JP4039005B2 - 計算機ホログラム、計算機ホログラムの原版製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、計算機ホログラム、計算機ホログラムの原版製造方法に関する。計算機ホログラムは、カード、商品パッケージ、紙幣、書類などに貼り付け、又は埋めこみ、偽造品に対する真贋判定に主に用いられている。
【0002】
【従来の技術】
従来の画素分割された計算機ホログラムは、振幅型あるいは位相型のどちらかのタイプが存在している(O plus E, 1996 11月号,No204)。
【0003】
まず、上記の振幅型計算機ホログラムは、図16の平面図に示すように、計算機で算出される各画素に対応した位相値および振幅値からなる複素平面情報を記録する場合、透明板状あるいは反射板状媒体上の各画素に遮光板を設け、各画素の位相値、振幅値に対応して遮光板の面積、位置を変化させている。図16のAB断面図を図17に示す。
【0004】
この種の振幅型ホログラムは、ローマン型、リー型として知られているが(O plus E, 1996 11月号,No204)、欠点として、遮光板のみを使用することから回折効率が低く、不完全な再生像が再生され、あるいは複製生産が困難であり、そのため一般的な用途、例えばカード、商品パッケージ、紙幣、書類などに貼り付け、偽造品に対する真贋判定などには応用されていない。
【0005】
一方、位相型ホログラムは、計算機で算出される各画素に対応した複素平面情報から位相値情報のみを取り出し、透明板状あるいは反射板状媒体上の各画素が光路差を生じさせる位相変調領域として機能させるため、各画素の位相値に対応して位相変調領域の段差を変化させている。
図18に位相型計算機ホログラムの平面図を、図19に図18の断面図を示す。
【0006】
この種の位相型ホログラムはキノフォーム型として知られており(O plus E, 1996 11月号,No204)、再生像が明るく複製が生産しやすい長所があり、一般的な用途、例えばカード、商品パッケージ、紙幣、書類などに貼り付け、偽造品に対する真贋判定などに応用されている。しかし欠点としては、計算機によって複素平面情報から位相値情報のみを取り出す工程において、フーリエ反復アルゴリズムを用いる為計算時間が多く消費されることと、再生時において振幅情報が欠如してしまうことから不完全な再生像が再生される点が挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の計算機ホログラムは、上記のように位相型、あるいは振幅型のどちらかであり、一般的な用途、例えばカード、商品パッケージ、紙幣、書類などに貼り付け、偽造品に対する真贋判定などに応用する場合は、位相型が利用されているが、計算機によって複素平面情報から位相値情報のみを取り出す工程において、フーリエ反復アルゴリズムを用いる為、計算時間が多く消費されること、振幅情報が欠如し不完全な再生像が再生されるという問題があった。
【0008】
そこで本発明では、特に、反射部を有する多数の画素を平面状に配列し、各画素の反射部に対する光の入射に応じて、各画素に固有の振幅及び位相の波面を有する反射光を出射する計算機ホログラムであって、画素毎に対応した反射部は、それぞれ光学的深さに応じた深さを有しており、入射光を一様な方向へ反射させる平面部と、入射光を各方向へ拡散的に反射させる曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部とを固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、画素毎に対応した反射部の平面部の深さは、固有の位相に応じた固有の光学的深さを有してなることを特徴とする計算機ホログラムとすることにより、位相情報、及び振幅情報の両方を各々の画素に位相変調領域、拡散領域として記録し、完全な再生像を得られること、そして計算機ホログラムの設計工程において従来必要であった位相値情報のみを取り出す工程が不要となり計算時間を短縮できること、更に位相情報、及び振幅情報の両方を記録した媒体原版から、容易に複製生産が可能である構造であることを特徴とする、計算機ホログラム、計算機ホログラムの原版製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明は、下記の構成を有する計算機ホログラム、計算機ホログラムの原版製造方法を提供する。すなわち、
(1) 反射部(図1 反射金属膜)を有する多数の画素1a、1b、1c、1dを平面状に配列し、前記各画素の反射部に対する光の入射に応じて、各画素1a、1b、1c、1dに固有の振幅及び位相の波面を有する反射光を出射する計算機ホログラム(反射型計算機ホログラム)1であって、
