JP4043340B2 - コーヒー又は紅茶用ドリッパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、挽いたコーヒー豆原料からコーヒーを入れる場合、又は紅茶の葉から紅茶を入れる場合等に使用するコーヒー又は紅茶用ドリッパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコーヒードリッパーは、全体が陶器、磁器、又は耐熱プラスチックで構成され、コーヒードリッパーに備えられた逆円錐台状の濾紙収納部の底には通液孔が設けられ、濾紙収納部の側方には把手部が設けられ、更に濾紙収納部の下外側には円形台の設置部が設けられていた。
このようなコーヒードリッパーの使用にあっては、カップ等の所定の容器に設置部を介してコーヒードリッパーを載せた後、濾紙収納部に漏斗状の濾紙を広げて入れ、この濾紙内に挽いたコーヒー豆を所定量入れた後、上方から熱湯を注いで容器内に抽出したコーヒー液を流下させ、コーヒーを作っていた。
しかし、濾紙収納部の底に設けられた通液孔は、常時開放状態となっているので、1つの容器内にコーヒー液を抽出したコーヒードリッパーを他の容器に移そうとする場合、コーヒーの豆原料や濾紙に含まれているコーヒー液が通液孔から雫となって漏れ出すという問題があった。
そこで、図7に示すように、逆円錐台状の濾紙収納部80の底部分に設けられた通液孔81に、常時は弾性的に付勢されてコーヒー液の流下を防ぐ栓82を設けると共に、この栓82を開くロッド部材83を設け、しかもこのロッド部材83の操作部84を濾紙収納部80の一方側に設けられた把手部85の近傍に配置したコーヒードリッパー86が提案されている。なお、ロッド部材83は、濾紙収納部80の外側に設けられたガイド部87及び把手部85の各開口部88、89をそれぞれ貫通し、濾紙収納部80に沿って斜め方向に移動可能に支持され、ロッド部材83の下端には栓82が、上端には操作部84がそれぞれ設けられ、更に、把手部85と操作部84との間には、栓82を上方に付勢する弾性部材90が設けられている。また、濾紙収納部80の下外側には円形の設置部91が設けられている。
これにより、個別の容器にそれぞれコーヒーを作る場合、コーヒードリッパー86の移送中に通液孔81からのコーヒー液の漏れを防止でき、しかも場合によっては紅茶を作ることも可能になる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−275840号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したコーヒードリッパーには、以下の問題がある。
コーヒー液の流下を行うため操作部を押圧した場合、又はコーヒー液の流下を停止するため操作部の押圧を止めた場合、ロッド部材は濾紙収納部の壁面に沿って斜め方向に移動するので、栓も通液孔に対して斜め方向に移動する。このため、栓の側部が通液孔の内側周囲と擦れ合って、通液孔が開放又は閉塞されるので、コーヒードリッパーを繰返し使用することで栓が偏摩耗し、栓により通液孔を閉塞する場合に、十分に閉塞状態を維持できなくなり、通液孔からのコーヒー液の漏れが発生する恐れがある。
ここで、斜め方向に移動しているロッド部材を、上下方向に平行移動させることで、栓を上下方向に移動させ、栓の偏摩耗を防止することも考えられるが、ロッド部材を上下方向に平行移動させるためには、ガイド部及び把手部の各開口部の大きさを現状より大きくする必要があり、ガイド部及び把手部が現状より大きくなり、コーヒードリッパーをコンパクトにできない。なお、ロッド部材が濾紙収納部の外側に露出しているため、外観性も悪い。
また、設置部の大きさは、使用する各種容器の大きさを予め考慮して設けられているため、その外径を大きくする必要があり、やはりコーヒードリッパーをコンパクトにできない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、栓の偏摩耗を防止でき、外観性が良好で、しかもコンパクトにできるコーヒー又は紅茶用ドリッパーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパーは、上部一端には外側に突出する把手部を備えると共に、底部分には濾過された液を流下する通液孔が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部と、上下動し前記通液孔に常時付勢される栓と、前記栓の開閉操作を行う操作部材とを有するコーヒー又は紅茶用ドリッパーであって、
