JP4038849B2 - 弱酸性陽イオン交換体及びその製造方法 - Google Patents

弱酸性陽イオン交換体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンクロマトグラフィー用カラム充填剤、弱酸性陽イオン交換体及びその製造法に関する。さらに詳しくは、1価以上の陽イオンの同時分析イオンクロマトグラフィー用カラム充填剤、弱酸性陽イオン交換体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機イオンの分析にはイオンクロマトグラフィーが用いられ、近年はその簡便さから環境水、原子力や半導体関連の工業用水、大気中のイオン分析に重用されてきている。
1価以上の陽イオンを分離分析するイオンクロマトグラフィーは、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体(溶解度パラメータ9.1(cal/cm31/2)にスルホン酸基を化学結合させたものやシリカゲルにプロピルスルホン酸基を化学結合させた強酸性のイオン交換体が広く用いられてきた。しかしながら、これらの強酸性イオン交換体を用いたカラムでは、試料中に混在する重金属イオンがイオン交換体に吸着して本来の分析に弊害を及ぼしたり、2価以上の陽イオンがイオン交換体に吸着を起こし溶出しなかったり、その影響で本来の分析に弊害を及ぼしたり、保持時間の短縮を起こすため、カラムの使用毎に濃度の濃い酸でカラムを洗浄しなければならなかったり、同一の溶離条件では1価と2価以上の陽イオンを同時に分離、測定できない等の問題があった(日本分析化学会が編集した高速液体クロマトグラフィーハンドブック等参照)。
【0003】
近年、このような問題を解決する弱酸性陽イオン交換体として、粒径5μm、細孔径10nm、表面積380m2/gのシリカゲル表面に、4%のジキュミルパーオキサイドを含むポリブタジエンマレイン酸(モル比1対1)の被膜を形成した後、180℃で4時間加熱して製造した弱酸性陽イオン交換体が発表された(Chromatographia、Vol.23、No.7、p465-472参照)。
この弱酸性陽イオン交換体を使ったイオンクロマトグラフィーでは、溶離液に弱酸である有機酸を用いて一度の測定で、1価と2価の陽イオンを同時に分離分析できるものの、1価イオン溶出後の、2価イオンの溶出が遅く、測定に時問がかかるという問題がある。
【0004】
そこで、この方法を改善する工夫として、同じ陽イオン交換体を用いて溶離液中にピリジン−2,6ジカルボン酸を添加し、2価陽イオンとの錯体を形成させることにより2価陽イオンの保持容量比を選択的に減少させ測定時間を短くする方法が発表された(Am.Lab.(Fair field Conn.)Vol.21、No.5、p92-101参照)。さらに、特殊な溶離液を必要としないものとして、被覆したポリマーの脱離を防止するため、ポリブタジエンマレイン酸と橋架け剤となるトリアリルイソシアヌレート、等のポリ重合性化合物を反応させた弱酸性陽イオン交換体も発表された(特開平5−96184号公報)。しかし、これらの改善された方法で製造した弱酸性陽イオン交換体でも、カラム充填時や、繰り返し使用において、シリカゲル表面に被覆したポリブタジエンマレイン酸がシリカゲル担体から欠落し易く、安定したイオン交換容量の維持が困難で、分離分析の耐久性に乏しい問題があった。
【0005】
また、水酸基またはエポキシ基を含有する重合体粒子に対して水酸基またはエポキシ基の残基を介してポリカルボン酸基を導入した弱酸性陽イオン交換体も提案されている(特開平7−27754号公報)。
しかし、イオン交換基の分解や離脱、また、1価と2価の陽イオンを同時に分離分析できるものの1価イオン溶出後、2価イオンの溶出が遅く、測定に時問を要し、全体の溶出バランスが劣る問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、ピリジン−2,6−ジカルボン酸や18C6クラウンエーテルのような特殊な試薬を添加した溶離液や、複数の酸からなる溶離液を使用することなく、1価と2価以上の陽イオンの溶出のバランス性と検出感度に優れ、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、2価以上の陽イオンが離れすぎずに短時間に分離分析でき、しかも、イオン交換体の長期間にわたる繰り返し使用、連続使用においてもイオン交換基の離脱が少なく耐久性に優れ、さらに、長期にわたり、1価と2価以上の陽イオンの良好な分離性能と再現性を保持持続することができる弱酸性陽イオン交換体を提供するものである。特に1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性に優れる弱酸性陽イオン交換体を提供するものである。請求項記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加え、適切な分離、溶出時間、機械的強度及びカラム圧力損失特性を有する弱酸性陽イオン交換体を提供するものである。
【0007】
請求項3、4及び5記載の発明は、ピリジン−2,6−ジカルボン酸や18C6クラウンエーテルのような特殊な試薬を添加した溶離液や、複数の酸からなる特殊な溶離液を必要とせず、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性に優れ、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、1価イオンと2価以上の陽イオンが離れすぎずに2価以上のイオンが短時間に分離分析でき、しかも、イオン交換体の長期間にわたる繰り返し使用、連続使用においてもイオン交換基の離脱が少なく耐久性に優れ、さらに、長期にわたり、1価と2価以上の陽イオンの良好な分離性能と再現性を保持持続することができる弱酸性陽イオン交換体をより簡単に、より効率良く製造できる製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、一般式(I)
【化4】
Figure 0004038849
(ただし、式中、Z1は2価の有機基、Z2はアルキレン基、k、lはそれぞれ独立に0又は1であり、Yは水素原子、水酸基、ハロゲン、炭素数3個以下のアルキル基、アルキルオキシ基又はハロアルキル基、nは1〜5の整数であり、また、mは0〜4の整数を示し、n+mは5以下である)
で表されるカルボキシル基をするイオン交換基が、エーテル結合を介して重合体鎖に結合している重合体の粒子からなる弱酸性陽イオン交換体に関するものである。
【0009】
(2)本発明は、一般式(I)で表されるカルボキシル基を有するイオン交換基において、式中のnが2以上、5以下である上記(1)記載の弱酸性陽イオン交換体に関するものである。
(3)本発明は、一般式(I)で表されるカルボキシル基を有するイオン交換基において、少なくとも2個のカルボキシル基がお互いに、隣接した炭素原子に結合している上記(2)記載の弱酸性陽イオン交換体に関するものである。
(4)本発明は、イオン交換体の交換容量が、乾燥した該イオン交換体1g当たり0.5〜7.0ミリ等量/gである上記(1)、(2)又は(3)記載の弱酸性陽イオン交換体に関するものである。
(5)本発明は、重合体粒子の平均粒子径が1〜50μmで、比表面積が1〜500m2/gである上記(1)、(2)、(3)又は(4)記載の弱酸性陽イオン交換体に関するものである。
【0010】
(6)本発明は、一般式(II)
【化5】
Figure 0004038849
(式中、Rは水素原子または炭素数3以下のアルキル基、nは1〜5の整数を示す)
で表される化合物の水酸基と、非架橋性重合性単量体30〜90重量%と架橋性重合性単量体10〜70重量%との重合体粒子のハロゲン又はグリシジル基とを反応させることを特徴とする弱酸性陽イオン交換樹脂の製造法に関するものである。
【0011】
(7)本発明は、一般式(III)
【化6】
Figure 0004038849
(式中、Xは炭素数4以下のハロアルキル基、Rは水素原子または炭素数3以下のアルキル基、nは1〜5の整数を示す)
で表される化合物のハロアルキル基のハロゲンと、非架橋性重合性単量体30〜90重量%と架橋性重合性単量体10〜70重量%との重合体粒子の水酸基又はグリシジル基とを反応させることを特徴とする弱酸性陽イオン交換樹脂の製造法に関するものである。
(8)本発明は、一般式(I)で表される構造を有する非架橋性重合性単量体を含む非架橋性重合性単量体30〜90重量%と架橋性重合性単量体70〜10重量%とを共重合することを特徴とする弱酸性陽イオン交換樹脂の製造法に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるイオン交換体は、一般式(I)で表されるカルボキシル基を有するイオン交換基が、エーテル結合を介して重合体粒子の重合体鎖に結合しているものであるが、ここで、重合体鎖とは、重合体粒子を構成する非架橋性重合性単量体および架橋性重合性単量体中の重合性炭素−炭素間二重結合の反応によって形成される分子鎖である。
【0013】
本発明において、より好ましいイオン交換体としては、一般式(IV)
【化7】
Figure 0004038849
