JP4039987B2 - プレキャストコンクリート躯体を用いた建築物並びにその建設工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅や低層集合住宅、低層オフィスビル、低層テナントビル、診療所、コンビニエンスストア、ファーストフード店舗等を鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造若しくは一部木造等の混構造で建築する際に、短い工期と少ない工数で建設することができるプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物並びにその建築工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の建築においては工数低減に関心が高いが、加えて近年では、特に阪神大震災以降住宅の耐震性能や強度に対する関心の高まりから、耐震性や耐久性の向上に対する要求も増加している。一般的に住宅等を建築する際には木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、或いはそれらの混構造が採用されるが、耐震性や耐久性を向上させるための選択肢としては、鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造若しくは一部木造等の混構造がある。通常の鉄筋コンクリート造の場合、建築現場にてコンクリートを打設するが、そのためにはコンクリート工事に先立って鉄筋工事、型枠工事を行わなければならない。これらの工事もまた建築現場にて行われるために、鉄筋、型枠、コンクリート打設のそれぞれについて熟練した作業者を現場に集める必要がある。これらの構造においても、他の構造同様に設計事務所や工務店、メーカーなどが工期短縮、工数低減の要求に応えるべく研究、開発を重ねている。また、木造に対して鉄筋コンクリート造の方が建築コストが高く、施工の難易度も高いため、特に小規模建築の場合、木造で建設される例が多く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建設される例は少なかった。
【0003】
工期の短縮を達成することを目的として、(特許文献1)には、「底盤と同底盤の一端から略90度上方に延設された壁部とを備えたプレキャスト製のL型壁を、地盤上または基礎採石上に複数個組み合わせて平面形状が多角形の外周壁を形成し、さらに同外周壁の上部に屋根材を取付けてなるL型壁を用いた建築物」が開示されている。
(特許文献2)には、「建て込み時に自立可能で、簡単にレベル調整、モルタル注入ができ、フーチング部を基礎地盤上に密着し、確実に支持固定でき、施工が容易で工期短縮が計れるプレキャストコンクリート部材及び当該プレキャストコンクリート部材を用いた塀・擁壁の施工方法」が開示されている。
(特許文献3)には、「竪板と該竪板の一端に固定された底板とを少なくとも有し、該底板の底面が鉄筋コンクリート面に固着手段によって固着される固着面であることを特徴とするプレキャストコンクリート」が開示されている。
(特許文献4)には、「鉄骨及び鉄筋の少なくともいずれかにより補強されてなるプレキャストコンクリート部材により床パネルを構成し、この床パネルの一側に、鉄骨及び鉄筋の少なくともいずれかにより補強されてなるプレキャストコンクリート部材からなる壁パネルの下端を一体に結合して断面鉤型にした建物用パネル」が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−90927号
【特許文献2】
特開平10−1954号
【特許文献3】
特開平9−273262号
【特許文献4】
特開平8−4196号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)通常の鉄筋コンクリート造の建設では、構造体を造る躯体工事に際し鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事を一工種ごとに順次現場にて施工し、また、コンクリート打設後は必要強度発生までの養生期間を経てでないと型枠を外せないために躯体工事時の工期が長くなるという課題を有していた。
(2)鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事が現場にて施工されるので現場での作業工数が多く煩雑であり、必要とする作業員の技術が多岐に渡って作業員の技術熟練度の他、天候によっても工事工程に誤差が生じ易いという課題を有していた。
(3)作業員の技術熟練度や天候の影響により、鉄筋工事や型枠工事の施工精度確保が難しく、例えば必要かぶりが確保されない状況や、コンクリートが必要強度に達しない状況などにより建物の構造性能が低減する危険があるという課題を有していた。
(4)コンクリートを現場打設するため、コールドジョイントやジャンカ、或いは白華現象が発生する危険があり、また、細かいクラックまでを完全に防ぐことが困難であるという課題を有していた。
(5)(特許文献1)では、本来は載荷される土の重量により安定性を確保するように設計された土留め用のプレキャスト製のL型壁を、地盤上または基礎採石上に直接配置し固着手段またはL型壁相互の緊結手段を取らないので、複数のL型壁相互は構造的に一体化されず、特に地震などの荷重に対しては単体としての自重による自立安定性の範囲でしか耐震性を持たず、建築物としての耐震性に欠け、L型壁の転倒に対する抵抗力が低いという課題を有していた。また、柱材や桁材等の軸組部材を確実に接合するための接合具を有さないので、外周壁となるL型壁と窓ユニットや玄関ユニット等との接合に工数を必要とするという課題を有していた。
(6)(特許文献2)は、フーチング部のモルタル注入孔部からフーチング部と基礎地盤との隙間にモルタルを注入して、フーチング部と基礎地盤を密着させるものであるが、フーチング部に空気が抜ける孔がないのでモルタルの充填ムラが発生し易く、接合力が不十分で地震時の転倒に対する抵抗力が低いという課題を有していた。また、レベル調整部が鋼板に溶接されたナットに螺着したボルトの突出量によってレベル調整を行うものなので、レベル調整部のボルト先端に荷重が集中し易く、基礎地盤に傷や割れが発生し易いという課題を有していた。
(7)(特許文献3)では、プレキャストコンクリートの固着に接着系のあと施工アンカーボルトを使用する為、位置出しが容易である反面、アンカーボルトの引き抜き抵抗力が弱く、耐震性に欠けると共に、柱材や桁材等の軸組部材を接合するための接合具を有さないので、建築物の主要構造部として使用するには適さないという課題を有していた。
(8)(特許文献4)は、既存の建物の外側に居室等の突出空間を形成する建物用パネルであり、基礎との接合手段や軸組部材を接合する接合具を有していないので、独立して建築物の建築に用いるには耐震性や施工自在性に欠けるという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、気象条件などの悪影響を受けることなく工期を短縮し、未熟練者でも容易に基礎と接合できるので施工性に優れ、軸組部材を接合する接合具が予め配設され現場で容易に軸組部材を接合できる作業性に優れたプレキャストコンクリート躯体を用いた耐久性に優れ工数を低減して短期間に建設できる鉄筋コンクリ−ト造又は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造若しくは一部木造等の混構造の建築物の提供並びに構造部材を簡単かつ確実強固に接合でき、構造部材の接合作業性に優れた建築物の建設工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の建築物は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の建築物は、基礎と、略矩形板状の底盤部と略矩形板状で前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部と前記底盤部の外周面に配設され裏面にアンカー部が配設された1以上の壁面固定部材とを有し前記基礎に配設されたプレキャストコンクリート躯体と、前記基礎と前記底盤部との間に充填された充填材と、前記基礎に配設され裏面にアンカー部が配設された基礎固定部材と、前記プレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材に溶接された基礎底盤間固定材と、を有し、前記基礎固定部材に前記基礎底盤間固定材が溶接されている構成を有している。
【0008】
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)プレキャストコンクリート躯体が、底盤部と底盤部に垂直に立設された壁部によって構成されているので、単独で安定して自立し、現場搬入時の仮置きや建設時の据え付けを容易に行うことができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体が底盤部と壁部を有し、垂直断面が略L字型又は略逆T字型に一体形成されている構成となっているので、壁部及びその上部架構から負荷される鉛直荷重又は水平荷重、更にそれらによって生じる曲げ荷重を壁部から底盤部へ確実に伝達し、基礎への伝達有効面積を確保することができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体が工場製作なので、鉄筋の加工、配筋から型枠の成型、コンクリートの打設まで一連の作業を安定した環境下で行うことができ、現場作業員の技術熟練度や天候の悪影響を排除して高い精度でコンクリート壁材を製作することができる。
