JP4044547B2 - 圧電振動ジャイロ - Google Patents

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Description

本発明は、主として自動車のナビゲーションシステムや姿勢制御装置、カメラ一体型VTRの手振れ防止装置等に用いられるジャイロスコープに関し、特に圧電振動ジャイロに関するものである。
振動ジャイロは、速度を持つ物体に角速度が与えられると、その物体自身に速度方向と直角な方向にコリオリ力が発生するという力学現象を利用した角速度センサである。
電気的な信号を印加することで機械的な振動(駆動モード)を励起させることができ、且つ、駆動振動と直交する方向の機械的な振動(検出モード)の大きさを電気的に検出可能とした系において、予め、駆動モードを励振した状態で、駆動モードの振動面と検出モードの振動面との交線と平行な軸を中心とした角速度を与えると、前述のコリオリ力の作用により、検出モードが発生し、出力電圧として検出される。検出された出力電圧は駆動モードの大きさ及び角速度に比例するため、駆動モードの大きさを一定にした状態では、出力電圧の大きさから角速度の大きさを求めることができる。振動ジャイロの中でも、電気的信号と機械的振動の変換を圧電効果で行うものを圧電振動ジャイロと呼ぶ。
現在、圧電振動ジャイロに用いられる振動子としては、振動子本体が圧電体からなる構造のものが生産性及び精度に優れるためよく利用されている。同時に、これまで更なる生産性向上や高精度化を目的とし、様々な振動子の構造が提案されてきた。特に小形・安価を目的とする場合、振動子の構造は、よりシンプルであった方が生産性上好ましい場合が多く、こうした観点から提案された構造も少なくない。また、近年、圧電振動ジャイロの小型化が進むにつれ、圧電振動ジャイロのシステムへの取り付け方法においても手半田付け実装から生産性に優れるリフロー半田実装に見直されるようになり、リフロー実装時における260℃程度の全体加熱に対し性能や信頼性が損なわれることが無いよう、圧電振動ジャイロの耐熱性の向上が必要になってきた。従って、小形・安価な圧電振動ジャイロに用いる振動子としては、構造がより簡素で、耐熱性に優れたものが必要とされる。
簡素な振動子の構造としては、既に本出願人によって提案されている先行技術がある(例えば、特許文献1参照)。図8は、その圧電振動ジャイロの振動子の構造を示す説明図であり、図8(a)が斜視図、図8(b)が断面図である。図8(a)に示すように、圧電セラミクスからなる柱状体50の1側面に、駆動電極52と検出電極51および53を備え、図8(b)に示す矢印方向に分極処理することで、この断面図で縦の方向への駆動振動の励振と横方向への検出振動の検出を可能とし、圧電振動ジャイロとしての機能を満たすものである。この例では、1側面に全ての電極が備えられていることから、複数の側面に電極が備えられているものと比較して生産性に優れる。
同様に簡素な振動子の構造としては、振動子および電極構成が図8とほぼ同じであるが、あらかじめ電極面と平行に分極処理されたことを特徴とする先行技術がある(例えば、特許文献2参照)。図9は、その圧電振動子の構造を示す斜視図である。図9に示すように、圧電セラミクスからなる柱状体301の1側面に、駆動電極303と検出電極302および304を備え、電極面と平行にあらかじめ分極処理することで、駆動振動の励振と駆動振動に直交する検出振動の検出を可能としている。この例では、製造時に板状の圧電セラミクスに対して分極処理、電極形成を行った後に、所定の振動子形状に切断することで量産を行うことができ、生産性に優れる。
また、簡素な音叉形振動子の構造としては、既に本出願人によって提案されている先行技術がある(例えば、特許文献3参照)。図10は、その圧電振動ジャイロの振動子の構造を示す斜視図である。図10に示すように、PZT等の圧電セラミクスからなる音叉型の圧電振動子207の1側面200に、帯状電極201、202、203、204、205,206およびランド208が形成されている。振動子の分極処理は、帯状電極202および205と帯状電極201、203、204および206を2端子として直流の高電圧を印加して行う。帯状電極202と204には、互いに逆位相の駆動電圧を印加し、面外振動モードを励振する。帯状電極201、203、204、206は、電流検出回路に接続され、コリオリ力によって生じる音叉振動モードの検出には、帯状電極201および206と、203および204の信号差を用いて行う。この例では、1側面に全ての電極が備えられていることから、複数の側面に電極が備えられているものと比較して生産性に優れる。さらに、特許文献1および特許文献2に比べ、対称な構成により振動漏れが少なく、安定化が実現できる。