(式中、Z2はアルキレン基、lは、0又は1であり、R1は2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基、酸素又はカルボニル基を含む基であり、さらに、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、Yは水素原子、水酸基、ハロゲン、炭素数3個以下のアルキル基、アルキルオキシ基又はハロアルキル基、Rは水素原子または炭素数3以下のアルキル基、nは1〜5の整数であり、また、mは0〜4の整数を示し、n+mは5以下である)
で表される基が挙げられる。
【0014】
上記、一般式(IV)において、さらに具体的に、R1の2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基、2−ヒドロキシプロピレン基等のヒドロキシアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基などが挙げられ、これらの基の組み合わせで構成されても良く、これらの基において、オキシカルボニル基等が結合していても良い。また、これら2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基として、基中の水素原子が、メチル基、エチル基等のアルキル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基、水酸基、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、クロロメチル基等のハロアルキル基等で置換されていても良い。
なお、R2、R3が、これらをあわせて一つの酸素原子となり、*を付した炭素に結合し、カルボニル構造となると、分離分析にともない、重合体粒子からのイオン交換基が脱離し易く、測定時の大幅な保持短縮をきたし易くなる。R2、R3は、これらをあわせて一つの酸素原子を示すことはない。
【0015】
本発明において、さらに好ましいイオン交換体としては、一般式(I)及び一般式(IV)で表されるカルボキシル基を有するイオン交換基において、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、2価以上の陽イオンが離れすぎずに短時間に分離分析できることから、式中のカルボキシル基の数nは2以上、5以下であることが好ましい。
本発明において、特に好ましいイオン交換体としては、一般式(I)及び一般式(IV)で表されるカルボキシル基を有するイオン交換基において、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性から、式中のカルボキシル基の数nが2以上、5以下であり、かつ、少なくとも2個のカルボキシル基がお互いに、隣接した炭素原子に結合していることが好ましい。
【0016】
本発明のイオン交換体において、イオン交換体の交換容量は、乾燥したイオン交換体のカルボキシル基量として、0.5〜7.0ミリ当量/gが好ましく、より好ましくは1.0〜6.5ミリ当量/g、さらに好ましくは1.5〜6.5ミリ当量/g、特に好ましくは1.5〜6.0ミリ当量/gである。
交換容量が0.5ミリ当量/g未満である場合は、1価イオン(Li+、Na+、NH4 +、K+)の溶出後、2価イオン(Mg2+、Ca2+)の溶出が遅くなる傾向がある。また、7.0ミリ当量/gを超えると、分離分析成分であるイオン成分が該弱酸性イオン交換体に強固に吸着されて溶出まで極端に時間がかかったり、溶離液濃度を高めてイオン成分の溶出を容易にするとイオンクロマトグラムの基準線(バックグランド)が高くなり、目的イオンの検出感度が低下して、分離分析ができなくなる傾向がある。
【0017】
本発明のイオン交換体の膨潤容積は、式(A)
【数1】
Figure 0004038849
(式中、V1はイオン交換水で膨潤させた時の体積、W2は乾燥させた時のイオン交換体重量を示す)
で求められる。膨潤容積は、得られる多孔性重合体粒子の架橋度と交換基量の指標となる。
式中、V1は、例えば、計量容器(メスシリンダ)に多孔性のイオン交換体及びその約2倍容量の水を入れ、このイオン交換体に溶媒が十分馴染むまで、例えば、24時間以上、室温で静置した後、その、多孔性イオン交換体の容積を読み求める。濾過により、水を除去し、メタノールで洗浄後、残存する多孔性イオン交換体を60℃で8時間真空乾燥して重量を測定することによってW2を求めることができる。
【0018】
本発明の膨潤容積としては2.0〜5.0ml/gであることが好ましく、より好ましくは2.5〜4.0ml/g、さらに好ましくは3.0〜4.0ml/gである。膨潤容積が2.0ml/g未満では得られるイオン交換体の交換基量が十分導入できず、カラムとしたときの陽イオンのピークを分割しにくくなる傾向があり、また、膨潤容積が5.0ml/gを越えるとクロマトグラムのピークパターンがブロードになったり、粒子の機械的強度が不足し、カラム圧が高くなる傾向がある。膨潤容積を調べる液体としては伝導度が10μS/cm以下のイオン交換水が好ましい。
【0019】
本発明において、重合体粒子は、後述の非架橋性重合性単量体と架橋性重合性単量体の配合比から計算した溶解度パラメータ(SP値)が9.5〜14(cal/cm31/2であることが好ましい。SP値は、「技術者のための実学高分子」、1981年、講談社発行、71〜77頁に記載されるFedorsの方法により算出できる。
本発明のイオン交換体における重合体粒子のSP値は、交換基導入の容易さ、カラムヘの充填の容易さ、カラム耐久性等の点から、9.5〜14(cal/cm31/2の親水性重合体粒子であることが好ましく、より好ましくは、9.7〜13.5(cal/cm31/2であり、さらに好ましくは、10.0〜13.0(cal/cm31 /2の親水性重合体粒子である。
SP値が、9.5より小さい重合体粒子にカルボキシル基を導入した充填剤では疎水性が強くなり、イオン交換以外の分離が作用したり、水系での充填が難しくなる傾向がある。SP値が、14より大きいと重合体粒子の親水性が強くなりすぎて水溶液に対する重合体粒子の膨潤度が大きくなりイオンクロマト用充填剤として機能しなくなる傾向がある。
【0020】
本発明におけるイオン交換体の平均粒子径は、得られる多孔性重合体粒子の分離特性(理論段数、分離度)の指標となり、比表面積は、得られる多孔性重合体粒子の多孔性の指標となる。
本発明におけるイオン交換体の平均粒子径としては、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。比表面積としては1〜500m2/gであることが好ましく、より好ましくは10〜450m2/g、さらに好ましくは30〜400、特に好ましくは110〜300m2/gである。平均粒子径が1μm未満ではカラムに充填する際、圧力損失が大きくなる傾向がある。また、50μmを超えるクロマトグラムがブロードになる傾向となる。比表面積が1m2/g未満では充填した際の圧力上昇を招き、また、2価イオンの溶出が遅れる傾向があり、500m2/gを超えると充填剤の機械的強度が低下する傾向がある。
【0021】
本発明における弱酸性陽イオン交換体は、いかなる方法で合成し製造しても良いが、以下に好ましい製造方法について説明する。
本発明において、共重合の方法は懸濁重合法、分散重合、ソープフリー重合等が用いられる。重合の容易さの点から懸濁重合がより好ましい。しかし、これに限定されることはない。
本発明において、重合体粒子は、非架橋性重合性単量体と架橋性重合性単量体の重合性炭素−炭素間二重結合の共重合反応によって形成できる。
本発明の弱酸性陽イオン交換体の製造方法としては、一般式(II)又は(III )で表わされる化合物の水酸基又はXと反応性の官能基であるグリシジル基、水酸基、ハロゲン等のうち少なくとも一種の基を有する重合性単量体を共重合して得られる重合体粒子を製造した後、一般式(II)又は(III)で表される化合物を反応させることにより、一般式(I)で表される基を重合体粒子に導入できる。また、一般式(I)で表されるイオン交換基を有する非架橋性重合性単量体を、他の共重合成分と共重合させることもできる。
【0022】
本発明において、使用される非架橋性重合性単量体は、1分子中に1個の重合性の炭素−炭素間二重結合を有する単量体である。スチレン系、アクリル系及びメタクリル系の非架橋性重合性単量体が挙げられる。また、これらの非架橋性重合性単量体の誘導体としては、水酸基、グリシジル基、ハロゲン、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基等を有する誘導体があげられる。
【0023】
一般式(II)で表わされる化合物の水酸基と反応性の官能基であるハロゲン又はグリシジル基を有する非架橋性重合性単量体において、ハロゲンを有するスチレンの誘導体としては、スチレンの水素原子が塩素、臭素等原子に置換したもので、クロロメチルスチレン等の芳香環の側鎖に置換されたものが好ましい。例えば、クロロメチルスチレン、ジクロロメチルスチレン、トリクロロメチルスチレン、テトラクロロメチルスチレン、ペンタクロロメチルスチレン、モノエチルクロロスチレン、ジエチルクロロスチレン、トリエチルクロロスチレン、テトラエチルクロロスチレン、ペンタエチルクロロスチレン、モノプロピルクロロスチレン、ジプロピルクロロスチレン、トリプロピルクロロスチレン、テトラプロピルクロロスチレン、ペンタプロピルクロロスチレン、モノブチルクロロスチレン、ジブチルクロロスチレン、トリブチルクロロスチレン、テトラブチルクロロスチレン、ペンタブチルクロロスチレン等、これらのクロロをブロモに変えたハロゲン化誘導体等が挙げられる。ハロゲンを有するアクリル酸エステルの誘導体としては、例えば、メタクリル酸クロロメチル、メタクリル酸クロロエチル、メタクリル酸クロロブチルチル等があげられる。