(4)底盤部と壁部を有するプレキャストコンクリート躯体を用いることにより、建設現場での作業工数が減り、躯体工事を簡素化できるので、施工性に優れる。
(5)底盤部の外周面に配設された壁面固定部材を有しているので、ねじ止め又は溶接により容易に基礎と一体化することができ、壁材に負荷される荷重を確実に基礎へ伝達して転倒を防ぎ、風力や地震力に対抗することができる。
(6)プレキャストコンクリート躯体の工場製作時に底盤部に壁面固定部材を必要な位置に高精度で配設することができるので、安定した接合強度と位置精度を確保することができる。
(7)プレキャストコンクリート躯体を建築物の基礎立ち上がり、壁柱、耐力壁、外壁下地、内壁下地、さらには仕上げ面として使用することができ、建設現場での作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できると共に、作業人員を削減することができる。
(8)プレキャストコンクリート躯体が工場で製作され高い製品精度を有するので、建設現場での高精度の据え付け作業を容易に行うことができ、作業員の技術修練度に関わりなく高い精度で建設することができる。
(9)プレキャストコンクリート躯体の体系的な寸法基準値をもとに設計手法や施工手法を規格化、標準化し、設計業務や施工業務を大幅に効率化することができる。
(10)基礎と基礎に配設されたプレキャストコンクリート躯体が基礎に配設された基礎固定部材と基礎底盤間固定材を介して溶接で接合されるので、基礎とプレキャストコンクリート躯体を確実に接合することができる。
(11)予め基礎に基礎固定部材を配設しておくことにより、現場ではプレキャストコンクリート躯体を所定位置に設置し、基礎の基礎固定部材とプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材を基礎底盤間固定材で容易に接合することができる。
(12)基礎と底盤部との間に充填された充填材を有するので、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の底面全体で基礎と接合することができ、接合強度を向上させ耐久性、信頼性に優れた構造とすることができる。
(13)プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けるようにして設置することにより、基礎や底盤部の水平精度によらず、プレキャストコンクリート躯体を水平に設置することができるので、建設現場での高精度の据え付け作業を容易に行うことができ、作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できると共に、信頼性に優れた構造とすることができる。
【0009】
ここで、プレキャストコンクリート躯体の垂直断面形状を略L字型とする場合は、建築物を建設する際にプレキャストコンクリート躯体を底盤部が壁部の位置より内側の位置に配置される向きで据え付けることが好ましい。これにより、基礎の範囲をより小さくすることができ、基礎を形成する作業量と資材、工数を低減して施工性に優れる。プレキャストコンクリート躯体の垂直断面形状を略逆T字型とする場合は、プレキャストコンクリート躯体を安定して自立させるのに必要な底盤部の面積をより小さくして底盤部を形成するコンクリートボリュームと鉄筋量を低減できることにより、重量を軽くして運搬性と施工性に優れ、安定性と耐震性を増すことができる。尚、プレキャストコンクリート躯体は鉄骨及び鉄筋の少なくともいずれかにより補強することが好ましい。
【0010】
プレキャストコンクリート躯体の垂直方向(以下、Z方向という)の高さは1m〜5m、好ましくは2.5m〜4mが望ましい。Z方向の寸法が2.5mより小さくなると上部架構の範囲が増し、建設現場での作業工数が増えるので、上部に窓などの開口部を設ける場合以外は好ましくなく、4mより大きくなるにつれて重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があるので好ましくない。
また、壁部の長手方向と平行な水平方向(以下、X方向という)の長さは0.5m〜2m、好ましくは1m〜2mが望ましい。X方向の寸法が1mより短くなるにつれ幅が狭くなって自立安定性が悪くなり、プレキャストコンクリート躯体一個当たりの壁面負担面積が少なくなるので設置個数が増え、建設現場での作業工数が増える傾向があり、2mより長くなるにつれて重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があるのでいずれも好ましくない。
尚、底盤部のX方向の長さは壁部と同程度以上の寸法にすることが望ましい。底盤部のX方向の寸法が壁部のX方向の寸法に満たない場合、自立時の安定性を欠き、壁部から底盤部を経て基礎へと伝達される応力の伝達効率が損なわれるので好ましくない。
【0011】
更に、壁部と直角をなす水平方向(以下、Y方向という)の底盤部の長さはプレキャストコンクリート躯体が略L字型の場合、Z方向の寸法の6割〜8割にすることが好ましい。具体的には0.8m〜3.5m、好ましくは1.5m〜3mが望ましい。Y方向の寸法が1.5mより短くなるにつれ底盤部と基礎との接触面積が小さくなり、自立安定性が低下すると共に、垂直方向荷重の基礎への分散範囲が狭くなって、建物の強度が低下する傾向があり、3mより長くなるにつれて重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があるのでいずれも好ましくない。尚、略逆T字型の場合は、よりY方向の寸法を小さくすることができる。
壁部及び底盤部の厚さは均一でもよいし、壁部は上端部から下端部へ、底盤部は先端部から壁部側根元部へ向かって厚さが増すようにテーパをつけてもよい。テーパを設けることにより、剛性を増すと共に、壁部の上端部側や底盤部の先端部側でのコンクリートボリューム及び鉄筋量を効果的に低減することができる。
均一とする場合、壁部、底盤部共に厚さは12cm〜30cm、好ましくは18cm〜30cmが望ましい。厚さが18cmより薄くなるにつれ曲げ応力が最大となる下端部や壁部側根元部にて発生する応力を許容応力以下に抑えることが困難になる傾向があり、30cmより大きくなるにつれてコンクリートのボリュームが増し、重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があるので、いずれも好ましくない。壁部の厚さが均一な場合、壁部の内外面ともに鉛直面となるので、内外の仕上げ面を鉛直に形成する際の施工性に優れる。底盤部の厚さが均一な場合、底盤部の上下面ともに水平面となるので、底盤部の上部に床組み若しくは床仕上げ面を形成する際の施工性に優れる。
【0012】
テーパを形成する場合、壁部の上端部及び底盤部の先端部の厚さは10cm〜15cmが好ましく、壁部の下端部及び底盤部の壁部側根元部の厚さは12cm〜40cmが好ましい。壁部の上端部及び底盤部の先端部の厚さが10cm又は壁部の下端部及び底盤部の壁部側根元部の厚さが12cmより薄くなるにつれ鉄筋のかぶりの確保が難しく、必要量の鉄筋を配筋することが困難となる傾向があり、壁部の上端部及び底盤部の先端部の厚さが15cm又は壁部の下端部及び底盤部の壁部側根元部の厚さが40cmより大きくなるにつれてコンクリートのボリュームが増し、重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があるので、いずれも好ましくない。厚さの変化に合わせてコンクリートボリュームと鉄筋量を増減し、効率的に配分することにより、発生応力に対して効率よく対抗し得る断面形状となり、軽量化が図られ、運搬性、施工性を向上させることができる。尚、壁部の外側か内側のいずれか一方は鉛直に形成することが望ましい。これにより、鉛直面に仕上げ面を形成する際の施工性に優れる。
また、壁部の上端側若しくは底盤部の先端側の一定範囲を薄い均一厚さとし、それより下部側若しくは壁部側の厚さを負担応力に対応させて増加させた形状としてもよい。これにより、応力負担効率のよい断面形状を形成することができ、コンクリートのボリュームを低減して、重量を軽くすることができるので、施工性、運搬性に優れる。更に壁部と底盤部との取り合い部分はハンチを形成することが好ましい。これにより、壁部から底盤部への応力伝達を確実に行うことができる。
【0013】
プレキャストコンクリート躯体の各部の寸法は、少なくとも一つの建設現場では体系的な基準寸法で製作することが好ましい。これにより、建築物の設計や各部の取り合いの方法などを標準化でき、設計及び施工を効率化することができる。
プレキャストコンクリート躯体は無垢の鉄筋コンクリートにより形成されるが、壁部は精度の高い型枠を用いることが好ましい。これにより、平滑性に優れた仕上がりとなり、表面をそのまま外壁若しくは内壁の仕上げ面として、現場での作業工数を低減することができる。
プレキャストコンクリート躯体の側面及び上面の小口面は、隣接する仕上げ材や建具部材若しくは壁下地材との取り合いにより、予め必要とされる目地を設けたり、面取りを施したりしてもよい。
【0014】
プレキャストコンクリート躯体を基礎に接合する手段としては溶接手段若しくはねじ止め手段と溶接手段の併用がある。
ねじ止め手段の場合は、基礎の所定位置に予め適正長のアンカーボルト若しくはボルトなどのねじ止め手段による接合のためのインサートを埋設することが好ましい尚、基礎に予めアンカーボルト等を埋設する代わりに、建築用樹脂アンカーや金属拡張型アンカー等のあと施工アンカーを用いてもよい
【0015】