また、耐熱性に優れ、振動子の支持が容易な構成としては、振動子に単結晶を用いてH形構成とした先行技術がある(例えば、特許文献4参照)。図11は、そのH形圧電振動ジャイロの振動子の構造を示す斜視図である。図11に示すように、この構成では、LiTaO圧電単結晶のX軸130°回転Y板の音叉振動子を2つ接続し、H形振動子70を構成している。上部アーム72には音叉振動を駆動するための電極が配置され、下部アーム73には、音叉振動と直交した方向に上下のアームが振動する面外モードを検出するための電極が配置されている。一般に圧電単結晶材料のキュリー点は、圧電セラミクスに比べ非常に高く、260℃程度の全体加熱に対して振動子特性は劣化し難い。また、対称な構成により不要な漏れ出力が少なく、高安定化が実現できる。さらに、LiTaOの材料特性により高感度化が実現できる。
特許第3122925号公報 特開平11−83495号公報 特開平9−126783号公報 特開平10−38579号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の構成では、圧電セラミクスのキュリー点の低さから、リフロー実装時における260℃程度の全体加熱に対し性能や信頼性が損なわれる可能性がある。さらに、柱状の振動子では、同一の長さの音叉に比べ、屈曲振動モードの共振周波数が高くなる。共振周波数の高周波数化は、ジャイロの感度を劣化させる要因となる。また、柱状の振動子の材料をキュリー点の高い単結晶とした場合は、耐熱性の点において改善が見込めるが、一般に単結晶のQ値は、数万と非常に高く、理想的なノードの存在しない柱状の振動子では、支持点から振動が漏れ、高いQ値を維持できない。仮に高いQ値を維持できる支持構造を構成することができたとしても、支持ワイヤ等の複雑で大きな支持構造が必要となり、振動子を小型化しても実質的に小型化できない。
また、特許文献3の構成では、上記先行文献と同様に圧電セラミクスのキュリー点の低さから、リフロー実装時における260℃程度の全体加熱に対し性能や信頼性が損なわれる可能性がある。さらに帯状電極間で分極処理が必要となるため、振動子を小型化することによって電極間隔も狭くなり、分極処理で高電圧を印加した際に放電等の不良を発生し、歩留まりを低下させる可能性が高い。また、音叉振動の支持は、比較的容易であるが、面外振動では、振動子のベース部に回転が生じ、その支持が難しい。結果として複雑な支持構造や大きな支持構造が必要となる。
また、特許文献4の構成では、少なくとも電極を2つ以上の側面に施す必要があるため、その点においては、特許文献1、2および3に示した構成と比較し生産性で劣る。より安価な製品を供給するためには、より簡素な構成の提案が必要である。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、耐熱性に優れ、簡素な構成でありながら、感度劣化の少ない、小型化に適した、量産性に優れる圧電振動ジャイロを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、振動子形状は、支持が容易で共振周波数を低く設計できるH形を選び、振動子材料には、キュリー点が高く、結合係数の大きいLiTaOまたはLiNbO圧電単結晶を選んだ。さらに、振動子の結晶方位は、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行にしたLiTaO圧電単結晶X板、または、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたLiNbO圧電単結晶X板とすることで、振動子の幅方向の電界による圧電横効果を大きくし、電極を振動子の1側面だけで構成できるようにした。
表1は、本発明の圧電振動ジャイロにおける結晶方位の利点を説明するための表である。表1は、FEM解析による容量比γの最小値の推定を示している。ここでは、LiNbO圧電単結晶を例に、図6に示した音叉形振動子を従来のLiNbO圧電単結晶のX軸50°回転Z板(X軸140°回転Y板)の場合と、それを振動子の長手方向の軸に関して90°回転させたX板の場合(振動子の長手方向は結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行)とで比較したものである。
Figure 0004044547