【0024】
また、グリシジル基を有するスチレンの誘導体としては、例えば、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、グリシジルクロネート、グリシジルイタコネート、グリシジルフマレート、グリシジルマレート等が挙げられる。
【0025】
一般式(III)で表わされる化合物のXと反応性の官能基である水酸基又はグリシジル基を有する非架橋性重合性単量体において、水酸基を有するスチレンの誘導体としては、水酸基を1〜5個有するスチレンが挙げられ、他に水酸基以外の炭化水素基等を有しても良い。例えば、モノヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、モノメチルヒドロキシスチレン、ジメチルヒドロキシスチレン、トリメチルヒドロキシスチレン、テトラメチルヒドロキシスチレン、ペンタメチルヒドロキシスチレン、モノエチルヒドロキシスチレン、ジエチルヒドロキシスチレン、トリエチルヒドロキシスチレン、テトラエチルヒドロキシスチレン、ペンタエチルヒドロキシスチレン、モノプロピルヒドロキシスチレン、ジプロピルヒドロキシスチレン、トリプロピルヒドロキシスチレン、テトラプロピルヒドロキシスチレン、ペンタプロピルヒドロキシスチレン、モノブチルヒドロキシスチレン、ジブチルヒドロキシスチレン、トリブチルヒドロキシスチレン、テトラブチルヒドロキシスチレン、ペンタブチルヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0026】
水酸基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フエニルオキシプロピル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ネオぺンチルグリコールモノアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等、2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−フエニルオキシプロピルさらに2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレート、ネオぺンチルグリコールモノメタアクリレート、テトラメチロールメタントリメタアクリレート等が挙げられる。
また、グリシジル基を有するスチレンの誘導体としては、例えば、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、グリシジルクロネート、グリシジルイタコネート、グリシジルフマレート、グリシジルマレート等が挙げられる。
【0027】
一般式(II)又は(III)で表わされる化合物の水産基、Xと反応性の官能基を有しない非架橋性重合性単量体において、アルキル基を有するスチレンの誘導体としては、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基等の炭化水素を1〜5個有するスチレンであり、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられる。
【0028】
アルキル基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。
【0029】
アルキルオキシ基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸エトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸ブトキシトリエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール等、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸エトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸プトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸フエノキシエチル等が挙げられる。
【0030】
また、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有するものとして、例えば、アクリル酸フエノキシエチル、アクリル酸フエノキシジエチレングリコール、アクリル酸フエノキシテトラエチレングリコール、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等、メタクリル酸フエノキシジエチレングリコール、メタクリル酸フエノキシテトラエチレングリコール、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。また、その他、アクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
その他の非架橋性重合性単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピリジン等が挙げられる。
これら上記の具体例に限定されるものではなく、さらに、これらを数種混合することもできる。
【0031】
より好ましくは、重合後のイオン交換基の導入が不要で製造が容易で効率的な点から、一般式(I)で表されるイオン交換基を有しかつエーテル結合で結合された構造を有する非架橋性重合性単量体が望ましい。例えば、フタル酸ビニルエーテル、フタル酸1−メチルビニルエーテル、ヒドロキシフタル酸ビニルエーテル、ヒドロキシフタル酸1−メチルビニルエーテル、トリメリット酸ビニルエーテル、トリメリット酸1−メチルビニルエーテル、ピロメリット酸ビニルエーテル、ピロメリット酸1−メチルビニルエーテル及びこれらの誘導体が挙げられる。これら具体例に限定されるものではなく、さらに、これらは1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0032】
本発明に使用される架橋性重合性単量体としては、1分子中に2個以上の重合性基を有する単量体であればいずれでもよい。1分子中に2個の重合性基を有する単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、グリコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸のジエステル、例えばエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレ−ト、1,3−ブチレングリコールジアクリレ−ト、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールメタクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタンジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等があり、1分子中に3個以上の重合性基を有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。これら具体例に限定されるものではなく、さらに、これらを数種混合することもできる。
【0033】
本発明の非架橋性重合性単量体及び架橋性重合性単量体において、イオン交換基導入の容易さ、カラムヘの充填の容易さ、カラム耐久性等から前記の非架橋性重合性単量体と架橋性重合性単量体の配合比から計算した重合体粒子の溶解度パラメータ(SP値)は、9.5〜14(cal/cm31/2であることが好ましい。より好ましくは、9.7〜13.5(cal/cm31/2であり、さらに好ましくは、10.0〜13.0(cal/cm31/2の親水性重合体粒子である。
SP値が、9.5より小さい重合体粒子にカルボキシル基を導入した充填剤では、疎水性が強くなり、イオン交換以外の分離が作用したり、水系での充填が難しくなる傾向がある。SP値が、14より大きいと重合体粒子の親水性が強くなりすぎて水溶液に対する重合体粒子の膨潤度が大きくなりイオンクロマト用充填剤として機能しなくなる傾向がある。
【0034】
上記SP値を示す非架橋性重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(SP値:12.3)、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する非架橋性重合性単量体又は架橋性重合性単量体と、エチレンジメタクリレート(SP値:10.4)等の架橋性重合性単量体を共重合させたものにエピクロロヒドリン等を反応させてグリシジル基を導入したもの、グリシジル(メタ)アクリレート(SP値:10.7)等のグリシジル基含有非架橋性重合性単量体と、エチレンジメタクリレート(SP値:10.4)等の架橋性重合性単量体を共重合させたものが挙げられる。上記非架橋性重合性単量体に前記スチレン系及びアクリル系の重合性基を有する非架橋性重合性単量体と共重合させることができる。
【0035】
上記の公知の非架橋性重合性単量体90〜30重量%と架橋性重合性単量体10〜70重量%を共重合することにより重合体粒子が得られる。