前記画素1a、1b、1c、1d毎に対応した反射部は、
それぞれ光学的深さに応じた深さを有しており、入射光を一様な方向へ反射させる平面部(平面領域)1b1と、入射光を各方向へ拡散的に反射させる曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部(非平面領域)1b2とを前記固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、
前記画素1a、1b、1c、1d毎に対応した反射部の平面部の深さは、
前記固有の位相に応じた固有の光学的深さを有してなる
ことを特徴とする計算機ホログラム1。
(2) 多数の画素2a、2b、2c、2dを平面状に配列し、光の入射に応じて、前記各画素2a、2b、2c、2dに固有の振幅及び位相の波面を有する透過光を画素2a、2b、2c、2d毎に出射する光透過部(図2 透過性樹脂)を備えた計算機ホログラム(透過型計算機ホログラム)2であって、
前記光透過部は、
前記多数の画素2a、2b、2c、2dが設けられた入射面と、前記入射面の反対側に設けられた出射面2b4とを備え、
前記画素2a、2b、2c、2d毎に対応した入射面は、
入射光を一様な方向へ透過させる平面部(平面領域)2b1と、入射光を各方向へ拡散的に透過させる曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部(非平面領域)2b2とを前記固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、
前記画素毎に対応した光透過部2b3は、
前記固有の位相に応じた固有の光路長を有してなる
ことを特徴とする計算機ホログラム2。
(3) 多数の画素を平面状に配列し、光の入射に応じて、前記各画素に固有の振幅及び位相の波面を有する透過光を画素毎に出射する光透過部を備えた計算機ホログラムであって、
前記光透過部は、
前記多数の画素が設けられた入射面と、前記入射面の反対側に設けられた出射面とを備え、
前記画素毎に対応した出射面は、
前記光透過部の入射面からの透過光を一様な方向へ出射する平面部と、前記透過光を各方向へ拡散的に出射する曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部とを前記固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、
前記画素毎に対応した光透過部は、
前記固有の位相に応じた固有の光路長を有してなる
ことを特徴とする計算機ホログラム。
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれか1項記載の計算機ホログラムを製造するための原版を、エッチングを用いて製造するための、計算機ホログラムの原版製造方法であって、
前記計算機ホログラムの前記平面部2a1、2b1に対応する前記原版の部位を、異方性エッチング(図5、図7)を用いて平面状に形成するステップ(図9〜図13)と、
前記計算機ホログラムの前記非平面部2a2、2b2に対応する前記原版の部位を、等方性エッチング(図4、図6)を用いて曲面凹形状又は曲面凸形状に形成するステップ(図14、図15)と
を有することを特徴とする計算機ホログラムの原版製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る、好ましい実施例につき、図1〜図15を用いて説明を行う。
図1は本発明の実施形態に係る一実施例である反射型計算機ホログラムの断面図、図2は本発明の実施形態に係る一実施例である透過型計算機ホログラムの断面図、図3は本発明の実施形態に係る一実施例である曲面凸型構造をもつ計算機ホログラムの断面図、図4は等方性エッチングを行ったシリコン基板断面形状図、図5は異方性エッチングを行ったシリコン基板断面形状図、図6は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける曲面凹型構造による入射光拡散及び振幅制御説明図、図7は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける平面段差構造による入射光位相変調説明図、図8は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける計算機により算出される各画素に対応する複素平面の波面データ、図9は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π)エッチング用レジスト層形成後の断面図)、図10は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π)エッチング後の断面図)、図11は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π/2)エッチング用レジスト層形成後の断面図)、図12は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π/2)エッチング後の断面図)、図13は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分エッチング後、レジスト剥離した断面図。