この解析モデルの寸法は、全長が13mm、厚さがlmm、ベース1の幅が3mm、ベース1、アーム2aおよび2bの長さが6.5mm、アーム2aおよび2bの幅がlmm、音叉(面内)振動モードおよび面外振動モードの共振周波数が約20kHzである。図7に、これらの結晶軸を示した。なお、表1において、容量比γは、圧電振動子の電気−機械変換効率をあらわす指標であり、小さいほど効率が良いことを示す。アーム2aおよび2bやベース1の表面全体の4側面に電極を配置した場合は、ほとんど差はないが、振動子の表裏の1側面だけに電極を配置した解析結果では、結果が大きく異なる。表1の結果から明らかなようにZ板では、面外モードの効率が大幅に落ちているが、それに対してX板は、音叉振動モードの効率が若干劣るものの、面外振動モードの効率の低下は小さく、駆動と検出効率のバランスの良い構成を実現できることが分かる。従来、屈曲モードを利用した圧電振動ジャイロには、LiTaO圧電単結晶のX軸40°回転Z板、または、LiNbO圧電単結晶のX軸50°回転Z板が用いられてきたが、振動子の1側面だけを利用した簡素な構成の圧電振動ジャイロには、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行にしたLiTaO圧電単結晶X板、または、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたLiNbO圧電単結晶X板が有利である。また、音叉形振動子ではベース部が回転し支持が難しい面外振動モードを振動子の形状をH形とすることで上下のアームがバランスし、ベース部の回転運動を抑え、ベース部での支持を容易にすることができる。したがって、簡素な支持構成で振動子を実装することができ、小型化に適している。
請求項1に記載の発明は、平行に配置された第1、第2、第3および第4のアームと、前記アーム接続したベースを備え、第1および第2のアームと、第3および第4のアームが前記ベースを介して対称に位置するように、圧電単結晶にて一体的に形成され、前記第1および第2のアームに音叉振動用電極、前記第3および第4のアームに面外振動用電極が施されたH形振動子を用いるH形圧電振動ジャイロであって、前記第1および第2のアームには、前記第1および第2のアームの主面を幅方向に3分割する帯状電極が長手方向と平行に形成され、前記第3および第4のアームには、前記第3および第4のアームの主面を幅方向に2分割する帯状電極が長手方向と平行に形成されており、前記主面と平行でかつ、前記アームの長手方向と垂直な方向の電界による圧電横効果により、前記第1および第2のアームの音叉振動と、前記第1および第2のアームの音叉振動と直交した、前記第3および第4のアームの面外振動を励振および検出することを特徴とするH形圧電振動ジャイロである。
これによれば、振動子の幅方向の電界による圧電横効果を利用することで、1面のみの電極構成で、音叉振動と面外振動を励振および検出することができる。また、素子形状および電極形状の対称性が高く、さらに、上下のアームで駆動電極と検出電極が分離されているため、検出電極には、不要な漏れ出力の発生が少なく、高安定な圧電ジャイロを実現できる。
また、請求項に記載の発明は、前記圧電単結晶からなる前記H形振動子は、その主面と平行な方向に前記圧電単結晶の分極軸を向けたことを特徴とするH形圧電振動ジャイロである。
これによれば、振動子の主面と平行な方向に結晶の分極軸を向けることで、振動子の幅方向の電界による圧電横効果を効率良く利用することができ、1面のみの電極構成で、音叉振動と面外振動を効率良く励振および検出することが可能となる。
また、請求項に記載の発明は、前記H形振動子は、LiTaO3圧電単結晶で形成され、前記H形振動子の主面は、前記LiTaO3圧電単結晶のXカット面であり、且つ、前記H形振動子の長手方向は、前記LiTaO3圧電単結晶のY軸がX軸に関して40±20°回転した軸と平行であることを特徴とする上記のH形圧電振動ジャイロである。
これによれば、材料のQmが高く、振動子の幅方向に電界に対して圧電横効果の大きいLiTaO圧電単結晶の結晶方位を利用することで、高効率に音叉振動モード、面外振動モードの励振、検出が可能である。さらに、キュリー点が高いため、リフロー実装時における260℃程度の全体加熱に対し性能や信頼性が劣化し難い。
請求項に記載の発明は、前記H形振動子は、LiNbO3圧電単結晶で形成され、前記H形振動子の主面は、前記LiNbO3圧電単結晶のXカット面であり、且つ、前記H形振動子の長手方向は、前記LiNbO3圧電単結晶のY軸がX軸に関して50±20°回転した軸と平行であることを特徴とする上記のH形圧電振動ジャイロである。