架橋性重合性単量体が10重量%未満であると、得られる弱酸性イオン交換樹脂の機械強度が乏しく、繰り返し使用における耐久性が劣り、安定した分離分析ができなくなる傾向がある。また、架橋性重合性単量体が70重量%を超えると場合によっては細孔径の調整ができにくくなる傾向がある。担体を重合させる際には必要に応じ、その他の公知の非架橋性重合性単量体や架橋性重合性単量体を共重合させることができる。
なお、本発明において、重合性粒子製造後、一般式(I)の構造のイオン交換基をエーテル結合で直接導入する場合、重合体粒子の非架橋性重合性単量体又は架橋性重合性単量体の構成成分として、グリシジル基、水酸基、ハロゲンを有する単量体を少なくとも1種類以上用いるか、あるいは、重合性粒子製造後に、エピクロルヒドリン等を反応しグリシジル基等を導入する必要がある。
また、重合に際しては、以上の非架橋性重合性単量体と架橋性重合性単量体は、不活性な有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、テトラヒドロフラン等に溶解される。
【0036】
分散媒中のモノマー及び有機溶媒の油滴を安定化させるためにゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、あるいはヒドロキシアパタイト、等の分散剤を使用する。本発明の多孔性重合体粒子は水性媒体中で重合されるのが好ましい。水性媒体の量は、基本的には重合体粒子の元となる油滴を所望の大きさに乳化分散するためで、単量体の種類や量により左右されるので一概に決められないが、重合性基を有する単量体100重量部に対して80〜400重量部であることが好ましい。80重量部未満では乳化分散液の粘度が上昇し、所望の油滴を調整しにくくなる傾向があり、また400重量部を越えると、製造バッチあたりの重合体粒子の収量が悪くなり、生産性の低下等の問題がある。
【0037】
上記、分散剤の中には単独ではその機能を十分あらわさないものがあり、それには分散助剤を加えることが有効である。この分散助剤としては一般に知られている界面活性剤、陽イオン系、陰イオン系、ノニオン系界面活性剤が使用されるが、その中で特に陰イオン界面活性剤が好ましい。陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、あるいはこれらの金属塩等がある。陰イオン界面活性剤は水性媒体に対し、1×10-4〜0.1重量%添加されるのが好ましい。1×10-4重量%未満では、分散助剤としての機能が発現しにくくなる傾向があり、0.1重量%を越えるとこれ自体分散剤または乳化剤として機能してしまい、良好な懸濁重合が行えなくなる傾向がある。
【0038】
本発明に用いられる重合開始剤としては、過酸化物系ラジカル開始剤、アゾ系ラジカル開始剤が好ましく、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化アセチル、過酸化イソブチリル、過酸化オクタノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジtert−ブチル、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、4,4,6−トリメチルシクロヘキサノンジtert−ブチルペルオキシケタール、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、シクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、ジイソプロピルヒドロペルオキシド等の過酸化物系ラジカル重合開始剤、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2′−アゾビス(4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。
【0039】
ラジカル重合開始剤は、重合性基を1個有する単量体100重量部に対して0.05〜10重量部使用される。使用量が0.05重量部未満では重合時間が長くなり、また未反応の単量体が重合体微粒子中に残存する傾向があり好ましくない。一方、使用量が10重量部を越える場合は重合開始剤が無駄であるばかりでなく、重合中の発熱制御が困難で、分子鎖長が不十分等の問題が発生する傾向がある。
【0040】
本発明の弱酸性陽イオン交換体は多孔性をもたせるため、さらに細孔調節剤として、重合時に種々の溶媒が加えられる。この溶媒としては重合性単量体には可溶で、重合体は溶解しないもので、具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ヘプタノール、イソアミルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等の脂肪族又は芳香族エステル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキサン、オクタン、デカン等、公知のものが使用できる。これらは得られる重合体のもととなる単量体の種類によって適宜使い分けられ、単独でもよいし、数種類併用しても良い。
これらの溶媒の配合割合は、多孔性の点から重合性単量体総量に対して、好ましくは、5〜300重量%、より好ましくは20〜200重量%、さらに好ましくは50〜100重量%添加される。この配合割合が5重量%未満であったり、300重量%を超えると所望の多孔性が得られにくくなり、また、得られる重合体は耐圧性の乏しいものになる傾向がある。
【0041】
本発明の弱酸性陽イオン交換体の膨潤容積は、前記式(A)で求められる。膨潤容積は、得られる多孔性重合体粒子の架橋度と交換基量の指標となる。従って、膨潤度を制御するために、重合粒子中の架橋性重合性単量体量を10〜70重量%、交換基量を0.5〜7.0ミリ当量/g内で調整することが好ましい。
本発明の膨潤容積としては、好ましくは2.0〜5.0ml/gでり、より好ましくは2.5〜4.0ml/gであり、さらに好ましくは3.0〜4.0ml/gである。膨潤容積が2.0ml/g未満では得られるイオン交換体の交換基量が十分導入できず、カラムとしたときの各陽イオンのピークを分割しにくくなる傾向があり、また、膨潤容積が5.0ml/gを越えるとクロマトグラムのピークパターンがブロードになったり、粒子の機械的強度が不足し、カラム圧が高くなる傾向がある。膨潤容積を調べる液体としては伝導度が10μS/cm以下のイオン交換水がよい。
V1は、例えば、計量容器(メスシリンダ)に多孔性のイオン交換体及び水を入れ、このイオン交換体に溶媒が十分馴染むまで、例えば、24時間以上、室温で静置した後、その、多孔性イオン交換体の容積を読み求める。濾過により、水を除去し、メタノールで洗浄後、残存する多孔性イオン交換体を60℃で8時間真空乾燥して重量を測定することによってW2を求めることができる。
【0042】
本発明におけるイオン交換体の平均粒子径は、得られる多孔性の重合体粒子の分離特性(理論段数、分離度)の指標となり、水性懸濁重合前の混合溶液を懸濁状態にする際の攪拌機の攪拌速度を調整することによって容易に制御できる。比表面積は、得られる重合体粒子の多孔性の指標となり、細孔調節剤の種類と配合量で調整することによって容易に制御できる。
本発明の平均粒子径としては、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。比表面積としては1〜500m2/g、好ましくは10〜450m2/g、より好ましくは30〜400m2/g、特に好ましくは110〜300m2/gである。平均粒子径が1μm未満ではカラムに充填する際、圧力損失が大きくなり、カラム圧力が上昇する傾向がある。また、50μmを超えるクロマトグラムがブロードになる傾向がある。比表面積が1m2/g未満では充填した際の圧力上昇を招き、また、2価イオンの溶出が遅れる傾向となり、500m2/gを超えると充填剤の機械的強度が低下する傾向がある。
【0043】
本発明のイオン交換体に最終的に導入されるイオン交換基であるカルボキシル基の量としては、0.5〜7.0ミリ当量/gが好ましく、より好ましくは1.0〜6.5ミリ当量/g、さらに好ましくは1.5〜6.5ミリ当量/g、特に好ましくは1.5〜6.0ミリ当量/gである。交換容量は乾燥した該弱酸性イオン交換体のカルボキシル基量として定義される。交換容量が0.5ミリ当量/g未満である場合は、1価イオン(Li+、Na+、NH4 +、K+)の溶出後、2価イオン(Mg2+、Ca2+)の溶出が遅くなりやすい傾向があり実用的ではない。また、7.0ミリ当量/gを超えると、分離分析成分であるイオン成分が該弱酸性イオン交換体に強固に吸着されて溶出まで極端に時間がかかったり、溶離液濃度を高めてイオン成分の溶出を容易にするとイオンクロマトグラムの基準線 (バックグランド)が高くなり、目的イオンの検出感度が低下して分離分析ができなくなる傾向がある。
【0044】
重合体粒子に、一般式(I)の構造をエーテル結合で導入するには、一旦重合性粒子を製造した後に、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物を試薬として用いて反応させることが好ましい。重合体粒子の官能基がハロゲンの場合、一般式(II)で表される化合物の水酸基を反応させることができ、重合体粒子の官能基が水酸基の場合、一般式(III)で表される化合物のハロアルキル基のハロゲンを反応させることができる。また、重合体粒子の官能基がグリシジル基の場合、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物の水酸基又はハロゲンを反応させることができる。
