力電圧を受けて放電ランプ1に供給する電力を調整するもので、PFC回路10の出力端子にスイッチ素子S2とインダクタL2が直列に接続され、スイッチ素子S2とインダクタL2の接続部とグランドG間には、ダイオードD2が接続されている。また、インダクタL2の負荷側には、コンデンサC2が接続されている。
【0016】
インバータ回路12は、出力電力変換回路11の出力電圧を受けて交流に変換するもので、スイッチ素子S3とスイッチ素子S4の直列回路が、出力電力変換回路11の出力端子間に接続されている。また、スイッチ素子S3とスイッチ素子S4の直列回路に並列にスイッチ素子S5とスイッチ素子S6の直列回路が接続されている。
【0017】
制御回路4は、PFC制御回路13、出力制御回路14、インバータ制御回路15、イグナイタ制御回路16からなるものである。PFC制御回路13は、電源から取りこむ電流波形を正弦波状に整形し、また直流電圧を出力するため、スイッチ素子S1のスイッチングを制御するもので、後述する診断部5及びスイッチ素子S1のゲートに接続されている。出力制御回路14は、PFC回路10の出力電圧を受けて放電ランプ1に供給する電力を調整するため、スイッチ素子S2のスイッチングを制御するもので、後述する診断部5及びスイッチ素子S2のゲートに接続されている。インバータ制御回路15は、出力電力変換回路11の直流出力電圧を交流電圧に変換するため、スイッチ素子S3及びスイッチ素子S6と、スイッチ素子S4及びスイッチ素子S5を交互にスイッチングするように制御するもので、後述する診断部5及びスイッチ素子S3〜6のゲートに接続されている。イグナイタ制御回路16は、パルス発生回路8を制御するもので、後述する診断部5及びSWを介してパルス発生回路8に接続されている。また、待機動作時間カウンター6は、電力変換回路3を待機動作させる時間を設けるもので、診断部5及びスイッチSWに接続されている。
【0018】
診断部5は、電源投入後、制御回路4に対して始動回路2の動作前に電力変換回路3を待機動作させるようにし、待機動作の期間内に電力変換回路3又は制御回路4の故障、異常及び電源の異常を診断するもので、診断部5の端子aは、整流部9の出力端子とインダクタL1の接続部に接続され、診断部5の端子bは、スイッチ素子S2とダイオードD1の接続部に接続され、診断部5の端子cは、インダクタL2とスイッチ素子S3の接続部に接続され、診断部5の端子dは、スイッチ素子S3及びスイッチ素子S4の接続部に接続され、診断部5の端子eは、スイッチ素子S5及びスイッチ素子S6の接続部に接続されている。
【0019】
つぎに、本実施形態の動作について説明する。図2は、本実施形態の電力変換回路3の出力電圧の動作波形図であり、スイッチ素子S3及びスイッチ素子S4の接続部とスイッチ素子S5及びスイッチ素子S6の接続部間の電圧波形を示している。また、図5は、前述のように本実施形態の放電ランプ点灯装置100の立ち上がり時の各電圧、電流の波形図である。
【0020】
電力変換回路3に電源が接続されると図5に示すように、整流部9は交流電源の交流電圧を整流する。そして、PFC回路10は、スイッチ素子S1をスイッチングすることにより電源から取りこむ電流波形を正弦波状に整形し、また所望の直流電圧に変換し、コンデンサC1は、次第に目標値となる電圧値にまで充電される。診断部5は、電源投入後、電力変換回路3内の出力電圧、すなわちPFC回路10の出力電圧が安定するまでの過渡期間に電源の異常の有無を診断する。
【0021】
この過渡期間に電源の異常の判断を診断するのは次の理由による。放電ランプ1に電力を供給していない状態においては、消費電力は回路損失のみであるため、PFC回路10と出力電力変換回路11は所定の動作で安定後には間欠的に動作を繰り返すようにする、又は微弱に発振するようにすることがある。この場合、特にPFC回路10の入力電圧、すなわち整流部9の出力電圧は、フィルタ回路(図示はしない)により平滑されてしまうことがある。このような場合には、入力電圧のピーク値は読み取ることができるが、実効値及び波形は読み取ることが困難である。そこで、電源投入後、電力変換回路3内の出力電圧が安定するまでの過渡期間に、診断部5は、整流部9の出力電圧波形から電源の異常の有無を診断する。これにより、より正確な電源の診断を行うことができる。
【0022】
そして、出力電力変換回路11は、PFC回路10の出力電圧を受けて放電ランプ1に供給する電力を調整する。その後、スイッチ素子S3及びスイッチ素子S6と、スイッチ素子S4及びスイッチ素子S5を交互にスイッチングされ、図2に示すように電力変換回路3の出力電圧波形は、矩形波の交流電圧波形となる。ここで、出力電圧波形が立ち上がり、パルス電圧を発生させるまでの期間が、電力変換回路3の出力電圧が安定する安定期間経過後に相当し、この間に電力変換回路3及び制御回路4の異常を診断する。
【0023】
すなわち、診断部5は、端子bに印加される電圧を検出し、PFC回路10の出力電圧が、整流部9の出力電圧のピーク値よりも大きくなっているか、所定の電圧の範囲になっているか否かを判別し、PFC回路10及びPFC制御回路13が正常であるかどうかを診断する。さらに、PFC制御回路13から出力されるスイッチ素子S1の駆動信号の周波数、デューティ比及び信号電圧振幅が所定の範囲であるかどうかを確認する。
【0024】
