以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の一の実施形態にかかる部品装着ヘッドの一例であるヘッド部100の断面図を図1に示す。
図1に示すように、ヘッド部100は、部品の一例としてチップ部品等の電子部品1を解除可能に吸着保持する部品保持部材の一例である吸着ノズル2を備えている。このヘッド部100は、図示しないが、機台上に保持された回路基板に対して電子部品1の装着を行う電子部品装着装置に装備されて用いられる。例えば、ヘッド部100は、上記機台の上方においてXYロボットにより上記回路基板の表面の大略平行に移動可能に支持されており、ヘッド部100の吸着ノズル2に電子部品1を解除可能に保持させた後、上記回路基板における電子部品1の装着位置と上記保持された電子部品1との位置合わせを行い、吸着ノズル2を下降させて電子部品1を上記回路基板の装着位置に装着させるという電子部品の装着動作を行うことができる。なお、上記位置合わせは、ヘッド部100自体の上記XYロボットによる移動に加えて、ヘッド部100においても、吸着ノズル2をその軸芯である回転中心回りに回転移動(すなわちθ回転)させることによっても行われる。すなわち、ヘッド部100において、吸着ノズル2は昇降移動及び回転移動が可能となっている。
このようなヘッド部100の構造について詳細に説明する。図1に示すように、ヘッド部100は、吸着ノズル2を着脱可能に装備する軸部の一例であるシャフト部10と、このシャフト部10を介してシャフト部10に装備された吸着ノズル2を昇降させる昇降装置20と、シャフト部10を介して吸着ノズル2をその回転中心回りに回転させる(すなわちθ回転させる)回転装置30とを備えている。
また、このようなヘッド部100が装備されるような電子部品装着装置においては、上記回路基板への電子部品1の装着に要する時間を短縮化して装着効率を向上させるために、ヘッド部に吸着ノズル2を複数本装備させて、一度に保持可能な電子部品1の数量を増加させる手法が多く用いられている。本実施形態のヘッド部100においても、吸着ノズル2を一例として8本装備させることが可能となっている。すなわち、ヘッド部100には、シャフト部10及び昇降装置20が8組備えられており、夫々のシャフト部10が一定の間隔ピッチでもって一列に配列(すなわち、夫々のシャフト部10に装備される夫々の吸着ノズル2が上記一定の間隔ピッチでもって一列に配列)されているとともに、夫々のシャフト部10と一対一に対応するように、夫々の昇降装置20が一列に配列されている。また、上記8組のシャフト部10及び昇降機構20の夫々は、ヘッド部100に備えられているヘッドフレーム40に上記配列でもって支持されている。また、回転装置30は、互いに隣接する4つのシャフト部10に装備された4本の吸着ノズル2に対して上記回転を行うことが可能となっており、8本の吸着ノズル2を装備可能なヘッド部100においては、2つの回転装置30がヘッドフレーム40に支持されて備えられている。
(シャフト部について)
このような構成のヘッド部100において、まず、シャフト部10の詳細な構造について説明する。なお、ヘッド部100が備える8つのシャフト部10は夫々同様な構造を有しているため、以降のシャフト部10の構造の説明においては、特記しない限り、これらのうちの1つのシャフト部10の構造について説明するものとする。
図1に示すように、夫々のシャフト部10は、吸着ノズル2を着脱可能に装備する保持部材取付部の一例であるノズル取付部11aがその先端部(図示下端)に形成されたスプラインシャフト11を備えている。また、ノズル取付部11aに装備された吸着ノズル2がスプラインシャフト11を介して回転可能とさせるため、スプラインシャフト11は、対応する回転装置30によりその回転中心R(スプラインシャフト11の軸芯でもある)回りに回転可能となっている。また、同様に、装備された吸着ノズル2をスプラインシャフト11を介して昇降可能とするため、スプラインシャフト11は、対応する昇降装置20により回転中心R沿いに昇降可能となっている。
このようにシャフト部10において、このスプラインシャフト11が上記回転可能かつ上記昇降可能な状態にて、シャフト部10がヘッドフレーム40により支持されている。次に、このシャフト部10の支持構造について図2に示すシャフト部10の部分拡大模式図を用いて説明する。
図2に示すように、シャフト部10は、略円筒状の形状を有してその内周面がスプラインシャフト11の外周面に接するように、スプラインシャフト11の回転中心R沿いに互いに離間して配置され、かつ、スプラインシャフト11を上記昇降可能に支持する2つのスプラインナットである第1スプラインナット12(図示上側に設置)と第2スプラインナット13(図示下側に設置)とを、さらに備えている。
また、図2に示すように、シャフト部10において、大略円筒状の形状を有してその内周面が第1スプラインナット12の外周面(外周部)に固定されたナット固定部の一例である第1ナット固定部14aを有する第1円筒部材の一例である第1外筒カラー14と、同様に、大略円筒状の形状を有してその内周面が第2スプラインナット13の外周面(外周部)に固定されたナット固定部の一例である第2ナット固定部15aを有する第2円筒部材の一例である第2外筒カラー15とが、さらに備えられている。
また、図2に示すように、第1外筒カラー14は、第1ナット固定部14aの図示上端において、第1ナット固定部14aの図示上側の径が小さくなるように段部14cが形成されている。また、ヘッドフレーム40が備える大略円筒状の形状を有するシャフトフレーム41(軸部支持部の一例である)の内周面に、この段部14cの上記径が小さく形成されている部分の外周面(支持受け部の一例である第1支持受け部14bとする)が、軸受け部51を介して、回転可能に支持されている。また、第2外筒カラー15についても、第2ナット固定部15aの図示下端において、第2ナット固定部15aの図示下側の径が小さくなるように段部15cが形成されている。また、シャフトフレーム41の内周面に、この段部15cの上記径が小さく形成されている部分の外周面(支持受け部の一例である第2支持受け部15bとする)が、軸受け部52を介して、回転可能に支持されている。
なお、上述のように第1スプラインナット12と第2スプラインナット13とが互いに離間して配置されているため、図2に示すように、第1スプラインナット12と軸受け部51とは、シャフトフレーム41の図示上端近傍に配置されており、第2スプラインナット13と軸受け部52とは、シャフトフレーム41の図示下端近傍に配置されている。
また、図2に示すように、第1スプラインナット12の外周面における下側の一部は、第1外筒カラー14の第1ナット固定部14aより露出されるように、第1ナット固定部14aと第1スプラインナット12の外周面とが固定されており、また、同様に、第2スプラインナット13の外周面における上側の一部は、第2外筒カラー15の第2ナット固定部15aより露出されるように、第2ナット固定部15aと第2スプラインナット13の外周面とが固定されている。さらに、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13における上記夫々の露出されている外周面に、略円筒状の形状を有する連結用円筒部材の一例である中間カラー16がその略円筒形状の内周面を接着されて、シャフト部10に備えられている。