本発明の一般式(II)及び一般式(III)で表されるカルボキシル基を有する化合物において、式中、Rは水素原子でも良いが、重合体粒子と反応する場合があるため、メチル、エチル、ブチル等のアルキル基からなるエステル型であることが好ましい。より好ましくは、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、2価以上の陽イオンが離れすぎずに短時間に分離分析できることから、式中のカルボキシル基の数nは2以上、5以下である。さらに、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性から、式中のカルボキシル基の数nが2以上、5以下であり、かつ、隣接するカルボキシル基どうしの位置関係が1以上有することが特に好ましい。
【0045】
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸又はそのエステル化物、ヒドロキシフタル酸又はそのエステル化物等であり、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、テトラヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、テトラヒドロキシフタル酸、ヒドロキシトリメリット酸、ジヒドロキシトリメリツト酸、ヒドロキシピロメリット酸等及びこれらのエステルの誘導体が挙げられる。
中でも、特にカルボキシル基どうしが隣接した位置関係にある構造を1つ以上有するフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸のエステル化物が好ましい。
【0046】
また、一般式(III)で表される化合物としては、例えば、クロルメチル安息香酸等又はそのエステル化物、クロルメチルフタル酸又はそのエステル化物等であり、クロルメチル安息香酸、ジクロルメチル安息香酸、トリクロルメチル安息香酸、テトラクロルメチル安息香酸、クロルメチルフタル酸、ジクロルメチルフタル酸、テトラクロルメチルシフタル酸、クロルメチルトリメリット酸、ジクロルメチルトリメリツト酸、クロルメチルピロメリット酸等及びこれらのエステルの誘導体が挙げられる。中でも、特にカルボキシル基どうしが隣接した位置関係にある構造を1つ以上有するフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸のエステル化物が好ましい。使用量は特に制限はないが重合性粒子1gに対し0.3mM〜100mMが適している。
【0047】
上記一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物を溶解する溶媒として 、溶解でき、化合物と反応しない溶媒であれば、特に制限はなく、一般にジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒が挙げられる。
一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物の導入付加の条件としての反応温度は、用いる溶媒の融点以上、沸点以下であれば特に制限はない。ただし、交換容量の制御を容易にするためには80℃〜140℃が好ましい。温度が低すぎるとイオン交換基量が不足する傾向があり、高すぎると交換基が多すぎたり、イオン交換体の強度が不足したりする傾向がある。反応時間は特に制限はないが、均一な反応を進めるため、30分以上が好ましく、より好ましくは3〜10時間である。
また、反応を迅速に進行させるために触媒を用いることができる。その触媒の種類としては、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等、トリメチルアミン、トリフェニルホスフイン等のアルカリ性触媒の使用が好ましい。その添加量は上記一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物に対して1〜l00重量%使用されるのが好ましい。
【0048】
上記一般式(II)で表される化合物がヒドロキシカルボン酸エステルである場合は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いて、エステル部の加水分解を行いカルボキシル基に変換する必要がある。アルカリ濃度は0.1N以上が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5Nである。
【0049】
なお、一般式(I)で表されるイオン交換基を有しかつエーテル結合で結合された構造を有する非架橋性重合性単量体を合成する場合も、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物を試薬として用いて反応させることが好ましい。非架橋性重合性単量体の官能基がハロゲン又はグリシジルの場合、一般式(II)で表される化合物の水酸基を反応させることができる。又、非架橋性重合性単量体の官能基が水酸基又はグリシジル基の場合、一般式(III)で表される化合物のハロアルキル基のハロゲンを反応させることができる。一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物の導入の条件としては重合体粒子に、導入する条件と同じでよい。ただし、非架橋性重合性単量体が重合してしまう場合には、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン、ブチルカテコール、ニトロソベンゼン等の重合禁止剤をモノマに対し0.1〜10%添加し、重合を防ぐことが必要である。
【0050】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1
<重合体粒子の合成>
エチレングリコールジメタクリレー卜18g、テトラメチロールメタントリメタクリレート21g、グリシジルメタクリレート165g、酢酸n−ブチル70g、イソアミルアルコール130g及びアゾビスイノブチロニトリル0.9gの混合物を0.5重量%メチルセルロース水溶液2000gに加え、90℃で10時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄して、SP値10.9の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、150m2/gであった。
【0051】
<交換基の導入>
キシレン1250mlにヒドロキシフタル酸ジメチルエステル100g、トリフェニルホスフィン50gを溶解した溶液に上記の重合体粒子50gを加え、130℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、キシレン、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸化カリウム水溶液750mlに分散させ、80℃で8時間加水分解を行い、その後、1N硝酸、イオン交換水で洗浄して弱酸性陽イオン交換体を得た。イオン交換体の交換容量は3.2ミリ当量/gであった。
【0052】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を次のようにして求めた。
まず、得られたイオン交換体を10mlメスシリンダに約3ml入れ、水6ml注いで、バイブレータ−でイオン交換体中の空気を除き、10mlになるように水をさらに加え、24時間静置した後、そのイオン交換の沈降体積を測定した(V1)。濾過により、水を除去し、イオン交換体をメタノールで洗浄後、残存するイオン交換体を60℃で8時間真空乾燥して重量を測定した(W2)。
V1/W2により膨潤容積を求めた。本イオン交換体の膨潤容積は3.7ml/gであった。
【0053】
<充填、評価>
イオン交換体5.0gをイオン交換水に分散させ、4.6φ×150mmの樹脂製カラムに加圧充填した。該カラムをイオンクロマトグラフ(横河アナリティカルシステムズ製IC7000)に装着して以下の条件で測定を行った。
溶離液:10mMメタンスルホン酸
オーブン温度:40℃
流量:1.0ml/min
サンブル:Li+ 0.5ppm、Na+ 2ppm、NH4 + 2ppm、K+ 5ppm 、Mg2+ 5ppm、Ca2+ 5ppm
試料注入量:50μl
【0054】
得られたクロマトグラムを図1に示した。また、各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、各イオンが分離分析できた。しかも、図1及び表2から、Na+とNH4 +の分離に優れ、かつ、1価イオンの分離直後に2価イオンが溶出し、1価イオンと2価イオンが離れすぎることなく短時間で分離でき良好な溶出バランスが示された。なお、これを数値化した指標として、得られたNH4 +、Na+、Ca2+イオンの溶出時間から下記式(B)
【数2】
Figure 0004038849
(式中、TNH4は、NH4 +の溶出時間を、TNaは、Na+の溶出時間を、TCaは、2価イオンで溶出が遅い方の溶出時間(通常はCa2+)を示す)
からTNH4/TNa/TCa値として表2に示した。なお、TNH4/TNa/TCa値が大きい程、Na+とNH4 +の分離に優れ、1価イオンと2価イオンの溶出時間が離れていないことを示す。
【0055】
また、連続通液による通液時間と保持の関係をイオン交換体の耐久性試験として図3示した。図3において、横軸に通液時間(時間)を、縦軸には保持(K′)を示し、600時間の連続通液に対しても保持時間の短縮は認められなかった。