プレキャストコンクリート躯体の底盤部の外周面に配設される壁面固定部材は、鋼製で溶接面となる板部と板部の裏面に配設されたアンカー部とを有し、プレキャストコンクリート躯体の製作時に埋設される。基礎の所定位置に予め鋼製の基礎固定部材を埋設しておくことにより、プレキャストコンクリート躯体を所定位置に据え付け後、略L字型や略コ字型の基礎底盤間固定材の直交する二面が、基礎固定部材及び壁面固定部材の各溶接面とそれぞれ接するように基礎底盤間固定材を配設して容易に溶接することができる。
ねじ止め手段と溶接手段の併用の場合は、まず、基礎の所定位置に予め埋設された適正長のアンカーボルト若しくはインサートにより、一面に接合用貫通孔を穿設された基礎底盤間固定材をねじ止めし、基礎底盤間固定材のねじ止め面と直交する面をプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材と溶接して、接合が完了する。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けるためにはスペーサーを用いる。スペーサーの材質としては、金属、金属繊維や合成繊維、セラミック繊維等で強化された複合合成樹脂、合成樹脂を含浸させ硬化させた強化木質材、耐水性や耐腐蝕性に優れた松などの木質材を使用することができる。スペーサーはプレキャストコンクリート躯体が据え付けられる範囲で、基礎上面の中央部及び/又は辺縁部に配設することが好ましく、特に、辺縁部に配設するスペーサーの形状は楔型とすることが望ましい。これにより、基礎や底盤部の平面度の誤差を容易に調整し、水平精度を確保することができる。また、スペーサーを用いたレベル調整を行うことにより、基礎に荷重が集中して傷や割れが発生するのを防止することができる。
充填材としては、流動性が高く、充填後に速やかに硬化する無収縮性の材料で、早期に強度を発生する材料が好ましく、無収縮モルタル等が好適に用いられる。基礎上面とプレキャストコンクリート躯体の底盤部の底面との間に設ける空隙の寸法は5mm〜50mm、好ましくは10mm〜20mmが望ましい。空隙の寸法が10mmより狭くなるにつれ充填材の充填施工性が悪くなると共に、水平精度を確保するのが困難になる傾向があり、20mmより広くなるにつれて不必要に充填材の量が増加し、作業量が増えると共に、施工性が悪化する傾向があるのでいずれも好ましくない。
尚、充填材の注入の際には底盤部の外周を囲繞するように木製等の漏れ防止板を配設することが好ましい。これにより、注入した充填材が外部に流れ出すことがなく、他の充填材注入孔や接合用貫通孔から空気を抜きながら基礎上面と底盤部底面との間に充填材を注入できると共に、充填材注入孔や接合用貫通孔にも逆流させるようにして充填でき、充填ムラが発生せず、確実に基礎とプレキャストコンクリート躯体とを一体化して、耐震性に優れる。
0021
基礎固定部材はプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材が設置される位置に合わせてプレキャストコンクリート躯体の底盤部の外周に埋設される。
基礎固定部材は鋼製であり、溶接面となる板部と板部の裏面に配設されたアンカー部とを有し、板部の表面が基礎の上面と面一か、やや高くなるようにする。これにより、基礎固定部材と基礎底盤間固定材とを確実に当接させることができる。
基礎固定部材の板部は長方形状で長手方向の長さをプレキャストコンクリート躯体の底盤部の外形と同等以下に形成して、底盤部の一辺に対して一箇所乃至複数箇所に配設する。
【0022】
【0023】
【0024】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の建築物であって、前記基礎底盤間固定材が直交する二面を有する構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)略L字型や略コ字型の基礎底盤間固定材の直交する二面が、基礎固定部材及び壁面固定部材の各溶接面とそれぞれ接するように基礎底盤間固定材を配設して容易に溶接することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2に記載の建築物であって、前記基礎固定部材に代えて前記基礎に配設された接合ボルトを有し、前記基礎底盤間固定材が接合用貫通孔を有し、前記接合用貫通孔に前記接合ボルトが挿通されナットで螺着固定されている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用(1)乃至(9)(12)(13)に加え、以下のような作用を有する。
(1)基礎と基礎に配設されたプレキャストコンクリート躯体が基礎に配設された接合ボルトで螺着固定された基礎底盤間固定材により、溶接で接合されるので、基礎とプレキャストコンクリート躯体を確実かつ容易に接合することができる。
(2)予め基礎に接合ボルトを配設しておくことにより、現場では接合ボルトに基礎底盤間固定材を螺着固定し、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材と溶接して容易に接合することができる。
【0026】
ここで、接合ボルトはプレキャストコンクリート躯体の底盤部の外周で基礎に直接埋設したアンカーボルトや基礎に埋設したインサートに螺着したボルト軸である。略L字型や略コ字型の基礎底盤間固定材の一面に穿設した接合用貫通孔に接合ボルトを挿通し、接合ナットを螺着固定した後、底盤部の壁面固定部材と接する面を溶接する。
接合ボルト及び接合ナットの材質としては、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄鋼、カーボン鉄鋼等の鉄製品やアルミニウム合金等の金属製の他、カーボン繊維やボロン繊維、ガラス繊維、金属繊維等の有機や無機の繊維と合成樹脂で成形加工したものが用いられる。金属製の場合、防錆加工されたものが好適に用いられる。
尚、基礎底盤間固定材に穿設する接合用貫通孔はアンカーボルト若しくはインサートの外径よりも大きな円形とするか、楕円形や長孔状に形成することが好ましい。これにより、プレキャストコンクリート躯体と基礎底盤間固定材との位置合わせを容易に行い、接合作業を効率化することができる。
【0027】
【0028】
【0029】
請求項4に記載の発明は請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の建築物であって、前記プレキャストコンクリート躯体の壁部の正面、裏面、側面小口面、上面の内いずれか1箇所以上に配設固定され柱材、梁材、筋違材などの軸組部材を接合する1以上の接合具と、前記接合具に接合された柱材、梁材、筋違材などの1以上の軸組部材と、を有する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)プレキャストコンクリート躯体の壁部に接合具が配設されていることにより、建設現場にて必要な軸組部材を容易に取付けることができ、建設現場での作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できると共に、作業人員を削減することができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体の工場製作時に壁部に接合具を必要な位置に高精度で配設することができるので、安定した接合強度と位置精度で軸組部材を接合することができ、耐久性、信頼性に優れた構造とすることができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体の寸法精度が高いので、非耐力壁や窓や扉等の開口部の各細部との取り合い部分に至るまで高い精度と水密性を保って形成することができ、建築物各部内部への雨水等の浸入をより確実に防ぐことができる。
(4)壁部に配設された接合具で柱材を接合することにより、プレキャストコンクリート躯体の高さ以上の建築物を容易に建設することができので施工自在性に優れ、二階建ての建築物も建設することができる。
ここで、接合具としてはアンカーボルト若しくはボルトなどのねじ止め手段による接合のためのインサート或いは溶接のための鋼製の横架材固定部材がある。
アンカーボルトは所定位置に適正長さ分が突出するように配設面に直交して埋設される。インサートは先端が配設面とほぼ面一となるように配設面に直交して埋設される。横架材固定部材は溶接面となる板部と板部の裏面に配設されたアンカー部を有し、溶接面が配設面とほぼ面一となるように埋設される。
接合具としてアンカーボルト若しくはインサートを有する場合、柱材や梁材などの軸組部材の所定位置に予め接合用の貫通孔を穿設しておくことが好ましい。これにより、ナット又はボルトなどを用いて容易に接合具と軸組部材を螺着固定することができる。この場合、軸組部材は木材でも鉄骨などの金属製でもよい。
軸組部材はナットやボルトによる仮止め後、水平や垂直の精度を出してから軸組部材と接合面との間に無収縮性モルタルなどを充填し、本締めを行う。尚、プレキャストコンクリート躯体の寸法精度が十分に確保されている場合は、初めから本締めを行うことができる。
軸組部材が金属製の場合は、接合具として横架材固定部材を用いることができる。
特に、プレキャストコンクリート躯体が略逆T字型に形成されている場合、壁部の正面と裏面の両面に、接合具を配設固定することが好ましい。これにより、壁部の両面にそれぞれ桁材等の軸組部材を接合することができるので、プレキャストコンクリート躯体を建築物の内部に配設して部屋と部屋とを仕切る内壁として好適に使用できる。
ねじ止めにより接合を行う場合、柱材や梁材、筋違材などの軸組部材の所定位置に予め接合用貫通孔を穿設しておくことが好ましい。これにより、現場での軸組部材の接合の作業性を向上させることができる。
【0030】
【0031】
