JP4044361B2 - 工具位置検知用センサを付属させたアタッチメント交換装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は数値制御工作機械のアタッチメント交換装置に関するものである。詳しくは工具長補正と工具折損検出のための信号を出力する工具位置検知用センサを備えたアタッチメント交換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
門形マシニングセンタの自動工具長補正装置や工具折損検出装置は通常クロスレールやコラムに取り付けられている。場合によりテーブルに取り付けられる場合もある。図5は、コラムに近い位置でクロスレール下部に工具位置検知用センサを格納した収納箱を取着した機械全体の斜視図である。
【0003】
図5において、主軸頭102を載架し水平方向(Y軸)を案内するクロスレール101は、ベッド103とトップビーム104と一対のコラム105A,105Bとで構成されるフレームにおいて平行な案内面を形成する一対のコラム105A,105Bにより上下方向(W軸)の移動位置決めが行われる。
【0004】
通常、門形マシニングセンタでは一方のコラム105Bの機外側面に自動工具交換装置ATCの工具マガジン113が設けられ、これに主軸頭102が接近して工具の授受を行う工具ハンドリング部材108がコラム105Bの近傍に設けられている。そのため、切粉を避けるため箱に収納されている工具計測のための装置一式は、工具を装着した主軸頭が接近しやすいように他方のコラム105Aの近傍に設けられることが多い。
【0005】
前記の補正装置や検出装置はカバーがされた収納箱106に納められている。
補正装置と検出装置は接触式センサ107が安定性・経済性から選択されることが多い。
工具長補正は、クイル112が制御モータにより上下方向(Z軸)に移動されることによりクイル内の主軸に取り付けられた工具を上下方向に送り、接触式センサと接触したときに信号を出力し、使用する工具刃先の実際位置を計測することができる。
【0006】
図6は図5で示した収納箱106の扉が開き計測用の接触式センサ107が前進した状態の説明図である。図6において、収納箱106はコラム105A側のクロスレール101の下部に取着され一体で上下方向に移動する。計測に先立って、収納箱106に収納されていた接触式センサ107A,107Bを載置したセンサ台109は、扉110を押し広げリンク111で前進駆動され所定の位置で待機している。主軸頭102に装着された被計測工具Tは接触式センサ107Aまたは107Bと接触して該センサが感知信号を出力するまで移動する。即ち、工具長補正は接触式センサ107Aで、工具径補正は接触式センサ107Bで行うことができる。工具の折損,破損は接触式センサ107A,107Bの加工前後のデータを比較することにより可能である。
【0007】
ところで門形マシニングセンタでは、自動工具交換装置(以降ATCと称する)に加え、自動アタッチメント交換装置(以降AACと称する)を併設することが多くなってきている。AACもその性格上主軸頭102の移動可能な領域に近いことが望ましい。そのため、加工機の間近には2種類のアタッチメントを備えた2ステーション方式を設けることが多い。交換用のアタッチメントは加工の進行中に別に設けた運搬手段、例えばマニュピレータにより機械間近のステーションに搬送しておけば支障なく多種アタッチメントのAACが遂行可能である。図5に示すように収納箱106をクロスレール101の下に設け、アタッチメントを交換するときだけ、アタッチメントを主軸頭102の直下に搬入する方法も考えられる。
【0008】
このようにATCとAACを一対のコラムのそれぞれの近傍に設けることにより接触式センサ107の収納箱106の設置場所が得にくくなっている。接触式センサ107自体は形状が小さいので場所は取らないが、加工時の工具などとの干渉や、汚れと切粉堆積を嫌うため箱に入れて待機させておく方が都合が良い。
【0009】
図7は実開昭55−156833号で開示されたアタッチメント搬送装置である。門形マシニングセンタのコラム105の外側に固設されたベース121上にX軸方向に送り制御される載置台122が設けられている。載置台122に待機中のアタッチメント124Aはアーム123上を機内方向(Y軸)に移動し主軸頭102の直下に位置決めされる。ラム又はクロスレール101の降下(Z軸またはW軸)によりアタッチメント124Bの授受が行われる。