これによれば、請求項と同様に、材料のQmが高く、振動子の幅方向に電界に対して圧電横効果の大きいLiNbO3圧電単結晶の結晶方位を利用することで、高効率に音叉振動モード、面外振動モードの励振、検出が可能である。さらに、キュリー点が高いため、リフロー実装時における260℃程度の全体加熱に対し性能や信頼性が劣化し難い。



以上の手段を用いる本発明によれば、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行にしたLiTaO圧電単結晶X板、または、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたLiNbO圧電単結晶X板等の圧電単結晶およびその結晶方位を用いることで、振動子の表裏1面のみの電極配置でも十分な感度を得られる圧電振動ジャイロを構成できる。さらに、振動子に高いキュリー点を持つ材料を採用することで、リフロー実装等にジャイロ本体が260℃程度の高温にさらされても性能劣化が圧電セラミクスより少ない。さらに、対称性の良い振動子形状、電極形状とすることで、不要な漏れ結合を抑圧し高安定化を実現することが可能となる。
すなわち、本発明の効果は、電極形成や組みたて時の入出力配線等が容易で生産性が高く、小形化に適した安価で高安定な耐熱性に優れる音叉形圧電振動ジャイロを提供できることである。
以下に、本発明による音叉形圧電振動ジャイロ(H形圧電振動ジャイロ)の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明のH形圧電振動ジャイロの基本的な動作原理について説明する。図4は、本発明の圧電振動ジャイロで使用する振動モードを示す斜視図である。図4に示すようなH形の圧電体に、図4(a)および図4(b)の振動モードに結合した電極を配置し、励振および検出可能なH形圧電振動子を構成する。図4(a)に示した音叉振動モードの共振周波数に近い周波数の駆動信号を電極に印加し、音叉振動モードを励振する。その状態で、振動子の長さ方向の軸に角速度を印加すると、振動子には、角速度に比例したコリオリ力が働き、図4(b)に示した面外振動モードを生じる。この面外振動モードによって生じる電気信号を電極から取り出せば、角速度に比例した電気信号が得られ、圧電振動ジャイロとして機能させることができる。この場合では、駆動モードに音叉振動モード、検出モードに面外振動モードを利用しているが、これらを入れ替えて、駆動モードに面外振動モード、検出モードに音叉振動モードを利用することも可能である。
図1、図2および図3を用いて本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本発明のH形振動子の斜視図を示したものである。図1に示すように、平行で左右対称に配置された2本のアーム2aおよび2bとそれらを接続したベース1があり、さらに、2本のアーム3aおよび3bが上下対称になるようにベース1に接続され、圧電体を形成している。アームおよびベースの長さは2mm、アームの幅、振動子の厚さおよびアームのスリット幅は0.2mmである。音叉振動モードおよび面外振動モードの共振周波数は、約40kHzである。アーム2aの主面(アーム2a,2bの軸を含む平面に平行な面)には、アーム2aの長手方向と平行に駆動電極5とその左右に基準電位電極8aおよび8bを配置している。同様に、アーム2bの主面には、駆動電極6とその左右に基準電位電極8cおよび8dを配置している。また、アーム3aおよび3bの主面には、それぞれアームの幅を2分割する帯状電極がアームの長手方向と平行に形成されており、アームの内側には、検出電極7aおよび7b、外側には、基準電位電極8eおよび8fを配置している。なお、電極寸法は、長さが2.2mm、駆動電極幅が0.12mm、検出電極および基準電位電極幅が0.02mmである。圧電体は、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行にしたLiTaO圧電単結晶X板、または、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたLiNbO圧電単結晶X板を使用しており、振動子の幅方向の電界に対して、圧電横効果が大きい。したがって、振動子の幅方向に電界を印加することで、振動子の長手方向に歪を生じさせ、アームを屈曲させることができる。
図2は、本発明の圧電振動ジャイロにおけるH形振動子の断面図を示したものである。駆動電極6と基準電位電極8cおよび8dの間に駆動電圧を印加することで、図2(a)のような電界が発生する。その結果、駆動電極6の左右では、アームの幅方向に関して逆向きの電界となるため、一方では長さ方向に伸び、もう一方では長さ方向に縮むこととなる。したがって、音叉振動モードを駆動電極6により励振することができる。また、同様に、駆動電極5と基準電位電極8aおよび8bの間に駆動電極6に加えた電圧と逆位相の電圧を印加することで、音叉振動モードを2倍の効率で励振することができる。