なお、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の夫々の外周面の径(外径)と、第1外筒カラー14の第1ナット固定部14aの内周面(内周部)の径(内径)、第2外筒カラー15の第2ナット固定部15aの内周面(内周部)の径(内径)、及び中間カラー16の内周面の径(内径)の夫々は、略同じ寸法となるように形成されている。さらに、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の上記外周面に接着されて固定されている中間カラー16の図示上下方向の両端部は、第1外筒カラー14及び第2外筒カラー15の夫々の端部に接合された状態となっている。
また、第1外筒カラー14において、第1支持受け部14bの外周面の径が、第1ナット固定部14aの内周面の径(すなわち、第1スプラインナット12の外周面の径)と略同じ、好ましくは上記内周面の径よりも小さくなるように(例えば、1mm程度から第1スプラインナット12の厚さ寸法程度までの範囲の寸法だけ小さくなるように)、段部14cが形成されている。また、同様に、第2外筒カラー15において、第2支持受け部15bの外周面の径が、第2ナット固定部15aの内周面の径(すなわち、第2スプラインナット13の外周面の径)と略同じ、好ましくは上記内周面の径よりも小さくなるように(例えば、1mm程度から第2スプラインナット13の厚さ寸法程度までの範囲の寸法だけ小さくなるように)、段部15cが形成されている。また、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16の外周面と、シャフトフレーム41の上記内周面との間には互いに接触しない程度の隙間が設けられている。
なお、本実施形態のヘッド部100においては、例えば、スプラインシャフト11の外径が8mm、夫々のスプラインナット(第1及び第2)12及び13の外径が15mm、夫々の外筒カラー(第1及び第2)14及び15における夫々のナット固定部(第1及び第2)14a及び15aの外周面の径が18mm、夫々の支持受け部(第1及び第2)14b及び15bの外周面の径が12mm、夫々の軸受け部51及び52の外径が21mmとなるように、夫々の部品が形成されている。また、第1スプラインナット12と第2スプラインナット13とは、回転中心R沿いの方向において、夫々の中心位置にて50mm、夫々の端部間の寸法で25mm、互いに離間された状態で配置されている。
また、第1スプラインナット12、第2スプラインナット13、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び、中間カラー16の夫々がこのような配置及び形状関係にて接合されていることにより、第1スプラインナット12と第2スプラインナット13とが、中間カラー16を介して互いに連結されて一体的な状態とされている。それとともに、第1外筒カラー14の第1支持受け部14bにて軸受け部51を介して、また、第2外筒カラー15の第2支持受け部15bにて軸受け部52を介して、夫々シャフトフレーム41の上記内周面に、上記一体的な状態とされている第1スプラインナット12と第2スプラインナット13とが回転可能に支持されている。なお、本実施形態においては、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16が、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13を互いに連結して一体的な状態とさせる円筒部材の一例となっており、上記円筒部材の内筒部分に第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13が配置されて、夫々の外周面(部)が上記円筒部材の内周面(部)に固定された状態とされている。
従って、シャフト部10が、このような構造を有していることにより、シャフト部10において、スプラインシャフト11が、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の内側において回転中心R沿いに昇降可能となるとともに、スプラインシャフト11が、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13、さらに、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16とともに、回転中心R回りに回転可能となっている。
なお、上記のように、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16の夫々が別々の部品として形成された後、組み立てられて互いに一体的な状態とさせるような場合に代えて、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16の夫々が、1つの一体的な部品としてはじめから形成されているような場合であってもよい。このような場合であっても、第1スプラインナット12と第2スプラインナット13とを連結して一体的な状態とさせることができるからである。
(回転装置について)
次に、回転装置30の詳細な構造について説明する。図1に示すように、回転装置30は、略円筒状の形状を有し、その内部においてスプラインシャフト11が貫通されるように配置され、かつ、その外周面に複数の歯31aが形成された伝達歯車部の一例であるシャフト歯車31を備えている。また、シャフト歯車31は、その回転中心がスプラインシャフト11の回転中心Rと略一致するように配置されており、その回転中心回りに回転されることにより、上記一体的な状態とされている第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13を回転させて、スプラインシャフト11を回転中心R回りに回転させることが可能となっている。
さらに、回転装置30は、シャフト歯車31の夫々の歯31aと互いに係合可能な複数の歯32aをその内周面に備え、かつ、シャフト歯車31と互いに係合された歯付きベルト32と、歯付きベルト32の夫々の歯32aと互いに係合可能な複数の歯33aが形成された駆動歯車33と、駆動歯車33をその駆動軸34a(回転駆動軸の一例である)の先端に固定し、かつ、駆動軸34aを正逆いずれかの回転方向に回転させることができる回転駆動モータ34とを備えている。なお、本第1実施形態においては駆動歯車33と回転駆動モータ34とが、歯付きベルト32を回転駆動(あるいは走行駆動)させる回転駆動部の一例となっている。