なお、アームを旋回する方式を採用しているアタッチメント搬送装置に、特開平4−275859号が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術で述べたように、門形マシニングセンタには通常ATCが装備されており、一方のコラムにATCを、他方のコラムに工具用センサの収納箱のみを設ける場合は設置スペース上の問題はないが、大形加工機械の自動化の進展に伴いAACが併設されることが多くなって工具用センサの収納箱の配置の問題がクローズアップされている。このため、両側のコラムに間近にATCとAACが付設されると、工具及びアタッチメントの授受に要する空間を考慮すると、更に工具用センサの収納箱をクロスレールやコラムに取り付けようとしても、ATCやAACの関連部材により取着する場所がないという問題を有している。
また、テーブルに取着する場合は、ワークとの緩衝,切削水や切粉による汚れ、計測時にクロスレールの昇降が必要などの問題を有している。
【0011】
本発明は従来技術の有するこのような問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、アタッチメント交換装置内の格納位置とアタッチメント交換位置との間で、進退駆動部材で駆動して進退移動可能なアタッチメント置台を利用して、アタッチメント置台が前進端に位置決めされたときに主軸に装着された被計測工具が接触して計測信号を出力するようにアタッチメント置台に工具位置検知用センサを設けて、アタッチメントの交換と工具の検知とを可能とする工具位置検知センサを設けたアタッチメント置台を構成要素とするアタッチメント交換装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、工具位置検知用センサを付属させた数値制御工作機械のアタッチメント交換装置であって、前記アタッチメント交換装置におけるアタッチメント格納位置と交換位置との間を進退移動可能に設けられたアタッチメント置台と、該アタッチメント置台の前記進退移動を行う進退駆動部材と、前記アタッチメント置台に設けられアタッチメント置台が前進端に位置決めされたとき主軸に装着された被計測工具が接触して計測信号を出力する工具位置検知用センサとを含んでなりアタッチメント交換時と工具位置検知センサ使用時の進退移動は進退駆動部材が供用されることを特徴とする工具位置検知用センサを付属させたものである。
【0013】
請求項1の発明によれば、門形マシニングセンタのコラムの周辺にATCやAACが設けられている場合に、主軸頭の移動範囲に主軸に装着された工具と接触可能な領域近くに工具位置検知用センサとその収納箱を単独に設ける空間を確保することが困難となっている。そのため、アタッチメント授受のとき主軸の直下に移動位置決めされるアタッチメント交換装置を構成するアタッチメント置台の先端部に被計測工具が接触したときに信号を出力する工具位置検知用センサを設けるようにアタッチメント交換装置を構成したものである。
【0014】
このように、アタッチメント置台に工具位置検知用のセンサを設けることによりアタッチメント置台を後退させた時はアタッチメント交換装置の収納箱に工具位置検知用センサも共に格納されることになる。このようにアタッチメント交換装置を構成した結果、工具位置検知用センサを主軸の工具位置に前進位置決めするための駆動部材と、これらの収納箱の設置と、設置のための空間の確保を単独に配慮する必要がなくなった。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は工具位置検知用センサを付属させたアタッチメント交換装置の門形マシニングセンタにおける配置説明図、図2はアタッチメント置台の前進位置説明図(図1のAA断面)、図3はアタッチメント置台の後退位置説明図(図1のAA断面)、図4はアタッチメント置台に設けた工具位置検知用センサの斜視図である。
【0016】
実施形態の詳細な説明に先立ち門形マシニングセンタと従来のアタッチメント交換装置との関係が基本事項となるので説明を加える。
図1において、門形マシニングセンタの主要部は、ベッド1,テーブル2,コラム3A,3B(図示しない),クロスレール4,主軸頭5及び図示しないトップビームで構成されている。付属設備として、一方のコラム3Bの周辺に自動工具交換装置が、他方のコラム3Aの周辺に自動アタッチメント交換装置10が設けられている。クロスレール4の上下方向(W軸)を一対のコラム3A,3Bで案内し主軸頭5はクロスレール4に載架案内され左右方向(Y軸)に位置決めされている。
【0017】
門形マシニングセンタは加工対象のワークが大形であり、一旦基準面を設定後は同じテーブル上で加工工具を変更し能率良く加工することが求められる。そのため、加工工具を取着して主軸に装着するための予備のアタッチメントを機械本体の近くに複数基準備するためのアタッチメント交換装置10がアタッチメントの授受が可能な域内に設けられている。アタッチメントは図中に示す通常の主軸ユニット6、90度アンギュラ主軸ユニット7の他に図示しない主軸ユニットとして45度アンギュラ形や深い位置まで工具刃先が達するようにしたエクステンション形等がある。従って交換を予定するアタッチメントの形態に応じてアタッチメント交換装置にアタッチメント置台が設けられる。