前記栓はテーパー状に形成された前記通液孔の下部口に下から上に向けてスプリングによって付勢され、しかも、前記操作部材は、前記把手部に基部があって前記濾紙収納部の内側斜面に近接して配置され、先部が前記栓の突出部に連結されて前記基部の押圧操作によって前記栓を下方に押し下げ可能なロッド部材と、前記基部の押圧操作によって前記ロッド部材の先部を上下方向にガイドするガイド機構とを有し、
しかも、前記濾紙収納部の内側の下部中央には濾紙を載せる載置台が設けられ、該載置台は側部に対向する垂直ガイド孔が設けられた筒体と該筒体の上部にある円形板とを有し、前記筒体内に前記栓の突出部が嵌入し、前記垂直ガイド孔を挿通する前記ロッド部材の先部ごと前記スプリングによって上方に付勢され、しかも、前記ガイド機構は前記ロッド部材の先部が挿通する前記垂直ガイド孔と、該垂直ガイド孔に挿通する手前位置の該ロッド部材に設けられ、該ロッド部材の基部を押し下げた場合に前記ロッド部材の先部が前記垂直ガイド孔に更に深く嵌入するのを防止するストッパーとを有してなる。
このように、濾紙収納部の内側に配置されたロッド部材の先部に連結され、しかも通液孔の下部口に対して下から上に向けてスプリングによって付勢された栓を、ガイド機構によって上下方向に移動できるので、栓の斜め方向への移動を防止できる。
【0006】
また、載置台の筒体の側部に対向する垂直ガイド孔を設け、この各垂直ガイド孔にロッド部材の先部が挿通されているので、ロッド部材を垂直ガイド孔に沿って上下方向に移動させることができる。また、垂直ガイド孔に挿通する手前位置のロッド部材にストッパーが設けられているので、ロッド部材の基部の押し下げ時において、例えロッド部材が斜め方向に移動し、ロッド部材の先部が垂直ガイド孔に更に深く嵌入しようとしても、ストッパーが垂直ガイド孔を貫通することなく筒体に当接して下降するため、ロッド部材の先部に連結される栓も通液孔の下方へ真直ぐに下降する。
【0007】
また、第2の発明に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパーは、上部一端には外側に突出する把手部を備えると共に、底部分には濾過された液を流下する通液孔が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部と、該濾紙収納部の下外側に設けられた設置部と、上下動し前記通液孔に常時付勢される栓と、前記栓の開閉操作を行う操作部材とを有するコーヒー又は紅茶用ドリッパーであって、
前記栓はテーパー状に形成された前記通液孔の下部口に下から上に向けてスプリングによって付勢され、しかも、前記操作部材は、前記把手部に基部があって前記濾紙収納部の内側斜面に近接して配置され、先部が前記栓の突出部に連結されて前記基部の押圧操作によって前記栓を下方に押し下げ可能なロッド部材と、前記基部の押圧操作によって前記ロッド部材の先部を上下方向にガイドするガイド機構とを有し、
前記設置部は、前記濾紙収納部の下部周囲に設けられた円形台と、円形台の周辺部に基部が取付けられて水平方向に開閉可能に設けられた3本以上の脚と、開いた状態のそれぞれの前記脚を所定位置で係止する保持部材とを有する。このように、設置部の円形台の周辺部には、水平方向に開閉可能な3本以上の脚が設けられているので、容器の大きさに応じて水平方向に各脚を開き、濾紙収納部を容器の上に脚を介して載せることができる。また、保持部材により、開いた状態の各脚を所定位置で係止できるので、各脚のぐらつきを防止できる。
【0008】
前記目的に沿う第の発明に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパーは、上部一端には外側に突出する把手部を備えると共に、底部分には濾過された液を流下する通液孔が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部と、濾紙収納部の下外側に設けられた設置部と、上下動し前記通液孔に常時付勢される栓と、前記栓の開閉操作を行う操作部材とを有するコーヒー又は紅茶用ドリッパーであって、
前記設置部は、前記濾紙収納部の下部周囲に設けられた円形台と、円形台の周辺部に水平方向に開閉可能に設けられた3本以上の脚と、開いた状態のそれぞれの前記脚を所定位置で係止する保持部材とを有し、
それぞれの前記脚は同一形状となって、その基部が前記円形台の同一半径位置の円周上に均等配置されたピンに回動可能に配置され、閉じた状態では底面視して前記円形台の最外周円内に納まる。