また、図2に示すように、第1外筒カラー14の第1支持受け部14bがその径を保持させたままの状態で、図示上方に延在されており、この延在された部分の先端部である上部支持受け部14dの外周面において、軸受け部53を介してシャフトフレーム41に、第1外筒カラー14の上記延在部分が回転可能に支持されている。また、第1外筒カラー14の上記延在部分における軸受け部51と軸受け部53とで挟まれた外周面の部分が歯車固定部14e(第1支持受け部14bの上記延在部分でもある)となっており、この歯車固定部14eにシャフト歯車31の内周面が接合されて固定されている。なお、歯車固定部14eにおいては、スプラインシャフトの回転中心Rに沿って、2個のシャフト歯車31を連接できるスペースが確保されているが、図2においては、歯車固定部14eの図示上側よりにシャフト歯車31が固定されている。また、図2において、歯車固定部14eの図示下側よりにシャフト歯車31が固定される場合を、図示仮想線で示す。また、第1外筒カラー14の歯車固定部14eにおける内周面とスプラインシャフト11の外周面との間には、互いに接触しない程度の隙間が設けられている。このように、シャフト歯車31が歯車固定部14eにおいて第1外筒カラー14に固定されていることにより、シャフト歯車31を回転させて第1外筒カラー14を回転させることができ、さらに、上記互いに一体的な状態とされている第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13を回転中心R回りに回転させて、スプラインシャフト11を回転中心R回りに回転させることができる。
ここで、シャフト歯車31、歯付きベルト32、及び駆動歯車33の夫々の平面的な関係について、図3に示す模式説明図を用いて説明する。
図3に示すように、ヘッド部100は2つの回転装置30を備えており、互いに隣接されて一列に一定の間隔でもって配列されている8個のシャフト歯車31が、図示左側と右側に4個ずつのグループに分けられて、上記夫々のシャフト歯車31のグループが、上記夫々の回転装置30に属されている。なお、上記2つの回転装置30は、図示左側の回転装置30と図示右側の回転装置30とに分けられているものの、夫々の回転装置は同様な構造を有しているため、以降の説明においては、代表して図示左側の回転装置30についてのみ説明するものとする。
図3に示すように、図示左側の回転装置30において、4個のシャフト歯車31が一定の間隔でもって一列に配列されており、図示左側より右側に向けて順に上記夫々のシャフト歯車31を、第1シャフト歯車31−1(第1伝達歯車部の一例である)、第2シャフト歯車31−2(第2伝達歯車部の一例である)、第3シャフト歯車31−3(第3伝達歯車部の一例である)、及び第4シャフト歯車31−4(第4伝達歯車部の一例である)とする。また、夫々のシャフト歯車部31のうちの第1シャフト歯車31−1及び第3シャフト歯車31−3については、図2の歯車固定部14eにおいて実線で示すシャフト歯車31の固定位置(すなわち、図2の図示上側よりの位置)に、夫々のシャフト歯車31が固定されている。一方、第2シャフト歯車31−2及び第4シャフト歯車31−4については、図2の歯車固定部14eにおいて仮想線で示すシャフト歯車31の固定位置(すなわち、図2の図示下側よりの位置)に、夫々のシャフト歯車31が固定されている。
また、図3に示すように、図示左側の回転装置30は、2本の歯付きベルト32を備えており、図示左側に配置された第1歯付きベルト32−1と、図示右側に配置された第2歯付きベルト32−2とを備えている。第1歯付きベルト32−1及び第2歯付きベルト32−2の夫々は、1個の駆動歯車33にその内周面において係合されている。さらに、第1歯付きベルト32−1は、その内周面において、第1シャフト歯車31−1と第3シャフト歯車31−3とに係合しており、また、第2歯付きベルト32−2は、その内周面において、第2シャフト歯車31−2と第4シャフト歯車31−4とに係合している。
なお、図1に示すように、駆動歯車33は、上下2段に夫々の歯付きベルト32と係合可能な夫々の歯33aが形成されており、上記2段のうちの上段側である上段側駆動歯車33bは第1歯付きベルト32−1と互いに係合されており、下段側である下段側駆動歯車部33cは第2歯付きベルト32−2と互いに係合されている。すなわち、図1に示すように、第1歯付きベルト32−1と第2歯付きベルト32−2とは、互いに上下関係の配置を有しており、図示上側に第1歯付きベルト32−1が、図示下側に第2歯付きベルト32−2が配置されて、夫々の歯付きベルト32は互いに干渉しないようになっている。なお、第1シャフト歯車31−1及び第3シャフト歯車31−3と、上段側駆動歯車33bとは、夫々の設置高さが同じとされており、また、第2シャフト歯車31−2及び第4シャフト歯車31−4と、下段側駆動歯車33cとは、夫々の設置高さが同じとされている。このため、上記互いに上下関係の配置を有している第1歯付きベルト32−1と第2歯付きベルト32−2とは、互いに略平行となるように配置されている。
また、図3に示すように、第1シャフト歯車31−1と駆動歯車33との間において、第1歯付きベルト32−1をその内側に向けて常時付勢するようにテンションローラ35−1が設置されており、第1歯付きベルト32−1に常時一定の張力が付与されて、第1シャフト歯車31−1、第3シャフト歯車31−3、及び上段側駆動歯車33bと、第1歯付きベルト32−1との互いの係合関係が強固に保たれている。また、同様に、第4シャフト歯車31−4と駆動歯車33との間において、第2歯付きベルト32−2をその内側に向けて常時付勢するようにテンションローラ35−2が設置されており、第2歯付きベルト32−2に常時一定の張力が付与されて、第2シャフト歯車31−2、第4シャフト歯車31−4、及び下段側駆動歯車33cと、第2歯付きベルト32−2との互いの係合関係が強固に保たれている。
なお、図1、図2、及び図3に示すように、夫々のシャフト歯車31には、歯付きベルト32により回転駆動力又は上記張力が付与されるが、夫々のシャフト歯車31を固定する第1外筒カラー14は、歯車固定部14eの上下両端において、軸受け部51及び53により確実に支持されているため、上記回転駆動力又は上記張力による影響をほとんど受けることはない。
回転装置30がこのような構造を有していることにより、回転駆動モータ34を正逆いずれかの回転方向に回転駆動させて、駆動軸34aを介して駆動歯車33が上記回転方向に回転駆動され、上段側駆動歯車33bに係合されている第1歯付きベルト32−1と、下段側駆動歯車33cに係合されている第2歯付きベルト32−2とが、同時的に上記回転方向に沿って走行駆動される。これにより、第1歯付きベルト32−1に係合されている第1シャフト歯車31−1及び第3シャフト歯車31−3が同時的に上記回転方向に回転されるとともに、第2歯付きベルト32−2に係合されている第2シャフト歯車31−2及び第4シャフト歯車31−4が同時的に上記回転方向に回転される。その結果、上記4個のシャフト歯車31に対応する夫々のシャフト部10(第1軸部から第4軸部の一例である)において、夫々のシャフト歯車31に固定されている夫々の第1外筒カラー14を介して、夫々の第1スプラインナット12及び夫々の第2スプラインナット13が、夫々の回転中心R回りに回転駆動されて、夫々のスプラインシャフト11が回転中心R回りに同時的に回転させることができる。