【0018】
アタッチメント交換装置10は、アタッチメント置台11やこれを駆動する進退駆動部材15に、加工により飛散した切粉の堆積や切削液の付着を防止するために装置一式が扉17付の収納箱13に格納されている。収納箱13には、クロスレール4上の主軸頭5がアタッチメント交換装置10を設置したコラム3A側の所定の位置にY軸制御により移動し位置決めされたとき、進退駆動部材15で駆動されるアタッチメント置台11は前進し、授受したアタッチメントを載置できるように形成されたアタッチメント置台11上の台座11aの中心が主軸ユニット6の中心の真下に到達できるように進退駆動部材15が設けられている。
【0019】
アタッチメント置台11の前進に先立ってその移動方向に開き、後退して格納位置に到達後に閉じる扉17が設けられ、格納したアタッチメント置台11と進退駆動部材とを保護している。図2に例示するアタッチメント置台11は、上面にアタッチメントを載置し位置決めするガイド部材18及び丸穴11bが設けられている。また、収納箱13の空間スペース13aには90度アンギュラ主軸ユニット7のアタッチメントの格納と進退駆動機構を構築可能である。なお、3種以上の異なるアタッチメントを交換可能とするためには、アタッチメント交換装置10とは別に本体フレームに近接した位置にアタッチメントを保管するアタッチメントステーションを設けハンドリングロボットでアタッチメント交換装置10へ必要なアタッチメントを供給する。
【0020】
次に本発明に係る工具位置検知用センサを付属させたアタッチメント交換装置の実施の形態について詳細に説明する。
図1は当該アタッチメント交換装置の正面図、図2は当該アタッチメント置台の前進位置を、図3はアタッチメント置台の後退位置を示している。
図1乃至図3において、アタッチメント置台11は案内ベース14により案内されて進退駆動部材15により主軸ユニットの真下に前進する。進退駆動部材15はピストンシリンダ部材16やねじ送り部材のいずれでも良い。
当該アタッチメント置台11の先端部には、アタッチメントを安定して載置できるようガイド部材18や案内穴11bがアタッチメントの形状に対応して形成されている。アタッチメント置台11が前進して主軸ユニット6の軸心の左右方向(Y軸)の移動軌跡上にあるように位置決めされている。
【0021】
扉17は支軸19を中心に開閉する。扉17はアタッチメント置台11の進退と関連して開閉され切削中の収納箱13への異物の混入は完全に防ぐようシールされている。図3,図4に示すアタッチメント交換装置において示すアタッチメント置台11の移動軌跡は主軸ユニット6の軸心の移動軌跡と斜交しているが、アタッチメント置台は、前記軸心の移動軌跡の延長線上のスペース13aに設けても良い。
また、アタッチメント交換装置に2種類のアタッチメント置台を収納箱13の空間を十分活用して立体的に配設することも可能である。
その場合、いずれかのアタッチメント置台11に工具位置検出用センサ12を設けることができる。
【0022】
図4において、アタッチメント置台11の先端には工具位置検知用センサ12が固設されている。工具位置検知用センサ12は工具長補正と工具折損検出の役割を有する。工具T1の先端がXY平面と平行な計測面12aと、若しくは工具T2の先端がXZ平面と平行な計測面12bの面と接触したときに検知信号の出力を可能とすることにより垂直な工具T1または水平な工具T2の工具長補正が可能である。このような2計測面で検知可能な場合には、工具折損検出にも使用可能である。
工具位置検知用センサ12は接触式センサに限定されない。レーザによる非接触式センサを使用して工具径・工具長の計測、工具の折損,刃先の欠損の検出も可能である。
【0023】
次に、工具位置検知用センサ12の工具長補正と工具折損検出について補足説明する。図2において、アタッチメント置台11が前進位置にあるときはアタッチメントの中心と工具位置検知用センサ12の計測域は主軸の移動する平面(YZ面)上に存在する。最初に工具長補正のプロセスについて説明する。
【0024】
図1において、工具位置検知用センサ12が接触式の当該センサである場合、垂直な工具T1は降下(Z軸)して当該センサの上面12a(XY平面に平行な面)に接触することにより検知信号を発信する。90度アンギュラアタッチメントに装着された水平な工具T2の場合は、図2において当該センサ12の端面12b(XZ平面と平行な面)に刃先が接触したとき前記検知信号を発信する。