このように、設置部の円形台の周辺部には、水平方向に開閉可能な3本以上の脚が設けられているので、容器の大きさに応じて水平方向に各脚を開き、濾紙収納部を容器の上に脚を介して載せることができる。また、保持部材により、開いた状態の各脚を所定位置で係止できるので、各脚のぐらつきを防止できる。
【0009】
更に、このように、各脚の形状を同一形状にするので、製造コストを低減できる。また、脚の基部を円形台にピンを介して回動可能に配置するので、各脚を簡単な構成で開閉できる。そして、各脚は、閉じた状態では円形台の最外周円内に納まるので、コーヒー又は紅茶用ドリッパーの使用時以外は、コンパクトにできる。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパーの説明図、図2は同ドリッパーの斜視図、図3(A)〜(D)はそれぞれ同ドリッパーの載置台、栓、ロッド部材、ロック機構の説明図、図4は同ドリッパーの底面図、図5は同ドリッパーの受け台の説明図、図6は同ドリッパーの使用状態の説明図である。
【0012】
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパー(以下、単にドリッパーとも言う)10は、上部一端に外側に突出する把手部11を備えると共に、底部分に濾過された液を流下する通液孔12が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部13と、濾紙収納部13の下外側に設けられた設置部14と、上下動し通液孔12に常時付勢される栓15と、栓15の開閉操作を行う操作部材16とを有している。なお、このドリッパー10の材質は耐熱性を有するプラスチックである。以下、詳しく説明する。
【0013】
濾紙収納部13に設けられた把手部11は、濾紙収納部13と同一の材質で構成され、例えば1〜2cmの幅を備え、しかも側面視して環状となった把手本体17と、濾紙収納部13の上端面と同一平面上に設けられ、濾紙収納部13と把手本体17とを接続する水平部18とを有している。ここで、把手本体17の形状は、水平部18を備えたコ字状や、逆L字状としてもよい。なお、この把手部11は、濾紙収納部13と一体的に製造してもよく、また、把手部11と濾紙収納部13とを個別に製造して接合してもよい。
【0014】
濾紙収納部13には、濾紙収納部13と同一の材質で構成された蓋19が、把手部11と対向する側に設けられた折り曲げ可能な接続部20を介して設けられている。この蓋19は円板状(円盤状)となっており、操作部材16に備えられたロッド部材21と接触しないように、外側に開口した切欠き部22が設けれられている。なお、濾紙収納部13、蓋19、及び濾紙収納部13と蓋19とを接続する接続部20を一体的に製造することも、また個別に製造して接合することも可能である。そして、蓋19の形状は、中央部が外側へ膨らんだ部分球状とすることも可能である。更に、濾紙収納部13及び蓋19に係合部材を設けることで、濾紙収納部13に蓋19をした状態を維持することもできる。
これにより、濾紙収納部13を蓋19で塞ぐことができるので、例えば濾紙収納部13内に紅茶の葉を入れた後お湯を注ぎ、濾紙収納部13内で蒸らすことができる。
【0015】
図1、図2、図3(A)に示すように、濾紙収納部13の内側の下部中央には、濾紙23を載せる載置台24が設けられている。この載置台24は、側部に対向する垂直ガイド孔25が設けられた筒体26と、筒体26の上部に装着され、中央部に貫通孔を備えた円形板27とを有している。筒体26の側部で、垂直ガイド孔25と異なる位置には、濾紙収納部13内の液体を通液孔12に流下させるための2つの開口部28が設けられている。
円形板27の下側には、底面視して環状となった軸心を同じとする2つの突出部29、30が設けられ、この突出部29と突出部30との間に溝部31が形成されている。なお、突出部29の外径は筒体26の内径と実質的に同一で、また突出部30の内径は筒体26の外径と実質的に同一である。
これにより、円形板27の溝部31を筒体26の上端部に上方から嵌め込むことで、筒体26の上端部を溝部31に嵌入させ、円形板27を筒体26の上部で確実に支持し、固定できる。ここで、円形板の下側に突出部29を設けることなく、突出部30のみを設け、かつ円形板の貫通孔の内径を筒体26の内径と同じとすることで、円形板を筒体26の上端部に上方から嵌め込み、筒体26の上端に円形板を当接させ、筒体26に円形板を固定することもできる。
【0016】