次に、アームの長手方向の軸に角速度を加えると、図2(b)のようにコリオリ力よる面外振動モードが生じる。この振動は、振動子の面と垂直方向に左右のアームが逆向きに振動する。この振動の検出には、検出電極7aおよび7bと基準電位電極8eおよび8fの間の信号差として検出することができる。なお、図に示した通り、面外振動モードによって生じる検出電極7aおよび7bの信号は、同振幅、同位相である。
上記の説明では、駆動モードに音叉振動モード、検出モードに面外振動モードを利用して、圧電振動ジャイロを構成する場合について説明したが、駆動モードと検出モードを入れ替えた場合にも同様に使用することができる。
表2は、本発明の実施の形態における電極配置の利点を説明するための表である。表2に本実施の形態での各電極のγの解析結果を示す。FEM解析によって、各振動モードの共振周波数と反共振周波数を計算しγを求めた。ただし、ここでは、素子表面および外部への信号の取り出し等による配線の浮遊容量は考慮していない。
Figure 0004044547
表2の結果から明らかなように、駆動電極と上部アームの音叉振動モード、検出電極と面外振動モードについては、大きな結合を持っているが、それ以外の不要な結合は、非常に小さく無視できるレベルにあることが分かる。この理由は、図5の電荷分布の概略図から明らかである。図5は、各振動モードでの発生電荷が集中する位置と極性を「+」および「−」の記号で示している。図5(a)は、上部アームの音叉振動モードでの電荷分布を示している。駆動電極は、ほぼこの分布に沿って配置されており、検出電極が配置されている位置には、電荷が分布していないのがわかる。同様に、図5(b)は、面外振動モードの電荷分布を示している。検出電極は、下部アームに発生するこの電荷分布に沿って配置されており、駆動電極が配置されている位置に電荷は分布していない。また、上部アームに分布している電荷は、基準電位電極内で正と負がキャンセルされ、駆動電極に影響を与えない。図5(c)も同様に下部アームの音叉振動モードの電荷分布を示している。駆動電極が配置されている位置に電荷が分布しておらず、駆動電極によって、下部アームの音叉振動モードが励振されないことが分かる。また、仮に下部アームの音叉振動モードが発生しても検出電極7aと7bには、逆極性の電荷が発生するため、キャンセルされ出力に表れないことが分かる。さらに、このH形振動子の構成では、駆動電極と検出電極が上下のアームに隔てられて配置されており、静電的結合が小さく、また、対称性の良いH形形状では音叉振動モードと面外振動モードの機械的結合も小さい特徴がある。このように、本発明の構成では、検出電極に生じる不要な漏れ出力を大幅に抑制できる構成であり、安定なジャイロ出力を得ることが可能である。ただし、本実施の形態では、上部アームと下部アームで電極配置が異なるため、上部アームと下部アームの音叉振動モードがそれぞれ独立に存在させることができているが、極端にベース部が短い条件では、上部アームと下部アームの音叉振動モードが結合してしまう可能性があるため、ベース部の長さは、ある一定以上の長さが必要である。
図3は、本発明の圧電振動ジャイロにおける回路構成を示すブロック図である。図3に示すように、自励発振回路102から出力される信号を駆動電極6に印加し、同時に自励発振回路102から出力される信号を移相回路100によって位相を反転した信号を駆動電極5に印加し、上部アームの音叉振動モードを励振する。検出電極7aおよび7bには、オペアンプ11と抵抗器13で構成させる電流検出回路が接続されている。下部アームには音叉振動がほぼ存在しないうえ、仮に音叉振動成分があったとしても、検出電極7aと7bに発生する信号は、互いに逆位相であり、キャンセルされる。したがって、同期検波回路103に入力される信号は、角速度に比例したコリオリ力によって生じる面外振動モード成分のみとなり、ローパスフィルタ104から出力される直流電圧は、角速度に比例した直流電圧となる。また、自励発振回路102から出力された信号は、同期検波回路103の参照信号としても利用される。
すなわち、本発明によるH形圧電振動ジャイロは、1側面のみの簡素な電極構成でありながら圧電振動ジャイロとしての機能を実現できる。
