JP4045958B2 - 油圧式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧式パワーステアリング装置においては、操舵輪側から伝達される振動(逆入力)を減衰させるとともに、操舵角速度に応じて作動油の流動を制御するダンパーバルブが用いられている。このようなダンパーバルブは、ラック軸等を油圧でアシストするパワーシリンダへの油圧給排経路上に設けられる(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−127924号公報(第4頁、図4)
【特許文献2】
特開2002−67996号公報(第4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の油圧式パワーステアリング装置では、パワーシリンダへの油圧給排経路上に設けられているダンパーバルブが、外形的には突出した形態となる。従って、周辺部材と干渉し易く、車両への搭載に不便が多い。
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、ダンパー機能を有しつつ周辺部材との干渉を排除した油圧式パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パワーシリンダに油圧を供給して操舵補助力を発生させる油圧式パワーステアリング装置であって、前記パワーシリンダが、シリンダチューブと、前記シリンダチューブ内を移動するラック軸と、前記ラック軸に固定され、前記シリンダチューブ内を2つの油室に分けるピストンと、前記シリンダチューブの一端と前記ピストンとの間、及び、前記シリンダチューブの他端と前記ピストンとの間にそれぞれ配置されて前記ラック軸に固定され、閉弁付勢された弁機構を通して双方向に油を流動させる減衰用ピストンとを備えたものである。
また、前記油圧式パワーステアリング装置において、減衰用ピストンは、各油室をさらに2つの油室に分け、当該2つの油室間を連通させる孔を有するピストン状部と、前記孔を閉塞し、油圧を受けて弾性変形することによって開く弁体とを備えたものであってもよい。
上記のように構成された油圧式パワーステアリング装置においては、弁機構が操舵角速度の大小によって開閉し、閉弁状態であるときは油の流動が抑制され、これによってラック軸に付与される駆動力が減衰する。すなわち、ダンパー機能がパワーシリンダ内の減衰用ピストンによって達成される。従って、ダンパー機能要素を内蔵したパワーシリンダとなり、パワーシリンダ外にはダンパー機能要素が存在しないので、周辺部材との干渉を排除することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態による油圧式パワーステアリング装置の構成を示す正面図(一部内部の状態を示す。)である。図において、当該油圧式パワーステアリング装置は、図示しないステアリングホイールに連結される入力軸1と、この入力軸1の端部に設けられたピニオン(図示せず。)とラック・ピニオンを構成するラック軸2と、ラック軸2を覆うハウジング3と、図示しない油圧ポンプから油圧の供給を受け、入力軸1の回転(操舵)に応じて作動油の給排を制御する油圧コントロールバルブ4と、ハウジング3の一部をシリンダチューブ3Aとして構成されるパワーシリンダ5と、このパワーシリンダ5と油圧コントロールバルブ4とを接続する油圧配管6,7とを備えている。ラック軸2の両端にはボールジョイント8を介してタイロッド9が接続され、このタイロッド9の先端側に車輪(図示せず。)が接続される。
【0007】
上記パワーシリンダ5内は、ラック軸2に固定されたピストン10によって2つの油室C1及びC2に分けられている。油室C1及びC2はそれぞれ、ラック軸2を図の右方及び左方へアシストするための圧力室である。また、油室C1は、ピストン10とシリンダチューブ3Aの一端との間に存在する減衰用ピストン11によって油室C11とC12とに分けられ、同様に、油室C2は、ピストン10とシリンダチューブ3Aの他端との間に存在する減衰用ピストン11によって油室C21とC22とに分けられている。
【0008】
図2は、減衰用ピストン11の拡大断面図である。図示しているのは油室C11とC12との間の減衰用ピストン11であり、油室C21とC22との間の減衰用ピストン11はこれと同一部材を左右対称に取り付けたものとなる。また、図3は、シリンダチューブ3Aの軸方向から減衰用ピストン11を見た図である。なお、図2の減衰ピストン11の断面は、図3におけるII-II線断面に相当する。図2及び図3において、減衰用ピストン11は、全体として環状体を構成するピストン状部111と、このピストン状部111の軸方向両端面に対向して設けられた薄板製で円環状の弁体であるシム112,113と、これらのシム112,113をピストン状部111に固定するリベット114と、ピストン状部111の外周の溝に装着されたオイルシール115とを有している。