なお、筒体26に設けた垂直ガイド孔25及び開口部28は、筒体の上方に開放させてもよい。このようにしても、筒体の上端部には円形板27が装着されるので、筒体の上側が筒体の外側周囲に開くことを防止できる。
また、濾紙収納部13内の液体は、筒体26の各開口部28から通液孔12に流下するので、円形板27に貫通孔を形成することなく、円板状とすることも可能である。これにより、濾紙23を円形板上に安定に載置できる。
この載置台24は、濾紙収納部13と一体的に製造してもよく、また、載置台24と濾紙収納部13とを個別に製造した後接合したり、置台24と濾紙収納部13に雄ねじ、雌ねじをそれぞれ設け、取付けることも可能である。
【0017】
筒体26の内部には、耐食性を有するステンレスで構成され、自由状態では伸びた状態にある例えば、圧縮コイル(つる巻)ばね、円錐コイルばね等からなるスプリング32が配置されている。なお、このスプリング32は、その下端が通液孔12を構成する段差部33上に固定されている。また、筒体26の下方、即ち濾紙収納部13の底部には通液孔12が設けられ、通液孔12の下部にはテーパー状の下部口34が形成されている。
図1、図2、図3(B)に示すように、この通液孔12の下部口34には、栓15の下部に設けられ、ゴム又は弾力性を有するプラスチックからなり、実質的に半球状となった栓本体35が、その曲面を当接可能に配置されている。また、栓本体35には、栓本体35の上方に突出した棒状となった栓15の突出部36が設けられ、この突出部36は筒体26の軸心に合わせてスプリング32内に嵌入し、スプリング32の上方に突出した状態で配置されている。突出部36の上側には、ロッド部材21に設けられ、各垂直ガイド孔25を挿通してスプリング32の上端に配置される水平状態の先部37が、貫通して連結可能となる貫通孔38が設けられている。
これにより、スプリング32が自由状態では、スプリング32により、栓15がロッド部材21の先部37ごと通液孔12の下部口34に下から上に向けて付勢される。
【0018】
図1、図2、図3(C)に示すように、ロッド部材21は、ステンレス製の棒材を曲げることで構成され、濾紙収納部13の内側斜面に沿って近接して配置される傾斜部39を備えており、先部37と傾斜部39とのなす角が、例えば100〜130度の範囲になっている。垂直ガイド孔25に挿通する手前位置のロッド部材21の先部37には、垂直ガイド孔25の開口幅より大きなストッパー40が設けられている。なお、ロッド部材21は、実質的に逆L字状となって把手部11に設置される基部41を備えており、この基部41を押し下げた場合には、垂直ガイド孔25に沿って下降するロッド部材21の先部37が、垂直ガイド孔25から筒体26内に更に深く嵌入するのをストッパー40によって防止できる。
この垂直ガイド孔25及びストッパー40は、ロッド部材21の基部41の押圧操作によって、ロッド部材21の先部37を上下方向にガイドするガイド機構を構成している。なお、このガイド機構は、操作部材16に含まれる。
【0019】
ロッド部材21の基部41は、把手部11に設けられたロック機構42によって、押し下げた状態で固定できる。
図1、図2、図3(D)に示すように、ロック機構42は、把手部11の基部上方に設けられ逆L字状となった固定部43と、把手部11の水平部18中央に設けられた開口部44に挿通され、上下方向に移動可能な操作ボタン45とを有している。この操作ボタン45の高さ方向の中央部上側には、固定部43に係止可能な突出部46が設けられ、この突出部46の上方には、操作ボタン45を水平方向に貫通し、ロッド部材21の基部41の水平部分を移動可能に挿通する貫通孔47が設けられている。また、ロッド部材21の基部41の垂直部分は、把手部11の水平部18に設けられた貫通孔48に挿通され、基部41から操作ボタン45が外れること防止すると共に、ロッド部材21が上下方向へ移動するようにガイドしている。
なお、固定部43及び突出部46の形状は、それぞれ鉤状とすることも可能である。また、固定部43を把手部11の水平部18の把手本体17側に、突出部46を操作ボタン45の把手本体17側にそれぞれ設けることも可能である。
【0020】
これにより、栓15を下降させる場合においては、操作ボタン45を指で押圧した状態で、固定部43に突出部46が係合するように、操作ボタン45を濾紙収納部13側へ移動させて係合させる。これにより、操作ボタン45の押圧状態を維持でき、スプリング32を圧縮状態に維持して下部口34を開放状態にできる。また、下部口34を栓15で閉塞する場合には、操作ボタン45を押圧し、固定部43から突出部46が外れるように操作ボタン45を把手本体17側へ移動させることで、操作ボタン45を自由状態にし、スプリング32を自由状態にして下部口34を閉塞状態にできる。