%表示は記録すべき振幅値を示す。)、図14は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(振幅成分エッチング用レジスト層形成後の断面図)、図15は本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおけるシリコン原版エッチングによる計算機ホログラム原版作製説明図(振幅成分エッチング後、レジスト剥離状態の断面図。%表示は記録された振幅値を示す。)である。
【0011】
大量生産を考慮した場合、計算機ホログラムの原版を作成し、原版からニッケルめっき技術などを用いて金型を作成し、この金型から樹脂を成型してホログラムの複製を大量生産する方法が好ましい。
計算機ホログラムの原版は、半導体製造プロセスを利用してシリコン・ウエファー上にエッチングを行って形成する。
【0012】
シリコンのエッチングは、既に確立されたケミカル・エッチング、リアクティブ・イオン・エッチング等のドライ・エッチング技術によって、等方性、異方性エッチングが可能である(サブミクロン・リソグラフィー・総合技術資料集、難波進監修、サイエンス・フォーラム社)。
【0013】
上記の等方性エッチングでは、被エッチング物に関して、エッチングが表面に平行な方向、及び深さ方向に等速なエッチングスピードを持ってエッチングが行われる為、エッチング後の形状は図4のようは曲面凹形状となる。
一方、上記の異方性エッチングでは、一般的に被エッチング物の深さ方向に対して、エッチング速度が速く、表面に平行な方向に対しては、エッチング速度は非常に遅い為、エッチング後の形状は、側面が切り立ち、底面も水平な図5のような形状が得られる。
【0014】
本実施例では、これらの等方性エッチングと、異方性エッチングとを併用してシリコン基板上にホログラム原版を作成するものである。
図6に等方性エッチングによって作られたシリコン原版から金型を作成し、金型から成型した樹脂の形状を示す。
【0015】
図6の如く、等方性エッチングによって形成された曲面凹形状によって、その部分を通過する入射光は拡散して透過し、ホログラム像の再生には寄与しない。つまり、この等方性エッチングで形成された曲面凹形状の面積を所定の値に制御することで、入射光の透過率すなわち、透過光の振幅強度を所望の値に制御することが可能である点に本発明人は着目し、鋭意検討を加えた結果、以下に詳細な説明を行う本実施例の計算機ホログラムの構成に到達したものである。
一方、異方性エッチングによって形成された段差は図7の様に平面である為、入射光に対して段差の光路長に対応した位相変調が行われる点は、従来の構成と同様である。
【0016】
図8に、画素分割された計算機ホログラム設計時に、計算機より得られる各画素に対応した複素平面の波面データの一例を示す。
図8では、例として4画素分のデータを図示しており、そのX軸が波面データの実部、Y軸が虚部を示し、(0、0)を中心として周上に波面データが位置する円の半径(波面データの原点(0、0)からの距離)が振幅を表し、X軸から測った波面データの座標に至る反時計回りの回転角が、波面データの位相を表現している。
【0017】
位相に関しては周知の如く1周期2πであり、振幅に関しては最大値100%に規格化して示している。
図8に図示した4画素分の位相、振幅組み合わせデータ(波面データ)はそれぞれ、(0π, 33%)、(π/2, 66%)、 (π, 0%)、(3π/2, 100%)である。
【0018】
そこで、この4画素の位相成分を、異方性エッチングによってホログラム原版にエッチング記録する例を以下に示す。
【0019】
まず、一般的な半導体プロセスと同様に、シリコン・ウエファー上にレジストを塗布し、ステッパーなどの露光装置によるパターン露光後現像し、図9のようなレジスト層を得る。
図9のレジスト・パターンは光学的深さπをエッチングする為のパターンである。このレジスト層をエッチング・マスクとして異方性エッチングを行い、図10のようにシリコン・エッチング・パターンを得る。
【0020】