請求項5に記載の発明は請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の建築物であって、複数のプレキャストコンクリート躯体間で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部が形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)複数のプレキャストコンクリート躯体間で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部を形成することにより、プレキャストコンクリート躯体同士の高精度の接合を必要としないので、作業性、施工自由性、居住性に優れた建築物を建設することができる。
(2)複数のプレキャストコンクリート躯体で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部を形成することにより、プレキャストコンクリート躯体同士の接合を不要とし、プレキャストコンクリート躯体自体に開口部を形成する必要がなく、従来工法により、容易に窓や扉などを配設することができる。
(3)内部空間に柱や耐力壁等の構造部材がない外殻構造として非耐力壁が形成されているので、設計の自由度が高く、増築や内部改修等にも柔軟に対応することができる。
【0032】
ここで、80m2〜130m2程度の長方形平面で造られる一般的な建築物の場合、プレキャストコンクリート躯体を4個〜14個、好ましくは4個〜10個使用することが望ましい。使用するプレキャストコンクリート躯体の個数が4個より少なくなるにつれ、建築物の4カ所の角部全てをプレキャストコンクリート躯体で構成することができず、柱や耐力壁等が別に必要となり、作業工数が増加する傾向があり、10個より大きくなるにつれて建築物の外周面の多くをプレキャストコンクリート躯体が占めるので、壁部の面積に比べて開口部の面積が少なくなり、内部の居住性が悪化する傾向があるので、いずれも好ましくない。4個〜14個程度の個数であれば、1日〜2日で設置が可能であり、大幅な工期の短縮を図ることができる。
プレキャストコンクリート躯体の室内側に断熱材と別途、内装仕上げを施す場合、プレキャストコンクリート躯体の壁部と内壁材との間には木材等で胴縁を形成し、その間に発泡スチロール等の板状の断熱材を接着したり、無機繊維系又は発泡プラスチック系の断熱材を充填又は注入したりすることが好ましい。これにより、プレキャストコンクリート躯体部分の断熱性が高いと共に、プレキャストコンクリート躯体の壁部と内壁材との間に空隙がなく、空気の流通もないので、結露を防止することができる。胴縁は縦方向又は横方向のみに設けてもよいし、格子状に設けてもよい。また、壁部と胴縁との接合にはコンクリート釘が好適に用いられる。
尚、壁部の外面には塗料若しくは撥水材を塗布することが好ましい。これにより、外部からの水分の浸入を防ぐことができる。塗料としては、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコン系、フッ素樹脂系等のものが、撥水材としては、シリコン系、シラン系等のものが好適に用いられる。
【0033】
請求項6に記載の発明は請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の建築物であって、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の上面から下面に1以上の充填材注入孔が穿設されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)底盤部に複数の充填材注入孔や接合用貫通孔を有することにより、空気が抜け易く、充填状態を確認しながらムラなく確実に充填材を充填して基礎とプレキャストコンクリート躯体を密着させることができる。
【0034】
請求項7は建築物の建築工法であって、a.基礎に接合ボルト又は基礎固定部材が配設される接合部形成工程と、b.前記基礎固定部材と請求項4乃至6の内いずれか1項に記載された建築物のプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材とを基礎底盤間固定材を介して溶接にて接合する溶接工程と、又は前記接合ボルトを前記基礎底盤間固定材が有する接合用貫通孔に挿通してナットで螺着固定しさらに前記基礎底盤間固定材と請求項4乃至6の内いずれか1項に記載された建築物のプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材とを溶接するねじ止め溶接工程と、の内いずれか1を有した基礎接合工程と、c.1以上の柱材、梁材、筋違材などの軸組部材と請求項4乃至6の内いずれか1項に記載された建築物のプレキャストコンクリート躯体の接合具を接合する軸組接合工 程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)接合部形成工程において基礎に接合ボルト又は基礎固定部材を予め配設することにより溶接工程、ねじ止め溶接工程、の内いずれか1を有した基礎接合工程で、容易に基礎にプレキャストコンクリート躯体を接合固定することができ、壁材の接合作業性を向上できる。
(2)軸組接合工程において柱材、梁材、筋違材などの軸組部材とプレキャストコンクリート躯体の接合具を接合することにより、軸組部材を順に組み立てていくことができ、建設現場で容易に軸組部材と壁材の接合ができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体に軸組部材が接合できることにより、プレキャストコンクリート躯体同士を接合する必要がないので、プレキャストコンクリート躯体を容易に設置することができ、施工自由性に優れる。
(4)プレキャストコンクリート躯体に柱材が接合できることにより、プレキャストコンクリート躯体の高さ以上の建築物を容易に建設することができるので施工自在性に優れ、二階建ての建築物も建設することができ施工汎用性にも優れる。
ここで、プレキャストコンクリート躯体はクレーンなどにより吊り上げて所望の位置に据え付けられる。複数のプレキャストコンクリート躯体の間には開口部として窓や扉等が設けられ、必要に応じて基礎からコンクリートの立ち上がり施工を行う。
【0035】
請求項8に記載の発明は請求項7に記載の建築物の建築工法であって、前記基礎接合工程が、前記充填材注入孔から充填材を充填する充填材注入工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)予め底盤部に充填材注入孔が穿設されているので、現場では充填材注入孔から充填材を充填するだけで、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の底面全体で基礎と接合することができ、作業性に優れる。
(2)プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けるようにして接合することができるので、基礎や底盤部の水平精度によらず、プレキャストコンクリート躯体を水平に設置できると共に、複数個のプレキャストコンクリート躯体を同一レベルに設置することができ、建設現場での据え付け作業を容易に行うことができる。
ここで、複数の充填材注入孔を有することにより、充填状態を確認しながら確実に充填材を充填して、基礎と底盤部とを接合することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の全体斜視図である。
図1中、1は垂直断面が略L字型に形成された実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体、1aは矩形に形成されたプレキャストコンクリート躯体1の底盤部、1bは底盤部1aに垂直に立設されたプレキャストコンクリート躯体1の壁部、2は底盤部1aの上面から下面に穿設され予め施工された基礎(図示せず)のアンカーボルト等の接合具が挿通される接合用貫通孔、3は壁部1bの正面、側面小口面、上面にそれぞれ埋設された柱や梁、桁材等の軸組部材をねじ止め等の手段によって接合するためのインサート等の接合具、4は基礎と底盤部1aとの間に無収縮性モルタル等の充填材を注入するための充填材注入孔である。
【0037】
壁部1bの高さは2.5m〜4mで形成した。高さが2.5mより小さくなるにつれ壁部1bの高さが不足して、柱材等を追加する必要が生じ、建設現場での作業工数が増加する傾向があり、4mより大きくなるにつれて重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があることがわかった。
また、底盤部1a及び壁部1bの幅は1m〜2mで形成した。幅が1mより短くなるにつれ幅が狭くなって自立安定性が悪くなり、一個当たりの壁面負担面積が少なくなるので設置個数が増え、建設現場での作業工数が増える傾向があり、2mより長くなるにつれて重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向がある
ことがわかった。
底盤部1aの長さは1.5m〜3mで形成した。長さが1.5mより短くなるにつれ底盤部1aと基礎との接触面積が小さくなり、自立安定性が低下すると共に、垂直方向荷重の基礎への分散範囲が狭くなって、建物の強度が低下する傾向があり、3mより長くなるにつれて重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があることがわかった。
【0038】
底盤部1aの厚さは先端部から壁部1b側根元部へ、壁部1bの厚さは上端部から下端部へ向かって厚さが増すようにテーパをつけて形成した。これにより、底盤部1aの壁部1b側根元部や壁部1bの下端部での剛性を増すと共に、底盤部1aの先端側や壁部1bの上端側でのコンクリートボリューム及び鉄筋量を効果的に低減することができる。