【0021】
図1、図2、図4に示すように、設置部14は、濾紙収納部13の下部周囲に設けられた円形台49と、円形台49の裏側周辺部に基部が取付けられて水平方向に開閉可能に設けられた4本の脚50と、開いた状態のそれぞれの脚50を所定位置で係止する保持部材51とを有する。
各脚50は、濾紙収納部13の底部下側に通液孔12を囲むように設けられた液体の飛散防止材52に対して湾曲し、その先部が下方に突出する接地部53を備え、しかも脚50の基部に貫通孔54を設けた同一形状となっている。また、円形台49裏側の同一半径位置の円周上には、下端部が半球状となった係止部55を備えたピン56が、円形台49の軸心を中心として90度ごとに均等配置されている。なお、ピン56のピン本体57の直径は、脚50の基部に設けられた貫通孔54の内径より例えば1mm程度小さく、係止部55の直径は、貫通孔54の内径より、例えば1mm程度大きくなっている。
これにより、製造時には、貫通孔54をピン56の係止部55に押込むことで、ピン56に各脚50を取付けることができ、取付け後は、脚50をピン56に対して回動可能に配置できる。
【0022】
また、円形台49の裏側の各ピン56の周辺部には、下方に突出した保持部材51が、各ピン56を中心として等角度(例えば、20〜50度)に3個設けられている。この保持部材51の位置は、脚50を段階的に開いた状態で維持できる位置になっており、飛散防止材52に最も近い位置にある保持部材51は、脚50を閉じた状態に維持できる位置に配置されている。なお、脚50は閉じた状態では底面視して円形台49の最外周円内に納まる長さであるため、設置部14をコンパクトにできる。
このように、設置部14の円形台49の外径を、コーヒー液を入れる容器58の内径より小さくし、濾紙収納部13を各脚50を介して容器58の上に載せることができるので、容器58内部に注がれた例えばコーヒーの量を目視しながら、濾紙収納部13内にお湯を注ぐことができる。
【0023】
図5に示すように、濾紙収納部13の下側には、設置部14を下側から覆って固定する受け台59が設けられている。この受け台59は、濾紙収納部13と同一の材質で構成され、その形状は、断面円形の容器状となっている。この受け台59の内径Dは、円形台49の外径より例えば5〜10mm程度大きくなっている。
円形台49の外側周辺部には、3つの凹部60が異なる位置、例えば円形台49の軸心を中心として等角度(120度)ごとにそれぞれ設けられている。この凹部60の形状は、実質的に矩形状になっているが、円形台49の外側に開口していればよく、例えば、半円形、半楕円形、半卵形、三角形等にすることも可能である。
【0024】
受け台59の内側には、受け台59の軸心に向かって突出し凹部60を挿通可能な凸部61が設けられている。なお、凸部61下面と受け台59の底部62上面との高さ方向の間隔dは、円形台49の上端から飛散防止材52の下端までの距離より、例えば2〜5mm大きくなっている。また、凸部61の先端で形成される円の直径D1は、円形台49の外径より小さくなっている。
これにより、円形台49の凹部60に凸部61を挿通し、飛散防止材52の下端を受け台59の内側底面に当接させた後、平面視して凹部60が凸部61と異なる位置になるように円形台49を受け台59に対して回動させることで、円形台49に受け台59を取付け、受け台59内に設置部14を収納した状態を維持できる。
【0025】
続いて、本発明の一実施の形態に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパー10の使用方法について、挽いたコーヒー豆原料からコーヒーを入れる場合、紅茶の葉から紅茶を入れる場合について、それぞれ説明する。
まず、設置部14から受け台59を取外し、容器58の大きさに応じて設置部14の各脚50を開き、ドリッパー10を容器58の上に設置部14を介して載せる(図1参照)。この状態で、上方から濾紙収納部13内に濾紙23を入れ、濾紙23の底部が載置台24の上端に載置されるように配置する(図2参照)。なお、このとき、操作ボタン45は押圧下降されておらず、スプリング32が伸びた状態(自由状態)を維持するため、通液孔12の下部口34は栓15の栓本体35により閉塞状態に維持される。
【0026】