(昇降装置について)
次に、昇降装置20の構造について詳細に説明する。なお、ヘッド部100が備える8つの昇降装置20は夫々同様な構造を有しているため、以降の昇降装置20の説明においては、特記しない限り、これらのうちの1つの昇降装置20の構造について説明するものとする。
まず、図1に示すように、昇降装置20は、スプラインシャフト11の回転中心Rと略平行に配置されたその回転中心S回りに回転可能に、ヘッドフレーム40が備える昇降フレーム42に支持されたボールねじ軸部の一例であるボールねじ軸21を備えている。さらに、昇降装置20は、ボールねじ軸21の図示上端部に固定され、かつ、ボールねじ軸21を回転中心S回りの正逆いずれかの回転方向に回転させる回転駆動部の一例である昇降駆動モータ22と、ボールねじ軸21に螺合され、かつ、ボールねじ軸21の上記回転により回転中心Sに沿って昇降される昇降ナット部23とを備えている。また、さらに、昇降装置20は、一端が昇降ナット部23に固定され、昇降ナット部23の上記昇降とともに一体的に昇降される大略L字形状を有する剛体で形成された係合部材の一例である昇降バー24が備えられている。また、スプラインシャフト11の上部に互いに夫々が離間するように固定された2個の軸受け部25を介して、この昇降バー24の他端である先端部24aが、スプラインシャフト11の上記上部と係合されるように、昇降バー24が配置されている。また、この昇降バー24の先端部24aは、大略U字状の形状を有しており、その大略U字状の内側において、上記2個の軸受け部25を共に抱きかかえるように、昇降バー24の先端部24aと上記2個の軸受け部25夫々の外輪部分とが固定されることにより、上記昇降バー24とスプラインシャフト11との係合が行われている。また、上記2つ軸受け部25は、その内輪部分において、スプラインシャフト11の上部に固定されているため、上記昇降バー24とスプラインシャフト11との係合が、スプラインシャフト11の回転中心R回りの回転を阻害することはない。
また、図1に示すように、スプラインシャフト11に固定されている上記2個の軸受け部25のうちの図示下側に位置される軸受け部25の下面には、環状のスプリング受け部26が固定されており、このスプリング受け部26の下端には、スプラインシャフト11の外周に環状に配置されたスプリング27の上端が取り付けられている。さらに、図1に示すように、シャフト部10の第1外筒カラー14の歯車固定部14eの内周面には環状の段部14fが形成されており、この段部14fの上面にスプリング27の下端が取り付けられている。
このスプリング27は、回転中心R沿いに昇降可能に第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13により支持されているスプラインシャフト11が、その自重等により落下しないように支持するとともに、スプラインシャフト11を常に上方に付勢して、上記昇降バー24とスプラインシャフト11との係合の位置をより確実に保持させた状態とさせる役割を担っている。
昇降装置20が、このような構造を有していることにより、昇降駆動モータ22を正逆いずれかの回転方向に回転駆動させて、ボールねじ軸21を回転中心S回りに上記回転方向にて回転させ、ボールねじ軸21に螺合されている昇降ナット部23を回転中心S沿いに上昇又は下降させることができる。さらに、昇降ナット部23とともに、この昇降ナット部23に固定されている昇降バー24が、回転中心S沿いに上昇又は下降されることとなるが、この昇降バー24とスプラインシャフト11との上記係合により、上記昇降ナット部23の上記上昇又は下降に同期させて、スプラインシャフト11を回転中心R沿いに上昇又は下降させることができる。このスプラインシャフト11は、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の夫々の内周面に沿って上昇又は下降される。なお、上記昇降バー24の先端部24aとスプラインシャフト11とが確実に係合された状態とされていることにより、昇降ナット部23の上昇量又は下降量をそのままスプラインシャフト11の上昇量又は下降量とすることができる。すなわち、昇降駆動モータ22の上記回転駆動量を制御することにより、スプラインシャフト11の昇降量を制御することができる。なお、昇降バー24の先端部24aは、上記下側の軸受け部25を介してスプラインシャフト11を昇降させることとなるため、スプラインシャフト11の回転動作に影響を与えることはない。
また、夫々の昇降装置20において、昇降駆動モータ22が回転駆動されることにより、ボールねじ軸21がその回転中心S回りに回転された場合には、昇降ナット部23が回転中心S回りの回転モーメントを受け、この昇降ナット部23に固定されている昇降バー24も同様に回転モーメントを受けることになる。このような場合、昇降バー24の先端部24aが大略U字状の形状を有していることにより、この回転モーメントが夫々の軸受け部25を介して、スプラインシャフト11に伝えられることなるが、スプラインシャフト11は、この回転モーメントに抗することが可能な剛性を有するように形成されていることにより、昇降バー24及び昇降ナット部23をその回転中心S回りの回転を規制することが可能となっている。従って、昇降バー24及び昇降ナット部23は、昇降バー24とスプラインシャフト11との上記係合のみにより、その回転方向の移動が常時規制された状態とされており、上記ボールねじ軸21の回転により、昇降ナット部23の回転中心S沿いの昇降が可能とされている。
(シャフト部の組み立て手順)
次に、このような構成を有するヘッド部100のシャフト部10において、夫々の構成部品を組み立てる手順について説明する。
まず、図2において、スプラインシャフト11に組み付けられた状態の第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13に対して、第1スプラインナット12の外周面に第1外筒カラー14の第1ナット固定部14aを締結して固定し、同様に、第2スプラインナット13の外周面に第2外筒カラー15の第2ナット固定部15aを締結して固定する。さらに、第1スプラインナット12の外周面における第1外筒カラー14より露出されている部分、及び第2スプラインナット13の外周面における第2外筒カラー15より露出されている部分の夫々に、中間カラー16の内周面を接着して固定し、第1スプラインナット12と第2スプラインナット13とを互いに連結する。
このように、スプラインシャフト11、第1スプラインナット12、第2スプラインナット13、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16の夫々が組み付けられた状態で、軸受け部51により第1外筒カラー14を支持する位置である第1支持受け部14bと、軸受け部52により第2外筒カラー15を支持する位置である第2支持受け部15bとを同時的に加工する。それとともに、スプラインシャフト11において吸着ノズル2を着脱可能に装備させる部分であるノズル取付部11aを同時的に加工する。さらに、それとともに、軸受け部53により第1外筒カラー14を支持する位置である(第1外筒カラー14の上端部でもある)上部支持受け部14dをも同時的に加工する。上記夫々の部分の加工は、スプラインシャフト11を回転中心R回りに回転させた状態で行い、スプラインシャフト11の回転中心Rに、上記夫々の部分の回転中心を一致させるように、例えば、上記夫々の部分の外周面や端部等を微小に切削加工することにより行う。