底盤部1aの先端部及び壁部1bの上端部の厚さは10cm〜15cmで形成し、底盤部1aの壁部側根元部及び壁部1bの下端部の厚さは12cm〜40cmで形成した。底盤部1aの先端部及び壁部1bの上端部の厚さが10cm又は底盤部1aの壁部側根元部及び壁部1bの下端部の厚さが12cmより薄くなるにつれ鉄筋のかぶりの確保が難しく、必要量の鉄筋を配筋することが困難となる傾向があり、底盤部1aの先端部及び壁部1bの上端部の厚さが15cm又は底盤部1aの壁部側根元部及び壁部1bの下端部の厚さが40cmより大きくなるにつれてコンクリートのボリュームが増し、重量が増して施工性、運搬性が悪くなる傾向があり好ましくないことがわかった。
尚、壁部1bの外側は鉛直に形成した。これにより、鉛直面に仕上げ面を形成する際の施工性に優れる。
【0039】
図2は実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の変形例を示す全体斜視図である。
尚、図1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図2中、11はプレキャストコンクリート躯体、11aは底盤部、11bは壁部である。
図2におけるプレキャストコンクリート躯体11の変形例が図1と異なるのは、底盤部11aに接合用貫通孔を有していない点と、壁部11bの上面に接合具3を埋設されていない点と、底盤部11aの外周面に基礎との溶接による接合を行うための鋼製の壁面固定部材5が埋設されている点である。
【0040】
図3は実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の変形例を示す全体斜視図である。
尚、図1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図3中、21はプレキャストコンクリート躯体、21aは底盤部、21bは壁部である。
図3におけるプレキャストコンクリート躯体21の変形例が図1と異なるのは、壁部21bの正面にねじ止め等の手段によって柱や梁、桁材等の軸組部材を接合するためのインサート等の代わりに溶接のための鋼製の溶接用部材6を埋設されている点である。
【0041】
以上のように形成された実施の形態1の建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体を用いて、以下、実施の形態1における建築物について、図面を用いて説明する。尚、実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図4(a)は実施の形態1における建築物の平面図であり、図4(b)は図4(a)におけるA−A線断面側面図であり、図5はプレキャストコンクリート躯体間に形成される開口部の接合構造を示す要部断面平面図である。
図4(a)中、50は実施の形態1における建築物、51はコンクリートで形成され上面51aの四隅部にプレキャストコンクリート躯体1が配設固定された布基礎等からなる基礎、52は基礎51から立ち上がり施工されたコンクリート製等の外壁、53、54は複数のプレキャストコンクリート躯体1の間に配設された扉及び窓である。
図4(b)中、55はプレキャストコンクリート躯体1の底盤部1aに垂直に立設された束材、56は束材55上に渡設された大引き、57は大引き56に直交して渡設された根太、58は根太57上に敷設された床板、59はプレキャストコンクリート躯体1の壁部1bにコンクリート釘等により配設固定された木製等の胴縁、60は胴縁59、59間に配設された発泡スチロールやポリウレタン等で形成された断熱材、61は胴縁59及び断熱材60に覆設された内壁、62はプレキャストコンクリート躯体1の壁部1b上面に配設固定された桁梁、63は桁梁62、62間に渡設固定された小屋梁である。
【0042】
図5中、64は壁部1bに沿って塗着された無収縮モルタルなどの充填材、65はプレキャストコンクリート躯体1の壁部1bの側面小口面に埋設された接合具3に螺着されたボルト軸66及びナット67により充填材64を介して接合された鉄骨等の柱材、68は窓54の内周に覆設された額縁、69は窓54の外周に配設された木製間柱70とプレキャストコンクリート躯体1の壁部1bとの間を封止するシーリング、71は柱材65に配設固定されたアルミサッシである。
【0043】
以上のように構成された実施の形態1の建築物について、以下、その建築工法を図面を用いて説明する。
まず、ねじ止め工程によるプレキャストコンクリート躯体1と基礎51との接合方法について説明する。
図6はプレキャストコンクリート躯体と基礎の接合工程を示す全体斜視図であり、図7(a)乃至図7(c)はプレキャストコンクリート躯体と基礎の接合工程を示す要部断面側面図であり、図8(a)は接合部の要部断面拡大図であり、図8(b)は接合部の変形例を示す要部断面拡大図である。
図6中、51bは基礎51に基部が埋設された接合ボルト、75a、75bはそれぞれ金属、金属繊維や合成繊維、セラミック繊維等で強化された複合合成樹脂、合成樹脂を含浸させ硬化させた強化木質材、耐水性や耐腐蝕性に優れた松などの木質材を使用した中央スペーサー及び楔型スペーサー、75cはプレキャストコンクリート躯体1の底盤部1aの外周を囲繞するように配設された木製等の漏れ防止板、Bは基礎51上でのプレキャストコンクリート躯体1の設置部である。尚、ここでは説明の都合上、漏れ防止板75cをプレキャストコンクリート躯体1の設置前に配設したが、実際の工程では、プレキャストコンクリート躯体1の設置後に漏れ防止板75cが配設される。
まず、接合部形成工程において、基礎51の所定位置に直接、適正長の接合ボルト51bの基部を埋設する。尚、接合ボルト51bは基礎51に埋設したインサートにボルト軸を螺着して形成することもできる。
次に、基礎接合工程において、基礎51の上面51a上のプレキャストコンクリート躯体1の設置位置に中央スペーサー75a及び楔型スペーサー75bを配置後、プレキャストコンクリート躯体1をクレーン等により吊り上げて据え付ける。
【0044】
図7(a)において、楔型スペーサー75bによる水平レベルの調整後、接合ボルト51bに座金51cを挿通し、接合ナット51dを螺着して基礎51とプレキャストコンクリート躯体1の仮止めを行う。次いで、充填注入孔4から充填64の注入を行う。このとき、図6に示したように底盤部1aの外周を囲繞する漏れ防止板75cを配設することにより、注入した充填材64が外部に流れ出すことがなく、他の充填材注入孔4や接合用貫通孔2から空気を抜きながら基礎51上面と底盤部1a底面との間に充填材64を注入できると共に、図7(b)に示すように接合用貫通孔2にも逆流させるように充填できる。充填注入孔4から注入した充填64の硬化後、一旦、座金51c、接合ナット51dを外して接合用貫通孔2から不足分の充填64の注入を行い、座金51c及び接合ナット51dによる本締めを行う。以上により、充填ムラが発生せず、確実に基礎51とプレキャストコンクリート躯体1とを一体化して、耐震性に優れる。
図8(a)において、座金51cは底盤部1aの上面と同一の勾配を有するように形成され、図8(b)において、接合用貫通孔2の周囲が水平となるように座堀1cを形成し、平板状の座金51c’を使用した。これにより、座金51c、51c’の上面が水平となってプレキャストコンクリート躯体1と基礎51を確実に接合できる。
尚、基礎51の上面51aとプレキャストコンクリート躯体1の底盤部1aの底面との間に設ける空隙は10mm〜20mmとした。空隙が10mmより狭くなるにつれ充填材64の充填施工性が悪くなると共に、水平精度を確保するのが困難になる傾向があり、20mmより広くなるにつれて不必要に充填材の量が増加し、作業量が増えると共に、施工性が悪化する傾向があり好ましくないことがわかった。
【0045】
次に、溶接工程によるプレキャストコンクリート躯体1と基礎51との接合方法について説明する。
図9(a)は基礎接合工程を示す全体斜視図であり、図9(b)は接合部の要部断面拡大図である。
図9中、5aはプレキャストコンクリート躯体11の底盤部11aの外周面に埋設された壁面固定部材5の裏面に形成されたアンカー部、51eは裏面に配設されたアンカー部51fが基礎51に埋設された鋼製の基礎固定部材、76は略L字型の直交する二面が基礎固定部材51e及び壁面固定部材5の各溶接面とそれぞれ接するように配設され溶接された鋼製の基礎底盤間固定材である。
図7におけるねじ止め工程による基礎接合工程と同様に、プレキャストコンクリート躯体11の据え付け後、中央スペーサー75a及び楔型スペーサー75bによる水平レベルの調整を行う。充填注入孔4から充填64の注入を行い、充填64が硬化した後、基礎底盤間固定材76と基礎固定部材51e及び壁面固定部材5との溶接を行う。尚、充填64の注入の際には、基礎底盤間固定材76が図6における漏れ防止板75cの役目を果たし、良好な充填状態を得ることができる。
【0046】
次に、ねじ止め手段と溶接手段を併用したねじ止め溶接工程によるプレキャストコンクリート躯体11と基礎51との接合方法について説明する。
図10(a)は基礎接合工程を示す全体斜視図であり、図10(b)は接合部の要部断面拡大図である。
図10中、51b’は基礎51のプレキャストコンクリート躯体11の底盤部の周囲に設置される基礎底盤間固定材76’を固定するために予め基部が埋設された適正長のアンカーボルトによる接合ボルト、76’は鋼製で略L字型に形成され一面に穿設された接合用貫通孔76a’を有する基礎底盤間固定材である。