【0009】
上記ピストン状部111には、これを軸方向に貫通する孔111aが周方向に複数個(本例では8個)等配で形成されている。各孔111aの軸方向両端は、一方が座ぐり部111bとなっており、他方はU字状に外周側へ抜けた溝111cとなっている。また、周方向には、座ぐり部111bと溝111cとが交互に配置されている。孔111aは、座ぐり部111bのある側でシム112,113により閉塞されるが、溝111cのある側では閉塞されず、シム112,113との間に軸方向への一定の隙間Gが確保されている。油は、このように隙間Gを形成する溝111cを自在に流通する。
【0010】
また、シム112,113は弾性体であり、リベット114により固定された内周側を支点として、外周側がピストン状部111から離反するように弾性変形可能である。自由な状態のシム112,113は図示のような平板状であり、孔111aを周方向に1つおきに、かつ、ピストン状部111の両側で互い違いに閉塞することによって、全ての孔111aをいずれか片側で閉塞している。このようにして、孔111aを有するピストン状部111とシム112,113とは、閉弁付勢された弁機構を構成している。また、閉弁付勢に抗して開弁することで、双方向に油を流動させることができる。
なお、ピストン状部111は、軸方向に突出した端部111dがラック軸2に食い込むように装着されることにより図2の右方向への移動が規制されるとともに、止め輪12によって左方向への移動も規制され、ラック軸2に固定されている。
【0011】
上記のように構成された油圧式パワーステアリング装置においては、操舵によって図1に示す入力軸1が回転すると、ラック軸2が移動し、ボールジョイント8及びタイロッド9を介して、車輪が転舵される。また、油圧コントロールバルブ4から操舵角速度に応じた油圧がパワーシリンダ5に供給され、ピストン10からラック軸2に付与される駆動力により、操舵をアシストする。
【0012】
上記パワーシリンダ5の動作について、図4及び図5の概略図を参照して説明する。なお、減衰用ピストンは、油室C11とC12との間のものを減衰用ピストン11A、油室C21とC22との間のものを減衰用ピストン11Bと称する。
【0013】
まず、図4の(b)に示す方向への転舵に関して、ステアリングホイールSの操舵角速度が小さい場合すなわちラック軸2の移動速度が遅い場合、(a)において、ラック軸2は左方向へ移動しようとし、油室C21に油圧が供給される。この油圧により、減衰用ピストン11Bの前記シム112が弾性変形して開弁し、油が油室C21からC22へ流れ込む。油室C21とC22とで油圧の平衡が保たれると、ピストン10が左方向へのアシストを開始する。
また、減衰用ピストン11Aにおいては、油室C12から油室C11へ油が抜け始めるが、ラック軸2の移動速度が遅いため、前記シム113が十分に弾性変形するに至らず(すなわち十分に開弁せず)、油が抜けにくい状態となる。これが抵抗となって、ラック軸2に付与される駆動力が減衰する。従って、操舵補助力は小さく、その結果、ステアリングホイールSに適度な「重さ」を与えることになる。すなわち、高速走行時のように操舵角速度が小さい場合には操舵安定性が得られる。また、車輪側から伝達される振動も、上記抵抗によって減衰させることができる。
【0014】
次に、ステアリングホイールSの操舵角速度が所定値以上である場合すなわちラック軸2の移動速度が所定値以上である場合、(b)において、ラック軸2は左方向へ移動しようとし、油室C21に油圧が供給される。この油圧により、減衰用ピストン11Bのシム112が弾性変形して開弁し、油が油室C21からC22へ流れ込む。油室C21とC22とで油圧の平衡が保たれると、ピストン10が左方向へのアシストを開始する。
また、減衰用ピストン11Aにおいては、急速に容積が減少する油室C12から油室C11へ油が抜けようとする。このとき、ラック軸2の移動速度が速いため、相対的に油圧を受けるシム113が十分に弾性変形して開弁し、油が抜け易くなる。従って、ラック軸2に付与される駆動力に対する減衰の程度は小さく、大きな操舵補助力が生じる。すなわち、低速走行時や据え切りの際には、軽快な操舵感が得られる。
【0015】
図5は、逆方向への転舵を示す図である。この場合も同様に、(a)において、油が油室C11からC12へ流れ込み、油室C11とC12とで油圧の平衡が保たれると、ピストン10が右方向へのアシストを開始する。ここで、ラック軸2の移動速度が遅い場合には、減衰用ピストン11Bにおいて油が抜けにくい状態となり、ラック軸2に付与される駆動力は減衰する。一方、ラック軸2の移動速度が所定値以上である場合には、(b)に示す減衰用ピストン11Bにおいてシム113が大きく弾性変形して油が抜け易くなるので、ラック軸2に付与される駆動力の減衰の程度は小さく、大きな操舵補助力が生じる。