このような加工を施した後、第1外筒カラー14の歯車固定部14eにシャフト歯車31を挿入して固定するとともに、スプラインシャフト11、第1スプラインナット12、第2スプラインナット13、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、中間カラー16、及びシャフト歯車31の夫々が組み付けられた状態でシャフトフレーム41に挿入し、夫々の軸受け部51、52、及び53を介して、シャフト部10をシャフトフレーム41に支持させる。このようにして、シャフト部10を組み立てて、シャフトフレーム41に支持させることができる。
また、シャフト部10における夫々の部品の製作精度(すなわち、設計寸法と製作寸法との許容誤差範囲)については、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16の夫々については、20μm程度以内で製作されている。このような製作精度にて製作された夫々の部品を組み立てた状態で、上記夫々の加工を施した結果、スプラインシャフト11の回転中心Rと、夫々の軸受け部51、52、及び53による支持部分における夫々の回転中心との位置ずれ(すなわち、同芯度)を、10〜30μm程度に押さえることができる。
また、シャフト歯車31は、その内周面において第1外筒カラー14の歯車固定部14eに固定されることとなるが、シャフト歯車31の回転中心と、スプラインシャフト11の回転中心Rとの同芯度は、シャフト歯車31内周面と第1外筒カラー14の歯車固定部14eとの製作精度による寸法誤さ程度として20μm程度以内とすることができる。
(ヘッド部による部品装着動作について)
次に、このような構成を有するヘッド部100が上記電子部品装着装置(図示しない)の上記XYロボットに取り付けられて、上記電子部品装着装置においてヘッド部100により、電子部品1を吸着保持して、上記吸着保持された電子部品1を上記機台上に保持された回路基板の電子部品1の装着位置に装着させる動作について説明する。
まず、上記電子部品装着装置において、複数の電子部品1が取り出し可能に供給される電子部品供給部の上方に、ヘッド部100の夫々の吸着ノズル2が位置するように、上記XYロボットによりヘッド部100の上記回路基板の表面沿いの移動が行われる。
その後、図1のヘッド部100の夫々の昇降装置20において、昇降駆動モータ22が正逆いずれかの回転方向にその回転駆動量が制御されながら回転駆動されて、ボールねじ軸21を介して昇降ナット部23が回転中心S沿いに下降される。これにより、夫々の昇降装置20において、昇降バー24が下降されてその先端部24aに係合された状態にある軸受け部25を下方に押し下げる。これにより、スプリング27が縮められるとともに、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の内周面にて摺動されながらスプラインシャフト11が回転中心R沿いに下降される。夫々のシャフト部10において、吸着ノズル2の先端部に電子部品1の上面が当接されるとともに、吸着ノズル2により電子部品1を吸着保持する。その後、夫々の昇降装置20において、昇降駆動モータ22の上記回転方向が逆転されて、昇降バー24が上昇される。この昇降バー24の上昇に伴い、スプラインシャフト11が回転中心R沿いに上昇され、吸着ノズル2に吸着保持された電子部品1が上昇されて、上記電子部品供給部より取り出される。このとき、夫々の昇降装置20において、スプリング27によりスプラインシャフト11が上方に常時付勢されているため、スプラインシャフト11の上昇位置が昇降バー24の先端部24aにより規制されながら、スプラインシャフト11の上記上昇が行われる。
なお、ヘッド部100において、夫々の吸着ノズル2が同時的に昇降されて、夫々の電子部品1の吸着保持及び取り出しが行われる場合、あるいは、順次昇降されて、夫々の電子部品1の吸着保持及び取り出しが行われる場合のいずれの場合であってもよい。
その後、上記電子部品装着装置において、上記XYロボットによりヘッド部100が上記回路基板の上方に向けて移動される。この移動過程において、ヘッド部100の夫々の吸着ノズル2により吸着保持されている電子部品1の画像が撮像されることにより(例えば、上記電子部品装着装置の上記機台に備えられたカメラ、又は、ヘッド部100に備えられたカメラ(共に図示しない)等により撮像されることにより)、夫々の吸着ノズル2による電子部品1の吸着保持姿勢が認識される。この夫々の吸着保持姿勢の認識結果に基づいて、その吸着保持姿勢が装着姿勢(上記装着位置に装着されるべき姿勢)と一致するように吸着保持姿勢の補正が行われて、夫々の電子部品1が上記回路基板における夫々の装着位置に装着されることとなる。
例えば、電子部品1の上記吸着保持姿勢と上記装着姿勢との間に、回転中心R回りの回転方向に対する位置ずれがある場合があり、このような場合にあっては、吸着ノズル2を回転中心R回りに回転移動(すなわち、θ回転)させることにより、上記位置ずれの補正を行う(以降、θ補正という)ことができる。
ヘッド部100において、上記θ補正を行う手順について具体的に説明すると、まず、ヘッド部100が備える8本の吸着ノズル2のうち、一番最初に電子部品1の装着動作が行われる吸着ノズル2に吸着保持されている電子部品1から順に上記θ補正を行う。例えば、この吸着ノズル2が装備されているシャフト部10に取り付けられているシャフト歯車31が、図3に示すシャフト歯車31−1である場合においては、まず、上記θ補正を行う回転角度に基づいて、図示左側の回転装置30における回転駆動モータ34が正逆いずれかの回転方向に、その回転駆動量が制御されながら回転駆動されて、上段側駆動歯車33bを介して第1歯付きベルト32−1が上記回転方向に沿って走行駆動される。これにより、第1シャフト歯車31−1がその回転中心回りに上記回転方向に上記回転角度だけ回転される。なお、このとき、回転装置30の構造上、第2シャフト歯車31−2、第3シャフト歯車31−3、及び第4シャフト歯車31−4も同時的に同じ回転方向に同じ回転角度だけ回転される。
第1シャフト歯車32−1の上記回転に伴い、第1シャフト歯車32−1の内周面と歯車固定部14eにおいて一体的に固定されている第1外筒カラー14が回転駆動される。さらに、互いに一体的な状態とされている第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、中間カラー16、第1スプラインナット12、及び第2スプラインナット13が回転中心R回りに回転駆動されて、スプラインシャフト11も回転中心R回りに上記回転方向に上記角度だけ回転される。これにより、スプラインシャフト11のノズル取付部11aに装備されている吸着ノズル2が回転中心R回りに上記回転角度だけ回転移動されて、電子部品1のθ補正が行われる。