図9の溶接工程による基礎接合工程と同様に、プレキャストコンクリート躯体11の据え付け後、中央スペーサー75a及び楔型スペーサー75bによる水平レベルの調整を行い、充填注入孔4から充填64の注入を行う。充填64が硬化した後、基礎底盤間固定材76’を接合用貫通孔76a’に接合ボルト51b’が挿通するように配置し、座金51c’、接合ナット51dで仮止めする。基礎底盤間固定材76’のねじ止め面と直交する面をプレキャストコンクリート躯体11の底盤部11aに埋設された壁面固定部材5と溶接し、接合ナット51dを本締めして接合が完了する。
尚、基礎底盤間固定材76’に穿設する接合用貫通孔76a’は接合ボルト51b’の外径よりも大きな円形や楕円形、長孔状に形成した。これにより、プレキャストコンクリート躯体11と基礎底盤間固定材76’との位置合わせを容易に行い、接合作業を効率化している。また、充填64の注入の際には、基礎底盤間固定材76’が図6における漏れ防止板75cの役目を果たし、良好な充填状態を得ることができる。
【0047】
次に、柱材、梁材、筋違材などの軸組部材とプレキャストコンクリート躯体を接合する軸組接合工程について説明する。
図11(a)は軸組部材が接合されたプレキャストコンクリート躯体を示す全体斜視図であり、図11(b)は図11(a)におけるB−B線断面平面図であり、図11(c)は図11(a)におけるC−C線断面側面図であり、図12は筋違ユニットの接合工程を示す全体斜視図である。
図11中、62’はプレキャストコンクリート躯体21の壁部21bの正面に埋設されたアンカー部6aを有する鋼製の横架材固定部材6に溶接固定された鋼製でL字型に形成された梁材、65はプレキャストコンクリート躯体21の壁部21bの側面小口面に埋設されたインサートの接合具3に螺着されたボルト軸66が挿通される接合用貫通孔65aを有しナット67により充填材64を介して接合された鉄骨等の柱材である。
プレキャストコンクリート躯体21の壁部21bの側面小口面に埋設されたインサートの接合具3にボルト軸66を螺着し、ボルト軸66が接合用貫通孔65aを挿通するように柱材65を配設する。ナット67で仮止めした状態で柱材の水平、垂直精度を確保し、充填材64を充填してからナット67の本締めを行う。
プレキャストコンクリート躯体21の壁部21bの正面に埋設されたアンカー部6aを有する鋼製の溶接用部材6に対して梁材62’の一面が接するように配置し、水平、垂直精度を確保した上で溶接により接合固定する。
【0048】
図12中、77は筋違ユニット、77aは筋違ユニット77のベースプレート部で、複数の接合用貫通孔77bに挿通されるボルト軸66とボルト軸66に螺着されるナット67によりプレキャストコンクリート躯体21の壁部21bの上面に接合される。77cはベースプレート部77aに配設された筋違材、77dは筋違材77cの上端に配設された上板部である。
プレキャストコンクリート躯体21の壁部21bの上面に埋設されたインサートの接合具3にボルト軸66を螺着し、ボルト軸66が接合用貫通孔77bを挿通するようにベースプレート部77aを配設する。ナット67で仮止めした状態で水平、垂直精度を確保し、充填材64を充填してからナット67の本締めを行う。その後、上板部77dの上面にねじ止め又は溶接により桁材62”を接合することができる。
尚、本実施例では建設現場における作業効率の向上のために、ベースプレート部77aと上板部77dにより二本の筋違材77cを一体化した筋違ユニット77を使用したが、筋違材77cは一本ずつ単独で結合することもできる。
また、柱材65、筋違材77cをねじ止め、梁材62’を溶接により接合したが、それぞれいずれの方法を用いても接合することができ、ねじ止めの場合は金属製のほかに木製の柱材や梁材、筋違材を使用することができる。
ねじ止めにより接合を行う場合、柱材や梁材、筋違材などの軸組部材の所定位置に予め接合用貫通孔65a、77bを穿設しておくことが好ましい。これにより、現場での軸組接合工程の作業性を向上させることができる。
【0049】
以上のように実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体によれば、以下の作用を有する。
(1)プレキャストコンクリート躯体が、底盤部と底盤部に垂直に立設された壁部によって構成されているので、単独で安定して自立し、現場搬入時の仮置きや建設時の据え付けを容易に行うことができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体が底盤部と壁部を有し、垂直断面が略L字型又は略逆T字型に一体形成されている構成となっているので、壁部及びその上部架構から負荷される鉛直荷重又は水平荷重、更にそれらによって生じる曲げ荷重を壁部から底盤部へ確実に伝達し、基礎への伝達有効面積を確保することができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体が工場製作なので、鉄筋の加工、配筋から型枠の成型、コンクリートの打設まで一連の作業を安定した環境下で行うことができ、現場作業員の技術熟練度や天候の悪影響を排除して高い精度でコンクリート壁材を製作することができる。
(4)底盤部と壁部を有するプレキャストコンクリート躯体を用いることにより、建設現場での作業工数が減り、躯体工事を簡素化できるので、施工性に優れる。
(5)底盤部に穿設された接合用貫通孔又は底盤部の外周面に配設された壁面固定部材を有しているので、ねじ止め又は溶接により容易に基礎と一体化することができ、壁材に負荷される荷重を確実に基礎へ伝達して転倒を防ぎ、風力や地震力に対抗することができる。
(6)プレキャストコンクリート躯体の工場製作時に底盤部に接合用貫通孔又は壁面固定部材を必要な位置に高精度で配設することができるので、安定した接合強度と位置精度を確保することができる。
(7)壁部の正面、裏面、側面小口面、上面の内いずれか1以上に接合具が配設されていることにより、建設現場にて必要な軸組部材を容易に取付けることができる。
(8)プレキャストコンクリート躯体の工場製作時に接合具を必要な位置に高精度で配設することができるので、安定した接合強度と位置精度を確保することができる。
(9)底盤部に穿設された充填材注入孔を有するので、プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けることにより、空隙に充填材を充填してプレキャストコンクリート躯体の底盤部の底面全体で基礎と接合することができ、接合強度を向上させることができる。
(10)プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けるようにして設置することができるので、基礎や底盤部の水平精度によらず、プレキャストコンクリート躯体を水平に設置することができる。
(11)底盤部に複数の充填材注入孔や接合用貫通孔を有することにより、空気が抜け易く、充填状態を確認しながらムラなく確実に充填材を充填して基礎とプレキャストコンクリート躯体を密着させることができる。
実施の形態1における建築物によれば、以下の作用を有する。
【0050】
(1)プレキャストコンクリート躯体を建築物の基礎立ち上がり、壁柱、耐力壁、外壁下地、内壁下地、さらには仕上げ面として使用することができ、建設現場での作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できると共に、作業人員を削減することができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体が工場で製作され高い製品精度を有するので、建設現場での高精度の据え付け作業を容易に行うことができ、作業員の技術修練度に関わりなく高い精度で建設することができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体の寸法精度が高いので、非耐力壁や窓や扉等の開口部の各細部との取り合い部分に至るまで高い精度と水密性を保って形成することができ、建築物各部内部への雨水等の浸入をより確実に防ぐことができる。
(4)プレキャストコンクリート躯体の体系的な寸法基準値をもとに設計手法や施工手法を規格化、標準化し、設計業務や施工業務を大幅に効率化することができる。
(5)小規模建築物においては内部空間に柱や耐力壁等の構造部材がない外殻構造として形成されるので、内部の空間構成の自由度が高く、内部改修等にも柔軟に対応することができる。
(6)複数のプレキャストコンクリート躯体間で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部を形成することにより、プレキャストコンクリート躯体同士の高精度の接合を必要としないので、施工自由性、居住性に優れる。
【0051】
実施の形態1における建築物の建設工法によれば、以下の作用を有する。
(1)基礎に接合ボルト又は基礎固定部材を予め配設することにより、ねじ止め工程、溶接工程、ねじ止め溶接工程、の内いずれか1を有した基礎接合工程で、容易に基礎にプレキャストコンクリート躯体を接合固定することができ、接合作業性を向上できる。
(2)柱材、梁材、筋違材などの軸組部材とプレキャストコンクリート躯体の接合具を接合することにより、軸組部材を順に組み立てていくことができ、建設現場で容易に軸組部材とプレキャストコンクリート躯体の壁部を接合できる。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態2における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体について、以下、図面を用いて説明する。
尚、実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図13は実施の形態2における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の全体斜視図である。