次に、図10のレジストを剥離し、シリコン・ウエファー上にレジストを塗布して、ステッパーなどの露光装置によるパターン露光後現像し、図11のようなレジスト層を得る。図11のレジストパターンは光学的深さπ/2をエッチングする為のパターンである。このレジスト層をエッチング・マスクとして異方性エッチングを行い、図12のようにシリコン・エッチング・パターンを得る。
【0021】
更に、図12のレジストを剥離した状態を図13に示す。この段階で位相記録は終了し、すなわち図13における、製作中の原版の部位、13a,13b,13c,13dは、それぞれ位相が0、1/2π、π、3/2πに対応する相対的な高さの形状となり、相対的な光学深さを有している。
【0022】
次に振幅記録を行う。なお以下の各図面では、4つの各々の画素上に記録すべき振幅値を、33%、66%、0%、100%と説明の為記す。
このそれぞれの振幅値に対応した面積を平面状の位相変調領域(以下、平面領域とも言う)として各々の画素上に確保し、それ以外の画素部分に関して等方性エッチングを行って、非平面状の光拡散領域(以下、非平面領域ともいう)を形成する。
【0023】
図14は、図13のシリコン・ウエファー上にレジストを塗布し、ステッパーなどの露光装置によるパターン露光後現像し、各々の画素上に記録すべき振幅値、33%、66%、0%、100%に対応した面積分をレジスト層で形成した工程を示す。
このレジスト層をマスクとして等方性エッチングを行うことで、図15のような曲面凹形状の光拡散領域として、先に形成した位相成分を記録した画素上に重ねて形成することが出来る。
【0024】
ここで、画素における反射面(反射型計算機ホログラムの場合)、または入射面(透過型計算機ホログラムの場合)全面積中の平面領域の面積の比率に応じた振幅値を、当該画素から反射又は透過する光は有している。
そのため、当該画素を透過、又は当該画素から反射する光の内、回折像の生成に寄与する光の強度は、上記振幅値に応じた値、つまり画素における反射面または入射面全面積中の平面領域の面積の比率に応じた値となっている。
すなわち、光の入射に応じて、各画素が所定の振幅値、位相値の回折光を出射する計算機ホログラムのための原版が、ここに完成している。
【0025】
図15に示す完成した原版からニッケルめっき技術などを用いて金型を作成し、この金型を使用して樹脂を成型しホログラムの複製を大量生産することが出来る。
図2に、金型を使用して光透過性樹脂で作製したホログラムの複製品2示す。
【0026】
この複製品2は透過型ホログラムであり、入射光(照明光)が入射すると、透過光が再生像を再生する。なお図2と異なり、入射面を全面平面状とし、出射面側に平面領域と、非平面領域とを設けて振幅値を記録するようにしても良い。
また、図1のように、樹脂成型品に反射金属膜を蒸着すると、反射型ホログラム1となる。
この場合は入射光側に、反射回折光による再生像が現れる。
【0027】
図3はシリコン原版を、そのまま鋳型として使用し樹脂成型した成形品3の例を示す。この場合、成型品3の凹凸がシリコン原版に対して反転する為、シリコン原版上の曲面凹み形状が、樹脂成型品上では曲面凸形状となる。
しかし、凸型になっても、凹型と同等な光拡散効果を持つので、ホログラム上での振幅制御は、図2図示構成と同様に、良好に行うことが出来る。
【0028】
ここで図1及び図2図示の計算機ホログラムの特徴的な構成をまとめると、図2に示す透過型計算機ホログラム2の断面図には、4つの画素2a,2b,2c,2dが示され、各画素は平面領域と、非平面領域とをその入射面に形成している。画素2bを例に取ると、平面領域が2b1、非平面領域が2b2である。
ここで各画素の平面領域の、他の画素に対する相対的高さが所定の値となるよう制御され、その結果各画素の入射面から出射面2b4に至る光透過性媒質2b3(樹脂)の光路長が異なることによって、各画素から出射される透過光の波面の位相値が、それぞれ所定の値となっている。
また各画素から出射される透過光の波面の振幅値が、上記の平面領域と非平面領域との比率に応じて制御されることによって、それぞれ所定の値となっていることは先に説明した通りである。
なお、光の入射面ではなく反射面に、平面領域と非平面領域とを設けた構成とすることもまた可能であることを先に説明した。
【0029】
同様に、図1に示す反射型計算機ホログラム1の断面図には、4つの画素1a,1b,1c,1dが示され、各画素は平面領域と、非平面領域とをその反射面に形成している。画素1bを例に取ると、平面領域が1b1、非平面領域が1b2である。
ここで各画素の平面領域の、他の画素に対する相対的高さが所定の値となるよう制御され、その結果各画素の光学深さが固有の値となることによって、各画素の反射面から出射される反射光の波面の位相値が、それぞれ所定の値となっている。