この後、コーヒー豆を挽いたコーヒー原料を濾紙23内に入れて、上方から熱湯を注いだ後、蓋19を閉めてコーヒー液を作る。数秒経過した(コーヒー液ができた)後、ドリッパー10の通液孔12を、開いた状態に維持させるため、操作ボタン45を押圧下降する。これにより、ロッド部材21は略垂直方向に下降するため、栓15は、通液孔12の下方に略垂直方向に下降し、通液孔12が開放状態になる。そして、操作ボタン45を押圧したまま濾紙収納部13側へ移動させることで、操作ボタン45の突出部46を、固定部43に係止する。
これにより、操作ボタン45は下降状態が維持され、スプリング32が圧縮状態を維持するので、栓15が通液孔12の下部口34とは隙間を有して配置される状態が維持される(図6参照)。これにより、濾過されたコーヒー液が、円形板27の貫通孔及び筒体26の開口部28を介して通液孔12へ流下し、容器58の中へ流れ込む。従って、操作ボタン45を指で押圧し続けることなく、通液孔12が開いた状態を維持できる。よって、多くのコーヒー液を作る場合は、濾紙23内のお湯の量を見ながら、更にお湯を注ぎ続けることで、ドリッパー10からのコーヒー液の流下を連続的に行うことができるので、作業性が良好である。
【0027】
なお、容器58へのコーヒー液の流下が終了した場合、又は容器58へのコーヒー液の流下を停止する場合は、操作ボタン45の突出部46が固定部43から外れる位置まで、操作ボタン45を押圧しながら濾紙収納部13と反対側にずらすことで、操作ボタン45の押圧下降状態が解除される。これにより、スプリング32に加えられていた力が無くなり、スプリング32は自由状態になる。従って、栓15は通液孔12に対して略垂直方向に上昇し、栓本体35が下部口34に当接して、通液孔12の閉塞状態が維持される(図1参照)。従って、コーヒーの原料豆や濾紙23に含まれているコーヒー液の通液孔12からの漏れ出しを、片手による押圧操作のみで容易に防ぐことができるので、作業性及び操作性が良好になる。
なお、ドリッパー10の使用が終了した後は、受け台59にドリッパー10を載置して放置できるので、例えば、栓15や飛散防止材52に付着したコーヒー液の雫が、台の上に付着することを防止できる。
【0028】
次に、紅茶の葉から紅茶を入れる場合について説明する。
まず、ドリッパー10を受け台59に載置した状態で、ドリッパー10の濾紙収納部13内に濾紙23を入れ、濾紙23の底部が載置台24の上端に配置されるように配置する(図2参照)。なお、このとき、操作ボタン45は押圧下降されておらず、スプリング32が伸びた状態(自由状態)にあるため、通液孔12の下部口34は栓15の栓本体35により閉塞状態が維持されている。この後、紅茶の葉を濾紙23内に入れ、上方から熱湯を注ぎ、濾紙収納部13に蓋19をした後、紅茶を抽出するため所定時間(例えば、10秒から3分程度)放置する。
【0029】
紅茶ができた後、設置部14から受け台59を取外し、ドリッパー10を容器58の上に持って行き、操作ボタン45を指で押圧することで、容器58に紅茶を流下させる。なお、容器58に流下させる量は多くないため、容器58に所定量紅茶を流下させた後は、操作ボタン45を押圧していた指を離すことで、通液孔12を栓15により閉塞し、紅茶の流下を停止する。この動作を繰返すことで、通液孔12から雫を漏らすことなく、複数の容器58に紅茶を流下させることが可能となる。
なお、ドリッパー10の使用が終了した後は、受け台59にドリッパー10を載置して放置できるので、例えば、栓15や飛散防止材52に付着した紅茶の雫が、台の上に付着することを防止できる。
【0030】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明のコーヒー又は紅茶用ドリッパーを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、コーヒー又は紅茶用ドリッパーを、挽いたコーヒー豆原料にお湯を注いでコーヒーを入れる場合、又は紅茶の葉にお湯を注いで紅茶を入れる場合に使用したが、お茶(日本茶、中国茶等)の葉にお湯を注いでお茶を入れる場合に使用することも勿論可能である。
【0031】
そして、前記実施の形態においては、設置部の円形台の外側周辺部に3つの凹部を等角度に設けた場合について説明したが、1つ又は2つでもよく、更には4つ以上の凹部を設けることも可能である。なお、円形台に設ける凹部の個数は、受け台に設ける凸部の個数と同数、又はそれより多くなっても構わない。即ち、凹部の個数が凸部の個数より多い場合、例えば凹部が2つで凸部が1つの場合、凸部を2つの凹部のいずれか一方を使用して挿通できるので、円形台からの受け台の取付け取外しが容易になる。