図13中、31は断面が略逆T字型に形成された実施の形態2における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体、31aは矩形に形成されたプレキャストコンクリート躯体31の底盤部、31bは底盤部31aの中央部に垂直に立設されたプレキャストコンクリート躯体31の壁部、31cは底盤部31aに基部が埋設され外周面に露出した定着用鉄筋である。
実施の形態2における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体31が実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体と異なるのは、プレキャストコンクリート躯体31が略逆T字型に形成されている点と、底盤部31aの外周面に定着用鉄筋が露出している点である。
尚、基礎や軸組部材との接合に関しては、実施の形態1と同様である。
【0053】
以上のように実施の形態2における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体によれば、実施の形態1の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)底盤部の外周面に1以上の定着用鉄筋が露出しているので、重ね継手又は圧接などにより接合し、コンクリートを打設することにより、基礎と複数個のプレキャストコンクリート躯体を相互に連結して一体化することができ、風力や地震力に対抗することができる。
(2)定着用鉄筋により基礎と複数個のプレキャストコンクリート躯体を相互に連結するので底盤部の面積を小さくすることができ、プレキャストコンクリート躯体の工場製作時におけるコンクリートボリュームを効率よく低減し、軽量で運搬性や施工性を向上させることができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体が略逆T字型に形成されているので、設置安定性があり、建築物の内部に配設することにより部屋と部屋とを仕切る内壁として使用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明の建築物によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)プレキャストコンクリート躯体が、底盤部と底盤部に垂直に立設された壁部によって構成されているので、単独で安定して自立し、現場搬入時の仮置きや建設時の据え付けを容易に行うことができる施工性に優れた建築物を提供することができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体が底盤部と壁部を有し、垂直断面が略L字型又は略逆T字型に形成されている構成となっているので、壁部及びその上部架構から負荷される鉛直荷重又は水平荷重、更にそれらによって生じる曲げ荷重を壁部から底盤部へ確実に伝達し、基礎への伝達有効面積を確保することができる安定性、耐久性に優れた建築物を提供することができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体が工場製作なので、鉄筋の加工、配筋から型枠の成型、コンクリートの打設まで一連の作業を安定した環境下で行うことができ、現場作業員の技術熟練度や天候の悪影響を排除して高い精度で製作されたコンクリート壁材を有する生産性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(4)底盤部と壁部を有するプレキャストコンクリート躯体を用いることにより、建設現場での作業工数が減り、躯体工事を簡素化でき、施工性に優れた建築物を提供することができる。
(5)底盤部の外周面に配設された壁面固定部材を有しているので、ねじ止め又は溶接により容易に基礎と一体化することができ、壁材に負荷される荷重を確実に基礎へ伝達して転倒を防ぎ、風力や地震力に対抗することができる施工性、安定性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(6)プレキャストコンクリート躯体の工場製作時に底盤部に壁面固定部材を必要な位置に高精度で配設することができるので、安定した接合強度と位置精度を確保することができる施工性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(7)プレキャストコンクリート躯体を建築物の基礎立ち上がり、壁柱、耐力壁、外壁下地、内壁下地、さらには仕上げ面として使用することができ、建設現場での作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できると共に、作業人員を削減することができる施工性に優れた建築物を提供することができる。
(8)プレキャストコンクリート躯体が工場で製作され高い製品精度を有するので、建設現場での高精度の据え付け作業を容易に行うことができ、作業員の技術修練度に関わりなく高い精度で建設することができる施工性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(9)プレキャストコンクリート躯体の体系的な寸法基準値をもとに設計手法や施工手法を規格化、標準化し、設計業務や施工業務を大幅に効率化することができる施工性に優れた建築物を提供することができる。
(10)基礎と基礎に配設されたプレキャストコンクリート躯体が基礎に配設された基礎固定部材と基礎底盤間固定材により溶接で接合されるので、基礎とプレキャストコンクリート躯体を確実に接合することができる施工性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(11)予め基礎に基礎固定部材を配設しておくことにより、現場ではプレキャストコンクリート躯体を所定位置に設置し、基礎の基礎固定部材とプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材を基礎底盤間固定材で容易に接合することができる施工性に優れた建築物を提供することができる。
(12)基礎と底盤部との間に充填された充填材を有するので、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の底面全体で基礎と接合することができ、接合強度を向上させ耐久性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(13)プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けるようにして接合することにより、基礎や底盤部の水平精度によらず、プレキャストコンクリート躯体を水平に設置することができるので、建設現場での高精度の据え付け作業を容易に行うことができ、作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できる施行性に優れた建築物を提供することができる。
【0055】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)略L字型や略コ字型の基礎底盤間固定材の直交する二面が、基礎固定部材及び壁面固定部材の各溶接面とそれぞれ接するように基礎底盤間固定材を配設して容易に溶接することができる。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果(1)乃至(9)(12)(13)に加え、以下のような効果を有する。
(1)基礎と基礎に配設されたプレキャストコンクリート躯体が基礎に配設された接合ボルトで螺着固定された基礎底盤間固定材により、溶接で接合されるので、基礎とプレキャストコンクリート躯体を確実かつ容易に接合することができる施工性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(2)予め基礎に接合ボルトを配設しておくことにより、現場では接合ボルトに基礎底盤間固定材を螺着固定し、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材と溶接して容易に接合することができる施工性に優れた建築物を提供することができる。
【0061】
【0062】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)プレキャストコンクリート躯体の壁部に接合具が配設されていることにより、建設現場にて必要な軸組部材を容易に取付けることができ、建設現場での作業工数や作業量を低減して施工工期を大幅に短縮できると共に、作業人員を削減することができる施行性に優れた建築物を提供することができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体の工場製作時に壁部に接合具を必要な位置に高精度で配設することができるので、安定した接合強度と位置精度で軸組部材を接合することができ、耐久性、信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体の寸法精度が高いので、非耐力壁や窓や扉等の開口部の各細部との取り合い部分に至るまで高い精度と水密性を保って形成することができ、建築物各部内部への雨水等の浸入をより確実に防ぐことができる信頼性に優れた建築物を提供することができる。
(4)壁部に配設された接合具で柱材を接合することにより、プレキャストコンクリート躯体の高さ以上の建築物を容易に建設することができるので施工自在性に優れ、二階建ての建築物も建設することができる汎用性に優れた建築物を提供することができる。
【0063】