【0056】
実施例2
<重合体粒子の合成>
エチレングリコールジメタクリレート40g、グリシジルメタクリレート160g、酢酸n−ブチル75g、イソアミルアルコール125g及びアゾビスイソブチロニトリル1.0gの混合物を1重量%メチルセルロース水溶液に加え、80℃で6時間懸濁重合させた。反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄した。SP値10.6の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒径10μmに分級し、60℃で8時間真空乾燥した。
また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、150m2/gであった。
【0057】
<交換基の導入>
ジメチルホルムアミド125mlにヒドロキシフタル酸ジメチルエステル12g、トリフェニルフォスフィン7.5gを溶解した溶液に上記の重合体粒子5gを加え、90℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、ジメチルホルムアミド、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸カリウム水溶液75mlに分散させ、80℃で5時間加水分解を行い、その後、1N硝酸、イオン交換水で洗浄して弱酸性陽イオン交換体を得た。イオン交換体の交換容量は2.0ミリ当量/gであった。
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.5ml/gであった。
【0058】
<充填、評価>
弱酸性陽イオン交換体5.0gをイオン交換水に分散させ、4.6φ×150mmの樹脂製カラムに加圧充填した。該カラムをイオンクロマトグラフ(横河アナリティカルシステムズ製IC7000)に装着して以下の条件で測定を行った。
溶離液:4.5mM硫酸
オーブン温度:40℃
流量:1.0m1/min
サンプル:Li+ 0.5ppm、Na+ 2ppm、NH4 + 2ppm、K+ 5ppm 、Mg2+ 5ppm、Ca2+ 2ppm
試料注入量:50μ1
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0059】
実施例3
<重合体粒子の合成>
実施例1と同様にして重合体粒子を合成した。SP値10.9の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径6μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、145m2/gであった。
<交換基の導入>
ジメチルスルホオキシド125mlにヒドロキシベンゼンテトラカルボン酸22g、トリフェニルホスフィン7.5gを溶解した溶液に上記の重合体粒子5gを加え、120℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、ジメチルスルホオキシド、アセトン、イオン交換水で洗浄し、その後、1N硝酸、イオン交換水で洗浄し弱酸性陽イオン交換体を得た。イオン交換体の交換容量は5.7ミリ当量/gであった。
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.8ml/gであった。
【0060】
<充填、評価>
弱酸性陽イオン交換体5.0gをイオン交換水に分散させ、4.6φ×150mmの樹脂製カラムに加圧充填した。該カラムをイオンクロマトグラフ(横河アナリティカルシステムズ製IC7000)に装着して以下の条件で測定を行った。
溶離液:12.5mMメタンスルホン酸
オーブン温度:40℃
流量:1.0ml/min
サンプル:Li+ 0.5ppm、Na+ 2ppm、NH4 + 2ppm、K+ 5ppm 、Mg2+ 5ppm、Ca2+ 5ppm
試料注入量:50μl
各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、表1から1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0061】
実施例4
<重合体粒子の合成>
スチレン5g、メチルメタクリレート12g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートl0g、ジエチレングリコールジメタクリレート10g、エチレングリコールジメタクリレー卜18g、グリシジルメタクリレート150g、酢酸n−ブチル70g、イソアミルアルコール130g及びアゾビスイソブチロニトリル0.9gの混合物を0.5重量%メチルセルロース水溶液に加え、90℃で6時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄して、SP値10.5の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、45m2/gであった。
<交換基の導入>
実施例1と同様にしてイオン交換基の導入を行った。得られた弱酸性陽イオン交換体の交換容量は3.3ミリ当量/gであった。
【0062】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.6ml/gであった。
<充填、評価>
実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。また、600時間の通液後においても、各イオンの溶出時間は±2%以内であった。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0063】
実施例5
<重合体粒子の合成>
実施例1と同様にして重合体粒子を合成した。SP値10.9の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、150m2/gであった。
<交換基の導入>
実施例1のヒドロキシフタル酸ジメチルエステルをジヒドロキシフタル酸ジメチルエステルに変更した以外はまったく実施例1と同様にしてイオン交換基の導入を行った。得られた弱酸性陽イオン交換体の交換容量は3.1ミリ当量/gであった。
【0064】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.2ml/gであった。
<充填、評価>
実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、表1から1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。また、600時間の通液後においても、各イオンの溶出時間は±2%以内であった。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0065】
実施例6
<重合体粒子の合成>
トリメチロールエタントリメタクリレート、50g,2−ヒドロキシエチルメタクリレート150g、酢酸ブチル75g、イソアミルアルコール125g及びアゾビスイソブチロニトリル1.5gを、0.7重量%のメチルセルロース水溶液1800gに加え懸濁後、75℃で10時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄を繰り返してSP値12.4の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径が8μmに分級し、次いで60℃で10時間乾燥させた。
乾燥した重合体粒子に、ジメチルスルホキシド80ml、エピクロロヒドリン20g、30%水酸化ナトリウム水溶液5g溶液を加え43℃で6時間反応させた。反応物を濾過し、ジメチルスルホキシド、アセトン、イオン交換水で洗浄を繰り返してグリシジル基を含有する重合体粒子を得た。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、110m2/gであった。
【0066】
<交換基の導入>
キシレン1250mlにヒドロキシフタル酸ジメチルエステル100g、トリフェニルホスフィン50gを溶解した溶液に上記の重合体粒子50gを加え、100℃で15時間反応させた。反応物を濾過し、キシレン、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸化カリウム水溶液750mlに分散させ、80℃で8時間加水分解を行い、その後、1N硝酸、イオン交換水で洗浄して弱酸性陽イオン交換体を得た。イオン交換体の交換容量は2.5ミリ当量/gであった。<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.2ml/gであった。
【0067】
<充填、評価>
実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。また、600時間の通液後においても、各イオンの溶出時間は±2%以内であった。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0068】
実施例7
<重合体粒子の合成>