なお、凸部と同数の凹部が円形台に複数配置される場合、その配置位置は必ずしも等角度に設ける必要はないが、凹部の配置位置を等角度にすることで、いずれの凹部からも各凸部の挿通が可能になるので、円形台からの受け台の取付け取外しが容易にできる。
更に、前記実施の形態においては、円形台に設けた脚の本数を4本とした場合について説明したが、脚の本数は、濾紙収納部を脚を介して容器の上に載置できればよいので、3本でもよく、5本以上とすることも可能である。
【0032】
【発明の効果】
請求項1、2記載のコーヒー又は紅茶用ドリッパーにおいては、濾紙収納部の内側に配置されたロッド部材の先部に連結され、しかも通液孔の下部口に対して下から上に向けてスプリングによって付勢された栓を、ガイド機構によって上下方向に移動できるので、栓の斜め方向への移動を防止できる。これにより、栓は通液孔の下部口に対して真直ぐに上下動し、栓の偏摩耗が防止できるので、通液孔からのコーヒー又は紅茶の漏れを防止できる。また、栓の偏摩耗が防止できるので、コーヒー又は紅茶用ドリッパーを長期使用でき経済的である。そして、ロッド部材は濾紙収納部の内側に配置されているので、ロッド部材が上下方向に平行移動できるように構成しても、コーヒー又は紅茶用ドリッパーをコンパクトにでき、しかも外観性を良好にできる。
【0033】
特に、請求項1記載のコーヒー又は紅茶用ドリッパーにおいては、載置台の筒体の側部に対向する垂直ガイド孔を設け、この各垂直ガイド孔にロッド部材の先部が挿通されているので、ロッド部材を垂直ガイド孔に沿って上下方向に移動させることができる。また、垂直ガイド孔に挿通する手前位置のロッド部材にストッパーが設けられているので、ロッド部材の基部の押し下げ時において、例えロッド部材が斜め方向に移動し、ロッド部材の先部が垂直ガイド孔に更に深く嵌入しようとしても、ストッパーが垂直ガイド孔を貫通することなく筒体に当接して下降するため、ロッド部材の先部に連結される栓も通液孔の下方へ真直ぐに下降する。これにより、簡単な構成で、栓を通液孔の下部口に対して真直ぐに上下動させることができる。
【0034】
請求項記載のコーヒー又は紅茶用ドリッパーにおいては、設置部の円形台の周辺部には、水平方向に開閉可能な3本以上の脚が設けられているので、容器の大きさに応じて水平方向に各脚を開き、濾紙収納部を容器の上に脚を介して載せることができる。これにより、コーヒー又は紅茶用ドリッパーをコンパクトにできると共に、様々な大きさの容器にも使用できる。
また、保持部材により、開いた状態の各脚を所定位置で係止できるので、各脚のぐらつきを防止でき、コーヒー又は紅茶用ドリッパーを容器の上に載せるときの作業性が良好になる。
【0035】
請求項記載のコーヒー又は紅茶用ドリッパーにおいては、設置部の円形台の周辺部には、水平方向に開閉可能な3本以上の脚が設けられているので、容器の大きさに応じて水平方向に各脚を開き、濾紙収納部を容器の上に脚を介して載せることができる。これにより、従来のように設置部を大きくすることなくコンパクトにできるので、コーヒー又は紅茶用ドリッパーの持ち運びが容易になり、しかも各脚の開き具合によっては様々な大きさの容器にも使用できる。
また、保持部材により、開いた状態の各脚を所定位置で係止できるので、各脚のぐらつきを防止でき、コーヒー又は紅茶用ドリッパーを容器の上に載せるときの作業性が良好になる。
更に、各脚の形状を同一形状にするので、製造コストを低減でき経済的である。また、脚の基部を円形台にピンを介して回動可能に配置するので、各脚を簡単な構成で開閉でき、製造時における作業性が良好になる。そして、各脚は、閉じた状態では円形台の最外周円内に納まるので、コーヒー又は紅茶用ドリッパーの使用時以外はコンパクトにでき、例えばキャンプ地へのコーヒー又は紅茶用ドリッパーの持ち運びが容易になる。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパーの説明図である。
【図2】同ドリッパーの斜視図である。
【図3】(A)〜(D)はそれぞれ同ドリッパーの載置台、栓、ロッド部材、ロック機構の説明図である。
【図4】同ドリッパーの底面図である。
【図5】同ドリッパーの受け台の説明図である。
【図6】同ドリッパーの使用状態の説明図である。
【図7】従来例に係るコーヒー又は紅茶用ドリッパーの説明図である。
【符号の説明】