また各画素から出射される反射光の波面の振幅値が、上記の平面領域と非平面領域との比率に応じて制御されてそれぞれ所定の値となっていることは先に説明した通りである。
【0030】
上記の例では、便宜上計算機から出力した画素数を4で説明しているが、実際に使用している画素数は数十万以上となり、画素数に原理上の制限はない。
また、計算機から出力された複素平面の波面データに関して、位相値は0π, π/2, π, 3π/2, の4値に量子化し、振幅値に関しても , 0%, 33%, 66%, 100%の4値に量子化した例で便宜上説明しているが、実際計算機から出力される値は、0から2π、あるいは0から100%の連続した値であるので、出力された連続値をそのまま使用する場合、あるいは4値以上の値数に量子化する方法で行われており、記録位相値、振幅値に制限は無いことは言うまでも無い。
【0031】
以上のように、本発明の計算機ホログラムは、計算機によって算出された複素平面で表される波面を、位相情報及び振幅情報に分解して正確に記録できる為、従来の振幅型計算機ホログラム、あるいは位相型計算機ホログラムよりも完全な情報記録が可能になり、その結果優れた再生像が再生可能となる。また計算機ホログラムの構造は単純な形状をしているので、原版から金型を作製し、樹脂による成型を利用して大量複製を容易に行うことが出来る。
更に従来の位相型計算機ホログラムにおいては、計算機が算出する各画素に対応する複素平面の波面から、位相値のみを抽出するのにフーリエ反復アルゴリズムを使用しており、多くの計算時間を消費していたが、本発明はその必要はなく、位相値、及び振幅値の算出結果をそのまま記録すればよいので、位相値抽出工程を削減し計算時間を短縮することができる。
本発明に係る計算機ホログラムはプリペイドカード、IDカード、商品パッケージ、免許証等の上に形成し、偽造防止のマークとし、あるいは商品のデザインの一部として、利用することが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明は、反射部を有する多数の画素を平面状に配列し、各画素の反射部に対する光の入射に応じて、各画素に固有の振幅及び位相の波面を有する反射光を出射する計算機ホログラムであって、画素毎に対応した反射部は、それぞれ光学的深さに応じた深さを有しており、入射光を一様な方向へ反射させる平面部と、入射光を各方向へ拡散的に反射させる曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部とを固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、画素毎に対応した反射部の平面部の深さは、固有の位相に応じた固有の光学的深さを有してなることを特徴とする計算機ホログラムとすることにより、位相情報、及び振幅情報の両方を各々の画素に位相変調領域、拡散領域として記録し、完全な再生像を得られること、そして計算機ホログラムの設計工程において従来必要であった位相値情報のみを取り出す工程が不要となり計算時間を短縮できること、更に位相情報、及び振幅情報の両方を記録した媒体原版から、容易に複製生産が可能である構造であることを特徴とする、計算機ホログラム、計算機ホログラムの原版製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る一実施例である、反射型計算機ホログラムの断面図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る一実施例である、透過型計算機ホログラムの断面図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る一実施例である、曲面凸型構造をもつ計算機ホログラムの断面図である。
【図4】 等方性エッチングを行ったシリコン基板断面形状図である。
【図5】 異方性エッチングを行ったシリコン基板断面形状図である。
【図6】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、曲面凹型構造による入射光拡散及び振幅制御説明図である。
【図7】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、平面段差構造による入射光位相変調説明図である。
【図8】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、計算機により算出される各画素に対応する複素平面の波面データである。
【図9】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π)エッチング用レジスト層形成後の断面図)である。
【図10】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π)エッチング後の断面図)である。