メチルメタクリレート、100g、フタル酸ジメチルビニルエーテル70g、エチレングリコールジメタクリレー卜25g、テトラメチロールメタントリメタクリレート25g、酢酸n−ブチル70g、イソアミルアルコール130g及ひアゾビスイソブチロニトリル0.9gの混合物を0.5重量%メチルセルロース水溶液2000gに加え、90℃でl0時問懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄してSP値10.0の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径が6μmに分級し、次いで60℃で15時間乾燥させた。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、125m2/gであった。
<エステルの加水分解>
反応物を濾過し、キシレン、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸化カリウム水溶液750mlに分散させ、80℃で10時間加水分解を行い、その後、1N硝酸、イオン交換水で洗浄して弱酸性陽イオン交換体を得た。得られたイオン交換体の交換容量は3.1ミリ当量/gであった。
【0069】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.5ml/gであった。
<充填、評価>
実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。また、600時間の通液後においても、各イオンの溶出時間は±2%以内であった。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0070】
実施例8
<重合体粒子の合成>
p−クロロメチルスチレン50g、純度60%のジビニルベンゼン23g、ジエチルベンゼン117g、酢酸ブチル27g及び過酸化ベンゾイル3.0gの混合物を0.5重量%ポリビニルアルコール水溶液1.3リットル加え、80℃で8時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄してSP値10.6の重合体を得た。次いで、60℃で8時間真空乾燥し、クロロメチル基を有する共重合体粒子を得た。得られた共重合体粒子を平均粒径6μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。又、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、40m2/gであった。
<交換基の導入>
アセトン50mlにヒドロキシフタル酸ジメチル4.6g、炭酸カリウム3gを溶解した溶液にクロロメチル基を有する共重合体粒子2gを加え、50℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸化カリウム水溶液50mlに分散させ、80℃で5時間加水分解を行い、エ一テル結合で交換基を導入した弱酸性陽イオン交換体を得た。得られた弱酸性陽イオン交換体の交換容量は1.0meq/gであった。
【0071】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.8ml/gであった。
<充填、評価>
弱酸性陽イオン交換体5.0gをイオン交換水に分散させ、4.6φ×150mmの樹脂製カラムに加圧充填した。該カラムをイオンクロマトグラフ(横河アナリティカルシステムズ製IC7000)に装着して以下の条件で測定を行った。
溶離液:8mMメタンスルホン酸
オーブン温度:40℃
流量:1.0ml/min
サンブル:Li+ 0.5ppm、Na+ 2ppm、NH4 + 2ppm、K+ 5ppm 、Mg2+ 5ppm、Ca2+ 5ppm
試料注入量:50μl
各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、注入試料がカラム内のイオン交換体に吸着することなく、しかも、表1から1価イオン及び2価イオンがバランス良く溶出された(表2)。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0072】
比較例1
<重合体粒子の合成>
エチレングリコールジメタクリレート40g、グリシジルメタクリレート160g、酢酸n−ブチル75g、イソアミルアルコール125g及びアゾビスイソブチロニトリル1.0gの混合物を1重量%メチルセルロース水溶液に加え、80℃で6時間懸濁重合させた。反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄した。次いで、希硫酸中で80℃、5時間撹拝してエポキシ基を開還し、水洗、メタノール洗浄後、60℃で8時間真空乾燥し、SP値10.9の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、150m2/gであった。
<交換基の導入>
ジメチルホルムアミド100mlにピロメリツト酸二無水物30g、トリエチルアミン1mlを溶解した溶液に水酸基を有する重合体粒子5gを加え、80℃で8時問反応させた。反応物を濾過し、ジメチルホルムアミド、イオン交換水で洗浄し、次いでイオン交換水150mlに分散させ、95℃で8時問加水分解を行い、弱酸性陽イオン交換体を得た。得られたイオン交換体の交換容量は5.5ミリ当量/gであった。
【0073】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.7ml/gであった。
<充填、評価>
溶離液としで12.5mMメタンスルホン酸を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
また、連続通液による通液時間と保持の関係をイオン交換体の耐久性試験として図3示した。図3において、横軸に通液時間(時間)を、縦軸には保持(K′)を示し、600時間の連続通液に対して、各イオンの溶出時間が20%以上短縮した。
【0074】
比較例2
<重合体粒子の合成>
実施例1と同様にして重合体粒子を合成した。SP値10.9の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、150m2/gであった。
<交換基の導入>
ジメチルホルムアミド100mlにクエン酸30g、トリエチルアミン1mlを溶解した溶液に上記の重合体粒子5gを加え、90℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、ジメチルホルムアミド、イオン交換水で洗浄し、弱酸性陽イオン交換体を得た。得られた弱酸性陽イオン交換体の交換容量は1.9ミリ当量/gであった。
【0075】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.5ml/gであった。
<充填、評価>
溶離液として10mM酒石酸を用いた以外は実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。その結果、1価のK+と2価のMg2+の問隔あいていた。また、600時間の通液試験を行ったところ、各イオンの溶出時問が10%以上短縮した。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0076】
比較例3
<重合体粒子の合成>
実施例1と同様にして重合体粒子を合成した。SP値10.9の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、150m2/gであった。
<交換基の導入>
ジメチルスルホオキシド125mlにヒドロキシフタル酸ジメチルエステル12g、トリフェニルホスフィン7.5gを溶解した溶液に上記の重合体粒子5gを加え、60℃で8時間反応した。反応物を濾過し、ジメチルスルホオキシド、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸カリウム水溶液75mlに分散させ、80℃で8時間加水分解を行い、その後、1N塩酸、イオン交換水で洗浄して弱酸性陽イオン交換体を得た。得られた弱酸性陽イオン交換体の交換容量は0.4ミリ当量/gであった。
【0077】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は3.3ml/gであった。
<充填、評価>
溶離液として5.0mMメタンスルホン酸を用いた以外は実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。その結果、1価イオン同士の間隔密接していて分離分析ができなかった。なお、TNH4/TNa/TCa値として表2に示した。
【0078】
比較例4
<重合体粒子の合成>
エチレングリコールジメタクリレー卜10g、メチルメタクリレート30g、グリシジルメタクリレート160g、酢酸n−ブチル70g、イソアミルアルコール130g及びアゾビスイノブチロニトリル0.9gの混合物を0.5重量%メチルセルロース水溶液2000gに加え、90℃で10時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄して、SP値10.8の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径10μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、130m2/gであった。
<交換基の導入>
実施例1とまったく同様にしてイオン交換基の導入を行った。得られた弱酸性陽イオン交換体の交換容量は3.3ミリ当量/gであった。