以上より、本発明によれば、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行にしたLiTaO圧電単結晶X板、または、振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたLiNbO圧電単結晶X板等の圧電単結晶およびその結晶方位を用いることで、振動子の表裏1面のみの電極配置でも十分な感度を得られる圧電振動ジャイロを構成できる。また、振動子に高いキュリー点を持つ材料を採用することで、リフロー実装等によりジャイロ本体が260℃程度の高温にさらされても性能劣化が圧電セラミクスより少ない。さらに、対称性の良いH形素子構成により不要な漏れ出力が検出電極に生じることが無いだけでなく、面外振動モードのベース部の回転を抑圧することができ支持が容易である。したがって、電極形成や組立て時の入出力配線等が容易で生産性の高い、小形化に適した、安価で高安定な耐熱性に優れる圧電振動ジャイロを提供できる。
本発明の圧電振動ジャイロにおけるH形振動子の構造を示す斜視図。 本発明の圧電振動ジャイロにおけるH形振動子の駆動および検出方法を説明するための断面図。図2(a)は、音叉振動モードの駆動方法を示す断面図。図2(b)は、面外振動モードの検出方法を示す断面図。 本発明の圧電振動ジャイロにおける回路構成を示すブロック図。 本発明の圧電振動ジャイロで使用する振動モードを示す斜視図。図4(a)は、上部アーム音叉振動モードを示す斜視図。図4(b)は、面外振動モードを示す斜視図。図4(c)は、下部アーム音叉振動モードを示す斜視図。 本発明の圧電振動ジャイロにおける各振動モードにおける電荷分布の概略を示す図。図5(a)は、上部アーム音叉振動モードを示す図。図5(b)は、面外振動モードを示す図。図5(c)は、下部アーム音叉振動モードを示す図。 表1のFEM解析結果を説明するためのモデルを示す図。 表1のFEM解析結果を説明するためのモデルの結晶軸を示す図。図7(a)は、X軸50°回転X板の場合を示す図。図7(b)は、X軸50°回転Z板の場合を示す図。 従来の圧電振動ジャイロにおける振動子の構造を示す説明図。図8(a)は、斜視図。図8(b)は、断面図。 従来の圧電振動子の構造を示す斜視図。 従来の他の例の圧電振動ジャイロにおける振動子の構造を示す斜視図。 従来のさらに他の例の圧電振動ジャイロにおける振動子の構造を示す斜視図。
符号の説明
1 べ−ス
2a,2b,3a,3b アーム
5,6 駆動電極
7a,7b 検出電極
8a,8b,8c,8d,8e,8f 基準電位電極
11 オペアンプ
13 抵抗器
50 柱状体
51,53 検出電極
52 駆動電極
70 H形振動子
71 ベース
72 上部アーム
73 下部アーム
74 スリット
100 移相回路
102 自励発振回路
103 同期検波回路
104 ローパスフィルタ
200 側面
201,202,203,204,205,206 帯状電極
207 圧電振動子
208 ランド
301 柱状体
302,304 検出電極
303 駆動電極

Claims (3)

  1. 平行に配置された第1、第2、第3および第4のアームと、前記アームと接続するベースとを備え、第1および第2のアームと、第3および第4のアームが前記ベースを介して対称に位置するように、一体に形成された圧電単結晶からなり、前記第1および第2のアームに音叉振動用電極、前記第3および第4のアームに面外振動用電極が施されたH形振動子を用いる圧電振動ジャイロであって、前記第1および第2のアームには、前記第1および第2のアームの軸を含む平面に平行な面である主面を幅方向に3分割する帯状電極が長手方向と平行に形成され、前記第3および第4のアームには、前記第3および第4のアームの軸を含む平面に平行な面である主面を幅方向に2分割する帯状電極が長手方向と平行に形成されており、前記主面と平行でかつ、前記アームの長手方向と垂直な方向の電界による圧電横効果により、前記第1および第2のアームの音叉振動と、前記第1および第2のアームの音叉振動と直交した、前記第3および第4のアームの面外振動を励振および検出するものであり、前記主面と平行な方向に前記圧電単結晶の分極軸を向けたことを特徴とする圧電振動ジャイロ。
  2. 前記圧電単結晶は、LiTaO3であり、前記主面は、前記圧電単結晶のXカット面であり、且つ、前記H形振動子の長手方向は、前記圧電単結晶のY軸がX軸に関して40±20°回転した軸と平行であることを特徴とする請求項1記載の圧電振動ジャイロ。
  3. 前記圧電単結晶は、LiNbO3であり、前記主面は、前記圧電単結晶のXカット面であり、且つ、前記H形振動子の長手方向は、前記圧電単結晶のY軸がX軸に関して50±20°回転した軸と平行であることを特徴とする請求項1記載の圧電振動ジャイロ。
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