このとき、上述したように、スプラインシャフト11、第1スプラインナット12、第2スプラインナット13、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16が互いに組み付けられた状態で、ノズル取付部11a、第1支持受け部14b、第2支持受け部14c、及び上部支持受け部14dの夫々が同時的に加工されているため、夫々の回転中心は、同芯度が高められた状態となっており、上記θ補正を高い精度でもって行うことができる。
なお、上記回転装置30においては、次に電子部品1の装着動作が行われる吸着ノズル2が選択、すなわち、第2シャフト歯車31−2、第3シャフト歯車31−3、及び第4シャフト歯車31−4の中より1つのシャフト歯車31が選択されて、上記同様な手順にて上記θ補正が行われる。
また、図3に示すように、ヘッド部100は同じ構造を有する2つの回転装置30を備えているため、図示左側の回転装置30において上記θ補正を行いながら、図示右側の回転装置30においても同時的に上記θ補正を行うことができる。このようにヘッド部100においてθ補正を同時的に行うことにより、全ての吸着ノズル2に対するθ補正を行う時間を短縮することができる。
その後、ヘッド部100が備える夫々の吸着ノズル2のうちの上記最初に装着動作が行われる吸着ノズル2と、上記回路基板の上記装着位置との位置合わせが、上記XYロボットにより行われる。上記位置合わせの後、上記吸着ノズル2に対応する昇降装置20において、昇降駆動モータ22が正逆いずれかの回転方向にその回転駆動量が制御されながら回転駆動されて、ボールねじ軸21を介して昇降ナット部23が回転中心S沿いに下降される。これにより、昇降バー24が下降されてその先端部24aに係合された状態にある軸受け部25を下方に押し下げる。これにより、スプリング27が縮められるとともに、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の内周面にて摺動されながらスプラインシャフト11が回転中心R沿いに下降される。その後、吸着ノズル2に保持された電子部品1の下面が、上記回路基板の上記装着位置に当接される。上記回路基板の装着位置においては、予め半田等の接合部材が供給されており、さらに電子部品1の下面が上記接合部材に押し当てられ、この状態で昇降装置20による下降が停止されるとともに、吸着ノズル2による電子部品1の吸着保持が解除される。その後、昇降装置20によりスプラインシャフト11が上昇されて吸着ノズル2が上昇され、上記回路基板の上記装着位置に電子部品1が装着される。その後、その他の吸着ノズル2に対しても、上記同様な動作を順次繰り返して行い、夫々の電子部品1を上記回路基板に装着する。
このようにして、ヘッド部100により複数の電子部品1の上記回路基板に対する装着動作を行うことができる。
ここで、本実施形態のヘッド部の変形例にかかるヘッド部200の部分模式断面図を図7に示し、図7に基づいて、昇降装置とスプラインシャフトとの連結部分の構造について、詳細に説明する。なお、以下に示すヘッド部200における基本的な構造は、図1に示すヘッド部100と略同じであり、詳細な構造部分について、さらに具体的に示したものである。また、ヘッド部200においても、ヘッド部100と同様に、8本のスプラインシャフト(若しくは吸着ノズル)と、これらに個別に対応する8つの昇降装置が備えられているが、夫々は互いに同じ構造を有しているため、以降の説明においては1組のスプラインシャフトとその昇降装置との関係について説明するものとする。
図7に示すように、ヘッド部200が備える昇降装置220は、スプラインシャフト211の回転中心Rと同じ方向(すなわち、鉛直方向)に配置されたその回転中心S(H軸と示す)回りに回転可能に、昇降フレーム242に支持されたボールねじ軸部の一例であるボールねじ軸221を備えている。具体的には、その軸心を回転中心Sとして備えられているボールねじ軸221は、夫々の端部が軸受部(図においては、上方側の端部を固定する軸受部262のみを図示する)を介して昇降フレーム242に固定(例えば、固定用ナット部261等を用いることにより)されている。また、ボールねじ軸部221の上方側の端部は、カップリング260を介して昇降駆動モータ222と連結されており、この昇降駆動モータ222による回転駆動がカップリング260を介してボールねじ軸221に伝達され、その回転中心Sまわりに回転駆動されることにより、ボールねじ軸221に螺合されている昇降ナット部223の昇降を行なうことが可能となっている。また、昇降装置220は、一端が昇降ナット部223に固定され、昇降ナット部223の上記昇降とともに一体的に昇降される大略L字形状を有する剛体で形成された係合部材の一例である昇降バー224が備えられている。また、この昇降バー224は、昇降ナット部223に固定される上記一端である連結ブラケットB224bと、スプラインシャフト211と係合される連結ブラケットA224aとが、例えばねじ止めにて互いに締結されることにより形成されている。
また、図7に示すように、その軸心が回転中心Rと略一致するように配置されているスプラインシャフト211は、図示しないヘッドフレームにスプラインナット(第1及び第2)を介して回転可能に支持されている。スプラインシャフト211の上端側は、連結ブラケットA224aと係合される部分となっており、スプラインシャフト211の外周に取り付けられた軸受部A225Aと軸受部B225Bを介して、連結ブラケットA224aとスプラインシャフト211との上記係合が行われている。
より詳細には、連結ブラケットA224aの端部は、大略リング形状を有しており、その大略リング形状の内側において、夫々の軸受部A225A及び軸受部B225Bを共に抱きかかえるように、連結ブラケットA224aの上記大略リング形状の内側と夫々の軸受部A225A及び軸受部B225Bの外輪部分とが固定されることにより、上記係合が行われている。また、スプラインシャフト211の外周面には、夫々の軸受部A225A及び軸受部B225Bの内輪部分が固定されており、さらに、互いの内輪部分の間を埋めるように配置されたスペーサ263が、スプラインシャフト211の外周面に固定されている。なお、連結ブラケットA224aとスペーサ263との間には、互いに接触しないような間隙が設けられている。
また、軸受部B225Bの内輪の下部には、環状のスプリング受け部226が固定されており、このスプリング受け部226の下端にはスプリング227の上端が取り付けられている。なお、スプリング227の下端は、図示しないシャフト部の第1外筒カラーの歯車固定部の内周面に形成された環状の段部に取り付けられている。このようなスプリング227等が備えられていることにより、昇降バー224を介して昇降装置220によりその自重が支持されているスプラインシャフト211が、例えば、昇降装置220の昇降駆動モータ222への通電が遮断された際(例えば、停電等の際)に、昇降装置220による上記支持に代わって、スプリング227により支持されて、このスプラインシャフト211の落下を防止することが可能となっている。なお、昇降バー224において、連結ブラケットA224aと連結ブラケットB224bとが互いにねじ止めにて締結されているのは、ヘッド部200において、夫々の回転中心R及びSの位置の微調整のためである。