【0079】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は6.1ml/gであった。
<充填、評価>
実施例1と同様の条件で測定を行った。
結果、カラム圧が100kgf/gを超え、クロマト測定不可能であった。
【0080】
比較例5
<重合体粒子の合成>
スチレン166.4g、純度60%のジビニルベンゼン25.6g、トルエン135g及び過酸化ベンゾイル10gの混合物をイオン交換水1000g、10%りん酸三カルシウム水溶液500gの媒体に加え、80℃で8時間懸濁重合させた。反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、塩酸洗浄後、水洗、メタノール洗浄してSP値9.1の重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒径10μmに分級し、次いで、重合体粒子を真空乾燥した。また、得られた重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は、40m2/gであった。
<交換基の導入>
上記重合体粒子5gに硫酸25mlを加え、300秒間スルホン化を行った後、イオン交換水で希釈し、イオン交換水で洗浄して強酸性陽イオン交換体を得た。得られた強酸性陽イオン交換体ので、交換基量は、0.015ミリ当量/gであった。
【0081】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は1.5ml/gであった。
<充填、評価>
溶離液として5.0mM硝酸を用いた以外は実施例2と同様の条件で測定を行った。
得られたクロマトグラムを図2に示した。また、各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。その結果、2価イオンが溶出せず、連続通液による保持の短縮が起こった。なお、TNH4/TNa/TCa値として表1に示した。
【0082】
比較例6
<重合体粒子の合成>
エチレングリコールジメタクリレート40g、グリシジルメタクリレート160g、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル50g及びアゾビスイソブチロニトリル1.0gの混合物を1重量%メチルセルロース水溶液2000gに加え、80℃で6時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄した。次いで、希硫酸中で80℃、5時間撹絆してエポキシ基を開還し、水洗、メタノール洗浄しSP値10.9の重合体粒子を得た。次いで、60℃で8時間真空乾燥し、得られた重合体粒子を平均粒径10μmに分級した。重合体粒子のBETガス吸着法による比表面積は0.5m2/gであった。
<交換基の導入>
ジメチルホルムアミド100mlにピロメリット酸二無水物30g、トリエチルアミン1mlを溶解した溶液に水酸基を有する上記重合体粒子5gを加え、80℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、ジメチルホルムアミド、イオン交換水で洗浄し、次いでイオン交換水150mlに分散させ、95℃で8時間加水分解を行い、弱酸性陽イオン交換体を得た。得られたイオン交換体の交換容量は2.2ミリ当量/gであった。
【0083】
<膨潤容積>
得られた多孔性のイオン交換体の膨潤容積を実施例1と同様にして求めた。
膨潤容積は2.8ml/gであった。
<充填、評価>
溶離液として12.5mMメタンスルホン酸を用いた以外は実施例1と同様の条件で測定を行った。
各イオン交換体の性状を表1に、各イオンの溶出時間を表2に示した。結果、1価イオンに比べ2価イオンが異常に遅く分離のバランスが悪い。600時間の通液試験を行ったところ、各イオンの溶出時間が20%以上短縮した。
【0084】
比較例7
横河アナリティカルシステムズ製Excelpak ICSC25とガードカラムICSC2Gとをイオンクロマトグラフに装着し、溶離液として、10.0mMメタンスルホン酸を40℃、1.0ml/minで通液し、実施例1と同様に評価を行った。
各イオンの溶出時間を表2に示した。その結果、1価のK+と2価のMg2+の間隔があいていた。また、600時間の通液試験を行ったところ各イオンの溶出時間が15%以上短縮した。
【0085】
比較例8
ダイオネツクス製IonPacCS−C12とプレカラムCG−12とをイオンクロマトグラフに装着し、移動相として20mMメタンスルホン酸を40℃、1.0ml/minで通液し、実施例1と同様に評価を行い、各イオンの溶出時間を表2に示した。
【0086】
【表1】
Figure 0004038849
【0087】
【表2】
Figure 0004038849
【0088】
【発明の効果】
請求項1記載の弱酸性陽イオン交換体によれば、ピリジン−2,6−ジカルボン酸や18C6クラウンエーテルのような特殊な試薬を添加した溶離液や、複数の酸からなる溶離液を使用することなく、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性に優れ、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、2価以上の陽イオンが離れすぎずに短時間に分離分析できる。しかも、イオン交換体の長期間にわたる繰り返し使用、連続使用においてもイオン交換基の離脱が少なく耐久性に優れ、さらに、長期にわたり、1価と2価以上の陽イオンの良好な分離性能と再現性を保持持続することができる。また、カラムの繰り返し使用による試料中の2価イオン、重金属イオン等の充填カラム内残存がなく、保持時間の短縮が改善され安定した分離性能、カラム耐久性、イオン交換基導入の容易性に優れる。特に1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性に優れる。
【0089】
請求項記載の弱酸性陽イオン交換体によれば、請求項項記載の発明の効果に加え、適切な分離、溶出時間、機械的強度及びカラム圧力損失特性に優れる。
【0090】
請求項3、4、及び5記載の弱酸性陽イオン交換体の製造法によれば、ピリジン−2,6−ジカルボン酸や18C6クラウンエーテルのような特殊な試薬を添加した溶離液や、複数の酸からなる特殊な溶離液を必要とせず、1価と2価以上の陽イオンの溶出バランス性に優れ、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、1価イオンと2価以上の陽イオンが離れすぎずに2価以上のイオンが短時間に分離分析でき、しかも、イオン交換体の長期間にわたる繰り返し使用、連続使用においてもイオン交換基の離脱が少なく耐久性に優れ、さらに、長期にわたり、1価と2価以上の陽イオンの良好な分離性能と再現性を保持持続することができる弱酸性陽イオン交換体をより簡単に、より効率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示すクロマトグラムである。
【図2】比較例5の結果を示すクロマトグラムである。
【図3】実施例1及び比較例1の通液試験の結果で得られたCa2+イオンの保持(K′)を示す図であり、それぞれ、縦軸は保持(K′)を表し、横軸は通液時間(時間)を表す。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004038849
    (ただし、式中、Zは2価の有機基、Zはアルキレン基、kは0又は1であり、lは0であり、Yは水素原子nはの整数であり、また、mはの整数を示し、n+mは5である)で表され、隣接した炭素原子に結合した2個のカルボキシル基をするイオン交換基が、エーテル結合を介して重合体鎖に結合している重合体の粒子からなる弱酸性陽イオン交換体であって、
    イオン交換体の交換容量が、乾燥した該イオン交換体1g当たり0.5〜7.0ミリ等量/gであり、膨潤容積が2.0〜5.0ml/gである弱酸性陽イオン交換体。
  2. 重合体粒子の平均粒子径が1〜50μmで、比表面積が1〜500m/gである請求項記載の弱酸性陽イオン交換体。
  3. 一般式(II)
    Figure 0004038849
    (式中、Rは水素原子または炭素数3以下のアルキル基、nはの整数を示す)で表され、隣接した炭素原子に結合した2個のカルボキシル基を有する化合物の水酸基と、非架橋性重合性単量体30〜90重量%と架橋性重合性単量体10〜70重量%との重合体粒子のハロゲン又はグリシジル基とを反応させることを特徴とする請求項1記載の弱酸性陽イオン交換体の製造法。
  4. 一般式(III)
    Figure 0004038849
    (式中、Xは炭素数4以下のハロアルキル基、Rは水素原子または炭素数3以下のアルキル基、nはの整数を示す)で表され、隣接した炭素原子に結合した2個のカルボキシル基を有する化合物のハロアルキル基のハロゲンと、非架橋性重合性単量体30〜90重量%と架橋性重合性単量体10〜70重量%との重合体粒子の水酸基又はグリシジル基とを反応させることを特徴とする請求項1記載の弱酸性陽イオン交換体の製造法。
  5. 一般式(I)で表され、隣接した炭素原子に結合した2個のカルボキシル基を有する構造を含む非架橋性重合性単量体を含む非架橋性重合性単量体30〜90重量%と架橋性重合性単量体70〜10重量%とを共重合することを特徴とする請求項1記載の弱酸性陽イオン交換体の製造法。
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