さらにまた、診断部5は、出力電力変換回路11の異常の有無を診断する。すなわち、診断部5は、端子cに印加される電圧を検出し、出力電力変換回路11の出力電圧が、所定の範囲になっているか否かを判別して、出力電力変換回路11が及び出力制御回路14が異常でないかを診断する。特に、出力電力変換回路11の出力電圧は、放電ランプ1が始動した後には、ランプ電圧とともに大きく変化するため、放電ランプ1が始動してから診断を行った場合には、出力電力変換回路11の異常を診断が困難である。そこで、本実施形態のように、放電ランプ1が始動する前の、待機動作において、出力電力変換回路11の診断を行うことにより、診断時に放電ランプ1の影響を受けることなく、精度良く出力電力変換回路11の異常診断を行うことが可能である。さらに、出力制御回路14から出力されるスイッチ素子S2の駆動信号の周波数、デューティ比及び信号電圧振幅が所定の範囲であるかどうかを確認することにより、より木目細かな診断を行うことができる。
【0025】
そしてまた、診断部5は、インバータ回路12の異常の有無を診断する。すなわち、診断部5は、端子d、eに印加される電圧を検出し、インバータ回路12の出力電圧が、所定の範囲になっているか否かを判別して、インバータ回路12が及びインバータ制御回路15が正常であるかどうかを診断する。
【0026】
以上のように、本実施形態においては、放電ランプ点灯装置の点灯時間にかかわらず、放電ランプ1、電力変換回路3及び制御回路4の診断を行うので、不慮に放電ランプ点灯装置の異常が発生した場合においても、その異常を知ることができる。
【0027】
なお、以上の実施形態においては、PFC回路10としていわゆる昇圧チョッパ回路を用い、出力電力変換回路11としていわゆる降圧チョッパ回路を用い、インバータ回路12としていわゆるフルブリッジ回路を用い、始動回路2としてパルス始動回路2を用いたが、PFC回路10、出力電力変換回路11及びインバータ回路12のスイッチ素子を複合させた回路構成であってもよい。また、インバータ回路12と始動回路2を複合し、共振振動電圧をもって放電ランプ1を始動させるような回路であってもよい。そしてまた、本実施形態では、電源の種類を交流電源としたが、電源が直流電源の場合には、PFC回路10が不用で、直流電源が直接、出力電力変換回路11に接続される。さらにまた、本実施形態では、待機動作時間カウンター6を用いて待機動作時間を設けたが、診断部5が診断を終了した後に、トリガー信号を出力してスイッチSWを投入することにより、待機動作から始動へと移行させるようにしてもよい。この場合には、診断が終わり次第、始動動作に移行できるので、電源投入から点灯までの時間を短くすることができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、放電ランプを始動させる始動回路と、スイッチ素子の切り替えにより電源から放電ランプに電力を供給する電力変換回路と、電力変換回路のスイッチ素子及び始動回路を制御する制御回路と、を備える放電ランプ点灯装置において、電源投入後、制御回路に対して始動回路の動作前に電力変換回路を待機動作させるようにし、待機動作の期間内に電源、電力変換回路及び制御回路の異常、故障を診断する診断部を備え、前記診断部は、電源投入後、電力変換回路内の出力電圧が安定するまでの過渡期間に電源の異常の有無を診断し、電力変換回路内の出力電圧が安定する安定期間経過後に電力変換回路及び制御回路の異常、故障を診断するものであるから、電源の異常診断時に電力変換回路及び
制御回路の影響を受けることなく、精度のよい診断を行うことができる。
【0029】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の放電ランプ点灯装置において、前記電力変換回路は、電源からの交流電圧を整流する整流部を有し、前記診断部は、整流部の出力電圧波形により電源の異常の有無を診断するものであるようにしたので、整流、平滑した場合に比べて、電源電圧の波形、実効値を読み取ることが容易にでき、電源の異常の判別が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の放電ランプ点灯装置の基本構成図である。
【図2】 本実施形態の電力変換回路の出力電圧の動作波形図である。
【図3】 本実施形態の放電ランプ点灯装置のブロック構成図である。
【図4】 本実施形態の放電ランプ点灯装置の具体的な回路例である。
【図5】 本実施形態の放電ランプ点灯装置の立ち上がり時の各電圧、電流の波形図である。
【符号の説明】
1 放電ランプ
2 始動回路
3 電力変換回路
4 制御回路
5 診断部
6 待機動作時間カウンター
Claims (2)
- 放電ランプを始動させる始動回路と、スイッチ素子の切り替えにより電源から放電ランプに電力を供給する電力変換回路と、電力変換回路のスイッチ素子及び始動回路を制御する制御回路と、を備える放電ランプ点灯装置において、電源投入後、制御回路に対して始動回路の動作前に電力変換回路を待機動作させるようにし、待機動作の期間内に電源、電力変換回路及び制御回路の異常、故障を診断する診断部を備え、前記診断部は、電源投入後、電力変換回路内の出力電圧が安定するまでの過渡期間に電源の異常の有無を診断し、電力変換回路内の出力電圧が安定する安定期間経過後に電力変換回路及び制御回路の異常、故障を診断するものであることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
- 前記電力変換回路は、電源からの交流電圧を整流する整流部を有し、前記診断部は、整流部の出力電圧波形により電源の異常の有無を診断するものであることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ点灯装置。
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