【図11】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π/2)エッチング用レジスト層形成後の断面図)である。
【図12】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分(π/2)エッチング後の断面図)である。
【図13】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(位相成分エッチング後、レジスト剥離した断面図。%表示は記録すべき振幅値を示す。)である。
【図14】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(振幅成分エッチング用レジスト層形成後の断面図)である。
【図15】 本発明の実施形態に係る一実施例の計算機ホログラムにおける、シリコン原版エッチングによる、計算機ホログラム原版作製説明図(振幅成分エッチング後、レジスト剥離状態の断面図。%表示は記録された振幅値を示す。)である。
【図16】 従来の振幅型ホログラムの平面図である。
【図17】 図16の振幅型ホログラムの断面図である。
【図18】 従来の位相型ホログラムの平面図である。
【図19】 図18の位相型ホログラムの断面図である。
【符号の説明】
1 反射型計算機ホログラム(計算機ホログラム)
1a、1b、1c、1d 画素
1b1 平面領域(平面部)
1b2 非平面領域(非平面部)
2 透過型計算機ホログラム(計算機ホログラム)
2b1 平面領域(平面部)
2b2 非平面領域(非平面部)
2b3 光透過部
2b4 出射面
Claims (4)
- 反射部を有する多数の画素を平面状に配列し、前記各画素の反射部に対する光の入射に応じて、各画素に固有の振幅及び位相の波面を有する反射光を出射する計算機ホログラムであって、
前記画素毎に対応した反射部は、
それぞれ光学的深さに応じた深さを有しており、入射光を一様な方向へ反射させる平面部と、入射光を各方向へ拡散的に反射させる曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部とを前記固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、
前記画素毎に対応した反射部の平面部の深さは、
前記固有の位相に応じた固有の光学的深さを有してなる
ことを特徴とする計算機ホログラム。 - 多数の画素を平面状に配列し、光の入射に応じて、前記各画素に固有の振幅及び位相の波面を有する透過光を画素毎に出射する光透過部を備えた計算機ホログラムであって、
前記光透過部は、
前記多数の画素が設けられた入射面と、前記入射面の反対側に設けられた出射面とを備え、
前記画素毎に対応した入射面は、
入射光を一様な方向へ透過させる平面部と、入射光を各方向へ拡散的に透過させる曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部とを前記固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、
前記画素毎に対応した光透過部は、
前記固有の位相に応じた固有の光路長を有してなる
ことを特徴とする計算機ホログラム。 - 多数の画素を平面状に配列し、光の入射に応じて、前記各画素に固有の振幅及び位相の波面を有する透過光を画素毎に出射する光透過部を備えた計算機ホログラムであって、
前記光透過部は、
前記多数の画素が設けられた入射面と、前記入射面の反対側に設けられた出射面とを備え、
前記画素毎に対応した出射面は、
前記光透過部の入射面からの透過光を一様な方向へ出射する平面部と、前記透過光を各方向へ拡散的に出射する曲面凹形状又は曲面凸形状である非平面部とを前記固有の振幅に応じた固有の面積比率で配分してなり、
前記画素毎に対応した光透過部は、
前記固有の位相に応じた固有の光路長を有してなる
ことを特徴とする計算機ホログラム。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の計算機ホログラムを製造するための原版を、エッチングを用いて製造するための、計算機ホログラムの原版製造方法であって、
前記計算機ホログラムの前記平面部に対応する前記原版の部位を、異方性エッチングを用いて平面状に形成するステップと、
前記計算機ホログラムの前記非平面部に対応する前記原版の部位を、等方性エッチングを用いて曲面凹形状又は曲面凸形状に形成するステップと
を有することを特徴とする計算機ホログラムの原版製造方法。
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