【0064】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)複数のプレキャストコンクリート躯体間で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部を形成することにより、プレキャストコンクリート躯体同士の高精度の接合を必要とすることなく、作業性、施工自由性、居住性に優れた建築物を提供することができる。
(2)複数のプレキャストコンクリート躯体で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部を形成することにより、プレキャストコンクリート躯体同士の接合を不要とし、プレキャストコンクリート躯体自体に開口部を形成する必要がなく、従来工法により、容易に窓や扉などを配設することができる施工性に優れた建築物を提供することができる。
(3)内部空間に柱や耐力壁等の構造部材がない外殻構造として非耐力壁が形成されているので、設計の自由度が高く、増築や内部改修等にも柔軟に対応することができる施工性、汎用性に優れた建築物を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)底盤部に複数の充填材注入孔や接合用貫通孔を有することにより、空気が抜け易く、充填状態を確認しながらムラなく確実に充填材を充填して基礎とプレキャストコンクリート躯体を密着させることができる施工性、信頼性に優れたプレキャストコンクリート躯体を提供することができる。
【0065】
本発明におけるプレキャストコンクリート躯体を用いた建築物の建築工法によれば、以下の優れた効果を実現できる。
請求項7に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)接合部形成工程において基礎に接合ボルト又は基礎固定部材を予め配設することにより溶接工程、ねじ止め溶接工程、の内いずれか1を有した基礎接合工程で、容易に基礎にプレキャストコンクリート躯体を接合固定することができ、壁材の接合作業性を向上できる施工性、信頼性に優れた建築工法を提供することができる。
(2)軸組接合工程において柱材、梁材、筋違材などの軸組部材とプレキャストコンクリート躯体の接合具を接合することにより、軸組部材を順に組み立てていくことができ、建設現場で容易に軸組部材と壁材の接合ができる施工性に優れた建築工法を提供することができる。
(3)プレキャストコンクリート躯体に軸組部材が接合できることにより、プレキャストコンクリート躯体同士を接合する必要がないので、プレキャストコンクリート躯体を容易に設置することができ、施工自由性に優れた建築工法を提供することができる。
(4)プレキャストコンクリート躯体に柱材が接合できることにより、プレキャストコンクリート躯体の高さ以上の建築物を容易に建設することができるので施工自在性に優れ、二階建ての建築物も建設することができる汎用性に優れた建築工法を提供することができる。
【0066】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)予め底盤部に充填材注入孔が穿設されているので、現場では充填材注入孔から充填材を充填するだけで、プレキャストコンクリート躯体の底盤部の底面全体で基礎と接合することができ、作業性に優れた建築工法を提供することができる。
(2)プレキャストコンクリート躯体の据え付け時に基礎上面と底盤部底面との間に空隙を設けるようにして接合することができるので、基礎や底盤部の水平精度によらず、プレキャストコンクリート躯体を水平に設置できると共に、複数個のプレキャストコンクリート躯体を同一レベルに設置することができ、建設現場での据え付け作業を容易に行うことができる施工性に優れた建築工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の全体斜視図
【図2】 本発明の実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の変形例を示す全体斜視図
【図3】 本発明の実施の形態1における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の変形例を示す全体斜視図
【図4】 (a)本発明の実施の形態1における建築物の平面図
(b)図4(a)におけるA−A線断面側面図
【図5】 プレキャストコンクリート躯体間に形成される開口部の接合構造を示す要部断面平面図
【図6】 プレキャストコンクリート躯体と基礎の接合工程を示す全体斜視図
【図7】 (a)プレキャストコンクリート躯体と基礎の接合工程を示す要部断面側面図
(b)プレキャストコンクリート躯体と基礎の接合工程を示す要部断面側面図
(c)プレキャストコンクリート躯体と基礎の接合工程を示す要部断面側面図
【図8】 (a)接合部の要部断面拡大図
(b)接合部の変形例を示す要部断面拡大図
【図9】 (a)基礎接合工程を示す全体斜視図
(b)接合部の要部断面拡大図
【図10】 (a)基礎接合工程を示す全体斜視図
(b)接合部の要部断面拡大図
【図11】 (a)軸組部材が接合されたプレキャストコンクリート躯体を示す全体斜視図
(b)図11(a)におけるB−B線断面平面図
(c)図11(a)におけるC−C線断面側面図
【図12】 筋違ユニットの接合工程を示す全体斜視図
【図13】 実施の形態2における建築物に使用されるプレキャストコンクリート躯体の全体斜視図
【符号の説明】
1、11、21、31 プレキャストコンクリート躯体
1a、11a、21a、31a 底盤部
1b、11b、21b、31b 壁部
1c 座堀
2 接合用貫通孔
3 接合具
4 充填材注入孔
5 壁面固定部材
5a アンカー部
31c 定着用鉄筋
50 建築物
51 基礎
51a 上面
51b、51b’ 接合ボルト
51c、51c’ 座金
51d 接合ナット
51e 基礎固定部材
51f アンカー部
52 外側面
53 扉
54 窓
55 束材
56 大引き
57 根太
58 床板
59 胴縁
60 断熱材
61 内壁
62 桁梁
62’ 梁材
63 小屋梁
64 充填材
65 柱材
65a 接合用貫通孔
66 ボルト軸
67 ナット
68 額縁
69 シーリング
70 木製間柱
71 アルミサッシ
75a 中央スペーサー
75b 楔型スペーサー
75c 漏れ防止板
76、76’ 基礎底盤間固定材
76a’、77b 接合用貫通孔
77 筋違ユニット
77a ベースプレート部
77c 筋違材
77d 上板部
B 設置部

Claims (8)

  1. 基礎と、略矩形板状の底盤部と略矩形板状で前記底盤部の端部若しくは略中央に垂直に立設された壁部と前記底盤部の外周面に配設され裏面にアンカー部が配設された1以上の壁面固定部材とを有し前記基礎に配設されたプレキャストコンクリート躯体と、前記基礎と前記底盤部との間に充填された充填材と、前記基礎に配設され裏面にアンカー部が配設された基礎固定部材と、前記プレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材に溶接された基礎底盤間固定材と、を有し、前記基礎固定部材に前記基礎底盤間固定材が溶接されていることを特徴とする建築物。
  2. 前記基礎底盤間固定材が直交する二面を有することを特徴とする請求項1に記載の建築物。
  3. 前記基礎固定部材に代えて前記基礎に配設された接合ボルトを有し、前記基礎底盤間固定材が接合用貫通孔を有し、前記接合用貫通孔に前記接合ボルトが挿通されナットで螺着固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築物。
  4. 前記プレキャストコンクリート躯体の壁部の正面、裏面、側面小口面、上面の内いずれか1箇所以上に配設固定され柱材、梁材、筋違材などの軸組部材を接合する1以上の接合具と、前記接合具に接合された柱材、梁材、筋違材などの1以上の軸組部材と、を有することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の建築物。
  5. 複数の前記プレキャストコンクリート躯体間で壁部と壁部の間に非耐力壁及び/又は開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の建築物。
  6. 前記プレキャストコンクリート躯体の底盤部の上面から下面に1以上の充填材注入孔が穿設されていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の建築物。
  7. a.基礎に接合ボルト又は基礎固定部材が配設される接合部形成工程と、b.前記基礎固定部材と請求項4乃至6の内いずれか1項に記載された建築物のプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材を基礎底盤間固定材を介して溶接にて接合する溶接工程と、又は前記接合ボルト前記基礎底盤間固定材が有する接合用貫通孔に挿通してナットで螺着固定しさらに前記基礎底盤間固定材と請求項4乃至6の内いずれか1項に記載された建築物のプレキャストコンクリート躯体の底盤部の壁面固定部材と溶接するねじ止め溶接工程、の内いずれか1を有した基礎接合工程と、c.1以上の柱材、梁材、筋違材などの軸組部材と請求項4乃至6の内いずれか1項に記載された建築物のプレキャストコンクリート躯体の接合具を接合する軸組接合工程と、を備えていることを特徴とする建築物の建築工法。
  8. 前記基礎接合工程が、前記充填材注入孔から充填材を充填する充填材注入工程を有することを特徴とする請求項7に記載の建築物の建築工法。
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