なおここでは、2方向検知形センサを図示しているが、水平面で検知するセンサと端面で検知する1方向検知形センサを併設することも可能である。このように工具の先端位置を検出することにより刃先の現在位置を制御装置に送り、プログラムされた切込方向の送り量を正確に制御することが可能となる。工具径補正も同様な原理で可能である。
【0025】
次に工具折損検出について説明する。工具折損には工具の異常摩耗や工具欠損が含まれる。工具折損検出は加工前後の工具計測データを比較することにより容易に実施可能である。
前述した工具位置検知用センサ12自体の使用法は従来の計測方法と同じであるが、当該センサが取着されているアタッチメント置台11と共に移動させて計測位置で待機させ当該センサを動作させるようにした点に特徴がある。
なお、レーザを使用した非接触式センサの場合は、レーザ光を遮ったときのZ軸(X軸)の値から工具長・工具径の補正を行い、加工前後の工具計測データを比較することにより工具折損の検出が可能である。
【0026】
以上のように、アタッチメント置台11の進退駆動部材15は、アタッチメントを交換する時や、工具位置検知用センサ12を使用する時のいずれの場合にも共通して使用することができる。また、アタッチメント置台11を工具位置検知用センサ12の運搬手段として共通して使用することができる。また、図3に示すようにアタッチメント置台11が後退位置、即ち収納箱13に収まったときは扉17も閉じ、加工作業が続行されても箱内部が汚れることがない。アタッチメント交換装置10と工具位置検知用センサ12が同一収納箱に格納できることとなる。
なお、上記の実施の形態においては門形マシニングセンタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アタッチメントと測定装置とを要する数値制御工作機械であれば広く適用可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明の工具位置検知用センサを付属させたアタッチメント交換装置は、上述のように構成されているので次に記載する効果を奏する。
アタッチメント交換装置から進退移動して主軸ユニットとの間でアタッチメントを授受するアタッチメント置台に、工具位置検知用センサを取着して工具長補正や工具折損検出を行うものである。工具位置検知用センサはアタッチメント置台と一体で加工中はアタッチメント交換装置内に収納されるよう構成されているので、従来のアタッチメント交換装置を門形マシニングセンタに装備するのと同様にコラムやクロスレールに取り付けることができる。従って、工具位置検知用センサ専用の空間を必要としない効果を有する。
また、切粉液による汚れや切粉の付着等からも保護するアタッチメント交換装置の全体カバーと、計測時に工具位置検知用センサを主軸中心に移動する駆動部材をアタッチメント交換装置と共用できるため、安価に製作できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】工具位置検知用センサを付属させたアタッチメント交換装置を門形マシニングセンタのクロスレールに設けた配置説明図である。
【図2】図1のAA断面のアタッチメント置台の前進位置説明図である。
【図3】図1のAA断面のアタッチメント置台の後退位置説明図である。
【図4】アタッチメント置台に設けた工具位置検知用センサの斜視図である。
【図5】従来の門形マシニングセンタのコラムに近い位置で、クロスレール下部に取り付けられた工具位置検知用センサを格納した収納箱の配置を示す機械全体の斜視図である。
【図6】図5に示す収納箱から前進して主軸の工具と接触する工具位置検知用センサの状態図である。
【図7】自動アタッチメント交換装置(AAC)の斜視図である。
【符号の説明】
1 ベッド 2 テーブル
3 コラム 4 クロスレール
5 主軸頭 6 主軸ユニット
7 90度アンギュラ主軸ユニット
10 アタッチメント交換装置
11 アタッチメント置台
12 工具位置検知用センサ
13 収納箱 14 案内ベース
15 進退駆動部材
16 ピストン・シリンダ部材
17 扉 18 ガイド部材
19 支軸 T1,T2 工具
Claims (1)
- 数値制御工作機械のアタッチメント交換装置であって、前記アタッチメント交換装置におけるアタッチメント格納位置と交換位置との間を進退移動可能に設けられたアタッチメント置台と、該アタッチメント置台の前記進退移動を行う進退駆動部材と、前記アタッチメント置台に設けられアタッチメント置台が前進端に位置決めされたとき主軸に装着された被計測工具が接触して計測信号を出力する工具位置検知用センサとを含んでなりアタッチメント交換時と工具位置検知センサ使用時の進退移動は進退駆動部材が供用されることを特徴とする工具位置検知用センサを付属させたアタッチメント交換装置。
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