また、回転中心R上におけるスプラインシャフト211の上方には、上部シャフト265が配置されており、この上部シャフト265の下部はスプラインシャフト211の上端とねじ止め締結等により一体的に固定されている。また、昇降フレーム242の上部における図示左側には、スプラインシャフト211と一体的となって昇降動作が行なわれる上部シャフト265の上記昇降を案内するメタル軸受部264が形成されている。また、上部シャフト265の上端には、真空装置と連結される連結部であるエアジョイント266が備えられている。上部シャフト265とスプラインシャフト211は共に夫々の軸心に沿って形成され、互いに連通された中空孔を有しており、真空装置より、エアジョイント266、夫々の中空孔を介して、吸着ノズル先端まで真空を行き渡らせることが可能となり、吸着ノズルの先端で電子部品を吸着保持することが可能となっている。
このようなヘッド部200の構成及び機能によれば、昇降装置220において、昇降駆動モータ222を回転駆動させて、カップリング260を介してボールねじ軸221を回転中心S回りに回転させて、昇降ナット部223を昇降させることができる。この昇降ナット部223の昇降により、昇降ナット部223に固定されている昇降バー224も、昇降ナット部223とともに一体的に昇降され、軸受部A225A及び軸受部B225Bを介して、回転中心R沿いのスプラインシャフト211の昇降動作を行なうことができる。
この昇降動作において、昇降駆動モータ222によりボールねじ軸221を回転させる際に生じる反力を昇降ナット部223は受けることとなる。従来におけるボールねじ軸と昇降ナット部を用いた昇降装置の構成においては、一般的にこのような反力に抗するためにLMガイド等(例えば、図4のLMガイド526)を用いて、昇降ナット部の当該反力による回動を規制(ガイド)することが行われている。これに対して、本変形例にかかる実施形態においては、スプラインシャフト211の上部において、軸受部A225A及び軸受部B225Bの2つの軸受部を用いた構造を採用し、スプラインシャフト211そのもので上記反力に抗する構成としていることにより、従来の構成において用いられていたLMガイドを不要としている。これにより、スプラインシャフト211とボールねじ軸221との間隔(すなわち、回転中心Rと回転中心Sとの間隔)を短くすることが可能となり、ヘッド部200の小型化を実現することができる。
また、なお、このような本実施形態の構成においては、スプラインシャフト211に、上記反力に抗するための十分な機械的な剛性が求められる。このような要求される機械的剛性は、高精度な電子部品の実装のために要求される機械的剛性よりも高い剛性である場合がある。そのため、本実施形態においては、スプラインシャフト211と一体的な状態とされている上部シャフト265を、昇降可能に支持する(ガイドする)メタル軸受部264を設けることで、スプラインシャフト211を大径化することなく、スプラインシャフト211の剛性を実質的に高めることに寄与している。このような剛性を高める手法に代えて、スプラインシャフト211を昇降及び回転可能に支持するスプラインナットをさらにもう1組備えさせるという手法も考えられるが、このような手法では、スプラインシャフト211が反力を受けることやその製作・組立誤差等により回転中心Rに対してその軸心が僅かに位置ズレした場合に、スプラインシャフト211の昇降や回動が行なえなくなる場合があるという問題があるので、好ましい手法とは言えない。なお、本実施形態においては、メタル軸受部264においてこのような問題の発生を未然に防止するために、メタル軸受部264と上部シャフト265の周面との間には、例えば、30〜50μm程度の隙間を設けている。
(実施形態による効果)
上記実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
まず、ヘッド部100の夫々のシャフト部10において、互いに離間して配置され、かつ、スプラインシャフト11を回転中心R沿いに昇降可能に支持する第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の外周面に、第1外筒カラー14を第1ナット固定部14aで、第2外筒カラー15を第2ナット固定部15aで夫々固定するとともに、中間カラー16の内周面を接着して固定することにより、第1スプラインナット12及び第2スプラインナット13の2つのスプラインナットを互いに連結して一体的な状態とすることができる。
さらに、第1外筒カラー14の第1支持受け部14bと、第2外筒カラー15の第2支持受け部15bとにおいて、2つの軸受け部51及び52を介して、シャフトフレーム41に、このような一体的な状態とされた2つのスプラインナットを回転中心R回りに回転可能に支持させることができる。すなわち、2つの軸受け部51及び52により、2つのスプラインナットを回転可能に支持することができることとなり、夫々のシャフト部10において、スプラインナットを支持するための軸受け部の設置数量を減らすことができる。
例えば、従来のヘッド部500においては、上記実施形態のヘッド部10と同様に夫々のシャフト部510に、2つのスプラインナットが備えられているが、上記2つのスプラインナットを支持するために4つの軸受け部が取付られている。しかしながら、上記実施形態のヘッド部10においては、軸受け部の設置数量を低減させることができ、ヘッド部10における夫々のシャフト部10の組み立てを容易とすることができ、ヘッド部10の製作コストを低減させることができる。また、併せて、軸受け部の設置数量が低減されるため、夫々のスプラインシャフト11の回転中心Rと、軸受け部の回転中心(上記実施形態においては、第1外筒カラー14及び第2外筒カラー15の回転中心でもある)との回転中心の位置合わせを容易とすることができ(すなわち、位置合わせを行う箇所を少なくすることができるので)、シャフト部10における吸着ノズル2の回転による位置ずれ量を低減することができ、回転精度を向上させることができる。
また、上記夫々のスプラインナットを直接その外周面にて、軸受け部を介して、シャフトフレーム41に支持するのではなく、第1外筒カラー14において、第1支持受け部14bの外径が第1ナット固定部14aの内径と略同じ、好ましくは上記内径よりも小さくなるように、両者の間に段部14cが形成され、また、同様に、第2外筒カラー15において、第2支持受け部15bの外径が第2ナット固定部15aの内径と略同じ、好ましくは上記内径よりも小さくなるように、両者の間に段部15cが形成されて、第1支持受け部14b及び第2支持受け部15b及び2つの軸受け部51及び52を介して、上記2つのスプラインナットを支持していることにより、軸受け部の設置数量を減らしながら、軸受け部の内径をスプラインナットの外径と略同じか、それよりも小さくすることができる。