【0016】
上述のように、当該パワーシリンダ5では、弁機構が操舵角速度の大小によって開閉し、閉弁状態であるときは油の流動が抑制され、これによってラック軸2に付与される駆動力が減衰する。すなわち、ダンパー機能がパワーシリンダ5内の減衰用ピストン11A,11Bによって達成される。従って、ダンパー機能要素を内蔵したパワーシリンダ5となり、パワーシリンダ5外にはダンパー機能要素が存在しないので、周辺部材との干渉を排除することができる。
【0017】
なお、上記実施形態では、8個の孔111aを設けたが、必要により増減することができる。
また、上記実施形態ではピストン状部111に溝111cを設けて、これにシム112,113を対向させているが、図6に示すように、溝を無くしてシム112,113にU字状の切欠部112a,113aを設けてもよい。この場合には、前述の隙間Gは不要となる。
また、孔111aを、どちらか片側からシム112,113で塞ぐ弁機構以外に、孔111aの軸方向中央に1枚のシムを配置して双方向に弾性変形させるような弁機構を構成することも可能である。
また、上記のパワーシリンダ5は、ラック・ピニオン以外の油圧式パワーステアリング装置にも適用することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は、ダンパー機能がパワーシリンダ内の減衰用ピストンによって達成されるので、ダンパー機能要素を内蔵したパワーシリンダとなり、パワーシリンダ外にはダンパー機能要素が存在しない。従って、周辺部材との干渉を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による油圧式パワーステアリング装置の構成を示す正面図(一部内部の状態を示す。)である。
【図2】図1に示す油圧式パワーステアリング装置における減衰用ピストンの拡大断面図である。
【図3】上記減衰用ピストンを、シリンダチューブの軸方向から見た図である。
【図4】上記油圧式パワーステアリング装置の動作を示す概略図である。
【図5】上記油圧式パワーステアリング装置の動作を示す概略図である。
【図6】図3とは異なる他の形態のシムを示す図である。
【符号の説明】
2 ラック軸
3A シリンダチューブ
5 パワーシリンダ
10 ピストン
11(11A,11B) 減衰用ピストン
111 ピストン状部
111a 孔
112,113 シム(弁体)
C1(C11,C12),C2(C21,C22) 油室
Claims (2)
- パワーシリンダに油圧を供給して操舵補助力を発生させる油圧式パワーステアリング装置であって、前記パワーシリンダは、
シリンダチューブと、
前記シリンダチューブ内を移動するラック軸と、
前記ラック軸に固定され、前記シリンダチューブ内を2つの油室に分けるピストンと、
前記シリンダチューブの一端と前記ピストンとの間、及び、前記シリンダチューブの他端と前記ピストンとの間にそれぞれ配置されて前記ラック軸に固定され、閉弁付勢された弁機構を通して双方向に油を流動させる減衰用ピストンと
を備えたことを特徴とする油圧式パワーステアリング装置。 - 前記減衰用ピストンは、
前記各油室をさらに2つの油室に分け、当該2つの油室間を連通させる孔を有するピストン状部と、
前記孔を閉塞し、油圧を受けて弾性変形することによって開く弁体と
を備えた請求項1記載の油圧式パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
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JP2003008604A JP4045958B2 (ja) | 2003-01-16 | 2003-01-16 | 油圧式パワーステアリング装置 |
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JP4045958B2 true JP4045958B2 (ja) | 2008-02-13 |
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Family Applications (1)
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2003
- 2003-01-16 JP JP2003008604A patent/JP4045958B2/ja not_active Expired - Fee Related
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