10:コーヒー又は紅茶用ドリッパー、11:把手部、12:通液孔、13:濾紙収納部、14:設置部、15:栓、16:操作部材、17:把手本体、18:水平部、19:蓋、20:接続部、21:ロッド部材、22:切欠き部、23:濾紙、24:載置台、25:垂直ガイド孔、26:筒体、27:円形板、28:開口部、29、30:突出部、31:溝部、32:スプリング、33:段差部、34:下部口、35:栓本体、36:突出部、37:先部、38:貫通孔、39:傾斜部、40:ストッパー、41:基部、42:ロック機構、43:固定部、44:開口部、45:操作ボタン、46:突出部、47:貫通孔、48:貫通孔、49:円形台、50:脚、51:保持部材、52:飛散防止材、53:接地部、54:貫通孔、55:係止部、56:ピン、57:ピン本体、58:容器、59:受け台、60:凹部、61:凸部、62:底部

Claims (3)

  1. 上部一端には外側に突出する把手部を備えると共に、底部分には濾過された液を流下する通液孔が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部と、上下動し前記通液孔に常時付勢される栓と、前記栓の開閉操作を行う操作部材とを有するコーヒー又は紅茶用ドリッパーであって、
    前記栓はテーパー状に形成された前記通液孔の下部口に下から上に向けてスプリングによって付勢され、しかも、前記操作部材は、前記把手部に基部があって前記濾紙収納部の内側斜面に近接して配置され、先部が前記栓の突出部に連結されて前記基部の押圧操作によって前記栓を下方に押し下げ可能なロッド部材と、前記基部の押圧操作によって前記ロッド部材の先部を上下方向にガイドするガイド機構とを有し、
    しかも、前記濾紙収納部の内側の下部中央には濾紙を載せる載置台が設けられ、該載置台は側部に対向する垂直ガイド孔が設けられた筒体と該筒体の上部にある円形板とを有し、前記筒体内に前記栓の突出部が嵌入し、前記垂直ガイド孔を挿通する前記ロッド部材の先部ごと前記スプリングによって上方に付勢され、しかも、前記ガイド機構は前記ロッド部材の先部が挿通する前記垂直ガイド孔と、該垂直ガイド孔に挿通する手前位置の該ロッド部材に設けられ、該ロッド部材の基部を押し下げた場合に前記ロッド部材の先部が前記垂直ガイド孔に更に深く嵌入するのを防止するストッパーとを有してなることを特徴とするコーヒー又は紅茶用ドリッパー。
  2. 上部一端には外側に突出する把手部を備えると共に、底部分には濾過された液を流下する通液孔が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部と、該濾紙収納部の下外側に設けられた設置部と、上下動し前記通液孔に常時付勢される栓と、前記栓の開閉操作を行う操作部材とを有するコーヒー又は紅茶用ドリッパーであって、
    前記栓はテーパー状に形成された前記通液孔の下部口に下から上に向けてスプリングによって付勢され、しかも、前記操作部材は、前記把手部に基部があって前記濾紙収納部の内側斜面に近接して配置され、先部が前記栓の突出部に連結されて前記基部の押圧操作によって前記栓を下方に押し下げ可能なロッド部材と、前記基部の押圧操作によって前記ロッド部材の先部を上下方向にガイドするガイド機構とを有し、
    前記設置部は、前記濾紙収納部の下部周囲に設けられた円形台と、該円形台の周辺部に基部が取付けられて水平方向に開閉可能に設けられた3本以上の脚と、開いた状態のそれぞれの前記脚を所定位置で係止する保持部材とを有することを特徴とするコーヒー又は紅茶用ドリッパー。
  3. 上部一端には外側に突出する把手部を備えると共に、底部分には濾過された液を流下する通液孔が設けられた実質的に逆円錐台状の濾紙収納部と、該濾紙収納部の下外側に設けられた設置部と、上下動し前記通液孔に常時付勢される栓と、前記栓の開閉操作を行う操作部材とを有するコーヒー又は紅茶用ドリッパーであって、
    前記設置部は、前記濾紙収納部の下部周囲に設けられた円形台と、該円形台の周辺部に水平方向に開閉可能に設けられた3本以上の脚と、開いた状態のそれぞれの前記脚を所定位置で係止する保持部材とを有し、
    それぞれの前記脚は同一形状となって、その基部が前記円形台の同一半径位置の円周上に均等配置されたピンに回動可能に配置され、閉じた状態では底面視して前記円形台の最外周円内に納まることを特徴とするコーヒー又は紅茶用ドリッパー。
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