このように上記軸受け部の内径を小さくできるような場合にあっては、夫々のシャフト部10の外径を小さくすることができ、ヘッド部100に備えられている夫々のスプラインシャフト11の配置間隔を狭めることができ、小型化されたヘッド部100を提供することができる。
逆にシャフト部10の外径を小さくしないような場合にあっては、シャフト部10の外径を変更することなく、スプラインシャフト11の外径を大きくし、スプラインシャフト11の剛性を高めることができる。このような場合にあっては、例えば、吸着ノズル2の交換時等において、スプラインシャフト11に外力が加えられるような場合であっても、上記剛性でもってスプラインシャフト11の回転中心Rの位置ずれ等の発生を抑制することができ、より高い回転精度を有するヘッド部を提供することができる。
また、夫々のシャフト部10を組み立ててヘッド部100に取り付ける際に、スプラインシャフト11、第1スプラインナット12、第2スプラインナット13、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16の夫々を一体的に組み立てた状態にて、スプラインシャフト11を回転中心R回りに回転させながら、軸受け部51により第1外筒カラー14を支持する位置である第1支持受け部14bと、軸受け部52により第2外筒カラー15を支持する位置である第2支持受け部15bと、軸受け部53により第1外筒カラー14を支持する位置である位置である上部支持受け部14dとの夫々に対して、夫々の外周面を切削加工することにより、上記切削加工が施された夫々の部分における回転中心と、スプラインシャフト11の回転中心とを高い精度でもって略一致させることができる。さらに、このような状態で上記組み立てたれたシャフト部10をシャフトフレーム41に挿入して、夫々の軸受け部51、52、及び53を介して、シャフト部10をシャフトフレーム41に回転可能に支持させることができ、高い回転精度を有するヘッド部100を提供することができる。
具体例としては、従来のヘッド部500においては、シャフト部510における夫々の構成部品が、10μm程度の製作精度でもって製作されているが、組み立て時にさらに夫々の回転中心の位置ずれが発生して、組み立て後には、50μm〜70μm程度の同芯度となっている。一方、上記実施形態のヘッド部100においては、第1外筒カラー14、第2外筒カラー15、及び中間カラー16が20μm程度の製作精度でもって製作されていても、夫々の部品を組み立ててから上記切削加工を行うため、最終的に10〜30μm程度の同芯度を得ることができる。
また、夫々のシャフト部10において、従来のように、シャフト歯車がカップリング535を介して外筒カラー516に取り付けられているのではなく、上述のように同芯度が高められた状態の第1外筒カラー14における歯車固定部14eに直接的に、シャフト歯車31が固定されているため、シャフト歯車31の回転中心とスプラインシャフト11の回転中心Rとの同芯度を高めることができる。
また、夫々の回転装置において、従来のように1本の歯付きベルト532の内側において4つのシャフト歯車531が夫々係合されているのではなく、夫々の回転装置30において2本の歯付きベルトとして、第1歯付きベルト32−1及び第2歯付きベルト32−2を備えさせて、第1歯付きベルト32−1には第1シャフト歯車31−1及び第3シャフト歯車31−3の夫々を係合させて、第2歯付きベルト32−2には第2シャフト歯車31−2及び第4シャフト歯車31−4の夫々を係合させているため、夫々のシャフト歯車31に対する夫々の歯付きベルトの係合面積を十分に確保した状態で、4つの夫々のシャフト歯車31について上記係合面積を均一にすることができる。これにより、上記係合面積のばらつきにより発生していた回転精度のばらつきを解消することができるとともに、上記係合面積を十分に確保していることにより、夫々のシャフト歯車31を確実に回転駆動することができ、高い回転精度でもって夫々の吸着ノズル2の回転を行うことができる。
具体例としては、従来のヘッド部500においては、回転装置530による上記θ回転の回転精度が、0.2度程度であるのに対して、上記実施形態のヘッド部100においては、回転装置30による上記θ回転の回転精度を、0.01度以下にまで向上させることができる。
また、夫々の昇降装置20において、昇降バー24及び昇降ナット部23は、昇降バー24とスプラインシャフト11との上記係合のみにより、その回転方向の移動が常時規制された状態とされており、上記ボールねじ軸21の回転により、昇降ナット部23の回転中心S沿いの昇降が可能とされているが、このような構造は、上述の効果のように、シャフト部10において、軸受け部51及び52の外径保持したまま、その支持構造によって、スプラインシャフト11の外径を大きく形成して、その剛性(すなわち強度)を高めることができることにより、実現可能となるものである。従って、従来のヘッド部500のように、スプラインシャフト511の外径を大きく形成することができない(すなわち、外形を大きく形成すれば、それに伴いヘッド部全体が大きくなってしまうという理由により)ような支持構造において、昇降バー524を介して、昇降ナット部523よりスプラインシャフト511に伝達される回転モーメントを受けるために必要であったLMガイド526を、本実施形態のヘッド部100においては不要とすることができる。これにより、スプラインシャフト11の回転中心Rとボールねじ軸21の回転中心Sとの間の寸法を、上記LMガイドを不要とすることができる分だけ、短縮することができ、より小型化されたヘッド部100を提供することができる。例えば、従来のヘッド部と比べて、上記寸法を、30〜40mm程度短縮することができる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
1…電子部品、2…吸着ノズル、10…シャフト部、11…スプラインシャフト、12…第1スプラインナット、13…第2スプラインナット、14…第1外筒カラー、14a…第1ナット固定部、14b…第1支持受け部、14c…段部、14d…上部支持受け部、14e…歯車固定部、15…第2外筒カラー、15a…第2ナット固定部、15b…第2支持受け部、15c…段部、16…中間カラー、20…昇降装置、21…ボールねじ軸、22…昇降駆動モータ、23…昇降ナット部、24…昇降バー、24a…先端部、25…軸受け部、26…スプリング受け部、27…スプリング、30…回転装置、31…シャフト歯車、32…歯付きベルト、33…駆動歯車、34…回転駆動モータ、40…ヘッドフレーム、41…シャフトフレーム、42…昇降フレーム、51、52、及び53…軸受け部、100…ヘッド部、200…ヘッド部、211…スプラインシャフト、220…昇降装置、221…ボールねじ軸、222…昇降駆動モータ、223…昇降ナット部、224…昇降バー、224a…連結ブラケットA、224b…連結ブラケットB、225A…軸受部A、225B…軸受け部B、226…スプリング受け部、227…スプリング、242…昇降フレーム、260…カップリング、261…固定用ナット部、262…軸受け部、263…スペーサ、264…メタル軸受部、265…上部シャフト、266…エアジョイント。